凍て刺す零氷の刀使   作:レイ1020

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芹代紫音(せりしろしおん)


今作の主人公。御刀”蒼月”に選ばれた美濃関学院中等部2年生、後に親衛隊第五席に就くことになるの女の子。作はじめは1年生。どの流派にも属さない我流の使い手。腕は確かなのだが、本人曰く、御刀は荒魂を祓うために存在してるものだと認識しているため、滅多なことでもない限り、荒魂以外に御刀を向けることはない。そんなポリシーを持っているため、御前試合や立ち合いなどでは全く結果を残していない。
ガサツで大雑把な性格をしているが、刀使としての使命は心に刻んでいるため、任務などに対しては人一倍積極的に取り組んでいる。
迅移に至っては体の反動無しで3段階迅移まで使う事ができる。なぜ反動無しなのかは本人にも分かっていない。


紫音の日常

 

 

私の1日は朝の素振りから始まる。朝は基本的に5時に起き、素振りを適当な数こなしてシャワーを浴びて朝食をとって学院に向かうと言うのが私の朝のルーティンだ。

 

 

学院では実技の授業以外は真面目に取り組んでる。なんで実技は真面目にやらないかって?だって実技は最後に模擬戦とか必ずやらせるんだもん。だから気乗りなんてしないから適当に流してるんだ〜。もちろんその模擬戦にも一度も勝ったことは無い。そんなこともあって、学院での私の評判ときたら......”勝てない刀使”だとか、”堕ちた刀使”だとかそんな評判ばかりだった。別に私は評判とかどうでも良いんだけど、周りが騒がしくなるのは嫌なんだよね。そんな時は大体中庭に逃げ込んでる。中庭なら人気も少ないし静かだから落ち着けるから。

 

 

 

そんな感じで私の学院生活は問題なく(?)過ごせている。そんな中で、御前試合の校内予選が美濃関学院でも行われた。もちろん私はやる前に事前に先生に話しておき、棄権した。先生も私の実戦での戦いを見ていた為、もったいないといった顔になっていたが、気にしない事にした。

 

 

結果論で言えば、可奈美は準決勝で敗退。舞衣は準々決勝で負けてしまった。それでも1年生でそこまで価値上がれること自体すごいことらしく、先生や学長も驚きを隠せなかったみたいだった。

 

 

 

「惜しかったね可奈美。あと一回勝てば鎌倉での本戦に行けたのに」

 

 

 

「うん......。でもしょうがないよ。まだまだ実力が足りないってことだから......」

 

 

 

「そうだね......。私も同じ気持ち......」

 

 

 

2人とも負けたことが相当きてるのか、浮かない表情を浮かべていた。そんなに気に病む必要無いと思うんだけどな?

 

 

 

「来年もあるんだし、次挽回しなって。そだ、気晴らしにどっか遊びにいこっか!最近出来た駅前のアイスクリーム屋、前から気になってたし」

 

 

 

 

「遊びに!?行く行く!」

 

 

 

「うん。私も前から行きたいと思ってたの!」

 

 

 

「よし!それじゃ決定!じゃ、早速行こっか」

 

 

 

その後、私達は駅前のアイスクリーム屋に行って新作アイスをたらふく食べた。特に私と可奈美はアイスを3本食べた為、その後お腹を下したのは......私のミスだった......あはは。

 

 

 

 

それからしばらくは何事もなく平穏な毎日が過ぎていった。毎日というほどでも無いが、出現する荒魂をみんなで討伐しながら学院で勉強、そんな生活が続いた。このまま平穏な日々が過ぎていってほしいという気持ちではあったが、その気持ちは荒魂には......届かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「何?この反応......」「今までこんな反応ってあったっけ......?」

 

 

 

周りにいる刀使達が揃いも揃ってそう呟いていた。ことの発端は数十分前に遡る。いつものようにスピーカーから荒魂の出現と出動命令が出された為、私達は現場に向かったんだけど、その時のスペクトラムファインダーの反応がいつもと違っていたんだ。とは言っても、単にいつもより反応が大きいってだけなんだけどね。

 

 

 

「反応大きいけど、大丈夫なのかな〜?」

 

 

 

「あれ?美炎にしては随分と後ろ向きだね?もしかして怖い?」

 

 

 

「うん......そうだね。正直怖い。だって、こんな大きな反応これまでだって見たことないんだから怖いのは当然だよ。むしろなんで紫音が冷静いられるのか不思議なんだけど?」

 

 

 

美炎は首を傾げながら私にそう聞いてきた。この子は安桜美炎。最近知り合ったばかりだけどそれなりに話す仲だ。可奈美と舞衣とも友達らしい。それにしても冷静か〜......確かに私以外はどこか落ち着かない様子でそわそわしてる感じだ。可奈美達も例外ではなく、少し身体が強張ってるように見えた。

 

 

 

「何でだろうね?自分でもなんで落ち着いてるのかわかんない」

 

 

 

「はぁ〜、今はその紫音の図太さが羨ましい......」

 

 

 

そう言いながら美炎は可奈美達のとこに戻っていった。それから数分後、ようやく反応のあった場所に着いたんだけど、そこで問題が起こった。

 

 

 

「荒魂が......いない?」

 

 

 

場所は確かにここであってるはずなんだ。反応もここからだし。なのにいない。私を含めたその場にいた刀使全員が困惑していた。ここは街のど真ん中だ。山のように隠れるところもそうは多くはない。ならば何故いない......?

 

 

 

「どうしよう?とりあえず親衛隊の人たちが来るまでもう少し探してみる?」

 

 

 

1人の刀使が不意にそんなことを言った。今回の荒魂討伐は今までの反応よりも反応が強かったため、念を入れて鎌倉から親衛隊を派遣して貰ったらしい。親衛隊というのは折神家直属の部隊で、御前試合や荒魂討伐などで活躍した刀使が選ばれたエリートだ。基本的には折神家当主の警護などを仕事としているが、異例の事態のみこうした地方への荒魂討伐にも尽力してくれてる。その親衛隊が来るのであればここは来るのを待ってるのが確実かつ効率がいいんだろうけど、どこか腑に落ちなかった。

 

 

 

「(スペクトラムファインダーが故障してるわけじゃない。じゃあ、荒魂は間違い無く......今この場にいる?)」

 

 

 

だとしても、一向に姿は見えない。どこかに隠れてる様子も無い。だとすると............!?まさか!?私は咄嗟に()()()()()()()()。そして、地面にスペクトラムファインダーを置いて反応を見てみた。するとーーー

 

 

 

......反応が今まで以上に大きくなった。

 

 

 

「っ!やっぱり......。可奈美!」

 

 

 

「どうしたの紫音ちゃん?」

 

 

 

「今すぐみんなをここから離れさせて!()()()()()荒魂がいる!!」

 

 

 

「ええ!?ほんとに!?」

 

 

 

「さっきスペクトラムファインダーで確認したから間違いないよ。とにかくみんなを一旦退かせて!このままだとみんな巻き添えになる!」

 

 

 

「う、うん!わかった!」

 

 

 

そう頷いた可奈美は、すぐさまこの状況をみんなに伝えにいった。なんで可奈美に頼んだかというと、可奈美の言うことならこの場にいる刀使達は信じてもらえると思ったからだ。可奈美は先の御前試合で1年生ながら準決勝まで勝ち上がったほどの実力の持ち主。それはこの場にいる刀使達はみんな知っていた。だからこそ自分より腕の立つ可奈美の言うことは信じると言うのが普通だ。少なくとも御前試合の予選すら出てない私なんかよりはよっぽど説得力があると思ったから可奈美に頼んだんだ。

 

 

 

私の推測は正しかったみたいで、その場にいた刀使達は可奈美の言葉を聞くと、一斉に反応のある場所から退いてくれた。とりあえず、安心だ。

 

 

 

「紫音ちゃん!こっちはオッケーだよ!紫音ちゃんも早く!」

 

 

 

「分かった!今行く......!?」

 

 

 

私も一旦離れよう!そうしようとしたんだが、その前に私の足元が......と言うか地面全体が突然揺れ始めた為、それは叶わなかった。揺れの範囲はとても広かったらしく、退かせた刀使達もその揺れをまともに受け、立ち上がれなくなっていた。私は腰を落とし、重心を体の下部に集中させ、転ばないよう体勢を維持させ、この揺れを引き起こしている張本人が出てくるまでその体勢でいた。しばらくすると、そのこの揺れを起こした張本人が地面を突き破って私たちの前に現れた。

 

 

 

「(でっか!?何メートルあるのこの荒魂!?しかもフォルムがモグラっぽい!?)」

 

 

 

目の前の荒魂の第一印象はそれだった。全身が焦げ茶色のもぐらのような形をしていて、左右の手には鋭い爪が長々と生えていた。顔はと言うと、これは見るも無残な状態でまったく原形を留めておらず、もはやどこが目でどこが口なのか判別すらできないほどだった。

 

 

 

「(うぇ〜......なんか気持ち悪い......。これはさっさと倒しちゃった方が良さそうだね!)」

 

 

 

そんな自分勝手な理由で決めた私は、御刀”蒼月”を構え颯爽と飛び出し、荒魂に向かって突撃した。私は変な小細工はしない派だったからおもいっきり真っ向勝負だ。

 

 

 

「え!?ちょっと紫音ちゃん!?」

 

 

 

「可奈美と舞衣はみんなのこと守ってて!ここは私だけで充分だから!」

 

 

 

「何言ってんの!?一人じゃ危ないよ!私も一緒に......」

 

 

 

「だーい丈夫だって!現にほら!」

 

 

 

「「へ!?」」

 

 

 

 

私が掲げた()()()、可奈美も舞衣も他のみんなもみんな唖然とした表情を浮かべた。私の掲げたもの......それはーーー

 

 

 

「紫音ちゃん?それは......?」

 

 

 

「ん?もちろんこの()()()()だけど?」

 

 

 

「ええ!?」

 

 

 

2人は信じられないと言った表情になっていた。そりゃそうか。こんなものの数瞬でこんなバカでかい荒魂の腕を簡単に斬り下ろしてしまったんだから。

 

 

 

「とにかくさ?この荒魂は私に任せて2人はみんなの避難をお願い!ここにいると巻き込んじゃうから。それに、せっかく久しぶりに良い運動できそうな相手が出てきたんだし、邪魔はしないでもらいたいんだよね」

 

 

 

「「......」」

 

 

 

その言葉に2人は押し黙ってしまう。私の言ったことは事実だ。ここ最近の荒魂は言って仕舞えば、弱かった。もちろん弱ければ弱いほど任務の遂行が楽になるから良いとは思うんだけど、それでもやっぱり物足りないと言えば物足りない。自分の力を出さないで勝ってしまうと言うことは酷くつまらない。そんなことを最近はずっとやって来たんだ。そんな事に飽き始めて来た矢先に今回のような荒魂が出現した。久々に燃えるような戦いに私自身もテンションが上がっていた。だからこそ、他のみんなには邪魔になって欲しくなかったんだ。

 

 

 

「大丈夫!私は絶対死なないから!......よし分かった!もしこの戦いで傷一つでも作って帰って来たら2人には好きなの奢ってあげる!その代わり無傷で帰ったら2人が何か私に奢ってね〜!」

 

 

 

「ふ...ふふ、あはは!紫音ちゃんは相変わらずだね。うん分かった。じゃあ紫音ちゃんには少しでも傷を作って帰って来てもらうかな?」

 

 

 

「いや......そこは私の無事を祈るとこでしょ舞衣......」

 

 

 

奢りという単語に反応した舞衣はおちゃらけてそんなことを言い出した。このとき私は決めた。絶対に舞衣に奢らせる!と。

 

 

 

「私も分かった!じゃあ一旦私たち離れるけど......紫音ちゃん、ちゃんと無事で帰って来てね?」

 

 

 

「もちろん!無事で帰って2人に奢らせるんだから!」

 

 

 

そう約束した後、私はこのまま留まり、可奈美たちは別方向に移動していった。これでようやくまともに戦うことができる。そう思えると私の口は自然と釣り上がってしまう。そして、可奈美達が見えなくなったところで私は目の前の荒魂と向き合った。

 

 

 

「待たせてごめんね〜。でもこれで思う存分戦える!さぁ......やろう!」

 

 

 

そして臨戦体勢に入った私だが、この時というかずっと私は気付いていなかった。戦ってる時の私の右目が自分の目の色の藍色ではなく、金色になっていた事に......。




次回【荒魂との死闘?】



お楽しみに!
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