最強国家 大日本皇国召喚   作:鬼武者

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はい、皆さん2週間ぶりです。先週、投稿しなかった理由はですね、インフルエンザに罹患しておりました。入院とか、そこまではなかったんですけど、熱で寝れないとかいう体験してみたり、最高40.9度をマークしたりしてまして、気付いたら世の中はクリスマスを終えて、年末に突入してましたよ……。割と真面目にメリークルシミマス(ガチ)を体験しておりましたw。
という訳で、遅刻しましたが第百七話です。また今回、設定集の特殊戦術打撃隊ページの方に新たな兵器を記載してあります。是非ご覧ください。


第百七話未来の軍隊

白昼堂々の悪夢。被害者は2万人越えか

東京都心で発生した複数地点での致死性毒ガス放出テロおよびロボット兵による襲撃事件は、日本史上最悪の大規模テロとして記録されることとなった。政府の発表によると、今回の事件による死者は21,560人、負傷者は67,400人に達し、東京都心部は事実上の壊滅状態にある。

国会では政府の危機管理体制の不備を追及する声が相次いでおり、専門家は「都市防衛とインフラの脆弱性を露呈した事件」と指摘。被災地の復旧には数年規模の時間と莫大な費用が必要とされる見通しだ。

 

——大日本皇国 常在新聞より——

 

 

東京壊滅で経済大打撃、復興費用30兆円規模

致死性毒ガスとロボット兵の襲撃による東京都心部壊滅が、国内外の経済に甚大な影響を与えている。事件発生以降、東京株式市場は取引停止状態が続き、円相場は急落。主要企業の本社が集中する霞が関・銀座エリアでの業務停止が経済活動に深刻な影響を及ぼしている。

復旧には30兆円以上の費用が必要と見られ、復興特別税の導入や国債発行が検討されている。一方で、海外投資家の不信感から、さらなる資本流出の懸念が高まっている

 

——大日本皇国 皇国経済新聞より——

 

 

失われた日常、被災者たちの声

事件発生から数日が経過したが、東京都心部は未だ混乱が続いている。豊洲市場近くに住む30代の男性は「黄色い煙が広がり、周りの人が次々と倒れていった」と恐怖を語る。避難所に収容された被災者の一部は「一瞬で家族を失った」と涙を流した。

現在、政府やボランティアによる救援活動が進んでいるが、被災地では依然として水や食料が不足している状況だ。

 

——大日本皇国 関東新聞より——

 

 

SNSで広がる祈りと怒り

事件発生直後からSNSでは被災地の映像や被害状況が拡散され、「#東京事件」「#祈りを東京へ」といったハッシュタグがトレンド入りした。SNS上では「これからの皇国をどう守るべきか」「これから皇国はどう対応するべきか」との議論も盛んに行われており、テロ後の社会を見据えた若者たちの動きが注目されている。

 

——大日本皇国 ジャパン・オンラインより——

 

 

皇国を揺るがすテロ、犯行背後にグラ・バルカス帝国の影

大日本皇国の首都・東京で発生した大規模テロ事件に関して、グラ・バルカス帝国の関与が判明したとムー政府関係者が発表した。致死性毒ガスや古のラヴァナール帝国由来と見られるロボット兵器「バンボラ」が用いられ、皇国中心部を襲撃。死者は25,000人以上、負傷者は80,000人に達し、皇国の中枢部に大きな被害をもたらした。

ムーの首脳は「皇国との同盟を改めて確認し、事態収拾に全面協力する」と表明。世界秩序を脅かすグラ・バルカス帝国に対し、全ての同盟国が立ち上がる必要性を強調した。

 

——ムー オタハイト・タイムズより——

 

 

皇国で大規模テロ発生――果たして無敵の国か?

大日本皇国で発生したグラ・バルカス帝国の毒ガス攻撃は、同国の無敵性に疑問を投げかけている。死者数は数万人規模に上り、毒ガスやロボット兵器による被害は甚大。グラ・バルカス帝国の犯行が疑われる中、皇国政府は厳戒態勢を敷いている。

専門家は「皇国が他国を圧倒する文明と軍事力を持ちながら、自国でこれほどの被害を出すのは指導層の油断の表れ」と指摘。帝国民の間では「皇国の傲慢が引き起こした事件」との声も上がっている。

 

—— 神聖ミリシアル帝国 世界のニュースより——

 

 

 

2週間後 グラ・バルカス帝国 帝都ラグナ

「何の御用でしょう、父上。いえ、今は皇帝陛下とお呼びしましょうか」

 

あの襲撃、東京事件から早2週間。少しずつ活気を取り戻しつつある東京であったが、それでも被害は大きかった。今も尚、ガスをばら撒かれた各地は封鎖されており、除染作業が続いている。どうやら魔法由来らしく、何がどう起こるか分かった物ではないらしい。

人的被害も直接的な死傷者は25,631名、負傷者は80,956名となっており、今も被害を訴え病院を訪れる者が後をたたず、このあたりの被害者までカウントするなら既に負傷者は10万人を突破している。経済的損失は短期的には15兆円、長期的には30兆円もの被害を齎している。事件の発生場所が首都のど真ん中なのが痛すぎた。

この惨劇は不名誉ながら即日世界中のトップニュースを飾り、連日世界各国の報道陣が詰めかける事態となった。親日国や皇国に大恩のある国家は追悼やお悔やみのメッセージ、逆にミリシアルの様な皇国を疎ましく思う国は追悼やお悔やみもそこそこに、批判的であったり文章の裏側から何やら臭う報道が行われていた。

 

「バイツよ。貴様、やりおったな………?」

 

「はて、何のことでしょうか皇 陛下。私は何をやりおった(・・・・・)のです?」

 

「とぼけるなぁ!!!!!」

 

ルークスは机を破壊せん勢いで拳を叩きつけ、その勢いのまま立ち上がる。皇太子時代に戦場で戦ってきた軍人でもある老人の台パンは、それはもう物凄い轟音なのだが、バイツはどこ吹く風といった様子で特に驚きもしていない。

 

「何だこれは!!!!こんな事をしろと言った覚えはないぞッ!!!!!!!!」

 

バイツの目の前に、大量の新聞や雑誌が投げ付けられる。そのどれもが、例の東京事件を報道する各国の記事であった。ご丁寧に翻訳文が添付されており、バイツは適当に拾い上げると冷めた目で記事を読む。

 

「このロボット兵とかいうのは、貴様の言っていた魔帝とやらの遺物でろう。何故こんなことをした!!何故こんな真似をしでかしたのだ!!!!!答えよッ!!!!!!」

 

「何故?何故と問いますか、陛下。答えは至極単純、我が祖国は戦争中だからですよ。聞けば皇国は今は亡きカバル兄を斬り殺したばかりか、海軍の悉くを殲滅し、第二文明圏も次々に解放。

今や我が帝国は転移直後の領土にまで大きく縮小し、戦力や経済規模ならあの頃を遥かに下回っております。その原因、諸悪の根源に報復するのは何も可笑しな話ではありますまい?」

 

「だからこそだッ!!あの国はこの世界の物差しでは測れない、言うなれば異端!!我が国と同じく転移してきた国家であり、この世界のそれを超えている!!!!しかも唾棄すべき事だが、帝国よりも強い!!だからこそ、彼らにはこのまま戦場から消えて貰わねばならなかったのだ!!!!!!」

 

実を言うとルークスは皇国との対話、願わくば皇国との講和を望んでいた。グラ・バルカス帝国という最強の座に自惚れてはいたが、ルークスは決して愚かな王ではない。名君でも無いかもしれないが、愛国者ではあるしリアリストでもある。

散々パーパルディア皇国と比べられているが、少なくとも王は此方の方が何千倍も有能である。尤も、根幹には「真の世界平和は、全世界、遍く国家を我が帝国が支配する事で成立する」とかいう、ヤッベェ思想があるのだが、まあ帝国臣民目線の話なら愛国者である。

 

「では、今回の一件を引き合いに出せば良いのでは?「我々が本気を出せば、そちらの首都を機能不全に陥れる事もできる」と言えば、五分といわずとも、多少は有利になるかと」

 

「…………もうよいッ!!!!バイツ!貴様に無期限の謹慎を言い渡す!!!!余の命があるまで、宮殿から出るでないぞッ!!!!!!!」

 

「………いいでしょう。承知しました、陛下」

 

バイツは不服そうな顔をするかと思いきや、意外にも表情を変えずに一礼して退室していった。しかし内心では納得していない様で、帰りの車の中では不機嫌そうにしていた。

 

「やはり、計画を早めなくては………」

 

「……何か仰いました?」

 

「いや、何でもない。運転に集中したまえ」

 

「は、はい!」

 

バイツを乗せた車列は、バイツの宮殿への家路を急ぐ。その頃、遠く離れた大日本皇国では、神室町の神谷邸に三英傑が揃っていた。

 

「やってくれやがったな、帝国のクソどもめ…………」

 

「是非とも外交官としては、総理大臣殿の見解が聞きたいね。何か考えは?」

 

「根絶やし」

 

「うん、知ってた」

 

皇国がこのグラ・バルカス帝国との戦争、もう降りる気だったのは知っての通りだ。これ以上暴れれば、皇国が第二のグラ・バルカス帝国になりかねない。得体の知れない軍事力の恐怖は、それだけで国同士を結束させてしまう。故に裏工作や裏方に徹し、表でドンパチをやるつもりは無かった。

そう思っていた矢先のこれである。こんな事をされては、流石に黙っていられない。大日本皇国という国としても、何より個人としても許せる事ではない。お陰でグラ・バルカス帝国は、パーパルディア皇国と同等かそれ以上の憎悪を三英傑及び皇国臣民より向けられている。あの温厚かつ平和主義の天皇陛下ですら、オフレコとはいえ「大規模報復もやむを得ない」と発言するほどだ。

例えこのタイミングでバイツが提案した様な、講和を前提とした対話の申し込みが来ても、受けるだけ受けてご破産に持ち込み、そのまま報復するだろう。というか「講和したいです」とかほざいた暁には、返事代わりの核ミサイルが降り注ぎかねない。

 

「とは言えだ、健太郎。根絶やしって、何か策は?核爆弾でも降らせるか?」

 

「そうしてやりたいよ。だがそれをしたら、絞れる物も絞れない」

 

「そこで、俺の策という訳だ」

 

神谷はニヤリと笑うと、いつもの立体映像を使って2人に作戦を説明し出す。映像には帝国の主要な都市、拠点の全てが記載されており、タイムスケジュールと共に作戦が横に記載されていた。

 

「………おいちょっと待て。この日程、おかしくないか?」

 

「どうした慎太郎?」

 

「よく見てみろ。ここからここまで、まあまあ大型の街や都市が全く同じ時間で攻め込む事になっている。皇国軍が強かろうが、これじゃあ最悪パンクするぞ」

 

川山の指摘に神谷は意地の悪い、暗い微笑みを浮かべる。このタイムスケジュールは、少しばかり無理がある。決してできなくはないが、何かしらの理由でもない限りイタズラに兵士の体力を損耗させかねない作戦だ。

 

「その秘密を見せてやる。付いてこい」

 

3人は神谷邸の屋上ヘリポートに上がる。ヘリポートにはヘリコプターの代わりに、流線型のまるで高級スポーツセダンを思わせる乗り物が鎮座していた。ただしタイヤの類はなく、四隅には円形の何かが搭載されている。

 

「なんだこれ……」

 

「神谷グループで開発中の空飛ぶ車ことエアリアルビークル。通称『AV』のVIPモデル。それのプロトタイプだ」

 

「あー……何度かテレビで見たぞ」

 

「でもあれ、まだプロトタイプは製作中なんじゃ?」

 

「つい2ヶ月前に出来上がって、先週各種テストが終わった。お披露目は今日の予定なんだが、流石に世間がな………」

 

神谷は遠い目をする。流石に今のお通夜ムードでは、発表を差し控えたいらしい。神谷グループとしてはマイナスかもしれないが、代わりに川山と一色は乗れるのだ。2人からすればラッキーである。

 

「でもこれ、ドアはどこにあるんだ?」

 

「ドアは……」

 

神谷が近付くと、側面のドアというか側面そのものが上下に開いた。どうやら側面がタラップになる様で、中は丸見えである。高そうな高級レザーのシートが対面で4席あり、お互いが足を伸ばそうとぶつかる心配はない位には広々としている。

 

「とまあ、こんな具合だ」

 

3人が乗り込むと、ドアが自動で閉まる。中は暖色系の暖かな照明で、内装のカラーリングは赤と黒を基調としたエレガントかつ落ち着いた雰囲気である。だが、窓がない。

 

「……窓は襲撃対策か?」

 

「まあな。流石、VIPの筆頭だ。コイツは窓はないが、窓はあるんだ」

 

「ん、何だって?」

「日本語大丈夫か?」

 

「まあ見てろって」

 

神谷がシートの肘置きに埋め込まれたタッチパネルをピンと弾くと、壁に外の風景が移し出された。さっきまで壁だった筈なのだが、まるでガラスに変わったかの様に風景が見える。

 

「なんだこれ!?」

 

「すげー!!!!!!」

 

「壁面ディスプレイってヤツだ。ほら、SFとかであるだろ。窓はないけど、代わりにコックピットには外のカメラ映像をリアルタイムで表示して、窓の代わりにってヤツ。それがこれだ。

シートにはマッサージ機能、リクライニング機能があるし、そっちの右側にはドリンクサーバーもある。機体自体には光学迷彩付いてるから、外からはAVの姿は視認できない様になってる」

 

因みにこのAV、まだ航空法とかその辺の法整備が追い付いてないので、場合によっては色々と面倒な事になる。スキャンダルどころの騒ぎではない。なのでこのバレる可能性が消えるシステムは、三英傑としては必須装備と言える。

AVC1はそのまま飛行を続け、神室町内にある神谷グループの軍事関連を担当している『神谷タクティクス』の本社ビルへと着陸した。一行はそのまま地下まで降り、今度は真空列車で極秘地下施設へと向かう。

 

「いやさ、うん。俺総理だから大体は知ってるけどさ、マジでお前の実家なんなの。もう宇宙戦艦ヤマトとかアンドロメダとかデス・スターが出てきても、俺は驚かないからな?」

 

「波動エンジンとか、カイバー・クリスタルがあれば作れるんだけどな」

 

「…………カイバー・クリスタルと波動エンジンさえあれば、逆に作れるのかよ」

 

神谷の実家、神谷グループが旧世界の基準に当て嵌めても最大規模の企業だったのは知っての通りなのだが、その規模、技術力も桁違いなのだ。例えば一色が総理になりたての頃は、まだアメリカの方が経済的には少し上だった。しかし神谷の仲介で、これまで政治には国難でもない限りは不干渉を貫いていた神谷グループが急接近し協力した結果、経済レベルがチートを使用したかの如く跳ね上がった。

普通、経済発展を示す物にしろ、そうじゃないにしろ、折れ線グラフというのは、「↗︎」な具合に右へ段々と上がっていく。それが普通だ。ところが今回の例だと、週間単位でほぼ直角、月単位なら直角でグラフが跳ね上がる訳の分からない事態が発生する程だった。これには皇国含めた世界各国の経済学者やアナリストが頭を抱え発狂し、何ならアメリカだかイギリスの著名な学者がショックで脳梗塞を引き起こし、そのままポックリ逝ってしまう程。

他にも現在の皇国軍で使用されている様々な超兵器、例えばストーンヘンジとか収束プラズマ粒子波動砲とか提灯といった、その手の兵器、或いは基幹技術は神谷グループ製である。勿論皇国軍が独自開発した物も多くあるが、かなりの頻度でグループの技術陣が参加しており、大体最後はロマン兵器が生まれる。

 

「それにしても、何でこんな厳重な施設を作ったんだ?」

 

「…………浩三」

 

「まあ平たく言えば、表沙汰にしたらヤベェ代物の為だわな。例のロボット兵器の研究とか」

 

「例のって………アレか!?」

 

「そう、アレ。確保した帝国兵がいう所の『バンボラ』とかいうロボット兵器。アレは今、ここで分解&解析中だ。上手くいけば、皇国の兵器に組み込めるしな」

 

こんな事がバレれば、確実に国内世論はまたも大変な事になる。国で保管するのが1番だと考えるかもしれないが、意外と民間企業の方が動きやすかったりもする。それが国といい関係を築いている大企業なら尚更だ。

 

「ついたぞ。こっちだ」

 

神谷を先頭に、いくつかのロックを解除して施設の中へと入っていく。最後の扉が開くと、その先には大量の人型兵器が並んでいた。少し高さのあるガラス張りの通路から見ているが、それでも巨大さがひしひしと伝わってくる。

 

「大日本皇国統合軍兵器開発計画第896号、通称『マルヨン計画』。そして神谷タクティクス特一級研究開発プラン『曙計画』。この2つの計画によって生み出された、全く新しい兵器。それがこの完全二足歩行型戦闘機、通称『戦術機』だ」

 

「えっと、つまりガンダム?」

 

「違う………いや、違わないのか?」

 

「じゃあガンサムか?」

 

「カツラ、逝きまーーーーす。じゃねーよ。あんなガンダムとスターウォーズに喧嘩売った伝説回と一緒にするんじゃねぇ」

 

安定の一色発言に冷静にツッコミながらも、川山の言葉を考える。一応戦術機もガンダムというか、モビルスーツと同じ人型機動兵器。ただガンダム程の性能はないし、かといってモビルアーマーみたいな亜種でもない。というか神谷自身、ガンダムは未履修。正直よくわからない。

 

「それで、どんな兵器なんだ?俺、こんなの作ってるって知らなかったんだが。俺総理よ?」

 

「いや、ほら、前に言ってたじゃん。「他国で使える強い武器ほしーわー」って」

 

「…………えっ、お前まさか」

 

「あれ、ばら撒く」

 

神谷の言葉に川山と一色はフリーズし、口をパクパクさせながら目の前のロボット兵器と神谷を交互に見る。その内神谷が、満面の笑みでサムズアップし出すのだから、これ本気だ。

次の瞬間、2人がかりで神谷の肩を引っ掴みグワングワン揺らす。なんか神谷から気持ち悪そうな声が聞こえるが、そんなのお構いなしに揺らす。

 

「アホかッ!!!!!あんなのバラ撒いたら軍事バランス崩壊するわッ!!!!!!!俺でもわかるぞ!!!!!!!!!」

 

「というかグレードアトラスターより高性能な兵器バラ撒くって、テメェふざけんなぁぁぁぁ!!!!!!!!俺が過労死するわッ!!!!!!!!!」

 

「落ち着けぇぇぃ!!!!!!」

 

どうにか2人を振り解き、取り敢えず壁に手を添えて気持ち悪さを和らげる。このまま揺らされていたら、本当にゲロゲロしかねない。

 

「わかってる、わかってるって!!あんなのバラ撒いたら、バランスが終わるって話は!!」

 

「なら何でバラ撒くんだよ!!」

 

「そう!そこだよ!!」

 

川山の発言に、神谷は指をズビッと突き刺す。強い、軍事バランスの崩壊こそが神谷の狙いなのだ。

 

「いいか?確かに技術的には、凄まじいこの戦術機だがな?単純な技術は皇国では、特に珍しい代物じゃない。でもって、他国では複製は不可能だ。リバースエンジニアリングしようが、組み立てられない。

そしてだ、コイツら見た目ほど強くない」

 

「「………はぁ?」」

 

「空を飛びはするが、音速は越えられない。装甲は装甲車並み。武装的にも手があるから汎用性鬼だが、武器自体の性能は近距離で戦う事を前提にしている。その結果、かなり中途半端な兵器に仕上がってるんだわ」

 

「つまり?」

 

「見た目はお前達の言う通りドチャクソに強いが、実際の所は皇国相手なら勝てない。戦闘機で倒せるし、歩兵でもエンジン狙えばロケランで1発。ついでに勝てる可能性のある戦術機は、皇国で独占して他の国には渡さない。それだけの話だ」

 

この戦術機、大きく第一世代、第二世代、第三世代、第四世代に別れるが、この内、他国が運用するのは第一世代。ムーの様な友好国でも第二世代が技術的にも限度である。その上の第三世代、第四世代は戦術機の中でも最強格が揃っており、言うなれば『戦術機を狩る戦術機』が位置している。第一世代、第二世代が束になろうが、勝てる存在ではないのだ。

 

「問題ない………のか?」

 

「加えて言えば、開発から製造まで安心安全の皇国、もっと正確には我が神谷タクティクス製だ。システムにバックドア位仕込める」

 

「いざとなれば、映画みたいに機能停止させる訳か………」

 

「イグザクトリー!珍しく健太郎が当てたな」

 

ついでに言えば、まだ切り札はある。戦術機の遥かその先、戦術機どころか、その他のどんな地上兵器を持ってしても勝てない、そんな完成系の二足歩行兵器が開発されている。これを持ってすれば、第四世代戦術機だろうと敵にすらならない。

 

「しかし皇国もここまで来たんだなぁ…………」

 

「ここまで来たぜ?ここまで来たついでに、お前達にもプレゼントを渡さないとな」

 

「プレゼント?」

 

「まあ着いてこいって」

 

またもや神谷に言われるがまま、あれよあれよ何処かに連れて行かれる。しかも神谷タクティクスの施設内どころか、そのまま屋外に出て神室町の外にまで連れて来られてしまった。

暫くして到着したのは、千葉県沖にある千葉特別演習場だった。てっきり戦術機のお披露目でもするのかと思っていたが、どうやら違う様で、代わりにエルフ五等分の花嫁の姿があった。

 

「なぁ、浩三?お前、何するつもりだ?」

 

「なんでお前の嫁もいるんだよ」

 

「はいはい、皆さんご注目」

 

「いや無視かよ」

 

2人の事をスルーして、神谷は手をパンパンと叩く。エルフ五等分の花嫁の方も、何でここに呼び出されたのか分かってないので結構困惑気味だ。

 

「今回皆さんに集まって貰ったのは他でもない。お前達にはこれから、属性神王竜と契約してもらいまーす!!!!」

 

「「「「「………はあぁぁぁ!?!?!?」」」」」

 

「属性神王竜?」

 

「聞いた事ないんですけど………」

 

エルフ五等分の花嫁が絶叫している辺り、なんかヤバそうなのは一色と川山も分かる。だが生憎と、属性神王竜なんて聞いたことが無い。

 

「まあ我が愛しき嫁達は知っての通りだが、そこの三英傑2人は知らねーからねぇ。極帝さん、よろ」

 

「うむ!属性神王竜とは、簡単に言えば我が配下にして、我と同じく伝説の竜である。火、土、水、風、雷、光、闇の7属性を司り、それぞれ1体ずつしか存在せぬ、言うなれば神である。

今回は我が友の召喚魔法に我の魔力を流し込み、属性神王竜を呼び出し、我が友の嫁御と貴様ら友柄とで友誼の契りを結ばせる」

 

「おいちょっと待て!」

 

「神様ってそんな簡単に友誼の契りを結べ……」

 

2人のツッコミを他所に、極帝は巨大化し神谷も何やら魔法陣を作り出している。7人が止めようとしたが、一歩間に合わず召喚魔法を発動させてしまった。

 

「我が魔力も共に流れておる。来るぞ、友よ」

 

「おっ?成功した感じか。いいねぇ」

 

「アホ!!このアホ!!」

「皇国滅ぼす気かぁぁ!!!!」

「浩三の馬鹿者がぁぁ!!!!」

「こーきゅんのバカァ!!!!」

「浩三さんやっちゃいましたよ……」

「浩三くん、後でお仕置きね」

「こーくん!ミーナ姉さん怖い!怖いから止めてぇ!!」

 

「もう遅い!!ほら、なんか出てきた!」

 

魔法陣の奥から7体の巨大な竜のシルエットが現れ、一気にその場の空気が重くなる。武に明るい訳ではない一色と川山も、身体中を槍が貫く様な重く鋭い圧が感じられる程だ。

 

「王の御前である、控えよ!我が同胞達よ!!」

 

魔法陣から現れた竜達は、極帝の前に跪く。極帝よりは小さいとはいえ、かなり巨大な竜達が跪くのは凄まじい光景だ。

 

「我が王、極帝よ。此度の召喚は、一体どの様な御用向きでしょうや」

 

「イグニス・ソルよ、久しいな。此度、お主らを呼び出したのは、この場にいる7人と友誼の契りを結ばせる為だ」

 

「(極帝さーん!?考えてみたら、健太郎と慎太郎魔法使えない!魔力ないんだけど!?)」

 

神谷が極帝と友誼の契りを結んだ時の流れは、召喚して、極帝に魔力を流し込んで、認められてというステップを踏んだ。所がエルフ五等分の花嫁はともかく、一色と川山には魔力が存在しない。このステップが踏めないのだ。

 

「(案ずるでない。分かっておる)」

 

極帝はこう言っているが、正直気が気ではない。ここには今、三英傑とエルフ五等分の花嫁しかいない。戦闘となれば一色と川山は勿論、エルフ五等分の花嫁すらも戦力外になりかねない。

 

「何故、友誼の契りを?それも見た所、そこの男3人は人族の人間。否、そこの刀持ちは魔王以上の魔力?……まあ良い。そしてそっちのエルフの娘っ子は、ハイエルフ。だが所詮、ハイエルフはハイエルフ。見えませぬな」

 

「ルクス・セラフィム。そう急くでない。ここにいる者達は、我が唯一、彼の魔帝に一矢報い得ると認めた者達よ。だが我が盟友、神谷浩三・修羅を除けば、所詮は人とハイエルフ。余りに弱い。そこで、お主らである。守るのだ、この世の希望を」

 

宇宙猫の様になってるエルフ五等分の花嫁と、口をあんぐり開けてポカーンとしてる三英傑。なんか勝手に古の傍迷惑国家こと、ラヴァナール帝国と戦う事になっているが、神谷はそんな事を言った記憶はない。食い違いまくった上で突き進んでいく話に、神谷は止めるタイミングを見失っていた。

 

「「「「「「「我らが誇りと力を、今一度、我が王の下に」」」」」」」

 

「うむ。苦しゅうない」

 

「…………え、終わった?」

 

「終わったぞ。後は奴らが話し合って、勝手に寄ってくるわ」

 

「勝手に寄ってくるって………」

 

暫くすると、竜達が極帝と同じ様に肩に乗るくらいの大きさとなり、それぞれのパートナーの元へと向かっていった。

 

「この度、貴方のパートナーとなりました。光の属性神王竜、ルクス・セラフィムと申します。私めの能力、必ずや貴方の力となるでしょう」

 

「あっ、えっと、一色健太郎、です?」

 

「知っておりますよ、健太郎くん。貴方のリーダーとしての才覚、見えております。我が光の能力は、文字通り未来を照らす光となりましょう」

 

真っ白で高貴さと神聖さを感じさせる竜は、一色のパートナーとなったらしい。その隣、川山の元には逆に禍々しさを感じる漆黒の竜がやって来た。

 

「貴公が川山慎太郎、だな?我が名は闇の属性神王竜ノクス・アビスである。我との邂逅、それを生かすも殺すも我ら次第。共に戦おうぞ、我が盟友よ!」

 

「え、あっはい」

 

なんか厨二病感が凄いのだが、多分気にしてはいけない。妙に長い横文字だらけの名前とかじゃなくて良かったが、にしても外交官という言うなれば営業職が闇の竜の盟友ってどうなのだろうか。

 

「……ふむ、どうやら娘。ワシがお主のパートナーらしい。ワシは土の属性神王竜、テラ・ギガントである」

 

「ヘルミーナ・ナゴ・神谷です。よろしくお願いします、テラ・ギガント様」

 

「ギガントで良い。様も付けんで良い。ワシの土の力、お主の戦い方と合っておるだろうて」

 

黄土色の老兵の様な竜はヘルミーナについた。土属性というと防御キャラが多いイメージであるし、ヘルミーナは盾役として立ち回る事も多い。中々に強そうだ。

 

「初めまして。私はアクア・ルーナ。水の属性神王竜よ」

 

「私はアナスタシア・ナゴ・神谷と申す者。よろしくお願いする」

 

「固いわね。もっと柔らかく行きましょう?アナスタシアの戦い方、記憶を見させて貰ったわ。流れる様な剣技と、私の水の力。きっと強くなれるわよ」

 

唯一、手足に水掻きがついた青色の竜はアナスタシア付きだ。その隣にいるアーシャには、真っ黄色の竜が付く。

 

「貴様が我が盟友となるのか。雷の属性神王竜、ヴォルティス・ゼオンだ。ミーシャ・ナゴ・神谷。貴様に私と対等な関係が築け…………」

 

「…………あの、どうされました?」

 

ヴォルティスの動きが止まり、フリーズした。目の前で手を翳そうが、つついてみようが、全く反応がない。

 

「極帝さーん?」

 

「ヴォルティスよ。その娘は、そこの男の嫁であるぞ?」

 

「なぁっ!?!?」

 

「…………もしかして、可愛くて固まって、一目惚れして、からのNTR脳破壊の3コンボ?」

 

「うむ………。忘れておったが、ヴォルティスはミーシャ嬢の様なタイプがドストライクだった」

 

一応、属性神王竜とかいうありがたい神様的な竜の筈なのだが、なんかいじけて地面でへなへなしてる。正直、ちょっと申し訳ないが、例え神様でも可愛い嫁を引き渡すつもりはない。

 

「……こんな空気で挨拶するのもアレなんだが、俺様はアエリス・テンペスト!風の属性神王竜だ!!」

 

「私は……って、自己紹介の必要あるのかな?」

 

「正直いらないな!何せ選ぶ時に、軽く記憶を見させて貰ってる!名前も、どんな性格かも、大体は分かってる!弓使いのレイチェルだろ?」

 

「うん!よろしくね、アエリス!!」

 

「おう!こちらこそだ、レイチェル!」

 

どうやらレイチェルの方は平和的に終わったらしい。残るエリスは、赤い王道の様な竜がついた。

 

「我こそは炎の属性神王竜、イグニス・ソル!!娘!貴様の友となる者だ!!貴様の剣技に、我が炎が合わされば世界すら取れる!!!!」

 

「気に入ったわ!!よろしく、イグニス!!!!」

 

「我の方も気に入ったぞエリス!!フッハッハッハッ!!!!!」

 

元々、猪突猛進のイノシシ娘みたいな奴だったエリスに、熱血の脳筋タイプみたいな竜が付いている辺り、絶対戦場で大暴れするだろう。今から楽しみで仕方がない。

約1匹ばかり、精神的ショックでやられているが、何はともあれ無事に強化できた。これで来る報復作戦も、もしかしたら今後あるかもしれない、ラヴァナール帝国との戦争でも戦える筈だ。

 

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