スーパー戦隊このすばメガフォース   作:伊勢村誠三

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冒険とロマンを求めこの世界を往く若者たちがいた。
悪の帝国魔王軍に敢然と反旗を翻し、
海賊の汚名を誇りとして名乗るゴーカイな奴ら!
その名は!


安らぎの為に

「ゴーカイジャーのキーを奪われた!?」

 

『はい!なんでも魔王の娘だとかいう茶髪の子です!

今ガレオンの方に逃げてるんで挟み撃ちに!』

 

リアから連絡を受けたルカはまだ寝ぼけ眼の総一を叩き起こし準備を始める。

 

「魔王の娘ぇ?嘘つけ。あんな100パー童貞の上に絶対ムスコの長さ身長と正比例してそうなあいつに居るわけねえだろ。」

 

「そこは重要じゃないのよ!

あの手癖の悪さだけはいっちょ前のカズマから物パクってるのよ?

それもリアが神器で防壁をはることすら出来ずに!

能書きの真偽はともかく強敵には違いないんだから!」

 

「少しはものをまともに考えれる奴らがいるみたいね!」

 

如何にも高飛車で勝気な、それでいて凛とした声が響く。

見るといつの間にか総一がいつも座っている椅子に人形のようにきれいな茶髪の少女が座っていた。

 

「お前か!」

 

総一はすぐさま抜刀すると少女に斬りかかるが、簡単にスティールで剣を奪われた上に背後に回られ足払いで倒され頭をふんず蹴られる。

 

「ふん!決断の速さは買うけど喧嘩売る相手は選ぶことね!」

 

そう言っていつの間にか奪ったゴーオンレッドキーを見せつけるように左手でもてあそぶ。

 

「いつのまに!」

 

「ま、いいわ。どうせデラツエイガーに殺されてる三人よりは強そうね!

特別に下働きとして残してあげるわ!」

 

「何、勝手に言ってやがる…船長にでもなったつもりか!」

 

「ええ!今日から私が船長よ!」

 

茶髪少女はまた総一の椅子にふんぞり返るとレンジャーキーの箱の中からキーを適当にひっつかむとゴーオンレッドキーと合わせてラッパラッターにセットして吹き鳴らす。

ゴーオンレッド、ボウケンシルバー、ゴーグリーンが実体化。

少女は続いて自分の懐から二本のキーを取り出し、それも実体化させる。

ゴーオンイエローとイエローレーサーだ。

 

「はぁ!?なんでお前がそれを…」

 

「盗んで来たのよ!私なんかより低レベルな癖に王座にふんぞり返ってるあのチビからね!」

 

そう言って胸を張る少女に総一とルカは開いた口がふさがらなかった。

 

「さ!そこの二人以外はいらないわ!

デラツエイガーに殺されてなさそうな他のが戻ってきたらやっつけなさい!」

 

命令を受けた五人は倒れたままの総一を踏みつけながら部屋を出ていった。

 

 

 

「来ないな…」

 

朝練を終えたジョーはガレオンに戻ろうとその真下まで来ていたがいつまでも上る為の鎖が下りずに立ち往生していた。

 

「掃除でもしてるのか?あのソウイチとルカが?」

 

自発的にそんな殊勝なことをしている姿を全く想像できないジョーだったが、もう鎖は降りてこない物と考えたジョーはブルースワローに変身して甲板に戻った。

 

「ふう!久しぶりだと結構気持ちいな。」

 

変身を解除しながら入口のドアノブを回す。

触れた瞬間、ジョーの体に衝撃が駆け抜けた。

鋭い痛みが腕から体全体に回り、一瞬の硬直の後、火花と共に大きく後ろに吹っ飛ぶ!

 

「な、何とか逃げ切れうぎゃあああ!」

 

「痛ぁい!ちょ!ちょっと!なんで逃げた先からジョーがふっ飛んでくるのよ!」

 

「う、ううぅ…流石にこうも連続でキツイのが来ると、む、武者震いが!」

 

「股濡らしてんなこの淫乱!ジョーさん立てます?」

 

「なんとか…」

 

四人が立ち上がると、タイミングを見計らったように放送が入った。

 

『いい様ね!ま、デラツエイガーから逃げ切った生き汚さだけは誉めてあげるわ!』

 

「この声に物言い…まさかさっきの魔王の娘!」

 

『その悪運を見込んでアンタたちを私の手下にふさわしいかどうか試してあげるわ!

レンジャーキーを使わずに見事私の元まで来たらソウイチとルカより下…雑用の雑用としてこき使ってあげるわ!せいぜい頑張りなさい!』

 

一方的な宣言と共に放送が切られる。

アクアは顔を真っ赤にして飛び上がると腕まくりしながらドアに向かって行った。

 

「なんなのあの小娘!なんて傲慢で一方的なの!

自分が一番偉いとでも思ってるのかしら!ねえカズマ!」

 

「エエソウデスネホントウニヒドイヤツダナー…」

 

「カズマお前…」

 

「言いたいことぐらい言って良いんだぞ?」

 

「いいっすよ。ここでアクアにへそ曲げられてもめんどくさいですし…」

 

ジョーと同じ轍を踏んで吹っ飛ばされるアクアを遠い目で見つめながら和真は呟くように力なく言った。

 

 

 

「はぁ…はぁ…めぐみん走れる?」

 

「え、ええ。どうにか。」

 

リアはまだ脇腹のダメージの残るめぐみんを少しずつ休ませながら進んでいた。

 

「にしても…あの少女何者なんでしょう?

魔王の娘…とはだいぶ姿が違うようですが…。」

 

「…え?めぐみん魔王の娘の姿知ってるの!?」

 

「ええ。里の一番高い丘についてる望遠鏡から魔王城まで見渡せるんですよ。

丁度魔王の娘の部屋も見えてたんですけど、ある時からずっとカーテンが下りたまま開かなくなって…」

 

「そうなんだ…。じゃああの子は、どこの子なんだろう?」

 

『違ぁう!誰があんな童貞陰キャチビの娘だ!』という発言から察するに血縁は無いorあってもそう認めたくないレベルで険悪な仲、ということになる。

 

「誰?ではなくどこの子?ですか。

変わった気にし方をしますね。」

 

「私、昔のこととか思い出せなくて。

それで時々思うんだ。私はどこで何してたんだろう?って。

だからあの子も、そんな風に考えちゃう。」

 

「どこの子…ですか。

そう言えば、あの子は魔王城は帰る場所じゃないみたいなことを言ってましたね。」

 

「念のため総一さんたちに知らせましょう。

もしかしたら何か役に立つかもしれませんし。」

 

 

 

「ソウイチ!どこに言ってたのよ!」

 

「トイレだよ新船長。生理現象なんだから仕方ないだろ?」

 

「そう、まあいいわ!

それよりみなさい!あいつら結構頑張ってるわよ。」

 

モニター越しに見える和真たちはボロボロだ。

氷バケツや爆発に大量の毒虫など度を越えたいたずらレベルのトラップの数々にダメージも勿論だが、かなりの怒りを覚えているようだ。

魔王の娘はルカから奪ったモバイレーツを取ると放送をかける。

 

「いいわ!あとちょっとね!

そこを抜ければ私のいるとこまで来れるわよ!

けどそこまでね!」

 

スピーカー越しに指を鳴らすと四人を取り囲むように実体化させたレンジャーたちが現れる。

 

「そいつらに勝てたら約束通り下働きの下働きにしてあげるわ。

ま、死なないように頑張りなさいねー。」

 

『なんなんだこのガキ!』

 

ジョーのいらだった声を聞き終わるか終わらないかぐらいで魔王の娘は画面を落してレンジャーキーの箱を抱えるとルカの手を取った。

 

「ついてきなさい!あの紅魔族の頭悪そうなのと黒髪の子も試しに行くわ!

ソウイチ!留守番してなさい!」

 

「え?ちょ、ちょっと!」

 

有無を言わさずルカを連れて行った魔王の娘を見送りながら総一はため息を吐いた。

 

「ほっとけねえなチクショー。」

 

 

 

「あ!いたわ!ほらルカ急いで!」

 

「まちな!まちなさいって!急ぎ過ぎても仕方無いでしょ!」

 

めぐみんを負ぶったリアを見つけると魔王の娘はおもちゃ屋に走って行く子供のようにルカの手を引いて二人の下に急ぐ。

 

「その箱は…レンジャーキーの!」

 

「ええ!私がガレオンの船長になったからね!

お前らが私の船の乗組員にふさわしいか試させてもらうわ!」

 

ぴしっ!と二人を指さすのと、四人の周りに光弾が炸裂するのは同時だった。

 

「探しましたぞ。姫殿下。」

 

「デラツエイガー!貴様、もう追いついたか!」

 

「伊達に親衛隊隊長じゃありませんからね。

しかしそんな私をもってしてもあなたを探すのは一苦労だ。

黙って部屋にひきこもっていればよかったものを!

本当にお姉さまに似ずにお転婆ですな!」

 

「黙れ怪物!お前らなんかがお姉さまを語るな!」

 

ラッパラッターにキーを刺そうとする魔王の娘。

だが再びデラツエイガーが放った光弾に破壊されてしまう。

 

「さあ!海賊の首とあなたを連れて帰るとする!」

 

愛刀を構えて突っ込んでくるデラツエイガーだったが、それより早い何かがその前を通り過ぎていった。

 

「!?今のは…ッ!」

 

「サガスラッシュ!」

 

「ブイスラッシュ!」

 

サガスナイパーとVランサーの斬撃が降り注ぐ。

デラツエイガーは体を捻って避けると後ろに飛んで視界の悪い中から脱出する。

 

「もっとちゃんと狙いなさいよ!よけられてるじゃない!」

 

「お前も外してるだろくそ女神!

終わったこと気にするより切り替えて次行くぞ!」

 

ボウケンシルバーとゴーグリーンの正体は総一とアクアだった。

残る高速移動していた三人は和真たちだ。

どうやら今の攻撃はデラツエイガーからレンジャーキーを奪い返すためだけの物だったらしく、和真の手には五本のレンジャーキーが握られている。

 

「お前ら…ソウイチ!まさかお前レンジャーキーを隠し持ってたのか!?」

 

「いいや全く!力だけの張りぼてに負けっかよ。

俺らは海賊だぜ。弱っちいお前の家族と違ってな。」

 

「!!?貴様取り消せ!

お姉さまはっ!お姉さまは弱くない!

強くって、奇麗で!血縁の無い私にも優しくしてくれた!

お父様は私より弱かったし小者だったけど私を受け入れてくれた!

急に来たあいつらが奪った!全部!全部!」

 

「だから、魔王城に帰るなんて思わない、ですか。」

 

「そうだ!誰が強盗が土足で入ってきた家に住みがる!」

 

「そんで自分だけ逃げてきたのは、自分だけじゃ敵わないからか。

だからガレオンとキーを奪いに来た。」

 

魔王の、否、ただ家族を愛する少女は小さく頷いた。

 

「お前たち…私に力を貸せ。

あいつを、お父様の椅子にふんぞり返ってるあの屑を殺したい!」

 

「海賊への依頼、高くつくぞ?」

 

「その代わり、絶対成功させます!」

 

「命以外いくらでも積んでやる!だから、だからたのんだぞ!」

 

「オーケー!契約成立だ!お前ら!行くぞ!」

 

「「「「「「「「ゴーカイチェンジ!」」」」」」」」

 

総一はアームドティラノレンジャーに。

ジョーはハイパーシンケンレッドに。

ルカはスーパーゲキレッドに。

リアはスーパーゴセイレッドに。

和真はデカレッドスワットモードに。

アクアは仮面ライダーオーズタジャドルコンボに。

ダクネスはゴーレッドバトライザーに。

めぐみんはレジェンドマジレッドに。

それぞれ強化変身を果たした。

 

「紅魔の里最後の祭りだ!派手に、真っ赤で行くぜ!」




次ーーッ回!第三十一話!

デラツエイガー「何人こようと結果は変わらん!」

総一「そいつはどうかな!」

魔王の娘「お姉様とお父様の仇!」

アクア「いい加減倒れなさい!」

復讐の狼煙

????「あれが海賊…」

和真「高貴な娘ってみんなあんなんなのか?」

ダクネス「そんなわけあるか!」
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