最強国家 大日本皇国召喚   作:鬼武者

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第一章ロデニウス大陸動乱篇
第三話異世界での戦争


国交樹立から早三ヶ月。両国の定期船により、三ヶ国の文化交流も盛んに行われ、発展の一途を辿っている。大陸組は政治面だと国会や憲法等を参考に、新たな国家体制を作ろうという動きがあり、軍事面では取り敢えず小銃等の小火器を中心に、退役した中古品を実験的に配備している。一方日本では他の国々の情報収集を始めており、国土防衛省(防衛省とか国防省と言われている)管轄の諜報組織、公安警察の零のメンバーを派遣している。そんな中、川山と神谷はヤゴウに呼ばれクワ・トイネ公国の首都の王城に来ていた。

 

「ヤゴウさん。遅くなって申し訳ありません」

 

「こちらも突然お呼びたてして、申し訳ありません」

 

「私が呼ばれたという事は、隣国の件についてですか?」

 

「⁉︎お見通しでしたか」

 

「浩三、どういう事だ?」

 

「まだ公表されてない機密扱いなんだが、隣国のロウリア王国が軍勢を組織しているんだ。まだ攻撃される確証は得られてなかったんだが、ヤゴウさんが俺を呼んだって事は」

 

「えぇ、この動きは確実に戦争になると思われます。ロウリア軍は我が国では太刀打ちできない程、とても強大で強力な軍隊です。実験配備の貴国の装備はありますが、数は心もとありません。戦争となれば、我が国のいくつかの都市は放棄する事になります。これが穀倉地帯を押さえられれば、貴国への輸出も困難となります。それだけではありません。貴国が敷設した鉄道を使い、首都を攻撃してくる事も十分にあり得ます」

 

「なんて事だ‼︎」

 

川山が机を叩く。

 

「川山さん、神谷さん。どうか、どうか援軍をお願いできませんか‼︎」

 

「ヤゴウさん。流石にこの規模となると、私の一存で決めるのは不可能です。まずは閣議や国会での承認を得ない事には、どうにもできないのです。総理に掛け合ってみましょう」

 

「どうかお願いします」

 

「わかりました。慎太郎、後は任せた」

 

「任された」

 

神山は部屋を出たと同時に、健太郎に秘匿回線で電話を掛ける。

 

「もしもし、健太郎か?」

 

『浩三がコレで掛けてきたって事は、何かあったんだな?』

 

「あぁ、クワ・トイネが隣国のロウリアに侵攻されるらしい」

 

『なんだって⁉︎例の報告が現実になったか』

 

「ヤゴウさんの話では、開戦すれば穀倉地帯を失い、都市も放棄する事になるらしい」

 

『穀倉地帯を押さえられたら、ウチは兵糧攻め状態だぞ⁉︎』

 

「おまけに隣のクイラ王国も押さえられたら、本気で何も出来なくなる」

 

『勝算は無いよな。どのくらいな事になりそうだ?』

 

「最悪、首都陥落もあり得るらしい。陸海空、全てにおいて万全の状態らしいからな」

 

『ここに電話したって事は、つまりそういう事か?』

 

「あぁ。俺の私的な意見だが、殺らなければ殺られるぞ」

 

『売国奴のスパイ二世、三世が反対してくるぞ』

 

「そればっかりは仕方がない。兎に角、今は戦争の用意はしておく事だ。幹部連中にはレベル3を発令しておく」

 

『わかった。こっちはやれるだけやろう』

 

そこから一色は大忙しであった。内閣の定例会が有ったので、直ぐに関係閣僚の意思統一を図り、自民党と公明党幹部にも事情説明を開始。それが終わり次第、各大臣や与党議員の仲の良い野党議員への根回しを同時に行なった。その結果、日本維新の会と希望の党の引き込みに成功する。今回ばかりは「国家存亡」に関わる為、殆ど二つ返事で納得してくれた。コレに二週間を要し、引き込み成功の確認と同時に臨時国会を開催。皇国軍の出動に関する承認の議決が行われた。案の定、共産党と社民党を筆頭とした左翼組は「軍国主義の再来」とかなんとか言って反対してきたが、引き込みに成功した議員の賛成もあり、賛成多数で承認された。

しかし、一足遅かったのである。丁度、採決された一時間前にロウリアが侵攻を開始しており、採決された二十分後にギムへの攻撃が開始されていたのである。二時間後にはロウリア軍が占拠し、強姦と略奪が始まっていた。一部始終は偵察の為に潜伏していた諜報員が撮影しており、統合参謀本部にも送られていた。

 

 

「閣下」

 

「向上か。どうした?」

 

「偵察に向かわせた諜報員から、偵察時の映像が届いています」

 

「わかった。見せてくれ」

 

当然だが、それは虐殺と強姦の映像である。泣き叫ぶ少女、殺された母親の亡骸にすがる少年、押さえつけられ無理矢理犯されるエルフの女性、串刺しや手足を切り落とされ腹も開かれた騎士。そして騎士団長と思われる猫みたいな見た目の人間と、その妻と子を目の前で痛ぶられて弄ばれて絶望する様子。その他、様々な凄惨な映像が続いていた。

 

「向上。全軍に命令だ。「ギム大虐殺に加担した兵は、顔バレしている限り降伏しても、必ず全員地獄にキッチリ送れ」以上だ」

 

「わかりました」

 

この命令が伝達された頃、VC4隼に乗った川山はクワ・トイネ公国の政治部会に参戦の国書を届けた。皇国軍は正式に、戦争への道へ足を踏み入れたのである。因みに諜報により発覚した、ロウリア王国艦隊との海戦にクワ・トイネ公国は観戦武官を送り込む事になった。

 

 

マイハーク海軍基地

「本当に行くのだな?」

 

「はい」

 

第二艦隊の参謀長を務める男性が、部下の観戦武官として乗り込むブルーアイに話す。

 

「ロウリアの艦隊は4400隻、かたや日本は237隻しか派遣しないそうだ。死地に部下は送り込みたくはない」

 

「あの鉄竜を飛ばす国です。何か勝算があるのでしょう」

 

読者諸氏はお気づきだろうか?「日本国の艦隊は237隻」である。確かに237隻ではあるが、この艦隊の正式名は「大日本皇国海軍第二主力艦隊」つまりは、設定集で出てきた赤城型とか熱田型とか大和型が居る艦隊である。もう、何も言わなくてもわかるだろう。ロウリアに勝ち目無し‼︎

 

「来たようじゃな」

 

「えぇ。では、行って参ります‼︎」

 

二人の目の前に、SH13海鳥が舞い降りる。

 

「こんにちは‼︎大日本皇国海軍の者です‼︎観戦武官殿ですね⁉︎お迎えに上がりました‼︎」

 

ローターの爆音の中、迎えの兵士が大声で話す。

 

「よ、よろしくお願いします。この暴風は止まぬのですか?」

 

「中に入ってしまえば大丈夫です‼︎ご辛抱ください‼︎」

 

ブルーアイを乗せ、海鳥は離陸する。三十分程で、第四艦隊の本部艦隊と合流する。

 

「デカイ、まるで砦じゃないか.......。しかし明らかに艦数が少ない。別働隊として動いているのか?」

 

 

第四艦隊旗艦「吉備津彦」艦内

「吉備津彦へようこそ」

 

艦隊司令とブルーアイが互いに敬礼する。

 

「此度の援軍に感謝します」

 

「ギムで亡くなられた方々に哀悼の意を捧げます」

 

艦橋にいた操舵手以外の全員が、1分間の黙祷を捧げる。

 

「では改めまして、本作戦の概要を説明します。貴国は現在、海と陸からの二方面からの攻撃に遭っていますが、先ずは侵攻速度の速い海上目標から殲滅いたします」

 

「すみません、二つほど質問させてください」

 

「どうぞ」

 

「一つ目なのですが、ロウリア海軍の規模はご存知ですか?」

 

「はい。既に我が軍が発見、追尾しておりますので、位置と数共に把握しております。貴殿の安全は保証いたしますので、ご安心ください」

 

この時点で驚きである。圧倒的物量差であるのに、まるで「絶対に勝つ」と言い切ったようなものだからである。

 

「では二つ目の質問なのですが、237隻と聞いていたのですが、どう見ても50隻程度しかいませんよね?他の艦はどこにいるのでしょうか?」

 

「では本艦隊の陣容をご説明しましょう。本艦隊は合計で、五つの艦隊からなる大規模艦隊です。前衛に潜水艦、まあ、自分で浮き沈みができる艦ですね。第一部隊に潜水艦のみの艦隊が居ます。しかし今は、ロウリア軍の追尾で留守にしております。第二部隊に突撃戦隊を中核とした前衛機動艦隊、第三部隊に戦艦部隊を集中配備した後衛機動遊撃艦隊、第四部隊に要塞超空母を中核とした航空打撃艦隊、そして我が艦を主軸とした本部艦隊がおり、これら五つ合計237隻で第四艦隊なのです」

 

最早、圧倒的戦力に愕然としている。これより三日後、海将シャークン率いる大艦隊が艦載機の作戦領域に入り、遂に作戦開始となった。これに合わせ陣形を、密集体形に変更し第四艦隊の水上艦艇が一か所に固まる。

 

 

「司令、第一艦隊からの報告です。「敵艦隊、我ガ軍ノ艦載機作戦圏内ニ突入ス」以上です」

 

「全艦、合戦準備‼︎海鳥による警告を無視した場合は、これを全力で叩く。それまでの攻撃を禁ずる旨を全艦に伝達せよ‼︎」

 

「了解‼︎」

 

二時間後、ロウリア艦隊上空に海鳥と一隻の浦風型が姿を現し警告を行う。しかし予想通り無視して、攻撃してくるため、一度離脱し艦隊と合流する。

 

「司令、やはり攻撃してきました」

 

「よし。ならば一気に攻め立てよ‼︎」

 

「了解‼︎」

 

この時、シャークンは「図体の割に腰抜け」と撤退した艦を思っていた。ところが巨大な艦艇群が押し寄せてきたのである。直ちに火矢を装填したバリスタを撃ち込むが、鉄製の船体には刺さる事もダメージを与える事もなかった。

 

「刺さらぬ。燃えぬ。あの艦は鉄で出来ているのか⁉︎」

 

 

「敵さんは撃ってきたぞ。全艦、主砲撃ちー方ー始め‼︎」

 

戦艦の一斉砲撃により、水柱があちこちで上がる。砲弾が一発当たると十隻近くが残骸となり、空高く打ち上げられる。駆逐艦や巡洋艦は連射力に物を言わせて、二、三隻ずつ残骸にしていった。ロウリア軍も果敢に反撃してくるが、火矢とか文字通りの鉄球を飛ばす大砲程度では精々凹みを与える程度である。シャークンが呼び寄せたワイバーンの援軍250騎も来るが、全て対空ミサイル信長で迎撃される。竜騎士らは自分が何に攻撃され、どうなったのかを知る事も、後の歴史において「ロデニウス沖大海戦」とされる一大海戦を見る間も無く、全員が亡くなった。

 

 

ダメだ。勝てる相手ではない。国に帰れば敗戦の責任を負わされ、一族もろとも処刑。歴史書にも「無能な指揮官」として記録されるだろう。だが、これ以上兵をいたずらに死なせるべきではないな。

 

「船長、全船撤退だ‼︎」

 

「ハッ‼︎」

 

海将シャークンの英断により、ロウリア海軍は撤退を開始する。4,400隻を誇った大船団は、その殆どが破壊され生き残ったのは僅か138隻であった。この被害には海将シャークン座乗の戦列艦「シャーカーズ」も含まれていた。

 

 

「司令‼︎敵軍が撤退していきます‼︎」

 

「全艦撃ちやめー‼︎深追い無用‼︎救助活動を開始せよ‼︎」

 

「了解‼︎」

 

「あ、あの、司令官殿?」

 

「何でしょうか?」

 

「海戦は終了ですか?」

 

「えぇ。我が軍の圧倒的勝利です」

 

「救助活動との事ですが、海軍の損害は?」

 

「ありません。塗装が剥げたり、船体が凹んだ程度です」

 

「では一体誰の救助ですか?」

 

「ロウリア兵ですよ。我々皇国軍人は武士道を重んじており、これは伝統でもあります」

 

「武士道ですか?」

 

「えぇ。武人としての心構えですよ。我々はたとえ敵であっても、その敵が正々堂々戦った戦士であれば救助の手を差し伸べる事が慣例となっています」

 

「そうですか.......」

 

これより数日後、クワ・トイネ皇国の政治部会に出席したブルーアイは海戦の報告を行なった。この圧倒的というか、最早下手な冗談みたいな戦果に政治部会は大騒ぎとなった。この時、ブルーアイは「うちの国はトンデモない国と同盟を結んじゃったみたい」と思っていたのは別の話。日本軍は次なる戦いとして、城塞都市エジェイを戦場と定めた。付近のダイタル平野に陣地を構築しており、敵の迎撃拠点と参謀本部で計画中である「あ号作戦」の補給基地としても機能する予定である。そして陣地が完成し、本土からの部隊が平野に向かっていた頃、エルフの疎開民団もエジェイに向けて歩いていた。

 

 

「お兄ちゃん、疲れたよ〜」

 

「後もうちょっとだよ。ガンバレ!エジェイに入るまでは歩き続けないと」

 

「ええー!やだよー。つーかーれーたー‼︎」

 

「ほら、あそこのお城に行くんだ。もしかしたら美味しいものが食べられるかもよ〜?」

 

「ホント⁉︎私、頑張る‼︎」

 

エルフ兄妹の微笑ましい会話。普段なら草原という平和なロケーションも相まって、日常系映画のワンシーンみたいである。後は二人が冒険して宝(と書いて思い出の品、もしくは将来のガラクタと読む)でもゲットする事だろう。だが今は戦時下であり、疎開と言えば聞こえはいいが実質は逃避行な訳である。そんな中、背後からロウリアの騎馬隊が現れる。

 

「おい見ろ。エルフの集団だぜ?」

 

「偵察だの地形調査だのパトロールだのと退屈な任務続きだったが、こりゃ最高の役得だぜ」

 

と言いつつ騎馬兵達は、エルフ女性を下品な目で見る。

 

「ギムは最高の憂さ晴らしだったぜ、隊長?」

 

「仕方ねぇ奴らだなぁ。なら、ヤるか‼︎」

 

騎馬隊が突撃を開始する。馬の走る音にエルフ達が気付いて

 

「ロウリアの騎馬隊だー‼︎走れーーーー‼︎逃げろーーーーーー‼︎」

 

後衛の男達が叫ぶ。因みにこの騎馬隊、所謂ロウリアの鼻つまみ共であり、ロウリア軍の中でも特に素行不良な奴らが集められた集団なのである。まあ、そんな荒くれ集団が疎開民を襲った後どうするかは見え見えなのだが、エルフ達にそれを考える暇はない。

 

「お兄ちゃん、怖い.......」

 

「殺せ殺せ‼︎皆殺しだー‼︎」

 

大人達ですら恐怖する集団に、幼い兄は木の棒で立ち向かおうとする。

 

「アーシャ、お兄ちゃんが守るから大丈夫だよ」

 

兄の背中を見て、妹は神様にお祈りする。この時、妹アーシャの脳裏にはある日の母との思い出が蘇った。それはエルフに伝わる伝説であり、「太陽神の伝説」や「魔王のお話」として子供にも伝えられる昔話である。

かつて北の大陸に存在した魔王が、海を渡ってロデニウス大陸にやってきた。魔王軍との戦いは苛烈さを極め、緑の神の住う土地まで追い詰められてしまう。しかし緑の神が太陽神に相談すると、太陽神が使いを出してエルフ達の前に舞い降りて戦った。

という伝説である。アーシャが祈ったのと同時に、二人の前に何かが降ってきた。

 

ブモォォォォォ‼︎

 

「な、何?」

 

そこに現れたのは、牛のような鳴き声を発する鋼鉄の二足歩行生物である。そう、皇国陸軍の保有する無人兵器WA2月光である。イ型とハ型が攻撃を開始する。これに合わせて、攻撃ヘリの薩摩もロケット掃射を開始。一気に殲滅を開始する。更には20台の44式装甲車イ型と10両のロ型が旭日旗を掲げながら突撃し、騎馬隊に体当たり&弾幕射撃を開始する。

 

「何なんだ、一体何が」

 

言葉を言い終わる前に、ロケット弾で吹っ飛ぶ騎馬隊の隊長。二分程で全て殲滅し、VC4隼やCH63大鳥が難民達を分乗させるために降下する。しかし太陽の軍と勘違いされ、「お乗りください」「恐れ多い」「お乗りください」「恐れ多い」の押し問答で中々乗ってもらえず、手を合わせられたり供物を貰う兵士も居た。最早、日本軍の方がタジタジである。例えば

 

「先輩、なんか俺仏様になっちゃったんですけど」

 

「大丈夫だ。俺もなってる」

 

「これ、どうしましょう?」

 

「どうしよう」

 

「「ハァー」」

 

こんな感じである。一時間くらいの押し問答の甲斐もあり、どうにかこうにかヘリに乗ってもらってエジェイにて下ろした。

 

 

 

 

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