「新鮮な敵だぁ!」
DRの気の狂った叫びと共に戦鎚が振るわれ、下半身が蛇の形をしたシャドウが叩き潰された。
「おかわりだっ! ≪PL・ガン≫!」
その勢いを残したまま、ファントムに乗り込んだDRが両腕から気力の弾丸が発射する。既にかなりの体力を削られていたシャドウは乱射された弾丸に直撃して、そのまま消滅した。
「うわ……。マジでヤベーな、パイセンの戦い方」
「敵だったらと思うとヤバいよね……」
「だが、頼もしい味方だ」
ここはメメントス。怪盗団と一緒に依頼をこなす為、DRはここを訪れていた。
DRにとって怪盗団の初仕事であり、怪盗団メンバーと初めての連携だ。が、興奮し
「さあ、楽しませろォ!! ……ふう」
シャドウの攻撃を雑に避けたDRが最後のシャドウにトドメを刺すと同時に、DRの
「おっ」
「……悪い。今落ち着いた」
DRは
「もう大丈夫そうなの?」
「ああ。飛び出して悪かったな」
少しはマシになってきたが、DRの興奮を抑えられず一人で突っ込んでしまう悪癖がまだ治っていない。
「はぁ……。この癖は早く治さないとな」
「でも、落ち着くまでの時間は早くなってたよ!」
「……そうか。サンキュ」
励ましてくれるノワールに感謝を言いつつ、モルガナカーの助手席に座る。運転はDRがやっても良かったが、慣れているとのことでジョーカーがやることになっていた。
「それにしても、あのレベルのシャドウを1人で倒すなんて、貴方のファントムは強力ね」
「あー、搭乗してればな。ただのペルソナとしちゃ、最弱かもしれん」
「スキルも半分しか使えないしな……」
この認知世界において、DRの強さはアナーキーだ。
しかし搭乗していない──興奮していない状態では、何故か皆と違ってスキルを4つまでしか使えない上、しかもハンマーと銃を片手で振るう事もできなくなってしまう。
どうにもDR自身が『武器と銃はペルソナに搭乗していないと満足に扱えない』と認知してしまったのが問題らしく、どれほど鍛えても素の状態では両手でないと使えないのだ。
お陰でDRは通常攻撃において威力はあるが命中率が低く、スキルの幅も狭い。しかしペルソナに乗れば突っ走ってしてしまう悪癖がある。
全くもって面倒だ。せめて暴走しないように抑えなければと、DRはため息をついた。
『そろそろだぞ! 気を引き締めておけ』
「りょーかい」
モナがハンドルの所から皆に告げる。流石にもう慣れたが、自分の武器といい認知世界は何でもアリだなと、DRは改めて認識する。
いま狙っているターゲットは引き籠りだ。ターゲット自ら、親の脛を齧る自分の弱い心を改心してくれと頼んできたのだ。イレギュラーな件だったが、こんなご時世に怪盗団を頼ってくれたのだからと怪盗団は受ける事にした。
メメントスの一角に、ターゲットの男はいた。
「誰だ! まさか……、怪盗団か!」
「そうよ。貴方の依頼を受けて、改心に来たの」
「く、くそ! なんで来やがった!? 俺はただ、『治す努力はしてる』って自己満したかっただけなのに!」
「……改心する気はないと?」
「当然だ! 俺は悪くねぇ! 俺を生んだ親が、環境が悪いんだ!そう……、俺は悪くねぇ! だから、テメェらが悪いんだ!」
「ダメだこりゃ。戦うぞ、指示してくれ!」
話すら通じず、引き籠りのターゲットは便器に座った悪魔に変身した。怪盗団は武器を構える。戦闘は無しで終わる筈の依頼だったが、怪盗団に動揺はない。流石、慣れている。
『敵一体、みんながんばれ!』
「結局こうなんのかよ! ──≪ジオダイン≫!!」
「ゾロォッ!」
「彼はもう一人の俺だ! ──ッ!? 氷結は駄目だ!」
仲間内でも特に素早い三人が次々にスキルで攻撃するが、あまり効いた様子がない。氷結に関しては耐性すら持っているようだ。
「俺は悪くねぇ!≪コンセントレント≫!」
「チッ!そればっかでウルセえな!! これはどうだよ!」
敵の使ったのは魔法攻撃の威力を上昇させるスキル。攻撃させるのは不味い。そう判断したDRはファントムに乗り込み、咄嗟に≪ペイン・トレイン≫を発動する。
「ぐお、ぎゃあ!」
「ハッ! 物理には耐性がなかったらしいな!」
『敵ダウン! DR、やるな!』
DRのブチカマシでガイィィンと景気の良い音がなり、引き篭もりのシャドウは勢いよく吹き飛んでダウンした。即座に、尻もちをついたシャドウを囲んで銃を構える。
「クソォ……。た、たまたま運が悪かったんだ。俺は、俺は悪くねぇェ!」
「話にならないわね。どうする? ジョーカー」
「……総攻撃だ」
「そうこなくちゃな!」
ジョーカーの指示により、メンバー全員でシャドウをタコ殴りにする。
「アァァァッ殴る殴りたい殴らせろォ!」
『総攻撃ターイム!!』
──Enjoy&Existing!!(楽しく、刺激的に!!)
総攻撃に耐えられず、ターゲットは元の姿に戻った。
「そうだよな……。悪いのは俺だよな…。 分かってた、分かってたんだよ……」
「……オマエ、最初から自分が悪いって分かってたんだろ? なら──」
モナたちがそれらしく説得する。DRは会話は下手なので口を挟まない。
「そうだよな……。今度こそ、働いてみるよ」
パレスの種を残して、ターゲットは消滅した。依頼は完了だ。次のターゲットを目指して歩き始めるジョーカーの後ろで、小さくDRは笑う。
「……俺も、活躍できるとはね」
ノワールとモナの3人で潜った時に感じたタールのようにドス黒い妬みを、DRはもう感じなかった。
【お願い】
50話を突破したら、SSを書こうと思っています。以下のアンケートで一定の票を取ったSSを書きますので、是非ご投票下さい。
本作品には恋愛要素が──
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必要
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必要ない
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少しだけ欲しい