「なるほど......それで、その舞草という組織について何か知っていること、または所属している刀使を見てないかと言うことを聞いているわけですね?」
「はい......その通りです」
美炎の案内によって、私達は調査隊がいる場所まで来ていた。その場にいたのは私たち抜きで三人、さっき美炎から聞いた話によれば、鎌府の制服の上からフードを被ってる子が七之里呼吹さん。綾小路の制服を着て今夜見さんと話してるのが調査隊隊長の木寅ミルヤさん。そして......長船の制服を着ている人、瀬戸内智恵さん。で合ってると思う。私は夜見さん達の話が終わるまで後ろで待機していた。
「残念ですが、存じ上げないですね。舞草という組織があること自体初めて知ったようなものですから......」
「そうですか......」
やっぱり調査隊が知ってるわけないよね......。でも何だろ?さっきから瀬戸内さん......舞草って単語が出るたびに少しだけど苦い顔をしてた気がする......。もしかして......?
私は何か思い当たり、瀬戸内さんに声をかけに行った。
「瀬戸内さん、少しいいですか?」
「っ!?......あ、え...ええ、確か......芹代さんで良かったかしら?」
「紫音でいいですよ?年下ですし」
「じゃあ紫音ちゃん、何かあったかしら?」
こうして話してみると瀬戸内さんって普通にお姉さんみたいな人だよね......。っと、本題に入らないとね。
「貴女は舞草について何か知ってますね?」
「......!!?え......え〜っと?何のことかな......?私はよく知らないけど......」
「......だったら何でそんなに驚いているんです?知らないんでしたらそんな驚くことないでしょうに?」
「そ...それは......」
しどろもどろになって目が泳ぎ始めた瀬戸内さん。これはとりあえず舞草の関係者なのは確定かもね。次第に話を終えた夜見さんもこっちに来て、話を聞きに来ていた。
「......どうなんですか?事によっては一緒にご同行......してもらう事になりますが?」
「っ......私はーーー」
瀬戸内さんが何かを言いかけた......その時だった。
「安桜美炎!これはどういう事ですか!」
「「「???」」」
少し離れた場所から木寅さんの怒声が聞こえてきた。木寅さんは美炎と言っていた。美炎が何かしたのかな?
「とりあえず話を中断してみんなのところに向かいましょう。何かあったのかもしれない!」
「......わかりました。瀬戸内さん......後で話はじっくりと......伺いますからね?」
「......分かったわ」
話がついたところで、私はいつの間にかいなくなっていた他の調査隊の声がした方へ向け移動を始めた。位置は携帯の端末を追って調べられるからと言って、瀬戸内さんを先頭として颯爽とその場に向かった。
数分もしないうちに調査隊のメンバーを見つけることができたんだけど、その中に予想外の
「っ?芹代さん......?何を......」
「静かに......夜見さん.....
そう言いながら、私は静かに調査隊の方を指差した。その先にいたのはーーー
「っ......衛藤可奈美と、十条姫和......。こんなところに......」
真希さんと寿々花さんが行方を追っている可奈美と十条さんがそこにはいた。まさか......調査隊と接触してるなんて予想してなかったな......。とりあえず......。
「夜見さん......至急真希さんと寿々花さんに連絡を。すぐにここに来るように言ってください」
「わかりました」
夜見さんはイヤホンの無線機をオンにし、二人に連絡を入れた。
『夜見か?どうした?』
「こちらでそちらの対象の衛藤可奈美と、十条姫和を......発見しました。場所はーーー」
少しして、連絡を終えた夜見さんが戻ってきた。多分自分の力の荒魂を使って真希さん達を案内させてるところだと思う。来るのも時間の問題だね。となると......。
「芹代さん......どうしますか?」
「ひとまず様子をみましょう。調査隊は今は親衛隊に協力してくれてるみたいだし......美炎には辛いかもしれないけど、
きっと捕まえてくれるよね......?」
ひとまず私たちはその場を動かずに様子を見る事にした。もし何かあってもすぐに向かえるように......。
私...瀬戸内智恵は舞草の諜報員だ。今は折神家の情報を得るために調査隊に所属している。美炎ちゃんとは小さい頃からの付き合いで”ちぃ姉”と呼び親しんでくれてる。調査隊のみんなも私を仲間と言ってくれた。でも......私は、美炎ちゃん......いや、調査隊のみんなを騙してここ伊豆まで来させてしまった。赤羽刀の調査というのは全くのデタラメ。私が木寅さんに直接伝えた事なのだけど、本当はここ伊豆にいる舞草の二人の刀使の手助け......最悪の場合、二人を逃す援助をしてもらいたいと言う指令を実行するためについた嘘だったんだ。
そしてさっき、私の正体がばれそうになっていた。二人の親衛隊によって。一人は第三席の皐月夜見さん。もう一人は第五席の芹代紫音ちゃん。二人共初めて会った時から既に私のことを疑っていた。特に紫音ちゃんに至っては感覚が鋭いのか、私の少しの動揺も見逃さずに観察をしていた。幸いにも、ギリギリでバレる事はなかったけど、バレるのは時間の問題かもしれない......。そんなことを考えながら、私と親衛隊の二人は木寅さんの声がした方へ向かった。
「(それで......着いたのはいいけど......この状況は一体?そして......親衛隊の二人が居なくなってる?)」
まず整理してみると、調査隊のみんなが何故か折神家襲撃犯の衛藤可奈美ちゃんと十条姫和ちゃんと一緒にいた。美炎ちゃんが二人を庇う形で二人の前に立っていて、木寅さんや七之里さんに何か言っている。そして......今まで私の後ろをついて来ていた親衛隊の二人がいつの間にか居なくなっていた。そっちに関しては今は置いておきたい。とにかく今は......。
「何があったの?みんな......」
「瀬戸内智恵......。貴女からも何か言ってください」
「美炎ちゃん......何でその子達を庇うの?友達とは言え、襲撃犯なのよ?」
私はゆっくりと歩を進めながら美炎ちゃんに聞いた。美炎ちゃんは何か必死になって二人を守っているように見えた。何があったらそんな血走った目になるの......?
「ちぃ姉......だって!さっき私たちに襲いかかって来た親衛隊の人、捕獲じゃなくて駆除って言ったんだよ!?そんなところに二人を引き渡すなんて出来ないよ!そんなの間違ってる!!」
「......安桜美炎の意見に賛成の者は?」
木寅さんは、ゆっくりと私たちを見ながら問うてきた。私は......もちろん。
「私は美炎ちゃんに賛成よ」
「わたしも......
良かった......清香ちゃんも賛成みたいね。......後は。
「なるほど......七之里呼吹、貴女の意見は?」
「あん?そいつら渡しちまったら今の”お楽しみ
どうやら木寅さん以外は全員賛成みたいね......でも、待って?二人を引き渡したらお楽しみ
「鎌府のお前、今言った事はどう言う事だ?」
「はぁ〜......いいか?今さっきまであたし達が倒してきた荒魂......ここらに放たれてる荒魂は全部さっき会った皐月夜見が操ってる荒魂なんだよ」
「やはりそうか......怪しいとは思っていたがな......」
え......?つまり......どう言う事?可奈美ちゃんも美炎ちゃんも、同じように理解できてないみたいだった。
「ああったく!まだわかってねーみてーだな?要はてめぇらを探すために皐月夜見が操ってるんだっての」
「「「「!!!」」」」
みんなその事には驚きを隠せなかった。もちろん私も。親衛隊が荒魂を......?何で?え......ちょっと待って?じゃあ、さっきから私たちが倒してきた荒魂って......。
「待ってください!では......先程からわたしたちがやっている事は......」
「今更気づいたのかよ......。そうだ、あたし達は皐月夜見の操ってる手足とも呼べる奴らをぶっ潰してたってわけだよ」
「そんな......」
項垂れてしまう木寅さん。なるほど......そう言う事だったのね。親衛隊は荒魂の力を使う......おそらく、一番最初に会ったあの二人もその力を持っているのかもしれない。......紫音ちゃんは?紫音ちゃんもまさか荒魂の力を使って............やめにしましょう。今はそんなこと考えてる余裕はないはず。今やるべきなのはーーー
「それで木寅さん?貴女はどうなの?貴女以外はみんな引き渡さないって意見で纏まったけど?」
「......」
木寅さんは一瞬顔をしかめたけど、すぐに考えが付いたのか返事を返してくれた。
「思うところがあれば......考えてみればわたし達は親衛隊の手先では無く、尚且つ二人を駆除するための戦闘員でもない。あくまで一人の刀使......人であること。その人として考えるのであれば......何も迷う必要もありませんね?」
「!じ、じゃあ!?」
「衛藤可奈美と十条姫和には遭遇端ものの、荒魂の妨害により逃げられてしまった......それで良いと考えてます」
「......!!ありがとうございます!」
可奈美ちゃんが木寅さんにお礼を言い、頭を下げた。わたしもそれを聞いて胸が落ち着いた。木寅さんもなんだかんだ言って......良い人なのかな?
「礼には及びません......。では、早くこの場をーーー」
「......そうは......させません」
「何してるの......みんな?」
「「「「「「!?」」」」」」
突然響いた私たちの声じゃ無い声に、みんな戸惑いを覚えていた。そして......私たちはゆっくりと後ろを振り向いた。......そこにいたのは。
「皐月さん......紫音ちゃん......」
次回【友として】
お楽しみに!