「「「親衛隊に誘われた!?」」」
私の部屋の中で可奈美と舞衣、美炎の声が見事にハモった。あの後、私は部屋に戻った後この3人に話したいことがあるとメールで私の部屋に呼び出し、さっき獅童さんに言われたことを打ち明けた。そしたらこの反応をされたってわけ。やっぱり頼るなら友達だって思ってね。
「そう。さっき獅童さんにそう言われた。どうにも、前の荒魂討伐の戦果が評価されたみたいで......」
私が誘われた1番の理由はそれだった。どうにもあの荒魂は、並の刀使では......討伐はおろか傷一つつけられるかわからないほどの強力な荒魂だったみたい。だからそれをたった一人で討伐した私の評価が上がるのは至極当然らしい。
「すごいじゃん!おめでと〜!!」
「うんそうだよ!親衛隊に誘われるなんて滅多に無いことだよ?」
「その話は受けるべきだと思うよ?」
最初は驚いていた3人だったけど、それからは嘘偽りのない笑顔で私のことを祝福してくれた。本来ならそれは喜ばしいことなんだけど......。
「......」
「あれ?......どうしたの紫音ちゃん?」
......私は素直には喜べなかった。なぜならーーー
「うん......。親衛隊に入っちゃうと、基本的に活動するのは鎌倉になるでしょ?そうなるとしばらくは
「「「......」」」
私の言いたいことが何なのか理解した3人はどう返していいのかわからないのか、何も発せないでいた。誰でも友達と会えなくなってしまうと言われれば辛くはなる。もちろん全く会えないわけでは無いが、それでも数には制限がついてしまう。それが私の親衛隊に入る思いにストップをかけてしまっているんだ。
「......でも」
静寂した空気の中、美炎が静かに口を開いた。
「それでも紫音は行くべきだと思う!」
「......え?」
「確かに紫音と今みたいに会えなくなっちゃうのは辛いけど、それでも...紫音が必要とされて親衛隊に呼ばれたのなら......わたしは全力で紫音を応援するよ!」
美炎のその言葉に私の体の中がほっこりしていくのがわかるくらい熱くなった。
「私も同じだよ。せっかく親衛隊に呼ばれたんだから行かないともったいないよ!このチャンス逃したら次は無いかもよ?紫音ちゃんなら何が最善の判断なのかわかるでしょ?」
可奈美も同じく、親衛隊に行くことを後押ししてくれた。チャンスか......確かにこんなチャンスもう無いかもね......。
「大丈夫、紫音ちゃん。離れていても私たちの絆が崩れる事はないよ。どこにいたって私たちは友達でしょ?だから......気にせず行ってきて?」
そして......舞衣のこの一言が決定打となり、私に決意を固めさせてくれた。
......そうだよね。私がどこに行こうと、それで人間関係が変わるわけでもない、人が変わるわけでもない。私は私だ。みんなもみんなだ。決して崩れることのない深い絆が私たちにはあるんだから。だからーーー
「うん、ありがとうみんな。おかげで決心付いたよ!」
私は笑顔で3人の顔を見ながら、自分の決意を伝えた。
「私は......親衛隊に行く!そして、荒魂から人々を守って見せる!」
「すまないな......」
「はい?」
鎌倉に向かう新幹線の中で、獅童さんは不意にそう呟いた。
「君には辛い思いをさせてしまった。いくら実力があっても君はまだ子供だ。友と呼べる者たちと別れるのは辛かっただろう?」
力なく......そして私と目線を合わせないまま獅童さんはそう言った。
決意を固めた翌朝、私は獅童さんに親衛隊に入る旨を伝えた後、獅童さんと一緒に美濃関学院学長の羽島学長のところに行き、私を親衛隊に配属させることとしばらく学院を休学する旨を伝えに行った。羽島学長も数少ない私の実力を知る一人だったため、聞かされた時は始めは驚いていたけど、すぐに納得した顔をして許可して貰った。
「芹代さん。貴方の刀使としての力は折り紙付きよ。だからその力を親衛隊でも存分に発揮してきなさい。いいわね?」
「はい!存分に発揮してきます!」
私は羽島学長とそんな約束をした後、学長室を後にした。
そして出発の駅構内で、見送りに来てくれた可奈美と舞衣、美炎ともまた一つの約束をした。それはーーー
「来年の御前試合を見てて欲しい?」
「そう!来年こそは必ず本戦に出て見せるから!本戦は鎌倉でやるんでしょ?だったらその時に紫音ちゃんに会えるってことだから!だから、もし私たちが本戦に出たら......私たちのこと見てて欲しい」
私に手を握りながら、可奈美は強く言った。それだけ決意を込めて言ったんだろうな。だから、私の返答はもちろんーーー
「わかった!全部見させてもらうよ。その代わり誰も本戦に出ないってこと無いようにね〜?」
「わ、わかってるってば〜」
「「「「あははは!!!」」」」
そして、私たちはそこでひとまず別れた。次に会えるのはいつになるだろ〜......そんなことを考えながら、私は新幹線に乗った。
そして今に至る。獅童さんは、自分が私を友達と無理やり引き離してしまったと負い目を感じているみたいだった。
「獅童さんが気に病む必要はないですよ。これは私自身で決めたことですから。それに友達たちも納得してくれてましたから」
「そうか......ふっ、君は強いね?」
「強くなんか無いですよ?もし私のプリンが誰かに食べられたとしたら一気に落ち込んじゃうくらい私メンタル弱いんですよ?」
「そ......そうなんだね。知らなかったよ......」
あ、少し笑った。とりあえず元に戻ってくれたみたいだ。よかった。獅童さんとは今後も仕事仲間としてお付き合いしていくんだから、今のうちに人となりを掴んでおかないとね!
私の親衛隊の活動の日々が近づきつつある......。
次回【親衛隊第五席】
お楽しみに!