最強国家 大日本皇国召喚   作:鬼武者

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約一ヶ月前からやっているアンケートですが、本日を持って終了致します。ご覧の通り「作者に任せる」というのが一番多かった為、私の好きにさせて頂きます。つまり、艦名の「」は採用させて頂きます。
アンケートのご協力ありがとうございました


第十五話全てを知る時

「いったい、どういうことだぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

物語開始早々、怒鳴り声で驚いた事だろう。ここは第一外務局の執務室であり、時系列としてはアルタラス島奪還より約一ヶ月後である。因みに誰が怒鳴っているかというと、この戦争をおっ始めた張本人、レミールである。では、なぜ怒鳴っているのか。それはレミールのもとにきた、アルタラス島に関する報告書である。

 

「アルタラス島が奪還され、新生アルタラス王国を樹立!?皇国の基地は完膚なきまでに叩き潰され、生存者は偶々島外に出ていた連絡の兵3人で、残りは行方不明だと!?更には奴らはムーの兵器を使用して、我々を叩いただと!?ふざけているのかぁぁぁ!!!!」

 

もう何かの音波兵器なんじゃないのかと思う程、怒鳴りっぱなしである。多分これがギャグアニメの世界なら窓ガラスが割れ、外務局の建物がプリンのように上下左右に揺れている事だろう。

 

「レ、レミール様、ムーが代理戦争をしている事は明白です。ここはムー大使を召喚し、問い詰めてみては如何でしょう」

 

第一外務局局長のエルトが落ち着かせるために、対抗策を提案する。しかし、レミールには一つ気掛かりがあった。

 

「だが何故、これまで他国には兵器はおろか、銃一つ輸出していないムーがこうも輸出しているのだ」

 

「恐らく実地試験の一環でしょう。幾ら兵器が書面上では優れていようと、実際に使ってみたら思わぬ欠陥が見つかる事もあります。我が皇国とて例外ではなく、フェルデナンテ級はその最たる例でしょう」

 

皇国軍の総司令、アルデも私見を述べる。まあ実地試験どころかムーは一切関係なく、この論理自体が根底から間違っているがそんなことを知る由もない。因みにフェルデナンテ級は一番艦の進水から半年で浸水が見つかり、分析によると強度不足である事が分かり、急遽改修工事が行われた過去を持つ。

 

「こうなればムー大使を召喚するべきだな。私は一度、陛下にこの事を話してくる。お前達はムー大使召喚も視野に入れて、準備をしておけ」

 

「「かしこまりました」」

 

 

 

同時刻 大日本皇国 首相官邸

「遅くなったか?」

 

「いや、大丈夫だ」

 

この日、神谷から緊急の連絡を受けて首相官邸に三英傑が揃った。

 

「で、浩三。話ってのは、一体何だ?」

 

「この戦争の終着点、最後の戦いについてだ」

 

一色の問いに対し、神谷は神妙な面向で答える。

 

「首都を蹂躙するんだろ?」

 

川山の答えに神谷は首を振る。

 

「合ってはいるが、間違ってもいる。俺の考えたシナリオを、此処で話しておきたい。俺は、首都攻撃に「00式弾頭」を使うつもりでいる」

 

この単語が出た瞬間、二人の顔が一気に強張る。川山に至っては、神谷に対して敵意すら抱いているように見える。

 

「お前!!忘れたのか!?日本は唯一の被爆国なのに、その苦痛を他国にも味わわせる気か!!??」

 

「待て待て慎太郎。コイツが考え無しに、こういう事は絶対言わん。何か理由があるんだろう?」

 

激怒する川山を一色が止める。川山が激怒するのも無理はない。この00式弾頭というのは、またの名を「超核兵器」という。既存の核兵器と違うのは、放射性物質及び放射能による汚染が無い事にある。核兵器は使用すると向こう何百、何千という時間、或いは一生その地域を死の土地へと変貌させてしまうのは知っての通りである。核兵器ではないが理論としては同じ核反応を使う原子力発電所が壊れて、その一帯の地域が汚染されているのも知っての通りであろう。何せ我が国、日本にも東日本大震災の影響で福島の原発周辺は未だに帰宅困難地域になっている。

しかしこの超核兵器には、その汚染が無いのである。本来核兵器はウラン235等を用いるのに対し、此方は水素原子の融合で行う。そのため焼き払う威力はそのままに、汚染はゼロという兵器である。

 

「あぁ。ついさっき、ICIBから連絡があった。パーパルディアはコア魔法の遺物があり、1発だけだが発射できる可能性があるそうだ」

 

コア魔法というのも説明しておこう。コア魔法というのは、物語に度々登場する魔法帝国が持つとされている兵器であり、その威力や壁画などから推察するに核兵器である事が分かっている。

 

「それだけの理由で、焼き払うつもりか!?」

 

「違う違う。あくまでもこれは表向きの理由で、本来の目的は見せしめだ。お前も外交官として開戦の場にいたから分かると思うが、この世界に旧世界の常識は通用しない。ムーのように理性的な国もあるが、同じ列強に名を連ねていながらパーパルディアは野蛮も良いところだ。昔のような外交では、例の虐殺事件みたいなことが起きてしまう。「俺達に手を出したら、お前達もこうなるぞ」という事を示しておく必要がある筈だ」

 

こう言われては川山も黙るしか無い。というかこの言葉の殆どは、川山自身が言った事である。

 

「考えは分かるが、核を使う程か?幾らなんでもコスパが悪いし、国民感情的に見てもアレだぞ。それよか、あー、なんだっけ?ねんりょーきか爆弾?でいいんじゃないか?」

 

「確かに健太郎の策も考えた。実際その方が、後々の事も考えると楽だからな。だが一つ問題があるんだ。もし、既に核を開発している国があったら?」

 

「浩三、ここは中世ヨーロッパと同程度かあっても第一次世界大戦程度だぞ?核兵器が生まれたのは第二次世界大戦、それも末期だ。そもそも核兵器に必要な核分裂反応が見つかったのは、第二次世界大戦前夜の1938年だ」

 

川山が自分の持つ知識から算出された意見を述べる。因みに原子力関連の研究が始まったのは、第一次世界大戦前の1895年にレントゲンがX線、ベクトルがアルファ線を発見したことから始まる。1898年にはキュリー夫妻がラジウムを発見した事で、放射線の研究が本格的に開始されている。

だが勿論、放射線を理解した所で核兵器を開発する事は不可能である。

 

「俺もそう思っていた。だがな、フェン王国沖での海戦でマイラスとラッサンの二人が大和を見てひっくり返ったそうだ。「グレードアトラスターだ」と。話を聞くと、つい最近列強の一つであるレイフォルという国が一夜にして首都を焼かれて降伏したそうだ。その時使った兵器が、大和に酷似した戦艦、グレードアトラスターだったらしい。そしてその国家の名前は、第八帝国、本来の名前は慎太郎なら分かるだろ?」

 

「グラ・バルカス帝国.......」

 

二人は全てを悟った。戦艦大和が生まれたのは、この手の作品を読んでいる読者なら知っての通り、1940年8月8日。(翌年、12月16日に竣工)つまり第二次世界大戦の直前である。そして世界初の原爆が使用されたのは1945年8月6日。これは日本人の殆どが知っているだろう。

これらの事から導き出されるのは「グラ・バルカス帝国は、初期型の核兵器を所有している可能性がある」というものである。更に言えば当時のナチス・ドイツはV1、V2といったミサイル兵器を開発し、実際に使用している。最悪の場合、日本本土に撃たれることも考えられなくはない。

 

「連中がパーパルディアのような覇権国であり、なんらかの手段でウチの国の発射する気化弾の威力を見たと仮定しよう。もし開戦した場合「俺達には核兵器があるが、奴らも持ってるかもしれない。なら撃たれる前に叩いてしまおう」と考えるのが、妥当な所だ。しかも迎撃できるとは言え、恐らく宇宙空間は飛べない。つまり大気圏内での迎撃になる可能性が高いし、万が一海に落ちて核が炸裂してみろ。その海域は死の海と化し、最悪日本にも影響を及ぼす。

それなら先に切り札を見せる形とはなるが此方の力を相手に示し、旧世界で言う所の「相互確証破壊による核抑止論」を用いた抑止力として使える。それにその古の魔法帝国とやらが復活して、ウチと戦争になってみろ。文献から推察するに、確実に覇権国な上に核に類似する兵器は保有している。そうなると益々、俺の論理は必要になると考えるぞ」

 

「.......」

 

「.......」

 

二人とも黙る。確かに神谷の言う理論は的を射ているし「パーパルディア皇国の国民と、大日本皇国の国民の命、どっちを大切にするか」と問われたなら、全員が迷わず大日本皇国の国民を選ぶ。それは国家を運営する者の頂点に立つ者達として、当然の考え方である。

しかし手の内を見せることにもなるし、何より使った後が大変である。流石に当時の人間が全員亡くなっているとは言えど、核に対する憎しみというのは少なからずある。「核を保有するのは認めるが、絶対に使うべきではない」という人間が多くおり、「核をバンバン撃っちまえ」なんて考えの方が少数である。もし失脚する羽目になったら、折角築き上げた成果が瓦解する可能性すら出て来る。何方を選んでも、ヤバいことには変わりない。だが一色は、決断を下した。

 

「浩三、お前の意見も分かるし、使うべきだとも思う。だがな、流石に核はやり過ぎだ。コスパも悪いし、何より切り札を見せる形になってしまう。お前の話は、こう言ってはなんだが所詮「たられば」だ。お前の言う可能性も十分考えうるが、流石に中世ヨーロッパ程度に核は大袈裟な気もする。だからその作戦は、核の代わりのナントカ弾でやってくれ」

 

「俺も同意見だ。外交的な立場としても、核の使用は足枷に成りかねん」

 

「.......わかった。お前らの考えを受け入れよう」

 

そんな訳で、取り敢えず核攻撃だけは避けられたパーパルディア皇国であったが、これはあくまでも無間地獄に戻っただけである。つまり、死ぬ事自体は変わらないのである。

そんなことなど露知らず、パーパルディア皇国は呑気に「文明圏外国が皇国を超える技術力なんてない。ムーが代理戦争、若しくは兵器の実験のために戦争をしている」という謎理論がまかり通り、それが事実と化している。一方で日本側は次なる作戦としての動きのため、ムー国大使館に川山が出向いていた。

 

 

 

翌日 ムー国大使館 応接室

「して、今日はどんな御用でしょうか?」

 

「我が国は対パーパルディア皇国への反抗作戦として、戦略爆撃を行うことを決定いたしました。この攻撃には首都も含まれるそうです。その為、現在いる大使館職員始め、貴国の民を自国に引き揚げて頂きたいのです。また我が国と国交を結んでいない他の国にも、同様の措置の通達をお願い致します」

 

「遂に本土を叩くのですね。実を言うと大使館引き揚げに関しては、パーパルディアの大使から連絡が来たそうでして、直ぐにでも引き揚げ可能ですよ。我が国の国民も戦争が始まって以来、自主的に帰国している者も多く、フェン王国での開戦以降は旅行目的の出国を止めていますので、比較的早く済むと思います。他国に関しては、なんとも言えませんね。もしかしたら断る国も、あるかもしれないですね」

 

「その時は、もう知りません」

 

「左様ですか」

 

この事はユウヒ大使よりムー本国へ報告され、ムーは直ちに行動を開始した。

 

 

 

2時間後 ムー国 外務部

「来たか。おい、直ぐに軍に連絡!!足の速い高速輸送船を総動員させるよう、要請してくれ!!」

 

「部長、民間船も総動員しますか?」

 

「勿論だ。第三文明圏付近を航行中、停泊中の艦船は全て避難に充てさせろ!!」

 

「御意!」

 

外務部の動きは速かった。すぐに軍部に連絡し手空きの高速輸送船や航空機を手配しパーパルディア皇国に向かわせ、民間船までも総動員しての引き揚げが行われようとしていた。更にこのことを、日本からの頼み通りに別の国へも連絡。第二文明圏の列強第二位がこのような動きをしている事実からも、幾つかの国は引き揚げに踏み切り船団の準備に入っていった。

 

 

 

一週間後 大日本皇国 統合参謀本部

「諸君、いよいよ作戦の概要を説明する時が来たようだ。今回の作戦は総じて7つの段階からなる作戦だ。作戦目標は勿論、パーパルディアを完全に攻め滅ぼす(・・・・・・・・)ことにある。

まずは奴らの首都、エストシラントに大量の爆弾を叩き込む「煉獄作戦」。二つ目、奴らの工業力の基盤、デュロに強襲上陸し完全に破壊する「鎌鼬作戦」。三つ目、奴らの港湾都市、クラールブルクを文字通り踏み潰す「小島作戦」。四つ目、奴らの生物兵器工場のあるアルケダンを空爆する「天狗作戦」。五つ目、奴らの聖都パールネウスを吹き飛ばす「巨人作戦」。六つ目、最後に完全に首都を消し飛ばし、ついでに皇帝ルディアス含む閣僚陣を殺す「地獄作戦」。そして鎌鼬作戦より継続して行われる、大規模な海上封鎖作戦である「黒豹作戦」の七つを行い、パーパルディアの存在を歴史書以外から消し去る。以上、これらの作戦を総じて「天照作戦」と呼称する」

 

参加する各部門の長達は、完全にドン引きである。まさかここまでするとは思わなかったからである。

 

「さて、では各作戦の詳細について説明していく。まずは――」

 

本当なら説明しておきたいが、敢えて詳しい説明は作戦を行うまで取っておこう。だがしかし、戦力だけは先に書いておこうと思う。

陸軍

・第12〜358歩兵師団

・第8〜296重装歩兵師団

・第14〜238戦車師団

・第5〜187砲兵師団

・第1〜227対戦車ヘリコプター隊

・神谷戦闘団

・村今戦闘団

 

海軍

・第1〜8主力艦隊

 

空軍

・第201〜242航空隊

・第306〜361航空隊

・第409〜438航空隊

・第501〜599航空隊

・第609〜634航空隊

・第708〜753航空隊

・第801〜836航空隊

・第904〜968航空隊

・第1005〜1074航空隊

・第1101〜1149航空隊

・第1201〜1288航空隊

・富嶽II 435機

 

海軍陸戦隊

・第1〜86海兵師団

 

特殊戦術打撃隊

・ADF1妖精 123機

・ADF2大鷲 96機

・ADF3渡鴉 103機

・メタルギア零 40機

・メタルギア龍王 50機

・メタルギア水虎 35機

・空中空母艦隊 8個

・空中母機「白鳳」 9機

 

正直言って、オーバーキル甚だしい相場である。というか、ほぼ全ての戦力が投入されている。恐らく数ある日本国召喚の作品でも、ここまでの戦力が投入されたパーパルディア皇国戦はないだろう。

 

 

 

同日 パーパルディア皇国 ムー国大使館

「ムーゲ大使、本国より命令が来ました」

 

「命令?一体どんな?」

 

「えぇと、それがですね。大使館含めた、全ムー国民のパーパルディアからの引き揚げ命令です」

 

ムーゲは「やはりか」という顔をして、顔を下に向ける。

 

「わかった。直ぐに引き上げ準備に入ってくれ。私は取り敢えず、外務局の方に挨拶へ行ってくる」

 

「承知しました」

 

そんな訳でムーゲは、第1外務局へ向かう。パーパルディア側もムーの代理戦争(笑)説を問いただす為に、丁度召喚の連絡をしたのであった。

 

「はい、ムー国大使館です」

 

『第1外務局の者です。レミール様がムーゲ様とお会いしたいと申しておりまして、お手数ですが今から此方に来て頂けませんか?』

 

「それなら丁度良かったです。先程、ムーゲ大使が別件で其方に向かったところなんですよ」

 

『そうでしたか。では、お待ちしております』

 

しかしパーパルディア側は知る由も無い。まさかこれからの内容が、実質的なパーパルディア終了のお知らせになることを。

 

 

 

十数分後 第1外務局

「ムー国大使の方が来られました」

 

「分かりました。お通ししなさい」

 

パーパルディア側を代表して、エルトが声をかける。案内の職員は退室し、中には第1外務局の幹部の面々とムーゲらだけとなる。因みに今回第1外務局を訪れたのは、ムー大使のムーゲとムー大使館職員の2名である。

 

(さーて、どう説明したものか)

 

ムーゲの来訪目的は、最初に書いた通り「退去命令」に関する説明である。しかし知っての通り、パーパルディアはプライドが息をしているような国家。出来る限り相手を刺激せず、退去命令に関する理由を説明しなければならない。

 

(まあ流石に、パーパルディア側も大日本皇国の技術や国力については分かっているだろうし、大丈夫だよな?いや、ちょっと待てよ?)

 

ここでムーゲは、一つのおかしな点に気付く。もし大日本皇国の国力や技術力をわかっているのなら、何故に殲滅戦なんて馬鹿なことをしでかしたのだろうかと。

 

(まさかとは思うが、この期に及んでパーパルディア皇国が大日本皇国の力を把握していない、なんてことはないだろうな?ま、まさか、そんな......。だがそうでなければ、ここまで連敗して、未だ尚戦争を続けていることについて説明が付かん)

 

「それではこれより、会談を始めます」

 

ムー大使一行が着席したのを見て、エルトが開会の言葉を述べる。するとレミールが口を開く。

 

「我が国が皇国を語る蛮族国と戦争をしているのは、貴国の方でも把握しているだろう。それに関して今回、貴国は我が国に在住する貴国の民に対して、我が国からの退去を命令した。その件について、説明をお願いしたい」 レミールの「蛮国」という表現に嫌な予感を感じるが、ムーゲはひとまず説明する。

 

「はい。この度、貴国パーパルディア皇国と大日本皇国は戦争状態に突入しました。今回の戦争は、激戦となる可能性があります。ムー国政府は自国民の安全を確保するため、貴国への渡航制限と貴国からのムーの民の退去を命令するに至りました。これには、パーパルディア皇国にある我が国の空港の職員一同や、パーパルディア駐在大使館の職員一同の一時引き揚げも含まれています。この命令は、貴国の本土にも被害が出るとの判断からなされています。私としましても先程、本国から通達があったばかりですので詳しくは把握しておりませんので、ご了承ください」

 

ムーゲのこの発言に、レミールの顔が一瞬曇った。しかしすぐにレミールは気を取り直し、ムーゲに質問する。

 

「いや、上辺は良いのです。調べは付いています。本当のことを話していただけませんか?」

 

ムーゲも他のムー大使館職員たちも、その意味を捉えかねていた。困惑した表情が職員2人に見え隠れしている。

 

「(ホントのことってなんだ?)」

「(俺が知るか)」

 

ここでその言葉の意味を考えても仕方ないと判断し、ムーゲは逆にレミールに質問する。

 

「すみません、今の発言はどういうことでしょうか?」

 

「我が国との戦闘に際して、回転砲塔を持つ軍艦や飛行機械が目撃されているのです。本当のことを話してください」

 

レミールはそう言ったが、これでもムーゲはレミールの言いたいことを測りかねていた。

 

「申し訳ありません、いったい何を仰りたいのか、理解できないのですが?」

 

ムーゲがそう言った途端、レミールの口調は一変した。詰問するような強い口調で、彼女はムーゲと職員2人を問い詰める。

 

「理解できないだと?これは、ムーもとんだ狸を送ってきたものだ。

私は今、皇国を語る蛮族国との戦闘で、「我が国では使われていない回転砲塔を持つ軍艦や、飛行機械が目撃された」と話した。そういったものが作れるのは、あなた方の国ムーくらいのものだ。

となれば、ムーが皇国を語る蛮族国に対して、飛行機械をはじめ武器の輸出を行ったのは明白だろう。そしてそれを踏まえれば、今回の国外退去命令の意味についても説明が付く。すなわちムーは皇国を語る蛮族国に武器を輸出して、我が国と代理戦争をしているのだろう?

何故、武器を輸出した!? そして何故、我が国の邪魔をするのだ!? 納得のいく説明をしていただこう!」

 

完全にフリーズする。まさかのまさかが的中したのだから当然である。

 

「あなた方はとても重大な勘違いをしております。ムー国は決して、大日本皇国に対して武器の輸出などしておりません」

 

「では、どういうことだ!?」

 

「大日本皇国は、我々の技術をも凌駕した科学技術を有しているのです」

 

「文明圏外の蛮国が、列強国よりも進んだ技術を有しているだと!? そんな話が信じられるか!!」

 

レミールはすっかり怒っているようだ。顔が茹蛸の様に真っ赤である。ムーゲは戸惑いつつも本国から伝えられた情報を、ここで開示することにした。

 

「彼らは転移国家であるという情報は、掴んでおられないのですか?」

 

「なんだと?」

 

レミールは聞き返す。そんな記述は報告書のどこにも記されていなかった。尤も仮に、記されていたとしてもレミールは信じていなかっただろう。国家の転移なんてのはムー国の歴史書か神話の中にしか出てこない現象であり、現実にそんなことが起きるとは思えない。現実主義者であるレミールが信じられるような内容ではなかった。

 

「転移などと…貴国は、それを信じておるのか?」

 

「信じます」

 

レミールのこの質問に、ムーゲは即答した。

 

「何故なら、我が国以外の国ではお伽話としか思われていませんが、我が国もまた転移国家であるのです。1万2千年前、当時我が国は王政でしたが、歴史書にはっきり記されています。

大日本皇国はかつて「ヤムート」という名の国家であり、転移前の世界で親交があったことがわかっております。それに転移前の世界でも、伝説として我が国の転移が語られているそうです」

 

そう言うと、ムーゲは鞄から写真を2枚取り出して机に乗せた。レミール以下、パーパルディア皇国の面々がそれを覗きこむ。

 

「これは我が国の戦闘機、マリンです。機首にプロペラという風を送る機械が付いており、これを使用して推進します。そしてこっちが神聖ミシリアル帝国の航空機、エルペシオ3です。こちらはプロペラの代わりに、魔力を噴出する機構を搭載しています」

 

今度は別の写真を10枚程取り出す。しかもさっきまでの写真は全て白黒のモノクロだったのに対し、今度はカラー写真である。

 

「しかしこれを見てください」

 

パーパルディアの面々は写真がカラーであることに驚く。

 

「これらは大日本皇国の使用する航空機達です。音速を優に超える速度で空を駆け、遥かに威力のある機関砲を搭載し、操縦士が機影を視界に捉える前に攻撃する「ミサイル」と呼ばれる兵器を多数搭載します。一度放たれればワイバーンや、その強化種とて回避は不可能です。しかもそのような機体を何千と保有しています」

 

今度は戦車と歩兵の写真を指差す。

 

「陸軍の装備もとても強い。「戦車」と呼ばれる分厚い装甲と、強力な大砲を装備した機械式の地竜のような物です。更に歩兵の装備も聞いたことも無い装備ばかりです。貴国の兵と同じように鎧を纏い銃を使いますが、どちらも格段に性能が違います。貴国の使うマスケット銃どころか、地竜や魔導砲の攻撃も弾く能力を持ちます。銃に関しても高威力の弾丸を連射でき、兵士によっては遥か上空の航空機から飛び降りて敵地に侵入する者、海を静かに進み上陸する者、超巨大な銃器を携行する者等、我々の常識では測れない兵器や戦法を使います」

 

次は戦艦の写真を指差す。

 

「彼の国は海軍国であり、転移前の世界に於いても高い練度と装備を誇ります。我が国の保有するラ・カサミ級、貴国で言うところの「回転砲塔を持つ戦列艦」ですね。その艦をも遥かに超越する装備、速力、防御力を持つ艦を有します。たとえ我々がラ・カサミ級を100隻揃えようと、彼の国の保有する戦艦には勝てません。そのような戦艦を何十隻と有し、更に装甲こそ薄いものの、先程のミサイルを大量に搭載した艦や、重装甲な上にとても素早い艦、70機、或いは100機単位の航空機を装備する航空母艦といった艦艇を200隻以上保有する艦隊を、合計8つ持っています。しかもそれは侵攻用の戦力であり、防衛用の艦隊は別にあるのです」

 

ここまで言うとパーパルディア外務局幹部の面々の顔は白や土気色を通り越して、なんかもうゾンビか何かみたいになっている。

 

「お話ししたことをまとめますと、軍事力にしても技術力にしても、我が国よりも大日本皇国の方が優れているのです。我が国では大日本皇国の技術は、神聖ミリシアル帝国のそれすら超えているのではないかと分析されています。そんな国に貴国パーパルディア皇国は、殲滅戦を宣言してしまったのです」

 

ムーゲの口から「殲滅戦」という単語が出た瞬間、レミールの表情が明らかに変化した。さっきからのムーゲの話で青白くなっていた顔色は、一瞬で完全に血の気を失って白くなり、加えてその目からは光が失われ口もぽかんと開いたまま。そして視線はどこか下の方を向いていた。まるで、何か取り返しの付かない失敗を、自分自身や祖国の運命を左右するような重大な失敗をしでかした、とでも言うように。

 

(なるほど。大日本皇国との戦争の元凶、そして殲滅戦の元凶はレミールか)

 

「これらの話からも分かるように、貴国の首都、エストシラントが灰塵に帰す可能性は高いと判断されました。その為我々は、貴国より引き揚げます。もし戦争後も貴女方が生きているならば、私がまた話し合うことになるでしょう。貴国とあなた方が生き延びられることを祈っていますよ」

 

そう言うとムーゲらは退室していった。上位列強国の大使の言葉は非常に重く、あまりの衝撃で全員が茫然自失してしまっていた。これからどうすれば良いのか、具体的な対策は一切思い付かない。そしてレミール、いやパーパルディア皇国は知ってしまった。大日本皇国という決して怒らせてはいけない国を、最大限怒らせてしまったのである。

 

「ムー大使の言葉が全て正しかったとは限りません。ムーが武器を輸出して皇国と戦わせる代理戦争を行っている場合には、まだ勝機があります」

 

エルトがそう言った途端、

 

「フフ、ハハハ。ハハハハハ!」

 

レミールが、突然笑い出した。

 

「レミール様!?」

 

「ムーの代理戦争という最悪の想定が、まさか最良にして唯一の望みになるとは!これほどの喜劇があろうか!ハハハハハハッ!」

 

このままでは、パーパルディア皇国は滅亡する。

この日、第1外務局では大日本皇国に対する対策会議が、夜遅くまで開かれることとなった。

 

 

 

 

 

 

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