史上最強のRTA ~梁山泊入門禁止縛り~ 作:(´・ω・`)ガンオン修行僧
殺戮者がエントリーしてくるRTAはーじまーるよー。
前回はホモくんが入門している
この時期から彼は町内の道場にランダムで入門し、メキメキと力を付けていきます。まさかひとつ目の道場でかち合うとはたまげたなぁ……。
既プレイ兄貴のおさらいと原作未読兄貴向けの解説を兼ねて簡単に説明すると、彼はケンイチくんの幼馴染であり、はじめての喧嘩相手、そして原作ラグナレク編のラスボスに当たります。
喧嘩の理由については割愛しますが、ここでケンイチくんに勝利を譲られたことで屈辱を感じ、以来貪欲に勝利と力を追求するようになります。
そして先ほども述べたように、この時期から武術を学ぶようになるんですね。
とは言え、才能豊かな彼もまだ武術を習い始めたばかりであり、殺人拳側に堕ちてはいません。純粋に力だけを追い求める、ある意味でかなりピュアな状態ですね。
実力の方もフヌケンことケンイチくんと同レベルなだけのこともあり、現状では間違いなく今作で最弱クラスの人間です。
実際、倍速中にホモくんと組手をした際も、ホモくんの先手必殺スタイルもあり僅か二~三打で龍斗がダウンして終了しています。
こいつがそのうち手がつけられない強さに化けていきますので、恨みがある方は今のうちにしばいておきましょう。
これは前世のホモくんの分! これは前前世のホモくんの分! 今まで散っていった数多のホモくんの恨み、その身で味わえ!
しばらくはまた稽古と探検を繰り返すだけなので倍速です。
途中、やたらと体格の良いおじいさんが孫娘に突きを披露し、電柱を傾けるといったランダムイベントも目撃しましたが、特に見所さんもなかったのでスルーします。一体あれはどこの無敵超人だったんだろう(すっとぼけ
そうして二年も経過すると、才能豊かな
今のホモくんや龍斗は小学三年生ですが、もう道場にいる小学生の中ではツートップの実力になっていますね。ふざけた成長速度しやがって……。
また、この時期から龍斗は「様々な武術の良いところは取り込んでいく」という截拳道の教えに則り、空手やボクシングなどの武術も習い始めます。
凡人ならどれも中途半端になり、二兎を追う者は一兎をも得ずという諺を体現することになりますが、こいつは天才なので全部きっちり習得していきます。クソが。
その結果、龍斗には技の多様性が生まれ、才能も並かつ截拳道のみしか学んでいないホモくんとの差がどんどん開いていきます。
そのため、組手でまともに彼と渡り合えるのは、おそらくあと数ヶ月といったところでしょう。ちょうど今やっているような感じですね。
現在流している映像の組手の勝敗は、先手必殺のホモくんの集中力が切れるまで龍斗が凌げるかにかかっています。
ホモくんは徹底した先手必殺構成のため、戦いが始まってから数分は強いのですが、それ以降はどんどん動きの精彩を欠いていきます。私が介在しない自動戦闘だとその傾向が顕著に現れていますね。
対するこの頃の龍斗は安定感に優れた万能選手で、爆発力に欠けるものの弱点らしい弱点のない手ごわい相手です。これが"観の目"を習得以後は後半戦にさらに強くなり、さらに爆発力も手にするとかやめてくれよ~。
おっ、「先の先」のバフが切れ、「集中力×」のデバフが現れる寸前ですが、いい感じの右掌打が龍斗に入りましたね。
実戦を重んじるこの截拳道道場での組手では、一本取っただけでは勝ちとなりませんが、先手必殺ホモくんの一撃をもらえばさすがの龍斗も―――おファッ!?
この野郎、ホモくんの右掌打に合わせてクロスカウンターを決めてやがりますね。こちらの掌打を躱しきれていないとはいえ、この一撃で決めきれないばかりか、逆にダメージをもらうのはまずいですよ!
これは非常にまずいですね。「先の先」のバフが切れ、「集中力×」のデバフが現れ始めたことで、ホモくんの動きが悪くなっています。
龍斗もダメージやスタミナ消費で組手開始当初のようには動けていませんが、それでもホモくんに比べたら全然消耗していません。
そう言っている間にも、次第にホモくんが防戦一方になり、防御も間に合わなくなってきましたね。
龍斗のラッシュの締めにもらった鋭い
いや~、惜しいところもありましたが、今回の組手はホモくんの負けで―――おファファのファッ!?
組手の決着がついたにも関わらず、倒れ込んだホモくんに対し龍斗が馬乗りになり、さらに打撃を浴びせてきます。
お前その凶暴性を発揮するんはもうちょい先とちゃうんかい!!!!!
ままままままずいですよ! ただ組手に敗北するだけなら特に問題はないんですが、あまりにひどい負け方をすると、何らかのマイナス特徴が付いてしまう可能性があります。
ちょうど、原作でケンちゃんがコーキンに敗北した時のような感じですね。
もちろんマイナス特徴を打ち消す方法もありますが、タイム的に非常にまず味であることは言わずもがなです。
ホモくんのHPがみるみる減っていき、赤ゲージ寸前ですが道場の先生はようやく異変に気がついたところです。
ええい……かくなる上は手動操作で凌ぎきるしかありません。その間に先生が龍斗を止めてくれればOKです。
自動操作を解除し、敢えて防御を解きます。一撃はもらいますが、これも計画のうちです。
龍斗の拳に怯むことなく、防御をやめて空いた左手で目潰しを仕掛けます。これは先ほどの攻撃でHPが赤ゲージに突入したことで「不屈」が発動し、相手の攻撃で怯みづらくなったため行える捨て身の反撃ですね。
当然、龍斗は上体を仰け反らせて目潰しを回避しますが、腰が僅かに浮きました。
その隙に顔面を狙ったホモくんの右フックを防御させつつ、龍斗の身体を跳ね除けて起き上がります。
龍斗は一瞬驚いて動きを止めますが、すぐにまた襲いかかってきます。
と、ここで道場の先生が止めに入りました。
くっそ強いといっても体格はまだ小学生のそれなので、先生や大人たちに呆気なく取り押さえられましたね。
ナイスや先生! これ以上はいくら戦ってもジリープアー(注訳:徐々に不利)で、はっきり言って勝ち目がありませんからね。
それにしても、龍斗が必要以上に対戦相手をボコボコにし、色々な道場を破門されるのはもう少し先だったはずです。
一体何がどう作用して早まってしまったのでしょうか。
若干のタイムロスになってしまったので、しっかりとチャートに書き記しておかなければ……。
その後、龍斗は破門こそされなかったものの、自分から道場を辞めていきました。
道場のNPCが噂していたところによると、今度はパンクラスという総合格闘技も始めたようですね。
これ以降、原作まで関わることはなさそうですが、このイベントがあった以上、彼の殺人拳入りはほぼ確定したと見て間違いないでしょう。
もう戦う機会がないことを祈るのみです。
さて、これ以降、龍斗は加速度的に強くなっていきます。
また、龍斗だけでなく、他の天才達(といってもケンちゃん以外大なり小なり才能持ちまみれ)に対抗するためにも、このままでは駄目だということが今回の組手で露呈しました。
このままの育成だと、ホモくんはラグナレク幹部以上、八拳豪未満が関の山といったところでしょう。
かくなる上は早急に達人級の師匠を見つけるため、これまでの稽古と探検のバランスを大きく変え、行動範囲を拡張してイきましょう。
そのための電車賃やら自転車購入費用は現状のお小遣いだと全く足りませんが、それを賄う秘策を用意しています。次回の楽しみにしておいてください。
それでは今回はこのへんで。ご視聴ありがとうございました。
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鉾崎 基樹の第一印象は特に覚えていないが、すぐに嫌な奴という印象に上書きされたのを覚えている。
そして兼一が引っ越す時に交わした約束を果たすため、僕は截拳道という実戦向きの武術を学べるという道場に入門した。
そこで出会ったのが彼、鉾崎 基樹だった。
どうやら同年齢らしいのだが、ただ騒がしい奴だと思うだけで、最初は良くも悪くも何も感じることはなかった。
それがひっくり返されたのは、同年齢という理由であいつが相手に選ばれた、初めての組手の時だった。
ただ僕を映すだけの無機質な鉾崎の瞳の、その奥だ。弱い奴を嘲るような、いじめっ子達と同じ部類の眼光をあいつの瞳の奥に感じ取った。
そして僕を打ちのめした拳には、どういうわけか"恨み"のようなものが込められていると感じた。
一体なぜ? 僕があいつに何をしたっていうんだ?
その理不尽にぶつけられる感情に、僕は戸惑った。そして戸惑いはすぐに怒りへと変わり、僕は鉾崎を嫌うようになっていた。
しかしあいつは(組手の最中を除けば)僕に何かしてくるわけでもないし、僕から何かをする理由もなかったから、特別何か起きるということもなかった。
……そう、あの組手の時までは。
初めてあいつを組手で負かした時のことはよく覚えている。
鉾崎の右掌打に合わせてクロスカウンターを決めると、あいつの動きが明らかに鈍った。その隙を逃さず連続で打ち込み、最後にであいつを打ち倒した。
すると腹の底から、今まで押し込めていた感情がふつふつと湧き上がってくるのを感じた。
それは、あいつに理不尽な感情をぶつけられ続けた二年間の鬱憤と、こんな組手などではない、真の勝利を渇望する気持ちが混ざり合ったものだった。
気が付くと、僕は倒れ込んだ鉾崎に馬乗りになって、丸くなって防御することしかできなくなったあいつを滅多打ちにしていた。
先生がこちらの異変に気づいたのを視界の端で捉えた刹那、僕の下にいる鉾崎から異様な気配を感じ取った。
突如として防御を捨てた鉾崎が突き出した左手を反射的に避けてから、その手が目潰しを狙ったものだったと気が付く。
それに冷や汗を垂らす間も与えられず襲ってきた右フックを両手で防ぐと同時に、僕の身体は跳ね除けられ、素早く立ち上がった鉾崎はファイティングポーズを取った。
そう、そして
限界が近く、腕を上げるのもやっとのはずの鉾崎の目に、ひどく気に入らないあの光を見た。
それは初めての喧嘩相手の
僕を初めて負かしたあの目に一瞬気圧されたが、その驚きはすぐに勝利への欲求へと変わった。あの目を超えることで、僕はさらに強くなれると、そう確信していた。
再びあいつに躍りかかろうかという瞬間、先生が僕の身体を羽交い締めにして、それ以上続けることができなくなってしまった。
そしてあろうことか、これが試合だったらお前の反則負けだと、先生はそう僕に告げた。
冗談じゃない。あのまま続けていたら確実に僕の勝ちだっただろう。だというのに、あんなにみっともなく丸まって殴られていたあいつが勝者で、僕が敗者だと? 全くもって冗談じゃない。
この出来事の後、僕は截拳道に対する興味を失い、道場を辞めた。
そして武術に対する一抹の違和感を覚えつつも、次の格闘技を探すことにした。
いつか兼一との約束を果たすため、そして気に食わない