"役立たず"の奮闘記   作:緑川翼

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ShowTime

「なにをしている専務! 敗北など許さんぞ!貴様は我が社の名を背負っているのだ!命にかえても連中を倒せぇ!」

 

 シャドウオクムラがそう叫ぶものの、DRを含めた総攻撃を喰らった専務ロボは立ち上がる事は無く、そのまま消滅した。

 

「本当に倒しちゃうなんて。凄い力ね……」

「ふん。そうだろクイー…ン?」

「住吉君?!」 

 

 唐突にDRの体から力が抜け、バランスが取れなくなる。DRは咄嗟にスレッジハンマーを杖として、体を支えた。目眩がして、DRはペルソナが解除されていた事に気が付いた。

 

「あ……? なんで?」

「ペルソナを出したばかりなのに無茶しすぎたんだ!」

「それにひどい傷じゃない……。こんな状態でずっと戦ってたの?!」 

 

 DRは興奮のせいか言われるまで気付かなかったが、DRの体は傷だらけであった。そもそも、怪盗団と戦った際の傷すら癒していないのだ。

 

「オマエは下がってろ、後はワガハイらがやる!」

「アホ…、言うな。こんな楽しい戦い、端から見てるだけじゃ、……満足できねぇよ!」

 

 DRは吠えながら、スレッジハンマーを構える。支えの無くなったDRの体はふらついているが、DRは気にしない。

 

「……せめて傷だけは直させて。≪メディラマ≫!」

「チッ……。余計な事を……」

 

 クイーンのスキルによってDRの外傷と痛みは消えたが、ペルソナによる疲労までは消えない。それでも、まだ闘える。

 

「さて社長サンよ。手下はみんな始末しちまいましたが……、まだやるんで?」

「専務までやられるとは……! ええい誰か、誰かいないのかぁっ!」

 

 強さには信頼を寄せていたのであろう専務ロボがやられた事で、シャドウオクムラが分かりやすく狼狽えるが、誰も呼び出しに応じなかった。

 

「ど、どうして誰も来ないのだァッ!」

「お父様……。社員さんたちにも見放されてしまったのですね……。 決着をつけましょう!」

 

 ノワールの掛け声により、怪盗団がシャドウオクムラと秘書らしき宇宙人を取り囲む。

 

「クソッ! こうなったら……、春! お前がいけ! 我が社の威光を知らしめてやるのだ!」

『はい、お父様!』

 

 なんと、DRが秘書的な何かだと思っていた宇宙人は、奥村社長の認知上の春だったのだ。シャドウ春はシャドウオクムラの言葉に二つ返事で頷きながら前に出ると、宇宙人からロボットに変身した。

 

(──親に対してのイエスマン…、いやイエスウーマンって事か。酷いモンだ)

 

 割りと自由にさせてくれる自分の親の有り難さを噛み締めながら、DRは戦鎚を春ロボットに向ける。

 

『オ父様ノ、タメニ』

「ノワール! この出来損ないのお前、ぶっ壊して構わねぇよな?」

「……ええ! ぶっ壊してしまいましょう!」

 

 春ロボットは専務ロボよりも断然弱かった。後もう少しで壊せる。そうなった時──

 

「自爆だ! 春! 自爆して、賊どもを吹き飛ばすのだ!」

『ハイ、オ父様。承知イタシマシタ!』

「チッ! どこに娘を自爆させる親も、それを受け入れる娘もいるってんだ!」 

 

 DRは柄にもなく怒る。DRは自分が感受性が低いと思っていたが、ただ友達がいなかっただけでそうでもなかったらしい。

 

「一樹君、あれをやりましょう!」

「……あれかぁ。まァしゃあねぇ、やるか!」

 

 

───SHOW TIME!!

 


 

 舞台は代わり、何処かの夜の街。

 

 悪人の豪邸の窓を割って現れたのは家宝のダイヤモンドを盗み出した美少女怪盗ノワール!

 

 ワイヤーアクションを使い華麗に街中を駆ける彼女を何処からともなく出てきたパトカーが追う!

 

 警察の卑劣な罠により囲まれたノワール!

 

 じりじりとノワールに詰め寄る警察たちに突如ミサイルが襲った!

 

 何処からの襲撃かと探し生き残った警察が指差したのは高いビルの屋上、そこに立つ1人の男──ワイルド仮面DRだった!

 

 目と目だけで会話する美少女怪盗とワイルド仮面!

 

 そしてまったく別の場所から発射されたミサイルとグレネードが何故か同時に命中する!

 

 爆煙が立ち上ぼり、危機が去ったと安堵する美少女怪盗。ふと気付き上を見上げた時、彼はもう消えていた……。

 

 


 

 

───SHOW'S OVER!!

 

 

(──ああ……。恥い……)

 

 Show Timeと怪盗団が呼んでいる、認知を利用したうんちゃらとモナが説明していた大技が炸裂した。

 

 『ホシ』とやらにも認められ、何時でも使えたが、特にDRが嫌がった為に使う機会を逃していた技ではあるが威力は確かだ。シャドウ春は自爆する事なく破壊された。

 

「なっ!? 春でも止められないと言うのかッ!」

 

 ついぞ誰も手下のいなくなったシャドウオクムラが椅子に座ったまま慌てふためく。

 

「ええい! 誰でもいい! そうだ! 貴様、もう一度怪盗団を裏切れ!そうすればァッ!」

「アホかってんだ。やれ、ノワール!」

 

 シャドウオクムラが喚いてる隙にDRが襲い、ノワールの方向へ誘導する。

 

「お父様、覚悟!」

「グワァァアッ!」

 

 ノワールに叩き切られたシャドウオクムラは暴走して飛んでいく椅子にしがみついていたが、力足りずに落っこちた。

 

 

「アァ……。所詮、敗北者の血筋か……。 彼との縁談は、私から断りを入れる。オクムラフーズは、もう終わりかもしれない……。 ウウッ……。申し訳ない、春……」

「お父様……」

 

 囲まれ負けを認めたシャドウオクムラが土下座した。「縁談」などとDRの知らない言葉が出るが、DRは一応空気を読んで聞き流した。

 

 黙って聞いていると、なんと奥村社長があの精神暴走事件と関わりが有るらしい。これも、DRは初聞きだ。

 

「誰と、どんな契約か」を聞き出す前にパレスが崩壊を始めた。しょうがなしに、オタカラを盗んだ怪盗団はモルガナカーに乗り込み逃走を開始する。

 

「お父様は連れていかなくていいの!?」

「心配ない! ぐずぐずしてると、ワガハイらの方がお陀仏だぜ?」

「……。」

 

 モナたちはそう言って先に逃げていくが、ノワールは少し迷っている。

 

「しょうがねぇな……」

「一樹君!?」

「貴様……。何故助ける…?」

 

 ノワールを見かねたDRが、シャドウオクムラの肩を持って走りだす。

 

「友達の父親を『どうせ現実世界じゃ生きてるから』って見殺しにできるほど、俺は外道じゃねぇって事ですよ、社長」

「……ありがとう」

「取り敢えずノワールはそっちの肩持て。早く逃げねえと本当にお陀仏だ」 

「ええ!」

 

 ノワールがシャドウオクムラの肩を持った事で、3人は崩壊しつつあるパレスを更に早く走る。

 

「……損得だけでは、計れない物もある、か」

「ま、そういうことです。……社長?」

 

 DRが答えるといきなり、シャドウオクムラの体が消え始めた。

 

「お父様?」

「……成仏?」

「私は、現実の私の元へ帰ろう。春……、いい友を持ったな」

 

 そう言い残してシャドウオクムラは消えてしまった。

 

「……えっと、死んだ訳じゃ……、ないよな?」

「多分…?」

 

 二人の足が止まるが、パレスの大きな揺れによって正気に戻る。

 

「やべえ! 急ぐぞ!」

「ええ!」

 

 しばらく走ると、開けた所でモルガナカーが待っていた。

 

「遅いぞお前ら! 早く乗れ!」

「悪かったな人助けしてたんだよ!」

 

 二人がモルガナカーに乗り込み、怪盗団とDRはなんとかパレスから脱出した。

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