完全に自己満足ですが、供養のため投稿しました。
暇つぶしにでもどうぞ。
所謂転生というやつでイースⅧに描かれる舞台の一つ。エタニア王国が栄えた時代に生まれた俺。
ここがどんな世界なのかわかった時は時は絶望しました。
だって、この時代で人は滅ぶんだもん。そんな感じで死んだ目をしながら過ごすこと数年。
近所の子供たちと遊び始めたころ俺はその少女に出会う。
陽の光にきらめく青色の髪、透き通った水色の瞳、可愛らしさと精悍さが同居した顔立ち。
見間違えるはずもない。幾度となく繰り返し見てきた物語、彼女の生きざまに胸を打たれ、涙を流した。彼女を何とか救う方法はないのか。あの物語をみた人なら考えたことがあるはずだ。
イースⅧにおける主人公アドル・クリスティンと並ぶもう一人の主役。
その少女の名前は、ダーナ。
その日は呆然と過ごして両親に心配されてしまった。
こんなご都合主義なことがある?狙ったかのように物語の主役と同じ時代、同じ場所に生まれるなんて。そして考える。彼女がいるとわかった、それで俺はどうしたいんだ?
彼女に訪れる未来を変えたい。自然とその思いが湧き上がる。
心に小さな、けれども確かな灯がともる。
”ラクリモサ”と呼ばれるものがある。イースⅧにおける最大のネタばれ要素。
涙の日とも呼ばれるそれは生命の選択と淘汰を行う現象で、種に進化を促すためにはじまりの大樹によってもたらされるもの。選択と淘汰のサイクルによって世界のバランスが保たれる。
はじまりの大樹に選ばれなかった種は例外なく滅びる。選ばれた種は加護を得る。
抗う術は存在しない。そんな理不尽極まりない現象だ。
さらにたちの悪い事がが二点ある。
一点目。その滅ぶ種の中で”最も強い輝きを放つ魂”持ち主一人だけが”進化の守り人”として選ばれ、不老不死の存在となり未来永劫繰り返されるラクリモサを見届けなければならない。
二点目。ラクリモサをもたらすはじまりの大樹を作ったのが大地神マイア。
そしてこの世界で起こるすべてのことが大地神マイアの見ている夢だということ。
ラクリモサを止めた場合大地神マイアが眠りから覚めるため、何が起こるか。
この世界全てが寝ているときに見ている夢→起きる→世界が滅ぶ。
種が滅びないようにラクリモサを阻止すると世界が滅びます。
とんだ罠である。まさに、どうあがいても絶望なのである。
イースⅧにおいてダーナはラクリモサによる人の滅びを阻止することに成功するが、結果、大地神マイアによって眷属、ラクリモサを司る女神にされてしまい、自身がラクリモサを起こす立場になってしまうという個人的にかなり救いのない終わりになっている。
あのエンディングは俺に凄まじい虚無感をもたらした。
ダーナ、オルガ、サライの尊い友情をもっと見ていたかった。
ダーナとラステル、初々しい二人をもっと見ていたかった。
ダーナとアドル、あの二人の尊い関係をもっと見ていたかった。
俺には知識がある。誰も知らない物語を知っている。
そして、この世界の無茶苦茶っぷりも知っている。
ならば、ダーナに訪れるあの結末を変えることのできる可能性はある。
その方法は、俺がダーナの代わりに眷属なり、世界を見守る存在になること。
名付けて【後方腕組みおじさん】化計画。
見ていろ大地神マイア。この世界を精一杯生き抜いてやる。笑って生きてやる。
推しのために、好きな人のために命を懸けられるオタクの底力を見せてやる。
覚悟を決めてから驚くほど心が軽くなった。
悔いのないように生きようと、ダーナや他の子どもたちとも積極的に関わった。
視たくなくても視えてしまう予知に塞ぎ込んでいるダーナを見かねて、他の子供たちとダーナ家に突撃。一緒に遊びまわった。優しい彼女はすぐに皆の人気者になり徐々にだがダーナに笑顔も増えてきた。そうそう、やっぱり笑顔でないとね(隙あらば後方腕組みおじさん)
ちなみに鬼ごっこやかくれんぼ、外での遊びは彼女の無双状態でした。
逃げる場所、隠れる場所を予知してくるのはホントにチートだわ。身体能力も高すぎぃ。
それで申し訳なさそうにして謝ってくる彼女に笑いながら、次は勝つ!と挑み続けて結果惨敗。
皆で笑いながら遊び倒した。
ダーナの幼少期、彼女の精神性を決定づけてしまう出来事がある。火事で母親を失ってしまうのだ。母親から予知能力を封じる指輪をもらいそれによって普通の生活を送るようになったダーナ。
しかし母を失ったことでこう思う。私が予知していればお母さんは助けられたんじゃないかと。
そして、予知によって救えるのなら手の届く範囲でも助けようと。それから彼女は超人的な精神力でその道を進み始める。
この世界でもダーナはその指輪をはめている。皆で遊び始めて数年後、彼女はその指輪をはめた。
お母さんからもらったのと嬉しそうに話し、以前よりも活発になって笑顔も増えた。
……守護らねば、この笑顔(隙あらば後方腕組みおじさん)
鬱なんて誰得なので、ダーナ母は死にません。死なせません。
なので、燃え盛る家にダイナミックエントリー!!
ダーナ母発見!!確保!!
脱出!!
ね、簡単でしょ?
ダーナ母は火傷こそ負いましたが命に別状はないとの事。
いやー良かった良かった。本当に、鬱なんて誰得だからね。助けられてよかった。
俺は両手両足に大火傷を負いましたが生きているので問題なし。
理力とかいう不思議な力がある世界だからね。その使い手さんにダーナ母と共に治療してもらった。
両親には酷く心配され、こっぴどく叱られ、最後によくやったと言われた。まあ、これはわかるよ?
けどダーナ、なんで君がそんなに泣くの?
ごめんなさい。私が指輪をつけていなければ予知で防げたかもしれないのに。だって?
違うよ。ありがとう。それだけでいいんだ。俺もダーナ母も生きてる、それで十分じゃないか。
伝えると驚いた顔をして、そして、ありがとう。と笑って言ってくれた。
うんうん、やっぱり笑顔が一番だ。
この世界でもダーナは、私の力で救える人がいるなら助けたいと大樹の寺院に迎えの人たちと旅だった。俺もそれに合わせて世界を回る旅に出る。ラクリモサを阻止するには戦闘力も必要になるからだ。
両親は心配しながらも笑顔で送りだしてくれた。いつでも帰ってこいと。
幼い頃は世界に絶望し無気力だった。覚悟を決めてからも心配をかけた。
それでも愛情をもって見守ってくれた。涙が零れそうになるがこらえ、笑って旅立つ。
それからは東西南北どこにでも行った。平和な国にも、争っている国にも。
全力で旅をした。何度も死にかけたし、何度も理不尽な出来事があった。
けれども折れることはなかった。もっと理不尽なことを知っているから。
各地の人たちと一緒に笑って、ご飯を食べて、戦いもあり、そして失ったり。
精霊たちにも出会った。様々な理法具も集まった。そうやって様々な縁を繋ぎながら、俺は自らを高め続けた。
王都や寺院にも何度か足を運んだ。栄華を極めているだけあって、凄まじい都市だった。
訪れるたびに寺院を抜け出したダーナがいて、お互いの出来事を話した。
そんなに頻繁に抜け出しているのか聞いたことがある。すると俺が王都や寺院に来るのが”視えた”そうだ。だから会いに来たんだ。とニコニコしながらそう言われた。
死ぬかと思いました。恥ずかしいからそういうことを言うのはやめなさいと伝えてもクスクスと可愛らしく笑うばかり。俺を殺す気かな?
オルガや、サライともこの頃に知り合った。お転婆姫のこんな姿は初めて見るとそう言って驚いていた。
そのような出来事を挟みながら、各地を旅すること数年。遂にダーナが大樹の巫女となったようだ。俺はその話を旅先で耳にする。
お祝いには行っておこうと寺院に立ち寄りプレゼントを渡す。
幸い、ダーナは喜んでくれた。そして、これまでのようにお互いの出来事を話す。
すると彼女は俺が今いろんな所で”聖者の再来”と言われていることを教えてくれた。違うよ。
俺は聖者なんかじゃない。ただ、好きな女の子の未来を変えたいと必死に、がむしゃらに生きているだけなんだ。そんなに嬉しそうに、幸せそうに話さないでほしい。
君達と同じ時代を一緒に歩いていきたいと、そう思ってしまうから。
「私やオルガちゃん、サライちゃんに君。皆がいればどんな事でも乗り越えられるよ。」
そう言った彼女の顔を俺は見ることができなかった。見たら覚悟が消えてしまうとわかったから。
とても穏やかな時間。はじまりの大樹は憎らしいほど悠然と俺たちの前にあった。
ダーナが大樹の巫女になってから暫く、竜種の様子がおかしい、そんな話が出始めた。
いよいよだ。近々、王都に流星が落ちてくる。俺はその混乱に乗じて寺院に忍び込む。
とある場所に繋がるのがはじまりの大樹の根本。しかし、はじまりの大樹の根本には大樹の巫女しか立ち入ることができない。この決まりのせいでギリギリまで動くことができなかった。
機会は一度きり。やってやる。
ラクリモサを阻止するための第一関門。王家の谷へと入りセレンの園へ行く。
詳細は省くが、ここに存在する想念の木がラクリモサを止める力の一つだ。
王家の者しか入れないし知らない場所だが、俺は知っている。
なので、転移で余裕でした。何度も作中で目にしたんだ。忘れるわけがない。
すると現れる進化の守り人たち。
何者か、だって?
どうも、好きな女の子の未来を変えたいだけの男です。だから手を貸して。
無駄?滅びはさけられない?世界のために必要なこと?
ハァ。ならなんでこんなものが残ってるんですかねえ。未練たらたらなのが丸わかりなんだよなあ。
あなたたちの誰かが守り人になった時点で破壊すれば良かったじゃん。
ん、怒った?怒ってない?ごめんね、俺も熱くなった。
とりあえず、挑戦させてよ。失敗したら馬鹿にしていいから。
俺にとって、世界よりダーナが大切なんだ。
え、協力してくれる?ありがとう!恩に着るよ。
大丈夫、やり方は”知って”いるから。
実は俺のことを見ていた?野郎を見ていたって面白くもなんともなかっただろうに。
まあ、暇つぶしになったのなら頑張ってきたかいがあったよ。
その時が来たら、呼ぶよ。
……なに?ウーラ。いやサライさん。ダーナは悲しむぞ、って?
わかってるよ。彼女が慕ってくれていることぐらい。悲しませてしまうだろうね。
だけど俺は、ダーナに生きていてほしいんだよ。世界のためじゃなく、自分自身のための人生を歩んでほしいんだ。彼女を守り人に、進化の女神になんかさせてたまるか。
”視えて”いるのかだって?俺は、”知って”いるんだよ。
第一関門は突破かな、彼らの協力なくしてラクリモサを止めることはできない。
彼らは、はじまりの大樹から繋がっている”見届けの丘”と呼ばれる場所への道を開いてくれる。
おおよそ、その場所がラクリモサの中心部と言っていい。
なのでその場所に行けなければどうしようもないのだ。彼らが協力してくれて、良かった。
あの日以来、ダーナには会っていない。
これでいい。未練は、無い。
王都の空に理力の障壁が張られる。そして、星が落ちてくる。ラクリモサの始まりだ。
走り出す。無事に大樹の根本まで来ることができた。
守り人の皆さん、お願いします。目の前に現れる転移陣。いざ出陣!!
やっぱり”知って”いるっていうのはチートだわ。
これまで培ってきた力と経験を以って見届けの丘に存在するそれぞれの”道”を突破。
囚われていた想念を開放する。解放された想念によってセレンの園にある想念の木がラクリモサを阻止できる程の力を宿す。一度セレンの園へと転移し、作中のアドルと同じくその力を武器に宿す。これで最後の準備は整った。
眼前には作中のラスボスである《テオス・デ・エンドログラム》。
感慨深いな。今まで本当に長かった、ような気もするし。あっという間だった気もする。
とにかく無我夢中で生きてきた。行くぞ、最後の戦いだ。
後ろから聞こえる俺を呼ぶ声。
まさかと思い振り返れば、此方に走ってくるダーナとオルガさん。
ちょっと待って、なんでなんで二人ががここにいるの!!!
「君一人に背負わせたりしない。それに言ったよね、私たちならどんな事でも乗り越えられるって。」
「同感だ。しかしまったく、お転婆が二人もいると気が休まる暇もない。」
うわあああ!!!こうならないように今まで頑張ってきたのに!いや、まだだ、まだ終わらんよ!!ここを乗り切れば俺の願いは叶うんだから!
顛末を語ろう。俺は眷属化による《後方腕組みおじさん》に……なれませんでした!!
ならば、ダーナが原作どうりになったかといわれるとそうでもない。
理力と想念、相反する力をもって世界を救ったダーナ。原作において彼女一人によって行われたそれ。
しかしこの世界ではダーナ、オルガさん、俺の三人で行った結果、負担が分散されたようで三人とも人としての存在を失うことなく生存できたようだ。
教えてくれたのは大地神マイア。戦いが終わって滅びを止められたか止められなかったのか分からず呆然とする俺たちの前に、彼女は現れた。
彼女によるとこの世界は元の世界からは分かれた世界になったそうだ。
彼女の手には原作にはなかった本のような物があった。
今後はそれに俺たちの世界が紡がれていくと。
ラクリモサはどうなる、またいずれ起こるのかと尋ねる。
曰く、もうこの世界にはラクリモサを司るものはなく、はじまりの大樹も力を失った。
さらに彼女の力も干渉できないため起こることは無い、と言われた。
ラクリモサが起こらないため、この世界が、彼女にとっては物語が《続く》のも《終わる》のもこの世界の種に委ねられました、とも。
「あなたたちがこれから、どのような物語を紡いでいくのか楽しみです。」
そう言って、大地神マイアは姿を消した。
守り人たちも役目から解放された。
不老不死からも解放されたようで、この世界で生きていく為にまずは見た目を変えなければなりませんね。それにしても本当に成し遂げるとは。とヒドゥラ。
突き抜けた馬鹿を見るのは楽しいもんだ。今度、一緒に竜種でも狩りに行くぞ。とミノス。
主の生き方は不合理で不器用であったが、なかなかに面白いものであったわ。とネストール。
ウーラことサライさんは、ダーナにオルガさん、二人に抱きしめられていた。
三人とも涙を流しながら、けれど笑って喜びあっている。
やりきったという実感があふれてくる。この光景を見るために生きてきた。
うんうん、やっぱり彼女たちは笑顔が一番。これからももっと友情を深めていくんやで(隙あらばry)
眷属化による後方腕組みおじさんにはなれなかったが、故郷に帰って皆の風の噂を聞きながら頷く後方腕組みおじさんにはなれるじゃん、と気づく。
そうと決まればお邪魔虫は退散しようと帰ろうとしたら、ダーナ達に囲まれる。
どこに行くの、って?いや、もう俺のやることは無いから故郷に帰って静かに暮らそうかなって。
うーん、それは認められないかな、いやダーナさん。なんでそんなにニコニコしながらそんなこと言うんです?それにがっちりと腕をつかまなくても。
失礼ですがあなたのセレンの園での言葉、ダーナさんにお伝えしましたの。
サライさん、あんたって人はぁ!うわあああ!!!死ぬ!恥ずかしくて死ぬ!
今、王都では混乱が生じているはずだ。それを最小限に抑えるためにはダーナにサライ、そして”聖者の再来”と呼ばれるあなたが必要だ。
オルガさん、その二つ名止めて!俺は普通に旅をしていただけなの!
混乱する俺の腕が引っ張られる。目の前にダーナの顔、そして、唇に柔らかな感触。
「私もね、君のことが好き。」
「私はね、ずっと君に助けられてきたんだ。
幼い頃、予知の力を嫌っていた私に向き合うきっかけをくれたのは君だよ?
お母さんを助けてくれたのも、巫女になるための修行中励ましてくれたのも、
大樹の巫女になった後も世界にはたくさんの未知があるって教えてくれたのも
ほら、ちょっと思い出すだけでもこんなにある。」
「だからね、今度は私が返す番だよ。」
顔を赤くしながら、それでもしかっりと見つめてくる彼女。
好きな女の子にここまで言われて、返さないなんて男じゃないよなあ。
今度は俺が彼女を引き寄せ、抱きしめる。
「俺も、ダーナが好きだ。」
「君の優しさが、その在り方が、俺に生きる希望と勇気をくれた。
逆だよ。助けられたのは俺だ。」
「これからも、君と共に生きていきたい。」
抱きしめ返してくるダーナ。あー、こんな幸せなことがあっていいのだろうか。
なら、この幸せが続くようこれからも全力で、笑って生きていこう。