ですな!
戦いは終盤に近づいていた。
数々の戦士たちが、死んでいく中、俺は最後の補給になるだろうと思いながら、推進剤やビーム・ライフル等のエネルギーを補給していた。
「推進剤は満タンにしといた!バルカンとライフルは、大事に使ってくれよ!」
「了解です。アストナージさん」
再出撃する。
アクシズは、地球に依然向かっている。
現在、【ラー・カイラム】はアクシズに取り付き、破砕作業を開始している。
それまでは、【ラー・カイラム】を守るのがモビルスーツ隊の役目だ。
だが、俺はそれとは関係なく、敵の戦力をとにかく削っている。
そのぶん、エネルギーや推進剤の消費が激しく、BWSももう在庫にはない。
「くそ!あっちにサイコミュ持ちのモビルアーマーが居やがる!」
「マジか!」
通信からは、【α・アジール】の情報が伝わっている。
そして、ニュータイプの感応もクェス・パラヤという存在を示している。
「クガヤ、行きます」
カタパルトは使わず、そのままジャンプで出撃する。
とりあえず、【α・アジール】のいるだろう場所へ向かうか。
【ギラ・ドーガ】が、行く手を阻んでくるが、即座にビーム・ライフルで撃ち落とされる。
バルカンでも撃墜できるほど、紙装甲になっている【ギラ・ドーガ】は、正直言ってザコい。
とはいえ、性能は高いので侮ることはしない。
隣にいた【ジェガン】が、虚空からのビームに貫かれ爆散する。
「来たか!」
こちらにも攻撃してくるが、こちらも相手と同じニュータイプなので、動きが読める。
「一つ!二つ!」
残り少ないバルカンで、ファンネルを撃ち落とす。
「三つ!四つ!」
バルカンの弾が尽き、今度はビーム・ライフルで。
「五つ!六つ!七つ!」
落とせないことに苛立ったのだろう。
本体の【α・アジール】が姿を現す。
「なによ、コイツ!墜ちなさいよ!」
メガ粒子砲を撃ってくる。
「そう簡単にあたってやるわけには、いかないのでね!」
ビームは外れ、俺はビーム・ライフルで頭部を撃ち抜く。
「きゃあっ!?」
爆発し、機体のバランスが崩れる。
「無力化させる!」
ビーム・サーベルを抜き、まずは右の肩のアーマーを切り裂く。
そして、左肩も同じように切り裂き、今度はファンネルを切り、落としていく。
「なによ、コイツ…!アタシをなめてんの!?」
どうやら、お怒りになったらしい。
残っているファンネルで攻撃してくる。
「クェス!止めろ!僕だよ!ハサウェイだ!!」
「なっ!やめろ、ハサウェイ!撃ち落とされるぞ!」
【ジェガン】のコクピットを開き、クェスに呼び掛けるハサウェイ。
さすがに無茶すぎる!
ハサウェイを止めるために、【ジェガン】に近づく。
「黙れ!黙れ黙れ黙れ!アタシの邪魔をするなぁー!」
「うぅっ!?」
「な、なんだ!?」
ニュータイプの能力による、精神攻撃。
それを見た、いや感じた俺はあの光景を脳裏に思い浮かばせる。
「や、止めろぉぉーーー!!」
あの感覚をくらいたくない。もう二度とあんなのを経験したくない。
そんな感情に流された俺は、反射的に腰部のグレネードランチャーを撃った。
撃ってしまった、そう感じるのに時間はかからなかった。
「しまっ…!避けろ!」
ショックから立ち直った俺は、すぐにハサウェイたちに回避するよう言う。
だが、あちら側にも唐突すぎたのだろう。
史実通りになった。
「どきなさい!ハサウェイ!…ああっ!?」
「クェス!?クェーース!?」
ハサウェイは目の前の光景に、クェスの名前を叫んだ。
だが、爆発四散する【α・アジール】にいるだろうクェス・パラヤは答えることはない。
「アンタが…!アンタがクェスを!!」
「や、止めろ!俺だって撃ちたくなかった!」
「うるさい!うるさい!そんなんだから、大人は!!」
【ジェガン】のビーム・ライフルで俺を攻撃するハサウェイ。
怒りにのまれ、俺に対して殺意を向ける。
「ウワァァァァーーーッ!!」
「落ち着け!!」
ハサウェイの【ジェガン】の後ろに回り込み、抑え込む。
ハサウェイ機は、離せと言わんばかりにバルカンをあらぬ方向へ乱射する。
「はなせぇっ!」
「落ち着いたら離してやる!だから落ち着け!」
抵抗できないことをようやく悟ったハサウェイは、泣き始める。
「なぜ…なぜクェスを殺した!?」
その問いに、俺は答える。
「クェスの…あの子の光にビビったんだ。以前、それで苦しい思いをして、精神崩壊してな…」
「そんなんで…!そんなんでクェスは!?」
しばしの沈黙が二人の間に入る。
「お前は【ギラ・ドーガ】を何機落とした?」
「いきなり何を…!」
「聞いているんだ!何機落とした!?」
「…五機以上だったはず…」
スラスターを吹かし、【ラー・カイラム】の帰艦ルートへ向かう。
「俺は十機以上落とした。そして、あの子は俺と同じくらい落とした。俺もお前も、あの子も、殺した。人をな」
「…っ!」
「いいか?ここは戦場だ。殺したくないなら、その実力を持て。持てないのなら…そんなことを言うな。確かに俺が、君にとって大事な子を殺した。だが、戦場はそんなもんさ。当たり前の光景だ。俺だって助けられたら、戦場から抜けさせれたらどれだけ良かったか…」
しばらく、ハサウェイと俺は話し合った。
その内容は、俺としてはあまり言いたくない。
俺とて、本来手にかけなかっただろう人間を殺したショックと、あの攻撃の光をフラッシュバックのように思いだし、気持ちが悪くなる。
俺は、それを忘れるかのように戦いの中に飛び込んでいった。
そして、アクシズショック。
アムロ・レイのνガンダムを中心とした虹色の光が、分裂したアクシズを包み込み、地球から引き離す。
そして、戦闘の最中、アムロ・レイとシャア・アズナブルは行方不明になった。
そして、俺はこの戦いでブライトさんに許可をえて、長期休暇させてもらった。
俺の元々の所属部隊【ヘルファイヤ】は、解散され、それぞれの新しい道や勤務先へと別れていった。
クガヤ君へ
君にこれを渡しておこう。きっと何かの役に立つはずだ。
A・R