最強国家 大日本皇国召喚   作:鬼武者

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第九十三話反撃の狼煙

1ヶ月後 ヒノマワリ王国 ギーオン基地

「後、12時間か」

 

「えぇ。早いものですね」

 

あのゾンビパンデミックから1ヶ月。かねてより世界連合が進めていた『審判の炎作戦』が、いよいよ実行に移されようとしていた。この審判の炎作戦とは、簡単に言えばレイフォリアを解放し、第二文明圏から帝国軍を駆逐する作戦である。

 

「それにしても、俺が竜騎士の指揮官をやる羽目になるとは.......」

 

「頑張ってくださいねー」

 

「他人事みたいにって、まあ他人事か」

 

この作戦に於いて神谷は、反撃の号砲となる世界各国の竜を用いた攻撃の指揮官に任命された。のだが、神谷自身その手の指揮はした事がない。というか竜騎士隊の指揮なんざ、やった事がない。神谷の専門は艦隊指揮、それから陸上戦。この二つの指揮官は何度もやってきたが、航空戦は基礎的な部分はわかってもそれ以外はよく分からない。

 

「俺を完全無欠のスーパーコマンダーとでも思ってるのか.......」

 

「艦隊戦と陸戦だとそうかもしれませんが、航空戦は.......」

 

「一応勉強はしたが、どうなるか分かったもんじゃないな」

 

取り敢えず100歩譲って、皇国の航空戦を指揮するのならまだ分かる。戦闘機の事は知っているから。だが竜、つまりワイバーンとかその手の話になってくると、もう何が何だか分からない。何せワイバーンだのドラゴンだのは転移元の世界では空想上の生き物であって、現実世界には存在しなかった。

所がこの世界ではそれが存在しているのは言うまでもないが、生憎と存在していなかった世界の住民に指揮しろと言われても何をしていいのかが分からない。仮に竜騎士を騎馬として考えたとしても、今の軍隊に騎馬隊は儀礼部隊を除いて存在しない。馬に跨り戦うなんて戦法は、もう1世紀以上は前に消え去った。当然、神谷も騎馬隊の指揮は経験もなければ知識もない。

 

「幸い、本格空戦はしない方向で決着している。俺の役目は指揮官とは名ばかりの、言うなれば盛り上げ役。そういう役目に収まっただけマシと考えるか...」

 

「この竜神皇帝たる、我の友なのだ。問題なかろう!」

 

「問題しかねーよクソッタレ」

 

英雄やるのも楽じゃない。こうも面倒事が増えるなら、いっそ世界を敵に回すダークヒーローにでもなってやろうかと思う程だ。というか確か、そんな奴が知り合いにいた様な.......。いや、そんなヤベェ狂人の知り合いなんていない筈だ。

 

「では長官。私は先発します」

 

「あぁ。そっちは任せる」

 

「お任せを」

 

今回の作戦は空陸同時戦となる。空中からの要塞への攻撃後、これを合図にして世界連合軍がレイフォル目指して進撃を開始する手筈になっており、向上は先んじて神谷戦闘団を率いて進撃する事になっているのだ。

 

「友よ、飛竜の総大将となった気分はどうだ?」

 

「まあ、もうなるようになれだ。だが一方で、お前の背中に乗って戦えるのは嬉しく思う」

 

「ほう?」

 

「この号砲、お前こそが中心。そのど真ん中の背中に乗れる事は、この戦い最大の栄誉だとも思う」

 

極帝は少しポカンとしたが、すぐに大笑いしながら神谷の周りを飛び回る。どうやらかなり嬉しかったらしい。

 

「ならばこの大戦、大いに楽しもうではないか。我と貴様とで!!」

 

「あぁ。準備はいいか、極帝」

 

「当然!だがまずは飯が食いたい!!」

 

「はいはい。すぐ準備して貰おうな」

 

2人は宿舎に戻り、食事を摂る。神谷は元帥である以上、下手な将軍よりも良いものを食べる。その相棒であり、本作戦の要となる極帝も良いグレードの肉が用意された。2人はそれを食べ早めに就寝。

明朝09:00、ギーオン航空基地を飛び立ち攻撃目標のノーベース要塞を目指す。ではここで、恒例の参加戦力を紹介しよう。

 

 

グラ・バルカス帝国軍

ノーベース要塞

・24cm榴弾砲 8門

・21cm榴弾砲 14門

・15cm榴弾砲 16門

・15cmカノン砲 16門

・12cm高角砲 22門

・12cm連装高角砲 18門

・10cm榴弾砲 28門

・7.5cm高角砲 32門

・25mm機銃 86基

・25mm連装機銃 62基

・25mm三連装機銃 49基

・12.7mm機銃 396基

 

 

レイフォル守備隊

○駐屯部隊

 ・軽戦車ブル 620両

 ・軽戦車シェイファーII 439両

 ・中戦車レトリバー 483両

 ・中戦車ハウンド 368両

 ・重戦車ドーベル 280両

 ・自走砲アシッド(ホロに酷似) 390両

 ・噴進砲トラックポイズン(カチューシャに酷似) 780両

 ・対空戦車アウル 193両

 ・シェパード装甲車 1089両

 ・シェパード対空装甲車 860量

 ・シェパードロケット装甲車 148両

 ・シェパード自走砲 286両

 ・トラック 1580台

 ・バイク 480台

 ・側車 289台

 

○レイフォル航空隊

 ・アンタレス改 120機

 ・アンタレス 240機

 ・シリウス型爆撃機 108機

 ・リゲル型雷撃機 98機

 ・ベガ型爆撃機 28機

 ・シュリアク型爆撃機 51機

 

○レイフォル守備艦隊

 ・オリオン級(旗艦) 2隻

 ・ヘルクレス級 3隻

 ・ペガスス級 2隻

 ・タウルス級 4隻

 ・エクレウス級 8隻

 ・キャニス・ミナー級 15隻

 

 

ダイジェネラ山岳要塞

・41cm榴弾砲 4門

・30cm榴弾砲 16門

・24cm榴弾砲 22門

・21cm榴弾砲 39門

・15cm榴弾砲 52門

・15cmカノン砲 52門

・12cm高角砲 63門

・12cm連装高角砲 50門

・10cm榴弾砲 83門

・7.5cm高角砲 78門

・25mm機銃 169基

・25mm連装機銃 205基

・25mm三連装機銃 290基

・12.7mm機銃 890基

  

 

 

世界連合軍

大日本皇国統合軍

○神谷戦闘団

 ・三個歩兵師団『ファランクス』

 ・二個重装歩兵師団『オーレンファング』

 ・二個突撃機甲師団家『アサルトタイガー』

 ・六個特砲兵連隊『グラディエイターヴィーナ

  ス』

 ・三個対戦車ヘリコプター隊『ブラックスター』

 ・特別輸送航空隊『トランサー』

 ・第206戦術戦闘飛行隊『ラーズグリーズ』

 ・第86独立機動打撃群『エイティシックス』

 ・一個歩兵連隊『ラグナロク』

 ・一個重装歩兵連隊『アルマゲドン』

 ・赤衣鉄砲隊

 ・特別戦闘隊『白亜の戦乙女(ワルキューレ)

 

○村今戦闘団

 ・第一空挺旅団

 ・第二空挺旅団

 ・第三空挺旅団

 ・第四空挺旅団

 ・第五空挺旅団

 ・第六空挺旅団

 

○下山戦闘団

 ・第二機甲師団

 ・第四機甲師団

 ・第三突撃機甲師団

 ・第九突撃機甲師団

 ・第十一砲兵師団

 ・第一歩兵師団

 ・第八歩兵師団

 ・第十六歩兵師団

 ・第二十歩兵師団

 ・第三重装歩兵師団

 ・第十五重装歩兵師団

 

○栗森戦闘団 

 ・第一砲兵師団

 ・第二砲兵師団

 ・第七砲兵師団

 ・第一特砲兵師団

 ・第二特砲兵師団

 ・第四特砲兵師団

 ・第十九歩兵師団

 

○陸上戦力

 ・第一空挺団

 ・第七海兵師団

 

○航空戦力

 ・超長距離戦略打撃群《アウトレンジ部隊》

 ・第二○三航空隊

 ・第二○四航空隊

 ・第二一一航空隊

 ・第三○九航空隊

 ・第三一○航空隊

 ・第三一六航空隊

 ・第四○四航空隊

 ・第四○七航空隊

 ・第五○一航空隊

 ・第五○二航空隊

 ・第五○三航空隊

 ・第五○六航空隊

 ・第六○二管制航空団

 ・第六○四管制航空団

 

○海上戦力

 ・究極超戦艦『日ノ本』

 ・超戦艦『大山祇』

 ・超戦艦『吉備津彦』

 ・要塞超空母『翔鶴』

 ・要塞超空母『瑞鶴』

 ・大和型前衛武装戦艦 8隻

 ・摩耶型対空巡洋艦 10隻

 ・浦風型草薙駆逐艦 20隻

 ・神風型駆逐艦 10隻

 ・第二潜水艦隊

 ・第七揚陸艦隊

 

 

神聖ミリシアル帝国軍

○陸上戦力

 ・二個機甲師団

 ・三個歩兵師団

 ・一個砲兵師団

 ・空挺部隊

 

○航空戦力

 ・エルペシオ3 130機

 ・ジグラント3 198機

 ・ムニシピオ*1 40機

 

○混成魔導艦隊デス・バール

 ・オリハルコン級魔導戦艦『コスモ』(旗艦)

 ・ミスリル級魔導戦艦 2隻

 ・ロデオス級空母 2隻

 ・ブロンズ級重巡洋装甲艦 4隻

 ・ルビー級駆逐艦 5隻

 ・アイアン級魔砲船 6隻

 

 

ムー統括軍

○陸上戦力

 ・軽戦車クーロン 220両

 ・中戦車キャスター 130両

 ・重戦車パーシー 100両

 ・駆逐戦車ドラキー 80両

 ・超重戦車シーランド 20両

 ・ハノマーク装甲兵員輸送車I型 480両

 ・ハノマーク装甲兵員輸送車II型 390両

 ・イーデン野戦高射砲 180門

 ・プリドゥエン自走砲*5 250両

 ・第212特別機動空挺大隊

 

○航空戦力

 ・戦闘機グレン*2

 ・戦闘機パシフィカ 250機

 ・駆逐機テーラー 90機

 ・急降下爆撃機ルーデル 300機

 ・襲撃機エアラコ 250機

 ・襲撃機アイーエ*3

 ・攻撃機バラクダル 160機

 ・戦闘爆撃機ウッドチェイサー*4 640機

 ・爆撃機フォート*5 420機

 

○第一機動遊撃艦隊

 ・戦艦『ラ・カサミ』

 ・ラ・イーセ級戦艦 4隻

 ・ラ・ヴィース級戦艦*6 4隻

 ・ラ・グレイ級*7 4隻

 ・ラ・クーギュ級*8 4隻

 ・ラ・マートン級*9 7隻

 ・ラ・ベルファー級*10 16隻

 ・ラ・ゴーゼルク級*1132隻

 

 

エモール騎士団

○航空戦力

 ・極みの雷炎竜

 ・風竜 120騎

 

 

アガルタ法国騎士団

○陸上戦力

 ・魔導砲 180門

 ・歩兵 25,000名

 ・魔導士 680名

 

○航空戦力

 ・ワイバーンロード 150騎

 

 

学院守護軍(マギカライヒ共同隊)

○陸上戦力

 ・改良魔導砲 80門

 ・対空魔導砲 90門

 ・陸上配置型科学融合魔導砲 120門

 ・騎士 600名

 ・銃士 15,000名

 ・歩兵 30,000名

 

○航空戦力

 ・ワイバーン 580騎

 

 

護学騎士団(ニグラート連合)

○陸上戦力

 ・魔導砲 60門

 ・歩兵 10,000名

 

○航空戦力

 ・ワイバーンロード 120騎

 ・ワイバーン 680騎

 

 

ご覧の通り、かなりの戦力を両軍共に準備している。この戦いは文字通り、帝国を第二文明圏から叩き出す作戦なのだ。これが終われば、今度は奴らの首都に殴り込む。それが世界連合軍、正確にはミリシアルが描く計画だ。一方の皇国は本格介入はここまでであり、事実上これが皇国最後の戦いとなる予定だ。イージスピース計画を実行するとは言え、これまで通り適当にポーズを取りつつ後方支援に徹していくという既定路線は守る。

この戦争で皇国は被害という被害は、殆ど被っていない。一度本土爆撃されかけたりはあったが全て迎撃したし、散発的に現れる通商破壊目的の潜水艦はしっかり海の藻屑になって貰っているので民間船舶への被害はゼロ。何度もドンパチしているが実際の所は、金と資源くらいしか皇国にダメージはないのだ。そんな戦争、続けるだけ無駄だ。パーパルディアの時は「天皇家含む皇国臣民全員ぶっ殺します」という宣言があった挙句、実際に国民を処刑される実害があったが為に殲滅したのみ。今回はそれが無い以上、本土までは攻め込まない。ここまでで充分に義理も果たした。別に他国が攻め込もうが知った事ではないし、物資輸送とその護衛くらいはするが本格参戦するつもりはないというのが三英傑含めた皇国政府の総意だ。

そんなわけでこの作戦に参加する皇国軍の士気は「これが最後だから」と士気は高く、各部隊全力出撃である。本来ならミリシアルが主役の戦いだが、その主役の座から引き摺り下ろして成り代わろうと言わんばかりの規模であり、何なら神谷もそれを考えてたりする。そんな変な策謀というか面子を掛けた戦闘が始まろうとしていた。

 

 

 

翌日 11:45 ノーベース要塞上空

「なんと壮観な眺めだろうか.......」

 

このノーベース要塞上空には、世界各国のワイバーン種が集結したと言っても過言ではない数のワイバーンが集まっていた。同じワイバーンでも、国ごとに差異がある。単純に性能が違う場合もあれば、ワイバーン自体の見た目が違っていたり、ワイバーンや騎士の纏う鎧や装飾が違う。一目見ただけで、詳しい者や同業者なら何処の国のワイバーンか位は1発で見抜く。

 

「マギカライヒのトラマリ騎士団とマリオリル騎士団もいやがる!!学院守護二大竜騎士団が揃って出陣か!!!!」

 

「隊長!あっちには護学騎士団のペネッション軍団がいますよ!!」

 

「すげぇ.......。伝説のペネッション軍団に、学院守護軍の二大竜騎士団。これに我がアガルタの竜騎士団と、エモールの風竜が合わされば敵なしですよ!!」

 

アガルタの若き2人の騎士が、こう興奮するのも仕方がない事だ。戦略会議にてチラリと登場したマギカライヒ共同体のマリオリルとトラマリであるが、この2人は世界的にも有名な竜騎士団の団長でもある。マリオリルはその苛烈な攻撃と不屈の精神から、若輩ながら最強の名を有する。トラマリは天才的な軍略の才を生かして、マリオリルとは正反対の理論と戦略を重視する戦い方を得意とし、全く正反対の形質を持つ騎士団だが、戦場でコンビを組めば向かう所敵なしとなる。

一方のペネッション率いるペネッション軍団は、かつての海魔大戦と呼ばれる戦いで『不動のエース』と呼ばれたペネッションが作り上げた最強の竜騎士団である。高い練度と経験に裏打ちされた戦術は、最強と歌われるエモール王国の風竜を持ってしても油断ならない相手であり、竜騎士団としては唯一、正面切って殴り合える竜騎士団である。

 

「トラマリ!」

 

「マリオリル。どうだい、調子の程は?」

 

「へっ!問題ねぇよ。にしても第一、第二文明圏のワイバーンが集まってるな」

 

「当然。だってこれ、決戦だよ?そりゃ集まるさ」

 

彼ら若き英雄からして見ても、この陣容は壮観の一言に尽きる。これだけの竜が一堂に会するなんて事、ラヴァナール帝国の再臨でもなければ無いだろう。

そんな事を思いながら集まったワイバーン達を眺めていると急に、自らの愛竜が暴れ出す。まるで本能的に死を察知しているかのような、捕食者に睨まれた獲物の様な暴れ方だ。

 

「おい落ち着けって!」

 

「どうどう!どうした!?」

 

ワイバーンの群れの真上に、真っ黒な全長1000mはあろうかという、巨大な竜が現れた。明らかに普通のワイバーンとは体格からして違う、文字通りの化け物サイズの竜だ。

だがどの国の下っ端竜騎士であっても、その姿には見覚えがある。誰もがまさかと思ったその時、魔信が繋がった。

 

『我は誇り高き竜人族、エモール三龍が一人。イヴァン竜騎将である。竜王ワグドラーンの御心により、戦場に遣わされた。お前達は運が良い。インフィドラグーンの力の片鱗をその目に焼き付けるがよい』

 

竜騎士達は歓喜した。竜騎士というのは、こちらで言う戦闘機のパイロット。エリート中のエリートであり、身体的精神的な適性が会って初めて候補生という舞台に上がることができ、そこから更に厳しい訓練を課せられ、それを突破していく必要がある。任官後も厳しい訓練を課せられるのは、言うまでもないだろう。

そんな竜騎士、及びその候補生の精神的支柱は空への憧れと竜騎士への憧れである。竜騎士を志した理由はあれど、総じて皆、多かれ少なかれ『青空を自由に飛びたい』という願望と『かっこいい竜騎士になり、英雄になる』という願望は持っているのだ。その為、竜に関する伝説や竜騎士の英雄譚なんかは大好きである。

世界各国には竜騎士の物語は数多く存在するが、その中でもインフィドラグーンとラヴァナール帝国の戦争を描いた龍魔大戦はファンが多い。インフィドラグーンが大量の極みの雷炎龍を使役し、魔帝と戦った。結果としてコア魔法によりインフィドラグーンの都市が消滅し、各地に散らばった竜人族が集まって出来たのがエモール王国なのは知っての通りだ。このエモールには極希に、古龍を操る超天才が生まれる。そのなかでも特に能力の特化した者が、亜神龍である『極みの雷炎龍』を操る事が出来る。現在エモールにはその超天才が3人おり、彼等は「三龍」と呼ばれ、その圧倒的なる力に本土防衛任務以外、国外で戦う事を禁止されている。それが今ここに現れたと言うのは、竜騎士からすれば神が舞い降りたも同義なのだ。

 

『…と、言いたい所であるが、今回その役目は我にあらず。皆の者、刮目して奇跡を見るが良い。

我らエモール三龍を含めた、全ての竜騎士が羨望し、いつの日か叶うのなら一目見たいと誰しもが思った、奇跡を見る栄誉を我らは賜ったのだ』

 

次の瞬間、一帯に耳をつんざく咆哮が鳴り響く。大地を割り、天を裂き、海原すらも切り拓く様な轟音に、ワイバーンも極みの雷炎龍も落ち着きを無くす。空をふと見上げれば、極みの雷炎竜すらも遥かに超える巨体が真上からこちらに向かって来ていた。

真っ赤な炎の様な鱗。琥珀色の目。雄々しくも美しい巨大な翼。凡ゆる物を切り裂くであろう爪と牙。その姿は見間違えようがない。

 

「そんな.......馬鹿な.......」

 

「神よ.......」

 

「あぁ.......。これが、これこそが.......奇跡.......というものか..............」

 

竜騎士達はその姿を仰ぐ。これこそが奇跡だと、そう思う。古来より常に自由を求めて戦い続けた最強の戦竜神。伝説よりもより美しく雄々しい、その姿がこの現世に降臨したのだ。

 

「我が名をその身に刻むが良い。我こそは、数多ある竜種の頂点。全ての竜の主、竜神皇帝『極帝』である。我が盟友、神谷浩三・修羅の願いにより馳せ参じた。我が僕、そしてその僕の相棒たる竜騎士諸君。我らに続くが良い」

 

「この魔信が聞こえる全ての戦士達に告げる。俺の名は神谷浩三・修羅。聞いての通りだ。俺はこの世界の住民じゃないから、極帝どうこうも神話も良くは知らない。よって神話に絡めた話だの、伝説を元にした鼓舞もできない。

だから俺はこう言おう。諸君らの真上には、世界最強の竜がいる。そして俺の祖国が有する、デタラメな強さを持つ軍隊がいる。それだけじゃない。世界各国の軍隊が、グラ・バルカス帝国を打ち倒すという目標を旗印に集った。こんな奇跡、早々ない事だ。お前達の将軍がどんな命令を下すかは知らないが、敢えて先に俺は諸君に頼もう。戦友を頼れ。味方を頼れ。俺達、戦人の兄弟達を大いに頼れ。さぁ諸君。戦争を始めよう!」

 

極帝の出現と神谷の鼓舞で、士気はかつてない程にまで跳ね上がる。天を貫き、宇宙にまで届きそうな程に。皇国、ムー、ミリシアルであれば帝国と勝負ができるが、それ以外の軍隊は正直な所、勝負にはならないだろう。だが士気だけでも勝っていれば、絶望に打ちひしがれようと希望を捨てずに戦える。それだけでも指揮官からすればプラスだ。

 

「我が力の一端を受け取るが良い」

 

極帝には極帝のみが使える魔法がある。本人やこの世界では魔法扱いだが、この手の話題に滅法強い日本人からすると魔法というよりは、スキルに近いだろう。そのスキルの1つが、自らが配下と認識した竜に対して能力を向上させるというもの。一見すれば、そんな強力な能力とは思えないどころか平凡だと思うだろう。能力自体は、そんなチートではない。だがその中身は、竜神皇帝の名前に恥じない能力だ。

例えばワイバーン。ワイバーンはこの世界に於けるポピュラーな航空戦力ではあるが、皇国のヘリコプターすら倒せない火力な上、機動性と速力はムーのマリンにすら劣る序盤は最強だが中盤以降で一気に陳腐化するという感じの兵器だ。だがかつてラヴァナール帝国がいた頃のワイバーン、仮称『オールドワイバーン』は極帝曰く「皇国の飛行機械には負けるであろうが、ムーやミリシアル程度であれば勝てる」と言わしめる能力を持つ。極帝のスキルはワイバーン種にはオールドワイバーンと同程度の能力を。風竜には極みの雷炎龍程度の能力を。そして亜神竜たる極みの雷炎龍には神竜と同程度の能力を与える。しかもこれは時間制限が無い為、極帝が解除するまで永続する。文字通りのチート能力だ。

 

「全騎、攻撃用意!!最大火力を当てろ!!!!!」

 

「行くぞ野郎共!極帝様と共に攻撃だ!!!!」

 

「我らペネッション軍団の栄光、見せてくれる!!!!」

 

パッと見の見た目では一切変わらない。だが導力火炎弾のチャージを行えば、すぐに分かる。明らかにチャージ速度、そして火球の大きさがいつもの比ではない。

 

「こ、これは!!」

 

「おい相棒!お前こんな凄かったっけ!?」

 

「いいぞ。よーし、いい子だ。このままやっつけてやろうぜ」

 

竜騎士達も最初は驚いたが、目の前に伝説の存在がいるのだ。今更驚くこともない。強くなったのなら、むしろ喜ばしい限りだ。隊列を整え、発射のタイミングを合わせるべく待機する。

 

「そういえば友よ。まだ我の真なる攻撃を見せた事はなかったな」

 

「そういえば、そうか。見たことないな。基本魔力ビームか、火炎放射かの二択だったし」

 

「いい機会だ。見せてやろう」

 

そう言うと極帝は自らの周囲の雰囲気を変える。何とも言い表せない雰囲気であるが、一目で「本気を出すな」というのがひしひしと感じられる。それだけは分かる。

極帝は翼を大きく広げ、口を大きく開けると、周辺の魔素を集め出す。口には炎。4本ある足にはそれぞれ土、水、雷、風。右の翼には光、左の翼には闇と、全身を使って最上位級の魔法と変わらぬであろう魔力を練っていく。

 

「こりゃすげぇ。なら俺もやりますか。三重最強化(トリプレットマキシマイズ)位階上昇範囲拡大魔法(ブーステッドワイデンマジック)火炎旋風の種子(シード・フレイムトルネード)!!!!!!」

 

「一斉発射!!!!撃て!!!!!!!!」

 

「掃滅せよ!オメガエレメンタルフューリー!!!!!!!」

 

口に集約された魔法が一気に放出され、ノーベース要塞目掛けて飛んでいく。着弾した瞬間、周囲に無数の巨大なプラズマが飛び散り、竜巻のような風が吹き荒れ、地面から巨大な岩が生え出てきて要塞を貫き、溶岩の様な炎の塊が暴れ出し、氷に当たると水蒸気爆発を起こしていく。上空にはブラックホールの様な真っ黒の雲が現れ兵器や兵士を吸い込んでいき、レーザーが光の雨となって要塞も兵器も兵士も貫いていく。

更に神谷の火炎旋風の種子《シード・フレイムトルネード》が作動し、導力火炎弾の炎なんかを取り込んで巨大な火災旋風を巻き起こす。だがその様は火災旋風なんて生優しい物ではなく、更にどす黒く当たれば全てを焼き尽くす様な超火炎旋風とでも言うべき魔法だった。

 

「こ、これが極帝様の力.......」

 

「まるで神話だぜ.......」

 

「かつて1つの国を破壊したという、伝説の竜の力の一端.......」

 

竜騎士達は誰かに命じられる訳でもなく、手を合わせ、極帝を拝んだ。一方、その極帝の背中に乗っていた神谷はと言うと…

 

「あっちゃー、これやりすぎた?」

 

「.......やっちゃったな」

 

「なんかもう要塞あった場所、もう文字通り消し炭じゃん。要塞消えてんじゃん。これどうしよ.......」

 

「ま、まあ、敵しかおらぬのだし!問題なかろう!!」

 

「.......そうだな。アレ敵の要塞だったしな!」

 

こんな具合に要塞の惨状から目を背け、やりすぎたことを認識しない様に自己暗示を掛けていた。ちなみに要塞がどんな惨状かと言うと、文字通りの消し炭となり要塞の周囲半径1kmは、漏れなく木どころか草すら生えていない真っ黒焦げな大地となっている。というか何なら、未だに地面がところどころ赤い。

尚当然のことではあるが、このノーベース要塞に配備された者で生存者は2人だけである。とは言えこの2人は偶々、別の基地に連絡に行っていて要塞を空けていただけであり、実質1人残らず死体すら残らない死に方で二階級特進を決めた。こんな惨状ではあるが、反撃の狼煙は文字通りレイフォルの地に上がった。

 

 

 

*1
旅客機ゲルニカを爆撃機に改造したモデル

*2
P51H型に酷似

*3
Il-2M3に酷似

*4
デ・ハビランド DH.98 モスキートFB Mk. VIに酷似

*5
B17Gに酷似

*6
第二次改装型金剛型戦艦に酷似

*7
1943年型エンタープライズに酷似

*8
イラストリアス級に酷似

*9
ボルチモア級に酷似

*10
1959年型ベルファストに酷似

*11
ギアリング級に酷似

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