実力至上主義の学校で平穏を求めてみる   作:さっきのピラニア

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混合合宿①

さてはて、ぼちぼち3学期が始まりまして、俺は今クソデカ観光バスに揺られて高速道路を絶賛走行中である。

で、俺は今何をしているかというと、バスの前の窓際で頬杖を付いて絶賛景色をお楽しみ中。学校内では味わえない大自然が高速で移り変わっていく風景を眺めているだけで、籠の中の日常から出されたという充実と圧倒的解放感を感じますね。うっかりバスが崖から落ちてRefrainするとかは勘弁。もしかして特別試験は夢の中でタイムリープして野球……?ってそんな訳無いか。過去を思い出して自分の弱さと向き合え。代打バース。

 

「ねぇ、今回はどんな試験だと思う?」

久々の校外のせいか和気藹々としたバスの中、クラスメイトとの談笑の合間を縫って一之瀬がこちらに話しかけてくる。無人島以来の久々の学校の外での活動、つまるところの特別試験がこの先ではある位しか分からんぜよ。

というか一之瀬さんどぼぢて隣にいるんですかね?ぼかぁは喧騒から離れたいんで後ろの方でガヤガヤやっとってくださいよ。

 

「さぁ?ディ〇ニーランドでも行くんでない?」

「アハハ、…そうだったら嬉しいけど、絶対違うと思うよ…。真面目に考えてほしいなぁ…」

俺のやる気の無い答えに苦笑いの一之瀬である。

「んじゃあ逆に俺らはどこに行くと思うかい一之瀬委員長?」

「ん~そうだな~。この前のは無人島で海だったから今回は山…とかかな?」

一之瀬は俺の軽い挑発は気にも留めずに答える。出来た人なこって。

「海の次は山ねぇ…確かにそれは有磯海。」

山のサバイバルは無人島より管理が大変だから流石に無さそうだけど。

「でしょでしょ!」

 

 

「はーい!お楽しみの所ちょっと悪いんだけどちゅうもーく!」

担任の星乃宮先生がマイクで生徒達に声をかける。各々楽しんでいた会話は無くなり、バスの中はエンジンの音のみになる。

先生の説明によると、山の中の林間学校に向かっている事、学年を超えての集団行動を7泊8日で行うらしい。林間学校、というと夏のイメージだが、無人島と林間学校の時期が逆だったら過酷だからだろうか?とか思いつつ特に気にしない事にする。そこそこ分厚い資料をもらい眺めると、合宿地の生活をするのであろう部屋や食堂やらの写真が記載されていた。男女別に6つの小グループを作り、同様に作られた2・3年生と合流して大グループになるだったり、グループには2クラス以上在籍することだったり、なんやかんやと細かい説明がされていた。細かい所までは覚えられん。そういえばバスの台数も1年生が乗る台数分より大分多かったので、2・3年生もいたんでしょうね。全学年合同で特別試験とはびっくりおったまげである。

この中で大事な所はざっくり3つ。4位以下のグループはポイントが減点される事。小グループに所属するクラス数と総人数が多いほど報酬が多くなる事。そして最下位になり、かつ小グループの平均点が下回る場合、グループの責任者と責任者の指名した一人を退学に出来る事。

 

で、この特別試験の目的としては社会性やら普段関わらない人間と関係と円滑に築けるかを学ぶ、ってことらしい。社会性の無い俺が苦手なやつですねこれは。

「どう?結構合ってたでしょ?」

一之瀬はこちらに小さく耳打ちする。

ふ~、と興味無さげに特別試験に対する不満の意を返しておくと、一之瀬に脇腹を肘で小突かれた。リアクション薄めだったことが不満だったのか面倒そうな顔だったから真面目にやれとの激か。たぶん両方か。

既に共同生活をすることがmustになっただけでテンションだだ下がりですよぼかぁは。フリーの時間も少なそうだし。一之瀬はこーゆーの得意そうね。とはいえ今回男女別でグループを作らにゃいかんので少々面倒である。神崎あたりが男子側のリーダポジションで上手くやってくれるんでしょ、たぶん。

 

 

バスは合宿所に到着し、小グループ作りがスタートする。

スタートして早速、Aクラスの的場という生徒が、Aクラス14人+他クラス1名で小グループを作成したいと、提案してきた。受け入れてもらえればその生徒は極端に足を引っ張らなければ最下位になっても退学者の指名は無いとの事。

Aクラスプラス一人という状況にはなるが、デメリット自体はほぼ無いと言っても良い。悪くはない提案である。この作戦を坂柳が考えたなら何か裏があるんだろうけど。こちとら理事長に出来れば退学だけはするなとお願いされてしまった手前、知った事ではない。約束を果たす義理は無いけど。

その提案を聞きDクラスのインテリメガネ金田、Cクラスのイケメン平田、Bクラスのクールボーイ神崎が何が話始めたが、面倒臭いので話はそこそこに俺は手を挙げる。

「んじゃ、俺が行きますよ。何処にいてもあんま変わらなそうだし。」

俺が名乗り出ると提案した側のAクラスの表情が少し曇る。煙たがらないでくださいよこれから一緒にやって行くんでしょうに。ただ、的場は表情を崩した様子は無いのはどうしてでせうね?

「良いのか?Aクラスが裏切る可能性もあるぞ。」

神崎は俺に忠告する。

「Aクラス側もリーダー格が来ないことは承知の上だから良いっしょ。それならあっちに乗って下っ端をあてがうのが正攻法よ。」

「…お前は貢献していると俺は思うがな。」

「と、いうわけでAクラスの方々、俺を嵌めるなら、個人的にそれなりに報復することが無きにしもあらずなのでよろしく~。」

「…受け入れられない言葉も無きにしもですが…道連れにしない事はお約束しましょう」

的場は少し渋い顔をして了承する。彼は無人島の件を覚えているんでせうね。囲まれた時に対峙してたのかは全く覚えとらん。

「…割と容赦無い忠告するなお前は。」

「褒め言葉、と受け取っておくことにするよ神崎副委員長。」

「…お前にはどこかのグループの責任者になって引っ張って欲しかったんだがな。」

「えらく評価してくれますねぇ…もう一度いうけど俺は下っ端よ。人を纏める器は俺にはありゃしませんよ。」

俺みたいな小市民はなるべく悪目立ちせずに足を引っ張ら無い立ち回りをさせてもらいましょうか。出来る限りで。

坂柳は俺の行動を何処まで読んでいるのか知らなんだが。読まれている様な気がする。

さて、何が目的なのやら。いつもの言動から推察すると退学させる、なんて大胆な事はしてこなそうだが。

「んじゃ、よろぴくねAクラスの皆さん。頭はポンコツ、フィジカル激強枠で使い倒してくださいや。」

 

小グループ作成が終わり続きまして2・3年生との大グループ作りが始まる。なんやかんやあって、堀北先輩のいるグループへと配属される。

「あらら、堀北パイセンと同じですねぇ。取りあえずよろしくっす〜。」

「ふぅ…厄介なのと同じグループになってしまったな。」

「うわぁ一発目からひでぇや。」

「心配はしていないが変な事はするなよ。」

「荒事は積極的に関わるつもりは無いので安心してくださいよ。俺ってそんなに信用無いんですかね?」

「無いな。この学園での行動を自分の胸に手を当てて思い出すんだな。」

「うわぁやっぱりひでぇや。」

俺、何かやらかしちゃいましたかねぇ?(すっとぼけ)心当たりが無きにしも有らずだが、基準がぶっ壊れの我なので無い事にした。俺が堀北先輩と関係があるのに驚いた表情をする生徒もいたが、その関係も偶然っちゃ偶然かと思うので気にしない事にする。

お互い軽口を叩き合った後、堀北パイセンは南雲パイセンに勝負を挑まれていた。

挑戦的な南雲パイセンを堀北パイセンが受け流しつつ話が付き、一瞬俺と目が合う。体育祭の件があったとはいえ、俺は敵にもならないと思われているのか特に絡む事は無かった。面倒な人に絡まれると面倒なので一安心である。

 

で、時は変わって食事の時間である。さて、僕らのしばらくの食事処は如何程か?と食堂に向かうとデカァァァァァいッ説明不要!!約500人を収容できるだけに広い。が人も多いのでそこそこにごった返しである。適当に定食をチョイスし空いてる場所に腰を降ろしてそこそこ煩いが優雅なお食事タイムである。

 

「ふえぇ〜あぁ〜疲れたぁ〜」

帆にゃ抜けた声を発しながらこちらに流れてきたのは、我らがBクラス委員長、一之瀨帆波さんである。あっ、お疲れ様です。

「何となくだが大変だったのは伝わってくるな。同情しかできんけど。」

「そ〜なんだよ〜疲れたよ〜おこたでミカンとお菓子食べて寛ぎたいよ〜」

「勝手に人の部屋で寛ぐ願望は止めてくれませんかねぇ…俺のプライベートはどこに?」

「ダメなら何か私にご褒美を〜マッサージとか〜何か報酬を〜」

「全く人の話を聞いていらっしゃらない…」

一之瀨さん、お疲れで本能が剥き出しかけていらっしゃいます。誰か木パテで埋めてあげて。

そんなお疲れモードの彼女を労うため、ぽふぽふと撫でておく。これで治まってくれませんかねお嬢様。

「はふ〜なんか落ち着く~」

何故だか知らないがご満悦のご様子。取りあえず良かったでゲスな。

「そういえば神崎君から聞いたけど、男子の方はそんなに揉めなかったみたいだね~い~な~。」

ご飯をパクつきながら、羨ましそうにこちらに話を投げかけて来る。ていうかもう情報仕入れているのね。行動力の化身。

「女子は同姓同士の好き嫌いというか相性というかそういうの気にしてる子が多くて調整が大変なんだよ~。男子ってそういう所は女子よりドライで羨ましいなって思ったり思わなかったりかな~。」

ラジバンダリ。と頭の中でダブルダッチが駆け抜けていく。とりあえず労いの言葉でもかけてやりましょうデミグラス。

「ま、Bクラスの委員長らしくクルーシオして頑張ってくれたまえよ。」

「ひどーい!でも赤羽君はなんかいつも通りで安心したよ。良くも悪くもマイペースっていうか。」

一之瀬からはいつも通りとのお言葉を頂戴いたしました。でも、そのマイペースは全然誉め言葉じゃないぞ。悪口の後、いい意味でって言われてもその悪口は消えないあの感じに似ている。

 

「んじゃ、俺は食べ終わったんでお暇させていただきますよ。」

そう言って俺は空の器を持って席を立つ。学年でも目立つ一之瀬といるのは徐々に居心地悪くなってきたのもある。じゃ~ね~一之瀬はひらひらと手を振ってこちらを見送ってくる。そーゆーのが目立つ原因になるから止めて欲しいんだよなぁ…。

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