最近、CクラスとDクラスの間で暴力事件があったらしい。事情を知っていそうな一之瀬に話を聞いてみると、D組の例の不良少年とC組とのいざこざらしかった。
話をかいつまむと、不良少年くん呼び出されて殴り掛かられて、Cクラスの三人を返り討ちにしたらしい。ふっかけたのはCクラス側の三人らしいが不良少年の実力で3人を一方的に制圧が出来るだろうか?呼び出したのがCクラス側なら喧嘩慣れした人物もいただろうに。
監視カメラもある校内でそれを行うのは中々に難しいと思う。…まぁ俺は不良少年が3人いようが問題ないが。
そっちの話が盛り上がって、俺の件がうやむやになってくれないかなぁとか思っていたり思っていなかったりする。流石にぼっち街道まっしぐらじゃ学生生活っぽく無いしね。
「ねぇ、赤羽くんはどう思う!?」
「うーん…俺視点だと、あの不良少年がCクラスの3人を圧倒できるとは思えないねぇ。もしあの実力で3人に勝つとしたら俺なら動きながら戦うし、その時におそらく監視カメラに映ると思う。Cクラスに嵌められた可能性はあるかな。」
「そうかぁ、ありがと!すっごい参考になったよ!」
「参考になったようで何より。」
「あと、風の噂で聞いたんだけど、赤羽くんが生徒会に勧誘されたって本当?」
「それは本当だな。この前手合わせした時に誘われたんだよね。断ったけど。…堀北先輩もおしゃべりだねぇ。」
「実は私も入りたくて話をしに行ったんだけど断られちゃってさ。」
「へぇ、一之瀬みたいな人気者でも断られるんだねぇ。選ばれる基準が謎だな。」
「で、一つお願いなんだけど、生徒会長さんに赤羽くんから口添えしてもらえないかにゃ?もちろんお礼はするよ!」
「話するだけなら構わないけど交換条件として一緒に入れとか言われたら嫌だなぁ。生徒会ってなんか忙しそうだし。」
「あははは…、ダメ元でも良いから話してもらえると嬉しいかな。一緒に生徒会に入ったら楽しそうだし!」
「俺は実務はてんでダメだぞ。堀北先輩は多分他の意図で誘ってきたような気がするけどね。まぁ暇なときに話だけはしておくよ!」
「お願いします!そういえば赤羽くんと生徒会長さんって昔からの知り合いなの?なんか不思議な繋がりだよね。」
「昔、空手をやってた時に知り合ったって感じかな。学年が離れてるからそこまで繋がりは無かったはずなんだけど、覚えられてたみたいね。俺も一部では有名みたいなんでね。あ、入学当初のいざこざの件じゃないぞ。たぶんそれがなきゃこんな良い学校に入れなかったと思うし。」
「ふーんそうなんだ!生徒会の件の話はよろしくね!約束だからね!それじゃあまた明日!」
そう言って彼女は立ち去った。他クラスにわざわざお節介焼きに行くなんてお人よしだねぇ。生徒会もやろうなんて彼女も学級委員長で忙しいだろうに。彼女には彼女なりの行動原理があるんだろうさ。
まぁ俺は今回は傍観者を決め込むことにするか。興味ないし。
結果としてニクラスのいざこざは一之瀬の介入もあり、丸く収まったらしい。詳細は知らないけどな。実質Bクラスが介入してDクラスを応援した形になるけど、Dクラスを支援してCクラスとDクラスの差を盤石にしてからBクラスを叩きに来るって青写真をCクラスが考えていたのなら、一之瀬がDクラスに介入したのは結構正解なんじゃないかと思えてきた。一之瀬さんマジ政治家気質。
もしかすると、事の発端はC組の伊吹が気を付けろと言っていた龍園って奴の仕業なのかもしれないな。どうでも良いし興味ないけど、彼だけでなく出来れば誰からも目を付けられずに過ごしたいよなぁ。平穏な日常が壊されるのはこりごりだ。