最強国家 大日本皇国召喚   作:鬼武者

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すいません、ホントお久しぶりです。マジでお待たせしました。マジで2、3月忙しすぎて、書く気力ありませんでした。本当、申し訳ありません!!


第百十二話一難去ってまた一難

数日後 港湾都市グランディス 市庁舎前

「なぁ、俺帰っていい?」

 

「やめてください長官。あなたが蒔いた種とは言いませんが、一応の元凶でしょう?仕方がない上、あれが最善策だったとはいえ、責任はキッチリ取って頂かないと外に示しが付きません」

 

「デスヨネー………」

 

港湾都市グランディス。グラ・バルカス帝国に於ける、海の玄関口となるグランディス港湾に併設された都市である。しかし今は、知っての通り、バビロン作戦によって世界連合軍の占領下となっている。

当初グランディス市民は怯えに怯え、自分の娘や妻といった女達と子供を家の奥に押し込み、それを男達と女性も含めた老人達が守ろうとする程。というのもこの世界、及びグラ・バルカス帝国に於いては、大体占領後の都市や村は略奪からの強姦が定番の流れであり、ぶっちゃけ地獄が待っている。

しかし今回の戦争に限っては、全面的に指揮を取るのは大日本皇国。大日本皇国統合軍に於いて、そういう行為は通常の刑法で定めるよりも重い刑罰が課せられる。略奪行為は7年以上の懲役、強姦は懲役20年以上から無期、強盗殺人や強姦殺人であれば無期懲役か死刑となる。というか余りにも悪質だった場合は、その場で射殺される事もある程。今回は他国にも流石に同等とはいかないが、それでも各国憲兵隊による拘束を認めさせている。これにより占領地での犯罪は激減している。

 

「なんというか、浩三くんも大変ね。そんなに面倒なの?」

 

「前回の命令権剥奪だろ?それから占領後、好き勝手やってたミリシアル兵を大量に拘束。しかも抵抗し発砲してきたアホが居たとかで、やむなく発砲したのが7件。内訳は死者32名、負傷6名と。

剥奪、逮捕、からの射殺。なにこの役満。これでミリシアル側の、それも貴族派と会えとか何なの?俺は外交官じゃねーよ!!そういうのは慎太郎の仕事だろうがぁぁぁ!!!!!!!」

 

この状況に神谷が叫ぶが、その声が届くことはない。ちなみに激減と言いつつも犯罪自体は発生している。その割合で最も多く、というより発生件数の3分の1近く有しているのが世界最強(笑)のミリシアル軍である。

 

「あー、もしかしてそれで私達も付いてきてる感じ?いつもこういう会議って、ロックだけじゃん」

 

「そういうことか。偶にはロックの仕事について行くのも、悪くはないと思っていたが……」

 

「うん、君達。俺はロックで固定なのね?」

 

「だってロックさんはロックさんじゃないですか」

 

「あーはい、そうですね」

 

向上はレイチェルの影響により、エルフ五等分の花嫁よりロックと呼ばれている。元ネタは勿論、ロアナプラにいるロックである。「名前一緒だし、あっちの作品はヒロインがトゥーハンド言われてるから良いじゃん!」とか言ってレイチェルが呼び出し、そこから波及して今に至る。

 

「ほら行くぞー、行きたくねーけど。置いてくぞ、ロック?」

 

「長官まで言わんでください。私はトゥーハンドの方が良かったのに!レヴィは憧れかつ初恋なんです!!ね!?」

 

「おー、それを言うか大声で。恥ずかしくねーの?」

 

「今言って超後悔してます!!」

 

「あー、うん。ごめん」

 

ユルユルな馬鹿話を挟んで多少気が楽になったが、それでも憂鬱なのには変わりない。こうなってしまったら、もうこっちも覚悟決める他ないのだ。

という訳で入りたくもない上に、なんだか魔王城の様にも見えてしまうグランディスの市庁舎へと入る。面白いものでミリシアルの兵士達からは敬礼され、士官でもある程度年季の入っている者達からも敬礼される。しかし老若に関わらず育ちが良さそうな奴だったり、嫌味ったらしそうな奴は大体目を背け敬礼もしない。どうやら嫌われているらしい。

 

「こーきゅんを見て敬礼なしとか、あり得ないわ」

 

「仮にも他国軍のトップなのに、敬礼をしないなんて外交問題になりますよね」

 

「それだけ、ミリシアルの連中はクソって事じゃない?」

 

「こーら、レイチェル。そういう事を、ミリシアル基地のど真ん中で言わない。イチャモン付けられたら面倒でしょ?」

 

「ミーナ姉様の言う通りだぞ。お前達、少しは自重しろ」

 

「いや、自重すべきはお前らも同じな?」

 

「ミーナ中尉のは、最早フォローではなく単なる燃料投下ですしね」

 

なんだかんだ言っていると、目的の会議室についた。因みに敢えて、2時間ばかり遅刻している。当然その理由は、こんな会議に出たくないという意思に他ならない。

部屋に入ると、5人の高官達がイライラした様子で座っていた。ぶっちゃけ誰が誰だか知らないが、まあそれでも偉そうなのは分かる。

 

「…………神谷元帥。我々に待ちぼうけを喰らわせるとは、貴様、何様のつもりか?」

 

「何様って言うなら、まあ元帥様?あぁ、長官様と修羅様もあるか」

 

「何をいうか愚か者が!!!!」

 

そう言って立ち上がるは、ゲルハルト・フォン・シュタウフェンベルク大将。神聖ミリシアル帝国陸軍、世界連合軍派遣部隊司令官である。自称「世界最高の機甲部隊指揮官」らしいが、あのスパイダーの改修を認めない頭の悪い上層部の筆頭である。

能力も戦術に関する座学は一流だが、戦場での適応能力はゼロ。精神論を重視し「兵の士気が高ければ最新兵器に勝てる」と本気で思っている。敗北を認めることができず、責任を部下に押し付ける事もセットに付いてくるクソである。

 

「うむ。どうやら、皇国の程度が知れた様ですな。この様な阿呆が指揮官とは、皇国も恐るるに足らず」

 

そう言うのは海軍提督のフリードリヒ・フォン・グロースアッハト大将。いつぞやのタキオンの上司であり、海軍参謀総長も務める高級参謀である。大艦巨砲主義の戦艦至上主義者であり、ミリシアル海軍内でも評価が真っ二つに割れる男である。

 

「えぇ。情報によれば、どうやら家庭こそ上流階級でも、やる事なす事全てが野蛮の極み。我がミリシアル軍の高貴な指揮官には、遠く及ばぬでしょう」

 

メガネをクイクイしてる陰険野郎はヴァルター・フォン・ブラウンベルク少将。参謀本部作戦部長を務めるインテリであるが、実戦の経験がない坊ちゃんである。曰く「この世の全てはデータで解ける」らしい。尚、45歳にして未だ彼女もできたことが無いので、女心解けてない時点で理論は成立していない。

 

「落ち着きたまえ諸君。先輩として、ここは大目に見てやろうじゃないか」

 

そう言うのは、ミリシアル側のトップ。ルドルフ・フォン・アイゼンリッター元帥である。貴族派の中でも、かなりの有力者であり、自らも名門貴族の当主でもある、ミリシアル軍の顔役的存在だ。

 

「さて、それで神谷くん。今回の顛末、まずは謝罪を頂こう。その後で釈明があるのなら、それも聞いてあげよう。さぁ、始めたまえ」

 

「謝罪?謝罪ってなんだ?寧ろ謝罪を頂きたいのは、こっちなんだが」

 

信じられないとでも言いた気な顔をして愕然としているが、そうしたいのはこちらである。まあだが、それも良いだろう。別に何をほざこうが、こちらは知った事では無い。

 

「貴様ッッッ!!!!!!!」

 

ゲルハルトが掴み掛かろうと神谷に突っ込んでくるが、生憎とコチラは未だに最前線で刀両手に暴れ散らかす兵士。掴み掛かろうとする腕を掴み、そのまま投げ飛ばす。

 

「長官ー。それされたら、護衛たる私の意味無いですー」

 

「癖だもの。許せ。さて……揃いも揃って無能な、自称世界最強の軍隊(笑)を指揮する有ブフッww……ゆうのクフッwwwアァはっはっはっはっはっ!!!!!!ごめんごめん無理無理無理ッ!!コイツら有能と思う時点で笑いが止まらねぇわぁ!!!!!ヒィーーーーお腹痛ーい」

 

そう言って笑い転げる。勿論これは演技なのだが、後ろではエルフ五等分の花嫁と向上も笑いを堪えていた。一方の、神谷の代わりに言えば『自称世界最強の軍隊を指揮する有能な将軍の皆様』は、顔を真っ赤にしてプルプル震えていた。

 

「貴様ぁ!!!!なんと非礼な事かッッッ!!!!!!!」

 

「私を投げ飛ばすばかりか、その様な暴言まで吐くか小童!!!!!!」

 

「データでは日本人は礼儀正しいとあるが、どうやら違った様だな!!!!!」

 

「残念だよ、神谷くん。君がそんなにも愚かな奴だったとはね!!!!!」

 

ギャーギャーと、まるで発情期のサルの様に喚き散らかす将軍達。耳がキンキンして堪らない。

 

ズドォン!!!!

 

次の瞬間、部屋に爆発音の様な銃声が鳴り響き、薬莢が転がる音が静かに響く。神谷の手には、天井に掲げられた黄金の超大型拳銃が握られており、銃口からは硝煙が立ち昇っている。

 

「うるさい。全く、銃弾1発だってタダじゃ無いってのに。おう将軍共。何か勘違いしている様だから教えてやるが、俺はお前達と対談しに来た訳じゃない。一方的な、そう、言うなれば査問に来たんだ。

だが一先ず、サービスで答えてやる。今回の顛末……指揮権剥奪なのか、テメェらの不良兵士を拘束したり殺した件かは知らんが、まあどっちも答えてやろう」

 

そう言いながら、神谷は後ろに控える6人にハンドサインを送る。意味は『このエリアをカバー』というもので、要は臨戦態勢取って警戒しろという事である。それに従い向上は愛銃を抜き、エルフ五等分の花嫁達も自らの武器を構える。

 

「あぁ、そうだった。一応これでも、俺は知っての通り連合軍全軍の総司令であり、皇国の司令長官でもある。貴様らの様な居なくても問題がないクソ将軍と違い、俺は換えが効かない。だからこそ、こうやって保険を掛ける。

もし今後、さっきみたいに襲いかかってみろ。問答無用で殺す。お前らが将軍だろうが、大貴族の一員だろうが、それは神聖ミリシアル帝国でのこと。大日本皇国統合軍に貴様らの様な将軍は居ないし、我が祖国たる大日本皇国には、そもそも貴族というのが存在しない。非礼?無礼?知ったことか。んなしょうもない事より、俺の命がこの場では最優先される」

 

神谷の言葉には確実に、圧というものがあった。いつもなら、この時点で将軍達は噛み付くだろう。だが神谷の圧……殺気とすら言えるそれは、下手な事をしたら本当に殺す事を言葉に出さずとも表していた。

 

「さて、では話を戻そう。まず指揮権剥奪についてだが、これは言うまでもない。お前達が錯乱していたからだ」

 

「我らは錯乱などしておらんわ!!!!」

 

「左様!!ミリシアルの将軍を侮るでない!!!!!!」

 

「じゃあ素面であの指揮をしたと?戦力の80%が戦闘不能の壊滅、全滅の域を遥かに凌駕し、その状態で15分間粘らせようとした。前線を重戦車含む機甲部隊に突破され、補給品も喪失した状態で援軍を待たせようとした。上陸部隊の第一陣が壊滅し、その指揮官が目の前で死んだと言うのに「前進せよ。グランディス1番乗りの栄誉を目指し、神に祈って進軍せよ」とかほざいた、あの指揮が錯乱ではないと?」

 

本当に錯乱していたのなら、どんなに良かったか。コイツらは、ミリシアルの将軍達は、このどんな素人でもやらないであろう作戦を強行したのだ。当然、こういう指揮が必要な場合もある。どんな犠牲を払おうが守らねばならない、例えば首都や国の首脳部といった、絶対死守が必要な場合なら分かる。

だがこれは知っての通り、こちらが侵略している側なのだ。そんな死兵の覚悟なんて必要ないし、攻略が難しいなら色々とやりようはあった。自軍の支援砲撃を継続、再開させる。上空支援機を飛ばす。それこそ皇国を始めとした他の連合軍に援軍を要請する。パッと思いつくだけで、こんなにも対応策はある。にも関わらず、コイツらはしなかったのだ。

 

「神谷元帥。我々はミリシアル軍。いくら連合軍の指揮官とは言え、その様に文句を言われる筋合いはない!!」

 

「そうだとも!我々はミリシアル軍だ!!!!」

 

「貴様の様な若造の指図は受けん!!」

 

ヴァルターの発言に、ゲルハルトとフリードリヒが同意する。どうやら馬鹿が群れると、途端に面倒な馬鹿共へと進化するのは万国共通な上に異世界でも同じらしい。だが言わんとしていることは、わからんでもない。

 

「…………確かに、俺の指図を受けないというのは分かる。だが!それはミリシアル単体ならの話だ。お前達の上陸自体はミリシアル軍単独とはいえ、バビロン作戦は各戦区で各国が上陸する作戦。何処か一つの戦区で問題があれば、それは全軍への被害にも直結する。比喩ではなく、現実としてだ。

しかもあの作戦は前哨戦であり、帝国本土攻略の足掛かりだ。いきなりそれが頓挫しては、後の作戦にも被害が及ぶ。最悪、長期戦の泥沼が待っているかもしれない。それが分からないのか?」

 

別に神谷も、ミリシアル軍だけが被害を出すのなら止めはしない。寧ろ嬉々として、放置していただろう。しかし神谷は世界連合軍に参加する兵士達の命を預かっており、せっかくの共同歩調を乱す様なことは防がなくてはならない。ましてそれが、故意な過失であれば尚更だ。

 

「まあ、神谷くんの言う事も一理ある。だが我が軍の兵士を射殺した件、それは見逃せないよ?」

 

「これを見ろ」

 

そう言って見せたのは、皇国軍の憲兵が身に付けているボディカメラの映像。その映像にはミリシアルの歩兵一個小隊規模が村に強盗に入り、ついでと言わんばかりに若い女性や子供を連れ去ろうとし、それを止める男達がミリシアル兵のライフルで撃たれているシーンから始まった。そのタイミングで憲兵が到着し、銃は向けずにライトを当てて手を離す様に警告。

しかしミリシアル兵が発砲し、その弾丸が憲兵隊の1人に命中。機動甲冑により致命傷には至っていないが、それでも後ろに倒れ込む。やむなく憲兵隊が攻撃を開始し、そこに近隣の皇国軍部隊が増援に駆けつけ、そのまま銃弾飛び交う映画の様な戦場へと発展していった。

 

「とまあ見ての通り、そっちが先に撃ってきてるんだわ。それも問答も殆どなく、いきなりな。これは何処からどう見ても、我が軍の正当防衛だろう?」

 

これにはミリシアル側も黙るしか無かった。どうやら今回ばかりは、なんの弁明も無いらしい。

 

「さて。ここまで将軍としてはまずやってはならない、そんな愚行を厚顔無恥にもやってくれてた訳だが…………。選べ。俺に揃って更迭されるか、皇国軍の指揮官をアドバイザーとして設置し、その命令に従うか。どっちがちいい?」

 

「……………アイゼンリッター卿」

 

「誰か!!神谷元帥が乱心だ!!!!!拘束し連行せよ!!!!!!!!!」

 

ルドルフの叫びに、外からドタドタという足音が聞こえてくる。大方、隣にでも居たのだろう。

 

「向上、時間」

 

「凡そ2分」

 

「お前達、殺すな。押し通れ!!」

 

神谷がそう叫ぶと、即座にエリスがドア目掛けて大剣を横薙ぎに切る。本来なら人の手ではまず持てない質量が扉に衝突すれば、単なるドアなど簡単に破砕される。

 

「開けたわよ!」

 

だがどうやらミリシアル兵もまあまあ優秀な様で、既に扉の周りに大量の兵士達が居た。それを見つけるや否や、アナスタシアが即座に前に出る。

 

「蛇よ!!」

 

アナスタシアの持つレイピアには、刀身を無数の蛇に変え相手に襲わせるという能力が付与してある。元々は代謝を阻害して相手をグズグズにする危険な毒が使える蛇を生み出せたが、改良し麻痺毒と麻酔も使える様になっている。

 

「へ、蛇!?」

 

「剣が何で蛇になんだよ!!!!」

 

「シャーーーーーー‼︎‼︎」

 

明らかに噛まれたらヤバそうな、黄色い毒々しい蛇に兵士達は叫び声を上げる。その内、1人がカプリと噛まれ、そのまま泡吹いて倒れる。

 

「ぎゃー!!!!!!!死んだぁ!!!!!!!!」

 

「毒蛇だ!!!!!」

 

「殺せ殺せ!!!!!」

 

「そもそも殺せんのかよアレ!!??」

 

「うるせっ!!俺が知るかぁ!!!!!!」

 

本当は麻痺毒で倒れただけであり命に別状はないのだが、それでも噛まれた被害者は死んだと思うだろう。これだけでも戦意はかなり喪失できる。

 

「押し通れ!!外に出りゃ勝てる!!!!この程度の包囲、突破してみせろ!!!!!」

 

峰打ちとはいえ、それでも数キロの鉄の塊で殴られるのだ。気絶せずとも、痛みで悶絶する。向上の方も格闘術と、銃底で殴り付けて、格闘を続けていく。

1分半程で外に飛び出し、そのまま玄関付近に陣取った。流石にこの頃になると、他のミリシアル兵達もなんだなんだと集まりだし、周囲を取り囲まれてしまう。

 

「こ、こーきゅん?これどうするのよ…………」

 

「多分100人くらい居ますよこれ…………」

 

「まあミリシアル司令部だもんねぇ。そりゃいるか…………」

 

「で、この後の作戦は?」

 

「まさかノープラン、などとは言わぬよな?」

 

「作戦も何も、待つだけだ。なぁ、向上?」

 

「えぇ。来ましたよ」

 

空を見上げると、真ん中に突空、そしてその周囲に20機の戦術機が隊列を組んで広場へと降りてくる。他の戦術機がスラリとした流線型なのに対し、こちらはまるで重武装の甲冑の様な、分厚く、しかし流線型の美しい機体である。

 

「そういや、まだお前達は見たことがなかったな。コイツが浄龍。量産型戦術機としては現状最強の機体だ」

 

「これが例の最強機ですか………」

 

59式戦術歩行戦闘機『浄龍』は神谷タクティクスを始めとした、日本全国の軍需メーカーが作り上げた叡智と技術の結晶であり、現状では最強の量産型戦術機である。

この機体はF22ラプターの様なステルス機能こそ無いが、ある程度のステルス機能と、ステルス破りのセンサー群を搭載。大量の固定兵装と、先進的なアビオニクスを搭載している事により、遠近共に最強に仕上がっている。しかもついでに、コストも最強格である。

 

「浩三さん。なんか、向こうにもカラフルなのがいるけど……」

 

「ん?…………あれ、なんでアイツら居るの?」

 

「なんかメッチャカラフルだね」

 

「あのー、もしかしてアレって斯衛群ですか?」

 

大日本皇国斯衛群。通称『皇衛群』または単に『斯衛群』。何処かの皇国の主が戦術機を見た際、神谷に「斯衛軍、欲しくない?」と言った事から生まれた戦闘部隊。

普通なら税金の無駄だとか言われそうだが、そこは軍事アドバイザーとして神谷が陛下の理想を現実に落とし込み、戦力として戦略に組み込めるまでに作り上げた戦闘軍団である。

戦術機も特殊で下から黒、白、黄、赤、青、紫の何れかで全身塗装している。黒が新兵や一般兵、白が中堅、黄が射撃のエース、赤が近接のエース、青が上級指揮官、紫が総監という感じに色分けされている。ただしステルス機能に関しては、その限りではない。

 

『おーい、こーちゃん』

 

「いやまあ、紫いる時点で察してましたけどね。なんで居るのよ崇!!!!」

 

『いやー、だって面白そうだし』

 

「面白そうで皇族の総監が出てくんなよ!!!!」

 

因みに皇衛群総監は現皇族にして、皇位継承権も持っている崇仁親王である。神谷の同期だった男でもある。国防大学卒業後に空軍に行き、そこから技術屋として研究開発系に配属。戦術機やメタルギアの開発にも噛んでる男だ。

 

『いいじゃんいいじゃん。ってか、統合軍司令が同じこと言うかね?』

 

「…………俺は特別枠」

 

「長官、それ罷り通るのアンタだからですからね?」

 

『まあいいや。少し手伝ってやるよ』

 

崇仁は機体の外部スピーカーを起動し、わざわざ手に持っている日本刀タイプの59式戦術近接装備『泰平』を地面に突き刺す。その動きに合わせる様に、紫の背後に控える青と赤の浄龍も同じ様に地面に突き刺し、不動の姿勢を取る。その威圧感とカッコよさは、最早野郎のDNAに直接働き掛ける程のものだ。

 

『神聖ミリシアル帝国軍将兵に告げる。こちらは大日本皇国斯衛群総監、長門宮崇仁である。直ちに戦闘行為を停止し、武装を解除せよ。我が友にして、我らが忠臣、神谷浩三・修羅の行手を阻むというのなら、覚悟するがよい。我ら皇国斯衛群、喜んでお相手しよう』

 

「なんかその、ノリッノリですね…………」

 

「アイツ、ああ言うのに憧れてたんだわ。夢叶ってよかったねー」

 

崇仁渾身の演技も相まって、ミリシアル兵に動揺が広がる。ここで神谷が更にもう一押しすれば、いい感じに収まるだろう。

 

「ミリシアルの野郎共!!テメェらの上は、テメェらの事を盤上の駒にしか思ってないぞ!!テメェらの生き死には、リスト上の数字の増減に過ぎないと考えるクズだ!!!!!」

 

「…………ねぇ、ロック。浩三くんのアレ、外交問題にならないのかしら?」

 

「それを気にするなら、俺は苦労してない」

 

「真顔で言うわね………」

 

本来なら即周りの部下が止めに入るだろうが、もういつもの事である。諦めるしかない。

 

「テメェら死にてぇのか!!戦場で無様に、それも味方が原因で死ぬのがお望みかぁ!!!!!そんな訳ねーよなぁ!!!!!!!」

 

神谷の叫びに、ミリシアルの兵士達が雄叫びを挙げる。庁舎に入った時に感じたように、やはりミリシアル兵は皇国よりなのだ。反日やってるのは、上の極一部だけ。そして軍隊とは、常に兵及び下士官の方が多い。

 

「お前達!!自由を勝ち取れ!!!!テメェらの手で、テメェらの運命捻じ曲げろ!!!!曲がりなりにも世界最強の座に居たんだろうが!!!!俺達皇国は世界最強と謳われ、常に運命を自分で切り拓いたぞ!!!!捻じ曲げても来たぞ!!!!世界違えど、同じ世界最強なら、出来るはずだッ!!!!!!」

 

神谷に焚き付けられた兵士達は庁舎に我先にと飛び込み、上へ上へと目指していく。そして程なくして、あの将軍達は兵士達に拘束されて出てきた。

 

「神谷閣下。私はオーリッツ准将です。この馬鹿どもを拘束した今、私が最上位階級者です。ですのでどうか、お願い致します」

 

そう言ってオーリッツは頭を下げる。それに合わせて、他の兵士達も頭を下げる。

 

「どうか!私達を無駄死にさせない将軍を派遣するよう、皇国から圧力を掛けては貰えないでしょうかッ!!!!!」

 

本来、こんな事はあり得ない。だが今のミリシアルは、貴族派という癌が巣食っている。しかもそれは根深い。

 

「………いいだろう。絶対に派遣させるという確約はできないが、皇国の三英傑、世界連合軍の総司令、そして!」

 

神谷はオーリッツの肩に手を置き、周りのミリシアル兵達を見渡す。そしていつも、神谷戦闘団の面々や自分の部下達に見せるような、不敵な笑みを浮かべる。

 

「そして、同じ戦場を駆ける戦友として、約束しよう」

 

「……あぁ………ありがとう……ございます………!!」

 

次の瞬間、兵士達から歓声が上がる。ちゃっかりそれに合わせて、後ろの戦術機も手に持ってる武器を空高く掲げた。それを見て、さらに歓声が上がる。

神谷達はそのまま神谷専用カラーの突空に乗り込み、皇国軍の陣地へと帰還する。

 

「所で長官。あんなこと言って、良かったんですか?」

 

「あー、圧かけるってヤツ?」

 

「はい。内政干渉みたいなものですよ?」

 

「まあ言わんとする事は分かるけど、流石にあんな無能と轡を並べて進軍はできねーだろ。まあ、圧掛けは慎太郎と健太郎に任せるさ。アイツらもアイツらで、俺以上にフラストレーション溜まってるからな。今回ばかりは、多分ノリノリでやるぞ」

 

実を言うと、今回のパフォーマンスはミリシアルに恩を売るだけではない。この後起こることの為にも、ミリシアルには良い顔をしておきたいのだ。特に現場で働く、ミリシアル兵達には。

神谷が窓から外を眺めていると、個人用の携帯が鳴る。Bluetoothで耳小骨振動のインカムとARコンタクトレンズに繋がってるので、素早くそれで出る。

 

「はいもしもし?」

 

『神谷さん!良かった、お久しぶりです!!』

 

「マイラスさん?どうしたんですか、いきなり」

 

電話の相手は久しぶりの登場、マイラスであった。この男、どんな男かと言うとムーの技術士官であり、皇国に最も精通した士官の1人でもある。そして、神谷の個人的な友達兼同志でもある。

 

『神谷さん、いえ、神谷閣下。その、大変申し上げ難いんですが……』

 

「俺に着電って事は、かなりの事態ですね?」

 

『はい………。我が国の戦術機が強奪されました』

 

「は?」

 

神谷は気が遠くなりそうになるのを、必死で抑えながら話を聞く。どうやらMig21バラライカ一個連隊、F4ファントム二個大隊、F5Aフリーダムファイター三個連隊分の戦術機がゴッソリ消えたらしい。正確にはこれを輸送していた船団が、忽然と姿を消したそうだ。

 

『現在捜索隊が出ていますが、付近に船団乗組員や兵士の射殺体が浮かんでいまして……。我が国は強奪されたと考えています』

 

「強奪………わかりました。こちらでも動きましょう」

 

『ありがとうございます。今後、恐らく数時間後には各ルートで正式にお話が行くと思いますので』

 

「分かりました」

 

神谷は電話を切ると、溜め息を吐く。一難さってまた一難、よりにもよってミリシアルの問題片付いたと思ったらこれかと。

 

 

 

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