"役立たず"の奮闘記   作:緑川翼

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Conclusion

 

 巨大なダルマの鎮座する歪んだ認知の本会議場。そこの議長席に、図々しくも獅童のシャドウは立っていた。

 

「観念してもらうぜ。ハリボテの剥がれた議員さんよ」

「……ふん。怪盗団か。私に従わぬ反逆者どもは殺さねばならないが……、最後に文句があるなら聞いてやる」

「お前……、何故明智を殺そうとした?! アイツは、お前の実の息子だったんだぞ!」

 

 平然とした態度を崩さないシャドウ獅童に、フォックスが仲間意識すら持っているクロウに刺客を送りつけた理由を問い掛けるが、シャドウ獅童はそれを鼻で笑う。

 

「実の息子か。そんな所だろうとは思っていた。あの女の面影があったからな。アイツは元々、私が総理に就任したら理由を付けて消すつもりだった」

「なんですって!」

「アイツは私の過去を知っているんだぞ?生かしておくわけがなかろうが! しかし、アイツも頭は切れるがただのガキだったな。ずっと傍にいた私の考えも見抜けぬとは」

 

 そう嘲笑うシャドウ獅童には悪びれる様子すらなく、 獅童にとっては自分の息子を使い捨てることなど罪悪感を抱くに値しないのだと、怪盗団は理解する。

 

「ひどい……!! こんな奴のせいで、何人の人が犠牲になったの?!」

「お前はお母さんの研究を盗んで、命まで奪った!」

「私のお父様まで…! 絶対に許さない!」

「何を言うかと思えば! 改革に犠牲はつきものだろう! 愚か者は優秀な人間に委ねていればいい。この私が、導いてやるよ」

 

 ひどい理屈だ。こんな男のために春の父親や明智は人生を狂わされたのかと、DRですら怒りが湧いてくる。DRはその怒りのままに、シャドウ獅童へ飛び出した。

 

「自分だけが頭が良いとか考えてんじゃねえよハゲ頭! 優秀な人間に身を委ねろって? ハッ!なら俺がッ、お前を地獄へ導いてやるよ!!」

「クッ、貴様ッ……?!」

「「DR!?」」

 

 飛び出したDRによるスレッジハンマーは紙一重でシャドウ獅童に回避され、DRは大臣席の辺りへと着地する。追撃を狙うが、流石にその隙は見当たらない。

 

「ふん。もう少し考える頭があるかと思ったが……結局は愚民か。取るに足らん雑魚だが、そんな綻びで国は滅びる。

 

 ──私は、そんなミスを犯さない」

 

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「なっ、議員だと!!」

「いつの間に……?!」

 

 シャドウ獅童の演説に呼応して、無人だったはずの本会議場の議席を同じ顔をした議員たちが埋め尽くし、その全員がシャドウ獅童へ拍手を送る。

 満場一致、衆議一決。あまりに異質な光景であり、これが獅童の望む日本の未来かと、DRも底冷えするような恐怖を感じる。

 

『言っておくが、見苦しく暴れたあの愚息と同じだとは考えんことだ』

「お前……!!」

 

 巨大なダルマに目が入ったかと思えば、議員は消滅して、本会議場に足場が現れる。そうして場が整ったとばかりに、シャドウ獅童が黒いドロをまとう。

 

『さあ、速やかに死にたまえ』

 

 ドロから現れたのは、巨大なライオンにまたがった、軍服と異様なマスクを着けたシャドウ獅童である。ライオンは人柱で構成されており、獅童の人を踏み台としか思わぬ心を象徴するようであった。

 

「チッ! なんだそのマスク、赤い彗星かっての!」

「ウチのリーダーが世話になった礼だ! ジョーカー!」

「……ショウタイムだ!!」

 

 ジョーカーのかけ声と人柱のライオンの遠吠えにより、戦いのコングは鳴らされた。

 

 

 

 

『私の創る国家に賊はいらない。私と、私を敬うものだけでいい』

「サイテーな国! 明智がいなければここまで来られなかったくせに!」

『明智が現れたのも、神が私に期待しているからだ。私だから、明智のあの力も有用に使えたのだ』

「成功は自分のお陰、失敗は自分以外のせいってか? “ストレスの無さそうな思考で羨ましいぜ、ハゲのくせによ”!!」

 

 シャドウ獅童……、否、人柱のライオンとの戦いは熾烈を極めた。ライオンは物理と銃撃を無効化して反射する性質を持っていたために、DRが役に立てないのだ。

 ≪ペルソナ・フィスト≫や≪ペルソナ・グレネード≫のチャージをする暇はなく、DRは≪扇動≫によるタンク役に徹している。

 

『フン、愚民の妬みだな。貴様らの本質は『自己犠牲』という名の他力本願。そんな愚民どもの願いを叶えてやる。それが神に選ばれた、この私にしかなせない偉業なのだ!!』

 

 ──《宣戦布告》!!

 

「グッ! アァァッ…、ムカつくなァァ!!」

『ヤバい、 DRが激怒状態! 落ち着け~!!』

 

 堅くて痛い。そんな単純に強い人柱のライオンは厄介だが、悠々とライオンにまたがるシャドウ獅童のアシストもまた厄介であった。

 ライオンの攻撃に合わせて≪マハスクンダ≫で回避力を下げたり、こちらの強化を≪デカシャ≫で打ち消したりと、シャドウ獅童は安全圏から一方的に怪盗団の邪魔をしてくるのだ。

 今度もまた、激怒状態にする事で物理を反射するライオンへの安直な攻撃を煽っている。

 

「クッ、こんな時はコレだ!」

「ぐえッ?!」

 

 フォックスに引っ叩かれ、人柱のライオンへ無茶な突撃をかまそうとしたDRは正気に戻った。

 

「目は覚めたか、DR」

「え? あ、ありがとう……。え? いま素手だったよな? ハリセンじゃなくてビンタだったよな?」

「いや?」

「そ、そうか? 悪かったな……」

 

  DRには平手打ちされた感覚が残っているのだが、激怒状態だったため確信はない。自分の勘違いだったのだなと納得させて、DRは人柱のライオンと戦う仲間達の元へ戻る。

 

『DRが復帰した! やっちゃえ~!!』

 

 DRの戦線復帰した怪盗団による猛攻。人柱のライオンは翼を生やしたりピラミッドに変形したりと抵抗を続けていたが、ついには力尽きる時がきた。

 

「これで終わらせる! ──マーラ!!」

 

 人柱のライオンはもう体力の限界だと見切ったジョーカーの召喚した、DRにも見覚えのあるペルソナから放たれた強烈な攻撃により、人柱のライオンは倒れた。

 人柱のライオンの上で余裕ぶって腕組みしていたシャドウ獅童は倒れたライオンから飛び降りて、消滅してゆく人柱のライオンへ吐き捨てる。

 

『チッ……!使えん愚民どもがッ! 俺の功績に泥を塗りやがって!』

「ケッ、負けたときだけ愚民のせいってか!」

「典型的な他責思考だな。歪んだ選民思想といい、そんなんで良く総理になろうとするもんだ」

『フン。強く有能な人間が存分に活躍するための、小さな犠牲は仕方ない事だろうが! だが、愚民にこの道理が理解出来るとは思っていない。故に、力で証明してみせるとしよう……ッ!!』

 

 そう言ったシャドウ獅童はマントと仮面を脱ぎ捨てて、筋骨隆々な肉体にバネ状のギブスを巻き付けた姿を見せびらかす。

 

『貴様ら怪盗団を、叩き潰すことでな!!』

「なッ、シドーの力が上昇したぞ!? なんだあの力は?!」

『気を付けて、あのムキムキはハッタリじゃないよ!』

 

 こうして、もったいぶりながらも重い腰を上げたシャドウ獅童と怪盗団の第二ラウンドのコングは鳴らされた。

 

 

 

 

「たっく、今度は大リーグボール養成ギブスかよ! 世代がバレてるぜ、オッサン!」

『何とでも言うがいい! この勝負、私が貰う!!』

  

 ──≪ヒートライザ≫!!

 

『シドウのステータスが更に上昇してる! みんな、気を付けて!!』

「いいねェ。現職の官僚で世間を騒がせた犯罪の黒幕との殴り合い! さァ……、最高の時間にしようぜ、トウコツ!!」

 

 人柱のライオンから降りたことで物理攻撃の反射能力を無くしたらしいシャドウ獅童へ、ペルソナに搭乗したDRはスレッジハンマーで殴り掛かる。

 

「アシストするわ、≪マハスクカジャ≫!!」

「サラスヴァティ、≪デカシャ≫!!」

「続くぜ、パイセン!!」

 

 クイーンが装備品(嫉妬の指輪)に宿った命中率を上昇させる補助スキルを発動させ、ジョーカーがシャドウ獅童のステータス上昇効果を打ち消す。それに合わせて、スカルがDRとほぼ同時に鈍器を振りかぶった。

 

『……フン。賊では、せいぜいがこの程度か』

「何ッ?!」

「オイオイ、マジか!!」

 

 しかし、仲間のアシストを受けたDRとスカルの攻撃をその身で受けたにも関わらず、シャドウ獅童は平然としている。

 

『まずは1匹か2匹、ここで叩き潰してやろう!!』

 

 ──≪覇王の拳≫!!

 

「えっ、キャア!?」

『クイーンの体力がゼロに! カバーしないと不味いよ!!』

 

 シャドウ獅童は目の前にいるDRやスカルではなく、後ろからアシストしていた頭脳役であるクイーンを攻撃した。少々の油断もあったクイーンは攻撃をもろに喰らい、戦闘不能になる。

 

「みんな、ごめんなさい……。1度退くわ……」

「クッ、モナ!」

「よし来た! モナ、前へ出る。サポートは任せとけ!」

 

 ジョーカーはアイテムやスキルを使ってクイーンを回復するのではなく、モナと交代させる事を選択した。

 

 元より体力と防御力の高いDRとスカルに回復のスペシャリストであるモナのアシストが加わって、徐々にシャドウ獅童の体力を削っていく。

 

『底辺のガキなどに……、私が負ける道理はないだろうがッ!!』

 

 ──≪覇王の拳≫!!

 

「おっと! 何度も同じ手にかかるかよ!」

「ハッ!愚者ってのは1度の成功体験に固執するらしいな。廃人化一本で成り上がった議員サンよォ?!」

『このッ、低俗な賊如きが!!』

 

 押し切られる前にとシャドウ獅童がクイーンを仕留めた攻撃をモナへと放ったが、それはスカルがカバーする。

 DRが≪扇動≫してシャドウ獅童の気を引いている内にモナが攻撃を受けたスカルを回復すれば、被害はほぼ0だ。

 

『羽虫どもが……、小賢しいッ!!』

「おおっと!」

「……大丈夫か、DR。気力の補充は必要か?」

「全然問題無いね。使い足りないくらいだ!!」

 

 ダメージよりも吹き飛ばす事を優先した、大振りな一撃。DRは耐えるのではなく思惑通り後ろへ飛んで、衝撃を逃す。

 銃による牽制やシャドウ獅童のステータス上昇を打ち消すなどとサポートに回っていたジョーカーが後ろへ下がってトウコツから降りたDRを労る。

 今回の戦闘においてDRは、人柱のライオン戦から一貫してタンク役を務めており、気力にはまだ余裕があった。

 

「……なら、DRには無茶をしてもらう事になるかもしれない」

「へえ? 具体的には?」

「……アイツは硬い上に、まだ奥の手を隠している。だからアイツの防御を抜けるとしたら、その手札を切った直後しかない……、と思う」

「なるほどな。じゃあ俺は奥の手を誘い出して、それを耐え切ればいいわけだ」

「……もしくは、誘い出した後のトドメを任せるかもな」

 

 どちらにしても美味しい役割だ。DRはハーフガスマスクの下で獰猛に笑う。

 

「さあさァやってやろうぜトウコツ!! ここが正念場、ここが俺の独壇場だ!!」

 

 そして再度トウコツに搭乗して、スカルとモナが抑えていたシャドウ獅童へと突撃する。やはりダウンは取れなかったが、意識をこちらへ向けさせる事には成功した。

 

『なぜ歯向かう?! なぜ抗う?! 私が、私こそが大衆の認めた支配者なんだぞ!!』

「その人気はアケチの協力ありきじゃねーか!」

「その息子にすら愛想尽かされてんだろ、選ばれし支配者のくせによ!!」

 

 ──≪メガトンレイド≫!!

 

 ペルソナに搭乗してステータスの上昇したDRによって放たれた物理スキルは、ついにシャドウ獅童の体力を削り切った。

 

『うおっ、むうぅぅッ! ──……はは、あーはっはっはっ!!……まさか、この程度で勝ったつもりじゃあないだろうな?』

「なにィッ?!」

 

 シャドウ獅童が構えを取り直すのと同時に、底を付いていたはずのシャドウ獅童の体力と気力が回復していく。

 

『まだ来んの?!』

「自分の底力は誰にも見せてないって事か? どんだけ自信家なんだよ……!!」

「……姿を見れば、一目瞭然だろ」

「ハッ、確かにな!」

 

 ジョーカーの言葉に、DRは笑う。

 

 裸の王様、バカ殿、金にたかるハエ……。今までパレスを支配していたシャドウは、誰もが滑稽な姿をしていたらしい。

 実際にDRの対峙した奥村社長や冴も、気色の悪い肌の宇宙人に醜い怪物と、好んで変身するような姿形ではなかった。

 それはきっと、パレスを持つ誰もが心の底では自分の間違いや矛盾点を理解していたから。しかし、獅童にはそれがない。

 筋骨隆々で拘束具があっても負けない、格好よくて強い自分。獅童は、心底それを真実だと思い込んでいる。だからこそ、シャドウ獅童はここまで強いのだ。

 

「……厄介な敵だ。で、どうする? 諦めるか?」

「まさかな! だろ、ジョーカー?」

「……ああ、行くぞ!!」

『フン、ならば死ぬがいい!!』

 

 構えを取ったシャドウ獅童が、自身を縛るバネ製の拘束具を破壊した。そして溢れ出すのは、今まで以上のオーラ。

 

『ウソ?! アイツ、また強くなってる!』

『後悔するがいい。私を再び怒らせたことを!!』

 

 ──≪覇王の審判≫!!

 

「ヤベッ!? 悪ィ、やっちまった……」

『スカルがやられた! マズい、マズいよ~!!』

 

 真の力を解放したシャドウ獅童の強烈な一撃。これまで前戦を張っていたスカルが戦闘不能になるという幸先の悪い形で、第三ラウンドの鐘は鳴らされた。

 

 

 

 

「あいたっ! くっ、やるな……」

『モナの体力、ヤバい! 注意してあげて!』

 

 力を解放したシャドウ獅童の放った衝撃波でスカルがやられ、その上に皆が大なり小なりのダメージを受けている。

 その中で物理に耐性があるが故にダメージの最も少なかったDRが、時間を稼ぐから回復しろとジョーカーに視線を交わし、トウコツに搭乗してシャドウ獅童へスレッジハンマーを振りかぶる。

 

「“随分ムキムキになったじゃねェか貧弱な議員さんよ! 肉襦袢(にくじゅばん)は何枚重ね着してるんだ?! ”」

 

 DRはシャドウ獅童を煽りながら、スレッジハンマーを振るい続ける。大したダメージにはならないが、仲間が回復するだけの隙は作れた。

 

「ありがとうDR、私も参戦します!!」

「ワガハイも続くぜ! 来たれ、我が半身!!」

「トランペッター! ──≪フレイダイン≫!!」

 

 回復した仲間も武器やスキルをDRと共に叩き込み、ちょっとずつシャドウ獅童の体力を削っていく。

 怪盗団は皆、体力も気力も底をつくギリギリ。クイーンやスカルなど倒れた者を回復する余裕はなく、後方へ下がらせたままになっている。

 だがしかし、先に膝をついたのは、シャドウ獅童であった。

 

『まさかッ……、この私が……!!』

「気を抜くな、このまま押しき──ッ!?」

『低能なクソガキどもがッ! この私を舐めるなァァッ!!』

 

 あと一撃か二擊、攻撃を与えればそのまま倒れたであろうシャドウ獅童が、肥大化したプライドだけで立ち上がった。

 反撃を予期したジョーカーは仲間へと警告する。が、シャドウ獅童の攻撃はそれよりも更に速かった。

 

 ───≪覇王の拳≫!!

 

「キャア!? ……こ、怖い。身体が今にも逃げ出しそう……!!」

『ノワールが恐怖状態に! 逃走しないで~!!』

 

 最も体力の多かったノワールを暴力的な拳で恐怖状態に陥れ、動きを縛る。

 

 ───≪覇王の粛清≫!!

 

「グアッ?! ここに来て、即死技だと……!? スマン、ワガハイは撤退する!」

 

 温存していた即死効果のある技をもって、回復を一手に司っていたモナを戦闘不能に追い込む。

 

『これがァ! 選ばれし支配者の力だァァッ!!』

 

 ───≪覇王の波動≫!!!

 

「万能属性かよ……! 悪ィ……、ジョーカー」

『DRもダウン?! ヤバいよ~!!』

 

 そしてトドメだと、全体に向けて万能属性の波動を放つ。これにより、立ち竦むノワールとともに今まで立ち続けていたDRまでもが倒れ、なんとか回避したジョーカーを除いた怪盗団が全滅した。

 

『ハァ…、ハァ……! 少しヒヤリとさせられたが……。この俺がッ! 世の中を舐めたガキに負ける訳がないだろう!!』

 

 負けそうになった事実を否定するかの様に、シャドウ獅童はジョーカーを威圧する。

 

『賊を束ねる貴様の手腕を認めないでもないが……、逆らう相手を間違えたな』

「……お前。俺を、覚えていないのか?」

『なに?』

 

 ジョーカーの言葉を受けて、シャドウ獅童はジョーカーの顔を見る。仮面に被われたその顔はしかし、言われてみれば見覚えがあった。

 

『そうか貴様……、女といた所へ現れて、逆らいやがったクソガキか!』

 

 裁判まで起こして冤罪をなすり付けたというのに、ここまで思い出さないとは。どれだけ、犠牲にしてきた人々に興味がないのかと、ジョーカーは静かに怒りを深めていく。

 

『クク……、まさかあの時のガキとはな。仲間を引き連れて、復讐に来ていたわけだ。だが、こうなってしまっては無駄な努力だったな』

 

 赤く膨張した筋肉質な身体のまま、倒れた怪盗団を背にシャドウ獅童はジョーカーを嘲笑う。しかし、ジョーカーは平静を保つ。

 

「……1つだけ、お前から教訓を得るとするなら。“()()()()()()()()()()()()()()”ってことだ」

『なに? ……まさッ──?!』

 

 何故、ジョーカーは仲間がやられたのに回復もせず、また攻撃もせずにただ突っ立って、シャドウ獅童との会話に興じていたのか。

 

「そういう事だ! くっちゃべる前に周囲を確認するんだな!! ≪ペルソナァァッ──!!!」

 

 それは当然、DRのチャージが終わるまでの時間を稼ぐためだ。DRは確かにシャドウ獅童の大技を受けてダウンしていた。

 しかしなんとか戦闘不能にはならず耐えしのぎ、ジョーカーがシャドウ獅童の気を引いている隙にダウンから復帰して大技のチャージをしていたのだ。

 

 

──フィストォォォッ≫!!!」

 

 

 DRの腕部に眩い気力の光が溜まり、シャドウ獅童へ振るわれる。耐えられるか、不可能だ。回避、間に合わない。直撃。

 元より怪盗団によって削られていたシャドウ獅童の体力は、遂に尽きた。

 

『まさか……、この俺がッ……!!?』

 

 シャドウ獅童はバタリと倒れる。ようやっと、怪盗団とシャドウ獅童の勝負、そしてジョーカーの因縁に決着が着いたのだった。

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