悪の帝国魔王軍に敢然と反旗を翻し、
海賊としての汚名を誇りとして名乗るゴーカイな奴ら!
その名は!
1
「魔王軍が墓荒らし?」
ある朝、砂糖抜きのホットミルクを飲みながらギルドで情報収集をしていた和真はおかしな話を聞いた。
「正確には暴かれたり物が取られたりしてる訳じゃ無いから荒らしじゃなくて不法侵入なんだけどどうも怪しくてな。」
「どんな奴なんだ?」
「この前神父と一緒に墓を見に行ったプリーストの女の子が言うには白いゴキブリみたいな2本の触角が生えてる奴だったらしいぜ。
ま、プリーストじゃない俺たちにはあんまり関係ないけどな。」
情報の例に借金持ちの身の上だが酒を奢るとガレオンに戻った。
「ただいま〜」
「おかえりカズマ。何か有益な情報は掴めたか?」
キッチンの方から鎧の代わりにエプロンを付けたダクネスが出て来た。
どうやら他のメンツは自分がいない間に出かけた様だ。
「まあ次のレンジャーキーに繋がりそうな手がかりは。
所で総一さん達は?」
「ソウイチ達は家を売る準備で馬のドンを私達の屋敷に置きたいって事だったから今屋敷に馬小屋を増築しにな。」
「そんな金どこから?」
「また例によってルカの指輪を売っ払ったらしい。」
「あの人の指輪全部売れば借金返せるんじゃ無いか?」
「その見立てなんだが、本人が頑として拒否し続けててな。」
「ま、アクアのせいで背負った借金だしな。
そのアクアはめぐみんと1日1爆裂か?」
「ああ。戻ってきたら朝食にしよう。
準備手伝ってくれ。」
「了解。カズマさんが意外と家庭的なところ見せてやる。」
「それは楽しみだ。」
2
「『エクスプロージョン』ッ!」
平原に光が突き刺ささり光が爆ぜた。
遅れて熱風が吹き抜け一瞬だけ世界が無音に晒される。
めぐみんが力を使い果たし倒れ込んだ音にハッ!としたアクアはめぐみんを背負うと帰路についた。
「戻ったらダクネスがご飯用意してくれてる頃かしら?
めぐみん1人で食べれる?」
「座りさえ出来れば両手を動かすぐらいは出来ますよ?
ダイナマンのレンジャーキーを使ったら3本以上で失神しますけど。」
などと話しながら歩いていると前方から何やら霧が漂い始めた。
「こんな季節に珍しいですね。」
「珍しいどころか、なんか異様に濃くない?」
季節は肌寒さを感じ出す頃。
雪精が出てくるにもまだ早いぐらいだが、それでもこの時期に霧はおかしい。
「それになんだか異様に周りに人がいる様に感じますね…。」
あたりを伺う2人。
すると茂みの中から両手を前に突き出した青白い肌の、
明らかに腐ってないだけの死体が飛びながらやって来た!
「アンデッド!?」
「なんでキョンシーなんて出てくるのよ!」
キョンシー。地球は中国の死体妖怪の一種で、広東省での呼び方を言う。
アクア達の前に現れたキョンシーは映画などでよく見る清の時代の官服ではなくよく見る冒険者の服装をしていた。
「まさか、近くの墓から無理矢理連れて来たんですか?」
「その通りだ!流石紅魔族。
一芸しか能がない様だが頭は回る様だな!」
見るとキョンシー達の間をかき分けて白いずんぐりむっくりのゴキブリの様な二本角にお札を纏った怪人が現れた。
「「ゴキブリ怪人!」」
「違う!こいつの名前はプラズマヅノー!
お前たちを葬る為にこのギルド星人ギルドスが造った頭脳獣だ!」
ゴキブリ怪人、プラズマヅノーの後ろから緑色のリザードマンの様な怪人が現れた。
「今日は朝から随分賑やかですね。
魔王軍には違いない様ですけど怪人を造るとは何者ですか!?」
「俺は銀河の彼方ギルド星からやって来たギルドス!
魔王バスコに雇われて貴様らを始末しにやって来たのだ。」
そう言ってギルドスは月牙型の武器、キババックルを構える。
キョンシー達もアクア、めぐみんの方を向く。
「1人はガス欠、1人は両手が塞がっていて変身さえ出来まい!ここで殺してしまえ!」
ギルドスの号令で飛びかかるキョンシー達。
「させっかよ!」
しかし現れた総一、ジョー、ルカ、リアに阻まれた。
「残りのゴーカイジャー共か!?
貴様らどうやってここが!」
「ここにだけ霧が漂ってたらいやでも分かるっつーの。」
「だとしてもここに2人がいる保証は無かった筈だ!」
「アクアがこの手のトラブルに巻き込まれないとでも?」
それどうゆう意味よ!と喚きながらもアクアはめぐみんを潜伏スキル持ちのルカに預けて、ゴーカイピンクのキーを受け取る。
「じゃあいっちょ行きますか!」
「「「「ゴーカイチェンジ!」」」」
モバイレーツにレンジャーキーをセット。
パワーが解放され4人はスーツに包まれた。
「ゴーカイレッド!」
「ゴーカイブルー…ッ!」
「ゴーカイグリーン!」
「ゴーカイピンク!」
「海賊戦隊!」
「「「「ゴーカイジャー!」」」」
3
「こいつら、強い!」
変身したはいいが、思いの外キョンシー達は強かった。
「『ターンアンデッド』!『ターンアンデッド』!
あーもーなんでこんな数いるのよ!キリがないわ!」
「当然だな!こいつらは魔王軍に殺された恨みから生まれた憎しみのカオスから作ったキョンシー!
魔王軍に死してなお利用される恨みで戦い続けるほど強くなり、この土地の前の神父が悪徳だっただけにいい亡霊も手に入れられた!」
得意げに語るギルドス。
なら可哀想だが無理矢理倒して成仏させるしかない。
「向こうは白だし、こっちも白ってのは?」
「悪くない…。」
ジョーがバックルから転送されて来たキーを取り出す。
俺たちもホワイトレンジャーのキーを取り出す。
「「「「ゴーカイチェンジ!」」」」
<アーーッバレンジャー!>
「ときめきの白眉、アバレキラー!」
俺はアバレキラーに変身してウイングペンタクトでキョンシーを斬る。
<ダーーッイレンジャー!>
「吼新星!キバ!レンジャー!」
ジョーはキバレンジャーに変身して乱れやまびこを発動。
デスメタルの様な爆音でキョンシーを怯ませすれ違い様に斬り伏せて行く。
<ジェーーットマン!>
「ホワイトスワン!スワニーアタック!」
アクアはホワイトスワンに変身するウイングガントレットで殴りかかる。
<ジーーャッカー!>
「ビッグワン!」
リアはビッグワンに変身して得意の槍で敵を薙ぎ払う。
地味に前作と合わせても初めてランサー設定が活かされた瞬間かもしれない。
「ほう、一応は幹部を倒しただけ有るな。
プラズマヅノー!奴らからキョンシーを造るのだ!」
ギルドスの命令を受けたプラズマヅノーは4人に怪光線をはなった。
大しただダメージは受けなかったが、確かに4人に異変が起こる。
4人の体から数枚の紙が飛び出たのだ。
「な、何!?」
「なんだか知らんがそうはさせるかよ!
アバレイザー!ウイングペンタクト!」
遠距離モードの武器両手持ちで自身とジョーから飛び出た紙を撃ち抜く。
しかし距離的に遠かったリアのとあんまりに枚数が多かったアクアのはプラズマヅノーの方に飛んで行き、お札に変わってそこからキョンシーが生まれた!
「プラズマヅノーは生きてる人間のマイナスの気持ちからもキョンシーを造り出せるのだ!」
「まじかよ!」
「不利です撤退しましょう!」
「だな。ゴーカイチェンジ!」
総一とジョーはゴウライジャーに、リアとアクアはシュリケンジャー、ハリケンブルーに変身して撤退した。
「ちっ!逃げられたか。
だがプラズマヅノーを倒さなければ死んでる以上はこれ以上倒せない敵を増やされない為に奴らは必ず現れる。
その時こそ、ゴーカイジャーの最期だ!」
そう言ってギルドスはプラズマヅノーとキョンシー軍団を引き連れて帰って行った。
4
「この手紙、まさか!」
ガレオンに帰投して朝食を済ませた総一は自分から飛び出た紙に書かれた字を見て驚いた。
(どうしてこんな物が…!?
これは高校一年生の時に俺が書いたラブレター。
こんな物見られたら、俺は一生笑い者にされちまう!)
総一は初級火魔法ティンダーで手紙を燃やした。
彼はタバコを吸わないが灰皿は別に後から片付けるでいいだろう。
(問題は、あの時俺はラブレターを2枚に渡って書いちまったって事だ!
絶対に、見つけ出してみせる!
あれは、俺の一世一代の恥…!)
総一は早速リビングに戻った。
「ソーイチ、遅かったわね。
あの身体から出て来た紙はどうしたの?」
「ああ、急にキョンシーになったら困るから燃やした。」
咄嗟に嘘をついたがみんな意外と納得してくれた。
直接戦闘に参加してない和真、ダクネス以外はキョンシーの厄介さを分かっていたからだ。
「取り敢えず対策としてなんだが次プラズマヅノーと戦うのはさっき戦った4人だけにしようと思う。
もう既にキョンシーを作れる要素を抜かれてる俺たちなら敵を増やされる心配はないはずだ。」
本音は1人でも2枚目のラブレターを見られる人員を減らしたいだけなのだが、作戦としても利にかなっていた。
「ですね。けど私今日は隣町の聖歌隊の発表会で時間的に泊まりになっちゃいそうなんです。」
と、リア。確かに幾らか前からそんな事を言っていた。
確かルカもついて行くと言っていた筈だ。
「しっかし魔王軍来ちゃったしなぁ…」
するとダクネスが一歩前に出て
「なら私も行こう。
もしキョンシー?とか言うアンデッドが湧けば遠慮なく囮に捨て置いてくれ。」
「ダクネス良いのか?」
「ああ。それに私はクルセイダーだ。
多少ならプリーストの真似事も出来るしな。」
「わかったダクネス。
うちの会計と妹分を頼んだぜ。」
内心3人も遠ざけれてガッツポーズの総一。
「今日は出歩いてもまたキョンシーに襲撃されるだけだ。
ガレオンの整備と武器の点検!
めぐみんが爆裂魔法を使用可能になったら出発だ!」
5
「カズマカズマ!起きて!起きてよカズマ!」
頭がはっきりしない。
明らかに睡眠不足を感じながら俺、佐藤和真は起き上がった。
「ったくなんだよアクア…もう朝なのか?」
「まあ、朝っちゃ朝ね。今午前2時20分。」
「夜中じゃねーか!」
自分の声で目が覚めちまう。
仕方ない。ようやくはっきりした目で見るとアクアが俺のブリンガーソードとモバイレーツの入ったホルスターを持っていた。
「こんな時間になんだよ?」
「私ね、寝付けなくてお茶でも飲もうかな?
と思って台所に行こうとしたらソウイチが出て行く所を見たのよ。」
「総一さんが?トイレじゃないか?」
「普段着に剣まで持ってたのよ。
トイレとは考えにくいじゃない?」
確かにアクアの言う通りだ。
いくらこの前敵に乗り込まれたからってトイレに行くだけでそんな装備しなくていい筈だ。
「だからカズマ、一緒に来てソウイチの尾行を手伝って欲しいのよ。」
「うーん……ま、そうだな。1人で無茶されても困るし。
レッドを支えるのもブラックレンジャーの務めだしな。」
6
そんな風に
奴らがキョンシーを増やすならここだと思ったからだ。
(………いた!プラズマヅノーにギルドス!
皆の魂を集めてる!)
「ふーむ、もうこの墓地からとれる者は無いか。
プラズマヅノー、撤退だ。」
総一はモバイレーツにゴーカイレッドのキーをセット。
2人が後ろを向いた瞬間に飛び出す!
<ゴーーッカイジャー!>
敵が振り向くより早くゴーカイサーベルにキー差し込み必殺技待機状態にする。
「レッドレイジ!」
総一はゼロ距離でプラズマヅノーに斬撃を浴びせた。
続いてギルドスにも斬りかかる。
だがキババックルで防がれた。
「数で勝てぬと分かって不意打ちの強襲か!
思い切りは買うが惜しかったな!キョンシー共!」
周囲からキョンシーが現れた。
その数は明らかに昼間より増えている。
「ちっ!やるしかないか!ゴーカイチェンジ!」
<ゴーーッレンジャー!>
アカレンジャーに変身してニューレッドビュートを繰り出す。
キョンシーを絡め取ってはぶつけ、絡め取ってはぶつける!
(どれだ?どれが手紙のキョンシーだ?)
探しながらやるが中々見つからない。
その上手傷を負ってるとは言え行動隊長格の怪人に準幹部級の敵まで相手にするのだ。
流石に分が悪い。
「カズマ!最高にベストタイミングみたいよ!」
「よっしゃ来た!『スティール』ッ!」
プラズマヅノーの身体からメリメリと何が剥がれる音がして1つの赤い光が背後から現れた2人の元に飛んで行った。
赤い光、レッドファルコンレンジャーキーを抜き取られたプラズマヅノーは死にかけのゴキブリみたいになってしまった。
「和真!それにアクアまで…」
「ちぃっ!伏兵か!プラズマヅノー!
キョンシーを取り込んで回復しろ!」
プラズマヅノーはキョンシーを取り込み始める。
全てのキョンシーを取り込んだがプラズマヅノーは完全に回復した。
残った札だけが宙を舞う。
「天才を自称する割には悪手ねギルドス!
上級職が1人しかいないとはいえ3対2で勝てるとでも?」
「プラズマヅノーさえ居ればキョンシーなどいくらでも作れる!
貴様らさえ倒せば何も問題ない!」
ギルドスは顔に張り付いたお札を手に取るそれを見るとニィッ、と口を歪めて
「これは、これは。
レッドレンジャーはここで倒せるかもな!」
「何!?」
「どうゆう意味よ!?」
「まさか!そのお札は!」
走り出す総一。
しかしプラズマヅノーの光線に足止めされてしまう。
「見る者全てを痺れさせるその黒い瞳。
甘い匂いの花の唇。ハハハ!ハハハハハ!」
ガクリと膝をつき、頭を抱える総一。
嫌な思い出を振り払う様に何度も首を振る。
「嗚呼、あなたは女神。僕の女神、仙田ルイ様。」
ラブレターを音読するギルドス。
和真とアクア膝どころか両手までついた総一とギルドスを交互に見る、
「あなたの七海総一より、か。
ハッハッハ!熱烈だな。ハッハッハッハッハ!
だがこんな風に出てくるって事は結果はよろしくなかった様だな!」
「ああご明察だよ!入試首席の自分と平均よりやや上程度の俺じゃ釣り合わないって言われて目の前で破かれて排水溝に捨てられたよ!」
ついに戦意も無くなったのか変身まで解除される総一。
よく見ると半泣きになってる。
「うわぁ…それはエグいわね。」
「総一さん…。
いくら入学したてでその仙田ルイがどんな奴か分からなかったとは言え…それは…。」
と、2人は一通り呆れたがけど、と一白置いて
「誰にだって青春の過ちぐらいあるわよ。
私なんか一服盛られて和真に惚れさせられた挙句愛まで奪われて利用されたのよ?」
「俺だって手痛い失恋をした事ぐらいありますよ!
酸いも甘いも通る人は通る道ですよ!」
しばらく思案していた総一だったが立ち上がるとズボンの汚れを払い、
「そうだよな…清濁も美味いも不味いも飲み込んでこその今だよな!」
総一にレッドファルコンのキーが投げ渡される。
3人は並び立ちアクアはブルードルフィン、和真はイエローライオンのキーを構えて
「「「ゴーカイチェンジ!」」」
<<<ラーーッイブマン!>>>
「レッド!ファルコン!」
「イエロー!ライオン!」
「ブルー!ドルフィン!」
「超獣戦隊!」
「「「ライブマン!」」」
(bgm 超獣戦隊ライブマン)
ポーズを決めた3人は先手必勝とばかりに腰に下げた銃を抜く。
「「「トリプルライブラスター!」」」
三つのビームがプラズマヅノーに炸裂した。
「ドルフィン!ライオン!」
「おう!」
「ええ!」
2人は腕を組み、それを足場に総一はプラズマヅノー目掛けて飛んだ。
手にはファルコンセイバーが握られている。
「やらせるか!」
「こっちのセリフだ!ライオンバズーカ!」
「ドルフィンアロー!」
2人の遠距離攻撃がギルドスを阻む。
その隙に必殺のファルコンブレイクがプラズマヅノーを切り裂いた。
「ダメ押し行くぜ!トリプルバズーカだ!」
ライオンバズーカをベースに下部にドルフィンアロー、
上部にファルコンセイバーを取り付け、和真が砲手を務める。
「「「トリプルバズーカ!」」」
発射された光線をモロに喰らいプラズマヅノーは爆散した。
「己海賊どもめ!必ずプラズマヅノーよりも強い怪人を用意して、お前たちを地獄に送ってやる!」
捨て台詞を残してギルドスは去っていった。
「おとといきやがれ!」
ギルドスが去って行った方に叫ぶ総一。
変身解除したその顔はとてもスッキリしていた。
しかし宙に舞う紙を見るうちに段々と険しくなっていき
「なんであのゴキブリ野郎は死んだのに紙の方は消えないんだよ!
どれだ!俺のラブレターはどれだ!」
ガクっ!とずっこける2人。
「いーじゃないの。青春の過ちなんて誰にでも…」
「アクアお前は昼間どんだけ紙が出てったと思ってる!
見られたら女神のイメージガタ落ちだぞ!」
面白いぐらいにアクアの顔が真っ青になって行く。
「カズマー!ボサッとしてないで拾うの手伝って!
このままじゃ私の痴態が知れ渡ったらこの星のアクシズ教団が崩壊しちゃう〜!」
うん、知ってたこんな残念なオチなのは。
なんて思いながら和真は必死に散らばって行く紙をかき集める2人を手伝った。
次ーーッ回!第四話!
ブッチー「ワシはチブチ星人ブッチー!」
和真「妊娠って、俺がぁ!?」
ダクネス「しかも頭脳獣の子供とは…」
アクア「降ろしなさい!」
ベガベビー「お願いママ!私を殺さないで!」
ママ!寄生怪物の叫び
和真「誰が化け物のガキなんて産むかぁーー!!」