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『ざっけんな何で死んでねーんだバカカイトウ団! 俺だって賭けてんだよ!』
DRが各種アイテムでHPとSPを回復している中、もはや悪意を隠そうともしないリングアナウンサーが実況を続ける。
『ここで逃がす訳ねーだろ! 空気読んでここで死ね! 最後の選手の登場だぁ!』
リングアナウンサーの煽りと共に、第三ラウンド、バトルアリーナ最後の相手であるシャドウが泥を突き破る様にして現れた。
「あれは…。なんてこと……」
「うわあ……。でっけー」
「DR……」
現れたのは、ファントムを纏ったDRの二回り、三回りは大きいであろう体躯をした
「はっ! どこぞの部長を思い出すな。いや、専務だったか?」
オクムラパレスで破壊した専務ロボの事を思い出すサイズの巨人を見ながら、DRは軽口を叩きつつ作戦を組み立てる。
(見てくれからして、物理属性に耐性が有りそうだな…いや電撃か? となると……ああ面倒臭ぇ!)
すぐにDRは考えるのが面倒になり、『殴って、転ばせ、また殴る』といつも通りの雑な作戦に落ち着いた。物理が効かないのであれば、先程できたばかりの新技を使うだけだ。
『骨も残すなよ! 極限の3回戦、開始だぁ!』
「最っ高の時か──ッ!?」
「DR?!」
開始のリングと共にファントムに搭乗しようとしたDRは、巨人の動きを見て咄嗟に大きく飛び退く。
──ピッ、ドォォン
直後、
「ハァッ!? なン、だその威力!」
DRの目の前の地面が、電撃により深く抉れ黒く焦げている。
今の攻撃は明らかに、スカルの
(『各個集中の眼差し』の特性? 『電撃ハイブースター』か……? いや、そんなモンじゃなかった……)
『コンセントレイト』を使った様子はなかった。『電撃ハイブースター』ならセイテンタイセイも持っている。しかし
「ッツ!! 危ねぇな!」
──≪メガントレイド≫!!
戦闘中にも関わらず動きを止めて唖然としていたDRに、物理属性の
初動が遅れた為に避け切れず、DRは咄嗟にガードした腕で攻撃を喰らってしまう。
「イィッ、ハッハッァ!」
腕の痛みに恍惚としながら、DRは反射的に戦鎚を振るう。
(─狙いの当てた感じ、物理耐性だな!)
物理がいくらかは効く分、二回戦の相手よりはやり易い。そう判断しながら、DRは体勢を整えるべく後ろに下がる。
「DR! さっきトールの使った電撃属性のスキルは≪エル・ジハード≫……雷撃属性最強の技だ! 全力で避けろ!」
「はぁ? マジかよ……」
モナからの忠告に、DRは巨人の動きを警戒しながら
「まあ、でも……、どうでもいいな! さァ楽しませろォッ!」
DRは一息にファントムに搭乗し、巨人に向かって突撃する。威力が特大の魔法を使おうが隠し球だろうが、DRの方針は変わらない。
「 ≪ペイン・トレイン≫!」
───≪メガントレイド≫!!
「──ッ!? グゥ……!」
「DRが押し負けただと!?」
DRのタックルがぶつかる寸前、巨人はスキルをDRにぶつけ、突進の衝撃を押し返してしまった。
(この威力……。いつの間にか≪チャージ≫を使ってやがったな……)
そう推測して、DRはニイジマパレスに初めて侵入する前にリーダーが
ミサイルが巨人付近の地面にぶつかって大爆発を起こせば、それなりのダメージを負わせたらしい。少々の動揺が見えた。
「はっ! 銃撃には耐性がねーんだな!もういっちょ、≪ペイン・トレイン≫だ!」
ガアァン!!と鈍い音が響き、DRのタックルは今度こそ巨人をダウンさせた。
ここぞとばかりに、DRは気力を腕に集中させる。『ペルソナ・フィスト』は万能属性かつ高ダメージの便利な技である分、発動までに若干時間が必要なのが欠点だ。
──≪チャージ≫
「遅せぇんだよ! ≪ペルソナァァ・フィストォォ≫!!」
先程と同じ様に巨人は強化した『メガントレイド』での相打ちを狙ったが、DRの拳は巨人のスキルが発動するよりも早く巨人の体を打ち抜いた。
「チッ。やっぱ一撃じゃやれねぇか」
見た目の通り体力は多いらしく、DRの拳は巨人をいくらか疲弊させた様だが、倒すには至らなかった。
「まあ、殺せるまで殴りゃあいいだけだけどな! ──≪メギドラオン≫!!」
先程の戦いで、万能スキルも一段階進化していた。万能属性故に微妙な威力だが、銀の閃光は巨人に『メギド』よりはマシなダメージを与えた。
──≪メガントレイド≫!!
「痛、てぇなあ! でも、いいぜェ! さあ、もっとやろう!!」
両腕と戦鎚でスキルを受け止め、DRは反撃を試みる。が、
「──あ?」
戦鎚を振るおうとしたDRの腕が、ガクンと崩れる。
「な、しまっ……!」
『チャージ』は、使えば一度物理攻撃を行うまで効果が消えない。つまり、DRを迎え撃つ為に使われていた『チャージ』の
ここは認知の世界。故に骨が折れたり腕が潰れたりする事はない。しかしそれでも、重い攻撃をもろに受け止めれば、痺れるのは当然の事だった。
──【エル・ジハード】!!
「ガァッ!!」
DRが怯んだのを見逃すはずも無く、巨人の迅雷が、DRを襲う。
「──! よりにもよって…!」
DRの体が、雷撃によって痺れた。『感電』の状態異常である。
──【チャージ】
──【メガントレイド】!!
「ガァァァッ!」
物理に耐性が有れど、『感電』中に物理攻撃で『テクニカル』を取られればダウンしてしまう。DRは、体を痺らせつつ床に崩れ落ちた。
──【エル・ジハード】
「ッッツ!!」
──【ガシンショウタン】!!
「っつ…今のは、ヤバかったな…」
『食いしばり』の発展スキルである『ガシンショウタン』が発動したという事は、今の攻撃でDRは死にかけたという事だ。
DRは戦法的に、食いしばり系のスキルはよく発動させる。普段であれば、一歩下がって仲間に回復してもらい、また無謀ができる。しかし、今は一人だ。
選択を間違えれば、死ぬ。ここにきて、その
「うぁ、あ…ァ、」
そして…
「…アァ…最ッ高だァッ!!」
もう我慢ならないと、DRはハーフガスマスクの下に恍惚の表情を浮かべ、
「そうだよなぁここはカジノだもんなぁ。
身を
「さっきの試合で散々スン止めされたからなぁ! もう【自主規制】しそうだ! いいやもう【規制】った!
このスリル、死にかけた生の快感! アァ堪らない! なあ…もっとくれよぉぉ!!」
そう叫びながら、DRはファントムを纏い、欲望の求めるままに巨人へ突撃する。
──【狂人の暴勇】!!
走れば身体中が痛む。しかしその痛みが、DRを更に興奮させた。そしてその興奮の赴くままに、DRは戦鎚を振るう。
「楽しいなぁ! あ? 一日中やってられるぞ!」
巨人が怯んでいる隙に、DRは二撃、三撃と追撃を喰らわせる。
──【チャージ】!!
「遅ぇんだよ!」
巨人が反撃しようと力を溜める。が、勢いに乗ったDRは止まらない。
「──【ペルソナァ・フィストォォ】!!」
DRの拳は巨人の胴体に直撃する。だが、巨人はまだ倒れない。
──【メガントレント】!!
正真正銘、巨人最後の力を振り絞った攻撃。
「……なあオイ。ギャンブルで負けない方法を知ってっか?」
突如、正気に戻ったかの様な声でDRは尋ねる。
『ガシンショウタン』で回復する体力は10%程。残った体力でこのスキルは堪えられない。しかし、DRは動かなかった。
スキルがDRを襲うその寸前──
「相手のチップで、ベットするんだよ!」
──全ての衝撃が跳ね返った。
──[フィジカル軟膏]!!
『チャージ』込みの『メガントレント』。それは、巨人にトドメを刺すのに充分な威力で。
「──ッッ!!」
巨人は膝を付き、そのまま消滅した。
「DR…スゴいじゃん!」
「何処からが作戦だったの…? いや、彼の場合は…」
観客席のメンバーもホッと息をついている。それを見ながら、DRはファントムから離脱した。
DRは興奮に溺れながらも、巨人が咄嗟の反撃に『メガントレント』を使う事を理解していた。
故に、戦鎚でラッシュを喰らわせる最中にコッソリと軟膏を塗っておいたのだ。
『……オ、オッズの精算は…後ほどお客様毎に行います。しばらくお待ち下さい…』
「正義は勝つ、ってヤツだね」
ああそう言えばコインが目的だったなと、DRは今更思い出した。
【ゲーム的設定】
ガシンショウタン…食いしばりの上位スキル。HPが0になる攻撃を受けた際、1回だけHP10%で生き残る+
狂人の暴勇…体力が低い程攻撃力が上昇する。具体的には、体力が1%下がると攻撃力1%上昇。