ムーゲとの会談より数時間後 パラディス城 皇帝自室
「してレミール、一体どうしたのだ?」
「この間のアルタラス島の独立の際に申し上げた、ムーの飛行機械について判明したことをご報告に参りました」
「あの卑怯な国か。それで、どんなことがわかったのだ?」
レミールは一呼吸置いて、心を落ち着かせる。一瞬の間を置いて、話し始める。
「結論から申し上げますと、信じられないことですが、彼の蛮国は
「レミール、お前はそれを信じるのか?お前も知っての通り、文明圏の壁というのは等しく存在する。文明圏外国家は第三文明圏国家に敵わず、第三文明圏国家は第二文明圏国家には敵わず、第二文明圏国家は第一文明圏国家に敵わない。蛮国、確か大日本皇国と言ったな。その国家があるのは第三文明圏外で、それもつい最近現れた新興国家ではなかっか?」
「陛下の仰る通りです。しかし私は会談の場でムー、ミリシアル、そして蛮国の兵器の魔写(魔法で撮影された写真のこと)を見ました。私は兵器には疎いですが、ムーよりもミリシアルの方が洗練された兵器であることは分かりました。しかし蛮国の魔写を見ましたら、「ミリシアルよりも洗練された兵器」という感想しか出てきませんでした」
「.......そうか。お前は、怖いのか?」
レミールの顔はなんとも言えない、自分の心を見透かされて焦っているような顔に変化する。ルディアスは笑って、それを安心させる。
「安心するが良い。我が国は既に、蛮国の首都を壊滅させられる兵器を用意しておる」
「それは一体、どのような?」
「ついてくるが良い」
椅子から立ち上がり部屋を出て、先代の皇帝が使っていた部屋に向かう。部屋に入ると横にある本棚の前に移動して、その中の一冊の本を奥に押し込むと「ガラガラ」という音ともに、目の前の右隣の本棚が下にずれて隠し階段が姿を見せる。
「こっちだ」
中に入ると螺旋階段が下に続いており、それを二人は降っていく。上に見えていた部屋の明かりが見えにくくなった頃、ルディアスは徐に口を開きレミールに語り出す。
「10年前、先代がこの世を去って余が皇位を継いで直ぐの頃だ。今使っている部屋を改装するために、先代の部屋を使っていた時期があった。その時、偶々先代が幼少の我に「この国を強くする鍵だ」と言っていた箱を見つけた。何の気無しに開けると、そこには手紙と、紙とも木とも違う謎の材質の
「その兵器というのは、一体どのような兵器なのですか?」
「詳しいことは余にも分からぬ。しかしその威力を収めた映像が、今向かっている部屋にあった。その威力は我が皇国どころか、あの神聖ミリシアル帝国の如何なる兵器をも軽く凌駕する威力だった」
その謎の兵器の説明をしている間に、目的地の部屋の前に到着する。目の前には他の壁とは少し色の違う壁と、奇妙な出っ張りが腕を上げた位置にある。手に持っていた薄い板を翳すと「ピー」という音ともに、色の違う壁が横にスライドして通路が現れる。
中に入ると様々な機材が置かれた部屋になっており、ガラスで隔てられた奥には巨大な空間に9本の巨大な柱が聳え立っていた。
「陛下、この柱は一体.......」
「これが蛮国の首都を破壊する兵器だ。名前を「大陸間弾道誘導魔光弾」という。手紙曰く、あの古の魔法帝国の遺した遺産だそうだ。この兵器は遥か空の高みまで舞い上がり、巨大な放物線を描きつつ目標に降り注ぐ兵器らしい。ところで、お前はインフィドラグーンの話を聞いたことがあるか?」
「確か、魔帝がコア魔法を使い、竜人族を滅亡の縁にまで追い込んだ戦争でしたね。そしてその生き残り達が作った国家が、現在のエモール王国でしたか?」
「よく知っておるな。目の前の兵器は、その時使用された兵器の拡大発展型だそうだ。まずは、その威力を見せてやろう」
そう言うとルディアスはコンソールをいじる。ボタンを数回押すと、目の前に立体映像が映し出される。そこは様々な建築物の並ぶ都市の映像である。しかし次の瞬間、奥で何かが光ると煉獄の炎のような巨大な火球が形成され、それがまるでキノコのような形を取り炎が完全に消え去るとそこには、都市の影形すら残らず、まるで元から何も無かったような荒野になっていた。
「本来であれば、来るムーやミリシアルとの戦乱で使いたかったが、この際致し方あるまい。それにその二国が認める国家に大きな被害を与えられれば、我が国に膝を折るやもしれん。少なくとも決して無視できぬ存在にはなる」
「いつ使うのですか?」
「勿論これは切り札である。よって、今直ぐには使わない。もし皇国が大きな被害を受けた場合や、余が蛮国には敵わぬと判断した場合に使うつもりだ。それとだなレミール、一つ頼みたいことがある」
「頼みたいことですか?」
ルディアスはレミールの前に片膝を突くと、左手をそっと握って前に出す。そしてその指に、綺麗な指輪をはめ込む。
「本来この部屋は、この国の皇帝しか見てはならぬし、この部屋の全ても同様に皇帝しか知り得てはならぬ。しかし余がここに連れてきたのは、お前を伴侶として余の横に居てもらうためだ。たとえお前がいくら拒もうと、この秘密を知った以上は余の横に未来永劫居てもらう。レミール、受け取ってくれるな?」
そう言うとレミールは号泣していた。
「陛下ッ、グズッ。私がこの日をどれほど待ち望んだか、知っておりますか?私がこの世に生を受けたのは、グズッ、貴方様の隣を歩むためなのですよ?」
「そうか。余は嬉しいぞ。さあ、上に戻ろう。お前には、沢山の子を産んでもらわぬとな」
「陛下ぁ、好き者です♡」
尚、この日皇帝の自室では嬌声とベッドの軋む音が聞こえたそうな。多分、読者の見たかった絶望シーンではないが、そのシーンはいずれ書くので今回はこれで我慢して頂きたい。
さてさて、こんな日本国召喚の二次創作の中で一番期待されないであろうラブロマンスシーンをこれ以上描くと、主が部屋の物を破壊しつくしてヤバいことになりそうなので、ここからは皆さんお待ちかね、
需要のないラブロマンスより三週間後 大日本皇国 霞ヶ浦航空基地
いよいよパーパルディア皇国を徹底的に潰す作戦である「天照作戦」の第一段階である「煉獄作戦」の開始日となり、パーパルディアの領空には新開発された「超空の要塞戦艦」とも言うべき超重爆撃機「富嶽II」が攻撃の時を、今か今かと待っていた。その数、12機。
え?少ないって?
確かに、数こそ少ない。しかしその搭載量というのが破格の160t(160,000kg)である。これがどのぐらい凄いかと言うと、世界最大の現用爆撃機であるアメリカのB52H ストラフォートレスは、爆弾を約16t(16,000kg)しか積めない。つまり「富嶽II=B52×10機分」なのである。因みに日本を焼け野原にした上、終いには原爆をも落としたB29の爆弾搭載量は9t(9,000kg)である。
更にはこれに加えて、独立した「新・アルタラス王国」にあるルバイル航空基地(旧ルバイル空港)からもA10彗星IIを保有する第510〜550航空隊、護衛としてF9心神を保有する第203〜210航空隊、さらに管制役としてE787早期警戒管制機を保有する第826航空隊、その支援としてE3鷲目を保有する第708〜714航空隊も合流している。
『ウェイポイント通過。各機、各々の攻撃目標に向かえ』
『こちら富嶽隊。皇都エストシラントへ向かう』
『こちら510空。俺達は北側陸軍基地を潰してくるとしよう』
『なら我ら531空は南側だな』
皇都エストシラントは「皇都防衛隊」と呼ばれる、精鋭軍が守護している。北と南の陸軍基地には、現在ワイバーンロードを更に強化した「ワイバーンオーバーロード」と呼ばれる飛竜、安定の地竜と多数の魔導砲が配備され、天照作戦の第三段階、「小島作戦」で攻撃予定のクラールブルクには近衛艦隊と防衛艦隊が配備され、鉄壁の布陣と言える配置であった。
尤も、現用ジェット機に対抗は出来ないが。
皇都エストシラント 南方海域 上空
現在その空域をパーパルディア皇国皇軍皇都防衛隊、第18、19竜騎隊所属のワイバーンオーバーロード80騎が警戒に当たっていた。本来なら精々5騎しか飛ばないが、今回はどういう訳か80騎という大規模編隊での警戒である。
『隊長殿、よろしいですか?』
『なんですか、プカレート』
『今回の配置、幾らなんでも過剰すぎやしませんか?いつもの10倍以上ですよ?』
皇都防衛隊の中でも最強クラスの実力を持つ騎士、プカレートが隊長のデリウスに質問する。
『確かに過剰かもしれませんが、我々はあくまでも「皇都防衛」の任を全うするのみです。数が少ないよりはいいじゃないですか』
そう言うと、魔信のチャンネルをプカレートとデリウスのみのチャンネルに切り替える。
『と、いうのは建前です』
『デリウス、何か知ってるのか?』
『噂じゃ我々の相対する敵、「大日本皇国」という国家はムーと同じ機械文明国でありながら、あの神聖ミリシアル帝国をも超える軍備を持っているそうです』
現在パーパルディア皇国の兵士達は、日本がどのような国家かを教えられていない。ルディアスの判断で、前線の士気を維持する為に幹部クラスにしか情報を与えていないのである。
しかしそういう隠し事はバレるもので、兵士間で「噂」としてまことしやかに囁かれてはいる。
『しかし噂が本当なら、この戦力でも気休めにすらならんな』
『そうですね。噂がガセネタであることを祈りましょう』
残念ながらガセネタではなくマジなのだが、そんなことも知らず飛行隊は更に前進する。しかしその騎影はE3鷲目のレーダーに、バッチリ映っていた。
『各機、コーション!敵ワイバーンを探知、戦闘機隊は迎撃に向かえ』
航空隊が迎撃に掛かる。勿論先手を打ったのは日本側であり、搭載兵装で一番の射程を誇るAIM63烈風を発射する。
『何か光ったぞ!』
ワイバーン隊もミサイルの発射炎に気付いたが、気づいた時には遅い。亜音速で迫るミサイルに、チャフやフレアといった妨害装置を持たないワイバーンオーバーロードでは回避運動を取ることも許されないまま、ただの的として確実に屠られていく。
『全騎、攻撃準備!生き残って皇国の土を踏みますよ!!』
デリウスの指示に騎士達が鬨の声を上げ、守護者達が果敢に心神へ向けて突撃してくる。
『全機ブレイク。乱戦になる、空中衝突に気を付けろ』
一方日本側も本格的な空戦へと突入する。旋回半径こそワイバーンオーバーロードの方が小さいものの、それ以外の機動力、速力、攻撃力、更には防御力ですら劣っているワイバーンオーバーロードでは心神には敵うはずもなく、一騎、また一騎と墜ちていく。
『こちら第18竜騎隊、隊長デリウス!敵は大日本皇国の飛行機械です!!』
『こちら本部、了解した。何が何でも食い止めてくれ』
『勿論です!!』
皇都防衛竜騎隊の隊長を任せられるだけあって、デリウスの腕は中々のものである。自らの腕を信じて、手近の心神一機に襲い掛かる。
「仲間の恨みです!!」
手綱を操り、相棒の口から導力火炎弾を発射する。しかし心神が機体を翻したことにより、導力火炎弾は当たらない。
「アイツ、中々やるな」
心神のパイロットがデリウスに気付き、デリウスの飛竜に向けて機銃を放つ。
「避けて!!」
「グァウ!!」
力一杯手綱を右に引いて、飛竜の体勢を横にして避ける。心神はそのまま掠めるように下降していき、デリウスもそれを追いかける。
「仲間の恨みです!!」
水平飛行になり、機体の死角となる真後ろに付く。しかしデリウスは知らなかった。日本の保有する戦闘機には全て、多数のセンサー類によって全方位の視覚化が可能なのである。というかレーダーで丸裸でもある。
そんな訳で敢えてデリウスを後ろに付かせているだけであり、逃げようと思えばアフターバーナーを使って逃げることが出来る。では何故、後ろに付けさせているのかと言うと、冥土の土産を渡すためである。
「貰いました!!」
何も知らずにデリウスは導力火炎弾を放とうとするが、その瞬間あり得ない出来事が起こる。
「なっ!?」
なんと目の前の飛行機械が、機体姿勢を急激にピッチアップして迎角を90度近く取り、水平飛行に戻したのである。
文面だと何をしたのか分かりにくいが、一言で言うと、ただのコブラ機動である。
「さあ、チェックメイトだ。いい腕だ、名も知らない騎士。恨むなら、お前達の国を恨め」
心神のパイロットはトリガーを引き、20mmバルカン砲を発射する。勿論耐えられる訳がなく、肉片に加工されて海に墜ちていった。
F9心神の働きによって80騎の内50騎近くは撃退できたが、やはり数の差でどうしても爆撃機への接近を許してしまう。普通なら大問題であるが、富嶽IIの場合に限りピンチにすらならない。
「機長、来ました!」
「よーし、全機弾幕展開!!撃ちまくれーーー!!」
レーダーでワイバーン部隊よりも遥か先に探知され、長射程の速射砲群が弾幕を展開する。イメージ的にはジパングの1対40(あの名言、「たかが一門の砲で、何が出来る!」が生まれたヤツ)が一番近い。
『ギャーーーー!?!?』
『なんだ今の爆発は!!8騎近くが一気に吹き飛んだぞ!?』
『落ちる落ちる!!誰か、助けてくれーーーーー!!!!』
魔信では断末魔の叫びが途切れることなく続き、耳から離したくなる程である。しかしプカレートは仲間の断末魔の悲鳴を気にせず、部下の四人を連れて発射炎のする方に向かう。雲から抜けるとそこには、バカでかい飛行機械「富嶽II」の姿があった。
「目標捕捉。機関砲撃て!!」
『お前達、導力かえ――』
部下達に命令を下そうとした瞬間、何かが無数に光ると墜ちていく仲間達の姿と共に自分の体も落ちていく光景を最後に、プカレートの意識は完全に消えた。
富嶽爆撃隊が敵に襲われていた頃、他の航空隊は順調に目標に向かって飛行していた。
皇都エストシラント 南方基地
『隊長機より全機へ。パーティータイムだ。行くぞ!!!』
爆装したA10彗星、総数80機が高度10,000mから一気に急降下を開始する。
「エントリーーーーーー!!!!アッハハハハハハ!!!!」
なんか何処ぞの海兵がズゴックに乗りながら叫んでそうなセリフを、大のガンダムオタクである隊長が叫ぶ。因みに主はガンダムは全く分かりません。
「て、敵飛行機械接近!!」
監視塔に居た兵士が彗星に気付くが、もう遅い。兵士が叫んだ瞬間、小型爆弾40発が投下され、後続の機体も続々と爆弾を投下する。
ドガァァァァァァァン
更にはロケット弾も一緒にかましているため、司令部庁舎やらワイバーンの厩舎やらを巻き込んで大爆発を起こす。一撃の下に完全に破壊し尽くされたため、北方基地やエストシラントへの通報は防げたのであった。一方その頃、富嶽爆撃隊は全速で皇都エストシラントに迫っていた。
皇都エストシラント上空
「機長、エストシラントです」
「日本を怒らせたアホどもの住処か。爆撃手、上手くやれよ」
『猛訓練の成果、特等席で見ててください。誘導開始します。進路、このまま』
「ヨーソロー」
本来であればレーダー照準で行くところだが、今回は乗員の訓練も兼ねて目視による有視界爆撃を行う。そんな訳で普通に機体の姿はパーパルディア皇国にいる人間達に丸見えであり、大パニックが起こる。
「なんだアレは!?」
「ムーの奇襲か!?」
「バカ!!ミリシアルだろ!?」
「それどころじゃねーだろ。早く逃げないと!!」
「ヤメロー、死にたくない、死にたくない!!!!」
市民達は逃げ回り、それによる混乱でパニックに拍車が掛かる。軍の方も同様で、ワタワタして迎撃のバリスタ一発すら飛んでこない。
「よーい、てっ」
爆撃手がスイッチを押し、爆弾を止めていたロックを外す。合計160tの爆弾は、重力に従いエストシラント市内に落ちていく。あっちこっちで爆発が起こり兵士や市民は体が吹っ飛ばされたり、瓦礫に潰されたり、ガラスが身体中に突き刺さったりもしている。
「これが.......これが、日本軍.......」
レミールは第一外務局の庁舎から、エストシラントの惨状を見ていた。まさかいきなり首都であるエストシラントに敵がやって来るとは思わず、完全に腰を抜かしている。これは軍の幕僚にも言える事で、まさか飛び石作戦で来るとは思っておらず、対応が遅れまくっている。中には「タチの悪い冗談だ」と切り捨てた将軍も居たそうな。
終わってんな、パーパルディア。あ、今に始まった事じゃねーわ。by主
「うへぇ、下には居たくないな」
「ですね。敵国民とは言え、彼らには同情します」
眼下に広がるエストシラントは至る所にクレーターができ、建物は粉々に吹き飛んでいる。「亡国の首都」と言われても、確実に信じるだろう。尤も、それは近い将来に本当のこととなるのだが。富嶽爆撃隊はエストシラント南方を完全に破壊し、そのまま悠々と飛び去った。この十数分後、最後の目標である北方の陸軍基地には残りのA10彗星攻撃隊が向かっていた。
エストシラント北方 北方基地
この基地には大型の魔力探知レーダーがある。船舶に搭載されている物よりも大型であるため、より広範囲をカバーできる上に、陸上の目標も探知可能なのである。その反面、魔法使い程度の魔力は探知できないのが玉に瑕である。
そんな大型レーダーがあると言うのに、一切反応せずに皇都エストシラントの南側は完全に破壊された。空襲を受けた時間帯もレーダーはきっちり動作しており、点検もしてみたが異常はない。その報告を受けていくごとに基地司令のメイガは不機嫌になっていき、最後にはキレて「一体どういうことだぁぁぁぁぁ!!!!」とブチギレていた。
「誰か、魔信技師を読んでこい!!」
「ここに居ます」
そう言うとショートカットの女性が前に出てくる。
「確かパイとか言ったな?単刀直入に聞くが、魔力探知レーダーを掻い潜ることは出来るのか?」
「不可能です。ここで使われているモデルは最新型で、魔導士程度の魔力は探知できないものの、探知範囲と精度は皇軍の中でもトップクラスです。そもそも魔導探知レーダーは対象から魔力が.......あ!」
「どうしたのだ?」
「あります。一つだけ、魔導探知レーダーに映らない方法が!」
メイガは机を力一杯叩き、血走った目で「その方法は!?」と怒鳴りながら聞いてくる。その迫力に、パイは少し驚くがすぐに答える。
「ワイバーンでは無い飛行物体、つまり飛行機械を使うのです。魔導探知レーダーは魔法力を探知する物ですから、魔法を発しない鉄の塊である飛行機械には反応しません」
「そういうカラクリか。君はすぐに魔導探知レーダーについてくれ。他の者は、手空きの者も動員して目視による監視を行え!」
この命令は直ちに伝達され、上空警戒に当たってる竜騎隊にも同様に伝達された。パイがレーダー情報を投影する水晶体を見ていると、急にワイバーンオーバーロードが散開し始める。しかも散開の仕方が戦闘ではなく、逃げ回るような散開だったのである。更に観察していると、急に強い光を発して消えた。それが意味するのは「墜落」である。
『緊急事態発生!!緊急事態発生!!哨戒中のワイバーンオーバーロード、反応消失!!敵襲撃の可能性あり!!!!』
この報告を受け上空警戒に当たっていた竜騎隊が戦闘態勢に移るが、音速で迫る機体には間に合わず、マトモに戦闘態勢を取る前に全騎ミサイルで撃墜される。
『野郎共、戦闘機隊が道を開いてくれたぞ。掛かれぇ!』
爆弾とロケット弾の嵐になす術なく、抵抗の間すら与えられずに施設が破壊されていく。しかもロケット弾の一発が司令塔を直撃し、その瓦礫がメイガの眼球を破壊した。
「目が!!目がぁぁァァァァァァ!!!!痛い痛い!!!!!真っ暗だ!!!」
床を転げ回り、痛みに悶える。そしてそのまま攻撃で空いた壁の大穴に向かって転がってしまい、そのまま地面へと落下して魔力を送る機械に刺さってしまう。
「ギャァァァァァァァァァ!!!!!!」
メイガは魔力を全身に受けて、消滅したのであった。天照作戦の第一段階「煉獄作戦」は文字通り、パーパルディア皇国の首都であるエストシラントと近隣の基地を巻き込んで、煉獄を作り上げる形で成功した。
空襲より八時間後 大日本皇国 特殊戦術打撃隊基地
「いよいよコイツの出番か」
パイロットの一人が、目の前に鎮座する巨大な二足歩行兵器を前にして呟く。
「そろそろ時間、だな」
そう言うとコックピットの中に滑り込み、スイッチを入れて出撃準備を行う。
「メタルギア水虎、発進!!!!」
雄叫びを上げて、海へと飛び込む。他の仲間達もそれに続き、部隊はクラールブルクに向けて泳ぎ始めた。