最強国家 大日本皇国召喚   作:鬼武者

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第二話国交樹立への道のり

会見の翌日、又しても事件が起きた。他国にいた人間が結婚済みの者を除いて自分の故郷、もしくは職場に最寄りの駐車場又は空き地に現れたのである。逆に日本に居た外国人、例えば大使とか旅行者は消えたのである。一方で民間船も各地の港や港の沿岸に現れるという事が起きたのである。また政府も宇宙センターと協力して、偵察衛星の打ち上げを急ピッチで行なっており、一部は既に打ち上げられている。そして、場所は外務省の外務大臣執務室に移る。

 

「失礼します。大臣、お呼びでしょうか?」

 

「あぁ。君は確か中世ヨーロッパに詳しかったね?」

 

「はい。趣味の一つですので」

 

「なら君には、陛下の勅命で新たな仕事をしてもらいたい」

 

「陛下の勅命ですか⁉︎」

 

「あぁ。川山くん、君には欧米部部長を辞めてもらう。その代わりに我が皇国の特別外交官になってもらいたい」

 

「特別外交官ですか?」

 

「そうだ。こんな事態は有史以来、未だ嘗て無い事なのは知っているだろう。その為、緊急の帝前会議が行われたのだ。その際、総理が君を陛下に推したんだ。君は総理と統合軍司令の神谷さんと幼馴染だそうだね?陛下に「アイツ程、軍と政治に顔の利く外交官はいません。それにアイツは大の中世ヨーロッパ好きで、専門家との談議についていくこともできます。相手の国が中世ヨーロッパに似ている点も踏まえて、中世ヨーロッパの事をよく知っている者を派遣すべきと進言いたします」と言っていたよ。良い友達を持ったね?」

 

「そうでしたか。わかりました。特別外交官の件、是非やらせていただきます」

 

「そうか。ありがとう」

 

川山は外務省を出ると、その足で統合参謀本部へ向かった。

 

 

統合参謀本部長官執務室

「入るぞ」

 

「おう。聞いたぜ?お前、異世界へ外交官として行くんだってな?」

 

「なんか健太郎が陛下に推薦してくれたらしくて、陛下の勅命って形になった」

 

「やっぱ、外交官冥利に尽きるってヤツか?」

 

「いや、正直不安の方が勝ってる。相手は異世界の国で、どんな風習があるかわからない。もしかしたら、いきなり殺される事もあるかも知れない。というか、まず言語の壁がある」

 

「それもそうだな。さて、お前がここに来た理由は派遣する艦隊についてで良いんだな?」

 

「あぁ。俺は一体、どんな艦に乗るんだ?」

 

「本当なら主力艦隊をつけてやりたいが、流石に砲艦外交はマズいからな。ここは防衛艦隊に任せるつもりだ。一応乗ってもらうのは第三防衛隊群の旗艦、空母龍鳳になっている」

 

「戦力的には?」

 

「旗艦である龍鳳以下、龍驤型二隻、浦風型八隻、神風型十隻、伊号901型一隻の艦隊だ。よっぽどの事が無い限り、やられることはない」

 

「わかった。それなら安心だ。出発は翌々日、早朝で間違い無いな?」

 

「あぁ。翌々日の朝7時に出航予定だ。見送りには俺も行くから、ついでに送ってやるよ」

 

「OK。感謝するよ」

 

 

翌々日、艦隊は出航し異世界の国への船出についた。二日後異世界の首都、もといクワ・トイネ公国第二の首都とも言える経済都市マイハークの沖合にて、艦隊は異世界の艦隊の臨検を受けていた。その時臨検時に乗りこんだ、船長の視点をお借りしてお送りしよう。

 

「なんなのだ、この巨大な鉄の塊は.......」

 

「船なのでしょうか?それとも城塞ですかね?」

 

そこに鎮座しているのは、第三防衛隊群の旗艦龍鳳である。艦長が乗員に命じで、艦載機エレベーターを下げる。

 

「ひとりでに甲板が降りてきたぞ‼︎魔法道具か何かか⁉︎」

 

「あそこから乗れ。という事でしょうか?」

 

「えぇい‼︎ままよ‼︎」

 

 

航空母艦「龍鳳」飛行甲板

なんなのだ、なんなのだコレは‼︎この広さ、騎馬試合ができてしまうぞ⁉︎

 

そこへ艦長を連れ、川山が甲板に現れる。

 

奇妙な服、見慣れぬ服、アレ(甲板上に配置している震電IIの事)に至ってはなんなのだ⁉︎

 

では、川山の方に視点を戻そう。

 

「げ、現在、クワ・トイネ軍は厳戒態勢にある。貴船の所属と航海目的を知りたい」

 

川山と艦長は驚く。この軍人が使っているのは、紛れもない日本語なのである。

 

「言葉の壁が無いのが救いだな。失礼、私は大日本皇国外務省所属、特別外交官の川山と申します」

 

川山は名刺を差し出す。司令はなんで小さな紙を出されたのかは分からないが、多分もらうべきものだろうと空気を読んで取り敢えずもらう。

 

「大日本皇国?聞かぬ名だな」

 

「それもその筈。我が国はどういう訳か転移してしまったのです。七日前の偵察機が持ち帰った情報から、その確証を得ました」

 

「それでは我が国マイハーク上空に現れた、国籍不明騎は」

 

「アレは予期せぬ領空侵犯でした。我が国に敵意なし、そう断言できます。我々の航海目的は、貴国への領空侵犯についての謝罪が目的です」

 

「そうでありましたか。では、我々の船についてきてくだされ」

 

船長は直ちに魔信(魔法による連絡手段。要は電話)で本国に通報し、第二艦隊司令に連絡が入った。連絡が入るや否や、政治部会へ突撃して報告を行い、首相のカナタが「会談を持つ」という決断を下し、とても速いスピードで会談が成立した。

 

 

会談会場

「このような場を設けて頂いた事に厚く御礼を申し上げると共に、我が国の偵察機が領空侵犯した事を深くお詫び申し上げます」

 

「公に謝罪を受け入れます。しかしながら、貴国の誠実な説明を求めたい」

 

「それはごもっともの事です。そこで今回はこちらで資料を作りましたので、配布させていただきます」

 

しかしここで、一つ問題が起きる。

 

「この文字、我々は読めませぬぞ?」

 

「え⁉︎これは申し訳ありません。我が国と同じ言語を使っておりましたので、てっきり文字も通じるのかと」

 

「私達からすると、其方が世界共通語を話しているように聞こえますぞ?」

 

「わかりました。では、口頭の説明となりますが御容赦ください。我が国、大日本皇国は貴国より東へ約一千キロメートルに位置し、三十七万八千平方キロメートルの国土と、人口3億9000万人を有する国です」

 

「あの海域にそのような形の島は、聞いた事もありませんぞ‼︎というより、島すら存在しておませぬ‼︎」

 

外務卿リンスイが怒鳴りつける。川山は予測された反応の為、表情をピクリとも動かさずに切り返す。

 

「目下原因不明ですが、先の偵察機からの情報などを客観的に分析して「国土ごと此方に転移した」としか申し上げようがありません。しかしながら「この事を信じろ」と此方が申し上げたところで、其方からするとホラ話もいい所です。ですので、我が国に貴国使節団を派遣する事を勧めさせて頂きます。御足労願いませんでしょうか?」

 

「いいでしょう」

 

「何ですと⁉︎」

 

「大日本皇国の使節団の方々は、非常に誠実で礼節を弁えておられる。なにより我が国を攻め滅ぼせるであろう軍事力を有しながら、その力を背景に威嚇してくる事もない。そのような国が築く都市や文化を、私は知りたく思う」

 

「ありがとうございます。直ちに使節団受け入れの準備を致しますので、派遣される方の選抜が終わりましたらお声掛けをお願いします」

 

「わかりました。ではこれにて、お開きとしましょう。本日はこちらで部屋を用意させておりますので、旅の疲れを癒してください」

 

「御心遣いに感謝します」

 

打ち上げられた通信衛星によって、会談の結果は即刻日本へ報告された。これにより日本側は、民間の旅客船を一隻借りて海軍の護衛を受けつつマイハーク沿岸部に向かい、使節団と川山と合流し一路、福岡港へ向かった。因みに船内の設備に使節団は腰を抜かし「光の精霊が住んでいる‼︎」とか「神々の船だ‼︎」とかと言って興奮していた。まあ、この時代の船旅は、暗くて湿気も多くて運が悪いと疫病に罹るという地獄の片道切符であるため、このリアクションも無理はない。二日後、博多港に着きアイツと合流する。

 

 

「よう浩三」

 

「よう、じゃねーよ。俺なんも聞かされてないんだけど?」

 

「え?」

 

「昨日の夜に健太郎が「ちょっと博多で慎太郎と会ってこい」って言われて、最終便でこっちに飛んできたんだ」

 

「マジで?」

 

「マジだよ。大マジだよ‼︎」

 

「なんか、さーせん」

 

「まあ、久しぶりに博多ラーメン食えたら良しとする」

 

「川山さん、其方の方は?」

 

外務局員のヤゴウが質問する。その後ろでリンスイも「?」という顔をしている。

 

「あ、すみません。此方は大日本皇国統合軍総司令長官の神谷浩三という軍人です」

 

「神谷です。実質的な軍の総指揮官と思って頂ければ大丈夫ですよ」

 

「これはこれは。クワ・トイネ公国で外務卿をしております、リンスイです。此方は局員のヤゴウ」

 

「ヤゴウです。どうぞよろしく」

 

「えぇ。此方こそ」

 

「川山さん、何故にこの方が居るのでしょうか?軍の総指揮官が護衛も付けずに居るのは、些か不用心なのでは?」

 

「確かに普通なら護衛が付くべきでしょうが、神谷は皇国一の刀の使い手ですので御安心を」

 

「ほぉ。それは心強いの」

 

「おっと、時間が押していますね。それでは皆様、我が国の空軍基地へご案内します」

 

一行はリムジンに揺られ、一路築城基地へ。

 

 

「神谷殿、ここは一体何の基地でしょうか?」

 

「ここは空軍基地、其方で言う竜騎士の基地ですよ」

 

「竜騎士?この国にもワイバーンがいるじゃの?」

 

「失礼、言葉が足りませんでしたね。我が国で運用するのはワイバーンではなく、此方になります」

 

整備士に目で合図を送り、一つの機体が姿を現す。

 

「こ、これは⁉︎」

 

「鉄竜ですか⁉︎」

 

リンスイに続いて、ヤゴウも驚きの声を上げる。

 

「そうです。この機体は我が国で配備されている最新鋭ステルス制空戦闘機、F9心神です」

 

「これがマイハークを飛んだ機体かの?」

 

「いえ違います。例の件で使われた機体は元は戦闘機でしたが、退役、つまりは引退したのを改造して出来た機体です。ですので、当たらずといえども遠からず、ってところですかね?」

 

「神谷殿、この機体を飛ばすことは出来ませんか?」

 

「さ、流石にそれは」

 

川山が渋るが

 

「いいですよ」

 

「え?」

 

「本当ですか⁉︎」

 

(ちょっと浩三さん?簡単に飛ばしちゃっていいのか⁉︎)

 

(訓練だと処理すりゃ問題ねーよ)

 

(そうじゃなくて、手の内見せたりして良いのかって事だ‼︎)

 

(中世ヨーロッパ程度の技術力じゃ、ステルス制空戦闘機なんざ作れねーよ。国家機密の設計図を見せたところで、理解すら出来ないだろうし)

 

(いや、そうだけどさ)

 

そんな訳で「訓練」の名目で、一通りの動きを見せた。具体的にはクルビットやバレルロール等のマニューバと、模擬ミサイルの発射等である。訓練が終わると、また博多に戻りリニアモーターカーで呉に向かった。

 

 

「神谷殿、我々は何処に向かうのでしょうか?」

 

「次は皇国海軍の基地ですよ。我が国の艦船をお見せいたします」

 

一行は埠頭に、ではなく地下ドックに通される。流石に二百隻超えの艦隊を外に係留するのは不可能であり、全ての海軍基地に地下ドックがある。鎮座する海の猛者達を前に、使節団は言葉を失う。この時代の軍艦とはガレー船とか戦列艦であり、パイレーツオブカリビアンとかワンピース(あっちは独自の技術とかで、厳密には結構違ってくるが)に出てくる艦船である。そんな世界の人間が、かつて「世界最強」と言わしめた大和型を始め、全長が1キロメートルを超えてる空母とか、1.5キロメートルの戦艦とかを見れば最早、思考停止レベルであろう。

 

「か、神谷殿?これは浮くのかの?」

 

「え?えぇ。浮きますよ?」

 

「鉄は普通沈みますよね?」

 

「そりゃ、水より比重がデカいですからね」

 

「で、では何故浮くのかの?」

 

「水に物体を浮かせるには二つの方法があるんですよ。水より比重が小さいもの、例えば木とかですね。もう一つは箱の中に空洞を作って、全体の重さを押し除けた水の量より軽くすれば材質に関係なく浮きます」

 

「ということはダイヤや金でも浮くのですか⁉︎」

 

「理論的にはそうです」

 

彼らにとっては質問の答えが、造船業への革命である。こんな感じで皇国の圧倒的な技術力と、約2700年という長い時の中で育まれた文化や伝統を直に感じてもらいつつ約二日かけて皇都東京に向かった。その翌日、ホテルの一室にて国交樹立への条件の出し合いが行われた。因みにこの段階に来ると神谷の専門外であるため、川山に任せて本部の会議に出席していた。

 

 

「では、まず我が国からの条件を提示させて頂きますかの」

 

外務卿リンスイの要求は大きく分けて二つである。

・鉄竜(戦闘機)、鉄船、鉄像(戦車)、個人携行火器の輸出と技術開示。

・インフラ関連の整備。

 

「えーとですね。結論から申しますと、現用兵器の輸出は原則として不可能なのです。法律で禁止されておりますし、理論を理解せずに運用するのは困難な兵器です。現用兵器は不可能ですが、恐らく旧式の兵器類なら大丈夫かと思われます。こればかりは閣議や国会を通さない事にはなんとも言えませんが、この世界の軍事力なら旧式の兵器でも赤子の手を捻る程度に他国を制圧可能です」

 

「インフラの方はどうでしょう?」

 

「其方は我が国の出す条件とも関係性が有りますので、必ず整備する事になると思われます。では我が国の出す条件ですが、食料6000万トンの輸入をお願いできませんか?我が国は転移前の世界で、年間6000万トンの食料を各国から輸入しておりました。もちろん貴国のみからではなく、他の国からも輸入しますので賄える限りの量をお願いいたします。我が国は輸入に関して、それ相応の対価を支払う用意もあります」

 

川山は必要な農作物の種類のリストを差し出す。数分間の沈黙の間に、リンスイとヤゴウが目を通しリストを閉じた。

 

「正直、品目の多さに驚いております。聞いたことのない物もありますので、代替品やそれらを抜きにしたとしても」

 

この後、予想だにしない答えが返ってくる。

 

「我が国のみで賄えますよ。6000万トンの農作物」

 

「「「「⁉︎」」」」

 

川山含め、大日本皇国側の代表団は全員((((;゚Д゚)))))))って顔をしている。

 

「いや?は?え?も、もう一度お願いします」

 

「ですので、農作物6000万トンの輸入は我が国のみで賄えますよ」

 

「真ですか?」

 

「真です」

 

何を隠そうクワ・トイネ公国は、農作物のチーター国なのである。農民たち曰く「作物なんか、種さえ撒けば勝手に生えてくる」らしい。お陰で食料自給率が100%を余裕で超えており、家畜や捕虜に至っても質の良い食事が与えられ、それでも尚余りに余ってると言う。つまりクワ・トイネ公国からすると、捨てる道しか無い作物が、お金と列強国レベルのインフラ設備に化けて返ってくるという、これ以上ないくらいの夢物語な訳である。

 

「しかしながら、ご承知の通りこの量を定期的に、かつ安定的に輸送する術を我が国は持っておりません。ですので、インフラ整備をして頂く必要があります」

 

「わかっております。我が国には政府開発援助、通称ODAと呼ばれる制度があります。この制度を使って、我が国の確かな実績のある技術者を派遣し、穀倉地帯と港を結ぶ輸送網を確立させます」

 

「それは心強い限りです」

 

一ヶ月後、日本とクワ・トイネ公国は正式に国交を樹立。同時に「スコップで砂を掘れば石油が湧く」という資源チート国家、クイラ王国とも国交樹立した。これに加え、安全保障条約も締結されている。また定期船の運行が国交樹立を前に始まっており、政府関係者や専門家が三ヶ国を行ったり来たりしていた。これにより三ヶ国の文化や風習を学び合い、相互理解への道も確立されつつあった。

 

 

 

 

 

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