凍て刺す零氷の刀使   作:レイ1020

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御刀”蒼月”

芹代家に代々伝わる御刀。青みがかった刀身が特徴的で根元には三日月の紋章が刻まれている。切れ味が鋭く、扱いを間違えば無駄なものを切ってしまう可能性があるほどの少々危険な御刀。


久々の立ち会い

 

鎌倉、折神家執務室内にてーーー

 

 

 

「これか......」

 

 

 

任務から戻った真希は、あの荒魂を討伐した芹代紫音という刀使が言ったことが正しいものかを確かめるために、書棚から御前試合の試合結果が記載されている書類を取り出した。別に信じてないわけではないが、何せ彼女が同じ()()()()()()と大して変わらないくらいの子供だったのだ。それは調べたくなるのもわかる。

 

 

 

「確か彼女は美濃関だったな......」

 

 

 

パラパラとめくり、美濃関学院の校内予選の結果が載っている書類を探した。しばらく探しているうちに目的の【美濃関学院校内予選表】が出てきたため、真希はその表から芹代紫音という名前を探した。するとーーー

 

 

 

「あった......。......確かに一回戦敗退となってるな。でも......」

 

 

 

彼女の言ってることは確かに正しかった。だが、そこに記載されていたのはそれだけでは無く、それにまた真希は頭を悩ませた。

 

 

 

「”棄権”......か。なるほど、これならば出て来なくて当然か......」

 

 

 

ふっ......と笑いながらそう呟いた真希は、そっと書類を棚に戻し、執務室を出て()()()()に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの荒魂討伐から2日経った。それからはその時ほどの荒魂が出る事は無くなって、いつも通りの荒魂討伐をするようになっていった。とは言っても、あんだけでかい荒魂が出る事自体異例らしくて、滅多に出現しないみたいなんだよね。

 

 

 

 

「まぁ......平和なのは良い事なんだけどね〜......」

 

 

 

 

「何一人でぼやいてるの?」

 

 

 

「ん?」

 

 

 

昼休み、中庭で一人ベンチで座って休憩してた時に、後ろから声がかけられた。ん?と思って振り返ってみると居たのは可奈美だった。しかも何かニヤニヤしてるし......なんか嫌な予感がするんだけど?

 

 

 

「いや、独り言。それより......何で可奈美はニヤついてんの?......気持ち悪いよ?」

 

 

 

「いや〜、今日やっと”紫音ちゃんと立ち合いができる”って思っちゃったら嬉しくってさ〜!」

 

 

 

「......」

 

 

 

ん?空耳かな?今聞き捨てならないことを聞いた気がする......。

 

 

 

「ごめん可奈美?もう一度言ってくれる?」

 

 

 

「へ?今日やっと紫音ちゃんと立ち合いができるって思っちゃった?」

 

 

 

「......」

 

 

 

うん、聞き間違いじゃなかったみたいだ。ってか何で今日はもう私が立ち合いすること前提なの!?

 

 

 

「あの〜可奈美さん?毎回言ってるけど立ち合いはしないからね?今日はなんか違うパターンで頼んできたけど私の意思は変わらなーーー」

 

 

 

「ふっふっふ〜〜、これをみてもまだ同じことが言えるかな〜?」

 

 

 

そう言った可奈美は、何か後ろに向けて......正確には植えてある木に向かって手を振って合図を出した。それと同時に、中庭の木の後ろから何故か舞衣が出てきた。手に()()()()()()()()を持って......。

 

 

 

「舞衣?何でここに......って、あああ!!!それ、私の()()()!!!?」

 

 

 

それは......以前に私が買っておいた季節限定のプリンだった。有名なデザートの職人さんが作ったって言われているプリンだったからお店に来た時にはすでに凄い行列ができてたのは今でも鮮明に思い出せる。そんな苦しい思いをしてようやく買えたプリンを何で舞衣が持ってるの!?

 

 

 

「ごめんね紫音ちゃん......。可奈美ちゃんがどうしても協力して欲しいっていうから......」

 

 

 

「協力!?」

 

 

 

舞衣の言葉を聞いた後、私は再び可奈美の方を向いた。

 

 

 

「紫音ちゃん!そのプリンを返して欲しいなら私と立ち会いしなさい!さもなければそのプリンは私と舞衣ちゃんで貰っちゃいます!」

 

 

 

「うぅぅ〜〜〜......卑怯な手を〜......」

 

 

 

そんなこと言われたら受けるしか無いじゃん!!あ〜......多分可奈美と舞衣だからこそ出来た手だな......。2人は私が大のプリン好きだってことを知っている。だから、もしプリンを人質にとれば私はきっと話に乗る。そう判断したんだろう。私としたことが迂闊だったな〜......。今後は絶対にプリンは肌身隠さず持ってよ......。

 

 

 

「紫音ちゃん......。もう諦めた方がいいよ?」

 

 

 

「はぁ〜〜、ってか、舞衣にもできれば止めて欲しかったよ......」

 

 

 

「ごめんね?でも、少し気になっちゃって......。紫音ちゃんの初めての立ち会いが見れるって思うと......」

 

 

 

「......」

 

 

 

舞衣に関してはただの興味本位で引き受けた話なんだろう。まぁ、もうここまで来ちゃったら引き下がれないか......。しょうがない!プリンのため、ここは我慢しよう!

 

 

 

「わかったよ......もう!!やるよやればいいんでしょ!!」

 

 

 

「やったーー!!」

 

 

 

私のやる宣言を聞いた可奈美は嬉しいのか小躍りし始めた。こうして放課後、久々の立ち会いをする事になった私なのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて!やろうか!」

 

 

 

放課後になり、御前試合の予選会場にもなった訓練場に私たちは足を運んでいた。無論ここで立ち合いを行うためだ。

 

 

 

「やったらちゃんと返してよ?」

 

 

 

「うん!」

 

 

 

気合い入りまくりの可奈美は勢いよく御刀”千鳥”を抜き、構えた。それに合わせて私も蒼月を抜き、静かに構えた。そして、いつものように右目の色が変わった。今この場にいるのは私と可奈美、そして審判の舞衣だけなこともあり、静かだった。

 

 

「両者構え!【写シ】!」

 

 

 

「はぁ!」

 

 

 

「ふっ!」

 

 

 

立ち合いをする時には始めに【写シ】をはるのが鉄則だ。これをしないとヘタをすると怪我じゃ済まなくなる可能性があるからだ。

 

 

 

「始めっ!」

 

 

 

「やあぁ!!!」

 

 

 

仕掛けてきたのは可奈美からだった。【迅移】を使って一気に間合いを詰め、一撃必殺の一閃を加えようとしてきた。でもーーー

 

 

 

「右上段の一振り(サッ)」

 

 

 

「あっ!?」

 

 

 

右上から斬りかかってきた可奈美の攻撃を私は()()情報をもとに、最も簡単に受け止め、そのまま後ろに受け流した。

 

 

 

「くっ......」

 

 

 

「凄い......私には何も見えなかったのに......」

 

 

 

受け流された可奈美は態勢を崩しながらも何とか倒れずにその場に踏みとどまった。

 

 

 

「やるじゃん!私は転ばせるつもりでやったのに?」

 

 

 

「紫音ちゃんも......まさかあれを防ぐなんてね......」

 

 

 

「校内予選準決勝進出者に褒められて私は光栄だね」

 

 

 

「そう?でも、照れてる余裕なんてあるの!?はぁ!!!」

 

 

 

今度は目の前から可奈美が消えた......わけでは無く、【迅移】を2段階にあげて速度を上げたんだろう。そんで持って今可奈美は私の背後にいる。そこから速度に乗って私を斬るつもりみたいだね。はぁ〜......というかこれは勝負なんだし”この眼”を使っちゃうと意味がない気がするんだよね......。なんかズルしてるみたいでなんかやだ。でも自発的に抑えるなんてこと出来ないし、可奈美には申し訳ないけど......ごめん!

 

 

 

「もらっ......!?」

 

 

 

「やぁっ!!」

 

 

 

後ろから向かってきた可奈美の一閃を一瞬で躱した後、間髪入れずに無防備になっている胴に向かって私は蒼月を繰り出した。

 

 

 

「うわぁぁ!!!」

 

 

 

私の一撃が見事に決まり、写シを剥がされた可奈美はそのまま地面に倒れ伏した。勝負あり......だね。

 

 

 

「そこまで!勝者、紫音ちゃん!」

 

 

 

舞衣からの試合終了の合図が出たため、私も写シを解いた。それに連動するように右の目も元の藍色に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「......」

 

 

 

 

3人しかいない訓練場。その外に、その立ち合いを見ていた人影がいたことを3人は知らなかった......。




次回【親衛隊への勧誘】


お楽しみに!
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