最強国家 大日本皇国召喚   作:鬼武者

108 / 141
さてさて、今回はかなーり長いですよ。文字数、33,000字越えですw。ですがまずは、こちらからご覧いただきましょう。

59式戦術歩行戦闘機『浄龍』
全高 25m
固定武装 頭部30mmPLSL 2基
     肩部全方位多目的ミサイルランチャー
     2基
     背部兵装担架システム 2基
     腕部60mm機関砲 2基
     腕部格納型近接格闘用戦闘爪 4本
     格納式格闘用サック 2基
     腕部TLS 2基
     腕部APS発生装置 2基
     脚部Sマイン 16基
     脚部全方位多目的ミサイルランチャー
     2基
皇国が開発した初の戦術機.......の筈なのだが、技術陣がはっちゃけてしまった結果できあがったヤベェ代物。通常の戦術機は基本的に固定兵装というのは、かなり少ない。ナイフとかチェーンソー位な物で、基本的に後付けで装備する。なのだが浄龍の場合は武装が全て使えなくなった状況でも継戦できる様、これまでのメタルギア開発で培った技術をふんだんに使用している。頭部兵装はマクロスシリーズのヴァルキリー、腕部兵装の武装はマクロスΔのVF31ジークフリードの様になっている。サックはトランスフォーマーダークサイドムーンで、ショックウェーブをぶん殴るのに使ったオプティマスの棘付きの拳である。
更にそもそもの機体自体も、元の戦術機とはかなり異なる。戦術機には電磁伸縮炭素帯(カーボニック・アクチュエーター)と呼ばれる素材が機体の中核であり、この素材が靭帯も兼ねる。これの周りにスターライト樹脂と呼ばれる素材で機体を組み上げていくのだ。だが浄龍の場合はカーボニック・アクチュエーターの代わりに、人工筋肉とカーボンナノチューブを採用し、外装にも熱田型や『日ノ本』の装甲に採用されている特殊合金を使用しており、既存の戦術機以上の高機動と重光線級によるレーザーも少しは耐えうる程度には強化されている。オマケにステルス性能もちゃっかり持っており、ラプターには負けるが通常の戦術機にはしっかり機能はする。しかもハッキングではなく、機体形状だとか素材でステルスを獲得している。OSにはXM3の強化回収型のXM4を採用しており、操作性も上がっている。

試製59式戦術歩行戦闘機『浄龍』タイプ・オーバーロード&エンペラー
全高 25m
固定武装 頭部連装40mmPLSL 2基
     肩部全方位多目的ミサイルランチャー
     2基
     胸部高出力TLS 2基
     背部兵装担架システム 4基
     腕部連装60mm機関砲 4基
     腕部格納型近接格闘用戦闘爪 4本
     格納式格闘用サック 2基
     腕部四連装TLS 2基
     腕部APS発生装置 2基
     脚部Sマイン 16基
     脚部60mm機関砲 4基
     脚部全方位多目的ミサイルランチャー
     2基
試作型の浄龍であるが、試作機だったが為に量産型浄龍よりもアレコレ武装が増えている。1番の特徴は胸部の高出力TLSだろう。通常のTLSも20倍の出力を誇り、一斉射で駆逐艦を消滅させてみせる威力を持つ。しかしコストが高すぎるので、量産型ではオミットされた。更に単純な出力もかなり上がっており、エンジン自体の出力は量産型浄龍の3倍、間接強度もそれに合わせて強化されている。指揮通信システムも通常よりも強化されている。またセンサーシステムも変更されており、量産型浄龍はバイザー型の頭部だが、こちらは二つ目の威圧感ある物に仕上がっている。
オーバーロードは神谷、エンペラーは長嶺の専用機となっている。オーバーロードの方は神谷専用機である事から、魔法の効果を増幅させる機能を有しており、機体登場状態からでも魔法を行使可能である。エンペラーの方は長嶺が降りて戦闘する事も考慮される事から、より高初速のイジェクトシステムと自動戦闘システム様のAIを搭載している。また量産型は基本的に機体カラーが灰色なのに対し、両機共に漆黒であり、エンペラーの方は金色のラインが入り、右肩には霞桜、左肩には江ノ島鎮守府の紋章が描かれている。オーバーロードの方は至極色のラインが入り、背中には金で『皇国剣聖』の文字、右肩に真っ赤な『修羅』の文字が書かれ、胸部には神谷家の家紋、左肩には白で神谷戦闘団の紋章が描かれている。

59式戦術突撃砲
使用弾薬 40mm
     200mm
給弾方式 マガジンコンベア式給弾
発射方式 火薬
装弾数 500発
    50発
浄龍向けに開発された戦術突撃砲。国連や各国で使われている36mmと120mmではなく、皇国が運用するAH32薩摩の40mmチェーンガンと主力戦車の200mm砲から流用する為、こちらに変更となった。銃本体にFCSを導入し、レーザー測距の他、高倍率でのマークスマンライフルの様に扱う事もできる。
下部には銃剣を装着可能な上、更にストックも可変する為、縮めて取り回しをよくし接近戦に対応する事も伸ばしてしっかり構える事も出来る。底部の200mmはモジュール化しているので、40mm機関砲を増設したり、ロングバレルパックで本格的なマークスマンにする事も出来る。

59式戦術狙撃砲
使用弾薬 250mm
給弾方式 マガジンコンベア式給弾
発射方式 火薬、電磁投射両用システム
装弾数 20発
国連の突撃砲、支援砲とは全く異なる、初の超長距離狙撃専用砲である。砲身に海軍の火薬、電磁投射両用砲の設計を流用した事で、火薬式とレールガンモードの2つを変更でき、レールガンモードであれば突撃(デストロイヤー)級5体を貫通せしめる威力を持つ。但しかなり巨大である為、両手で操作する必要があり取り回しは非常に悪い。

59式戦術機関砲
使用弾薬 40mm
給弾方式 ハイスピードベルトコンベア給弾方式
発射方式 電気ドライブ
装弾数 10万発
火力支援用の兵装であり、八銃身バルカン砲型の機関砲である。これを2つ並列で連結しており、取り回しこそ劣悪だが最強の正面火力を誇る。ただこちらも両手で操作する必要がある為、兵装ベイを圧迫する。

59式戦術近接装備
刀身 特殊合金
日本機という事で作った、戦術機用の侍の魂を筆頭とする装備群である。バリエーションは日本刀をモチーフにした長刀『泰平』、青龍刀をモチーフにした重刀『玄武』、ハルバードをモチーフにした『ゼノン』、バルディッシュをモチーフにした『ティターニア』、グレートソードをモチーフにした『エクスカリバー』、レイピアをモチーフにした『ランバントライト』、西洋剣をモチーフにした『ダークリパルサー』がある。
形状こそ違えど、全てにしっかりロマンをこれでもかと詰め込んである。まず刀身が特殊合金製であり、柄内部にヒートブレード様のエンジンを組み込んである為、突撃級を正面からバターの様に両断する化け物性能を誇る。更にはAPSシステムを応用した装置で、刀に何処ぞのライトセイバーの様なビームを纏わせて切る事も出来る。この状態であれば、突撃級が触れた側から蒸発する。

59式多目的追加装甲
追加装甲と名を打っているが、要は戦術機用のシールドである。内部に格闘用の3本のスパイクを隠しており、盾をそのまま槍の様に相手に突き刺すことも可能である。

59式ハングドマン
使用弾薬 伊邪那美弾頭
給弾方式 マガジンコンベア給弾方式
発射方式 多薬室加速電磁投射システム
装弾数 3発
兵装担架2つと左右いずれかの腕を犠牲に使える、究極威力の兵装。この武器は兵装担架に発電用のタービンエンジン、電磁投射システム付きの折りたたみ式バレルを装備し、腕にはマガジンと多薬室付きのチャンバーを装備する。戦場でこれらを組み立てて連結し、そのまま発射する化け物装備である。そしてこれを撃った人間に、何故か『愛してるんだ君達をぉぉぉ!!!!ギャハハ!!』とか言った奴が居たとか居なかったとか。

59式グラインドブレード
兵装担架2つを犠牲に装備する兵装であり、その見た目は12本の超大型チェーンソーである。使用時は片腕にチェーンソーを装備し、そのまま腕をぶん回して使用する。更にこれをドリル形態と呼ばれる、チェーンソー全てを円状に配置し直す状態になれば、ビルだろうが岩盤だろうが余裕で貫く、最強の近接兵装となる。


追加装備パック
これまでの戦術機を見てきて、技術者達は汎用性が絶望的に足りない事に思い至った。そこで機体自体の装備をその場で変更し、様々な任務や局面に対応できる圧倒的汎用性を獲得させる為に開発された、新型システムである。この装備と機体との接続には、可動兵装担架システム用のコネクターを使用する為、戦術機自体の背部兵装担架は使用不可能となる。

スーパーパック
装備 大型追加ブースターエンジン 4基
   胸部全方位多目的ミサイルランチャー
   2基
   背部兵装担架システム 4基
開発陣に居たマクロスF及びΔファンが考案した、戦術機の追加装備。戦術機のエンジン部分に、マクロスΔのスーパーパックに装備されるエンジンを追加搭載する。更に胸部にもランチャーを追加搭載することにより、戦闘力と機動性を上げる事が出来る。尚、後述のトルネードパック、アーマードパック、ヴァンガードパックは他の浄龍以外の戦術機以外にも装着可能である。またこれらパックは、戦闘中に要らなくなればパージ可能である。

トルネードパック
装備 全方位多目的ミサイルランチャー付き脚部
   追加ブースターエンジン 2基
   背部45口径460mm連装火薬、電磁投射両用
   砲 1基
   背部兵装担架システム 2基
こちらも同じ技術者が言い出した追加装備。こちらは支援用装備であり、遠距離から250mm砲弾を降らせる事ができ、戦艦の火力が届かない場所、例えばハイヴ内部等でも絶大な火力支援ができる。弾種も徹甲弾、徹甲榴弾、榴弾、フレシェット弾等々、海軍の砲弾をそのまま流用できるのでかなり便利である。

アーマードパック
装備 特大型追加ブースターエンジン 2基
   肩部全方位多目的ミサイルランチャー
   12基
   肩部MPBM用パイロン 6基
   胸部全方位多目的ミサイルランチャー
   2基
   胸部60mm機関砲 2基
   背部兵装担架システム 4基
   腕部50口径130mm連装砲 2基
   腕部49式35mmバルカン砲 4基
   脚部全方位多目的ミサイルランチャー
   2基
全身武装テンコ盛り。マクロスシリーズのアーマードパックにも劣らぬ重武装を施しており、対多数戦闘では高い戦闘力を誇る。またパックに装備される武装にはAPS発生装置が組み込まれている為、アーマードの名に恥じないタンク的役割も果たせられる。

ハンターパック
装備 大型追加ブースター 4基
   頭部偵察ユニット 1基
   背部大型レドーム 1基
   背部兵装担架システム 2基
   背部通信アンテナ 2基
   肩部偵察ユニット 2基
   脚部偵察ユニット 4基
武装を搭載しない代わりに、情報収集と通信に特化したパック。超高倍率カメラ、各種音紋探知、地上用ソーナーシステム、スキャンシステム、各種レーダーシステム等々、戦場に於いては偵察から観測まで、その他の活動は行える。

ヴァンガードパック
装備 背部大型ロケットエンジン 4基
   背部ロケットエンジン 8基 
   腕部ロケットエンジン 10基
   大型APS発生装置 1基
こちらはアーマードコアシリーズの追加装備、ヴァンガード・オーバー・ブーストに影響された装備。武装は搭載されない代わりに、極限までの加速性と高速性を付与する。元が宇宙ロケットのエンジンなので、普通に宇宙から弾道飛行で降下する事も可能であり、APSを用いて大気圏再突入や空気抵抗軽減もできる。因みに最高時速は脅威のマッハ24を叩き出す。しかしこのパック、スーパーパックとハンターパックに限り併用が可能となっている。

アルティメットパック
装備 全方位多目的ミサイルランチャー付き
   特大型追加ブースター 6基
   全方位多目的ミサイルランチャー付き脚部
   追加ブースターエンジン 2基
   肩部全方位多目的ミサイルランチャー
   16基
   肩部MPBM用パイロン 12基
   胸部全方位多目的ミサイルランチャー
   2基
   胸部三連装60mm機関砲 2基
   背部45口径460mm連装火薬、電磁投射両用
   砲 1基
   背部兵装担架システム 6基
   腕部50口径130mm連装砲 2基
   腕部49式35mmバルカン砲 4基
   脚部全方位多目的ミサイルランチャー
   2基
アーマードパックを超えし、武装全部乗せ追加パックである。こちらは試製56式でのみ運用可能であり、通常の戦術機や浄龍では著しく機体への負荷がかかるばかりか、そもそもマトモに活動できない代物である。シュミレーター上の話ではあるが、機体によっては足回りが搭載した瞬間に崩壊したり、載せても動かなかったり、動けても戦闘機動は行えなかった。だがこれを振り回せた時の威力は凄まじく、単騎で四個戦術機連隊を殲滅できる。アルティメットの名前に恥じないパックである。

◎装備
 ◯突撃前衛(ストーム・バンガード)
  ・アーマードパック
  ・59式戦術突撃砲 1挺、背部2挺
  ・59式戦術近接装備 背部2本
  ・59式多目的追加装甲 1個
 ◯強襲前衛(ストライク・バンガード)
  ・アーマードパック
  ・59式戦術突撃砲 2挺、背部2挺
  ・59式戦術近接装備 背部2本
 ◯強襲掃討(ガン・スイーパー)
  ・アーマードパック
  ・59式戦術機関砲 背部4挺
  ・59式戦術突撃砲 2挺
 ◯砲撃支援(インパクト・バンガード)
  ・トルネードパック
  ・59式戦術狙撃砲 1挺
  ・59式戦術突撃砲支援砲タイプ 背部1挺
  ・59式戦術近接装備 背部1本
 ◯制圧支援(ブラスト・ガード)
  ・トルネードパック
  ・59式戦術狙撃砲 1挺
  ・59式戦術機関砲 背部2挺
 ◯打撃支援(ラッシュ・ガード)
  ・トルネードパック
  ・59式突撃砲支援砲タイプ 1挺
  ・59式突撃砲 背部2挺
 ◯ 迎撃後衛(ガン・インターセプター)
  ・スーパーパック
  ・59式突撃砲 1挺
  ・59式戦術近接装備 背部1本
  ・59式ハングドマン 背部1セット
  ・59式多目的追加装甲 1個
 ◯打撃支援(ラッシュ・ガード)
  ・スーパーパック
  ・59式戦術突撃砲支援砲タイプ 1挺
  ・59式戦術突撃砲 背部2挺
  ・59式グラインドブレード 背部1セット



2024お正月スペシャルfinal phase

翌日 ハイヴ周辺海域40km地点

朝霧に紛れる様に、数十隻の巨艦が姿を現す。聨合艦隊の主力艦隊、究極超戦艦『日ノ本』が直接指揮を取る最強の海上打撃艦隊が、皇国からBETAへの宣戦布告の号砲を発さんと準備に入る。

 

『BETA、動き認められず』

『ハイヴからの動き、なし!作戦に支障は認められるず!』

『各艦配置良し』

『現在全艦回頭中』

 

無線から上がってくる報告に、神谷は1人コックピット内で笑みを浮かべる。この調子でいけば、予定よりも早く攻撃が可能な筈だ。本来なら宣戦布告の号砲を撃ちたいところだが、今回は艦隊ではなく神谷戦闘団を率いて陸で戦う。故に発射のトリガーは『日ノ本』の副長、宗谷が引く事になっている。

 

「ジェネラルマスターより、全作戦要員に次ぐ。間も無く、BETAへの宣戦布告の号砲が鳴り響く。総員、戦闘に備えよ!」

 

やがて各部隊からの準備完了との報告が上がると、神谷は無線を『日ノ本』に合わせて宗谷に発射の指示を出す。その命令を受けた宗谷は、基本的には座れない艦長席へと腰を下ろした。

 

「まさか、私が引き金を引く事になろうとは.......。全艦、統制波動砲戦用意。波動砲への回路開けッ!!!!!」

 

「アイ・サー。プラズマ粒子波動砲への回路開きます。非常弁、全閉鎖。強制注入機作動」

 

「艦首解放、プラズマ粒子波動砲展開」

 

統制波動砲戦とは、波動砲を搭載する各艦艇が一斉射撃を行う砲撃方式である。小回りは効かないが、広い面積を一撃の下に消滅させられる利点は大きい。

 

「安全装置解除」

 

「セーフティーロック解除。強制注入機の作動を確認。最終セーフティー解除。トリガー、艦長に回します」

 

「艦長、受け取った」

 

「薬室内、プラズマ化粒子圧力、上昇中。86、97、100。エネルギー充填、120%!!」

 

「波動砲、発射用意。対ショック、対閃光防御」

 

艦橋のガラスに防護シャッターが展開され、外の様子はシャッターに搭載されてるディスプレイに表示される。

 

「電影クロスゲージ、明度20。照準固定!」

 

スコープ内に表示される各艦艇とのリンクも『接続』から『同期』という文字に変わり、全艦が同期し射撃準備完了の合図であるブザーも鳴り響く。

 

「プラズマ粒子波動砲、発射ァァァァ!!!!」

 

ギュゴォォォォォォ!!!!!!

 

『日ノ本』以下、熱田型、赤城型、大和型、伊勢型が放たれた波動砲の水色のビームは、そのままハイヴのある島、作戦呼称『鬼ヶ島』を吹き飛ばす。それもただ吹き飛ばすのではない。地形とそこに展開するBETA群ごと東西南のハイヴを吹き飛ばし、オリジナルハイヴ級も半壊させる威力を見せた。

 

「オリジナル級半壊!ハイヴ1〜3、消滅を確認!!」

 

「BETA十個軍団以上の殲滅を確認!集計不能なれど、BETA損耗率は飛躍しています!」

 

「この機を逃すな。艦隊各艦は回頭しつつ行動開始!オリジナル級周辺に効力射!!」

 

「アイ・サー!全艦、撃ちー方始めぇ!!」

 

ここで艦隊各艦は、所定の行動に移る。現海域に大和型と伊勢型のみを残し、東部ハイヴと西部ハイヴには熱田型4隻ずつ、北部ハイヴには『日ノ本』が向かう。一時砲撃の手は弱まるが、そこはSLBMと潜水艦隊が全力で支援してくれる。

 

「鳳凰IIより通報!!北部ハイヴ及びオリジナルハイヴ級より、未確認のBETA確認!!飛行タイプと思われる!!!!」

 

「艦長!今の聞きましたか!?」

 

『あぁ。面倒だな』

 

こっちの世界にやってきた衛士組は、飛行型BETAに焦っている。だが皇国と江ノ島の人間は、全く焦りは見せない。何せ相手が化け物である以上、予測不可能なのが来るのは分かりきっていた。面倒ではあるが、問題はない。

 

「アウトレンジ部隊、君達に任務を与える。我々、突入隊を護れ」

 

神谷の命令に、アウトレンジ部隊は誰も答えない。だがその代わりに、彼らは行動を起こす。

 

『全機、トリガーの元に集まれ!編隊飛行だ』

『さっさと片付けるぞトリガー』

 

『行くぞ、ガルーダ2!』

『金色の王の微笑みが共に在らんことを』

 

『ガルム隊へ、撤退は許可できない。迎撃せよ』

『だろうな。報酬上乗せだ。生き残るぞ、ガルム2』

『あぁ。相棒、花火の中へ突っ込むぞ!』

 

『聞いていたな。スカーフェイス隊、BETAを迎撃しろ』

『オーライ、オヤジ!スラッシュ、エンゲージ!!』

『フェニックス、エンゲージ』

『エッジ、エンゲージ』

 

『ラーズグリーズ隊、俺に続け』

『ラーズグリーズの名を轟かせるぞ!!』

 

(イエロー)13より全機、飛行型BETAを始末しろ』

『了解、撃墜します』

 

メビウス中隊、状況を報告せよ(All Mobius aircraft, report in.)

こちらメビウス2。スタンバイ(Mobius 2 on standby.)

メビウス3から7、スタンバイ(Mobius 3 through 7 on standby.)

メビウス8、スタンバイ(Mobius 8 on standby.)

攻撃準備完了。(Preparations are complete.)攻撃を開始する( Ready for battle.)全機メビウス1に続け!(All aircraft, follow Mobius 1!)

 

彼らは世界最強にして、単騎で戦局をひっくり返す生ける伝説達。例えBETAが相手であろうと、全く臆する事はない。彼らは銀翼を翻して、レーザーなんざお構いなしに一気に高度を取る。

 

「ゴールドフォックスより、各機へ。機体をそのまま編隊真上に置け。戦術機の盾にするんだ!艦娘運送中の機体は、その中間に入れろ!戦闘機隊は前方に展開!撃ち漏らしたBETAに対応しろ!!」

 

長嶺もすぐに指示を出し、戦域殲滅VTOL輸送機『黒鮫』の群れが、その指示に従って蠢く。アウトレンジ部隊が飛行型BETAの相手をしてる間に、こちらは鬼ヶ島へと近付かなければならない。

 

『あの、神谷閣下。よろしいでしょうか?』

 

「どうした白銀少尉。何か質問か?」

 

『その、戦闘機隊を向かわせて良かったのでしょうか。BETAのレーザーに対して、航空機は無力です。いくら同士討ちをしないと言っても、狙撃されたら一溜りも』

 

「心配するな。今向かったアウトレンジ部隊の連中は、単騎で戦局をひっくり返すウルトラスーパーエース級の集団だ。リボン付きの死神メビウス1、黄色の13、伝説のベイルアウターオメガ11ことメビウス8、円卓の鬼神ガルム1、片翼の妖精ガルム2、ラーズグリーズの悪魔、皇国の不死鳥フェニックス、皇国の神鳥ガルーダ、偽伯爵の詐欺師(イリュージョニスト)カウント、3本線の大馬鹿野郎トリガー。彼らが空にある限り、皇国の敗北はあり得ない。それに、レーダーを見てみろ」

 

データリンクで送られてくるレーダー情報では、予想外の出来事が起きていた。数百体規模の飛行型BETAが、会敵して1分も経っていないのに、既に10体以上墜とされている。そればかりか、その数はどんどん増えていく。明らかに異常だ。

 

「な?」

 

『ま、マジかよ.......』

 

「白銀少尉。心配すんな。伊達に皇国は、世界最強の国家やってねーよ。それにな、今目の前にいる男は大東亜戦争時代にアメリカの首都を占領した英雄の末裔にして、皇国剣聖として戦う最強無敵の司令長官閣下だぞ?勝とうぜ」

 

『.......ハッ!了解しました元帥殿!!』

 

白銀との会話の中で、神谷は少なからず兵士達に不安があることを察した。指揮官としてやるべき事は、彼らを勇気づける事だ。まずは長嶺に連絡を取り、軽く打ち合わせるとそのまま、この辺りにいる各部隊にチャンネルを開く。

 

「よぉ、野郎共。空の旅はどうだ?まぁ、ぶっちゃけ地獄への片道切符だ。楽しめる奴はいねぇだろう。だが、それがどうした。地獄への片道切符なんざ、俺達は何度も受け取っては普通に改札通って地獄に通い詰め、事が済めば現世に帰ってきた。今日もそうするだけだ。臆するな!俺達は死にに行くんじゃない。BETAとかいう摩訶不思議な化け物をぶっ殺し、その屍を積み上げて宇宙にいるであろうコイツらを作ってんだか操ってんだか知らんが、そういうご主人様に見える様にしてやれ。そして宇宙の彼方まで届く様な大声で言ってやるんだ。「地球に喧嘩売ったらこうなるぞ」ってな。

命令はいつも通りだ。生き残れ!!そして勝とうぜ!!!!」

 

次の瞬間、衛士達から雄叫びの声が上がる。それだけではない。AVC1突空の中には機体をロールさせる者や、衛士の中にはアームを動かす者もいた。

 

「これ、もう俺の必要ねーじゃん」

 

『まあまあ。そう言わずに』

 

「はぁあ。江ノ島の家族共は知っての通り、俺はこういうのは嫌いだ。こんな格式ばったのは大嫌い。だがまあ、アレだ。相手がBETAだかエイリアンだか知らねぇけどな、俺達に喧嘩売りやがったんだ。そのツケは払ってもらわなきゃならねぇ。しかも今回はまた異世界から、同じ戦士の同胞達が来たんだ。怖い物はねぇだろ?

俺が知る江ノ島の家族は、こんな状況に部屋の隅でガタガタ震えて命乞いをする様な連中じゃない。こんな状況だろうが狂った笑みで敵陣に斬り込み、更にはそのまま本陣まで攻め上がる戦闘狂の集団の筈だ。そして今ここにいる戦士達も、小便ちびって逃げ帰る様な臆病者じゃない筈だ。だったら俺から命じることはただ一つ。いつも通りだ。眼前敵を殲滅しろ!邪魔する物はぶっ殺しぶっ壊せ!さぁ錨を上げろ!!マガジンを刺せ!!魚雷を装填しろ!!チャージングハンドルを引け!!航空隊を青空に羽ばたかせろ!!砲を構えろ!!相手が深海棲艦からBETAになっただけだ!!いつもの様に敵を殲滅し、俺達の邪魔する全てをぶち壊してやれ!!!!!!」

 

神谷の演説が勇気を引き出させる物であるならば、長嶺の演説は闘争心を煽り兵士を戦闘狂にさせる演説であった。新人衛士によく行われる暗示とか薬物投与なんかよりも、2人の言葉はよっぽど効き目がある。

 

『ねぇ、お兄さん。今いい?』

 

「イーニァ?どうした、腹でも減ったか?」

 

『ううん、ちがうよ。あのね、すごくイヤな予感がするの。この戦い、何かくるよ』

 

「.......そうか。何か来るんだな?備えておこう。だがな、心配するな。何が来ようと、俺が全部ぶっ潰す。俺の本気、見せてやるよ」

 

これまでの戦闘の中で、長嶺の真の本気にして最強の切り札たる神授才の本格使用と艦娘の力は、まだ一度たりとも見せていない。その為イーニァも、その後ろに移るクリスカの顔も心配そうではある。だがもう、そんな事も言ってられない。いよいよ分離地点が来た。ここで白亜衆、霞桜、江ノ島艦隊、各戦術機部隊は分かれる事になる。

神谷&白亜衆、第19独立警備小隊、国連軍の第五、第六戦術機甲大隊、霞桜第一大隊が東部ハイヴ。国連軍の第三、第四戦術機大隊、フェーニクス、シュヴァルツェスマーケン 、霞桜第三大隊が西部ハイヴ。伊隅ヴァルキリーズ、国連軍の第一、第二戦術機甲大隊、アストライアス、霞桜第二大隊が南部ハイヴ。長嶺&霞桜第四、第五大隊、アルゴス&ホワイトファングス、イーダル、バオフェン、インフィニティーズ、国連軍の第七戦術機中隊が北部ハイヴを担当する。これに加えて皇国の戦術機連隊が各地方に2隊ずつ付き、江ノ島艦隊も均等に割り振られている。まずは南部戦域から見て行こう。

 

『そーらヴァルキリーの姐さん!目的地に着いたぜ!!』

 

「ありがとう。輸送に感謝する!」

 

『へっ!これが俺達の仕事ってあぶね!!』

 

「ぐっ!!」

 

伊隅の乗る不知火を吊り下げたメタルギア応龍が横にロールする。見れば真横を、レーザーが掠めていった。流石にこの状況では、狙い撃ちにされるだろう。

 

『悪いがハードランディングだ。構わないか!?』

 

「構わない!下ろしてくれ!!」

 

『おっしゃぁ!いってらっしゃい!!』

 

応龍は不知火を切り離し、そのまま周囲の掃討に移る。応龍は本来、敵支配域にメタルギアを突入させる為の兵器。こういう敵に包囲された状況下で投下しつつ、周りの敵を掃討するのだって通常戦闘の範疇だ。

 

『オラオラァ!!邪魔じゃ邪魔じゃBETA共!!!!!!!』

 

「危険だ離れろ!!」

 

『心配すんな!レーザーだってな!!』

 

更に応龍は、特殊なエンジンにより空中を素早くスライドできる。その為、レーザー照射を受けようが、素早く横滑りして避ける事ができるのだ。

 

『避けられんだよ!!とはいえ、俺の仕事はここまでだ。後は任せるぜ!!』

 

応龍が各戦術機を投下したのと同時に、霞桜の『黒鮫』からも続々と部隊が降下してくる。第二大隊は戦術機の前方150m地点に布陣。艦娘とKAN-SENは、最後尾に展開した。

 

『こちらは江ノ島艦隊、南部ハイヴ攻略艦隊旗艦、長門だ。ヴァルキリー1、応答願う』

 

「こちらヴァルキリー1。ビッグ7の1隻と行動が共にできるのは光栄だ」

 

『あぁ。今回の艦隊には、ビッグ7が全員揃っている。任せておけ。現在こちらは、艦載機を上げてエアカバーを行う予定だ。そちらの戦術は?』

 

「このまま上陸地点を確保しつつ前進し、ハイヴより10kmの地点で戦線を構築。後続部隊の進出を待つ」

 

『了解した』

 

今回、各ハイヴの攻略支援艦隊を臨時で編成しており、各々が各隊の旗艦を務めている。南部ハイヴの旗艦は艦娘の長門、北部ハイヴは大和、東部ハイヴはエンタープライズ、西部ハイヴはKAN-SENの赤城がそれぞれ担当しており、各旗艦の下には各艦種の代表が補佐官を務めている。

南部ハイブの場合は戦艦組は長門が兼任し、空母組からイラストリアス、重巡組からはザラ、軽巡組からはクリーブランド、駆逐艦は叢雲が務めている。

 

『A01、総員傾注!これより我々は戦線を押し上げつつ、後続の機甲戦力を待つ。決戦はまだ始まったばかりだ。あの世への先駆けは許さんぞ!!』

 

『『『『『『『了解!!』』』』』』』

 

『コマンドポストよりA01。BETA三個師団規模がそちらに侵攻中。幸い光線級は含まれてはいないが、突撃(デストロイヤー)級主体で侵攻速度が速い。直ちに対処せよ』

 

まだ着上陸して、たったの数分しか経っていない。しかも最初の波動砲、砲撃、SLBM、それからメタルギア水虎による海岸線掃討によって、かなりの数は削れていた。にも関わらず、いきなりこの数。流石BETAとしか言えない。

 

「ヴァルキリー1、こちらレリック。BETAへの一番槍貰う。構わない?」

 

『レリック!危険過ぎる!!』

 

「問題ない。この為に、対深海徹甲弾と自慢のチェーンソー持ってきた。突撃級の装甲、切れる。それに、議論の暇ない。出る」

 

レリックは伊隅の静止を振り切り、第二大隊の隊員達を引き連れて前に出る。A01と国連及び皇国の第一第二戦術機甲大隊も、それを大慌てで追い掛ける。

 

「ナガト。これ、どうするの?」

 

「こうなったら、やるしかないな。砲撃用意!!これより第二大隊、戦術機部隊の援護を開始する!!」

 

今回の編成には艦娘の長門、陸奥、コロラド、ネルソン、KAN-SENのネルソン、ロドニー、コロラド、メリーランド、ウェストバージニアが揃っており、かつてビッグ7の異名で恐れられた最強の戦艦が一堂に介している。これに加えて、イラストリアス級空母とユニコーン、飛鷹改、隼鷹改二、千歳改二、千代田改二もいる訳で、かなり重装備な艦隊なのだ。オマケに装備系も最強格。援護の人材として、これ以上ない布陣だ。

 

「行くぞ、主砲一斉射!て――ッ!!」

「長門、いい?行くわよ!第一戦隊、一斉射!てーっ!」

「Enemy ship is in sight…. 各々方…、さあ、始めるぞ!」

「Enemy in sight。さあ、始めます。蹴散らせ!」

「私が敵を侮ると思ったら大間違いよ!」

「敵に情けをかける必要がありませんね」

「今こそ見せてやる、ビッグセブンの真の力を!」

「おい、向こうの!あたしを失望させんなよ!」

「16インチ砲弾の重さを思い知れ!」

 

戦艦9隻、それもビッグ7の砲撃ともなれば、かなりの被害がBETAには発生する。しかもちゃっかり長門と陸奥は41cm三連装砲改二だったりとかするし、一部装備が変更されている艦もいる。他にも口径こそ変わらずだが強化されていたいたりするので、単純なビッグ7という訳でもない。

オマケに艦娘の艤装にはKAN-SENの艤装並みの連射力を付与し、KAN-SENの艤装には艦娘の艤装並みの威力を付与する改造を施してある。お陰で各艦共に「巡洋艦をワンパンする威力の砲弾を、マシンガンの如く発射する」という、あまりにカオスな装備を持っているのだ。お陰でBETAの前衛は、既にその砲撃で壊滅状態。砲撃でできたクレーターを突破して侵攻してくる為、進軍速度は一気に落ちていく。その間に第二大隊が到着し、更に攻撃を仕掛けていく。

 

「突撃級は硬い。が、後ろは柔い」

 

『だそうだ。つまり回り込めって事だ!!』

 

第二大隊第一中隊長兼副長のバーリがそう言ったことで、隊員達は即座に動く。レリックは圧倒的にコミュ力が低い。技術屋モードになれば超饒舌にハキハキ喋るが、基本的にコミュニケーションを取るのは慣れが必要である。だがバーリがいれば、全部補足してくれるので問題はない。

お陰で裏と言いつつ、軽く表でも「翻訳機」とか「レリックの声帯」とか言われてる始末である。

 

『あらぁ綺麗なお尻!』

 

『プリプリして可愛いなぁ。カマ掘ったれ野郎共!!!!』

 

『ヤ・ラ・ナ・イ・カ。ハッ!』

 

動けなくなっているところや、動きが遅くなっているところを第二大隊の連中が尻を撃ち抜き、素早く殲滅していく。突撃級を粗方殲滅し、戦車(タンク)級や後方の要撃(グラップラー)級が現れ始めた頃、A01が到着。そのまま戦闘に加わる。

 

『戦場でよく会うお友達だ!第一小隊、歓迎してやるぞ続け!!!!』

 

『第二小隊は右翼のを倒す!!付いてこい!!』

 

『第三は左翼だ!突撃前衛(ストーム・バンガード)の意地を見せろ!!!!』

 

今回、A01含めた各隊は砲撃支援(インパクト・バンガード)制圧支援(ブラスト・ガード)打撃支援(ラッシュ・ガード)はトルネードパックを装備し唯一珠瀬が59式ハングドマンを装備している。ストーム・バンガード、強襲前衛(ストライク・バンガード)強襲掃討(ガン・スイーパー)と隊長機はアーマードパックに各自の兵装、迎撃後衛(ガン・インターセプター)打撃支援(ラッシュ・ガード)はスーパーパックを装備している。実戦での使用は初だが、その効果はかなりの物であった。

 

「こ、これがアーマードパック!!」

 

『すごい性能。BETAが溶ける』

 

『BETAが全く近付いて来れぬぞ!!』

 

アーマードパックは、文字通り超重武装の装備パックである。各所に全方位多目的ミサイルランチャーが装備されていることで、無数のBETAを一挙に殲滅が可能なのだ。BETAは数に物を言わせて集団で戦術機の表面装甲に取りついたりするが、そんなことをする前に機関砲で排除できる。特に胸部の機関砲はオートモードがあるので、自動迎撃でセットしておき近付いてくるヤツをCIWSのように殲滅する事ができる。これだけでもかなり生存性が上がる。

 

『流石460mm!BETAの一団が1発で吹き飛びました!!』

 

『しかもこれ、電磁投射砲モードにしたら要撃級の集団を数十体貫通したんだけど.......。恐ろしい威力だよ全く』

 

トルネードパックは装備こそ数少ないが、唯一無二の460mm砲を装備している。伊勢型航空戦艦と同じ物を装備したいる為、言うなれば戦場のど真ん中に戦艦が現れた様な物だ。しっかり電磁投射砲も撃てるので、重装甲単一目標にも対応できる。無論、大多数の数を一撃で吹き飛ばす事だって可能だ。

 

『当然』

 

『レリック。どうしたの?』

 

『俺と総隊長と皇国が作った。性能は保証する』

 

『レリックなら信じられる』

 

(あ、綾峰がデレた?)

 

白銀、なんか驚きのものを見た気がした。一方のレリックがサムズアップで答えており、全く気にしてない模様。さてさて、そんな強力な追加装備パックだが、何も無敵という訳ではない。

A01は掃討を後続の戦術機大隊に任せ、BETA集団の最後尾にいる要塞(フォート)級の攻撃に移った。しかし見た限り5、60体はいる。オマケに光線級まで出てくる始末だ。

 

『光線級も遂に出たか.......。要塞級が運んだな』

 

『こちらで要塞級抑える。そっちは光線級をやるべき。こっち人間、レーザー喰らったらまず無理』

 

「大尉!自分も要塞級の迎撃にあたります!!」

 

『.......レリック、白銀を付ける!要塞級は任せる!!』

 

『要塞級、殺す!』

 

一応後方の艦隊から砲撃は飛んでくるが、やはりレーザーで迎撃されてしまう。だが少なくとも、囮にはなるはずだ。A01は光線級への攻撃を開始し、第二大隊と白銀は連携して要塞級を倒す。

 

「この!!」

 

『おおっと!いい感じだぜ武の坊主!!』

 

『こっちも負けてらんないな!!』

 

『霞桜の戦闘狂っぷりをみせてやるぜぇ!!!!』

 

白銀は単騎で要塞級と渡り合っている。だが、第二大隊の面々も負けてはいない。連携して翻弄し、隙を見せた瞬間に側面や背後などの死角から攻撃し殲滅する。特に要塞級の下にぶら下がっている触手は、なにかに触れると強酸を吐き出す。いくらシービクターとて、当たれば最後。死体も残らない。

それは戦術機であっても変わらず、本来は要塞級とは会いたくない。要塞と名の付くだけあって、基本全身硬い。120mmを使う必要があるくらいには硬いのだ。要撃級も突撃級も一部が硬いだけで、そこさえ外せば問題なく楽に倒せる。戦車級も数は多いが単体での脅威度はたかが知れている。だが要塞級は、かなり硬いので面倒なのだ。

 

『俺を殺せるものなら、殺してみろ!!俺はまだ、死なないんだぁぁぁぁ!!!!!!!』

 

「まるで総隊長並み。俺も、負けてられない」

 

白銀の攻撃を見て、レリックも闘争心を露わにする。要塞級に肉薄し、触手を敢えて撃たせて別の要塞級にぶつけたり、そのままぐるぐる巻きにしてやったり、何なら撃たせずに背後からチェーンソーで肉を掻き出す。コイツもかなりの者だ。

 

「くうぅ!!」

 

『武後ろだ避けろ!!!!』

 

「しまっ…」

 

武が着地した背後に、要撃級が居たのだ。しかも誰も援護が間に合わない位置で、武の機体も明らかに反応するには遅すぎた。だが、問題はない。

 

ドカカカカカ!!

 

武の背後上空から、ワイヴァーンとシーホネットが突っ込み要撃級を排除。更にそのまま爆弾を落とし、周囲の戦車級も掃討した。

 

『ご無事ですか白銀様?』

 

「い、イラスト、リアスさん?」

 

『よかった。ご無事で何よりですわ。ここからは、私達が引き受けます。前にお進みください』

 

見ればレーダーに、無数の光点があった。江ノ島艦隊の艦載機部隊が、レーザーも撃てない超低空からBETAを片付けている。プラモデルサイズで、武器の威力は実機並み。江ノ島艦隊の艦載機は、BETA相手には非常に有用だ。A01はオリジナルハイヴ級を目指し前進を続ける。

さて次は、シュヴァルツェスマーケンのいる西部ハイヴの方を見てみよう。

 

『さあ、野郎共。仕事の時間だ。光線級、戦車級、要撃級その他諸々目に付くもの全部ぶっ壊せ!!』

 

こちらの戦線は、メタルギア水虎の上陸戦から始まった。水虎は水陸両用メタルギアにして、各所に様々な武装を持つ。本来こういうBETA支配域への着上陸には、A6イントルーダーの様な機体が先遣隊として上陸し、一帯を確保する事になっている。だが今回イントルーダーは居ない上に、浄龍の開発で手一杯だった為、水陸両用メタルギアであり近いコンセプトを持っていた水虎が、その役目を務めているのだ。

更に海軍陸戦隊の先遣陸戦隊も共に上陸しており、そのまま観測拠点の設営に移る予定だ。

 

『BETA共掛かってこいや!!!!』

 

『近づけるものならな!!!!!!』

 

『ぎもぢぃぃぃ!!!』

 

瞬く間に地上を制圧すると、続々と後続部隊が上陸を開始。戦線も素早く構築される。

 

「指揮官様。西部ハイヴ攻略支援艦隊、展開完了しましたわ。これより前進し、BETAの排除を開始します」

 

『了解!気を付けろよ!』

 

「姉様、ご指示を」

 

「まずは一帯のBETAを掃討し、安全を確保するわ。後続の皇国軍は、輸送中は無力。加賀、いつも以上に気を引き締めなさないな」

 

西部ハイヴ攻略支援艦隊の旗艦はKAN-SENの赤城、戦艦組はアイオワ、重巡組はローン、軽巡組は矢矧、駆逐艦はZ23が務めている。

 

『こちらは海上機動歩兵軍団『霞桜』副長兼本部大隊大隊長グリム!現在鬼ヶ島に展開中の全軍に通達します。前線より後方50km地点に、補給陣地を構築しました。損傷の激しい機体、負傷者は直ちに撤退。補給と整備を受けてください』

 

この拠点には本部大隊と江ノ島鎮守府より数十人の警護艦隊が護衛しており、緊急時には拠点を収納し撤収できる。何せこの拠点、江ノ島に来た拠点型の深海棲艦なのだ。お陰で展開も撤収も移動も、物の数分で完了する最強の移動拠点なのだ。

 

「よお!赤城の嬢ちゃん!!」

 

「バルク様。そちらも到着なされたのですね」

 

「おうよ。今回も頼むぜ。お前達がいてくれるお陰で、俺達ジャンキー共は前だけ見てられる」

 

「えぇ。後ろはお任せください」

 

バルク達第三大隊が前線に向かうのと入れ違うように、シュヴァルツェスマーケンもやってきた。東ドイツ最強にして、対光線級戦術である光線級吶喊(レーザーヤークト)を行える精鋭集団である。

 

『こちらは東ドイツ軍、第666戦術機中隊シュヴァルツェスマーケン。私は中隊長のアイリスディーナ・ベルンハルト大尉だ』

 

「お会いできて光栄ですわ大尉。私は本艦隊の旗艦を務める江ノ島艦隊所属、重桜一航戦、航空母艦『赤城』です。以後お見知り置きを」

 

『無敵の空母だと聞いている。こちらも共に戦えて光栄だ』

 

「早速ですが、現状を説明致しますわ。既に周辺地域は皇国軍によって掃討されており、現在は霞桜第三大隊が数キロ前進し戦線を構築しています。貴中隊も、そちらの支援に向かわれてください」

 

『了解した』

 

シュヴァルツェスマーケンは直ちに、戦線構築のためにBETAの迎撃に移る。A01よりも数は少ないが、それでも東ドイツ最強と言わしめる精鋭部隊。数的劣性を一切感じさせない勇猛果敢な戦いっぷりである。

 

「カティア!ファム姉!そっちに行くぞ!!」

 

『任せて!カティアちゃん!!』

 

『はい!援護に入ります!!』

 

『要撃級が来る!シュヴァルツ03、シュヴァルツ05!右翼から回り込んで、迎撃にあたれ!!』

 

アイリスディーナが指揮官として戦況を俯瞰し、各機がしっかりとした連携で確実にBETAを殲滅していく。更にアイオワからの支援砲撃や、皇国海軍からの砲撃も加わり比較的速く殲滅されていった。

 

『テオドール君!後ろ危ない!!』

 

「チッ!」

 

『お兄ちゃんはやらせない!!!!』

 

「リィズ!!」

 

因みに皇国との初接触時にシュヴァルツェスマーケンを裏切っていたリィズ・ハーウェンシュタインだが、裏切っていた理由が例のシュタージに幼少期に筆舌にしがたいアレコレで洗脳されており、その後もハニートラップ要員とか高官の性接待要員として働かされ、かなりハードでディープな人生を送っており、完璧に心が崩壊していたのだ。

その話を聞いた神谷&シュヴァルツェスマーケンの全員は、流石にそのまま裏切り者の烙印を押して牢屋にポイする訳にはいかないという結論に至り、神谷が「もう『衛士』って事で、恩赦させよう。衛士って貴重だし、文句出ねーだろ」という理由をつけて無理矢理無罪放免で解放し、晴れて中隊の真の意味での一員となった。

しかも元々の衛士としてのセンスも高く、シュタージでもここ数年はヴァアヴォルフ大隊という戦術機部隊に配属されていたこともあって、操縦スキルが高かった為、しっかりと戦力強化にも繋がるというオマケまで付いてきた。

 

『邪魔!!お兄ちゃんを取らないで!!!!』

 

だがどうやらヤンデレ気質だったのか、義理の兄たるテオドールが絡むと一気にヤバくなる。特に戦闘中であれば、もうなんか味方がドン引きしてBETAに同情したくなる戦い方をする様になる。例えば盾でBETAを穿ったり、蹴り飛ばしたり、ナイフでズタズタにしたり、かなり酷い。

 

『ふぅ。お兄ちゃん、無事?』

 

「あ、あぁ。助かったよリィズ」

 

『えへへ、もっと褒めて褒めて!』

 

BETAの返り血というか、赤い体液に塗れたゴツい戦術機が可愛い動きするの、普通に恐怖である。だがここは戦場。そんな浮ついた空気があれば、大体面倒事が起きる物だ。

 

「ッ!?アカーギ!砲弾が堕とされ始めたわ!!」

 

「何ですって!?」

 

「赤城先ぱーい。私の艦載機、例の光線級に堕とされましたぁ!」

 

「加賀先輩!私のもダメでした!!」

 

「私のもだ。例の光線級のレーザー、艦載機どころか砲弾も迎撃するのか.......」

 

光線級の出現である。光線級はミサイルや航空機は勿論、砲弾も迎撃してくる。お陰で一度光線級が出張ってくると、支援砲撃の効力はかなり落ちるのだ。

 

「アイオワ!あなたの砲弾でも堕とされたの!?」

 

「No!私のはno problemよ!でも、皇国のは堕とされてるわ!!」

 

「.......姉様。どうやら光線級とてあまり近づきすぎなければ、こちらの艦載機は小さすぎて堕とせない様です」

 

「すぐに皇国軍の本部に連絡するわ。ローン、矢矧、ニーミ!レーザーヤークトの準備をなさい!!」

 

援護に入っていた艦隊からも、同様の報告が上がり始めていた。この事態を見て、司令部はシュヴァルツェスマーケンにある指示を出す。

 

『司令部より、第666戦術機中隊へ。貴隊の状況を報告されたし』

 

「我が隊は損傷機なし。コンディション、隊員の士気も良好だ」

 

『了解した。現在BETA支配域15km地点に、光線級及び重光線級が確認されている。これにより支援砲撃が迎撃されており、同光線級集団の掃討を要請したい。可能であるか?』

 

「問題ない。これよりレーザーヤークトを敢行する」

 

『感謝する。そちらの援護に霞桜第二大隊、及び江ノ島の西部ハイヴ攻略支援艦隊より突撃チームが投入される。シュヴァルツェスマーケン、武運を祈る』

 

シュヴァルツェスマーケンは機体をBETA集団に向けて、レーザーヤークトに向かう。

 

「総員傾注。これより我が隊は、レーザーヤークトを敢行する。相討ち覚悟の特攻作戦だ!準備整った、これで我々は一蓮托生だな」

 

『全く、同志大尉の指揮下にいればいつもこれだ』

 

「どうしたテオドール?怖気付いたか?」

 

『まさか。いつも通りにこなしてみせるさ』

 

『もし生き残ったら、みんなの前でお兄ちゃんのベッドの下の秘蔵本を見せてあげるからね!』

 

『あぁ。俺の秘蔵——って、ちょっと待てリィズ!お前どこでそれを!!』

 

テオドール、男の誇りと意地と名誉とプライドに賭けてその本は死守しなくてはない。何せその本、要はエロ本なのだ。しっかりベッドの奥底に色んな偽装用の箱を敷き詰めて、その内の1つに二重底までして隠していたのに、何故かバレている。軽く恐怖だ。

というかこれ、生き残ろうが戦死しようが何れにしろ待ち受けるのは地獄である。

 

『ねぇリィズ?その本の題名は、何だったのかなぁ?』

 

『えっと、確か題名は『金髪爆乳美女〜真夏のドキ♡ドキ♡水着特集〜』と『ブロンド爆乳全集〜イケナイあの子のセーラー服〜』ですよアネットさん!』

 

『おんやぁテオドールゥ?一体何でそんな本があるのかなぁ?』

 

『あ、アネット!落ち着け!!』

 

『テオドールさん.......』

 

『カティア!?そんな目で俺を見るな!!』

 

だが助かった。バレたのはまだその2冊だけだったのだ。前にリィズが来たばかりの頃、ブロンド爆乳物はバレている。つまりこれはノーダメージなのだ。

 

『あ、後他にも『アジアンビューティー 巨乳お姉さんの谷間 』っていうのと、『シルバー爆乳美女のイケないオフィス』っていうのもあって』

 

『やめろおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!』

 

『あら!』

『テオドール。いっぺん死ね!』

 

『若いな、テオドール』

 

『どうにか助けてくれよ!同じ男だろアンタ!!』

 

テオドール処刑ショーにより、戦闘前にしてテオドールの精神はゴリッゴリに削られる。ぶっちゃけ今のテオドールは、リィズがシュタージの犬と露呈した時並みのショックを受けている。かなりやばい。

 

『同志少尉。そのいかがわしい本については、後で私がきっちり処分してやる。ホーウェンシュタイン少尉、帰還後協力してくれるな?』

 

『ラジャー!』

 

「同志諸君、そこまでにしておけ。あぁ、エーベルバッハ少尉。基地に帰ったら、その『金髪爆乳美女〜真夏のドキ♡ドキ♡水着特集〜』と『ブロンド爆乳全集〜イケナイあの子のセーラー服〜』について、詳しく聞かせて貰うぞ」

 

『お姉さんもアジアンビューティーについて、詳しく知りたいかなぁ?』

 

『.......殺す』

 

『へぇー、日本の市外局番は0120なのか.......』

 

テオドールが壊れた。それにその番号、市外局番ではなくフリーダイヤルである。というかそもそも、その電話番号はどこから現れたのやら。

 

「オープンチャンネルで何話してやがるよ666!!」

 

『済まない、作戦前に浮ついていた』

 

「怒っちゃいねーよ!!こちらは霞桜第三大隊、大隊長のバルクだ!!とりあえずテオドールだかエーベルバッハだか知らんが、エロ本バレた奴!ご愁傷様」

 

バルクは合唱すると、他の大隊の隊員達も敬礼してテオドールを慰めた。同じ男として、その気持ちは良く分かる。そしてバレてしまった今、どんな思いかも良く知っている。

 

「今時エロ本って古風なのな。今度もっとバレねぇ方法を教えてやるさ。っと、話が逸れたな。ベルンハルト大尉だったな!光線級までの道は、俺達が必ず切り拓いてやる。光線級は頼んだぞ」

 

『あぁ。任せておけ!』

 

「いいねぇ、その返事。そーら野郎共!!姫君達と騎士殿達をお連れする!!我らは汝等に問う。汝らは何ぞや!!!!!!」

 

「「「「「「我ら弾幕信者!!地獄の神の代理人なり!!!!!!」」」」」」

 

因みに第三大隊は弾幕教 濃密弾幕宗の総本山である。彼らにとって弾幕とは、神聖な儀式らしい。無論これはおふざけ100%のネタであって、本当にそんな謎宗教を作ったわけではない。

だが実際かなりの弾幕信者であり、第三大隊の装備は大半のものが手に対深海棲艦用歩兵機関銃イシス2挺と、後ろの兵器担架にも2挺、そんでもって両肩に付けている追加のバトルシールドの内側にも連装ミニガンが装備されている。ぶっちゃけ、かなりヤバい連中だ。

 

『後方から友軍艦接近!江ノ島艦隊です!!』

 

『江ノ島鎮守府所属、鉄血のローンと申します。私達が道を切り拓きますから、光線級をお願いしますね』

 

ここで西部ハイヴ攻略支援艦隊より、ローン率いる援護艦隊が到着した。艦娘とKAN-SENの艤装には、水上と同等の速度が出せる様に調節してある。よって戦術機の素早い挙動にも追い付いていけるのだ。

因みに編成はローン以下、艦娘の高雄、愛宕、矢矧、阿賀野、能代、KAN-SENのハインリヒ、タリン、レーゲンスブルク、チャパエフがやって来ている。

 

「よし総員、続けぇ!!!!」

 

各隊が陣形を組み、BETAの集団に突っ込む。まず初めに接敵したのは、第三大隊の面々。

 

「オラオラオラオラァ!!!!撃って撃って撃ちまくれ!!!!

Barrage junkie(弾幕ジャンキーこそ)!?!?」

 

「「「「「「is the messenger of peace(平和の使者なり)!!!!!!」」」」」」

 

「弾幕はパワー!!!!!」

「弾幕こそ至高!!!!!」

「火力は正義!!!!!」

「火力こそ救い!!!!!」

「濃密弾幕は愛!!!!!!」

 

「聞かせてあげよう、弾幕による救済の鎮魂歌(レクイエム)を!!!!」

 

もう無茶苦茶である。片っ端から弾幕はって、とにかく敵をやっつける。しかも対深海徹甲弾装備な上に、使ってる銃が全部バルカン砲タイプなので、敵が倒れるというよりも溶けていくのだ。

ヤバいのは彼らだけではない。

 

「私を…舐めるなっ!!」

「大人しくなさい!!」

「全員かかれー!Los! Los!」

「ぱんぱかぱーん♪!」

「矢矧、突撃する!」

「馬鹿め!無駄な抵抗をするんじゃないわ!」

「阿賀野の本領、発揮するからね!」

「蹂躙する!」

「残念ね…捕捉済みよ!撃てっ」

「吼えろ!レジーナ!!」

 

艦娘とKAN-SEN達も暴れる暴れる。ゼロ距離で主砲を喰らわせ、遠目の敵には魚雷をぶん投げ、場合によっては艤装自体がバリボリとBETAを食い始める。

彼らが作り上げた突破口を突き進み、遂に光線級の姿を捉えた。ここでシュヴァルツェスマーケン、というよりアイリスディーナ、テオドール、リィズ、カティアが持って来た秘密兵器が放たれる。

 

「行けシュヴァルツェスマーケン!!!!」

 

「援護に感謝する!全機、MPBM一斉発射!撃ち尽くせぇ!!!!」

 

『『『了解!!!!』』』

 

放たれたMPBMは数本は迎撃されるが、キャパ以上の攻撃に抗戦級でも捌ききれない。重光線級に至っては、威力は大きいが連射は効かない為、こういう近接戦での対空戦には不向きだ。MPBMは起爆後、周囲を綺麗に焼き払う。数千℃の火球が地表に形成され、光線級を跡形もなく溶かした。

 

『やった!』

 

「まだ仕事は終わっていないぞ!補給を順次行い、前進に備えよ!!」

 

ところ変わって東部ハイヴでは、神谷戦闘団の面々が戦術機部隊と同時に上陸しようとしていた。空中からは戦術機、海岸線からはLCACとLCUに分譲した各部隊が上陸する。更には西部ハイヴと同じ様に、水虎による上陸支援も行われていた。

 

「応龍、ここまででいい。切り離せ」

 

『先行するんですね?ウィルコ!パージします!!ご武運を!!!!』

 

応龍から切り離された浄龍オーバーロードは、スロットルを全開に吹かして高度を取る。普通ならレーザーに晒される、新人でもやらない行為であるが、元からある2基と追加の6基、計8基のエンジンを持ってすればレーザーの回避など造作もない。

そもそも皇国には元々TLSや自由電子レーザーという、自前のレーザー兵装が普通に配備されていた。その為パイロットにはレーザー回避の訓練もパイロット養成課程の後半で行うし、機体自体のOSにもレーザー回避に関連するプログラムが搭載されている。戦術機と衛士に取ってのレーザーは、実は少しだけ脅威度が下がっているのだ。

 

「やっぱりレーザーは撃ってくるか!しかも太いのもあるし!!」

 

神谷はまるで空中で踊る様に、華麗にレーザーを避けていく。ある程度のレーザー級の位置を把握すると、高度を落として応龍の編隊に戻る。

 

「ジェネラルマスターより、インペリアルドラゴンズ各機へ。光線級の一団を確認した。我々の当面の目標は、この光線級の排除である。だがまずは、陸地のお掃除からだ。全機、フォーメーション、ウィングダブル5で我に続け」

 

神谷戦闘団白亜衆に作られた、機甲戦術機大隊『インペリアルドラゴンズ』は皇国の精鋭戦術機部隊である。機体カラーが通常の灰色から、濃い紺色に変更されており、全機がアーマードパックを装備した重装甲部隊であり、今回の様なBETA支配域への先行突入や膠着した戦線の打開の為に投入する為に作った最強の機甲戦力である。

インペリアルドラゴンズ各機は応龍から切り離されたと同時に、エンジンの推力を最大にして編隊を構築。東部ハイヴの上陸予定地点に先行していく。その後ろ、神谷の直掩には第19独立警備小隊がつく。

 

『神谷殿、我ら斯衛もお供します』

 

「帝国最強のエースが援護についてくれるとはな。俺もVIPになったもんだ。それじゃ援護頼むぜ、先輩殿」

 

ご承知の通り、神谷の実家及びその一族は1500年以上前から脈々と血が受け継がれてきた、天皇家並みに由緒正しき家柄である。しかも当初は武を誇りとする豪族であり、それからは武士の一家でもある。それを知った斯衛軍組、特にこの第19独立警備小隊の面々は御剣に向ける並の敬意を払ってくれているのだ。

 

『長官!前方に獲物です!!』

 

「このまま着上陸だ。派手に決めるぞ!!」

 

インペリアルドラゴンズと第19独立警備小隊は、海岸線に切り込む様に着地。それと同時に、一切砲撃を開始する。

 

「近づける物なら近づいて見ろや!!!!!」

 

神谷の装備するアルティメットパックと通常のアーマードパック装備の浄龍の恐ろしいところは、棒立ちでもかなりの威力となる事にある。単純計算で腕を前に広げてあげるだけで、130mm速射砲2門、60mm機関砲4門、35mmバルカン砲2門、30mmPLSL2門、TLS2基が指向されるのだ。これに手持ちと背部兵装担架の兵装も合わさる。

浄龍オーバーロードとエンペラーともなれば、その数は更に跳ね上がる。これに加えて全方位多目的ミサイルランチャーもあるとなれば、数分で一帯を殲滅し終えてしまうのだ。

   

『前方より要塞級!来ます!!』

 

「46cmを喰らわしてる!!」

 

ズドォン!!!!!

 

本来その巨体と装甲、そして尻尾というか尾の触手でかなり厄介な筈の要塞級であるが、アルティメットパックの前には無力だ。何せコイツの場合、背中にトルネードパックの460mm火薬、電磁投射両用砲を搭載している。いくら要塞級でも当たれば最後、弾け飛ぶ。

 

『エンタープライズよりジェネラルマスター。こちらの上陸は完了した。霞桜第一大隊も展開完了している』

 

「ジェネラルマスター了解。ユニオンの英雄、Big Eの加護があれば安心だ。我々はこれより、レーザーヤークトを敢行し一帯の制空権確保に移る。そちらには援護を頼みたい」

 

『了解した。艦載機によるエアカバーを実施する』

 

神谷戦闘団と白亜衆も共に降下し、戦線を構築。BETA相手ではあるが、いつもの様に暴れ回る。

 

「BETAって、普通に切れるのね!!」

 

「あぁ。毒もよく効く!」

 

「ライトニングサンダー!!魔法も効きますよ」

 

「いやぁ、爆裂矢も毒矢も火矢も、全部しっかり効くのは有難いよ」

 

「剣山!!物理攻撃は勿論効くわ!」

 

最前線で暴れ回るのはワルキューレこと、エルフ五等分の花嫁である。彼女達はエルフの上位種たるハイエルフであり、身体能力や魔力が通常のエルフよりも上なのだ。通常のエルフですら人間を軽く凌駕するというのに、ハイエルフともなれば忍者の様に屋根から屋根へ飛び移ったり、明らかに常人の反応速度ではない速さで反応する事もできる。その為、BETAが相手であっても、BETAの攻撃を貰う前に素早く離脱できるのだ。

しかも使う武器には毒とかの機能がついているが、BETAも一応人間と同じ肉体を持つ生命体(?)ではあるので、しっかり毒も通用すれば燃やしたりも出来る。お陰でいつも通りに戦えている。とは言え超至近距離での近接戦は、流石にリスクが高い。そこで、彼らがその背中を守る。

 

「ワルキューレ達突っ込みすぎだろ!」

 

「ぼやいてないで撃て撃て!」

 

「だぁーもー、邪魔なんだよBETA共!!!!」

 

「俺達が奥方様方の背中を守るんだよ!!!!」

 

赤衣鉄砲隊である。赤衣鉄砲隊は、こういう風にワルキューレと神谷を援護する為に作られた射撃の精鋭部隊。ワルキューレの動きに合わせて、正確にBETAを排除していく。しかも今回は分隊火力を単一目標に絞って射撃している上、使用するのが12.7mm弾を放つ32式戦闘銃である。BETAの前衛に多い戦車級位なら、余裕で排除可能だ。

ワルキューレ達が前衛たる戦車級を相手にするなら、もう1種類の突撃番長も倒す必要がある。だがそれは、コイツらがやってくれる。

 

「ヒャッハーーーーー!!!!!!!!やっぱり突撃は俺達の出番だぜ!!!!!!!!!!!突撃級をデストロイするぜヒャッハーーーー!!!!!!!!!!!!!!」

 

「俺たちゃ泣く子がもっと泣き叫ぶ!!!!!神谷戦闘団の突撃隊長だぜ!!!!!!!!突撃級なんざ目じゃねぇ!!!!!!!!!!」

 

「テメェなんざ突っ込むしか能がねぇ馬鹿どもだ!!!!!!!!そして俺達は突っ込んで敵を殺すことしか能がねぇ阿呆どもだ!!!!!!!!魂バリバリ!!!!!!!」

 

神谷戦闘団の最狂突撃部隊、ヒャッハー装甲車の3台である。コイツらの戦法かなり狂っていて、突撃級が基本的に直線番長であり急には曲がらないことに目を付けて、なんと時速170kmの速さで突き進んでくる突撃級の群れに自ら突っ込み、装甲がない背中や尻を機関銃で撃ちまくるという狂いきった戦法を編み出したのだ。

無論何かちょっと失敗やズレが生じれば、何の抵抗もできず突撃級に轢かれるか空中へ吹っ飛ばされて見事二階級特進コースである。だがコイツら、それをやりのけやがった。

 

「ヒャッハーーーー!!!!スリル満点だぜ!!!!!!」

 

「俺たちなら余裕だぜ!!!!!!」

 

「魂バリバリ!!!!!!」

 

ドリフトやら何やらで無理矢理曲がり、突撃級の間を縫って通り過ぎると同時に攻撃。その攻撃で突撃級の足を無理矢理止めて、後方から江ノ島艦隊の砲撃が襲う。かなり無茶苦茶かつ狂っているが、なぜか戦法として確立できてしまっていた。無論、他部隊では無理である。

そして、もう1匹。コイツがいる。

 

「その程度で、我は止まらぬわ!!」

 

ゴオォォォォォ!!!!!!

 

『やはり焼き尽くすのは気分が良い!!!!』

 

竜神皇帝『極帝』さんである。安定の魔力ビームの前には、BETA自慢の装甲も氷の様に溶ける。ついでになんだったら、バリボリ食べ始める始末だ。因みに要塞級の酸は「ピリリとして美味」らしい。

 

『光線級、目視にて確認!』

 

「TLSを使う。各機、俺の後ろに下がれ!」

 

浄龍オーバーロードは着陸すると、足を肩幅まで広げてチャージを開始する。数秒でゲージが溜まり、両腕を胸の前でクロスさせて解放。極太のレーザーが発射される。たった一掃射で大半の光線級と重光線級を破壊。間髪入れずに、インペリアルドラゴンズと第19独立警備小隊が残党を狩る。

 

『こちら西部ハイヴ!光線級の排除を確認!!』

 

「空中空母に連絡!降下開始させろ!!」

 

東部と西部の光線級が一時的にでも撃退された今、このタイミングで最強の機甲戦力を展開する。今回空中空母艦隊には、艦載機の代わりに有りったけの46式戦車、51式510mm自走砲を搭載してもらっている。この2つの機甲戦力は、輸送艦を横付けして下ろすか、大型機からの空中投下しか展開する方法がない。

だが肝心の鬼ヶ島の周囲は結構浅瀬で、輸送艦は座礁する可能性が高い。となると空中から落とすしかないわけで、それには光線級の掃討が絶対条件なのだ。無論、レーザーに備えて空中母機『白鳳』が護衛についているので、もしもの場合は盾として空中空母を守る。

 

「艦長!鬼ヶ島の空域に到着しました!!」

 

「よし!ではこれより、予定通り機甲部隊の投下を開始する!投下準備を成せ!!」

 

「アイ・サー!」

 

艦長の指示に、乗員達は慌ただしく動き出す。甲板に並ぶ投下装置に繋がれた46式と51式も最終チェックが行われ、戦士兵達は自らの愛機に乗り込む。

 

「下方よりレーザー来ます!!」

 

「舵そのまま、両舷増速!!」

 

「戦闘、撃ち方始め!!!!弾幕を貼り撹乱しろ!!!!!!」

 

BETAから迎撃のレーザー掃射を受けるが、その程度では空中空母艦隊は止まらない。弾幕を展開し、更に『白鳳』達がAPSを起動した上で下に潜り込み盾となる。

地上に展開している各部隊も、残党光線級への攻撃を敢行。援護に回る。

 

「投下ポイント上空!」

 

「降ろし方、始めぇぃ!!」

 

艦長の号令と共に、パレットが次々に投下。地面に向かって自由落下でおちていく。本来ならパラシュートとかがあるのだろうが、このパレットには代わりにスラスターが搭載されている。本来は対空砲に照準をつけさせない為の措置なのだが、期せずしてレーザー対策になった。お陰で光線級の死角に素早く潜り込める。

ある一定の高度に到達すると、スラスターが点火。減速し、パラシュート投下時よりも少し強い位の衝撃で着地し、着地すると同時に即座に移動を開始。友軍との合流を図る。今、皇国陸軍最強の機甲戦力が、鬼ヶ島に降り立ったのだ。

さて、最後に北部ハイヴだが、こちらはかなり毛色が違った。というのも北部ハイヴの指揮官は長嶺であり、その長嶺の戦闘はかなり他の戦区とは違うのだ。なんとこちらは、支援艦隊を前面に出して最前線でBETAと殴り合わせているのである。

 

「オラオラァ!!どうしたどうした!!!!」

 

無論、先頭に立つのは長嶺。浄龍エンペラーを駆り、最前線に1人で切り込んでBETAを殺し回っている。テストパイロットを務められる程に強いはずの歴戦達の衛士達ですら、長嶺には付いて行けていない。

 

『おいおい。単騎で突っ込んでBETAを片っ端から血祭りに上げてるぞ』

 

『す、凄まじい闘争本能ね.......』

 

『なぁユウヤ。アレが例の元帥閣下だよな?』

 

『あ、あぁ。戦術機でも殆ど変わらないって、どんだけ化け物なんだよ.......』

 

アルゴス試験小隊の面々もこの反応である。だがそれでもしっかり仕事はこなしており、BETAを殲滅し続けている。一方、北部ハイヴ攻略支援艦隊はというと…

 

「全主砲、薙ぎ払え!!!!」

「この武蔵の主砲は…伊達ではない!いくぞ…!!」

「撃ちます!Fire!!!!」

「気合い!入れて!撃ちます!!」

「勝手は榛名が許しません!!」

「距離、速度、よし!全門斉射!!」

「武蔵ならここにいる。怯みも焦りも不要、粛々と進むが良い――」

「ファイアコントロール、頼むわよっ!」

「凍れ、そして爆ぜろ!」

「我の射程内に真理あり」

「チェックメイトよ!」

「騎士の剣さばきを!」

「女王陛下に、栄光あれ!!」

「砲撃開始!押しつぶせ!」

「サディア帝国の力を見よ!」

「遊びはここまでだ!」

「天の裁きを受けよ!」

 

もう大暴れである。というのも長嶺、この北部ハイヴ攻略支援艦隊は各陣営の旗艦級&精鋭を集中運用しているのだ。今回の相手には小細工は通用しない。だが逆に正面切っての戦闘なら、こちらにも勝機はある。となれば各戦線に満遍なく配置すべきかもしれないが、精鋭をこちらにまとめる事で何か不足の事態が起こった際に遊軍として動かしたり、或いは事態の打開を図れると考えてこの配置にしたのである。

その恩恵として、最前線に艦隊を殴り込ませて砲弾の嵐で敵を掃討できているのだ。

 

「いい感じだお前達!!そのまま頼むぞ!!!!っと、オイゲン!水雷戦隊連れて右翼から回り込め!!吹雪!お前は大井&北上と二水戦連れて左翼だ!!機動部隊!!上空援護を絶やすな!!!!更に敵が来るぞ!!!!

ベアキブル!カルファン!部隊率いて吶喊!!正面に穴を開けろ!!!!全試験部隊!!俺に付いてこい!!!!戦術機部隊は戦線を維持だ!!!!!!」

 

長嶺は初めての戦術機での戦闘だが、全く問題ない。既に新米衛士が乗り越えられないという死の8分を乗り越えているし、その8分間に数千体のBETAを殲滅している。その傍らで指揮を継続しているのだから、その化け物っぷりは伝わるだろう。

 

『インフィニティ3より、ゴールドフォックス!』

 

「どうしたレオン!」

 

『俺とインフィニティ4で左、インフィニティ1、2で右から先行し、BETAの気を引きます!その間に、閣下は部隊を率いて光線級に向かってください!』

 

「任せるぞインフィニティーズ!教導部隊の精強さを見せて貰う!!!!」

 

『ラジャー!!』

 

ラプターは一列から一気に左右に広がり、そのまま圧倒的なまでの機動性でBETAを翻弄し殲滅していく。本来は対人戦闘、つまり対戦術機を想定した機体なのだが、その機動性は対BETA戦でも光る。

インフィニティーズが派手に暴れている間に、長嶺を先頭にレーザーヤークトを敢行。素早く光線級を撃破し、ついでに残党光線級も撃破したのだが、ここでヤベェ物と出くわしてしまった。

 

『な、なんだアレは!?ゴールドフォックス!未確認BETAを発見!恐らく光線級の一種と思われる!!』

 

「このタイミングかよ!唯衣!映像回せ!!」

 

篁の武御雷から送られてきた映像には、要塞級の様な脚を持ち、多分重光線級かそれ以上のレーザー発射口3つを束ねたレーザー砲を3本持つ、明らかに最強の光線級が映っていた。

 

「全機!一度離脱する!!退避しろ!!!!」

 

流石に突っ込もう物なら、こっちがやられかねない。ここは下がるしかない。だが撤退を開始した瞬間、例の最強の光線級、こいつが極太の波動砲並みのレーザーを洋上の『日ノ本』に向けて放った。

 

『なぁ!?『日ノ本』被弾!!!!』

 

幸いAPSが間に合ったらしく、数秒の掃射後に表したその姿には傷一つ付いていない。だがあんなのを地上目標に向けられよう物なら、まず間違いなくこの世から消え去ることになるだろう。

 

「イーニァ。もしかして、お前の言ってたのってコレか?」

 

『多分?でも、こんなの倒せないよ.......』

 

『大丈夫よイーニァ。落ち着いて』

 

『ゴールドフォックス、よろしいですか?』

 

イーニァとクリスカと話していると、思いもよらない人間から無線が入った。本土にある統合参謀本部にいるイーダル小隊の隊長、イェージー・サンダーク中尉と、アルゴス試験小隊の隊長、イブラヒム・ドーゥル中尉。それから横浜基地の副司令である香月夕呼からである。

 

「3人が雁首揃えて、どうしたんだ?」

 

『現在、他の東西南北ハイヴにもこの未確認の光線属種、差し詰め超重光線級が現れました』

 

『艦隊には被害が出ていませんが、それは恐らく時間の問題でしょう』

 

『一色総理は、核ミサイルの使用に舵を切り始めましたわ。直ちに撤退の指示をお出しください』

 

「まだ諦めんには早ぇよ。こっちはまだ、本気を出しちゃいないんだ。それにあんなヤベェの、なんの情報もないのは1番ヤベェ事になる近道だ。倒せずとも、情報はいる」

 

長嶺はそこまでいうと、一方的に通信を切り戦術機の外に出た。いきなり開いた浄龍のコックピット部分に、隣にいたクリスカとイーニァは驚いている。

 

『どこに行くのだ?』

 

「あれ。ちょっくら殺してくる」

 

長嶺は戦術機から飛び降りて着地し、1人超重光線級に向かって歩き出す。それを止めるクリスカとイーニァ。それを聞いた他の小隊からも、制止の声が上がるが江ノ島の家族共だけは、長嶺の後ろを黙ってついて行くだけだった。

 

「お前達、ここで待機だ。俺が指示したら突っ込め。

この無線が聞こえる全ての兵士に告げる!俺は江ノ島鎮守府司令、長嶺雷蔵だ!!これより例の超重光線級とかいう無駄に図体のでかい肉塊の注意を引いてやる!!!!その隙に有りったけの火力を叩き込め!!!!」

 

長嶺は稜線の影から飛び出すと、まずは7枚の式神を取り出して投げる。その式神は戦闘機となり、編隊を組んでエンジンのとは別の炎を後ろから吐きながら、炎の軌跡を残しながら半円を描く様に飛ぶ。その炎は残り続け段々と巨大な旭日旗の形を成す。そして旗に向けて回り込んだ7機が、炎の旭日旗をぶち破って突き進む。すると後ろから巨艦が姿を現し、完全に出て来ると炎は消え、戦闘機も高度を上げた。

次の瞬間、戦艦は炎に包まれて長嶺の元に集まる。炎が晴れればそこに居たのは、艦娘とKAN-SENの様に艤装を纏った長嶺の姿であった。

 

「今回はこれだけじゃねーぞ」

 

そして次は、懐から真っ黒な所々破れた御札を取り出した。紋様や文字は白や金ではなく、赤黒い溶岩の様な色で描かれている。

それを指で挟みながら、顔の前で呪文の様な事を喋り出した。

 

「我願うは、大和民族の火焔なり。この身は火焔と一体となり、全てを破壊し尽くす破壊者となり、全てを滅さん。八百万の神々とて、我が火焔は止められず。この火焔は天に、地に、海に、山に巡りて、全てを焼き尽くす。我、眼前敵を排するその時まで、火炎と成り、例え果てようと悔いは無し」

 

そう言うと、黒い御札が空高く飛んでいった。風も何も無いし、別に長嶺がぶん投げた訳でも無い。だが飛び上がった御札は少し移動すると、急に大きな火炎となった。そしてその中から、巨大な炎を纏った巨大な鬼が現れたのである。いつもの様に炎に包まれたのだが、炎から晴れると予想とは違う姿になっていた。

艤装が主砲は四連装86cm火薬、電磁投射両用砲12基、三連装46cm火薬、電磁投射両用砲39基となり、各所の機関砲や両用砲群は増え、更にはPLSLも搭載されている。艤装も全長が増し大型化して、足回りもエンジンのノズルが増設され、ここにも副砲が搭載される様になっている。全身が文字通り武器だらけとなり、服装も神授才の時のアーマーと艤装を合わせた物になっており、極め付けは背後にビットを備えていて神授才使用時の面影が残っている。

 

「へぇー?神授才と艦娘の力同時併用すると、こんな事になるのか。差し詰め空中超戦艦『鴉焔天狗』か」

 

長嶺雷蔵は単純な最強の存在ではない。長嶺は生まれ付き『神授才』と呼ばれる、謎の超能力の様なものが備わっており、これにより炎を操ることができる。アーマーとビットというのも、その神授才による物だ。

そしてもう一つが、人工的な艦娘なのである。長嶺はかつて中国でのミッションに成功するも重傷を負い、その時に長嶺の義理の父である東川宗一郎が助けるために人口艦娘の実験に参加させ、その結果としてその身に艦娘の艤装、空中超戦艦『鴉天狗』を宿すこととなったのだ。

 

「それじゃ、始めようか!!」

 

長嶺は推力全開で垂直上昇。ついでに砲撃を喰らわせて、こちらに気を引いて貰う。案の定、4体いる超重光線級はしっかりこっちにレーザーを連続して掃射してきた。

 

「連射もできるなんて便利だねぇ。まあ効かないけど」

 

だが長嶺は空中を縦横無尽に動き回って、レーザーを全て回避していく。どんなに強力だろうと、当たらなければどうということは無い。

 

「今だ突っ込め!!!!!!」

 

「親父のお達しだ行くぞ野郎共!!!!」

「ベーくんに続くよ!!!!!!」

 

「艦隊、大和に続いてください!!!」

「雷蔵ったら、エイリアン相手にもいつも通りなのね。みんな、行くわよ!!!!」

 

無線でそう叫んだ瞬間、北部ハイヴ攻略支援艦隊全艦と霞桜第四、第五大隊が動き出す。苛烈な砲撃を加え、光線級の死角から航空攻撃を行い、雑魚敵には格闘戦で蹴りを付けていく。

 

「成る程、そういう作戦か。全く、やる事が派手だな!!」

 

「クリスカ!ユウヤが行っちゃう!!」

 

「なら私達も行こうか、イーニァ」

 

「ホワイトファングより全戦術機部隊!!艦隊に続けぇ!!!!」

 

江ノ島の家族共が動けば、北部ハイヴに展開するすべての戦術機も続く。

 

『伊隅!戦況が動いたわよ!!』

「教官!すぐに部隊を率いて突撃準備を!!A01各機、超重光線級に攻撃を仕掛ける!!全機続けぇ!!!!!」

 

「666中隊、レーザーヤークトの時間だ。いつもより大きいが、やる事は変わらない!全機、我に続け!!」

 

「野郎共!!雷蔵くんが戦況を動かしたぞ!!!!俺達もこれに続く!!最大推力で突っ込め!!!!!!!」

 

他戦区は戦術機が先陣を切り、その背後から霞桜の各大隊と攻略支援艦隊が続く。それだけではない。洋上に控える各艦にも、その動きは伝わっていた。

 

「全艦砲撃用意!!皇国海軍砲術の誉れを見せてみろ!!!!!」

 

「アイ・サー!!全艦、撃ちー方ー始め!!!!」

 

「神☆仏☆照☆覧!!!!」

 

レーザーにやられようがお構いなしに、大量の支援砲撃を開始したのだ。なんなら迎撃されるの前提で敢えて対空用の時雨弾を装填し、対空ミサイルでレーザー級に攻撃を敢行している。流石にこれだけの物量と、長嶺の攻撃を受けてはキャパオーバーで全てを迎撃はできない。

数分の攻防の末、各戦区の戦術機が超重光線級に辿り着いた。東部ハイヴは白銀、西部ハイヴは神谷、南部ハイヴはテオドール、北部ハイヴはユウヤが取りついた。4人はゼロ距離からありったけの多目的ミサイルと各種機関砲群を浴びせる。

 

『超重光線級、沈黙!!!!』

 

先遣陸戦隊からの報告に、全員が歓喜した。だが、まだ仕事は終わっていない。ハイヴの攻略は済んでいないのだ。千葉特別演習場では、即席のカタパルトからハイヴ突入班に選ばれた試験小隊の各機が、スーパーパックかハンターパックを装備した上で、ヴァンガードパックを装備した上で射出されていく。

一方の上陸チームは、集結ポイントに集結し態勢を一度立て直す。各攻略支援艦隊も江ノ島艦隊に統合され長嶺直轄で動く事になるし、神谷戦闘団に参加している各皇国軍部隊も神谷配下に戻る。そんな中、オリジナルハイヴからアレが出てきてしまった。

 

「総員対空戦闘用意!!航空(エアリアル)級だ!!!!!」

 

航空級と名付けられたそれは、空を飛ぶBETAである。速度はあまり速く無い上に装甲も薄いらしいが、光線級のレーザー照射粘膜を搭載している。かなり厄介な相手だ。

 

『弾がないものは補給急げ!!弾に余裕ある者は、弾幕を張って近づけさせるな!!!!』

 

「一航戦赤城」

「同じく一航戦、加賀」

「二航戦蒼龍」

「二航戦飛龍」

「五航戦、翔鶴」

「同じく瑞鶴!」

「「「「「「戦闘機隊発艦!!」」」」」」

「行ける?よし、稼働全機、発艦始め」

「第六〇一航空隊、発艦、始め!―さあ、始めます」

「航空隊発艦! ……ひひっ、てかいいね、いいじゃーん!」

「熊野航空隊、発艦、お始めなさい!」

 

「一航戦、赤城」

「一航戦、加賀」

「「推して参る!!」」

「終わりだ!」

「終わりだ……Funebre!」

「聖なる光よ、私に力を!」

「うんうん、きっとこんな感じで……艦載機、飛べ!」

「これでどう?」

「汝、罪ありき…!」

「この行いはすなわち、アイリスの願い」

 

これが通常の戦術機と地上部隊だけなら、恐らくこの航空級の投入だけで全てが終わっていただろう。だが、今回は違う。戦術機には全方位多目的ミサイルランチャーが満載な上、江ノ島艦隊がいるのだ。対空戦闘なんてお手のものである。

しかもまだある。護衛でついていてきたアウトレンジ部隊、それから特殊戦術打撃隊のADFシリーズが飛来。更にこれに江ノ島鎮守府基地航空隊もついて来ているので、綺麗なまでの形成逆転となる。

 

「みんな暴れてるねぇ。俺も暴れねぇとバランス取れねぇよなぁぁ!!!!!!超多重力弾装填、撃て!!!!!!!でもってオールビットソード!!!!!!行ってこいや!!!!!!!!!!!」

 

オマケに長嶺が暴走した。超多重力弾は起爆後に、重力フィールドを形成して内部に引き込み、フィールド内部にある無数の重力点でバラバラにするというヤベェ代物である。つまりどういうことかと言うと、フィールド内部に入ると重力が四方八方に存在しており、対象物があちこちの方向に引っ張られるのだ。

そしてビット。長嶺の背後に控えるビットは、剣型とビーム発射機型とシールド形成機型に形状が変わる。このビットを用いれば遠近の攻撃と防御を、たった一兵装で行えるのだ。

 

「ジェネラルマスターより富嶽爆撃隊!!出番だぜ!!!!」

 

『了解した。これより突撃する!!』

 

南の空から、富嶽爆撃隊の富嶽IIが大編隊を成してオリジナルハイヴに接近する。今回富嶽爆撃隊にはハイヴ攻略用に、地中貫通爆弾を搭載している。富嶽爆撃隊の火力投射量は鬼ヶ島程度のサイズ感なら、余裕で全てを破壊せしめる量だ。それだけの量を使えば、いかなハイヴとて無傷では済まない。

 

『ハイヴ突入チーム飛来!!』

 

更に千葉特別演習場から飛び立ったハイヴ突入チームも飛来し、東西南北の各ハイヴに突入。中心部にいる頭脳(ブレイン)級の破壊を試みる。

暫くするとオリジナルハイヴへの爆撃は完了したのだが、それはもう見るも無惨な姿であった。見事に大穴が開いており、多分かなりの深さまで掘り進められているだろう。

 

「これよりオリジナルハイヴに突入する。突入班は俺、ゴールドフォックス、ヴァルキリー10と11、シュヴァルツ01、08、アルゴス小隊、ホワイトファング、イーダル1、霞桜各大隊長とする。武器の最終チェック急げ!!」

 

突入班には漏れなくアーマードパックを装備して貰う。流石に他のパックでは、何かあった時の生存性が下がる。装備パックの換装と、武器の換装が終わるといよいよハイヴに突入する。

 

『しかし、いくらバンカーバスター使ったとはいえ下まで届いてるのかねぇ?』

 

『確かにバンカーバスターとは言え、着弾はバラけるものね。さーて、どうしようかしら?』

 

「心配すんなお2人さん。このビット、こんな使い方もできるんだわ」

 

長嶺は穴に飛び込むと、ビットを全てビームにして自身の周りで高速回転させる。

 

「必殺ビームビットストームって所だ!こうすれば穴を掘り進められる!!」

 

『やれやれ、恐れ入るね』

『あはは!VGのグラインドブレード無駄になっちまったな』

『タリサ〜、それあなたも装備してるの忘れてないかしら?』

『うげっ!それは言うなよステラぁ』

『さっき「こいつは絶対いる!これで掘ったら楽だろ!」とか言ってたのにな』

『VGぃぃぃぃ!!!!』

 

『篁中尉。その、アルゴスはいつもあんな感じなのか?』

『あ、あぁ。大体あんな感じだ』

『イーダルとは違うな.......』

『でもみんな、あったかい色だよ』

『そう。ならいいわね、イーニァ』

 

『前に長嶺閣下の事は其方らから聞いていたが.......』

『なんか、突っ込むのも烏滸がましい位の化け物だよなぁ.......』

『総隊長殿はアレがデフォですから』

『悪い人ではないんですけどねぇ』

『総隊長、化け物』

『総長について行ったら楽しいんだが、命のストックはいるよなぁ』

『でもすごく優しいわよ?』

『敵にはドン引きするレベルで恐ろしい上に容赦ないけどな』

 

各隊、結構緩い感じで雑談を楽しんでいる。だが数分もすれば、何やらだだっ広い空間に出た。恐らく天井まで数百mはあるであろう、物凄く広い空間である。

 

「なんだこりゃ」

 

『戦術機でも余裕だな。普通に戦闘機動が取れるぞ』

 

『ハイヴの中というのは、こういう風になっているのか.......』

 

周囲をライトを照らしてみるが、BETAもいない巨大な広間である。周りは岩で覆われていて、特段これといった特殊な物はない。だが1つ、岩ではない何かがあった。

 

『アイリス!』

 

『どうしたテオドール!』

 

『コイツだけ岩と違わないか?』

 

『シュヴァルツ01より各機、こっちに来てくれ!謎の物体を発見した!!』

 

アイリスディーナの報告に、広間内に散らばっていた各部隊が集まる。テオドールが見つけた謎の物体というのは、まるで門や隔壁のような物であった。しかもかなり巨大である。

 

『なんだこれは.......』

 

『恐らくこの奥に、このハイヴの核的なヤツがいるんだろ。大体ゲームとかSFじゃ、こういうのはお約束だ。おーい霞桜の皆さん!周りに何かないか?』

 

「ないわよこーちゃん!」

 

「こっちもだ!」

 

「何かある。ここだけ、違う」

 

レリックは地面に何かを見つけた。ライトで照らすと、そこだけが岩ではなく目の前の隔壁のような物の素材とよく似ている。恐らくこれが鍵とかそういう物なのだろう。

 

「ちょっと見せてくださいねぇ.......」

 

「どうだグリム?」

 

「流石にエイリアンのシステムは専門外ですよ。ですが構造とか配置が地球のものと同じプロセスであるならば、恐らくこれが鍵の役目をしているだと思います。これをどうにかすれば、隔壁は開けるかもしれません」

 

「でも危険。これ、かなりの高電圧。破壊すれば最後、戦術機でも死ぬ」

 

グリムは元天才ハッカーであり、レリックは霞桜の技術屋。こういう時に頼りになる。どう破壊したものかと考えていると、いきなり地面が揺れ出した。地震かと思ったら、壁からなんか気持ち悪い巨大ミミズみたいのが顔を出し、口を開くと大量のBETAが現れる。しかもご丁寧に要塞級までいる。

 

「BETAかよ!!」

 

『戦闘配置!!距離に注意しろ!!!!』

 

幸い光線級はいないらしいが、それでもかなりの数だ。恐らく万単位はいる。しかもこれだけ狭いと、流石に戦い辛い。だが長嶺&霞桜の人間からすれば、こういう戦いは大の得意だ。

 

「ベアキブル突っ込め!!カルファン遊撃!!グリム!!2人を援護しろ!!マーリン後方援護!!バルク火力拘束!!レリックは固めた奴を片端から殺せぇ!!!!!!」

 

「うっしゃぁぁぁぁぉ!!!!!!!」

 

「ふふ。逝っちゃえ。ザーコ❤️」

 

「2人の邪魔はさせませんよ?」

 

「全く。ウチの部隊は血の気が多くて、困りますね!」

 

「レクイエムはまだ始まったばかりだぜ?一緒に歌おうやBETA共!!!!」

 

「上ガラ空き。殺す。素材一杯。万歳」

 

大暴れする霞桜の大隊長達。普通ならBETA1体でも逃げ出したくなるというのに、それをたった7人で数万倍の数と戦い、その上善戦するという訳の分からない状況に衛士達も気を取られるが、コイツらの後ろには更なる上が居やがりました。

 

「たしかアレ、強酸性の触手だよな。しかも伸びる。よし、ぶった斬って鞭にしよう!!」

 

なんと長嶺、頭のおかしい事に要塞級の尻尾みたいな部分を切り落とし、それを掴んでぶん回して鞭のようにしてBETAと戦い始めたのである。

 

「思った通り!!ぶん回して当たれば酸が出て溶けるし、そもそも先が硬いから単純な打撃にも使える!!!!」

 

『要塞級の尾を武器にして暴れてる.......』

 

『なっ.......』

 

『こ、こえぇ.......』

 

『あんな事、できるのね.......』

 

『本当に人間がどうか怪しくなってきたぞ.......』

 

もう皆さんドン引きである。しかも長嶺、それだけでは終わりません。まだ生きてる要塞級を掴んで持ち上げて、そのまま地面に叩き落としてBETAを串刺しにしたり、要撃級の爪を切り落として、それをぶん投げて要塞級の脳天貫いたり、あるいは爪を持ってブルドーザーのようにBETAに突っ込んで轢き殺したりと、かなりヤベェ戦い方をしていた。お陰で周囲のBETAは掃討できたが、なんか何とも言えない雰囲気となる。

 

『げ、元帥閣下?そ、その、あの戦い方は.......』

 

「ん?良い戦い方だろ。やはり戦場で有り合わせのものを組み合わせて戦うことも、兵士には大事なのだよ。うんうん」

 

『あぁ、はい.......』

 

『諦めるなアイリス.......。アンタの言わんとしてる事は正しい』

 

『そうですよ大尉殿!アレはあっちがおかしいんですから』

 

『流石、グリム達の上官というべきか.......』

 

衛士達は声を大にして言いたい「そういう次元じゃねぇ!!!!」と。というかあんな人類滅ぼし軍の、それも現在進行形で世界を滅ぼしにかかってる連中に、あんなヤベェ戦い方で勝たれたら、色々複雑である。

 

『さーて、この隔壁をどうにかしねぇとな。雷蔵くん、何か方法はあるか?』

 

「うーん?とりあえず、殴るか」

 

『殴るっt』

「ドラアァァァァ!!!!!!」

 

普通に隔壁をぶん殴る雷蔵。それで開いたら苦労はしないが、なんと普通に凹んでしまっている。多分これいけると確信した長嶺は、2、3発殴って蹴りも入れてみると、本当に突破できてしまった。

 

「なんか開いたわ」

 

『えぇ!?』

 

『もう、突っ込むのも疲れて来たな.......』

 

『お兄さんすごーい!!』

 

とりあえず中に進んでみると、中は気色悪く光る空間で、真ん中になんかいる。レーザー照射粘膜みたいな目を6つ持ち、無数の触手を生やした、明らかなボス的な奴がいた。

 

『取り敢えず全員に魔法をかける。翻訳(トランスレーション)!』

 

神谷が魔法を掛けた直後、触手がこちらに飛んできた。即座に各機が応戦し撃退すると、例のボスが話し始めた。口はないのだが、声が聞こえる。

 

「災害、排除する」

 

『こちらは大日本皇国統合軍、統合軍総司令長官神谷浩三元帥。直ちに戦闘行動をやめられたい!』

 

「大日本、該当ない。皇国、該当ない。統合軍、該当ない。総司令長官、該当ない。神谷浩三該当ない。元帥、該当ない。戦闘行動、該当ない」

 

『これまで散々やって来た事だろうが侵略者!!』

 

「戦闘、認識。侵略、該当ない。我々の目的は資源回収。重大災害に対処する」

 

ラスボス野郎は触手を勢いよく伸ばし、Su37UBの左腕に触手を突き刺す。その左腕はモーターブレードを起動させ、自らのコックピットブロックに腕を刺そうとする。

 

『何してるクリスカ!!』

 

『制御を受け付けない!!!!』

 

『助けてユウヤ!!!!』

 

「何が災害だ」

 

次の瞬間、長嶺が素早く触手を切り裂いた。そのままラスボスの目の前に突っ込み、愛刀の弦月と閻魔を突きつける。

 

「おい、よく見ろ。俺は煉獄の主人、アマテラス・シン。テメェらがこれ以上、俺の家族や仲間に手ェ出すってならぶっ殺す」

 

ラスボスは何も言わずに、触手を長嶺に突き刺そうとしてくる。だがその前に艤装で触手を全部撃退し、無力化する。

 

「そうか。これがテメェの答えか。テメェらの飼い主につたえやがれ!!お前らが何億何兆のBETAを送り込もうがな、俺達人類は全てを殲滅する!!!!人類を舐めるなよ!!!!戦士を舐めるなよ!!!!!!有象無象の区別なく、俺達の道を邪魔するものは殺すのみ!!!!!!!!」

 

長嶺はゼロ距離で指向できる全ての砲塔で、ラスボスを撃った。ラスボスは跡形もなく消し飛び、地上にいたBETA達も動かなくなる。作戦は成功した。地上でも司令部でも、全員が喜んでいた。

だが、まだ終わりではないらしい。鳳凰が隕石を見つけたのだ。それもBETAのエントリーシップと思われる、BETAの母船である。この事は未だ地下にいる神谷の元にも連絡が入った。

 

『みんな、まだ終わりじゃないらしい!BETAの母船、およそ200隻が接近中だ!!!!』

 

「はあぁ!?!?」

 

『まだ終わってないのかよ!!』

 

『BETAさんよぉ、空気読んでくれよ!今のは大団円って流れだったろうが!!!』

 

取り敢えず全員を魔法で地表に戻すと、地表は既に地獄であった。活動再開したBETAが群れをなして、こちらに接近中だったのだ。恐らくその数、億単位はくだらない。

 

「どうするよ神谷さん!!」

 

『雷蔵くんは宇宙の方をどうにかしてくれ!他は全力でBETAを撃退するぞ!!』

 

神谷は地上に戻るや否や、59式ハングドマンを展開。チャージを開始する。他にもハングドマンを装備している者はそれを構え、チャージを開始する。

 

『一斉撃ち方、撃てぇぇ!!!!』

 

物凄い轟音と共に放たれた伊邪那美弾が、BETA先頭集団を殲滅。だがそれでも、焼け石に水である。母数が多すぎて、大した被害になっていないのだ。

それでも各機が応戦を続ける。ミサイル、MPBM、大砲、機関砲、使える武器全てを使って攻撃を続けとにかく削りまくる。海軍の支援砲撃、そして皇国空軍のA10彗星IIによる近接航空支援を使い、さらには極帝と八咫烏&犬神も暴れるが、あまり効いていない。

 

『超位魔法!黒き豊穣への貢(イア・シュブニグラス)!!!!』

 

超位魔法も連発するが、効果は薄い。だがそれでも、召喚された黒い仔山羊たちが暴れてくれる。それで数は減るはずだ。

その間長嶺はとにかく上に上がりまくる。色々な情報が来るが、どうやら一隻だけ一際大きなヤツがあるらしく、これが所謂旗艦であると推測できるのだという。恐らく、これを撃退すればBETAも止まるだろうと予測されているらしい。一応、既に機動空中要塞『鳳凰』とストーンヘンジなんかが迎撃を開始しているらしいが、数が多すぎて地上と同様に焼け石に水らしい。

 

「素粒子砲、射撃準備!エネルギー充填開始、バイパス接続。エネルギー正常に伝達中」

 

右側の艤装に搭載された巨大な砲身が変形し、正面と左右の砲口がせり出す。エネルギーが充填されている証拠である紫色の光が、段々と砲口に宿り出す。

 

「スコープ解放。ターゲティング開始」

 

長嶺の顔の前に、水色の水晶体の様な半透明のディスプレイが現れる。画面には様々な素粒子砲に関する情報、例えばエネルギーの充填率とか各部の破損状況とか様々な情報が列挙されていた。真ん中には照準を定めるためのスコープ画面が映されており、それを旗艦に合わせる。

 

「ターゲットロック。オールビット、ビーム!!」

 

ビームビットを射線に配置し、素粒子砲のビームをさらに加速させるべくビームを掃射させるのだ。

 

「素粒子砲、発射!!!!!」

 

ギュゴォォォォォォォォォ!!!!!

 

紫色の15本のビームは一本に纏まり、さらにビームビットによって威力と速力が加速度的に上昇。最強の一撃、言うなれば『真・素粒子砲』となって旗艦級目掛けて飛んで行く。だが、ダメだった。

 

「クソ、そんなのありかよ!!!!」

 

素粒子砲の照準は完璧だったのだが、命中直前に周りの母艦級が盾になってしまい、旗艦の仮称司令船級に届かなかったのだ。今の一撃で母艦級も片手で数えるほどしか残らない程度に殲滅したが、これ以上接近されると迎撃困難になる。しかも最悪なことに、この船団の目的地は日本。それも東京だと言う。かなりヤバい。

 

『こちらゴールドフォックス!!周りのに阻まれた!!!!攻撃に失敗!!!!!』

 

「くっ.......。そうだ長官!極帝を使いましょう!!」

 

「極帝、いけるか!?」

 

「あの高度、流石の我とて無理だ!!」

 

「クソッ!!!!」

 

『総員、対ショック、対閃光防御!!』

 

「え!?」

 

その時無線から聞いたことがないはずなのに、どこか聞き覚えのある声が聞こえて来た。そして、神谷も知っているとあるアニメ作品でそのまま使われていた口上。

 

『3、2、1!』

 

神谷の脳裏に、電撃的に見た事も聞いたことも無いはずの風景がフラッシュバックする。彼、いや。彼らが来たのだと、そう分かった。今から何をするのかというのも含めて、全てが分かった気がした。

 

「スタングレネード!全員目を覆え!」

 

色々間に合わず無線にそれだけ怒鳴るのが精一杯だったが、白亜衆もエルフ五等分の嫁も衛士達も即座に動いた。長嶺もずば抜けた反射神経でとっさに目を覆っている。

 

『発射!』

 

強烈な閃光と轟音。そして一筋の青白い極太ビームが空を駆けた。稲妻を纏ったそれは一直線に大気を切り裂き、BETAの群れへと突進する。

今度もまた、母艦級が司令船級の盾になろうと前に出たが、その極太ビームは母艦級を一撃で真っ二つにし、そのまま司令船級へと直撃した。

言葉にできない凄まじい悲鳴のような音が響く。そして青白い閃光の中で、司令船級の身体がまるで紙か布が破れるようにボロボロに崩れ、その形を失っていった。司令船級をぶち抜いたビームは、後ろにいた1体の母艦級すらも貫通し、そのまま虚空の彼方へと飛んでいく。

地上には眩しい閃光と凄まじい爆風が吹き荒れており、流石の長嶺といえども両手を顔の前にかざして目を守るのが精一杯だった。だが、これだけの好機、見逃すはずがない。

 

「誰だか知らんが、良い一撃だ!!!!真・素粒子砲、発射ァァァァァァ!!!!!!!!!」

 

ギュゴォォォォォォォォォ!!!!!

 

残る敵全てを焼き払う。誰かは知らないが、援護してくれたまだ見ぬ友軍が作った一瞬。無駄にはしない。放たれた一撃は、残る全ての母船を破壊し尽くす。

 

「全目標の破壊確認!!!!」

 

次の瞬間、地上は大歓声に包まれた。

さてさて、さっきの謎の友軍は誰であろう。その戦艦は『鳳凰』が展開するのとは別の空域に浮かんでいた。全長265メートルの巨体を持つそれは、一見すると大和型戦艦を空中に浮かべたように見える。だが所々異なる艤装の形状、艦底部から突き出た第三艦橋、そして艦首に開いた巨大な穴が、それが大和型戦艦とは全くの別物だということを物語る。

 

「敵超大型船の撃沈を確認!さらに周囲にいた大型船も2隻撃沈しました!」

 

オペレーターからの報告を受けて、ゴーグルを外した若い男性……堺 修一は頷いた。そして静かに命令を下す。

 

任務完了(ミッションオーヴァー)これより帰還する(RTB)

 

それを聞いて、艦長席に座っていた長身の女性…艦娘の大和に戦闘班カラーの森船務長のボディースーツを着せたような女性が尋ねた。

 

「え、これだけで良いんですか?」

 

どうせなら会いに行ったりすれば良いのに、という考えであったが、ヤマトの質問に堺提督は両手を後頭部で組み合わせながら答えた。

 

「これ以上できることなんてないよ。主役の方々の出番奪っちゃ駄目でしょ、読者の皆様に悪い」

 

「何訳わかんないこと言ってるんですか提督」

 

ジト目のヤマトの質問を華麗にスルーして、堺は声を張り上げた。

 

「さて、帰ろう!あいつらがウチに侵攻してきたら洒落にならないし、戻って守りを固める」

 

実はハイヴとの戦闘の最中、またしてもタウイタウイ泊地が転移してきていたのだ。だが戦闘のどさくさに紛れる結果になってしまい、大日本皇国側でも観測できなかったのである。

転移が発覚してすぐ、堺は周辺の状況調査を命令。その中で電波情報に耳を傾けていたヤマトが、多数の無線交信を拾ったのだ。それらは強度の弱い暗号文であり、片っ端から解読していくとそれがなんと大日本皇国のものであることが判明。そしてどうやら、宇宙から飛来する敵と交戦しているらしいことが分かったのだ。

堺はすぐに「この敵がタウイタウイに侵攻してくる可能性が否定できない。先手を打ち、できれば大気圏外でこの敵を叩く」と決め、泊地を艦娘たちに任せて単身ヤマトで出撃してきたのである。そして司令船級と母艦級からなる部隊を発見し、神谷が指令のため使っている無線チャンネルを電波ジャックして警告を発した後に波動砲をぶっ放した、というわけであった。

 

「にしても、なんでさk——————」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んぁ?」

 

神谷は海中に潜む『日ノ本』の艦内で目が覚めた。頭がボーッとしているが、何が何だか分からない。ふとデスクにあるパソコンに目が止まり、画面を覗き込む。メールが1件来ていて、アドレスも知らない上に件名と本文はなく添付ファイルだけが付いていた。開いてみるとデータが入っていて、その名前には『龍が如く計画』とある。

 

「.......またこのパターンかい。作ってみても良いかもな。もしかしたら、BETAが来るかもしれねぇし」

 

開いてみると、浄龍を筆頭とした戦術機の技術が大量に入っていたのだ。今や現実なのか夢なのか幻なのか分からないが、この世界でも作ってみても良いかもしれないと思った。意外と衛士生活も楽しかったのだ。

神谷は部屋を出て歩き出す。皇国はまだ戦争中だ。今日はミリシアルで会議もある。

 

「「さぁーて、戦争の時間だ」」

 

 




はい、というわけで終わりましたお正月スペシャル!超大長編となりましたが、ここまでお付き合いくださりありがとうございます!
さて、ここで1つお知らせなのですが、マジでこれ書くのに疲れたので来週分は休ませてください。再来週より投稿を再開致します。次回は最強国家の方を更新するので、どうぞお楽しみに!因みに最強提督は、次回より新章開幕となります!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。