"役立たず"の奮闘記   作:緑川翼

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お久しぶりです。未完のまま放置するのもどうかと思い、終わりまで書いてみることにしました。粗が目立つかと思いますが、よろしければお付き合いください。(それに合わせて、前話までも少し修正しました)

【前回までのあらすじ】
オリ主の住吉一樹(DR)は明智に唯一「怪盗団である証拠」を握られていない怪盗団の『保険』である。明智は新島パレス攻略の直前に一樹が怪盗団である言質を取ろうとするがそれに失敗。戦闘狂の一樹はそんな明智にメメントスでの決闘を申し込む。勝負は接戦だったものの、最終的には明智の≪ムドオン≫によって一樹は敗北するのだった。


Plot twist

「……ん」

 

 DRが目を覚ました時、彼は自分が駅のホームに横たわっている事に気が付いた。否、薄暗く不気味な雰囲気の漂うこの場所は、メメントスだ。

 何故こんな所に、とDRが疑問に思うよりも早く、白いタキシードを着たクロウが視界に入った。

 

「おや、お目覚めかい?」

「……あー、負けたのか」

 

 そこでようやく、DRは自分がクロウに決闘を挑み、接戦の果てに敗れた事を思い出した。クロウは律儀にも、DRが起きるのを待っていたらしい。

 

「別に、帰ってりゃ良かったのに」

「そうもいかないさ。こんな所に意識のない仲間を放置して、何かあったら困るだろう?」

「ああ、そう……」

 

 虚ろに相づちを打つDRをクロウが不思議そうに見てくるが、何てことはない。ただの賢者タイムである。

 シャドウとの戦闘以上に興奮した分、正気に戻った時の疲れが、何時もよりも酷かった。

 

「あー、悪かったな、決闘なんざ仕掛けて」

「いや……、僕も学ぶ事が多かったよ。自分の身を顧みない闘い方が、あんなにも恐ろしいとはね。それこそ、身に染みたよ」

 

 寝転がったままのDRを起き上がらせながら、クロウが言う。冗談めかして言っているが、仮面から覗く目は本気だった。

 

「折角だし、ついでに1つ聞いてもいいかい?」

「あ? 何だ?」

 

 クロウの態度に、殴り合いをしたからこその気安さが有ることに、DRは気付いた。

 

「君は、何で僕との決闘を求めたんだい?」

「何でって……戦闘狂(バトルジャンキー)に聞くか、そんなこと?」

「いいや、君は狂ってないさ」

「……」

 

 クロウの自信を持った言葉に、DRは何も言い返さない。それを見たクロウはやはりね、と言いたげに頷いた。

 

「君は至って真面(まとも)さ。ただ、敢えて狂気の中に身を置いているだけで」

「……テレビで有名な高校生探偵を殴ってみたかった。それだけじゃ駄目か?」

「君は案外、理知的だろう? 数日後にパレスの攻略が控えているのに、仲間内でぎくしゃくする原因を作るとは思えない。だから、何を思って僕に決闘を仕掛けたのか。それが気になるね 」

 

 尋ねる様でありながら、クロウからは「絶対に聞き出す」という、探偵らしい意志が感じ取れた。DRは諦めて、答える。

 

「俺みたいな普通の……いや今は怪盗団やってるけど、普通の高校生としては、お前みたいな有名人と喧嘩してみたかった。これは本当」

 

 それは例えるなら、プロボクサーに将棋で挑む様な意味の無い行動だが、『有名人と同じ土俵に立った』という得難い事実。凡人を自認するDRには、それだけでも一生物の思い出となる。

 嫉妬と憧れの狭間にある曖昧な感情だが、それはクロウも分かるのだろう。納得はせずとも頷いて理解を示した。

 

「んでもう1個は……、アンタとの仲を深めたかったから」

「……つまり?」

「喧嘩ってのは、一種のコミュニケーションだ。 本気で殴り合って、言葉でなく拳で語り合う。そうすりゃ、お互いの心の内くらい理解できるもんだ」

「その発想、不良漫画の読み過ぎじゃないかい?」

「そうか? でもなクロウ、お前の考えてる事くらいは何となく分かったぜ」

「へえ?」

 

 心なしか、クロウは紅いマスクの下で目を細める。

 

「じゃあ、君の言う“殴り合い”性格診断の結果を訊かせてもらおうか」

「ハッ、ネットのサイコパス診断並みに胡散臭ェ名前だな、それ。まあお前が……、正義だか何だかは知らねぇが、一際強い()()で動いてる事は分かったぜ。あと、意外と性格が悪い」

「……性格が悪いって判定は不満だね。それ、僕が即死スキル(ムドオン)を使ったからじゃなくて?」

「あ~、そうかもな!」

「まったく……」

 

 DRの適当な言葉に毒気を抜かれたのか、クロウが纏っていた剣呑な雰囲気は消え去り、クロウはまだ座っているDRに背を向けた。

 

「これで録音機の件はチャラだろう? 現実世界まで一緒に戻ろうか? 」

「いいや! 俺はもう少し余韻に浸かってたいからな。先に帰ってろ」

「まあ…、君なら平気だろうけど、冴さんとの決戦前に戦力を減らす事はしないでくれよ」

 

 それだけ言い残して、クロウはメメントスから去っていった。

 

 

 

「……“殴り合い”性格診断の精度、あんまり馬鹿にはなんないんだぜ」

 

 そのクロウの背を見ながら、座ったままのDRはポツリと呟くのだった。

 

 

 

 

 

──11月19日土曜日。

 

 今日こそが真の姉であり怪盗団捜索の陣頭指揮を取る新島冴を改心させる、怪盗団の命運を別ける作戦の実行日。

 

「いよいよ……だね」

「真、冴さんに予告状は渡せたのかい?」

「お姉ちゃんに見せたわ。私の手で、目の前で」

 

 怪盗団のアジトである純喫茶ルブランの屋根裏部屋に集まって、作戦の最終確認を行う。第1のネックであった、ターゲットに予告状を見せる事は成功したらしい。

 

『よし!後は出現したオタカラを盗み出しゃあいいだけだな』

「一樹は単純に考えすぎだ!」

 

 そう双葉にツッコまれた一樹だけは、ルブランの屋根裏部屋にいない。明智に怪盗団である証拠を握られていない一樹は、余所からマイクを通じて会議に参加している。

 一樹も詳しくは知らないが、双葉が用意したマイクは集音性が高くラグがないだけでなく、逆探知も出来ない優れ物らしい。

 

「だがイツキの言う事も間違っちゃいない。オマエら、覚悟は出来てるな?」

「うん! 終わりよければすべてヨシだよ!」

「そうか……。今まで色々あったが、気付けば良いチームになったな」

 

 最古参であるモルガナが感慨深く言う。新島冴の改心に成功して強制捜査が取り止めとなれば、怪盗団を解散する。それが明智が怪盗団を警察に突き出さない条件だった。

 

 一樹も、自身の思い出を心の内で振り返る。夏休みに初めて怪盗団と出会い、色々と拗らしたままモルガナと春と一緒に新怪盗団なんかを名乗った挙げ句に1度は全員裏切って。一樹が怪盗団として活動したのはたったの2、3ヶ月だけだが、それ以前の自分とは確実に違う。

 喧嘩好きになっただとか言いたい事を言うようになったとか、そんな話ではない。もっと純粋に、『自分』を出す事を知った。

 

『……蓮、ありがとな。受け入れてくれて』

「──? ああ」

 

 何を当然の事を、とでも言いたげに首を傾げてから、蓮は頷いた。相変わらず、キザな仕草を自然にやる男だ。だがそんな彼だからこそ、一樹は()()()()のだろう。

 

 気恥ずかしくなり、一樹はマイクの向こうで声を張り上げた。

 

『これが怪盗団最後の大舞台だ。さァ、ド派手にやろうか!』

「「「おおー!!!」」」

 

 

 


 

Rank Up

 

ARCANA 『狂気』

 ★★★★★★★★☆☆ Rank8

【役立たずの仕事】消費アイテムを買ってきてくれる

【役立たずの貢献】買ってくるアイテムの種類が増える

【役立たずの使命】車での送迎をしてくれる

【狂人の暴勇 】体力が低い程攻撃力上昇

 

NEW!!【狂人の蛮勇】 敵の数が多い程攻撃力上昇

 


 

 

 

 

「──ダアァァッ!! 面倒臭え!!」

『落ち着けDR! キレたら向こうの思うつぼだ!!』

 

 血気盛んにニイジマパレスへ突入した怪盗団だったが、やはりと言うべきかオタカラの前でシャドウ冴が待ち構えており、結局戦闘となった。

 

 フィールドはカジノのパレスらしく最上階に設置された巨大なルーレットの上。

 

 露骨なイカサマありきのギャンブルを強制された前半戦を乗り越えて、総支配人風の格好から機銃とチェーンソーで武装した化け物へと変身したシャドウ冴との分かり易い殴り合いに移行したかと思えば、シャドウ冴はルーレットで選ばれたポケットによって攻撃属性と耐性がコロコロと変える面倒な戦法を取ってきた。

 

「ンでどのポケットに入っても物理銃撃に耐性持ってんだ! 攻撃がまるで効いてねえ!!」

「騒いでないで畳み掛け続けろ!ルーレットが止まるぞ!!」

 

 フォックスが警告するも遅く、ルーレットの回転が止まり、巨体の化け物となったシャドウ冴の属性と耐性が切り替わる。

 

『私の正義は示した……!! 灼熱の地獄は、悪を裁くためにあると!』

 

 ──≪核擊刑≫!!

 

「きゃあっ!?」

「ノワール!」

「クッ…、回復が必要だ……!」

「クロウもか?! チッ…、暴れろファントム、≪メギドラオン≫!!」

 

 モルガナが2人を回復する時間を稼ぐべくDRは万能属性のスキルを放ったが、効果は薄い。どんな相手にも等しく効くだけに、魔の低いDRが扱う万能属性は致命打となり得ない。

 

「覚悟の時間だ!」

「うおらァァッ!!」

 

 しかし仲間と共に連撃すれば、シャドウ冴の攻撃を遮りモルガナがスキルを使うだけの隙を生み出す事は出来る。

 

「ほいっとな!≪メディアラハン≫!」

「ありがとう、戦線に復帰します!」

「礼を言うよ」

 

 メンバーの体力を全回復させる≪メディアラハン≫によって、後ろに下がっていたノワールとクロウが前線へと舞い戻ってきた。

 特にノワールは(現在の)シャドウ冴の弱点である念動系スキルの使い手であり、それを理解しているシャドウ冴は再びダウンさせようとスキルを発動するが──

 

「≪ペイン・トレイン≫!! ハッハァ!ノワールを狙うと思ったぜ!」

『このッ、猪口才な……!』

「やれ、ノワール!!」

「うん、DR!!」

 

 ファントムに騎乗したDRが体当たりをかまし、それを邪魔した。耐性があると言えど、無効化している訳ではない。ダウンは取れなかったが、よろめかせる事は出来た。

 

『──惑わせミラディ! ≪サイダイン≫!!」

『アアァッ!!』

 

 虹色の球体に直撃したシャドウ冴は大きくたたらを踏み、足踏みする。今までで1番のダメージだ。苛立ち両手の機銃とチェーンソーを振り回しながら、シャドウ冴は叫ぶ。

 

『クッ……。勝利こそ正義! その為なら何をしたっていい! 勝てば官軍、そうでしょう?! 私はどんなことがあっても、勝ち続けなければならないのよ!』

「お姉ちゃん……」

「なんつー理屈だ。完全に手段と目的が入れ替わってやがる」

 

 真から聞いていた人物像とはかけ離れた酷い言葉。シャドウ冴が一言話す度に、クイーンは辛そうに顔をしがめる。

 

 父が殉職してしまい、まだ学生である妹の真を守るのは重圧だっただろう。男社会で女がその身一つで成り上がるのが容易なハズがない。

 だがその栄進は、妹をこんな辛そうな顔にしてまで求めるモノなのか。少なくとも、聴いた限り最初は妹の為に歩んだ出世街道だった筈だ。

 一時期は敵対したとは言え、DRは怪盗団の一員だ。真の為にも早く新島冴を改心させようと、一樹は決意を新たに固める。

 

『勝てばいいのよ……、勝てば!!』

 

──≪ルーレットタイム≫!!

 

「チッ、ルーレットが回り出した、また属性が変化するぞ!」

「なら……、今の内にカタをつける!!」

「それが一番分かり易い!!」

 

 ジョーカーが先導し、皆で武器やスキルによる攻撃を行ったが、シャドウ冴はしぶとく、体力を削りきれない。そして……ルーレットが止った。

 同時、パンッ!と祝杯を挙げる様に、ルーレットに設置されたクラッカーが弾けた。今までのルーレットとは、何かが違う。

 

「な、何だ……!? みんな、警戒しろよ!」

『私は正しい……、正しいの! だから…勝者でいなくてはならないのよ! 邪魔するヤツは叩き潰してあげるッ!!』

 

──≪狂戦士の舞い≫!!

 

「ッ!? ヤベッ……!!」

『DRダウン! フォローしてやって!!』

 

 シャドウ冴が絶叫と共に放った衝撃波は、万能属性の力を纏っていた。それはDR唯一の弱点であり、喰らったDRは耐えきれず膝を付く。

 

『死ね死ね死ね死ねッ!!』

 

──≪ガトリング砲≫!!

 

 調子づいたシャドウ冴が右手に持った機銃で掃射を行ったが、DRは耐性もあり何とか耐え凌ぐ。

 

「DR! これを使って!!」

「おっ、サンキューノワール!命拾いしたぜ!!」

「ふふっ、さっきのお返し!」

『よーし、DR戦線に復帰だー! ニイジマは今、耐性を全部無くしてる、畳み掛けろー!!』

 

 ノワールが投げた宝珠の力で、DRの体力は瞬く間に全回復した。加えて、シャドウ冴がパワーを増加させた結果、多種持っていた耐性を失った事をナビが暴き出した。つまり、今なら物理が効く。

 

「少しは活躍しねぇとな! ペルソナァッ!!」

 

 素早くファントムに搭乗したDRは、上昇した力を活かしてシャドウ冴をスレッジハンマーで殴打する。先ほどまでとは違い、確かにダメージの入った“感触”があった。

 

『勝てば、勝てばいいのよ……! 勝ちさえすれば、それできっと……!!』

「お姉ちゃん! いい加減目を覚まして!!」

「クイーン! ここまで来ちまったんだ。言葉じゃなくて、拳で聞かせるしかねぇだろ!!」

「DR…。ええ、そうね。アレをやりましょう!」

「りょーかい!」

『いっけー! ショータイムだ!!』

 

 

───【SHOW TIME】───

 

 何処とも知れない荒野にて、敵を前に顎に手を当てて考えるクイーンと指を鳴らすDR。

 

「決まった、プランαよ!」

「アルファ! 了解した!」

 

 指示を仰いだDRは一目散に敵目掛けて突っ走る。

 

「最初はラリアット! からの右フック、カウンター! 良いね命令通りだ!」

 

 周囲の状況、敵の体格、その他諸々を想定に入れた猛攻はすべてクイーンが考え出した物であり、反撃のタイミングすら折り込み済みのこのプランに隙はない。

 

「フェイントだ! 楽しいなぁっ! 命令を遂行する! 直撃だ! 前回し! からのぉ……! 」

 

 鋭く重い前回し蹴りから連続して放たれるDRのラリアットが敵を吹き飛ばす! それをDRが追い掛ければ、吹き飛んだ先には作戦通りクイーンが待ち構えている。

 

「ハァァァ……、ハァッ!」

「ハーッ、ハァァッー!!」

 

 クイーンによる合気道仕込みの正拳突きとスピードを乗せたDRの乱雑な拳による挟み撃ち!

 

「そして最後は決めポーズ!!」

「全部命令通りだぜ!」

 

 何故か敵を巻き込んで発生した爆発を背に、クイーンとDRのポーズが決まった。

 

 

 

SHOW'S OVER…

 

『完璧な連携プレーだったぞDR! グッジョブだ!!』

 

 見事クイーンとDRのショータイムは炸裂し、ついにシャドウ冴は機銃とチェーンソーをボロボロと落としながら、バタリと力尽きた。

 

「……イカサマでも実力行使でも負けた。完敗ね」

「お姉ちゃん!」

 

 化け物の姿から総支配人風の服装に戻ったシャドウ冴が、膝を付いたまま敗北を認める。耐えきれず、クイーンがシャドウ冴の元へ駆け寄った。

 

「あ~、俺らはオタカラを探してくる。スカル、フォックス、行くぞ」

「おう!」

「ああ」

 

 気まずい空気は苦手だと、DRは2人を連れて奥へと走っていく。説得や何だは、ジョーカーやモナの専門だ。3人が去った後も、会話は続く。

 

「法で裁けない悪事を明るみに出して断罪する事……。それは間違ってないと思う。怪盗団だって、そういう意志で動いてる。でも手柄の為に強引な捜査をしたり真実をねじ曲げたり……」

 

 クイーンはシャドウ冴の目を見ながら訴えかける。

 

「ねえ……、検事になるって決めた時の気持ち、思い出して! それが……、お姉ちゃんの正義でしょう!?」

「私の…正義……。私の……」

 

 クイーンの言葉で深く考え込んだシャドウ冴を見ながら、ノワールはポツリと呟く。

 

「新島さんも、お父様も……、何がきっかけでこうも変わってしまうの……?」

「確かに欲望が原因といっても、それだけでここまで歪んで偏った思考に陥るなんて……。本人も知らない要因でもあるのか……?」

「よう! オタカラ、見付けたぜ!」

 

 クロウの思考を遮って、アタッシュケースを手にしたDR達が奥の部屋から戻ってきた。これで、パレスに潜入した目的は果たせた。

 

「これで新島さんの歪んだ欲望を取り除ければ、もう強引な強制捜査は行わないだろう。そうすれば調査も正しく動いて、君たちの容疑も晴れるハズだ」

「これで、怪盗団も解散だな」

「取引、忘れてないようで良かったよ」

 

「──んンッ?!」

 

 弛緩した空気を切り裂く様に、ホログラムの画面を展開したナビが叫ぶ。

 

「敵の反応?! いつの間に!? ……ッ、外に集まってる……!!」

「マジでか!? どうなってやがる!?」

「これは、なんて数だ……」

「これ……、ヤバくない……?」

「とにかく動くぞ! すぐにシャドウはここまで流れ込んでくる、囲まれたら終わりだ!」

「この人数で固まってたら、すぐに見つかっちゃう。バラバラに逃げないと………」

 

 でも、とクイーンは仮面の下で顔をしがめて言い辛さそうに言う。

 

「でもそれだと、皆が逃げる間シャドウを引きつけるオトリ役が必要に……」

「なら俺が……!」

「いや、危険な役割だ。リーダーに任せろ」

「ッ…!! 分かった……」

 

 ジョーカーは無口な分、言い出したら聞かないのだと、DRも理解している。アタッシュケースを手渡して、DRは言う。

 

「美味しいポジションを譲るんだ、死んでくれるなよ?」

「……死なねえだろ、コイツなら」

「無茶だけはしないで」

「帰ってこなかったら……、許さないから」

 

 皆の言葉に1度だけ頷いて、ジョーカーは飛び出していった。危険だと分かっていながら仲間の為に己から身をさらすあの覚悟、狂人を自認するDRであっても真似出来そうにない。

 

「よし! 私たちも逃げるわよ!」

「まさに後ろ髪を引かれる思いだ……!!」

「じゃあ……、また後で」

 

 ノワールの言葉を最後に、怪盗団はバラバラな方向から脱出を目指す。単独でパレスを走るのは、それこそ奥村パレス以来だろうか。

 

「……負けるんじゃねえぞ、リーダー 」

 

 DRはポツリと、しかし断腸の思いでそう呟いた。

 

 

 ──だが逃走に成功した怪盗団メンバーが現実世界で落ち合った時、ジョーカーの姿はそこになく。『怪盗団リーダー 逮捕』のニュースが流れたのは、それから2日後の事だった。




【主人公の簡単な設定】
・住吉一樹(DR)
・コープは『狂気』
・扱うペルソナの名はファントムであり、『着衣式』という特徴を持つ。
・秀尽高校の3年生で奥村春と同じクラス。高身長かつ短髪のため、威圧的な容貌。
・元はコンプレックスに満ちた性格だったが、ペルソナに覚醒して以降は「戦闘」に喜びを感じるバトルジャンキーとなる。

DRのスキルで残りの1枠は何がいい?(五月雨斬りは止めました)

  • 万能ブースター系
  • 万能見切り系
  • 心得系
  • カウンター系
  • オリジナルスキル
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