最強国家 大日本皇国召喚   作:鬼武者

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今回、揚陸艦関連で設定集に追加してあります。よければどうぞ、ご覧ください。


第百九話バビロン作戦

約半年後 2060年1月8日 グラ・バルカス帝国本土沿岸部 連合軍総旗艦『日ノ本』 中央作戦室

「状況報告」

 

「統合軍各部隊、作戦開始地点にて待機中」

「世界連合軍A(アルファ)郡、ポイントH(ホテル)B(ブラボー)郡、ポイント・I(インディア)にて待機中」

「神聖ミリシアル帝国軍、ポイント・L(リマ)M(マイク)に進出完了」

 

「作戦開始時刻まで残り5分」

 

あの先進11ヵ国会議から約半年が経った。あの国際会議以降、世界のパワーバランスは完全に変わった。神聖ミリシアル帝国は例の皇子の発言により、世界中から大バッシングを受けた。転移直後ならいざ知らず、現在の皇国は世界でも有名なトレンド国家。しかも各文明圏の経済にどんどん食い込んでおり、そんな中での皇国を貶めるような発言は当然、色んな理由により非難された。ミリシアルはラーパルを即座に廃嫡し、関係修復のためにと大臣級の人員を有した使節を派遣しようとするも実質の門前払い。皇国は会議の場での宣言通りに戦術機販売の停止に加え、在ミリシアル日本大使を帰国させ、貿易封鎖と関税の引き上げによる経済制裁、現在進行中、或いは計画されていた技術交流や文化交流の中止と、それはもう色々やっている。

その結果、今や『世界最強の超大国 神聖ミリシアル帝国』という看板は錆びまくっており、一方の我らが皇国は新たなるリーダーとして急速に頭角を表しつつある。今回のグラ・バルカス帝国本土上陸作戦、作戦名『バビロン』でも、それは如実に現れてしまった。

 

「それにしても、世界連合軍ですか。なんというか、実質「大日本皇国と世界連合という名の愉快な仲間達」ですね」

 

「いつもの事だろ?」

 

「はは、確かに」

 

バビロン作戦では、これまで以上に皇国軍がその中核を成す。ノルマンディー上陸作戦の様に、世界連合軍はホテル、インディア、ジュリエット、キロ、リマ、マイクと名付けられた6つの上陸ポイントから上陸し、沿岸部の港湾都市であるグランディスまでの一帯を確保する。

この内、皇国は最も防備が厚く危険度がずば抜けて高い、ジュリエットとキロを担当し、リマとマイクは神聖ミリシアル帝国単独、残るホテルとインディアはムーを筆頭とする各国が担当する。しかしホテルとインディアにも、熱田型を筆頭とする2個主力艦隊規模の大艦隊が援護に回っており、更には海軍陸戦隊も数師団、向こう側から上陸する手筈となっている。つまり、ミリシアル担当戦域以外の全戦域で皇国軍は作戦に参加するのだ。

さて、ここで読者諸氏は「何故にリマだけ、皇国軍がいないんだ?」と。理由は簡単。あんのミリシアルが断りやがったのである。当初皇国は、まあ打算もあるとは言え、一応帝国軍の現場の兵士には恨みも何もない事から「準備段階での支援は最低限しかしないが、戦闘中は他国と同程度の火力支援と近接航空支援を提供しよう」というスタンスだった。

しかし当のミリシアルが「お前達の施しなんざ受けん!我々は最強の軍隊なのだ!失礼にも程がある!!(意訳)」と言われたのである。しかもリマとマイクは皇国が担当する2つを除けば、最も防備が固い場所。確実に被害が出る。なのだが今のミリシアルは、まさかの今回の一件で貴族派がグラ・バルカス帝国への怨嗟を持つ軍人たちとフュージョンして力を増してしまい、結果的に自国で全てを完結させる事に病的なまでに固執している。足並み揃える前から、勝手に先行している状況だ。

 

「オペレーター。メインモニターに、戦力を表示させろ」

 

「アイ・サー」

 

 

世界連合軍

大日本皇国統合軍

聨合艦隊

編成 

・総指揮大戦略級究極超戦艦『日ノ本』(総旗艦)

・熱田型指揮戦略級超戦艦 8隻

・大和型前衛武装戦艦 64隻

・伊勢型航空戦艦 24隻

・赤城型要塞超空母 16隻

・鳳翔型空母 80隻

・龍驤型軽空母 24隻

・摩耶型対空巡洋艦 192隻

・阿武隈型突撃巡洋艦 160隻

・磯風型突撃駆逐艦 320隻

・浦風型草薙駆逐艦 432隻

・神風型駆逐艦 416隻

・伊3500号型 6隻

・伊3000号型 24隻

・伊2500号型 24隻

・伊2000号型 24隻

・伊1500号型 152隻

・伊900号型 24隻

・ALCAC 130隻

・LCHH 210隻

・回天 200隻

 

艦載機 

・F8CZ震電IIタイプ・極 500機

・F8C震電II 20,292機

・E3鷲目 514機

・AVC1突空 150機

・SH13海鳥 2,505機

・AS5海猫 1,584機

・AH32薩摩 50機

・MQ5飛燕 800機

艦艇総数 2,560隻

参加航空機 26,395機

 

遠征打撃群

編成 

・弁慶級遠征海上要塞 14隻

・八女型揚陸指揮艦 28隻

・出雲型強襲揚陸艦 56隻

・日向型揚陸艦 168隻

・三浦型戦術機母艦 393隻

・摩耶型対空巡洋艦 14隻

・浦風型草薙駆逐艦 56隻

・神風型駆逐艦 56隻

・伊1500号型 14隻

・伊900号型 56隻

・兼定型遠征高速輸送支援艦 168隻

・松型戦闘艇 56隻

・LCAC 644隻

・HLCAC 672隻

・ALCAC 112隻

・LCHH 9,072隻

 

艦載機 

・F8B震電II 1,344機

・VC5白鳥 756機

・VC4隼 868機

・AH32薩摩 1,008機

・UH73天神 2,072機

・SH13海鳥 1,064機

・AS5海猫 112機

艦艇総数 11,186隻

参加航空機 7,224機

 

空軍

・超長距離戦略打撃群《アウトレンジ部隊》

・F9心神 六個飛行隊

・F8A震電II 八個飛行隊

・A9ストライク心神 十四個飛行隊

・A10彗星II 二十四個飛行隊

・超重爆撃機富嶽II 二個飛行隊

・E787早期警戒管制機 四個飛行隊

・KC787 十個飛行隊

 

特殊戦術打撃隊

編成

・メタルギア水虎 380機

・メタルギア応龍 720機

・空中空母『白鯨』 8隻

・支援プラットフォーム『黒鯨』 16隻

・空中母機『白鳳』 6機

 

航空機

・F8C震電II 960機

・MQ5飛燕 1,800機

・MQ6松雲 14,400機

 

戦術機

・F4Jスーパーファントム 四個連隊(432機)

・A10サンダーボルトII 五個連隊 (540機)

・F14Cスーパートムキャット 三個連隊 (324機)

・Su37 二個連隊(216機)

・F15イーグル 五個連隊(540機)

・F15Eストライクイーグル 六個連隊(648機)

・F2Aバイパー 九個連隊(972機)

・F2Cバイパーキング 七個連隊(756機)

・F3不動明王 二個連隊(206機)

・59式浄龍 二個大隊(72機)

参加航空機 17,160機

参加戦術機 4,706機

 

海軍陸戦隊

・第一海兵師団

・第二海兵師団

・第三海兵師団

・第四海兵師団

・第五海兵師団

・第六海兵師団

・第七海兵師団

・第八海兵師団

・第九海兵師団

・第十海兵師団

・第十一海兵師団

・第十二海兵師団

・第十三海兵師団

・第十四海兵師団

・第一独立武装偵察隊

・第三独立武装偵察隊

 

 

神聖ミリシアル帝国軍

第一任務部隊

編成

・オリハルコン級魔導戦艦 2隻(旗艦:コスモ)

・ミスリル級魔導戦艦 4隻

・ゴールド級魔導戦艦 5隻

・マーキュリー級魔導戦艦 8隻

・ロデオス級航空魔導母艦 9隻

・ブロンズ級重巡洋装甲艦 16隻

・シルバー級魔導巡洋艦 23隻

・ルビー級魔導駆逐艦 57隻

・アイアン級魔砲船 124隻

・魔導輸送船 98隻

 

艦載機

・エルペシオ3 180機

・ジグラント3 324機

艦艇総数 346隻

参加航空機 504機

 

空軍

・ムニシピオ 160機

・エルペシオ3 240機

参加航空機 400機

 

 

陸軍

・二個機甲師団

・六個歩兵師団

・一個砲兵連隊

 

 

ムー統括軍

連合機動艦隊

編成

・戦艦『ラ・カサミ』(旗艦)

・ラ・イーセ級戦艦 8隻

・ラ・ヴィース級戦艦 12隻

・ラ・グレイ級航空母艦 14隻

・ラ・クーギュ級装甲航空母艦 6隻

・ラ・マートン級重巡洋艦 26隻

・ラ・ベルファー級軽巡洋艦 39隻

・ラ・ゴーゼルク級駆逐艦 89隻

・輸送船 126隻

 

艦載機

・戦闘機コルセン 776機

・コルセン夜間戦闘機型 136機

・攻撃機バラクダル 968機

・水上戦闘観測機アクアマリン 230機

艦艇総数 321隻

参加航空機 2,431機

 

空軍

・戦闘機グレン 680機

・駆逐機テーラー 190機

・戦闘爆撃機ウッドチェイサー 1,040機

・爆撃機フォート 740機

参加航空機 2,650機

 

陸軍

・二個機甲師団

・十個歩兵師団

・F4ファントム 十二個連隊

・F5EタイガーII 八個連隊

・F15イーグル 三個連隊

参加戦術機 2,484機

 

 

エモール王国騎士団

風流騎士団

・極みの雷炎竜

・風竜 340騎

総数 341機

 

陸軍

・神炎の牙騎士団 1000名

・焔鎖の竜牙団 600名

・烈爪の紋章隊 800名

・F5EタイガーII 三個連隊

・F14Aトムキャット 一個連隊

・Su37チェルミナートル 二個連隊

参加戦術機 648機

 

 

アガルタ法国軍

陸軍

・三個砲兵部隊

・二個魔導士大隊

・八個歩兵部隊

 

 

マギカライヒ共同体学院守護軍

守護騎士団

・スカリッツ騎士団 390名

・タルムバーク騎士団 2,500名

・ラッタイ騎士団 1,800名

・プリビスラヴィッツ騎士団 180名

 

陸軍

・二個砲兵部隊

・二個戦列歩兵部隊

・三個歩兵部隊

 

 

ニグラート連合護学騎士団

陸軍

・六個歩兵部隊

・一個魔導砲撃部隊

 

 

「…………うわっ…私の皇国軍ヤバすぎ……」

 

「艦長ー。そら年収のヤツでーす」

 

まあ、見てもらったら分かる通りで、超大規模な空前絶後の大軍勢である。作戦支援の為に主力艦隊と潜水艦隊の全てを編成した聨合艦隊を筆頭に、新たに編成した遠征打撃群、そして特殊戦術打撃隊の戦術機甲部隊も投入する。

しかもこれは、あくまでバビロン作戦に参加する戦力しか記載されていない。ムー大陸の各基地には現在陸軍や他の戦術機部隊など、数倍以上の戦力と大量の輸送船が待機しており、グランディス確保後に上陸する予定だ。オマケに今回、その待機部隊にはなんと、特殊戦術打撃隊の提灯が30基も含まれている。何処ぞの侍将軍が「提灯持って行ったら最強じゃね?」とか言って、本当に30基も自力航行させて連れて来ちゃったのだ。

 

「作戦開始時刻まで残り10秒。8、7、6、5、4、3、2、1」

 

中央作戦室のモニターに表示されたタイマーが全て0になると同時に、アラームが鳴り響き、タイマーが赤く表示され時間が刻まれていく。

 

「作戦を開始する!総旗艦より全軍に一斉通信!!作戦開始だ!!」

 

「アイ・サー!HQより世界連合軍全部隊に達する。作戦開始。繰り返す、作戦開始。現時刻をもってグラ・バルカス帝国本土上陸作戦、バビロン作戦は開始された。全軍直ちに作戦行動を開始せよ」

 

「全艦、偽装解除!撃ちー方始め!!!!」

 

「撃ち方始めー!!」

 

2060年1月8日06:00。グラ・バルカス帝国本土侵攻作戦の第一段階、『バビロン作戦』が始まった。奇しくも114年前、大日本帝國軍がアメリカ西海岸に上陸したのと同じ日、同じ時間であった。

 

「全艦砲撃開始。残弾98%」

 

「後衛の駆逐戦隊よりミサイル飛来。着弾します」

 

「揚陸部隊、水上展開を継続中」

 

バビロン作戦に於ける皇国の戦術は、なんというか派手かつ超攻撃的である。装甲が薄い駆逐艦は遥か後方に配置し、熱田型や大和型といった戦艦を前線に配置。まずは火力を持って、防衛拠点を薙ぎ払う。

 

「メタルギア水虎、目標到達。各機浮上を開始。海岸線の確保を開始します」

 

続けてメタルギア水虎が浮上し、そのまま上陸しつつ制圧射撃を加えていく。トーチカの様な固く小さい物は、砲撃などに任せ、メタルギア水虎は主に軽装甲目標を破壊する。また場合によっては水圧レーザーカッターで、トーチカが連なっている場所を薙ぎ払う事もある。

 

「奴らビックリだろうな。いきなりこれだけの大部隊が、テメェの目と鼻の先に現れて攻撃してくるんだから」

 

「しかも艦隊自体は、演習用のAR装置使って隠すと。毎度毎度、恐ろしい………」

 

牛嶋が苦笑する隣で、加藤も頷いている。顔には出さないが、前に座っているオペレーター達も同意見だ。何せ今回の艦隊は全て、皇国軍が演習で使うAR装置を使って擬似的な光学迷彩を纏わせている。音や航跡は消さずとも、視覚的には消すことが出来る。ただ今回やってみて、かなり大変だったので常套戦術とはならないだろう。

神谷としてはサプライズ感覚だが、敵からすればサプライズどころか、ビックリしすぎて心停止しかねない立派な攻撃だろう。

 

「敵に頭を上げさせるな。戦術機甲部隊、発艦だ」

 

「アイ・サー。Central Command Post(CCP)より戦術機母艦へ。アルファストライク、レディ!繰り返す、戦術機発艦準備!」

 

これまでは、このタイミングで陸戦隊を上陸させていた。しかし今後は違う。完全二足歩行型戦闘機こと戦術機の登場により、陸戦隊よりも先に上陸し周辺を確保するのだ。

しかもこの戦術機、第三世代級はともかくとして、特に第一世代は量産しやすい。現在、世界連合軍に協力してくれている各国には一部先行配備という形で運用が開始されている。本バビロン作戦においても、いち早く錬成の終わったムーとエモール王国については、戦術機甲部隊が参加している。

 

『戦術機部隊発艦準備!アルファストライクに備えよ』

 

「仕事の時間だ!搭乗急げ!!」

 

戦術機のパイロット、衛士達はタラップを駆け上り機体の胸部分にあるコックピットに滑り込む。そのまま中へとスライドしていき、機体と操縦ブロックが固定される。コックピット内部はスイッチやレバーの類が淡く光ってるだけで、基本的に真っ暗だ。モニターの類もない。

だがその代わり、網膜投影式のデバイスを使う事で、立体的に計器類や外の映像を確認することができる。しかも光増幅機能により、真っ暗なコックピット内部でもしっかり見ることができる。

 

『メインシステム、戦闘モード起動。おかえりなさい、衛士。システムをあなたに委ねます。共に戦えば強力です』

 

因みに戦術機のOSには音声サポート機能付きAIが搭載されており、衛士はAIに名前を付けて可愛がっている。言うなれば、ロボット物お約束の相棒である。

 

「01より各機。間も無く艦隊の面制圧が、奥の司令部区画へと移行する。沿岸部のトーチカ等、高脅威目標の掃討は我々とメタルギアが担当する。後続の陸戦隊の被害の増減は、一重に我々の戦果に掛かっている。これは俺たちの初陣でもある。気合い入れてけ!!!!」

 

『『『『『おぉ!!!!』』』』』

 

『CCPより全戦術機母艦へ。アルファストライク!繰り返す、アルファストライク!全戦術機は直ちに発艦してください!』

 

「行くぞ毒蛇の王者ども!!続けぇ!!!!」

 

戦術機母艦から一斉に戦術機が飛び立ち、海岸線目掛けて全速力で飛んでいく。帝国軍からすれば、溜まったものでじゃないだろう。何せ要塞とはいえ、その半数は対歩兵用陣地。機関銃が多く準備されており、カノン砲や大型砲もあるとはいえ、そういうのは開幕攻撃で大体破壊されてしまっている。

そもそも航空機並みの速度で突っ込んでくる兵器に、対空砲でもない大砲を当てろなんて不可能だ。近接信管も時限信管も無く、単純な接触信管では本当に当てなくては起爆しない。

 

「戦術機甲部隊、発艦しました。後続の機動部隊より艦載機隊発艦中。上空支援に入ります」

 

「露払いだ。本艦の射撃スケジュールを変更する!弾種変更!次弾、煙幕弾装填!!目標、沿岸陣地全域!!スモークを散布してやれ!!!!」

 

「アイ・サー!」

 

神谷の指示により『日ノ本』の砲火が止まる。変更にかかるのは、およそ1分。戦術機の上陸には間に合う。戦術機とて、対戦車砲を始めとする重火器に狙われては、流石に破壊される。何せ戦術機の後方のジャンプユニットと呼ばれるエンジン区画。あれ、ロケットランチャーとか無反動砲が命中しただけで爆発する。

流石に今回は上陸という関係上、浸透すれば話は別だが、現状では基本的に帝国軍と正面を向いて戦う上、側面攻撃される心配はない。背面は聨合艦隊と遠征打撃群がいる以上、まず間違いなく攻撃されない。今はまだ問題はないだろう。

 

「CP!こちらサラマンダー1!着上陸成功!これより攻撃を開始する!!」

 

『CP了解。現在上陸地点に『日ノ本』による煙幕が展開されている。同士討ちに注意せよ』

 

「サラマンダー1了解!」

 

一見すると煙幕は邪魔に思えるかもしれないが、皇国軍には何の問題もない。サーマルやセンサーで丸見えであり、戦術機には当然IFFが搭載されている以上、射線上に味方がいれば警告表示が出る。同士討ちの可能性もかなり低い。

対する帝国軍は攻撃を基本的に、全て有視界によるアナログ方式だ。レーダーもあるにはあるが、あくまでそれは捜索、探索用のレーダー。しかも早期警戒レーダーであり、こういう近距離での探索や煙幕による視界不良下での探索目的ではない。つまり帝国軍には見えず、皇国軍には丸見えという状況なのだ。

 

『撃ってきました!』

 

「向こうさんは同士討ちの心配はないからな。ラッキーパンチ狙いだ!発砲炎に40mmをお見舞いしてやれッ!!」

 

『了解!』

 

サーマルで見るとよく分かるが、陣地のあちこちでピカカカッと光っている箇所がある。そこに機関銃があるのだ。恐らく鉄筋コンクリート製だろうが、問題はない。

 

「歩兵想定のマシンガンでダメージは通らねぇぞ!」

 

サラマンダー1はお返しとばかりに、59式戦術突撃砲を撃つ。この突撃砲には40mm機関砲と200mm砲が搭載されており、40mmの方には榴弾が装填されている。

皇国基準、つまり現代戦に於けるトーチカなら厚さ数mの鉄筋コンクリートもあるだろう。だが彼らのトーチカは、大型砲塔でもない限り機関銃陣地で数mの鉄筋コンクリート製トーチカはない。40mm榴弾で簡単に破壊可能だ。というか榴弾の方が、ダメージが大きい。多分命中したトーチカの中は、榴弾の爆発と飛び散ってトーチカ内を跳ね回る破片で地獄だろう。

 

『警告。大型砲を検知』

 

「スキャンしてマーキングだ!」

 

『了解。シルエットスキャンを開始します』

 

いくつかの地点に対戦車砲や沿岸砲といった、高脅威目標がマーキングされていく。こういう高脅威目標は戦術機は当然として、現在上陸中の部隊を輸送する輸送艇にとっても脅威となる存在だ。最優先で叩く必要がある。

 

「APFSDSを食らいやがれ!!」

 

即座に40mmの下にマウントされた200mm砲に切り替え、APFSDSを砲台に叩き込む。対戦車戦闘を目的とした最強の徹甲弾を叩き込まれては、どんな砲台だろうと防ぐことはできない。大爆発を起こし、スモーク越しでもよく分かる程の爆炎を上げる。

 

「こちらサラマンダー1!沿岸地区N(ノヴェンバー)5-6一帯を確保!繰り返す、N(ノヴェンバー) 5-6一帯を確保した!」

 

『CP了解。サラマンダーは上陸中の海兵第五十八突撃機甲中隊に掃討を引き継ぎ、ポイントT(タンゴ)1-1まで前進。先行偵察を開始してください』

 

「サラマンダー1了解!第五十八突撃機甲中隊の上陸を確認次第前進する!」

 

暫くしてサラマンダー隊は海兵第五十八突撃機甲中隊に掃討任務を引き継ぎ、指示されたポイントまで前進する。同じタイミングで他の戦術機甲部隊も前進を開始し、着々とグランディス方面に向けて進軍を開始した。

 

『こちらスティールタイガー6!現在ポイントS(シエラ)2-3一帯を掃討中!敵抵抗は散発的だが、トーチカからの攻撃が散見される!』

「CP了解。ポイントS(シエラ)2-3での掃討を継続せよ。制圧完了後、ポイントK(キロ)4-1へ前進し、スティールシャーク5と合流せよ」

『スティールタイガー6了解!尚、約5分でポイントS(シエラ)2-3の制圧完了予定!』

 

「CPよりブラックホーク2へ。現在位置を報告せよ」

『こちらブラックホーク2!ポイントR(ロメオ)3-4上空を飛行中!敵上陸拠点からの対空砲火あり!被弾の恐れがあるため、高度を上げつつ偵察を継続する!』

「CP了解。対空砲火の発生源を確認次第、スティールレイン1へ攻撃指示を発令する。引き続き高度を保ちつつ偵察を続行せよ」

『ブラックホーク2、了解!対空砲火発生源を特定次第報告する!』

 

『こちら海兵第三十二機甲中隊!現在上陸中!!このままグランディスに向け侵攻を開始する!!』

「CP了解。戦術機甲部隊と連携し、グランディス方面へ進軍せよ」

 

中央作戦室の中央立体モニターには、大量の情報が表示され、地図上では忙しなく味方を示す光点が動く。そしてその度に、敵の光点が消えていく。

どうやら皇国軍が担当するジュリエット、キロの上陸は予定よりも早く進んでいるらしい。しかも被害は0な上、艦隊の残弾も予定より多い。このまま行けば、グランディスへ1番乗りするのは皇国かもしれない。

世界連合軍の本隊とでも言うべきムーを筆頭とする部隊は、ホテルとインディアに苦戦しつつも何とか攻略しているようだ。苦戦しているとはいえ、皇国軍による全面支援が入っている結果、想定よりも被害は少ないように見える。何れも、良いペースではある。

 

「んで、問題はミリシアルか」

 

「ですね。我々としては、このまま惰眠を貪りたいのですが?」

 

「惰眠を貪られるのはアレだが、まあ俺達が惰眠を貪ってた方がいいのは確かだな」

 

横に控える向上と軽口を叩きながら、神谷は用意された緑茶を啜る。実を言うと、惰眠云々というのは嘘ではない。今回の上陸作戦に、神谷戦闘団は戦力としてカウントされていない。それは何故か。理由は簡単、因数外の保険だからである。その為、フル編成ではなく白亜衆、赤衣鉄砲隊、白亜の戦乙女(ワルキューレ)、アサルトタイガーを連れてきているのみ。他は地上待機である。

 

「このまま待機で終われば良いんですけどねー」

 

「そりゃな」

 

軍人とは言え、2人も人間。何も仕事せずに給料が貰えるのなら、それに越したことはない。前線で戦っている将兵には悪いが、こっちはこれまでずーっと戦場生活だったのだ。少しくらい、楽をしたいというのもある。

 

「長官。ミリシアルの無線をキャッチしました」

 

「流せ」

 

「アイ・サー」

 

『……こちらミリシアル第4軍、第27降下旅団、旅団長ヴァルデン・クリュガー中佐だ!HQ、応答せよ!緊急通信!繰り返す、緊急通信だ!!』

 

『こちら司令部。クリュガー中佐、状況を報告せよ』

 

『……我々の上陸地点、プラチナスポットは壊滅的状況に陥った!敵の砲火と機甲戦力が圧倒的で、防衛線が全て突破された!!第一次上陸部隊は……80%以上が戦死、繰り返す、80%以上が戦死だ!!』

 

『司令部了解。現在の敵戦力について詳細を』

 

『敵の機甲部隊が少なくとも3個大隊!加えて沿岸砲台からの砲撃が止まらない!我々の戦車は全て破壊され、補給も完全に途絶した!航空支援も……我々の上空には届いていない!!』

 

『クリュガー中佐、現在の位置を維持し、第二波到着まで耐えろ』

 

『維持!?冗談じゃない!!兵士たちは限界だ!敵の戦車部隊が目前まで迫っている!戦線が崩壊するのは時間の問題だ!我々は包囲されている!このままでは全滅する!!』

 

『司令部了解。現在、ミリシアル第2軍より援軍を編成中だ。到着まで15分を要する』

 

『……15分!?それまで持つはずがない……!!司令部、頼む……皇国の航空部隊か例の巨大魔導人形部隊を送ってくれ!!我々だけでは無理だ……!!兵たちは死に絶える!!……お願いだ……!』

 

『……クリュガー中佐、繰り返す。援軍は現在編成中だ。皇国の支援は期待できない』

 

『くそっ……!司令部!敵が……!通信を切るな!!繰り返す、通信を切るな!!司令部、応答しろ……!』

 

中央作戦室にいた全員が唖然とした。何というか、酷いにも程がある。8割が全滅してるというのに、まるで機械のような受け答えに加えて、機械的な割に現場の状況が一ミリも伝わっていない。クリュガー中佐とやらには、同情しかない。

 

「………あー、ポイントM(マイク)のもありますが?」

 

「聞こう」

 

『こちらミリシアル第7軍、第13機甲師団、師団長エリオット・ファウスト大佐!司令部応答せよ!!聞こえているなら直ちに答えろ!!緊急通信だ!!』

 

『こちら司令部。ファウスト大佐、落ち着いて状況を報告せよ』

 

「状況報告!?落ち着けだと!?……第13機甲師団は壊滅寸前だ!!敵の火力が予想を遥かに超えている!機甲部隊が次々と撃破され、歩兵も持ち場を維持できていない!!援軍を送れ!!繰り返す、援軍を送れ!!」

 

『了解。ですが、現在援軍は準備中です。耐えられる限り現地で持ちこたえてください』

 

『持ちこたえろ!?何を持ちこたえろというんだ!?すでに防衛線は崩壊寸前だ!!敵戦車がこちらの前線を突破した!!このままでは……!!』

 

『ファウスト大佐、敵の戦力について具体的な情報を』

 

『戦力だと!?……くそっ!敵の機甲部隊は少なくとも50両以上!それも重戦車!!歩兵は数千規模!!空も制圧され、こちらの補給部隊は壊滅している!!これが具体的な情報だ!!それでも援軍を待てと言うのか!?現場の惨状が見えているのか!?』

 

『了解しました。状況は非常に厳しいと認識していますが、現在の作戦計画を優先する必要があります。敵の動きを引きつけてください』

 

『……引きつけろだと!?おい、本気で言っているのか!?……聞こえているのか!?こちらの戦力はほぼ全滅だ!戦車もほぼ全滅、残っているのは数台の軽車両だけだ!!今さら何を引きつけろというんだ!!』

 

『ファウスト大佐、落ち着いてください。我々は可能な限り迅速に対応しています』

 

『落ち着け!?……この状況で何をどう落ち着けと言うんだ!?……敵が……!!

クソッ!たった今、敵が第2防衛線を突破した!!こちらの部隊は退却中だが、ほぼ壊滅状態だ!もはや持ちこたえるどころか、生存者を撤退させるので精一杯だ!!聞いているのか、司令部!!?』

 

『了解。撤退については検討中です。引き続き現地で敵の動きを抑えてください』

 

『検討中!?……おい、ふざけるな!!こちらはすでに地獄だ!!……HQ、聞こえているのか!?応答しろ!!くそっ……このままでは全滅だ……』

 

いやもう、ミリシアルにマトモな上層部はいないのかとツッコミたくなる。いくら何でも酷すぎる。前線の人間を、死んでも痛くも痒くもない物言わぬコマか何かと思っているのかと叫びたくなるほどに。

別に皇国軍の兵士ではないのだ、何百何千死のうと知った事ではない。だが今、向こうが勝手に断ったり国際会議の場で色々あったとは言え、一応は世界連合軍の旗の下で戦っている。にも関わらず見捨てるのは、些か気分がいいものでは無い。

 

「…………向上」

 

「乗艦中の神谷戦闘団ラグナロク、アルマゲドン、アサルトタイガー、戦乙女(ワルキューレ)、赤衣に即座出撃態勢を取らせます。陸上待機中の他部隊にも、空挺強襲の準備を発令しましょう」

 

「頼む。HQより全軍最優先通信!現時刻を持ってHQの指揮機能を制限!以降、各CCP指揮官の指示の下、各部隊は当初の予定通り港湾都市グランディス攻略へ移行せよ!!ジュリエット戦域のCCPは以降、『弁慶』を指定する!!

これより本艦はリマ戦域の神聖ミリシアル帝国軍の支援に向かう!!最大船速で急行しろ!!!!宗谷!航路任せる!!」

 

「アイ・サー!面舵一杯!最大船速!!」

 

「面舵いっぱーい!」

「最大船そーく!!」

 

神谷の命令が飛ぶや否や、『日ノ本』は直ちに回頭しリマ戦域を目指す。のだが、これではマイク戦域を見捨てる事になってしまう。何せリマ戦域とマイク戦域はしっかり離れている。別動隊を向かわせる必要があるだろう。

 

「ハンドラーに連絡。猟犬(・・)を動かせ」

 

 

 

数分後 マイク戦域より後方120km地点上空

『統合軍司令より、直々の命令だ。失敗は許されない。だが、お前ならやり遂げられるはずだ』

 

ヘリコプターにしては大きすぎる、チヌークのようなプロペラ配置をした超大型ヘリコプターの後ろから、二足歩行兵器が現れる。戦術機と同じ人型ではあるが、どこをどう見ても明らかに戦術機とは毛色が違う。

 

『ミリシアルに恩を売ってこい 621』

 

『いつも通りです。私が「交信」で、あなたをサポートします。レイヴン』

 

「………了解」

 

M A I N SYSTEM

COMBAT MODE ACTIVE

 

 

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