最強国家 大日本皇国召喚   作:鬼武者

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はい、という訳で新年あけましておめでとうございます!年末にインフルエンザ罹患しましたが、その中で殆ど向こう様に書いてもらった正月スペシャルです!お相手は2回目となるRed October様です!はどうぞ、ご覧ください!!


2025お正月コラボスペシャル

イルネティア島付近の上空 プライベートジェット機 機内

「はい今年の仕事終了ー!!」

 

12月31日、大晦日。一年締め括りの日であり、世の中は大体どこもかしこも休みという日ではあるが、大日本皇国統合軍の指揮官たる神谷はその限りではなかった。東京事件があった直後ではあるが、イルネティア島への視察に赴いていたのである。

とはいえそれも今や終わり、後は帰国して神谷邸で年始はゆったりまったりする予定だ。寝正月で何が悪い。

 

「んで、勢いで買っちまったけど、これどーしよ」

 

目の前の収納机には、イルネティア島で半ば押し売りの形で購入してしまった木の実が入った小瓶があった。よく分からないが、簡単にいえば良い夢が見れる木の実らしい。空港近くで謎の少年に買わされた訳だが、今になって何で買ってしまったのかと軽く後悔していた。別にぼったくられた訳でもないが、何というか言い表せないモヤモヤがある。

 

「まあ、食ってみるか。死ぬ事は無いだろ、多分」

 

ヒョイっと口に入れ、食べてみる。味は特になく、なんというかレッドペッパーみたいな食感である。木の実だから当然ではあるが、何とも反応に困る。暫くすると眠気が襲って来て、そのまま椅子を倒して眠りについた。

 

 

「…………ッスー何処だここ?」

 

気が付くと神谷は、なんか謎に白い空間にいた。しかも格好がさっきまでの軍服ではなく、戦場で身に纏う機動甲冑に皇国剣聖の至極色の羽織りだった。ご丁寧に愛刀の天夜叉神断丸と獄炎鬼皇、ついでに26式拳銃50口径マシンピストル仕様ドラムマガジン付きのがホルスターに入ってるし、態々ヘルメットまである。どちらかというと、ヘルメット付けずにARコンタクトレンズ装備する事の方が多いのだが、こういう空間ならヘルメットの方がありがたい。

 

「白い空間に………なんだこの、如何にも「お入りください」とでも言ってるかの様な扉」

 

目の前には木製の扉があるのだが、こんな真っ白な空間に扉一枚だけとは中々に怪しい。かといって周囲には、真っ白なだだっ広い空間で何も無し。扉に入るしかない。

 

「入りますか……入りたくねーけど」

 

取り敢えず26式を引き抜き、扉の前で構える。ドアノブを触った感じ、ブービートラップの類は無い。なので、取り敢えず光学迷彩を起動して中に入る。

 

(なんだこりゃ。バー?)

 

中はバーの空間であり、ワイングラスが天井に吊り下がり、カウンターの奥には色々な洋酒が所狭しと並んでいる。物音が聞こえる辺り、多分誰かいる。

 

「動くな!」

 

迷彩を解除して銃を向ける。バーにはあまりに不釣り合いな、白の軍服を着た男だ。向こうはまさか銃を向けられるとは思っていなかった様で、顔が恐怖に歪んでいた。

 

「ん?」

 

なのだが、この男、見たことがある。なんか何処かで見た事があるのだ。記憶を辿り遡っていくと、ある男が思い浮かんだ。

 

「え…ちょっと待って、まさか堺司令?」

 

「!!?」

 

両手を挙げたまま堺もぎょっとした。多分当たりだ。堺修一。並行世界というか何というか、別世界の異世界で艦娘率いて戦ってる提督。次元とかを超えた、神谷の友人である。

 

「え、なんで私の名前を…?」

 

「あー、こんなメット被ってたら分かる訳ないな。失礼」

 

「え、待って嘘でしょ!? まさか神谷さん!?」

 

ヘルメットを外すと、どうやら向こうも覚えてくれていたらしい。まあどんなに仲が良い友人だろうと、白塗り機動甲冑、言うなれば何処ぞのストームトルーパーみたいな格好の奴に、銃突きつけられながら話されては、まさか中身が知り合いとは思わないだろう。

 

「はーい、そのまさかの神谷ですよー。久しぶりですね堺司令」

 

「久しぶりも何も…! こんなとこで会えるなんて思いませんでしたよ。ご壮健そうで何よりです」

 

「はいストップ、ここオフだからそういう堅苦しいの無しで!」

 

「りょーかい。そんじゃラフにやりますね」

 

「神谷さん何してんですかこんなとこで。大方『天使の実』を食ったんだろうとは思いますけど」

 

「あー、あの赤い実ですか? 確かに食いましたけど、アレ食べたらこうなるの?」

 

「どうやらそうらしいです。私も詳しいとは言えませんが、実を食べた人で、ある程度の共通点がある人たちがこのバーに集められるみたいですね」

 

「なるほどな。そうなると俺たちはさしずめ、日本人かつ軍の指揮官だからってことか」

 

言っていてアレだが、一体どんな原理なのだろうか。夢の世界で話せるとか、何がどうなってるのやら。恐るべし異世界。

 

「おそらくそんな感じでしょう」

 

「あそうだ。前にもらったこれ、めっちゃ便利でバリバリ使ってんぜ」

 

「え、それは…うちの泊地工廠で作った、丸められるスマホ!? なら今度は、丸められるテレビでも持ってきましょうか?」

 

「めっちゃ欲しいわそれ。あと、慎太郎と健太郎と向上にもスマホ作ってくれ」

 

「いや注文多いな!?」

 

そんな面白そうなガジェット、男の子なら誰もが欲しいに決まってる。どんな世界の男であれ、そういうSFチックなメカとかマシンは大好きなのだ。というか男の必修科目である。

 

「ところで堺司令は最近どうなの? まだグラ・バルカスと戦争してるわけ?」

 

「ですね、まだやり合ってます。何とかムー大陸は解放したんですが、世界各国とロデニウス連合王国の国力がだいぶ疲弊してきてしまって、これ以上の戦争継続は困難と判断しました。なので今は事実上、うち単独でグ帝と戦ってますね。

正面から決戦なんてやってられないんで、通商破壊に徹して奴らの本土を干上がらせようとしてますよ」

 

「え、じゃあ海上封鎖を艦娘たちでやってんの?」

 

「ですです。あっちこっちと遠征艦隊出してるんで、作戦行動の管理が大変なんですよ」

 

なんか皇国がやろうとしている事よりは地味だが、それでもかなり容赦ない事をやっている辺り流石である。その内、帝国が鳥取城みたいな事になりそうだ。

 

「そういう神谷さんはどうなんです? 皇国の軍事力ならグ帝なんざ一捻りでしょ?」

 

「海上封鎖どころか、輸送船を作るドックごと根絶やしにするかなぁ」

 

「やっぱそうきますよねー…」

 

元々の作戦計画には無かったが、決めた。やろう。官民問わず、沿岸のドックというドック、全部まとめて巨大キャンプファイアーに加工してやろう。きっと燃え盛る炎の中に爆弾とか砲弾を配れば、ドカンドカン爆ぜて気持ちいいだろう。

 

「ん、待てよ? するかなぁ、ってことは、まだ実践はしてない…?」

 

「お、鋭い。そう、まだ計画段階です」

 

「計画段階で既にドック根絶やしが入ってるとなると、そちらのグ帝ってよっぽど何かやらかしたんですかね」

 

「さすが堺司令、なかなかの慧眼。奴ら畏れ多くも我らが帝都でテロ行為しやがったんですよ」

 

「は!? 帝都って、東京?」

 

「イエス。慎太郎も健太郎も一時人質に取られたばかりか、何の罪もない皇国臣民が多数犠牲になりまして…」

 

「あー……」

 

皇国との付き合いが長いという訳ではない堺だが、皇国が如何にブチ切れてるかが分かったのだろう。苦虫噛み潰したかの様な顔で察している。

 

「何てことだ、奴らもう助からないぞ。それはそれとして、輸送船をドックごと叩くというからには、潜水艦だけじゃ足りんでしょう。主力艦隊の戦艦や空母も投入するんじゃないです?」

 

「やりますよ。使えるもんは全て使ってやります」

 

聨合艦隊とか、特殊戦術打撃隊のあれこれとか、陸軍と海軍陸戦隊とか、色々動かす予定だ。できる事ならストーンヘンジを持ち込んでやりたい程である。

 

「マジで大日本皇国の国力が羨ましくなる……うちなんて、その千分の一もあるかどうかだし」

 

「その国力で我が国より高い技術をチラ見せすることのある堺司令が何言ってんだよ」

 

「そういや、艦これ関連で思い出した。新しい艦娘が何人か実装されたぞ、例えばこれ」

 

いつもお世話になってる攻略まとめサイトを開き、新しい艦娘を見せる。まずはシャルンホルスト級の2人だ。

 

「ハーケンクロイツってことはドイツ艦か……もしかして、シャルンホルスト級?」

 

「お、さすがだ。正解、こいつはシャルンホルストだよ。妹のグナイゼナウも一緒に実装されたぜ」

 

「マジで!? 良いなー、うちにも実装して欲しい…通商破壊戦の手が足りねぇよ……」

 

史実ではシャルンホルストと妹のグナイゼナウは、イギリス相手に欧州の海を通商破壊作戦で暴れ回っていた。セリフの方もそれ系が多かった様な気がするし、多分艦隊に入れば第13艦隊の作戦も楽になるだろう。

 

「他にも駆逐艦や護衛空母の実装があったが、目玉はやっぱこの2人だ。良いだろ?」

 

「羨ましい。うちにも新しく艦娘が着任したんですが、シャルン姉妹ほど強くないんですよ。ただ、一風変わった娘でしてね」

 

「ほうほう、どんな娘だ?」

 

「こんな格好なんです…名前当てられますか?」

 

文金高島田に結い上げた黒髪に、赤い前髪を差している、薄い灰色の軍艦色の様なカラーの振袖と金色の腰帯。それに船底を思わせる赤銅色の袴という女性。青みがかった黒い瞳の童顔と、それに似合った子供体型。

…………うん、見た事がない。誰やコイツ。それが神谷の感想だった。マジで見た事がない。艦これは勿論、アズールレーンとか戦艦少女Rにブルーオースと、色々と記憶を辿ってみるがやっぱり見た事がない。多分見た目だけなら駆逐艦なのだろうが、やっぱり分からない。

 

「別嬪さんには違いないが、こりゃ見たことないな…。服装的には神風型の娘に近いか?それにこのマスト、わざわざ帆を付けてるってことは結構昔の奴っぽいな。ざっくり、朝日や三笠と同じくらいの年代か、それより少し前とみたが、どうだ?」

 

「正解ですね、西暦1886年竣工の娘ですから。この娘の名は『畝傍』、防護巡洋艦の艦娘です」

 

「待って畝傍!? その名はちらっと聞いたことあるぞ!

確か、海外で建造された後、日本に回航中に行方不明になった軍艦じゃなかったか!?」

 

またとんでもなくレアというか、ミリオタとか軍艦好きでも聞いた事ない様な船が来たものだ。因みに1886年竣工というのは、三笠よりも古い。三笠が1906年竣工であり、黄海海戦で活躍した松島が1892年竣工なので、見ての通り最初期レベルで古い。

 

「お、それで正解です。まさしくその畝傍ですよ。で、畝傍って最後はどんなものだったと言われてますか?」

 

「えーと、聞いた範囲では南シナ海で行方不明、おそらく台風に遭って転覆したとされてるな」

 

「あ、やっぱそっちでもそうなってるのか。しかし実は違ったんです。転覆したのではなく、転移していたらしいんですよ」

 

「ファッ!? マジで!?」

 

「本人から聞く限りそうらしいです。転移した後ムーに拾われて、ムーの軍艦として運用されていたそうですが、経年劣化と酷使によりボイラーが故障。当時のムーの技術ではボイラーを直せず、畝傍はドック入りしたまま放置されて幽霊船と化していました。そこでこの娘をゲットしたんですよ」

 

「何と!? すげーな、朝日より古い艦娘なんて」

 

アズールレーンでも古参級は三笠とかアヴローラ……いや、テンペスタとかいう帆船組がいる。もしかしたら今後、追加されるかもしれない。

 

「そんじゃ堺司令、世間話はこのくらいにして、そろそろアレやりましょうか」

 

「何です、アレって」

 

「ゲームですよゲーム! 我が国のフルダイブ型ゲーム機あるんですから、やらなきゃ損損」

 

「えっ、いつの間にそんな代物が!?」

 

「これないかなーって願ったら出てきた」

 

「そういやこの空間そんなんだった!」

 

なんとも便利、悪くいえばご都合主義的空間である。とはいえ現実にあるのだ、使うしかない。夢だって?細かい事は気にするな。

 

「よっしゃやるぞ! あ、ゲームソフト注文してないや……って、あれ? 何かソフト入ってる?」

 

「とりあえずそれやりません?」

 

因みに入っていたのは『生物災害2 redive』という、見ての通りのバイオハザードである。フルダイブ型VRなので、没入感や自由度はバカ高い。そしてゾンビやクリーチャーはクソ怖い。

 

「ちょっと待てぇぇフルダイブでバイオはアカン! 怖さ洒落ならんって!」

 

「バイオかー、あんまやったことねぇな…まあ何とかなるっしょ!」

 

「おぉい待てや! 今難易度見ずに選んだやろ! なんか『ルナティック』ってなってたぞ!」

 

横で喚き散らかしている堺なんてガン無視して、難易度ルナティックで始めやがった神谷。因みにルナティックとは、被弾=即死の鬼畜モードである。

 

「ちえ、初期装備拳銃だけかよ。M92だからまだマシだけどさ…自動小銃使いてぇな」

 

「そんなことより前から来てますよ! これ頭!? 頭狙えば良いの!? 被弾即アウトのオワタ式なんだから何とかしてぇぇ!」

 

何だかんだ言いながら警察署まで進み、武器やアイテムを掻き集めていく。

 

「拳銃の弾と、…おっ刀発見! ラッキー!」

 

因みにこの刀、フルダイブ型に移植された際に追加された日本刀である。切れ味抜群だが、使い難いので使うプレイヤーは少ないらしい。

 

「ここにもいんのかゾンビ……待て待て待てなんやアイツ!? 皮膚めくれた人間みたいってか速い!」

 

「よーしちょうど良いとこに! 試し斬りじゃあぁ!」

 

取り敢えず首と胴を切り離し、生首を作る。ゴロリと床に転がる生首が妙にリアルだが、臭いはない。やはりゲームだ。

 

「……なかなか切れ味良いな」

 

「うおぉぉいあのバケモンあっさり倒しやがったよ! …それは置いといて、こいつ目がないな。もしや音で判定してんのか? だとしたら静かに歩けば躱せる?」

 

試し切りがてらリッカーを倒した後は、まるで練習するかの様にアレコレ試しながら進んでいく。

 

「これ、銃がジャムるってことあるんかね?」

 

「あり得るんじゃないですか、リアル寄せですし」

 

「敵掃討し終えたし、ちょうど良いからメンテしとくか」

 

「ですね」

 

こんな具合で整備したりして、色々試しまくった。因みに本来の難易度なら、こんな気楽にやれる物じゃない。神谷が可笑しいのだ。

 

「うわぁ、板で封鎖されてやがる…。んでこれはC4爆薬? どっかで信管入手して爆破しろってのか…」

 

「そんなめんどくさいことしねーよ。フンっ!」

 

バギィッ! バキバキバキッ!!

 

「一丁上がり」

 

「こいつ、膂力にモノ言わせて力ずくで板引き剥がしやがったよ……」

 

こんな具合にゲーム開発者もびっくりな脳筋プレイで、何でもかんでも突破していく。本来のルートは信管見つけて、C4起爆させるのが正規ルートなのだ。

 

「あ、そのC4は持っててください堺さん。どっかで使えそうですし」

 

「りょーか、コンタクト!」

 

まるで「テメェ何してくれてんのじゃ!!」という開発者の怒りを代弁するかの様に現れたリッカーだったが、相手と場所が悪かった。上から飛び降りて来たのだが、着地点にスッと刀が突き出された結果、自ら串刺しになってしまったのだ。だが殺しきれず、呻きながら刀身に刺さったままもがいている。そこを堺が拳銃で撃ち殺した。

その直後、轟音と共に地響きと何かが崩れるような音、そして火災報知器のベルが鳴り響く。

 

「何だ?」

 

「大方ヘリでも落っこちたんじゃね?メイドインカプコンだし」

 

「あー、あり得る」

 

戻ってみると、案の定、ヘリコプターが廊下の壁を突き破って、そのまま炎上していた。

 

「どっかで消火器調達しなきゃな」

 

「消火器で消せるレベルなんですかねこれ」

 

まあまあデカめの、多分警察か軍用のヘリコプターであり、炎の勢いも普通なら建物全体を燃やし尽くす勢いだ。だがこれはゲーム。消火器で事足りる。

という訳で、近くにあった精鋭警官隊のオフィスに入り、中を色々と物色すると堺が金庫を見つけた。

 

「ダイヤル金庫か…番号分からんぞ」

 

「こんなもんはちょちょいのちょい、っと!よし開いた」

 

「いや嘘だろ!? 扉の隙間に刀差し込んでぶった切りやがったよ!」

 

ダイヤル式だろうが電子ロック式の鍵だろうが、要は開かない様にロックしている金属パーツを破壊すれば開く。鍵なんざなくても、破壊すればいいのだ。

 

「中身は…おっ、サイドパックに拳銃の弾、それと…これは堺司令にあげます」

 

「おっと、新しい拳銃? これは…あぁ、デザートイーグルって奴か」

 

「代わりに俺はこれだぜ!」

 

そう言って神谷が高らかに掲げているのはM870。ショットガンの王道にして、こういうゾンビ物の頼もしいお供たる、由緒正しきポンプアクション式ショットガンだ。

 

「むー、ショットガンはずるい……あ、消火器みっけ」

 

「グッジョブ堺さん。さっそく消火しましょう」

 

さっきの廊下に戻り、消火器の中身をブシューッとぶち撒ける。すると炎は消えたが、今度はヘリコプターの残骸が立ちはだかった。

 

「消したは良いけどヘリどうやってどかす…は!?」

 

「おっとヤバそうな敵さんだな!」

 

現れたのはバイオハザードでは強敵としてお馴染みの、巨大クリーチャー、タイラントであった。

 

「だがそんなの関係ねぇ!」

 

「おいマジか……あっさり刀で首刎ねやがったよ」

 

だがタイラントだろうが何だろうが、神谷の前では関係ない。首切れば大体死ぬ。なので切り落とす。それだけだ。その後も群がってくる敵を倒しながら、地下へと進んでいく。

 

「さっきから何か走り回ってる足音すんな」

 

「ですね…コンタクト!」

 

「おっ、こりゃ強そう! 堺司令援護よろ!」

 

「いやちょっと神谷さん!?」

 

「鉄パイプごときで俺に挑むなど笑止っ!」

 

そう叫びながら一刀両断される謎のクリーチャー。一応そのクリーチャー、ウィリアム・バーキンがGウイルスで変貌した姿であり、簡単にいえばボスキャラなのだ。なのだが、それを10秒で倒している。

 

「いやマジでヤバすぎんだろ神谷さん……俺ほぼ何もしてないじゃねえかよ……」

 

その後はシェリーと名乗る少女に出会い、彼女を護りながら探索を継続。しかし流石に少女を護りながらの探索は色々と無理があるだろうと判断し、堺が少女の護衛、神谷が探索に回ると役割を分担した。

そのまま署長室や情報室に赴き、そこに残されていたヒントから考えると、どうやら警察署の地下から怪しい研究所に行けるようである。その情報を得た神谷が戻ってきてみると…

 

「堺司令!?」

 

堺がぶっ倒れていた上に少女の姿が無い。どうにか堺を起こして情報を聞き出してみる。

 

「痛ぇ……すみません神谷さん。変な男にやられてしまって…シェリーさん連れてかれた…」

 

「どこに連れてかれたんだろうな…もしや研究所とやらか?」

 

問い。自らの友人に手を出され後の、神谷浩三の行動とは?

解答。対象のいる施設にカチコミを敢行し、犯人を血祭りに上げボッコボコにする。

となれば武器がいる。という訳で、殴り込み敢行の前に警察署の地下武器庫に向かい、武器を調達することにした。幸いにして、ここはアメリカの街という設定。銃社会のアメリカかつ、ゾンビ物の舞台なのだ。武器は大量にある。

 

「ふーむ、弾と手榴弾はあるんだが…おっ、これはうちの銃!? しかもこれ…向上が使ってる奴じゃないか、ラッキー! これは俺しか使えんな。堺司令には…あ、自動小銃あるじゃん。これにするか」

 

「神谷さん、こっちは駄目でした、弾の他にはでかい対戦車ライフルらしいのがあるだけ…って、その銃は…!」

 

「堺司令、これ自動小銃ですからちょうど良いんじゃないですか?」

 

「絶対に駄目ですっ!!」

 

「……え?」

 

堺がまるで親の仇かの様に、物凄い剣幕で止めてくる。ブルパップ方式で、使いやすいライフルだと思うのだが、ブルパップ方式否定論者だろうか?

 

「神谷さん知らないんですか? それL85ですよ! ジャムりまくるせいで"たまに撃てる鈍器"ってバカにされてるポンコツです!」

 

「うぉいマジか!そんじゃこっちの方がマシか?」

 

「これは、ボルトアクション式ライフル? 名称はアリサカ…あー九九式か!これならいけます!」

 

一応皇国よりも時間軸的には未来の世界だが、使ってる兵器の大半は第二次世界大戦当時の物が多い。となれば九九式小銃は、十分に使いやすい部類に入るだろう。

 

「そういや堺司令は九九式で射撃訓練を自主的にやってましたね。いけますか?」

 

「焦らなければ程々には。しかも銃剣あるじゃねーか…」

 

「おっ銃剣使えます?」

 

「それなりには。陸戦妖精さんたちに鍛えられてますし」

 

やはりこの時代のボルトアクション式ライフルには、銃剣を付けるのが礼儀という物だ。というか銃剣付けなくては締まらない、という物だろう。

 

「OK。あ、それとさっき言ってたでっかいライフル見せてもらっても?」

 

「あそこの棚にありますよ」

 

「どれどれ……あーバレット(M95)か。まあ使えるな、持ってこ」

 

バレットを担ぎ装備すると、神谷はパトカーに近付く。それも刀を抜きながら。

 

「このパトカー、確かキー壊れて乗れないんだったな…。ふっ!」

 

ついでと言わんばかりにパトカーをぶった斬り、そのまま中を物色する。横で堺が「マジかよ……」と引いているが、アメリカのパトカーは銃を積んでる。例えなくても色々使える物が、何かあるかもしれない。

 

「あった、エンジンオイルパンにガソリンタンク。で堺司令、その辺に落ちてるコーラの空き瓶をありったけ拾ってきてください。あとできたら、その辺のゾンビぶち殺して衣服ひん剥いてきてくれると助かる」

 

「瓶に衣服って何にする……待てよ? 油に瓶ってことは、まさか火炎瓶!?」

 

「オフコース! とっさの時にぶん投げましょう、汚物は消毒だー、ってね」

 

「ぶん投げるような敵が出てこないことを祈りたい」

 

物を漁るついでに、警官の死体を探ってありったけの弾や予備のM92拳銃、ライター、それと携帯無線機を手に入れた。そして各々5個の火炎瓶を持ち、警察署近くの工事現場から下水道へと突入する。どうやらここから、下水道経由で研究所に行けるらしい。

 

「うへー通りたくねー……」

 

「なんでこんなクソッタレロード選んだんですか神谷さん…」

 

だが当然、下水道ということでお察しの通り、衛生という言葉からは程遠い環境である。汚水、ゴミ、死体、油虫、ついでによく分からんクリーチャーと超巨大ワニ。

 

「デカすぎんだろライフルも通らんぞこれ!」

 

「逃げろや逃げろー、ってあ、アイツガス管噛んだ」

 

「今だぶち込め!」

 

ガス管に銃弾を撃ち込み、誘爆でワニをバラバラに吹き飛ばす。ガス管を撃ち抜いて爆破させるのは礼儀だと、古事記にもそう書いてある。書いてあって欲しい。

 

「生きた気がしねぇよ……ここ仮想空間だけど」

 

「ハハッ、面白くなってきたじゃねーか」

 

「なんでそんな楽しんでんですか神谷さん…」

 

その後も適当にクリーチャーと戯れていると、最終的に下水処理施設にたどり着いた。何でも施設が研究所の真下に設置されていて、研究所へのアクセス路があるらしい。

 

「ここまでが長ぇよ……」

 

「ついでに死体とゾンビも増えてきたな。いやー楽しいねぇ」

 

「だからなんでそんな楽し……待った、こいつは…間違いない、俺を警察署でぶん殴ってシェリーさん連れ去った奴じゃねーか!死んでるけど」

 

「ってことは、やっぱシェリーさんこの辺にいるのか? っておい、噂をすれば!」

 

奥にあったゴミ処理施設の制御室らしき部屋に来たところで、窓ガラスの向こうにあるゴミ捨て場の中に、見覚えのある少女を見つけた。多分シェリーである。だが道は繋がっておらず、ガラス越しに見えるだけだ。

 

「シェリーさん!? ヤバくねこれ!? どっか道は……」

 

「そぉらよっと!」

 

バリーン!

 

まあガラスなら、かち割って入ればいい。しかも今は装具に仕込まれた人工筋肉によって威力を増幅された拳なので、頑丈な強化ガラスだろうがあっけなく叩き割れる。

 

「シェリーさん、大丈夫か!?起きてくれ!」

 

声をかけるが、シェリーは苦しそうな顔をしているだけで返事がない。意識がないようだ。

 

「いや、もう攻略手順無茶苦茶じゃね?」

 

堺よ、今更である。というか神谷といい、長嶺といい、この手の主人公に、そういうのを求めてはいけないのだ。

さてさてシェリーをピックアップできたは良いが、ここで別の問題が発生した。

 

「シェリーさん助けたのは良いですけど、どうやって出るんですかこれ」

 

ゴミ捨て場の扉が閉まったままなのだ。本来の正規ルートであれば、ブレーカーを上げて通電してから扉を動かし、そこから中に入る事で扉は開けっぱなしとなっており、そのまま外に出れるのだ。

所が神谷がガラスかち割って飛び降りたせいで、通電するという手順を飛ばしている為、開かないのである。ついでに、扉自体が鉄製でかなり頑丈そうだ。銃や刀は通用しないだろう。

 

「簡単です、邪魔物は吹っ飛ばせば良い」

 

「吹っ飛ばすってどうやって……あ、警察署にあったC4爆薬!」

 

「設置お願いしまーす。あと、九九式貸して」

 

堺がC4を扉に貼り付け、神谷はM95の12.7㎜弾を1発取り出してC4に突き刺し、即席の信管にした。そして距離を取って立つと、九九式短小銃を構える。狙うはただ一点、C4に突き刺したM95の弾。

 

「ファイアインザホール!」

 

独特の射撃音の直後、C4が起爆し鉄扉が吹き飛ぶ。静かにガシャリと排莢する様は姿勢も相まって、何処かの裏切り山猫スナイパーを思わせる。

 

「この手に限る」

 

「いや完全に野蛮人の発想じゃないですか…。それはそれとしてシェリーさんヤバくないです?」

 

いつの間にか意識は戻ったようだが、妙に呼吸が浅い。あと、目の周囲に変な血管のようなものが浮かび、付近の皮膚が青っぽく変色している。絶対これ、クリーチャー化の前兆だ。

 

「ヤバそうだな。こんなとこに医療施設なんかないし、あるなら研究所の方だ。とっとと行こう」

 

「ですね」

 

ケーブルカーを見つけ、付近のゾンビとシェリーからリストタグ型パスキーを入手して動かし、いよいよ研究所に到着。核シェルターかと思うような分厚い扉が開かれた直後、明らかにヤバいクリーチャーが2体も飛び出してきた。

 

「コンタクト!」

 

「シェリーさん持ってて!」

 

「えっちょっと!」

 

神谷はすかさずシェリーを堺に預け、神谷が刀を抜いて飛び出す。本来なら恐怖しそうな状況だが、その顔には嬉しそうな満面の笑みが浮かんでいた。

 

「出迎え感謝!」

 

クリーチャーが動くより先に、まずは右のデカブツの首を切り落とす。勢いそのまま、片割れのデカブツの巨大な鉤爪の様な爪を弾き跳ね上げさせる。

 

「隙あり!」

 

そのまま袈裟掛けにばっさりと斬り下ろした。だが意外と頑丈で、ただよろめくだけだった。ならばと、口から延髄と背中までを一気に刺し貫いて、ぶっ殺した。

 

「ついでにお前もな!」

 

戦闘騒音を聞きつけてやってきたリッカーも、ばっさりと斬り捨てる。斬り離されたリッカーの左腕が床にぼとりと落下し、力を失った筋肉剥き出しの身体がくずおれる。

 

「やれやれおしまいか? ったく、もうちょい出迎えてくれても良いのに」

 

「いや何なんですかアンタ本当に……」

 

堺、ポカーンである。どう考えても本来なら、もっとこう、悪戦苦闘する様なボスなのだ。多分。にも関わらず、こんな簡単に殺している。訳がわからない。

取り敢えず中に入り、ベッドにシャリーを寝かせる。すると神谷が、近くにあったパソコンに気づく。

 

「ん、パソコンに何か書いてあるぞ」

 

「何々、抗ウィルス剤?シェリーさんにはそれが要るのか?」

 

「可能性は高そうですね。探すしかないか……研究所なんてヤバい敵しか出てこないと思うけど」

 

「なーに、全部刀のサビに変えるだけよ」

 

「それ言えんの神谷さんだけですからね!?」

 

先述の通り、刀は攻撃力だけなら最強でも、メチャクチャ使い難い言うなればロマン武器枠なのだ。それをこんなに使いこなしてる、目の前の男がおかしいのである。

2人はまず食堂に飛び込み、ゾンビを全員ぶっ殺すついでにパスキーを確保。そのまま突き進み、迫り来るゾンビ、リッカー、それからハンターとかいうさっきの鉤爪野郎を血祭りに上げながら突き進む。

 

「無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!」

 

ゴールド・エクスペリエンスみたいな事になってるが、決してスタンドは使用していない。というか剣持ってる辺り、どっちかっていうとポルナレフのシルバーチャリオッツだろう。

 

「やべっ刀が…」

 

だが偶にはこんな具合に、刀を振った直後の隙を突かれてしまう事もある。だが問題ない。

 

「着剣!」

 

堺がカバーする。ゾンビに銃剣をぶっ刺し、そのままゼロ距離で脳天に7.7㎜ライフル弾を撃ち込む。逆に堺は後ろから迫るハンターの爪に対応できずに居たが、…

 

「そおい!」

 

今度は神谷がそれをカバーする。堺も意外と強いのだ。

 

「た、助かりました…」

 

「お互い様ですよ」

 

そのまま進んでいくと、橋のある部屋に出た。他の部署には稼働式の橋を出して渡るようだ。どうも感染症対策のためにこんな構造にしたらしい。

 

「真ん中にエレベーター…これはマスターレベルのリストタグが要る? …後でぶん殴るか」

 

「あ、ウィルス研究エリアって表示ありますよ!ってことは抗ウィルス剤あるんじゃね?」

 

「これはありそうだな、俺のカンがそう言ってる」

 

「あ、でも橋引っ込んでて渡れない。しかも一般職員じゃなくて上級職員レベルのリストタグが要るって…」

 

「面倒だ、任せろ。オラァッ!」

 

神谷はリストタグを当てるらしいコンソールを思いっきり殴りつける。するとピーという承認音がして、引っ込んでいた橋があっさりと掛かった。

 

「ほらな」

 

「ええ……」

 

いやそうはならんやろ。というツッコミをしたいが、堺はそれを飲み込んで橋を渡る。お約束通り、ウイルス研究エリアにも、ゾンビがうようよいた。しかもダニか何かのように、次々と湧いてくる。そんな中に妙な奴が混じっていた。

 

「何だありゃ!?人間が植物に乗っ取られてんのか!?」

 

人間からツタが生えたような怪物がいたのである。それも、藤のような頑丈そうな蔓だ。

 

「刀で斬れるか分からんな…」

 

「植物…あ、そうだ!」

 

堺が腰のポーチから瓶を取り出す。その口に詰め込まれた布にライターで火をつけた。そして、お約束のセリフと共に投げる。

 

「汚物は消毒だー!」

 

「お、さっき作った火炎瓶!」

 

「そりゃ草なら焼くに限るでしょ!」

 

「よーし、なら使っていくか!」

 

マジ物の植物人間に火炎瓶を投げまくり、急遽キャンプファイヤー祭りを開催する。ついでに観客のゾンビも消毒し、奥に進む。

 

「これか?」

 

「これですね!」

 

やっと抗ウイルス剤を見つけた。しかし持って帰ろうとした瞬間、例のウィリアムが降って来た。

 

「しつこいなマジで!」

 

「堺司令、シェリーちゃんを頼む!俺はコイツに話をつける!」

 

「了解、武運を祈ります!」

 

堺は抗ウイルス剤を持って走る。普通なら、なんかもう少し感動的な別れがあるんだろうが、これはゲームだし、そもそもチーターよろしくゲームブレイカーになってる神谷なのだ。死ぬ訳ない。

 

「任されたは良いけど、これどう倒すよ?」

 

目の前の化け物には足が2本に、人間サイズの腕2本。さらに背中から、馬鹿でかい腕がさらに2本生えて合計4本も腕を持っている。しかも人型とはいえ、その見た目は化け物のソレだ。一応右のでかい腕に目玉が付いている辺り、お約束から考えるなら弱点ではある。だが……

 

「グオォォォ!!!!!!」

 

「この閉所で物をポンポン投げられちゃ、攻撃のしようが無ぇんだけど!!!!!」

 

今回の戦場は屋内では広いとはいえ、このデカブツを相手取って大立ち回りをするには少々狭めだ。そこに怪力に物を言わせた投げ付け攻撃は、流石に面倒臭い。とはいえ、それは一般人の話だ。

 

「だけど、その程度なら問題にはならない。こちとら修羅やってんだよ!!!!」

 

狭い?攻撃しにくい?ならば投げ付け攻撃の合間を潜り抜け、肉薄すれば良いだけだ。物を投げるという行為の直後というのは、どんな人間であれ必ず隙になる。投げ付けられる物を潜り抜けさえすれば、その隙を付ける。とても簡単なことだ。

 

「しかも力任せの投げ付けだから、動きは超単純!!殺れる!!!!!」

 

投げ付けられるパイプ、手すり、謎のタンクといった色んな物を避け、懐に入り込み、弱点と思われる右腕の目玉にバレットを押し付け、ゼロ距離で弾丸を叩き込む。

 

ズドォン!!

 

「ッッッッッッ!?!?!?」

 

声にならない叫びを挙げる化け物。お約束通り、目玉が弱点らしい。そのまま眼球に銃口を押し付けて、1マガジン10発の12.7mm弾を撃ち込む。重機関銃と同じ弾丸を扱い、人間に当たれば即死どころか弾け飛ぶ程のストッピングパワーであれば、例えウィリアムだろうが無傷では済まない。

 

「っしゃぁ!!!!片腕飛ばしてやった!!!!!」

 

「グオォォォ!!!!!!」

 

「おぉ!?まだ暴れるか。ならば!!」

 

バレットをしまい、代わりに刀を抜く。正直、神谷にはバレットのような巨大なライフル銃とかよりも、こういう刀剣類、特に日本刀が1番しっくり来る。

 

「来いよ化け物。首、置いてけや!!!!!」

 

ウィリアムが襲いかかる。だが神谷は避けず、その拳ごと刀で斬り、そのまま腕を縦に切断。その勢いで首を切り落とす。力任せの斬首は、ウィリアムの首を空高く飛ばし、辺りを血で染めた。

 

「化け物だろうが、何だろうが、首落とせば終いよ」

 

『警告、警告、抗ウィルス剤並びにG-ウィルスの不正な持ち出しを確認。滅菌のため施設を爆破します。職員は直ちにメインシャフトのエレベーターから地下へ避難してください』

 

「………自爆って極端な手段だなぁ。そんじゃ、逃げますか!」

 

神谷は取り敢えずエレベーター目指して走る。恐らくウィリアムを倒した事か、堺がシェリーに抗ウイルス剤を打ったのがトリガーとなったのだろう。何れにしろ、逃げなくてはゲームオーバーまっしぐらだ。

逃げ道に立ち塞がるゾンビを右手に刀、左手にバレットを持って薙ぎ倒しながらエレベーターを目指す。近場の奴は斬り殺し、遠い奴や近くに可燃性のガスボンベのある奴は、片手撃ちで倒しながら突き進む。その姿はまるで、ゴールデンカムイの土方歳三だ。

 

「オラァ!!!!!!!邪魔じゃ邪魔じゃ道開けいッ!!!!!!!!」

 

暫く群がるゾンビを千切っては投げ、千切っては投げの様に撃退していると、堺とシェリーの乗るエレベーターが見えた。最早ゾンビを倒すのではなく、タックルで無理矢理ゾンビを吹っ飛ばしてエレベーターに滑り込む。

 

「無事か神谷さん!」

 

「これは返り血だ問題ない! 奴は仕留めた! シェリーさんは!?」

 

「治ったようですが、まだ目覚めない!」

 

「了解、こっからは任せろ!」

 

エレベーター近くのコンソールを神谷がぶん殴り、ロックを解除してエレベーターに乗り込む。そして地下のオペレーティングルームに到着するや、先頭に立って走り出した。シェリーを抱えた堺が必死で後を追う。

 

「よっしゃ飛び乗れぇ!!!!」

 

そのまま黄色の作業用と思われる列車に飛び乗り、運転席に滑り込む。だが生憎と、電車の操縦なんてやったことが無い。

 

「………これ、どうするんだ?」

 

「分かんないですか!?」

 

「分からん。でも、こうすりゃ大体どうなんだろッ!!!!」

 

神谷は力一杯コンソールをぶん殴る。普通なら壊れそうな物だが、列車は何とか発車し動き出す。余りの力技に堺も「コイツマジか」という顔をするが、思えば目の前の男はそういう奴だった。何らおかしくない。

 

「えぇー、この電車は、ゲームクリアへの最終列車です。次の停車駅は終点、エンディングゥ、エンディングゥ」

 

「神谷さん結構余裕あるでしょ?」

 

「あ、バレた?」

 

2人で大笑いしていると、不意に電車が揺れた。何事かと思ったが、大体こういう時は総じてラスボスが進化したり、ボロボロになったまま電車に取り憑いているのがお約束だ。2人はすぐに銃を構えて後ろの車両に向かう。

 

「あっ!神谷さんストップ!!」

 

「どうしたー?」

 

「こんな物が………」

 

堺が見つけたのは、銃火器と大量の弾薬。それも銃火器は銃火器でも、重い方の火器だ。何とも粋な計らいだ。

 

「M202四連ロケットランチャーにM134ミニガン、わーお。C4と火炎瓶もある」

 

「あ、あのー神谷さん?顔が何か悪い事考えてらっしゃる………」

 

「なーに、ラスボスをモテナスだけですよ。HAHAHAHAHAHA」

 

満面だが獰猛な肉食獣の様な、ドス黒い笑みを浮かべる神谷。これから何が起こるか何て、もう説明しなくても分かる。絶対ラスボスのウィリアムは、いい死に方をしないだろう。

 

「はいはい堺さん!ミニガン持って?神谷、出撃しまーす!!」

 

「それ島風のセリフでしょ!?」

 

扉を蹴破るどころか、タックルで無理矢理ぶち抜き、即座に車両中にC4を貼り付けていく神谷。堺は何が何だかわからず、取り敢えず奥の多分ウィリアムが出てくるであろう扉にミニガンを構えて待つ。

 

「神谷さん何やってるんですか!?」

 

「パーティーの飾り付け!!」

 

なんて言っていると、扉を破ってウィリアム最終形態が現れた。堪らず攻撃するが、神谷はちょっとチラッと見るだけで攻撃しない。

 

「何やってんですか!!早くこっちに!!!!」

 

「……はい完了!堺さんそのまま撃ち続けて!!俺は腕攻撃すっから!!!!」

 

後ろに飛び退きながらも四連ロケットランチャーを構え、そのまま腕と思われる周囲の蠢いている棒に撃ちまくる。本来なら真ん中の口の中にある目玉を撃つのが正規ルートなのだが、神谷はその辺ガン無視で周りの触手の様な腕にばかり攻撃を当て続ける。

 

「神谷さん目!!目狙って!!!!」

 

「あー心配しないで。多分、そろそろだから」

 

「そろそろって何がぁ!?」

 

暫くするとウィリアムの触手が破壊され、殆ど身動きが取れなくなった。狙い通りである。今のウィリアムは言うなればダルマ状態。つまり、イジり放題なのだ。

 

「さて堺さん。遊ぼうぜ?」

 

「遊ぶって……」

 

「はいドーンだYO!!」

 

神谷は持ってる銃をウィリアムに叩き込む。どうせこれでクリアなのだ、手持ちの弾丸全部叩き込む勢いで撃ちまくってる。

 

「あー銃撃つと心が洗われるわー」

 

「いやあの、めっちゃ断末魔あげてるんですけど……」

 

「なんと心地よいメロディーだろうか!!あゝ甘露!甘露!」

 

「それ悪役のセリフでしょうが!!」

 

やがて弾が底をつき、ウィリアムイジメは終わった。かと思ったら、今度は大量の火炎瓶を取り出し始める。

 

「堺さんも火炎瓶余ってたらこっちにくれ」

 

「え?あっはい。で、何するんですか?」

 

「フランベ」

 

「はい?」

 

フランベと言えば料理の技法の一つであり、よくコックさんがフライパンの上で炎を作り出してるアレである。ただそれをやると言いながら、大量の火炎瓶取り出してる時点で、なんかもう嫌な予感しかしない。

 

「まず火炎瓶から内容物を取り出して、それをウィリアムくんの目ん玉にぶっ掛けます」

 

「ギャァァァァァァァ!!!!!!」

 

「これを染みてようが断末魔をあげようが泣き叫ぼうが、問答無用で繰り返します」

 

「人の心ないんですかアンタ………」

 

「あったら至近距離で敵を斬殺できない」

 

火炎瓶の中身を目玉に流し込み、ウィリアムが断末魔をあげ、そこに追い打ちの如く流し込む。このループを繰り返し、30本近くあった火炎瓶を2本だけ残し、他は全部ウィリアムに流し込んだ。

 

「そんじゃ堺さん。銃剣プリーズ」

 

「え?えっと、はい」

 

「この銃剣と俺の刀を火炎瓶の中に浸し、それを装備」

 

「……まさか」

 

「そして着火ぁ!!!!」

 

銃剣と刀が燃え上がり、即席の炎の剣が出来上がる。心なしかウィリアムの目にも、恐怖が滲んでいる様に見える。

 

「即席ファイアーソード完成!!堺さん、分かってるよな?」

 

「……あー、そういう」

 

「はい、じゃあ!せーの!!」

 

「「天皇陛下、バンザーーーーイ!!!!!!!」」

 

次の瞬間、ウィリアムが聞いたこともない様な大絶叫と共に燃え上がる。絶対これで倒せた筈だが、神谷に言われるがまま後ろの車両に移る。

 

「で、何で後ろに?」

 

「考えてみたら、まだ歓迎の花火してないなと」

 

「うん。言いながら、刀で連結具破壊するのやめましょうか」

 

「もう遅い」

 

連結具が外され、ウィリアムの乗っている車両との距離が離れていく。ある程度離れたのを確認すると、神谷が起爆スイッチを押す。トンネルごと破壊しかねない勢いの轟音と衝撃が、トンネルを伝ってこちらにも伝わってくる。

 

「おおぉぉ!?!?!?」

 

「ちょっと派手にしすぎたわ!HAHAHA!!!!」

 

「こっちも死にますよ!?」

 

何はともあれ、どうにかこうにかゲームクリアらしい。エンディングロールが流れ始め、キャラ達のエピローグ的なのが一緒に流れている。

 

「バイオも悪くねーな。思ったより楽しかったぜ」

 

「やれやれ、一気に疲れた…濃厚すぎんだろ…」

 

楽しそうにしている神谷と、ヘロヘロになっている堺。対照的な2人である。

 

「ん?なんか視界が白くなってきてるぞ?」

 

どうやら堺の方も異変がある様で、自分の手をマジマジと見ている。多分、時間切れだろう。

 

「あ、これは目覚めの合図ですね。つまりお別れの刻です」

 

「そっか…そんじゃ堺司令、ありがとうございました。またどっかでお会いできると良いですね。会わせたい人もいますし」

 

神谷が持つ、もう1人の異世界の友人。向こうの日本の守護者。新・大日本帝国海軍第三十三代聨合艦隊司令長官にして、江ノ島鎮守府の提督、そして海上機動歩兵軍団『霞桜』総隊長、長嶺雷蔵。神谷が唯一、自分よりも強いと認める若き戦士だ。堺と会ったら……きっときっと面白い。

 

「こちらこそありがとうございました。って、え、会わせたい人って…?」

 

堺が言い終わるよりも先に、視界が真っ白に染まる。またいつか、会えるだろう。多分。

 

 

「———よ」

 

何だか揺らされている感覚がする。

 

「長官。起き——さい」

 

うるさい

 

「長官!起きてください!!」

 

「………んにゃ?」

 

「お目覚めですか、長官」

 

目を覚ますと、なんか既に空港にいた。多分寝ていたのだろう。夢を見た気がするが、思い出せない。例の実を食べてからの記憶がない。

 

「はいはい、降りてくださいね。早いとこ帰らないと、電車無くなりますよ」

 

「ふわぁ……。んじゃ帰るわ」

 

「はい。本日は我が皇国軍航空をご利用頂き、ありがとうございました」

 

「おかげでグッスリ寝れたよ」

 

機長に見送られ、タラップを降りる。満月の夜だ。かなり寒いが、それが心地よい。もう後少しで、新たな年がやってくる。

 

「さーて、来年は忙しくなるぞー」

 

 

 

2024お正月特別編、完!

 

 

神谷「そういや、このタウイタウイとのコラボって続くの?」

鬼武者「続く!…いや……続くのかこれ?うーん、しらね」

神谷「お前、それで良いのかよ………」

 

 

To Be Continued………?

 




オマケ 鬼ヶ島近海
長嶺「はい!もしもし!?」

鬼武者『おハロー長嶺ちゃん。今年の正月スペシャルどうす』
長嶺「俺今鬼ヶ島で戦闘中じゃボケェ!!!!!」

鬼武者『あっ、そうでしたね』

オイゲン「指揮官!そっちに敵戦闘機行ったわよ!!」

長嶺「迎撃してやる!!」

長嶺雷蔵 不参加
備考:現在、あっちの本編が深海棲艦の本拠地で戦闘中につき出演不可能。
※来年も世界を股に暴れ散らかすので応援よろしく!by長嶺雷蔵
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