最強国家 大日本皇国召喚   作:鬼武者

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第十二話フェン王国決戦 後編

先の海戦より3時間後 フェン王国近海

ここには現在、パーパルディアの誇る正規軍が展開していた。日本軍の事前情報では精々数十隻しか残っていない計算なのだが、その艦隊は先行部隊であり本隊は先程到着したのである。その数、200隻以上。しかもその殆どがフィシャヌス級100門級戦列艦であり、更には最新鋭のフェルデナンテ級200門級戦列艦が計8隻組み込まれているのである。

まあ日本軍からすれば、たとえ最新鋭のフェルデナンテ級を一万隻揃えようが、百万隻揃えようが、唯の案山子か憂さ晴らしのサンドバッグに他ならない。

 

「やはり我が皇国の戦列艦はいつ見ても美しい。戦列艦こそ男の浪漫であり、至高の船舶だ。そうは思わんか?」

 

老齢であるが、歴戦の猛者でパーパルディアの誇る将軍の一人、シウスが副官のダウダに尋ねる。

 

「えぇ。特にこのフェルデナンテ級は素晴らしく思います。こんな艦は、他の列強ですら圧倒するでしょう。文明圏外国の民に見せようものなら、もしかすると神として崇められるやも知れませぬ。それにこの艦隊であれば、上位列強のムーやミシリアル帝国すらも討ち破れる事でしょう」

 

ダウダが熱く語っているが、シウスは上位列強の部分を疑問に思っていた。

 

(本当に勝てるのか?彼の二カ国は、鋼鉄の船を持つと聞く。我が海軍の新鋭艦も装甲を持ってはいるが、その装甲もあくまで後付けのような物。最初から鋼鉄で作った艦には負ける。

それに搭載している兵装も「回転砲塔」なる兵装を搭載し、砲門数こそ我らが優っているが、その命中精度や威力、果ては装填速度すら我が方の惨敗だと言うのだが)

 

経験豊富な指揮官だけあって、目の付け所が違う。現実や情報を客観的に分析し、しっかりと物事を考えている。

 

「ところでダウダよ。今回の敵である大日本皇国とやらについて、君はどう思う?」

 

「大日本皇国?皇国を名乗る蛮族国家ですよ。ロウリア程度は滅ぼせるようですが、我が皇国の敵ではありません」

 

「そうか」

 

しかしシウスはある情報を持っていたのである。その情報とは「大日本皇国は鋼鉄の地竜と鋼鉄の飛竜を操り、兵士達は空を舞い、姿を消し、謎の二足歩行の使い魔や謎の魔導を操る」という情報である。まるでお伽話ではあるが、これはシウスが個人的に交流のある信頼できる商人達が言っていた事であり、中には人伝いに聞いた者も居たが、実際に見た者も居たのである。

 

(もしこの話が本当だとすれば、大日本皇国は神聖ミシリアル帝国をも上回るやもしれぬ。そうなれば、我が艦隊とてどれだけ持つか)

 

「敵艦発見‼︎距離、約20km‼︎なんだアレは.......」

 

「見張り、規模は⁉︎」

 

ダウダが見張りの兵に怒鳴る。

 

「規模は見た事も無い巨大艦、推測1000m以上の巨大艦一隻です‼︎」

 

「1kmだと⁉︎ふざけているのか‼︎」

 

「ふざけてなどいません‼︎本当に1000mは確実にあるんです‼︎」

 

シウスはこの報告で悟ったのだった。商人達が言っていた情報は本当であり、この艦隊は蹂躙されるのみだということに。

 

 

 

超戦艦「素戔嗚尊」艦橋

「全艦に伝達‼︎各艦一斉回頭、砲雷撃戦よーい‼︎」

 

「全艦一斉回頭、旗艦に続かれたし」

「取り舵90°」

「取り舵90、ヨーソロー」

「砲塔旋回、直接照準にて敵艦を叩く。方位145、仰角14°、弾種榴弾。砲撃よーい‼︎」

 

艦隊司令の命令に従い、大和型各艦も行動を開始する。それに並行して水兵達が慌ただしく動き、砲塔が敵艦を指向していく。

 

「いよいよ戦艦対戦艦の砲撃か。これは絵になるぞ」

 

技術士官でもあり、兵器オタクでもあるマイラスが目を輝かせる。一方ラッサンは綺麗な一斉回頭をしていく戦艦に、その高い練度と確かな技術がある事に感心していた。

 

 

 

 

「不味い‼︎砲撃来るぞー‼︎衝撃に備えぇぇぇ!!!!」

 

一方でパーパルディア側は、見た事もない大砲に睨まれて絶賛大パニック中である。応戦しようにも距離が離れすぎていて届かないため、兵士達は艦内を逃げ惑う他ない。

 

「おい光ったぞ‼︎」

 

水兵の誰かが言った瞬間

 

 

ドゴォォォォォォン!!!!

 

 

耳がイカれる程の轟音と、巨大な水柱が至る所に上がる。一番小さい物ですら戦列艦を5隻は空高く舞い上がり、一番大きい物だともう集計不可能な程な数が文字通り吹き飛んだ。

 

「将軍‼︎シウス将軍‼︎ご無事ですか⁉︎」

 

「あ、あぁ。大丈夫だ。ダウダよ、被害を報告せよ。ダウダ?ダウ、.......」

 

そこには自分の副官であり、数々の戦場を共にした戦友の変わり果てた姿があった。運が悪い事にさっきの砲撃で吹き飛んだ戦列艦の魔導砲が、上から降ってきて下半身を潰していたのである。

 

「誰か‼︎被害を、被害を報告せよ‼︎」

 

そう言うと士官クラスの水兵が駆け寄り、その場に跪いて報告する。

 

「申し上げます‼︎我が艦隊は敵の攻撃により、壊滅。現在マトモに浮いているのは本艦と、他3隻のみです。その浮いている船ですら火災や浸水、若しくは残骸が降り注ぎ見るも無惨な姿です。復旧は絶望的でしょう」

 

その報告を聞くと、余りの被害に力が抜ける。そりゃあ200隻以上の大艦隊が、たった1回の砲撃で4隻まで減ったのだから無理もない。

 

「我々は、もしかすると神の逆鱗に触れてしまったのやも知れぬ。水兵、貴様の名は?」

 

「ハッ。第58番砲、砲長、ヤガーラです」

 

「ヤガーラ君、直ぐに総員退船命令を出してくれ」

 

「ハッ‼︎総員退去ー‼︎総員退去ー‼︎」

 

ヤガーラが艦中を叫びながら走る。それを聞いた別の水兵がまた叫び、ドンドン広まっていく。他の艦にも手旗信号や旗で「総員退船」の命令が伝心されていく。

 

(最早、これまでか。敗戦の将として、歴史に名を刻むのか。だが悔いはない。負けはしたが、あんな美しい戦列艦に討たれるのならば、誇りにすら思う)

 

「迷惑を掛けたなぁ。大丈夫、私はいつまでも共に居るぞ」

 

そう言うと乗艦の甲板を撫でて、パーパルディア皇国の国旗と海軍旗を取って海に飛び込む。

 

 

 

「終わったな。敵ながら、少し可哀想に思えるわい。だが、これが戦争だったな」

 

「ですな。救助隊は出しますか?」

 

「無論だ。揚陸艦隊に連絡し、護衛の駆逐艦、それから大和型も4隻をここに残すように伝えろ。戦艦は進むが、救命筏とヘリコプターはここに残せ」

 

「アイ・サー‼︎」

 

この命令は各艦にも伝達され、艦隊はニシノミヤコを目指して進む。進んでいる中、観戦武官である二人は総旗艦の素戔嗚尊から別の艦へと移ろうとしていた。だがしかし、この移り方に問題があったのである。

 

 

 

素戔嗚尊甲板

「こ、これに乗るんですかぁぁぁ!!!???」

 

「はい」

 

「いやいや、どう考えても危ないでしょ!?下手したら海水浴ですよコレ!!」

 

「安全です」

 

マイラスとラッサンが絶叫するのも無理はない。なんと移り方が「この椅子に座って、航行しながら空中ブランコみたく彼方に移ってもらいます」という中々に狂気じみた方法だったのである。

 

「さあ行ってらっしゃい!!」

 

無理矢理座らせて、有無も言わさずに空中ブランコをしてもらう。

 

「ギャァァァァァァァァァ!!!降ろしてくれぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

最初に捕まったのはマイラスであり、大絶叫する。続くラッサンも同じように大絶叫し、降り立った突撃重装巡洋艦「遠賀」の甲板で目をまわしていた。因みに最後に乗り移った少佐に、二人して恨めしそうにしてたのは言うまでもない。

 

「ところで、この艦は一体どんな戦い方をするのですか?」

 

「それは見てからのお楽しみですね」

 

 

 

ニシノミヤコ海岸近く

「これより突撃を開始する。各艦、突撃隊形に移行せよ‼︎」

 

司令の声が響き、様々な準備がなされていく。

 

「全艦突撃隊形、誘導赤外線掃射開始」

 

「それでは我が海軍独自の戦法の一つ、「装甲突撃戦」についてご説明します。この戦法は海軍の保有する突撃艦が行う戦法で、要約しますと「速力と機動力を生かして敵の懐に飛び込み、高速かつ正確に目標の弱点を攻撃する」というものです」

 

「それだと敵の反撃で味方は何十隻もやられ、人的にも物資的にも被害と合わないのでは?」

 

マイラスの意見も尤もである。確かにタダの突撃では、下手したら返り討ち、良くても甚大な被害が出るのは間違いない。

 

「確かにその通りです。ですので、突撃艦な訳です。この突撃艦というのは、並大抵の砲撃ではダメージが入らない装甲を持っています。恐らく沈めるとなると、戦艦の主砲、それも大和レベルの砲撃が必要となります。

更に機動力も高く、具体的には超音速ミサイルというマッハ5.0以上の空飛ぶ兵器を回避可能です。速力も本艦なら最大で70ノットを叩き出します。当てるのも難しく、当たったところで意味をなさない。その条件を満たしてこその突撃戦法なのです」

 

「素戔嗚尊も中々に化け物な性能でしたが、此方も負けず劣らずですね」

 

マイラスのコメントに、ラッサンも隣で頷く。

 

「少佐、そろそろ突入するぞ。お客さん方にシートベルトを着用させてくれ」

 

「アイ・サー」

 

「それではお二人とも、此方の座席にお座りください」

 

言われた通りに座ると、椅子が急に変形して立ったままで固定される。

 

「今から揺れますから、船酔い対策ですよ」

 

混乱するのを見越して、質問される前に回答しておく。そうこうしている間に、艦隊は一気に最大推力で突撃を敢行する。

 

 

パーパルディア皇国海軍 輸送船「ゴメード」

「船長‼︎敵艦が物凄い速さで突っ込んできますー!!!」

 

「護衛が蹴散らしてくれるさ」

 

護衛の戦列艦が魔導砲を撃つが、勿論効くわけない。それどころか凹みすら与えられていない。

 

「んな豆鉄砲が効くか‼︎主砲、撃ちまくれ‼︎」

 

まずは先頭の遠賀が発砲し、一番手前の船が蜂の巣となる。日本艦隊はそのまま突撃し、真ん中の突撃艦が主砲を雨のように降らせて材木片に加工していく。

 

「これが突撃戦法になります。突撃隊は重装巡洋艦を先頭と後部に一隻ずつ配置して、真ん中に4隻の突撃艦を配置します。これにはそれぞれ名称があり、先頭は「舵取り」、突撃艦は「狩り方衆」、後部は「後追い」と言います。一度突撃した後、その場で旋回し舵取りは後追いに、後追いは舵取りとなって、また突撃します」

 

そうこうしている間に艦が大きく右に揺れる。ちょうど今、旋回して再攻撃の準備中なのである。

 

 

「また来ます!!船長、どうしますか!?」

 

「て、撤退しろ‼︎この魔の海域から逃げるのだ!!!!」

 

さっきの突撃で護衛の戦列艦10隻が沈没し、残るは武装という武装のついていない輸送船、58隻のみとなったのである。

しかも輸送船のため、速力も低く直ぐに追いつかれてしまう。

 

「そぉら、逃げる奴には砲弾をプレゼントだ‼︎かかれぇ!!!!!」

 

日本艦隊は何度も攻撃を仕掛け、ドンドン殲滅していく。最早突撃戦隊からしてみれば「ちょっと豪華な的」程度の代物であり、パーパルディアの輸送隊には一人の生存者も居なかったのである。

 

「旗艦に連絡。「制海権は我が手中に有り」以上だ」

 

この連絡を受けると、揚陸艦隊が進出。ニシノミヤコの海岸に上陸を敢行する。更に海上からも超戦艦「素戔嗚尊」を始めとする戦艦からの支援砲撃と、素戔嗚尊搭載の艦載機による近接航空支援によってニシノミヤコの基地は完全に破壊されたのであった。

ではここで、時をフェン王国近海での海戦の辺りに戻そう。

 

 

 

フェン王国近海での海戦が始まった頃 ゴトク平野日本軍陣地

「村今閣下、偵察班からの報告です。現在パーパルディア皇国軍はゴトク平野入り口に入っており、進行速度は遅いながらも此処を目指しているのとの事です」

 

「ご苦労だったな。あ、煎餅いるか?」

 

「ハッ‼︎頂戴いたします」

 

この村今は、前回も書いた通り部下を大事にする人間である。そのため、何か報告に来る兵士が居て、もし自分が何か食べていたら分けたりしてくれるのだ。緑茶好きであるため、大体煎餅や団子などの和菓子が多い。因みに貰えるのが分かっているので、兵士達は報告に行くのに必死だったりする。

 

「さてと。じゃあ、我々も行こうか」

 

村今が軍刀を手にし立ち上がると、幕僚達も立ち上がり後に続く。テントから出ると、既に兵士達が並んでおり村今らを敬礼で出迎える。

 

「さあ諸君、いよいよ戦いの時だ。日頃の猛訓練の成果を、存分に出してほしい。パーパルディアの装備では、恐らく我々にダメージを与える事は出来ないだろう。だが、だからと言って油断はするな。いついかなる時も我が日本民族の誇りと大和魂にかけて、武士道精神を持って敵を討ち取れ。

それから敵の降伏手段なのだが、白旗を掲げるように話を通してあると神谷長官が言っていた。だから白旗を掲げていた場合は、戦闘行動を即座に中止しろ。それ以外は全て無視(・・・・)しろ。以上だ」

 

最後の言葉が言われると、敬礼し士官や下士官が命令を伝達していく。

 

「ヘリコプター、離陸準備。軍団の警戒にあたれ」

「第6戦車師団、前へ!!」

「重装歩兵隊、搭乗急げ」

 

「将軍、我々も行きましょう」

 

「あぁ」

 

幕僚の一人が声を掛け、47式指揮通信車に乗り込む。

 

「全員乗られました?」

 

「あぁ、私で最後だ。行ってくれ」

 

「はい。えぇ、この装甲車はゴトク平野、前線行きです。お乗り間違えないよう、ご注意ください。発車します」

 

どこぞのバス運転手みたいな事を言う運転手に、幕僚一同大爆笑である。何故かアナウンスのイントネーションは電車、なのに言ってる事はバスという謎の事に村今将軍も腹抱えて笑っている。

 

「運転手、良いゾォ。少し気が紛れたよ」

 

幕僚の一人がそう誉める。ただ「良いゾォ」の言い方が、完全に某七つのボール集めてる、主人公が実質無職のパラガスだったため、また大笑いする。そんな平和な空気の中、戦場へと進むのであった。

 

 

 

ゴトク平野中間地点

パーパルディア皇国陸戦隊の15,000名はこのゴトク平野に至り、布陣を整えていた。この平原を抜けると首都アマノキに至る。この場所では、フェン王国軍が死に物狂いになって突進してくる事が想定されていた。

しかし15,000名の歩兵に加え、最強(笑)の地竜、更にはワイバーンロードまでいる事から来る絶対の自信。ドルボはいやらしい笑みを浮かべる。

 

「フフフフ。これでいかなる戦力が来ようとも、負けるはずがない!!」

 

一呼吸おいて、命令を下す。

 

「よし、進軍するぞ‼︎」

 

上空にワイバーンロードが40騎天空に舞い上がり、進軍進路上の偵察を開始する。横1列に並んだ地竜を先頭に、隊は進む。

 

「首都アマノキを落したら、そこの人間はやりたいようにするよう兵に伝えろ!!」

 

「「「「「「「ウォォォォ!!!」」」」」」

 

兵士達はピーーとかピーーな事を想像して、色々勃ったりしていた。

 

「今回も、必ず皇国が勝つ!!」

 

ところがその自信は、いきなり崩壊する事になる。

どういう訳か先行していたワイバーンロードが突如として爆発、肉片が舞い落ちる。

 

「何が起きた!!??」

 

その瞬間、上空に耳をつんざくような爆音を轟かせて、奇妙な形をしたワイバーンが何十騎と通過する。その翼には、太陽の赤丸が輝いていた。

 

「だ、大日本皇国軍だ!!」

 

今度は先頭の歩兵集団の上に、さっきとは別タイプのワイバーンが現れ黒い何かを投下して飛び去る。その黒い何かは、地面に当たるや否や爆発して歩兵を吹き飛ばす。恐怖によるパニックが兵士にも伝染し、混乱が一気に生じる。

 

「狼狽えるな。海軍に支援要請をしろ。今回我が軍は、最新の竜母艦隊を連れているではないか」

 

「ハッ」

 

そう言って魔信を使うが、どういう訳か連絡がつかない。それもその筈、もうこの頃には海戦は終結しており、お目当ての竜母は海に沈んでるか、木片となって海を漂っている。

 

「連絡つきません!!」

 

「どうなっているのだ.......」

 

ここでニシノミヤコ基地からの魔信が入る。

 

「こちら侵攻軍、はい。はい?なんですって!?」

 

「どうした?」

 

「りゅ、竜母艦隊が、大日本皇国軍の攻撃を受け、全滅。シウス将軍以下、将兵達の安否は誰一人として分かっていない、と.......」

 

この報告を受けた瞬間の将軍の顔は、なんともに尽くし難い顔となっていた。2種類のワイバーン、もといF9心神とA10彗星の攻撃は凌いで安心していたものの、この報告により敵がフェン王国から大日本皇国へと変わった事により、一気に希望の光が薄まったのでる。

 

「は、ハハハ。ハハハハハハ!!諸君‼︎きっと竜母艦隊は、攻撃ではなく嵐にあったのだ。そうだ。そうに違いなぁい‼︎あの艦隊が負ける筈もないし、兵士がやられたのも偶々だ。そうだよな?」

 

完全に現実逃避に走る将軍。幕僚達もそれに連れられ、共に現実逃避へと逃げる。

 

「さあ、軍を進めろ‼︎」

 

 

 

『こちらピークォード01、パーパルディア皇国軍は尚も進行中。後5分で、砲の射程に入ります』

 

OH8風磨からの通報により、待機していた自走砲部隊に命令が下る。

 

 

「師団長、砲撃命令が来ました」

 

「よーし、命令に従い砲撃を行う。諸元入力始めろ」

 

「ハッ‼︎」

 

ピークォードからの情報を基に諸元が入力され、それに合わせて44式230mm自走砲、130mm榴弾砲、53式多連装ロケット砲が照準を定める。

 

「撃ち方用意よし」

 

「撃てぇ‼︎」

 

ドドン!!

シュワァァァァ

 

一斉砲撃で、砲弾とロケットが撃ち出される。ピークォードからの情報、更には衛星を用いたリアルタイム戦術リンクにより寸分の狂いなく降り注ぐ。

この砲撃により歩兵1,934名と地竜が9頭が排除され、先の爆撃も含めると合計歩兵5,081名、騎兵435名、地竜17頭、魔導砲31門が排除されたのであった。

 

『こちらピークォード、戦果は大戦果、大戦果なり』

 

この報を受けると、すかさず次の指令をだす。今度の司令は、戦車と歩兵の突撃である。

 

 

「行くぞ!!全車前へ!!」

 

ギアがNからDに入り、陸の猛者達が動き出す。今回連れてきた第5〜7戦車師団は、元々東北地方沿岸部の守備を担当していた部隊である。つまり配備してる車両が「陸上戦艦」の異名を持つ46式戦車と、その随伴用に開発された34式戦車改なのである。

 

「敵地竜来ます‼︎」

 

「けん引式魔導砲であの化け物を仕留めろ!!」

 

けん引させてきた魔導砲で最前列の鉄竜、46式戦車に狙いを定める。

 

「一番近い敵に集中砲火!!!!」

 

ドドドドドーン

 

複数の魔導砲の弾が最前にいた46式戦車に降り注ぐ。大地が削れ、土煙が立ち上る。奇跡的に49門の魔導砲のうち20発が46式戦車に命中し、煙に包まれる。

 

「敵、鉄竜に20発命中!!!」

 

「フハハハハハ!!調子に乗りおって!!他の鉄竜も片付けろ!!」

 

魔導砲着弾の爆炎の中から命中したはずの鉄竜が何事も無かったかのように現れ、走り続ける。

 

「ま、まさか、全く効いていないのか!!?」

 

「そんな.......そんな馬鹿な!!」

 

そりゃあトマホークミサイル3発ぐらいなら余裕で耐えられる装甲を持った戦車に、たかが花火程度にちょっと爆発する砲弾が勝てる訳ない。

 

「奴らに「礼儀」ってのを教えてやれ。撃て!!」

 

「待ってました!!」

 

皇国軍の反撃が始まる。まずは最前列に居た魔導砲と、牽引していた地竜である。勿論全弾命中し、ついでに砲弾にも引火して大爆発を起こす。かろうじて2、3門残ったため、反撃に出るパ皇軍。しかし

 

「魔導砲よーい、撃」

 

「撃て」と言おうとした瞬間に吹き飛ぶ。まさか反撃がここまで速いとは思わず、呆気に取られる兵士達。更に追い討ちを掛ける出来事が起きたのだ。なんと、鉄竜が引いたのである。

 

 

「一体何が目的だ?」

 

愛馬の上から様子を見守っていた将軍が首を傾げる。その少し後、さっきのワイバーンのような音が聞こえる。しかし今度は甲高いが、少し太く感じる。空を見ると巨大な機体が何かを落としたのであった。

 

ブモォォォォォォ!!

 

その正体は牛のような鳴き声を上げる、二足歩行の地竜であった。

 

「化け物だ!!」

「ぐぼっ」

「誰か‼︎潰され」

「来るなぁ!!来るなぁ!!」

 

WA2月光のイ、ロ、ハ、ニの全型の登場により大混乱に陥るパ皇軍。地竜の火炎放射やらを使うが、勿論効く訳ない。更にステルス迷彩で密かに忍び寄っていた歩兵20連隊、重装歩兵14連隊の数の暴力により殲滅を開始する。

 

「なんでだ‼︎なんで銃が効かないんだ‼︎」

「化け物だ‼︎」

 

そりゃあ最低でも7.62mmクラス、最高で12.7mm弾にも耐えられる装甲を持っているのにマスケットでは敵わない。

 

「撃ちまくれ」

「おうよ‼︎」

「そーら、弾丸の押し売りだ!!」

「ぶっ飛ばす‼︎」

 

ある者は頭を撃ち抜かれ、ある者は肉片に加工される。またある者はハンマーで空高く打ち上げられ、体中が曲がってはいけない方向に曲がって死んだり楽な死に方すらさせてもらえず、ただただ粛々と殲滅されていく。

 

「将軍!!最早これまでです!!一度ニシノミヤコに戻り、軍を立て直してください‼︎」

 

前線で指揮を執っていた幕僚の一人が血相を変えて戻ってくる。

 

「わかった。私は一度逃げて敵をやり過ごすから、お前達は降伏しろ。お前達は殺されるまで時間がある筈だから、その間に軍を率いて戻ってくる。後は収容施設ごと敵を根絶やしにするぞ」

 

この命令に従い、将軍は生き残った騎兵数名を連れてニシノミヤコに撤退した。一方で幕僚達は降伏の合図の旗を左向きに回し始めた(・・・・・・・・・・・)のである。

 

 

「おい、何をやってんだ?」

 

AH32薩摩に乗っていたパイロットが、その奇妙な動作を見つける。

 

「降伏の合図ですかね?どうします?」

 

「曹長、閣下の言葉を思い出せ。確か「白旗以外の降伏方法は無視しろ」だったな。つまりアレは降伏の合図なのかもしれないが、我々の提示した方法ではない。もしかしたら何かしらの魔術の類やもしれない。だから、殺す‼︎」

 

パイロットは操縦桿を握りしめ、ロケット弾のトリガーを引く。ロケット弾は発射され、兵士を吹き飛ばす。

 

「恨むなよ。恨むなら、俺の弟を殺した祖国を恨みな」

 

このパイロット、実を言うと処刑された日本人被害者の遺族だったのである。

 

「我々は降伏したのに.......。蛮族めぇぇぇぇぇ!!!!」

 

幕僚の一人であった名も無き一人の男の絶叫は、ロケット弾の炸裂音と兵士達の悲鳴により掻き消され、地獄の釜の底へと落ちていくのだった。

 

 

 

ゴトク平野の戦いより1時間後 ニシノミヤコ近郊

パカラパカラパカラパカラパカラ

 

一方で逃げ延びていた将軍はと言うと、無事にニシノミヤコまで逃げ切ろうとしていた。

 

「おお‼︎ニシノミヤコだ!!!」

 

将軍は歓喜と安堵の笑みを浮かべる。しかしそこにはもう、味方の兵士なんて居ないのである。到着する少し前、海軍陸戦隊による強襲上陸と超戦艦「素戔嗚尊」による砲撃でパーパルディアの軍勢は完全に殲滅されており、輸送船団も突撃戦隊によって海の墓標と化している。

 

「アレか。村今閣下の言う、敵将軍というのは」

 

「らしい。部下を置いて逃げるなんて外道には、死を以って罪を償ってもらおう」

 

ニシノミヤコのパーパルディア皇国侵略軍のあった建物の廃墟から、二人の兵士が将軍を見ていた。スナイパーとスポッターである。48式狙撃銃に12.7mm体内炸裂弾を装填し、スライドを引く。

 

「aim」

 

「OK」

 

「fire」

 

ダァン‼︎

 

放たれた弾丸は確実に将軍の脳天に当たり、体内で炸裂して脳が消し飛ぶ。

 

「First shot hit。head shot kill」

 

「後は下の連中に任せよう」

 

将軍が撃たれて周囲の騎士達がアタフタしていると、今度は建物の下にいた一個分隊が気化弾を装填した29式擲弾銃を一斉射する。護衛の騎士は何が起きたかわからないまま、死んでいった仲間の下へと旅立ったのであった。

斯くしてパーパルディア皇国のフェン王国侵攻は、侵攻軍の全てが殲滅される結果になったのであった。

 

 

 

 

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