実力至上主義の学校で平穏を求めてみる   作:さっきのピラニア

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駄文ですがお楽しみください。


不良少年、再び

学校生活2日目。今日は中々いい天気だ。良いことありそうな気がする。

身支度を済まして家を出て教室に向かう。

 

「あ!お前!」

 

「げ。」

 

廊下に先日の不良少年がいた。そりゃあ同じ学年っぽかったし会うよね。何て日だ!

 

「おう、昨日俺から逃げた奴じゃねぇか。バスケ部の俺から逃げ切ったその足は認めるが、今日は逃がさねぇぞ。一発殴らせろ。」

 

「お断りしますぅ。痛いのは勘弁ですぅ。」

 

「お前の話を聞くつもりは無いんだよ!」

 

そう言って不良少年は俺に拳を放つ。

俺は咄嗟に前羽の構えを取る。運動能力が高い人間は武道をおさめた人間をフィジカルで負かすことができるが、彼はまだ高校生。そこまで身体能力の開きはないだろう。…武道の心得はないんだろう。確かに速いが…ただそれだけだ。

彼の拳を避ける、受け流す。蹴りも飛んできたが、後ろに飛んで避ける。周りから悲鳴が聞こえる…あまり目立ちたくはないんだけどなぁ…

 

「ねぇ!須藤くん止めなよ!彼が困ってるでしょ!」

 

一人の少女が間に入ってくる。おそらく同じクラスなんだろう。助かった。

 

「ごめんね。ケガはない?」

 

「大丈夫。止めには入ってくれて助かったよ。ありがとう。」

 

「どういたしまして。私はD組の櫛田桔梗って言います。あなたの名前は?」

 

「俺はB組の赤羽 巧だ。」

 

「赤羽くんだね。こんな出会い方なのは申し訳ないけど、これからもよろしくね。私、皆と仲良くなりたいんだ。」

 

「こちらこそよろしく頼む。あと彼には今後俺を襲わないように言ってもらえると助かる。面倒ごとは勘弁だからさ。」

 

「うん分かった。…須藤くんには私からちゃんと言っておくから。」

 

「さっきから二人で無視してんじゃねぇよ!」

 

「須藤くんも気が済んだでしょ、教室に行こうよ。…じゃあね赤羽くん。またお話しようね。」

 

「…おう。」

 

彼がまた食ってかかろうとしてきたが彼女が止めて教室に戻ってくれた。助かった。

彼の攻撃受け続けても問題は全くなかったが、倒してしまうのも大事になってしまう。もうすでに注目されてしまったから後の祭り感が否めないけど。俺は平穏で平凡な日常が欲しいのだ。

 

「ねぇ、さっき喧嘩になりかけてたけど大丈夫だった!?」

 

教室に入ると、一ノ瀬帆波が話しかけてきた。どうもさっきのいざこざを見られていたらしい。

 

「大丈夫大丈夫。見ての通り怪我してないでしょ。怪我しなければ万事オッケーよ。」

 

「でも喧嘩はいけないと思うな。」

 

「あっちから仕掛けてきたからなぁ。こっちは殴ってないから問題ないでしょ。監視カメラで証拠残ってるはずだし。」

 

「え?監視カメラなんてあったの?」

 

「そこら中にあるよ。分かりづらくしてあるけどこの教室にもあるしね。」

 

俺は黒板の上の方を指さす。よーく見ると小さいがカメラが仕込んである。

 

「ホントだ、良く気がついたね。」

 

「視線には敏感だからね。」

 

「フフッ何それ。もう一回言うけどもう喧嘩はしないようにね。」

 

「善処します。」

 

「もう、そこは絶対って言うとこでしょ。」

 

そこで授業の予鈴が鳴る。彼女のお説教も終了だ。うーん、疲れる。

 

「あ、チャイムなっちゃった。じゃ、またね。」

 

そう言って彼女は席に戻っていった。

 

 

ーー放課後

 

 

「みんな注目〜!じゃぁ昨日話していた委員を決めていこうと思います。」

 

黒板に委員が書き出され、各々担当が決まっていく。俺は学級委員以外ならなんでも良い。面倒いやつじゃなければ。

で、結局俺は保健委員ということになった。さっき喧嘩紛いの事したのに怪我の治療するのはお笑い種だ。自分の治療しろってか。

 

学級委員は最後まで揉めた。一之瀬ともう1人の生徒で多数決を取ることになり、一之瀬に決まった。俺?一之瀬に投票したよ。もう1人の事全然知らないから、そりゃ知ってるほう選ぶだわさ。

 

委員決めも終わったので帰り支度をする。何だかんだで、クラスの人とはあまり話せていない。そりゃ入学2日目から喧嘩したらそりゃ距離取られるよね。俺殴ってないけど。ハローぼっちな高校生活。出来ればこんな生活は送りたくなかったよ。

 

「ねぇ、赤羽くん。ちょっと良いかな?」

 

顔を上げると、話しかけてきたのは一之瀬だった。俺はまだぼっちは確定していないみたいだよ神様。その幻想をぶち殺せ。

 

「高校入学早々、ぼっちなりかけの俺に何か用ですかい?」

 

「えーっと、ちょっとこれからお話できない?たしか自己紹介で武道やってたって言ってたよね。D組の怖そうな彼にも物怖じしてなかったし、ちょっと話聞いてみたいなって。私が話していたら、安全な人だってクラスのみんなも思って、話しかけてくれるんじゃないかな?」

 

彼女はしゅっしゅって言いながら拳を突き出す。威力もないし可愛らしい動作だった。

 

「物怖じしてないのは勘違いじゃないかな。昨日絡まれた時はめっちゃ尻尾まいて逃げたからね。」

 

「そうなの?」

 

「そうなの。武道ってのは相手を倒すんじゃなくて自分を守るためのものだからね。合意のない相手を殴るのは御法度なのさ。」

 

「そうなんだ。じゃあさ、私にもちょっと教えてくれない?時間がある時で良いからさ。自己防衛はできないよりできた方が良いと思うし。」

 

「ちょっとなら良いけど、最近は完全に我流になってきたからあまり参考にならないかもよ。」

 

「強くなるわけじゃないから大丈夫。暴漢に襲われそうになった時とかに役立ちそうだしさ。」

 

「まぁそれくらいなら。」

 

「じゃぁ約束ね。あと連絡先交換しようよ、連絡できると今後いろいろ便利だし。」

 

「まぁ、そうだな。」

 

彼女と連絡先を交換する。今回の騒動で友達を増やす機会を失ったが委員長と連絡できるとのは悪くないかもしれない。一人ってのはかなり少ない方だけどさ。

 

 

今日も日課を終え、明日の準備を済ませてベットに入る。

今日はそこそこ災難な一日だったね!明日こそは平穏な高校生活になるよね、ハ〇太郎?

 

……誰も答えてはくれなかった。そりゃ部屋で一人なんだからそうなんだけどさぁ!

…もう寝よう…。




息抜きで書き始めたこの作品の方が筆が進みますね。なんでや。

感想、評価お待ちしています。更新が早くなるかもです。

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