可奈美の試合を見た後、夜見さん達と警備の交代の時間となったため、所定の警備の場所で警備の仕事をした。可奈美の試合が見れないのは残念だけど、こっちとしても親衛隊の仕事がある以上、自分勝手に行動することはできないから我慢した。
「真希さん、私たち警備してますけどこれって意味あるんですかね?」
「もちろん意味はあるさ。全国からいろんな人が来るくらいの大きな催しだ。どんな輩がいるか分かったもんじゃ無いからね。今までにそんな輩が出た例は無いらしいが、念には念をという意向らしいな」
「念には念を......ねぇ〜?」
本当にそんな人なんているのかなぁ?そう思ってた私だったけど......今日それが事実になることをこの時の私は知らなかった......。
午前中の警備の仕事を終えた後、私は午後の決勝までの間少し自由時間がもらえることになった為、可奈美達に会いに向かっていた。何せ決勝には可奈美が出るっていうからね!ここは一つ、友人として気合入れの一言でも言ってやろうって思って!(あ、事前に親衛隊の皆さんには伝えておいたから問題なしだよ?)
「確か休憩場にいるって言ってたけど......あっ!」
電話で確認したところ、休憩場にいるって話だったから急いで来て見たところ、少し探してみると遠目だけど可奈美達を見つけることができた。すぐに私は、人をかき分けてその方へ向かった。
「可奈美〜!」
「あ、紫音ちゃん!久しぶり〜!!元気にしてた?」
「うん!元気元気!」
ようやく辿り着いた先には、以前よりも少しだけ背が伸びて表情も前よりも凛々しく、たくましくなった可奈美の姿があった。その隣には以前あった時よりも大人びた雰囲気が出てる舞衣の姿もあった。二人の姿を見ると自然と私も顔が緩んじゃうね。なんか......肩の力が抜けるっていうか......。
「紫音ちゃん、その制服......よく似合ってるよ?」
「本当にそうだよ!親衛隊として様になってるね!」
「そ、そうかな......えへへ、あんまり褒められると照れるな......」
私の親衛隊の制服姿を見た二人が揃って私のことを絶賛して来た。そういえば、二人は私の制服姿初めて見るんだっけ?
「今は仕事は無いの?」
「うん、少しの間だけ抜けて来たんだ〜。だから少ししたら戻んなくちゃいけないんだけどね〜」
「そうなんだ......。やっぱり親衛隊って忙しいんだね?」
「まぁそれなりにね。それよりも......可奈美!」
「へ!?」
急に大きな声を出して自分の名前を呼ばれたことに驚いた可奈美は体をこわばらせた。そんな反応しなくても良いのに......。
「絶対に......優勝してね!優勝しなかったら許さないんだからね!」
「え......あ、う......うん!!絶対優勝する!優勝して......もう一度紫音ちゃんに挑戦するんだから!」
「そう、その勢いで頑張って!じゃあ私、そろそろ戻んないとだから」
「え!?もう行っちゃうの?」
「決勝の打ち合わせとか警備の確認とかを話し合わなきゃいけないんだ〜。だからすぐ戻んないと!じゃあね〜!」
「うん!またね〜!」
気合いを入れることはできたかな?私が可奈美にできることはもう無い。後は可奈美の実力次第だ。そう満足した私は急ぎ足で決勝戦の打ち合わせのため、屋敷の中に戻った。
「これより、御前試合決勝戦を始めたいと思います!」
屋敷に戻り、警備の配置を確認した数十分後、御前試合決勝戦が間も無く始まろうとしていた。警備だというから周りの警備なのかと思ってたけど、それは違くて、私たち親衛隊五人は紫様が座る玉座に控えてろという指示が出たんだ。紫様になんの意図があってそんな指示を出したのか分かんなかったけど、とりあえず私たちは指示に従い、紫様が玉座に座った後、その後ろに控えていた。
「両者、礼!」
決勝の舞台となる練武場に二人の刀使が佇んでいる。一人は私の友達の衛藤可奈美、もう一人は平城学館の十条姫和だった。二人とも静かに試合が始まるのを待っていたけど......なんだろう?
「(
気のせいなら良いんだけど......。この時の私はそう思う他なかった。
「【写シ】!構え!」
いよいよ決勝が始まる......。頑張れ!可奈美!
練武場内に静寂の空気が流れ出る......。
「......始めっ!!」
(シュバッ!!!!)
開始の合図とともに練武場内に響き渡ったのは、何かが地面を蹴った音と、雷のような轟音。そしてその後に私の耳に届いたのは......。
......目の前の玉座に座る紫様を......正確には紫様の座っている玉座を貫く
「............!?」
一瞬私は何が起こったのかよくわからなかったけど、瞬時に思考を回転させた。今、十条さんは紫様に向けて攻撃をして来た。その攻撃は私たち親衛隊も反応することができないくらいの速さを持ったものだった。でもその攻撃を紫様は自身の御刀、童子切安綱・大包平を使って攻撃の軌道を変えたんだ。そして軌道の変わった攻撃はそのまま紫様の座る玉座を貫いた。この時間、約コンマ1秒。
「......それがお前の一つの太刀か?」
「くっ!?躱された!?」
紫様に攻撃を躱された十条さんは刺さった御刀を抜いて、再び紫様に攻撃をしようとしていた。だけどその時、私は妙な気配を紫様から感じ取っていたんだ......。何だろ、この気配......この悪寒がするような妙な寒気は、まるで荒魂と対面している時のような感覚だ......。
「(って!?今はそんなこと考えてる場合じゃ無いでしょ!?)」
自分で自分に喝を入れてその変な考えを払い飛ばした私は蒼月に手を掛けた。
「させるかっ!!」
私が動く前に、真希さんが十条さんの背後に回り、背中から御刀を容赦なく突き刺した。それによって十条さんの【写シ】は剥がれ、十条さんはそのまま膝をついた。その隙を逃さんとばかりに真希さんは御刀を振り上げて、十条さんに向かって振り下ろした。でも......その時だった。私たちにとって予想外の乱入者が割り込んで来た。その乱入者とはーーー
「ぐっ!!......大丈夫?」
「お、お前......」
その乱入者もとい、可奈美は真希さんの攻撃を直前で防ぎ、あろうことかこの紫様を襲った襲撃犯をかばったんだ。
「か......可奈美?」
「【迅移】!!逃げるよ!」
可奈美は真希さんの御刀を何とか外すと、【迅移】を使ってこの場から逃げ出した。......もちろん十条さんも一緒に。
「可奈美......何の理由があるか分かんないけど......逃さないよ!」
私は既に入り口の門付近にまで逃げてしまっている二人を追うため、【迅移】を使おうとした。だがその時ーーー
「芹代、待て。追わなくていい」
「え!?でもあの二人は紫様を......って、ああ!!結芽が勝手に!!」
私が、紫様の言った追いかけなくて良いという発言に理解に苦しんでいた間に、結芽が命令を無視して二人に向かって襲いかかっていた。
「おねーさん達〜!逃さないよ〜!」
「親衛隊!?......くっ!!!」
結芽の振るった御刀を可奈美は肌すれすれのところでガードに成功し、同時に体をしなやかに動かして攻撃を受け流して回避した。
「......へぇ〜?」
「今のうちに!!......せ〜の!」
「......ああ」
二人はそのまま門を飛び越えて練武場を脱出した。本当なら今すぐにでも追いかけたいが、紫様の命令な以上、従うしかなかった。私は、自分の友達がなぜこのようなことをしたのか分からず、頭を悩ませていた......。
次回【襲撃者達の追跡】
お楽しみに!