無人島・優待者の試験も終わり、みんな大好き夏休みが本格的にスタートである。
特にやる事も誰に誘われることも無く日々を過ごしていると、携帯が鳴る。なんじゃらほいじゃらと確認してみると、画面には一之瀬委員長の文字が。そういえば…遠い昔…おごる約束を取り付けられた記憶が…うっ、頭がっ…。
誰かに毒電波を浴びている様な気がしたので、頭にアルミホイルを取りあえず巻き付けておく。これでタイムリープもしないし、ゲル赤羽にもならないし安心ですね!
ポチリと携帯のボタンを押し、できる限りの爽やかボイスで電話に出る。
「お電話ありがとうございます!赤羽運送です!集荷のご依頼ですね!伝票はお持ちでしょうか?」
「え!あの…えっと…間違えまし…って!この番号が運送会社に繋がる訳ないよね!っていうか全然赤羽君の声だし!」
「お気づきになりましたか。」
電話口のドッキリって難しいよね。俺がボケ散らかして話が大分逸れていたが、一之瀬が一呼吸おいて話を切り出す。
「でさ!話を戻すけど、明日って時間空いてる?前話してた約束で私におごってくれって話あったでしょ!」
「さういえば、そんなお話もありましたねぇ…ええですよ、何処へでも付き合わせてもらいますよお嬢さん。」
「じゃあさ、今、流行りの占い師が来てるみたいで結構話題にゃんだよね~!」
そういえば夏休み限定で、流行りの占い師が来ていたという噂を聞いたような気がする。
「で、その占いって二人一組で行かないとダメみたいなんだよね。赤羽君が良かったらどうかな~って思って。」
「おーけーですよお嬢さん。」
「やった~!じゃあさ、場所とかの詳細は後で連絡するね!…あと、何かシャリシャリって金属が擦れる、みたいな音が聞こえるけど…」
「そりゃあ!今、頭にアルミホイルグルグル巻きにしてるからね!」
「…私、赤羽君の行動が不明過ぎて付いていけないよ…」
一之瀬が電話先で頭を抱えている姿が容易に想像できる。大丈夫、俺の自分の行動の意味なんて考えて行動していない。理由も、意味も、無いんだよ。
「じゃあ、明日ね!頭にアルミホイルは巻いて来ないでね!」
頭に、ってとは他の所には良いのか、ゆってぃスタイルは許されるって事か…ゆってぃ頭にも銀色の何か巻いてましたね、却下です。
「ほいほ~いまた明日~。」
と、言うわけで次の日。俺ら学生たちにとって心のオアシス、ケヤキモールへと向かう。
指定された場所に時間の数分前に到着すると、一之瀬は先に到着していた。
こちらに気付くと同時、胸をほっと撫でおろしている。そんなに俺がアルミホイル巻いて来る事を懸念していたのだろうか…信用無いね、俺。
「すまんね。待たせちゃったみたいで。」
「いや、全然大丈夫だよ!でも他の女の子と約束する時は待たせちゃダメだからね!」
雑談もそこそこに目的地である占いの行われている場所へと向かう。既に行列が出来かけているので、ちゃっちゃと最後尾に並び、順番を待つ。周りがカップルらしき人物ばかりなので普通に気まずい。どちらかというと俺はナンパ対策的な立ち位置なのだけどね。
順番が回ってきて、怪しいというか雰囲気のある簡易的な如何にも占いしますよ、っていう建物の中へポイントを支払って入る。雰囲気づくりって大切ですよね。ポップなお化け屋敷とか廃墟みたいな遊園地に入りたいとは思わない的な。俺としては占いってのは特に信じているわけではない。神社のおみくじ程度の信頼度位。
一之瀬の方は特に興味無しなので聞き流していたが、彼女はやたら真面目な表情で占い師の話を聞いていた。結構そういうの好きで影響されやすいタイプなのね。
そんでもって俺の番が回って来る。名前と生年月日、血液型を答え占いを行ってもらう。
大変苦難な道を自ら歩んできた事。遠くない未来、2度選択の時が迫られる事。その選択は今の現状を大きく変える選択になるとの予言だった。そしてこれから厄介な事に巻き込まれるとの事。
占いらしいというか何というか、当たり障りない予言めいた話である。選択の時が2度あるという占いの内容は多少気になるが。
まぁこんなもんか~と思いながら俺たちは建物を出る。一之瀬はちょっと満足げは表情をしていた。女の子ってこういうの好きだよね。次は一緒に行く相手考えてね。気まずくて俺大分まいっちんぐしてしまいましたよ。
占いが終わりまして、どこかで休憩しようとの事になったので、現在は良い場所を探してモール内をぶらぶら散策中である。人気の多い場所でも彼女本来のオーラの違いからかちょくちょく視線が飛んでくる。ついでに何でこんな奴と…的な視線も飛んでくるが、俺としてはどうしようもないのでガン無視である。すいませんね隣に居るのが冴えない奴で。
とか考えていると、ちょっとガラの悪い生徒含む数人組が近づいて来る。恐らく我が校の先輩方である。…このシチュエーション、進研ゼミで見たやつだ!本当にラピュタはあったんだ!面白イベントに遭遇したなと内心感動している内に、パツキンの先輩らしき人物が話しかけてくる。イベント前だけど、もうちょっと余韻に浸らせて欲しい。もしかして厄介な事ってこれですかね?
「そんな冴えない奴と一緒にいないで俺達と遊ばねぇか?ソイツよりはよっぽど楽しく過ごせるぜ。」
頭の中には冴えない奴とはなんですとぉ!プンスカプンスカ、と怒っている自分と、何も言えねぇ…、と水着姿で金メダルを取った某選手が同居している。頭の中でも俺は冴えない奴認定されているのか…
「…南雲先輩…」
一之瀬の知り合いですか、雰囲気としては何とも言い辛い所ではある。
「あの〜、一応、先約が入っているんでお帰り願えませんかねぇ…?」
「モブはすっこんでろ。」
「アッ、ハイ。」
俺、モブ扱いかぁ…これは進研ゼミでやった所じゃないなぁ…。
「で、どうだ一之瀬?何なら生徒会に入って俺の女になるか?」
と、言うことはこのパツキンは生徒会役員って事か…堀北パイセン、もう少しちゃんとした人選出来なかったんですかねぇ…生徒の模範とはほど遠い人物ですよねぇ…
「…今日は、丁重にお断りさせていただきます。それと…生徒会の事は…まだ、もうちょっとだけ、考えさせて下さい…。」
「…チッ、まぁ良い。結果は変わらないだろうがな。」
と、言いながらパツキン先輩が一之瀬に手を伸ばして掴もうとする。俺はすかさずその腕を掴んでインターセプト、Ya-ha-!
多少痛みを感じさせる程度にギリギリと握り絞めた後、パッと腕を離す。
「…テメェ…」
「…先輩とは言え、オイタはご遠慮願いますよ。一之瀬もあまり乗り気じゃないご様子なんで。」
「ここで痛い目に合わせても良いんだが、俺は寛大なのでな。今日は見逃してやる。」
「さいですか。助かります。」
危うく一触即発(でも返り討ち)な事態になりかけたが、寛大なパツキンパイセンの慈悲深いお言葉でそれか回避される。寛大な人間は自分で寛大なんて言わないと思うんですけどねぇ…。
ところ変わって俺たちはかっふぇに到着する。俺たちは飲み物を受け取り席につく。ここは約束していた俺の奢りポイントである。ポイントも枯渇しているわけではないし、占いの所での奢っても良かったのだけれど、自分の占いは自分でとの事で拒否られてしまった。
「ふ~、びっくりした~。」
「良いのか一之瀬?生徒会に入る絶好のチャンスだったんじゃないのか?」
「にゃはは…生徒会には入りたいけど、南雲先輩の下で働くってなるとちょっとどうなのかなって躊躇しちゃって。」
「ほ~ん。」
「赤羽君は気が変わったりしてない?堀北会長に誘われてたしさ。」
「嫌でしゅ。」
「だよね~。」
一応、堀北パイセンに生徒会に誘われている俺だけれど、あんなのがいる内情を鑑みるとやはりゴメンである。絶対一悶着じゃ済まないですよ。面倒臭い事になる事この上ないよ。
「もし仮にだが、パイセン達の性格を考慮して対立してると仮定して、堀北パイセン側で入る俺とパツキン先パイセン側で入る一之瀬だと同じクラスとは言え、生徒会内で対立せざるを得ないんでない?一之瀬がパツキンパイセン裏切ると生徒会の立場怪しくなりそうだし。」
「う~ん、そう言われると辛いかも。みんな仲良くってのは難しいにゃよね~。」
「難しいですにょ~。Bクラスが他のクラスと比べて平和的に纏まっているのが一之瀬の力もあるけど驚異的なんですたい。」
「結構大変な事もあるけど、私たちのクラスだから出来る事はしないとね。赤羽君ももうちょっとクラスに溶け込んでくれると良いんだけどね…」
「それは現状で厳しい相談ですねぇ…」
俺は何とかフラペチーノをズズズと啜る。どうしても最初に喧嘩紛いの事態になってしまったせいで。クラスの俺を見る目は冷ややか気味である。一度落ちた評価は中々に戻すのは大変なのです。俺がクラスに貢献的な行動が出来ていないのが一因だと思うけれど…一之瀬さん、苦労かけます。
「…いっそ無人島での赤羽君の活躍をみんなに話してみる?スパイだって結構最初から見抜いてた話をしてさ!もしかすると評価も上がるかも!」
「…それは五分五分って所じゃないんですかねぇ…クラス内で活躍した所でそれを悪い意味で取る人間もいるだろうし。」
「赤羽君は自己評価低いなぁ…」
「こういう性格なもんで。すまんの。」
ダラダラと雑談を交わしながら適当な時間を過ごす。お互いの飲み物も飲み終わった所で今日は解散となった。
夏休みも終盤戦、次の学期からはクラス間の対立が激しくなりそうですねぇ。
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次回から身体能力ブッパ武闘派主人公、たぶん活躍予定の体育祭編、始まります。