悪の帝国魔王軍に敢然と反旗を翻し、
海賊の汚名を誇りとして名乗るゴーカイな奴ら!
その名は!
1
どこかの地下、不気味な機械が並ぶ空間で一人自分を検査する者がいる。
チブチ星人ブッチーだ。
彼は何度も指を引っ込めては伸ばし、やがて意を決したようにキーボードのエンターキーを押した。
「ああ…そんな……。」
画面には無情にも彼が機械人形である証拠がこれ以上なくつらつらと表示されていく。
ガクリと膝を付くブッチー。
「ワシも…ワシもロボットダス。
ギルドスと同じロボットだったのダスよ……!
知らなかったダス……ワシの美しいこのボデーラインの下が、こんなになっていたなんて……!!」
ボロボロと涙を流し始めるブッチーしかしふと思い立ち
「待てよ?それじゃおかしいダス。
だったらワシがチブチ星で生まれ育った記憶は?」
「そんなもの作り物に決まっているだろう?」
ガサガサと不気味な声を上げながらメレの女がブッチーの前に現れる。
そして女はローブの下からリモコンを取り出し、カチカチとダイヤル式のスイッチを押す。
するとブッチーはたちまち意識がもうろうとし、再び膝を付いた。
「こ、これはぁああ……」
「見ての通りキサマはただの人形。
こわすも使うもこちらシダイ。」
もう選択肢はない。言外にそう言われたブッチーは唸り声を上げて立ち上がると怪人制作質の方に向かって行った。
2
「………。」
総一はガレオンの船長用の椅子に座ってずっと虚空を睨んで考え事をしていた。
(ギルドスはロボットだった…。
けどなぜ?なぜわざわざエイリアン設定まで与えてあんな真似させたんだ?
故郷とかがあった方が俺達が手加減する事に期待した?)
色々考えてみるが答えは出そうにない。
ギルドスの残骸も半分は証拠としてギルドに提出してしまったので調べられる部分は少ない。
「ソウイチ?大丈夫か怖い顔して。」
「ああ、ジョー。なんでもない。
ちょっと魔王軍の動向が気になってな。」
「あのワニがゴーレムだったことか?
確かにアイツの死は悲しむべきだが、今はそれよりこの剣の切れ味を…」
「それケンヅノーの剣?何しれっと戦利品で持ち帰ってるんだよ。」
「あまりに良い剣だったので、つい。」
「羨ましいな…おいジョー。
今度同じの見つけたら私に言ってくれ。溶かして鎧にする。」
「二本目にするから嫌だ。
…と言いたいところだがお前のお陰で勝てたからな。
当然いいぞ。」
そう言ってジョーはダクネスと共にクエストに出かけて行った。
「あれ以来すっかりラブラブね。」
「ま、俺とお前ほどじゃないな。」
何言ってのよ、と総一の頭を小突いくルカ。
「で、今日のデートはどうする?」
「そうだな…軽くカエル狩りなんてどうだ?」
「ナンパされても嫉妬しないでね?」
なんて冗談を言い合いながら二人もクエストに出かけて行った。
3
「ベルディアが来たすぐあとはなんかちょっと暗い感じありましたけど、
街もだいぶ元気になってきましたね。」
「時々俺らを見てビビって逃げてく人も居るけどな。」
「特に酒屋さんとか、飲み屋街の人とか、ね。」
一日一爆裂を終えた和真、アクア、めぐみんの三人はアクセルの街を歩いていた。
半分は借金で持っていかれてしまったが、昨日レンジャーキーをくれたダンジョン奥に居たアンデッドに貰ったお宝が結構な額になったのでそこそこ余裕が有るのだ。
「で、今日はどうする?
めぐみん動けないし、ダクネス達と合流したいとこだけど…」
「多分ソウイチ達と一緒にクエストに行っちゃってるでしょうしね。」
「となるとそうそう難しいクエストは受けれないわね。
魔王関連以外でレンジャーキー使うとソウイチがうるさいし、どうする?」
なんて話していると三人の行く手を塞ぐように
「それは良い事を聞いたダス!」
ゴーミンを引き連れたブッチーが現れた。
「げ!お前は!」
「最悪のタイミングで現れてくれたわね!」
「ワシには、ワシにはもう後が無いんダス!
お前達には死んでもらうダス!ブッチーパーンチ!」
ブッチーは一時的に巨大化させた腕を三人に振るう。
もろに受けてしまった三人は積まれていたダンボールを派手に倒しながら吹っ飛ばされた。
それをみて道行く人々は悲鳴を上げて逃げ出し、居合わせた冒険者はゴーミンに向かって行く。
「あ、カズマさんたち!大丈夫ですか!?」
「あなたは!霊園で会った駆け出しプリーストの子!」
「ちょっとめぐみんえを頼む!早く逃げて!」
「は、はい!」
プリーストの子にめぐみんを任せて二人はレンジャーキーとモバイレーツを構える。
「「ゴーカイチェンジ!」」
<<ゴーーッカイジャー!>>
変身して武器を交換。
アクアは二刀流で、和真は二丁流でブッチーに挑む!
「たった二人の戦隊なんぞ恐れるに足らんダス!
目ん玉リボルバー!」
直線状に他の冒険者も居る中、容赦なくビーム技を使うブッチー。
避ける訳にはいかず身構える二人だが、いつまで経ってもビームは来ない。
「な、何故ダス!?何故撃てないダスか!?」
「?……チャンス!」
「……! 待てアクア!」
和真が何かに気付いて制止しようとしたが、止まらずアクアはサーベルを投げつけ
「ブルーレンジャーゴットブロー!」
そのまま渾身の右ストレートを叩き込んだ!
「うぎゃああああ!」
殴り飛ばされたブッチーはの矢撃ちまわって苦しみ始める。
すると体中から火花が上がり、破けた人造皮膚の中から配線チューブが飛び出てきた。
「あいつもなのか!?」
「ならさっさと廃品屋送りにしてやるわ!」
そう言って勇んで駆けだそうとするアクアを止める和真。
「何よカズマ!アイツを倒さないと!」
「よく見ろ!あいつの目、泣いてる。」
よく見るとブッチーの目はオイルと涙でぐちゃぐちゃだった。
どうやらそれが原因で目ん玉リボルバーが打てなかったらしい。
「こんなところで終わらせるかダス!
破れかぶれの恐ろしさ!見せてやダス!」
そう言ってブッチーはスゴーミンを呼び出すと逃げ出した。
背後に戦闘音を聞きながら走って走って走り続ける。
「はぁ……はぁ……ここまでくれば……」
疲れ果てたブッチーは座り込んで息を整える。
(もう、失敗は許されないダス。何としてでもあれを悟らせないように…)
そう考える一歩でここはどこか分からなくなってしまったブッチーは耳を澄まして情報を集める。
かすかに、かすかにだが子供の声が聞こえてくる。
「これは、歌?」
ばれないように注意しながら覗いてみると、子供たちと何人かの若い冒険者たちが輪になって歌っている。
「水を引くんだウンガ!」
「お米作ろうタンボ!」
「石をぶつけてファイヤー!」
「ごはんできたらバンザイ!」
「流れ星だぞハーレー!」
(ああ、皆笑顔で、楽しそうダス…)
ブッチーは再び泣き出した。
それは自由で未来もある子供たちへの嫉妬か、ただ単純に信じていたもの全部を壊された事実を突きつけられての絶望だろうか?
それは本人にもわからない。
「ん?」
「ベスちゃんどうしたの?」
「誰か、泣いてる。」
茂みをどかされブッチーは見つかってしまった。
しかも
「な!?魔王軍!」
「お、お前は女のほうのグリーンレンジャー!?」
リアは仲間に頼んで子供たちを下がらせるとモバイレーツを取り出す。
「よくこんなところに……あなた、その傷…」
「絶対に、絶対に終わらないダス!
ワシは、まだ死にたくない!死にたくないんダス!」
そう言って走り出したブッチーにリアはモバイレーツをしまうと神器を取り出すと、キーボードに指を添えて、メロディーを奏でる。
「地球がまーるく青い事を♪誰だって知ってるけど♪
ずっと昔はわからなかった~♪」
「な、なにを?」
驚くブッチー。
子供たちも始めぽかんとしていたがリアに続いて歌い始めて
「もっともっと!」
「冒険してラッパピーヤ!」
「探検してパッパルーラ!」
「きっと見つかる素敵な世界~!」
「「「ジャンボ~!」」」
「な、なにを?」
「あなたのことはよくわからないけど、悲しいことがあったら歌いましょう?
そんな風に泣いてるのはもったいないですよ?」
ブッチーは差し出されたリアの手に吸い寄せられるように手を伸ばす。
しかし
「ぐ!ああ、ああああああーーーーーー!」
体からさらに火花が噴き出て倒れこんだ。
「ブッチー!?」
「まったく。レンジャーにほだされかけるとは。
やはり役に立たないゴミは早めに始末しておくべきだったか。」
そう言ってブッチーの背後から現れたメレの女がボタンのスイッチを目いっぱいひねる。
ブッチーの体が内側からマグマのような色に輝きだした。
「まさか…ブッチー!」
ブッチーはすかさずその場を飛びのき
「リアさん!散々な人生だったけど、あなたに会えてよかったダス!」
そう言って爆散してしまった。
「ブッチィイイイ!……嘘。」
「はっ!マケイヌの遠ぼえね!しょせん人形だったということかしら?」
そう言ってあざ笑うメレにリアは
「黙れよ阿婆擦れ。」
「……はぁ?」
「はぁ!?ですって!こっちのセリフよ!
その悪趣味なローブ剝ぎ散らかして!
その不細工なにやけずら苦痛にゆがめてやる!」
そう言ってリアは改めてモバイレーツを取り出す!
「お前の相手はこいつよ!」
そう言ってメレが指を鳴らすと、リアの背後に一体の怪人がテレポートしてくる。
「頭脳獣デンソーヅノー!」
気味の悪いカエルに機械をくっつけて人型にしたような外観の怪人、デンソーヅノーは変身してないリアに容赦なく殴りかかろうとする。
「させっか!」
「邪魔よ!」
なんとかスゴーミンを倒して追いついた和真とアクアに妨害される。
「リア大丈夫か!?」
「ええ!それより行きましょう!いま私、すごく怒ってます!」
「お、おい!」
リアは生身のまま駆け出し、神器を奏で、デンソーヅノーを包むようにバリアを発生させる。
「ええーい小癪な!」
デンソーヅノーはすぐにバリアを破るが、その隙さえあれば十分だった。
<ファ~イナルウェイィーッブ!>
アクアの斬撃がさく裂し、大きく切り傷が入ったところにリアがすかさず槍をねじ込む!
「がぁああああ!おのれぇええ!」
「和真さん!」
「ああ!『
デンソーヅノーの体の中から一本のレンジャーキーが飛び出す。
ブラックバイソン、最後のライブマンのレンジャーキー!
「行くぞ!」
「「「ゴーカイチェンジ!」」」
<<<ラーーッイブマン!>>>
「ブラックバイソン!」
「ブルードルフィン!」
「グリーンサイ!」
「超獣戦隊!」
「「「ライブマン!」」」
三人はすかさずヘルメットのシグナルを発して最高の火力を持つ武器を呼び出した!
バイモーションバスター。
ライブマンの代名詞の一つにして、砲身に組み込まれたピストン装置で倍加したエネルギーを打ち込む必殺武器だ!
「「「バイモーションバスター!」」」
放たれた虹色の光がデンソーヅノーを貫く!
「ま、魔王軍に栄光あれぇえええ!」
敬礼をしてデンソーヅノーは爆散した。
「終わったか?」
「いえ、まだです。」
グリーンサイ、リアがきつい口調で言い切った。
「これ見よがしにブッチーを暴れさせて、今まで取っておいたテレポートなんて便利な能力を持ってるデンソーヅノーも使い切る。
なんだか、まるで…」
「囮みたい?」
妙な胸騒ぎを感じた三人はほかの冒険者たちに子供たちを任せると、ギルドに急いだ。
次ーーッ回!第九話!
総一「機動要塞デストロイヤー!?」
アクア「逃げるしかないわよ!」
和真「作戦はある。」
ダクネス「踏ん張れぇええええ!」
逆襲のスーパーライブロボ!
総一「ゴーカイオーは不死身だ!」