冬休みも終わり、始業式当日。
ふぁ…と欠伸をしつつ学校へと向かう。
風は無いが、外気はザ・冬ですよ!と言わんばかりに寒く。肌の露出してる部分からは問答無用で熱を奪っていく。もう少し着込んで来れば良かったですかね。
さっさと教室で暖を取りたかったので、早足で学校へと向かう。すれ違う女子生徒達は上は暖かそうな格好はしているものの、当然かのように脚を出して登校してい人が多い。何?そういう修行流行ってんの?寒風摩擦的な?とか考えたりしているが彼女らなりのお洒落というものなのだろう。勿論タイツを履いている人もいるけれど。
校舎に入り、下駄箱を開けて内履きを取り出すと、中から一枚の紙が落ちる。内容はと言いますと、今日の放課後に校舎裏に来いとの事。カツなアゲでもされてしまうのかしらん?とも取れる内容で無視しても良かったが、どうせ暇なので行ってみますかね。坂柳さんといい、人を呼び出すのにアナログな方法が流行っているのかしらん?
手紙はさておきまして教室に行くとクラスの幾人から視線は感じる。気にしない気にしない、一休みひとやすみ。ただ嫌な予感はする。
ちらりと一之瀬さんはクラスの仲の良い女子に囲まれて談笑していた。
耳を傾けてみると、一之瀬と俺がクリスマスに出かけていた事を詰められていたり、俺と坂柳と正月に出かけているを見た人物が話をしてたりしていた。
話がひと区切り付いた後、一之瀬が一瞬こっちを見て、『後で説明して』と目で語られた。何を問い詰められるのでせうか…目は口ほどに物を言う事を実感させられます。
休み明け初日ということで学校は早めに終わり放課後。俺は指定された校舎裏で待機する。
誰が来るとかと待つこと十数分。、そこに現れたのは先日、龍なんとかさんに冷水を浴びせられていたDクラスの軽井沢だった。名前はうろ覚えだけど多分合ってるよね?で、何の様でせうか………
ーー軽井沢視点
始業式の朝、早めに学校へ向かう。
理由はあの男に1対1で会うためだ。
赤羽巧。
龍園達とは異なり、偶然ではあるだろうが私の過去を知ってしまった人物。そして今、私の過去を話す可能性が最も高い人物である。
放課後、校舎裏に向かうと、一人の人影がポツンと立っていた。あの時いた人物と間違いなく同じ。見た目からは予想がつかなかったけれど、彼は本当に強かった。彼はCクラスの喧嘩が強い4人を相手に圧倒した清隆を、簡単にねじ伏せてみせた。清隆が負けて、私も皆みたいにやられてしまうんじゃないか、と恐怖した。でも彼は急に興味を無くしてその場から立ち去った。思えば私は眼中に無かったのかもしれない。
さて、彼は呼び出し通りに来た。私の目的は私の過去の事を彼に口止めさせること。ここは実力主義の学校だ、そして相手は同盟を結んでいるとはいえ、敵であるBクラスの人間。彼の弱点も、弱みも、どんな人間なのかも何も知らない状況での対峙。そしてこっちは弱みを知られている状況で策も無い。しかし、策は無いとはいえ、なるべく早く行動し、手は打って置きたかった。
「アンタは赤羽巧で合ってるわね?屋上にあの時いた。」
「う〜んまぁそうだが?こんな所に呼び出して何の用でせうかね?」
彼は間延びした力の無い声で聞いてくる。弱みを握っている余裕の現れなのか、もしくは何も考えていないのか。
「私がこの学校に入学する前、虐められていたってのは聞いてたわよね?」
「…あ〜そんな話もしてましたねぇ。あのまま綾小路が来なかったら割って入ろうかとも思ってたけど、彼が来てくれて両者万々歳でしたねぇ。」
特に変わらない口調で彼は続ける。
「で、俺にその事だか昔のことだかの口止めに来たわけ、と。」
彼は一応は助けるつもりはあったらしい。結果は清隆に助けられたわけだけど。
「話が早くて助かるわ。その事を誰にも話さないって約束してくれたら、何でも願いを一つ聞いてあげる。それで手打ちにしない?」
「ん?今、何でもって言ったよね?言いましたね?たまげたなぁ。」
「私が出来る範囲でって意味よ!ポイント…はそんなに持ってないけど、多少なら渡す事もできる。何なら彼女になってあげてもいい。だからあの時の事は口外しないって約束して。」
彼は強い、取り入って彼の庇護下に入り、今後の学校生活をつつがなく送る為の手段とできるのがベストなのかもしれない。
「えぇ…何か弱み握られて女の子脅す悪役みたいなポジションみたいじゃんか俺…いや実際そうなんだけどさあ…。」
彼は口をもにょもにょさせながら困った様に呟く。
「じゃあ、ゲームにしませうか。軽井沢さんが俺の他人に広められると困る弱みを握ったら、お互いチャラにして終わり。制限時間は…俺の気分次第で。その間、俺が綾小路に関する情報を聞いたら素直に答えること。そして、俺の存在を綾小路に気取られないようにすること。このゲームが続く限り、俺は何も話さないことを約束するよ。」
「私に不利すぎる条件じゃない!?気分次第とかマジあり得ないんだけど!」
「そんなカッカしなすんなや軽井沢さんや。取りあえずは目的は一時的には達成できる。あとは俺の弱みを握ればそれで終わり。悪くはないのは思うけどねぇ。」
「…まぁ良い、分かったわよ。約束は守ってよね。」
「分かってますよ。んじゃ、俺は帰りますわ。」
そう言って彼はこの場を離れた。これから彼の弱みを握るために情報を集めなきゃいけない。面倒臭いけど私の立場を守る為にやるっきゃない…とは言ってもどうしたら良いのか分からないのよね…
ーー赤羽視点
彼女からの話は個人的にはどうでも良い事だった。あの時乱入した副産物なんだろうけど折角なので有効活用させてもらうため、俺は彼女にゲームを持ちかけた。
理由はこっちが常にアドバンテージを持っている状況を認識させ、緊張感を持ってもらうためだ。話さないって確信を持たれると、情報を話してもらえなくなりそうだしね。最初から彼女の過去を触れ回るつもりはないけどね!
恐らくだか、綾小路は俺の存在に気付くだろう。あっちから来てくれるならこっちのもの、来ないなら…また駄目で元々なので気にしないことにする。
連絡先を交換してこの日は解散する。さて、状況は今後どう動いていくでしょうかね。退屈しない感じで転がってくれると良いんだけど。