最強国家 大日本皇国召喚   作:鬼武者

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2024お正月スペシャルphase III

2001年10月29日 神奈川県 国連軍横浜基地

「紹介しよう、新たに207小隊に配属される訓練兵だ」

 

この日、国連軍横浜基地の207衛士訓練小隊に新たに6名が配属された。その新人というのが…

 

「栗武なおと訓練兵です!」

 

「魔戒けんと訓練兵です。よろしくお願いしますね」

 

「魂魄たけお。よろしく」

 

「剛田バール!!よろしくな!!!!」

 

「西條香織。よろしくね?」

 

「西條大吾だ。よろしく頼む」

 

いや、いきなり誰やねんと突っ込みたくなるだろう。コイツら6人、上から順にグリム、マーリン、レリック、バルク、カルファン、ベアキブルと霞桜の大隊長達である。

 

「見ての通り年は離れているが、今回とある事情によりここに配属された。小隊各員も自己紹介!」

 

「分隊長の榊千鶴です」

 

「御剣冥夜と申します」

 

「白銀武です」

 

「鎧衣美琴です」

 

「彩峰慧」

 

「珠瀬壬姫です」

 

「そして私が教官の神宮司まりもだ。では、これより訓練を開始する!」

 

さてさて、何故霞桜の大隊長がここにいるのか。これが謎である。皆、普通に夜に寝たのだが、なんか朝起きたらここの訓練兵宿舎に居た。しかも居たのは大隊長達だけで、他の部下や艦娘&KAN-SEN、長嶺もどこにも居ない。

取り敢えずグリムがハッキングで情報を盗んでみた結果、自分達は昨日付で配属された訓練兵ということになっていて、今日から訓練兵として活動する事だけは分かった。ここで変に動くより、そのまま訓練兵として動いた方が楽だろうという結論から、全員訓練兵として参加し、今に至るのである。

 

「午前中は行軍だ。装備を持て」

 

渡された装備は背嚢と鉄帽だけで、正直拍子抜けである。背嚢も軽いし、銃もない。これでは訓練にならないだろう。というかぶっちゃけ、フル装備であっても霞桜の訓練の方が重い。とは言え、楽に越した事はない。

 

「肩落とすな!顎上げろ!!」

 

神宮司から檄が飛び、訓練兵達はヒーコラ言いながら歩く。だが勿論、大隊長達は涼しい顔で風景を見ながら散歩でもしているかのように歩いている。無論ここで喋りでもしたら、キツくなりそうなので私語は慎んでいる。

 

「(ねぇ、グリちゃん。この世界のこと、何か分かった?)」

 

「(どうやら我々は、並行世界の日本に迷い込んだようですね。この世界ではBeings of the Extra Terrestrial origin which is Adversary of human race、通称BETAというエイリアンと戦争を繰り広げているようです。1967年から、今日に至るまで世界各地で戦闘を繰り広げ、月面から始まり現在ではユーラシア大陸の大半は支配されてしまったようですね)」

 

「(なんだその、BETA?ってのは)」

 

「(見てもらった方が早いですね)」

 

霞桜の隊員には、任務に応じてARコンタクトを装備する。こういう時に画像や映像で説明ができるので、とても便利だ。しかも自分にしか見えないので、周りの心配もいらない。

 

「(気持ち悪!!)」

 

「(これは何というか、生理的嫌悪感が凄いですね.......)」

 

「(私、吐きそうだわ.......)」

 

「(しかもこれ、基本的にかなり大きいですよ。この兵士(ソルジャー)級と闘士(ウォリアー)級というのは人間サイズですが、残りは車並み。下手をすればマンション並みの大きさだってあります)」

 

「(こりゃ倒せなくはねぇが、倒すのに骨が折れるぞ。艦娘とKAN-SEN、ここを総動員だな)」

 

続いてBETAに代わり、我々人類側の矛が紹介された。戦術機と呼ばれる、人型ロボットである。衛士というのも、このロボット兵器のパイロットの事らしい。

 

「(なんだこりゃ。ガンダムみたいだな)」

 

「(ふむ。やはり、ロボットは男心が擽られますね!)」

 

「(マーちゃんってそんなキャラだっけ?)」

 

「(マーリンの親っさんが壊れた.......)」

 

「(ロボットは浪漫!!マーリンに同意!!!!)」

 

ロボットの出現にレリックが壊れかけ、それを抑えている間に行軍はいつの間にか終わっていた。昼食を挟み、午後からは座学となったのだが、ここで最強特殊部隊の片鱗が垣間見えた。

 

「想定は作戦前の後方撹乱な訳だが、この様なレーダー施設をどの様に無力化する事が望ましい?前回、白銀が送電線の破壊と言っていたが、これ以外の方法でだ」

 

どうやら前にも似た様な問題が出たらしく、送電線の破壊という答えを出したらしい。正直、現場を知る人間としてはどの様に破壊するかで話は変わってくるが、目の付け所は悪くないだろう。

 

「.......教官殿、質問よろしいですか?」

 

「栗武、なんだ。言ってみろ」

 

「レーダー施設の種別をお教えください。レーダーのみか。管制室の有無。周囲の地形。警備状況、若しくは最短距離にある敵部隊の有無や戦力。敵支配域と味方支配域との距離」

 

「かなり細かく聞くんだな」

 

「当然です。教官殿もかつて戦場で戦われていたのなら、痛い程ご存知でしょう?情報はあって困る物ではありません」

 

グリムの問いに神宮司が出した想定は、次の通り。レーダーのみであり、周囲には小高い岡がある。警備は最低限であり、敵部隊の応援が到着するのは10分以内。敵支配域だが、味方支配域とは近い。こんな感じである。

 

「では、白銀訓練兵と同じ様に、破壊工作後の使用を考慮しましょうか。私なら付近に必ずある、点検用ハッチから内部に潜入。そのままハッキングして、情報を奪取しシステムにウイルスを流し込みます。こうしておけば、後から色々と利用できるでしょう?」

 

「.......栗武訓練兵、映画の見過ぎだぞ。そんなエリートエージェントみたいな兵士、いる訳が」

「ここにいるぜ?」

 

神宮司が顔を右に向けると、さっきまで机に向かっていた筈のベアキブルが真横に立っていた。しかもご丁寧に、指銃で神宮司のこめかみを撃ち抜いている。

 

「西條大吾!お前、何故そこにいる!!」

 

「だって教官殿が、そんな兵士居ねぇって言うだろうと思ったからさ。ここにいるぜ、そのエリートエージェントとやらは。しかも2人」

 

「1人だろ!」

 

「あら、私を忘れないでくれるかしら」

 

今度は反対側にカルファンが立っている。神宮司も白銀達も、全員目が点になっていた。神宮司は元は地獄と呼ばれた大陸戦線を。白銀はタイムリープしているので、この先の未来の激戦をそれぞれ潜り抜けている。その2人を持ってしても、霞桜大隊長の行動は驚愕の行動だったのだ。

 

「お、お前達、席に戻れ。というかそもそも!レーダーをハッキングってできる訳ないでしょう!!」

 

「現行レーダーは第四世代型ですからねぇ。アレ、バイパスを2、3個通せば一時的ですけど侵入に検知されないんですよ」

 

「そもそもレーダー装置が古い。こんなの無駄。破壊すべき。バル、じゃなさった。バール。破壊」

 

「そうさなぁ。手っ取り早く行くなら、基部の破壊だろうな。こういう即席軍事施設ってのは、案外構造脆いし。あーでも、警備があるんだよなぁ。とりま連絡網遮断して、皆殺しでいっか」

 

「EMPグレネード。後、変電設備の破壊」

 

「だったらよ、バールの兄貴。暗闇に紛れて、俺と姉貴でステルスキルするぜ?」

 

「では私は、岡から狙撃で援護しましょうか。そうですねぇ、1.5〜2km位でしょくからイージースナイピングですよ。そうだなぁ、どうせならAWMとかブレイザーR93を使いましょうか。バレットは大きいですが、7.62mmよりもストッピングパワーは欲しいですし。やはり長距離狙撃における.338ラプア・マグナムは使いやすいですからね」

 

もう無茶苦茶である。一応衛士とは言え、軍人である神宮司もある程度は分かる。が、グリムの発言は大半がわからないし、他の連中もある意味分かりたくない内容ばかりである。

 

「お前達、ふざけているのか?そんな事ができたら苦労する訳ないだろう!!!!」

 

「できるわよ、まりもちゃん」

 

「誰がまりもちゃんだ!!貴様ら、この後の格闘訓練覚悟してろよ.......」

 

座学の結果は神宮司、敗北である。生憎とコイツらは、生きてる次元が違うのだ。衛士としての土俵なら、確実に神宮司に軍配が上がる。だが、大隊長達は各々がその分野や戦闘スタイルに於いては、世界でも一、二を争う最強の戦士達なのだ。

副隊長兼本部大隊大隊長グリムはハッキングや電脳関連。第一大隊大隊長マーリンは狙撃。第二大隊大隊長レリックはメカ。第三大隊大隊長バルクは怪力と機関銃による分隊支援。第四大隊大隊長カルファンは隠密。第五大隊大隊長ベアキブルは近接格闘と、尖りまくった性能ではあるが適切な状況下であれば、たった1人で戦況をひっくり返すなんざ造作も無い化け物である。そんな存在に一衛士が勝てる訳ない。

 

「そ、其方ら仮にも教官に恐れはないのか.......」

 

「そもそも、あの受け答えは何ですか!あんな荒唐無稽な事、できる訳ないでしょう!!」

 

「榊分隊長、でしたね。我々はあんなの、いとも簡単にやってみせますよ。正直、アレよりAL攻略の時とか、房総半島防衛戦とかの方がキツかったですし」

 

「あーアレ、マジ地獄だったよな。ALの方は総長が途中まで居なかったし、本土戦の時は数多かったしな。何時間ぶっ通しだっけ?」

 

「確か12〜3時間では?」

 

「あら、15時間じゃなかったかしら?」

 

最強国家のみをご覧頂いてる読者の方々には、何を言っているのか分からないだろう。ALというのはミッドウェー攻略作戦の事であり、この時は作戦前に本拠地たる江ノ島が襲撃され、一時的に最強戦力にして最高指揮官である長嶺雷蔵が戦線離脱していたのだ。

そして本土戦というのは比較的最近起きたのだが、読んで字の如く日本本土同時襲撃防衛戦の事である。少し前、日本本土に深海棲艦が同時に来襲し、房総半島への上陸を許してしまう。幸い霞桜と江ノ島艦隊による迎撃で占領こそ免れたが、半島は壊滅状態。特に南部は逃げ遅れた一般市民が大量に犠牲になり、都市機能も崩壊。オマケに迎撃にあたった各鎮守府、基地の艦娘達、陸海空自衛隊、在日アメリカ軍でも、かなりの被害を出す大惨事となった。

 

「武さん以上の存在です」

 

「おいおい、俺を引き合いに出すなよ」

 

「いや、武も十分おかしいからね?」

 

「新人は規格外」

 

確かに彩峰の言う通り、コイツら揃いも揃って規格外である。だがコイツらというか、江ノ島の人間は総じて長嶺雷蔵とかいうヤベー奴によって、その辺りのハードルが上がりに上がりまくっており、自分達が規格外の異常者である事を理解していないのだ。

さてさて、今度は格闘訓練を行う事になったのだが、ここで神宮司、報復に出た。訓練教官として舐められない為にも、この場所で好き勝手させない為にも、ちょっとお灸を据えなくてはならない。そこで207小隊では一応先輩となる榊、御剣、鎧衣、綾峰、珠瀬、白銀対各大隊長1名ずつで戦う事になった。まず選ばれたのは、バルクである。因みに6人は、模擬戦用の武器を持っている。

 

「神宮司の嬢ちゃん。こりゃちょっと、アンフェアじゃないか?」

 

「戦場でそんな事を宣う暇はないぞ?」

 

「まあ、それもそうか。で、そのナイフ。偽物だろうけど強度は?」

 

「本物と遜色ないが?」

 

「そりゃいいや。じゃぁ、始めようぜ」

 

幾ら武装した6人が相手とはいえど、所詮は素人。この程度、お話にもならない。神宮司が笛を鳴らし、訓練が始まる。だがしかし…

 

「うおらぁ!!!!!」

 

なんとバルク、御剣の模造刀をパンチでへし折った。しかも勢いそのままに白銀を持ち上げて適当に投げ捨て、そのままタックルの要領で猪の様に他の女子5人を追いかけ回す。

 

「おらおらどうしたぁぁ!!!!!!」

 

「何なのアイツ!!!!」

 

「笑ってます!!怖いですぅぅぅ!!!!!」

 

「武は!?」

 

「あそこで伸びてる!!」

 

「流石の私でも、刀無しでは切れんぞ!!!!」

 

神宮司もまさかの展開に唖然としているが、大隊長達は完全に絵面が女を追いかけ回す変態のソレすぎて、腹抱えて笑ったりスマホで動画撮ったりして遊んでいた。

 

「そ、そこまで!!全員戻ってこい!!」

 

「えー。もう終わりかよ。もうちょい追いかけっこしたかったのによぉ」

 

「た、助かりましたぁー.......」

 

次に指名されたのはベアキブル。正直、格闘戦で言えば霞桜内でも最強の存在である。何せコイツは元極道で、接近戦に関しては右に出る者はいない。リアル桐生一馬である。あ、長嶺とか神谷は殿堂入りみたいな物なのでノーカウントだがあしからず。

 

「教官さんよぉ。悪いが本気で行かせてもらうぜ?」

 

「ほう。大した自信だな」

 

「あぁ。さぁ、相手してやるガキ共。本物のタマの取り合いってのを教えてやるよ!!!!!」

 

ベアキブルは勢いよく上着を脱ぎ捨てた。まあ元極道なので、しっかり刺青も入っている。しかもその柄というのが、背中には虎と不動明王。胸には般若。右腕に応龍、左腕に黄竜と超豪華な刺青である。

タダでさえ刺青自体イカついのに、その刺青が5種類も入っている辺り威圧感はカンストである。

 

「なんだ、来ないのか?なら、俺から行ってやるよ!!!!!!」

 

まず狙いを付けたのは、最も小柄な珠瀬。珠瀬からサバイバルナイフを奪い取り、ついでに一本取って無力化しておく。後は作業だ。元々ベアキブルは、ドスで深海棲艦とやり合う度胸と技術を持った狂人である。ちょっと武道の心があろうと、正面からそれをねじ伏せる。

 

「死に晒せぇぇぇ!!!!!!」

 

「いってぇぇぇぇ!!!!!!」

 

「腹掻っ捌いてやんよ!!!!!」

 

「は、速い!」

 

開始から僅か30秒で、全員の死亡判定を取ったベアキブル。完全なる独壇場である。続くカルファン、マーリン、グリムも流石にここまでの超圧倒的とは行かぬが、それでも1分程度で制圧してみせた。

てっきりこの行為で孤立するかと思いきや、207小隊の反応は意外にも好意的でどうにかして技術を盗もうとしてくる程であった。いい傾向である。

 

「凄いです大吾さん!!あんな動き、初めて見ました!!」

 

「そりゃ鉄火場を渡り歩いたからな。あれ位は当然だ。特にお前さんは小柄だ。コンプレックスに感じているのかもしれないが、その分俊敏性は他よりも高い。やりようによっちゃ、格闘センスが上がるかもしれんぞ」

 

「そ、そうですかぁ////?」

 

 

「バール、お前変態みたいだったぞ」

 

「ひでぇな坊主。コレでも一応、慈愛に満ちたナイスガイだぞ?」

 

「いや、どっちかっていうと悪役だろ」

 

 

「香織さんって、大吾さんと兄弟なの?」

 

「そうよ。私が姉で、あっちが弟。全然似てないけどね」

 

「でも雰囲気は似てるよ?」

 

「あらそう?嬉しいわ」

 

 

「これ、あげる。ここのおにぎりは美味しい」

 

「ん。.......うまい」

 

「良かった」

 

 

「なおとさんは、格闘の経験があるの?」

 

「基礎的なCQCはやっていましたが、基本は実戦で身につけた独学ですよ」

 

「独学であんな、1分で制圧できる物なのか?」

 

「えぇ。尤も、冥夜さんの様な剣士は相手にしたくありませんが。それに私は個人的に、剣士が苦手でして」

 

「何かあったのか?」

 

「我々6人が総隊長殿と仰ぐ、君達と同じくらいの歳の男性が居ましてね。何度も模擬戦をしましたが、一向に勝てないんですよ。何年もね」

 

グリムは御剣と榊に、長嶺の事を語った。流石に全部が全部話せる訳ではないので、適当にかいつまんで時折フェイクで繋いで矛盾がない様に。長嶺の人となりを聞いた2人の反応は、言うまでもないが軽く引いていた。

さて、場所は変わって基地内のラウンジ。ここでは神宮司とマーリンが、2人でお茶をしていた。

 

「私は教官の才能が無いのだろうか.......」

 

「いえいえ、教官殿は職務を忠実に全うしていますとも。ただ我々が、少々おかしいだけです」

 

「全く、君達は何者なんだ。こんな規格外な連中、初めて見たぞ?」

 

「あなた、いえ。衛士が対BETA戦闘でのプロフェッショナルなら、我々6人は戦争のプロフェッショナルなのですよ」

 

「戦争のプロフェッショナル?」

 

神宮司はマーリンの言うことが理解できなかった。戦争のプロフェッショナルとは、一体どういう意味なのかと。何せこの世界では、BETA襲来以来、人類同士での戦争というのが起きていない。そんな人間同士で仲間割れしてる暇はないのだ。まあ裏とか政治で起きる事はあるが、少なくとも国が全面衝突する戦争はなかった。

 

「どういう事かは、明日の訓練でお見せしましょう。確か1週間後には、白兵戦の訓練でここの警備兵との銃を用いた模擬戦闘だった筈。我々が存在意義とする物を、ぜひご覧ください」

 

マーリンはそう言い残すと、ラウンジを去っていった。翌日からの訓練でも、大隊長達はその異常性を遺憾なく発揮していった。本来50秒位掛かる銃の組み立てをレリックが15秒でやってのけたり、副司令の香月とグリムがコンピューターに関するハイレベルな談義を始めたかと思ったらスーパーコンピュターを組み出したり、マーリンが狙撃で全く同じ場所に5発全弾命中させて伝説化したり、かなり色々やった。

そして迎えた1週間後。この日の訓練内容は先述の通り、ここの警備兵との模擬戦である。だがこの模擬戦は、大群に押し潰される恐怖を体験するための物であり、負けイベントなのだ。そのため、6対600とかいう馬鹿げた数で戦う羽目になる。しかも固定機銃やら装甲車やら何でもかんでも出してくるので、どう足掻いても勝ち様がないのだ。実際、先に訓練を受けた白銀らは物の5分で殲滅されている。

 

「負けたな。完膚なきまでに」

 

「あぁ.......」

 

「あんなの勝てっこないよ!!」

 

「これは負けイベントよ。仕方ないわ」

 

「にしても、あの数は異常」

 

「うぅ.......」

 

完全にお通夜モードの6人の背後に、大隊長達が完全装備がやってきた。大隊長達からしてみれば、警備兵とて物の数ではない。寧ろ、歯応えがありそうで楽しみですらある。

 

「そう落ち込まないでください、皆さん」

 

「我々が仇を取りますよ。大丈夫、おじさん達に任せてください」

 

「そうだぜガキ共。俺達、ちょっと本気出すからよ。楽しみに待ってな」

 

「しっかり仇は取ってきてあげるからね」

 

「うっしゃぁ!!やるか!!!!」

 

「戦争。楽しみ」

 

グリムはマークスマンライフル仕様のAR10、マーリンはM24、レリックはFA-MAS、バルクはM249を3挺、カルファンはUZIを2挺、ベアキブルはガバメントと短ドス&長ドスを装備している。本来なら専用武装を使いたい所だが、この際仕方がないだろう。

白銀達は大隊長達を何も言えずに見送り、白銀達は観覧スペースへ。大隊長達は演習場へと向かう。

 

『模擬戦、始め!!!!』

 

神宮司の号令と共にブザーが鳴り、一気に警備兵達が動き出す。だがそれよりも先に、いきなりマーリンが先手を取った。開始直後から、指揮官クラスを立て続けに狙撃でキル判定を取っていったのだ。

 

「思ったとおり。彼ら、実戦には慣れていませんね」

 

実を言うと訓練前からグリムは監視カメラ映像を入手し、カルファンは詰め所へ実際に赴いて相手となる兵士達の階級や、練度を洗っていたのだ。そのデータから導き出されたのは、彼らは対人戦闘の経験が圧倒的に少ないという物であった。

というのも、基本的にこの世界の歩兵は対BETA戦の基本的に戦術機が相手する敵ではない、兵士級と闘士級であり、稀に対戦車ミサイルなんかで戦車(タンク)級と戦う。そのため、歩兵との戦闘経験が圧倒的に足りないのだ。対する霞桜は、深海棲艦を艦娘、KAN-SENと協力して狩り立てる部隊。更には戦争、戦闘のプロフェッショナルという名の狂人共が集まる最強にして最恐の最狂の軍団である。どうやらここの基地もオルタネイティブ4とかいう極秘計画の本部であるため、他の基地よりかはエリートが集まっているらしいがそれでも、大隊長達には物の数ではない。

 

『グリム、指揮官クラスは半分は潰せたでしょう。このまま援護に入ります』

 

「了解しました。そのまま援護をお願いします。皆さん、いつも通りです。マーリンが狙撃で援護、バルクが弾幕で敵を拘束、カルファンは遊撃、ベアキブルが突撃、レリックが撹乱。私はここから指揮を取ります。

バルク、あそこのコンテナまで前進。援護に入ってください。ベアキブルは左、カルファンは右から回り込んで備えてください。レリック、装甲車が来るまでに例の物を。総隊長殿はいらっしゃいませんが、この程度なら我々でもできる筈です。いつもの様に、楽しんでいきましょう!!」

 

大隊長が攻勢に転ずる。マーリンとグリムが手分けして、指揮官クラスや分隊支援火器を装備する兵士を優先的に排除し、なるべく通常の歩兵のみが残る様に仕向けていく。

指揮を取る者と打撃力を司る兵士が急速に減っていけば、装甲車を出さざるを得ない。大隊長達に取って厄介な存在は、その装甲車のみ。だが逆に言えば、その装甲車さえどうにかしてしまえば後は単純作業に過ぎない。

 

「クソッ、第一、第三大隊、大隊長及び中隊、小隊長全滅!!」

 

「第二大隊も大隊長、第一第三中隊長がやられました!!」

 

「くっ.......装甲車を出せ!!」

 

第三大隊の大隊長が苦虫を噛み潰したかの様な声で、そう命じた。大隊長の命令で動き出したのは、リモート操作の12.7mm機銃を装備した82式指揮通信装甲車である。

 

「おっ、出てきた出てきた。グリム、装甲車が出てきましたよ」

 

『了解しました。レリックを動かします』

 

グリムのハンドサインで、レリックが準備しておいた秘密兵器を準備する。今回この演習場内に予めEODボットを作れるジャンクパーツを、各所の訓練用デブリの中に配置しておいたのだ。ついでに即席の電気トラップも作れる様なジャンクも、同様に配置してある。

後はジャンクパーツをレリックが現地で組み合わせて、即席のEODボットと電気トラップを作成するという手筈なのだ。これを使って装甲車を無力化する。

 

「行け」

 

操作プログラムは予め情報端末内にインストールしてあるので、それで操作ができる。電波も演習場全域に届く様に、レリックとグリムで調整してある徹底っぷりだ。

 

「取り付いた」

 

「起爆」

 

「ポチっとな」

 

装甲車にEODボットが接触すると同時に、電気トラップが起爆。一瞬だが装甲車の回路に高電圧が掛かり、全ての回線がショートする。そうすればもう、装甲車は単なる遮蔽物だ。

 

「成功」

 

「一斉攻撃開始!敵を殲滅します!!」

 

グリムの指示に、全員の攻撃パターンが切り替わった。まず真っ先に動いたのは、ベアキブルとカルファン。遮蔽物に隠れながらのステルス行動だったわけだが、この命令が出るや否や一気に飛び出して攻撃を開始する。

 

「死に晒せやゴルァァァァァァ!!!!!!!」

 

「こ、コイツ何者だ!!」

 

「うおらぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

ベアキブルは敵陣に殴り込みドスで腹を抉り上げ、ガバメントを連射し、首筋を長ドスで掻き切り、相手の持つ銃を撃ったりぶん投げたりして、相手を乱戦の渦中に巻き込み瞬殺していく。

 

「こっちにも来るぞ!!撃て!!!!」

 

「甘いわ、よ!!」

 

「と、飛んだぁ!?!?」

 

「上がガラ空きね。キスしてあげるわ♡」

 

兵士達の頭上に、9mm弾の嵐が襲いかかる。本来なら鋼糸を用いた変則的な戦闘を繰り広げるカルファンであるが、今回はデュアルUZIである。カルファン自身、霞桜内での機動性というかアクロバット能力は随一であり、グラップリングフック無しでもパルクールなどの技術を用いて、三次元的な機動ができる。それを使った戦法は、基本的に初見で見切る事はまず不可能だ。

 

「オラオラオラオラ!!弾幕は救い!!!!!!」

 

次に動いたのはバルク。これまでは足止め及び殺せそうな奴を刈り取る射撃だったが、今はとにかく乱射しまくる戦闘狂モードになった。だがそんな撃ち方では、すぐに弾が尽きてしまう。

 

「弾切れだ!!撃ち返せ!!」

 

「よっしゃ!!!!」

 

兵士達が今まで動けなかった鬱憤を晴らすべく撃ち返そうと身を乗り出した瞬間、バルクは今まで握っていたM249をハンマー投げの要領でぶん投げて兵士の1人の脳天に直撃させた。当たった兵士は脳震盪でぶっ倒れる。

 

「弾幕のレクイエムは、まだまだ序章だ。第二楽章、真なる弾幕の救い。開演だ!!」

 

バルクは背中に背負っていた2つのM249を取り出し、デュアル軽機関銃とかいうフィクションでも早々お目にかかれない装備で暴れ出す。一応模擬弾とはいえ、銃の重さや反動は実銃と遜色ない。しかも本来軽機関銃は、バイポッドを立てて撃つ物だ。それを2挺同時とか、人間業ではない。

 

「カモカモカモン!!!!!」

 

圧倒的な弾幕に、兵士達は1人、また1人と倒れていく。マーリン、グリムも援護を続け敵陣に深く食い込んでいる仲間を背後から守っている。

そんな中レリックはこっそりと前進し、敵のM2重機関銃を奪取。トリガー部分に改造を施して、通常タイプのトリガーに直結させる。

 

「バルク。これ使え」

 

「M2!!しかもトリガーを変えてあるな?感謝するぜ!!!!!」

 

丁度弾切れになったM249を捨て、改造したM2を装備する。あくまで改造したのはトリガーだけであり、その目的は手持ちで撃ちやすくする為で反動とかは全く軽減されない。にも関わらずバルクは、普通に振り回して見せる。

兵士達は初めて感じる圧倒的なまでの練度差に、ただただ恐怖し満足な抵抗もできずに倒されて、遂には1人残らず全滅してしまった。

 

「そ、それまで!勝者、207小隊B分隊!!」

 

神宮司も信じられない様子で、そう審判を出した。あれだけの戦力差を。100倍もの戦力差を、たった7人でひっくり返し、あまつさえ殲滅してみせるなど、人間の成せる技ではない。この日、基地中の話題がこの事で持ちきりになったのは言うまでもない。

さてさて時は早い物で、数日後にはシュミレーターでの訓練が始まった。最初は大隊長達も戸惑いはしたが、操作系統はちがうが感覚が海戦型特殊装甲服シービクターに近いのもあって、意外とすぐに感覚を掴めていた。そしてそして、とんとん拍子で訓練が進んだ結果、早くも実機訓練へと移行する事になった。だが、その訓練を前日に控えた夜、横浜基地を地震が襲った。単なる地震ではない。震度3位だが、10分以上も揺れているのだ。

 

「これ、なんか経験ありますね」

 

「あ!アレだグリム!!ほら、異世界の日本に転移したヤツ!!」

 

「あぁ!!」

 

「グリム!と、それにバルクも!!私達の専用装備が、なんか各々の自室にありましたよ!!」

 

マーリンの報告に2人が部屋に急いで戻ると、そこには自分の専用装備と強化外骨格を始めとした装備一式が揃っていた。恐らく横浜基地は何処かしらに転移し、その影響で装備も転移してきたのだろう。そう考えたグリムはすぐに、江ノ島鎮守府に連絡を取る。

 

『グリムさんですか!?』

 

「大和さん!良かった。皆さん無事ですか?総隊長殿はいらっしゃいますか?」

 

『みんな無事ですが、提督は鎮守府を留守にしています。しかし先程、連絡が取れました。こっちに向かっているそうです』

 

「わかりました。では、我々も回収を…」

 

グリムが回収を頼もうとした時、基地のサイレンが鳴り「所属不明武装勢力が侵入した。総員戦闘配置」とのアナウンスが流れる。流石にただ回収してもらうだけでは済まなくなりそうになった以上、何かしらの保険はかけなくてはならない。

 

「やはり回収と、霞桜の派遣もお願いします」

 

『わかりました』

 

BETAならコード991が発令されるが『所属不明』と来た以上、BETA以外の存在であると見てまず間違いないだろう。となれば、こちらもそれ相応のもてなしが出来る。それに既に江ノ島と通信できた以上、もう訓練兵を演じる必要はない。海上機動歩兵軍団『霞桜』大隊長として、対処すればいい。

 

「皆さん完全武装!念の為、対深海徹甲弾も装備してください!!」

 

素早く強化外骨格を身に纏い、武器を装備して廊下に飛び出す。やはり訓練兵で色々力に制約があるよりも、こっちの大隊長として自由に動いた方が楽だし楽しい。

一方の白銀達は、戦術機格納庫で所属不明の武装勢力という名の深海棲艦に襲われていた。

 

「こ、コイツらBETAじゃないぞ!?」

 

「一体なんなのよコイツら!!」

 

「冥夜様をお守りしろ!!」

 

偶々基地に来ていた月詠中尉ら、帝国斯衛軍第19独立警備小隊の面々が御剣を守ろうと剣を抜く。

 

「冥夜様に近づくな化け物!!!!」

 

「人間ガ、アタシニ叶ウトデモ?」

 

「.......やってみなければ、分からぬだろう?

 

「馬鹿ハ早死ニスル。死ネ、人間」

 

「死ぬのはテメェだ」

 

月詠らを殺そうとしていたタ級の背後から、ベアキブルがドスを深々と突き刺した。一度抉り込む様に刺したのち、もう一度、別角度が抉り込む様に刺して完全に絶命させる。

 

「大吾!?」

 

「よう嬢ちゃん。っと、そっちの侍さん方は初めましてだな」

 

「何者だ貴様は.......」

 

月詠とその部下達は刀の切先を、ベアキブルに向ける。恐らくちょっとでも動けば、ザクっと斬られる事だろう。だが斬られるよりも先に、御剣が止めに入る。

 

「こやつは、私と同じ207小隊の訓練兵、西條大吾だ。敵ではない!剣を納めぬか」

 

「あ、冥夜嬢ちゃん。それ、違う」

 

「だ、大吾は訓練兵だろう!?」

 

「あー、それね。本当は違うんだ。俺は海上機動歩兵軍団『霞桜』第五大隊大隊長ベアキブル。この深海棲艦をぶっ殺す為の、特殊部隊の隊員だ!!」

 

次の瞬間、格納庫の扉が轟音と共に吹き飛ばされた。中に大量の深海棲艦が入ってくる。しかも基本的に、全部戦艦とか重巡である。

 

「バルクの兄貴!!出番ですよー!!!!!」

 

「おうよ!!!!」

 

バルクの声が聞こえると思ったら、天井からバルクが降って来る。物凄い轟音が格納庫内に響き、キャットウォークの上もグラグラ揺れる。

 

「そぉら深海共!!歓迎してやる。派手に踊れ!!!!!!」

 

ハウンドを装備したバルクが、弾幕を展開して深海棲艦の軍勢に向かって撃ちまくる。深海棲艦達の動きが止まれば、ベアキブルが敵陣深く切り込み格闘戦で殲滅していく。

 

「御剣!無事か!?」

 

「教官!」

 

「あの者達は一体.......」

 

「剛田と西條です」

 

「なんだと!?」

 

神宮司もまさか戦っているのが、自分の受け持つ訓練兵とは思っていなかったらしい。そんな中にグリムが強化外骨格装備でやってきたのだから、余計にややこしくなる。

 

「教官殿。よかった、ご無事ですね?」

 

「栗武訓練兵!貴様、この事態はなんだ!!」

 

「さぁ。私にも分かりかねます。しかし、敵が来て、我々は我々の為すべきを為している。それだけですよ。あ、そうそう。それから私は栗武ではありません。海上機動歩兵軍団『霞桜』副隊長兼、本部大隊大隊長グリムです。ここは危険です、付いてきてください」

 

まだ何が何やら分からないが、取り敢えずグリムについて行く一行達。途中で白銀や榊といった、その場にいなかった訓練兵とか香月みたいな基地要員も拾って行き、ついでに他の大隊長共合流して取り敢えず例の演習を行った演習場に出た。

 

「ここで仲間が来るまで待機します」

 

「仲間って、バールとか香織の事か?」

 

「まあ確かに彼らも仲間ですが、もっと他にもいるんですよ」

 

「敵機来襲!!!!!」

 

ベアキブルがそう叫んだ。ベアキブルの指差す方向を見れば、深海棲艦の艦載機が飛んで来ている。とは言えここは遮蔽物がなく撃たれれば最後、蜂の巣にされて見るも無惨な死体が転がる事だろう。

 

「バルク、レリック弾幕射撃!私とマーリンは狙撃で敵を減らします!!カルファンは糸で防御網を作ってください!!攻撃開始!!!!!!」

 

グリムの命令で、即座に動き出す大隊長達。グリムとレリックは人間CIWSとなり、グリムとマーリンが狙撃で正確に艦載機達を撃ち抜いて行く。数十機はいた航空機は1機、また1機と落ちて行くが、その後方から更に数百機の航空機が迫る。

 

「マージですか。グリム、後方から更に来ます。機数、凡そ300」

 

「流石に皆さん引き連れて戦っては、確実に守り切れませんね。少し引きます」

 

一団を少し遠ざけようとしたその時、上空から無数の弾丸が敵編隊に降り注いだ。そして演習場を強力なライトで照らされる。

 

「間に合いましたか」

 

「ば、バール!これが仲間なのか!?」

 

「そうだぜ坊主。コイツらが俺達、霞桜の隊員達だ!!!!」

 

演習場内に飛来したのは、数百機の戦域殲滅VTOL輸送機『黒鮫』だった。中には霞桜の隊員達と艦娘達まで乗って来ており、降下後は即座に陣形を組んで基地要員達を守る様に布陣する。

 

「あー、栗武訓練兵。君達は、一体何者なんだね?我々の敵か?味方なのか?」

 

「ラダノビット司令。我々は敵ではありませんが、味方でもありません。我々は本来、表には出ない存在。しかしここの皆さんにはお世話になりましたので、そのお返しついでに職務も果たすだけです」

 

ラダノビットの問いにそう返した直後、基地中に不思議な女の絶叫が響き渡った。耳というより、脳に直接響き渡り頭蓋骨で反響している様な錯覚を覚える大絶叫である。

だが霞桜や江ノ島艦隊の人間は、この絶叫よりもその後に待ち受ける事態に警戒していた。

 

「コリナイ.......コタチ.......」

 

「ベーくん。アレって.......」

 

「姫級だな.......」

 

「離島。戦艦も8隻」

 

「おいおいおいおい!ありゃなんの冗談だ!!向こうにも飛行場姫とか戦艦棲姫がいるぞ!!!!」

 

「囲まれてますねこれは.......」

 

無論それで終わるはずもない。姫級の周囲には、姫を護る臣下の如く雑魚艦が大量にいる。ただ戦うだけなら問題はないが、基地要員を守りながらとなると、かなり難しい。しかも今回、長嶺が不在と来ればかなり不安だ。

いつもはどんな状況であっても、背後か戦闘に長嶺雷蔵という最強の戦力がいるからこそ、何も余計なことを考えずに戦えられた。先頭に立っているなら我武者羅に背中に付いて行き、背後にいるなら後ろを振り返ることなく前だけ見て戦える。言うなれば、最強を最強たらしめる為の支柱の様な存在なのだ。柱が折れた訳では無いので問題はないが、支柱が折れたままでは崩れやすくなる。

 

「やるしかないですね.......。総員、戦闘配置!!敵を迎撃しつつ、パッケージを逃します!!全兵器使用自由!!!!攻撃始め!!!!!!」

 

「定めが.......観える――」

 

「この力で、未来を切り開く…!」

 

「さぁ、決めますヨー!全主砲、Target!」

 

「艦隊前進、迎撃戦に移行します!サラに続いて!」

 

全員が迎撃を始める。艦娘、KAN-SENが砲撃で援護しつつ、霞桜の隊員達は前進。敵陣に突っ込んで敵を各個に迎撃して行く。しかもここで、予想にもしない増援がやって来た。

 

「おいおい、皇国の地を今年は深海棲艦が汚すのかよ。まあいいか。野郎共、やるぞ!!!!!」

 

真っ黒のAVC1突空が、真っ白と真っ赤な突空を引き連れて横浜基地上空に飛来した。神谷戦闘団の来援である。

 

「向上、降下後は好きに暴れろ。こんな事もあろうかと、いつかの余ってた対深海徹甲弾を装備していてよかった」

 

「お任せください」

 

「ワルキューレは試しに魔法を行使してくれ。倒せそうになかったら、そのまま援護に回れ。さぁーて、暴れるぞ!!!!!」

 

2022年の際に霞桜と共に戦ったあの時に使い、なんだかんだで余っていた対深海徹甲弾を神谷戦闘団は装備している。これがあれば、取り敢えずの戦闘は可能だ。神谷戦闘団は周囲に部隊を戦車や自走砲を含む全戦力降下させ、攻勢を開始する。

 

「まさか人間みたいな奴に、戦車砲をお見舞いする時が来るとはな。撃て!!」

 

「てぇっ!!!!」

 

因みに46式戦車の46式350mm滑降砲クラスともなれば、深海棲艦とて雑魚艦であれば問題なく吹き飛ばせる。霞桜の面々も予想外の来援に驚きこそすれ、去年は銀河帝国軍相手に共同戦線を構築しただけあったすぐに行動を合わせられた。

 

「お、グリム副長!!」

 

「あ、貴方は神谷閣下!?どうしてここに」

 

「多分アレだろ。例の世界線が一緒にやるヤツ。またそれらしい」

 

「ではここは、皇国ですか?」

 

「あぁ。皇国の土地を穢す化け物を撃退するんだ、俺達も協力する」

 

「ありがとうございます!」

 

共同戦線の構築が行われている中、もう1機の『黒鮫』が現場に飛来した。その中から1人と2匹が、パラシュートもなく降りて来る。1人と2匹は着地ついでに、手近の深海棲艦数体を倒す。

 

「なんたってまぁ、またこんな大所帯で来るんだよ」

 

「主様、どうする?」

 

「当然皆殺しだ。お前達、暴れろ!!!!!」

 

2匹は巨大化し、数十mの八咫烏と銀白の狼となって深海棲艦達を食い散らかす。もう誰が来たかは、お分かりだろう。

 

「また会ったな、雷蔵くん」

 

「おう!元気だった神谷さん?なんて、再会を祝してる場合じゃないな」

 

「あぁ。ここに2つの日本を護る存在が集ったんだ。やる事は1つだろう?」

 

2人の英雄は固く握手を交わすと、其々の部下達の方へと向き直り武器を抜きながら指示を出す。

 

「新・大日本帝国海軍、海上機動歩兵軍団『霞桜』及び、江ノ島鎮守府全艦隊!!」

 

「大日本皇国統合軍、神谷戦闘団全兵士!!」

 

「「攻撃開始!!!!!!!!」」

 

皇国最強の盾にして世界最強の最精鋭部隊たる『神谷戦闘団』と、世界最狂の影の最強特殊部隊たる『霞桜』及び人類最後の希望にして最高練度を誇る『江ノ島艦隊』がここに揃い、タッグを組んだ。神谷と長嶺の命令に、各員が雄叫びを上げて果敢に攻め込む。もうこの勢いは止まらない。

 

「テメェら!!親父に続け!!!!!!」

 

「野郎共!!第五を援護するぞ!!Barrage junkie(弾幕ジャンキーこそ)!?!?」

 

「「「「「「is the messenger of peace(平和の使者なり)!!!!!!」」」」」」

 

「第一大隊、空中援護!空から支援しますよ!!」

 

霞桜は第五大隊が中央突破を行い、その背後から第三大隊が援護しつつ、第一大隊が後方から戦場全体を見渡して支援射撃を開始する。いつものお決まりパターンだ。

 

「ワルキューレ!!俺に付いてこい!!!!向上!赤衣で援護しろ!!他はいつもの様に戦線を構築!!!!各個に鎮圧しつつ前進しろ!!!!!」

 

「浩三様!後ろは任せて!!」

 

「ポイズンヒュドラ!!」

 

「爆裂矢、行くよ!!」

 

「剣山で退路を塞ぐわよ!ハァッ!!!!」

 

「アイスランススコール!!!!」

 

「援護開始!!撃ちまくれ!!!!」

 

神谷戦闘団もいつも通りだ。神谷とワルキューレが前に立ち、その後方から赤衣鉄砲隊が援護を行う。その間に白亜衆と一般隊員は装甲歩兵で戦線を構築し、弾幕を張って敵を近づけさせない。さらにその前衛に戦車が展開し、最前線で敵を踏み潰す。

 

『戦隊各員、前進!敵を殲滅しつつ、戦況に応じて歩兵の援護を!!!!』

 

「スピアヘッド戦隊、各個撃破開始。ラフィングフォックス、上から回り込め。スノウウィッチは敵後方に展開中の、確か戦艦?それを叩いてくれ。ヴァアヴォルフは側面から回り込め。ガンスリンガー、援護射撃」

 

『シン、俺たちはどうする?』

 

『ブラックドックはヴァアヴォルフに付いていけ。兄さん、手伝ってくれるか?』

 

『いいよ。中央突破でしょ?俺が背中を守る。前だけ向いて気にせず突っ込め!』

 

エイティシックスも遊撃を開始。それに合わせてカルファンの第四大隊、レリックの第二大隊も動き出す。

 

「リ級ちゃん!お遊戯の時間よ!!」

 

「ヲ級。殺す!」

 

カルファンはリ級の体内にワイヤーを差し込んでいき、そのまま体内を這わせて即席の操り人形を作成。それを巧みに操り、半ば同士討ちをさせる。そしてレリックはマニュピレータに装備した重火器やチェーンソーで、ヲ級等の比較的装甲が薄い敵を狩る。特にチェーンソーは肉を掻き出しながら切るので、悲鳴と血飛沫が派手に上がり、軽くトラウマ物だ。

 

「本部大隊!パッケージを護ります!!近づいてくる機体は容赦なく落としてください!!!!」

 

本部大隊はパッケージこと、横浜基地の人員を守る様に展開する。陸は接近することはないが、空からは普通にやってくる。そこで本部大隊の出番だ。弾幕を張って、最終防衛ラインとなる。

雑魚敵を霞桜と神谷戦闘団が殲滅している中、戦艦やélite、flag shipと行った精鋭は、彼女達が相手する。

 

「ソロモンの悪夢、見せてあげる!」

 

「私が敵を侮ると思ったら大間違いよ!」

 

「主砲、撃てぇーいっ♪」

 

「阿賀野の本領、発揮するからね!」

 

「噛み砕け!あはははは!」

 

新・大日本帝国海軍最強の最精鋭艦隊。江ノ島艦隊の艦娘とKAN-SEN達が、精鋭達を相手取る。本来海上での戦闘が主な任務であるが、霞桜がいる特性上、艤装を用いた陸戦もできる様に訓練はしてある。その結果、駆逐艦、軽巡の様な魚雷を装備する連中は、こんなヤベェ技を会得してしまった。

 

「海の藻屑、いえ!陸の塵と!!」

 

「なりなよ〜」

 

大井と北上。クレイジーサイコレズビアンだの何だの、毎回ネタにされてる大井&北上のコンビ。だがこの2人、知っての通り重雷装巡洋艦という魚雷満載艦である。魚雷は水中航走式の爆弾であり、陸では使えない。なので彼女達は撃った瞬間に、蹴り飛ばして一種の砲弾として使い出す技を作ったのだ。

しかも技はそれだけではない。単純にぶん殴る鈍器にしたり、手榴弾みたいに投げつけたり、転がして足元に行ったところを狙撃したりもする。だが一番ヤバいのは、鉄血の許不和超巡ローンだ。

 

「HA☆NA☆SE!」

 

「ふふ、私のことを見て逃げようとするなんて、まさか逃げられるとでも思っているんですかぁ〜?」

 

「ヤメロー!シニタクナーイ!」

 

ローンさん、とっ捕まえたリ級flagshipを片手で保持しつつ、魚雷を1本抜いて弾頭ではなく、後ろのスクリューの方を顔に向ける。そして魚雷を起動して…

 

「ギャァァァァァァァァァ!!!!!!」

 

「ふふふ。あら、もう終わっちゃいましたか?」

 

「ろ、ローンさん怖い!」

「か、返り血浴びて笑ってるとかホラーです!」

「ヤバいヤツ!アレはヤバいヤツにゃしぃ!!!」

「ろ、ろろローンさん!?」

「ヒエェェェ.......」

 

「ジャベリンちゃん綾波ちゃん睦月ちゃん吹雪ちゃん!アレは見たらダメよ!!!!比叡お姉様も見ないでください!!!!ビスマルクさん!!あれどうにかしてください!味方にダメージ与えてますよ!!!!」

 

「すまない霧島。私でもアレは止められない.......」

 

ローンの必殺、彼女曰く『魚雷スムージー攻撃』は味方の精神をも攻撃する。まああの狂気は基本味方には向かない筈なので問題はないが、それでも駆逐艦にはかなりショッキングである。だがそれでもドン引くだけで済んでるのは、長嶺がそれ以上に色々ヤバいあれやこれやをしてるからなので、割と駆逐艦達も壊れているのかもしれない。

因みにあの技を知った長嶺は、ローンを止めるでもなく「指巻き込んだりすんなよ?後、相手苦しめたいなら逆に足とか腕とか、男ならチンコ、女ならおっぱい辺りをやると良い拷問になる。あ、俺も今度やろう。それ、俺も借りて良い?」とか言ってたらしい。

 

「ローンったら、全くブレないわね」

 

「いや、アレはブレてほしいわ。流石にあれ、アタシでも軽く恐怖よ?」

 

「姉さん、グロいのとかホラー苦手だものね。この間も1人で見て」

「オイゲーン!!!!」

 

「あら、言ったらダメかしら?」

 

尚、ある程度の大人組や鉄血組に関しては、あまりにも平常運転すぎて少し引くが、それでも基本はどこ吹く風で流している。

さて、精鋭といえど基本は数だけの雑魚。その雑魚を撃退している間に、2人の英雄は本丸を目指す。

 

「ナンドデモ…ミナゾコニ…シズンデ…イキナサイ……」

 

「悪いが、そうも行かない。だが、一撃で終わらせてやるよ。超位魔法!!!!!」

 

神谷が両手を上げた瞬間、神谷を起点に無数の青白い魔法陣が形成され、それは数十mもの高さの巨大魔法陣となる。

 

天上の剣(ソード・オブ・ダモクレス)!!!!!!!!」

 

天上の剣(ソード・オブ・ダモクレス)は、超巨大な聖剣の様な物体を召喚する魔法である。剣といっても手に持てるサイズではなく、数百mの大剣で言うなれば東京タワーサイズの剣が空から降ってくる魔法だ。本来は建物をぶっ壊す役目で使われるが、こういう強大な目標を倒すのにも向いている。単純な質量攻撃であれば、姫級とて倒せる筈だ。その仮説は正しく、飛行場姫とお供の戦艦棲姫は一撃跡形もなく消し飛んだ。

 

「さて、プロのお手前拝見と行こうか」

 

一方の長嶺も離島棲姫と相対していた。こちらは戦艦棲姫8隻に守られていて、かなり厄介だ。

 

「ココマデ……。クルトワ…ネ…………。」

 

「来てやったぞ。歓迎しろや」

 

「フフフ。矮小ナニンゲン、何モデキナイ」

 

「そうかい?舐められんのも癪だ、本気で相手してやるよ」

 

本当なら神授才のアーマーか空中超戦艦『鴉天狗』を使いたい。だが少し時間が掛かる。そこで燃費は悪いが、普通に神授才を使う事にした。神授才の生み出す炎は、深海棲艦でも余裕で焼き尽くす。

因みに神授才とは、長嶺がその身に宿す一種の超能力の様な物である。古来より数十年或いは数百年に一度、特殊能力を持って生まれてくる。一応「神がその力をお授けになった」という話らしいので、神授才と言われている。長嶺には炎を自在に生み出し操る能力が備わっている。

 

「まずは掃除だな。焔柱!焔槌!」

 

8隻の戦艦棲姫の足元から炎の柱が勢いよく飛び出して串刺しにし、上からは焔の槌が振り下ろされて押し潰される。たった一撃で単なる炭の塊となり、しかもサイズも平たく延ばされた事で元が人の形をなしていたとは思えない。

 

「ナッ!?」

 

「お前は龍の腹の中で焼き尽くされるがいい。焔龍!!!!」

 

長嶺が右手の親指、人差し指、中指の3本で龍の口の様な形を作り、それを前に押し出す。その動きに合わせるかの様に、長嶺の後ろから巨大な炎の龍が現れて離島棲姫を飲み込んだ。離島棲姫は龍の腹の真ん中の辺りで焼かれ、塵1つ残らず消え失せた。攻撃開始の宣言から30分もしないうちに、姫級含め数百隻単位でいた深海棲艦は血祭りに挙げられたのである。

 




因みに次回は、おそらく三連休から来週中に投稿すると思います。
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