最強国家 大日本皇国召喚   作:鬼武者

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第二十話その日、パーパルディア皇国人は思い出した

その日、パーパルディア皇国人は思い出した。

敵に一方的に蹂躙される恐怖を。

廃墟と化した地獄の街を見る屈辱を。

 

 

 

大日本皇国出撃より1時間後 日本海上空

「機長、そろそろ合流ポイントです」

 

「だな。レーダーに反応は.......っと、来たみたいだな」

 

レーダーには友軍を示す青色の光点が無数にあった。その光点の正体は同じく本土から出撃したパールネウス攻略の本隊、村今戦闘団を乗せたVC4隼やC3屠龍を含めた輸送機と、護衛戦闘機のF9心神、近接航空支援用のA10彗星の航空隊である。因みにレーダーには映っていないが、上空にはKC787早期警戒管制機が飛んでいる。

 

『こちらは指揮官機、アルテミス07。時間通りだな、こちらは欠員なし。そちらは?』

 

「こちらは特別輸送隊1番機、ラーマ03。こちらも欠員はない。まあ出撃したがってる奴らが、輸送途中に勝手に行くかもしれないが」

 

『フッ、冗談のセンスが壊滅的だ』

 

「悪かったな、苦手なんだよ」

 

軽口を叩きつつ輸送機の群れは一路、パールネウスを目指す。途中で空中給油を挟んで、燃料も補給して万全の状態でパールネウスの近くに到達する。パールネウス近くに到達した頃には、明るかった太陽は傾いて赤くなっていた。

 

『アルテミス07より全機、作戦を開始する。村今戦闘団は一度本空域にて待機。特殊戦術打撃隊はLZ確保の為にパールネウスへ突入せよ』

 

それではここで、今回の作戦である「巨人作戦」の概要を説明しよう。まず作戦をする前に、パールネウスの特徴的な地理状況を説明しようと思う。パールネウスは直径300kmという巨大な円形状の壁で囲まれてあり、そこから約130kmの地点にまた円形の壁があり、さらにそこから100kmの地点にまたまた円形の壁がある。まあ、とどのつまり進撃の巨人の壁(・・・・・・・)である。流石に壁の中に地ならし用の超大型巨人があったり、立体機動装置やらアッカーマン一族やら始祖の巨人やらは居ないものの、まんまあの世界から飛び出してきたような見た目である。

さて、話が多少脱線したが作戦について説明しよう。作戦は至極簡単で、まず最外部の壁(ウォール・マリア)の更に外にある突出した区画、シガンシナ区と呼称された部分を急襲。最外部の壁(ウォール・マリア)を破壊して、第二の壁(ウォール・ローゼ)を目指す。もちろんこの壁も破壊し、最後は中心部の壁(ウォール・シーナ)も破壊する。破壊の仕方は勿論超大型巨人と鎧の巨人を.......と言いたいところだが、マーレではないので特殊戦術打撃隊のメタルギアを使用する。村今戦闘団はシガンシナ区と最外部の壁(ウォール・マリア)を破壊次第、一帯をLZとして部隊を展開。以降は部隊を三分して二つが壁内をぐるっと一周回り、残りはメタルギアと合同で他の壁や手近な地区を占領していく。他の壁でも同じようにしていき、最後は行政の中心部であり、緊急時には首都の代行機能もある中心部を破壊し尽くす。これが「巨人作戦」の概要である。

 

 

 

壁内

「なんだ、この音」

 

「壁の外から聞こえる」

 

「定期便の馬車じゃないかな?」

 

街中では子供達が遊んでいた。黒髪と金髪の少年、黒髪の少女の3人は大体いつも一緒にいる。今日もいつも通り、家に帰って飯食って寝る筈だった。だがそんな日常は、崩れ去ることになる。

外から聞こえる音というのは、定期便の馬車などではない。その正体はメタルギアを運んでいた、CH63大鳥のローター音である。

 

「隊長機より、各機。仕事の時間だ、無理にとは言わないが民間人への被害は最小限にしろ。それから人命救助中の兵士は絶対に攻撃してはならん。いいな!」

 

『『『『『『『おぉーーーー!!!!』』』』』』

 

「とつげーき!!」

 

隊長機のメタルギア龍王が壁の門に向かって突撃し、破砕する。勿論その破片は市街地に降り注ぎ、一瞬にして平和な日常は地獄絵図と化す。

 

「巨人だ!!巨人が入ってくるぞ!!!!」

「壁が破られた!!逃げろ!!!!」

「は、ハハハ、ハハハハハハ!」

 

市民達はあちらこちらへ駆け出していく。しかし瓦礫が道に突き刺さるわ、家が倒壊するわ、その瓦礫に押し潰されるわで市民達もパニックになり押し合いやらケンカやらが始まる。中には気が狂ったのか笑い転げるものや、木の棒を振り回しながら聖書の一節を読みながらメタルギアの下に歩く聖職者もいた。

 

「迎撃準備!!魔導砲と地竜で迎え撃て!!!!」

 

「ワイバーンの航空支援は!?」

 

「要請済みです!!!!現在スクランブル発進中だそうで、20分程で到着します!!!!」

 

兵士達も態勢を立て直し、迎撃準備に取り掛かる。流石は旧首都であり聖地を守る兵士達。当初はパニックにこそなったが、その持ち直しの早さは練度が高い事の表れである。

 

「目標、前方砲撃陣地。レールガンチャージ」

 

バチバチバチバチバチバチ

 

「発射!!」

 

バシュン!!!!!

 

まあ、こんな化け物相手では練度が高かろうが低かろうが、最早ただの有象無象の烏合の衆であるが。ホントどっかの「野郎ぶっ殺してやァァァァァァる」ではないが、日本軍の将兵からしてみれば「ただの案山子ですな」状態な訳である。

え?大砲扱ってた兵士達?断末魔の悲鳴を上げることも許されず、アポロ並みの吹っ飛び方で永久退場しましたが?

 

「母さん!母さん!」

 

一方その頃、黒髪の少年と少女は自分の家のある場所に走っていた。曲がり角を曲がれば自分の家だ。きっと、瓦礫なんかに押し潰されちゃいない。そう考えていたが現実は非情で、家は瓦礫に押し潰されて母親は下敷きになっていた。

 

「母さん!!!!カサミ、そっちを持て!!柱をどかすぞ!!!」

 

しかし子供二人ぐらいの力じゃ、柱が動く訳ない。そして横を見てみれば、二体の巨人が歩いている。絶望の一言である。

 

「急げカサミ!!」

「わかってる!」

 

「巨人が入ってきたんだろ?アレン、カサミを連れて逃げなさい!」

 

「逃げたいよ俺も!!早く出てくれ!!!!」

 

「どうしていつも母さんの言う事を聞かないの!!!!最後くらい言う事聞いてよ、カサミ.......」

 

母親として子に生きていてほしいという願いと、子として母親を助けたいという願い。どちらも正しい考えである。しかし一人の兵士が助けにやってくる。

 

「ヒロシ!!子供達を連れて逃げて!!!!」

 

「見くびって貰っちゃ困るぜ、クルラ。俺は巨人をぶっ殺して、きっちり3人とも助ける!」

 

知り合い、というか昔働いていた頃の常連客で子供達ともよく喋っていた兵士だった。ヒロシは銃を構えて、一機のメタルギア零の下に走る。

 

「待って!!戦ってはダメ!!!」

 

(確かに、2人だけなら助けられる。だが俺は、俺の恩返しを通す!!!)

 

そう決意して、目の前の巨人に相対する。しかし次の瞬間、己の心が絶望と恐怖に支配されて固まってしまう。目の前に見た事もない、巨大な鋼鉄の巨人がいるのだから仕方ない。

すぐに足を元来た方向に向けて、走り出す。その姿を見て、零も追い掛ける。

 

「おいヒロシさん!!!何やってんだよ!!!おい!!!!」

 

アレンが叫び、担がれるのを抵抗する。クルラはそれを見て、一言「ありがとう」と呟いた。だが、その横には追いついた零の姿があった。

 

「おい!!!母さんに何する気だ!!!!」

 

「あ、おいアレン!!!!」

 

どうにかこうにかヒロシの肩から抜け出し、零の足元に走る。そして足を力一杯蹴りまくる。

 

「母さんから離れろ!!!」

 

『少年、離レロ』

 

「嫌だ!!!って、え?」

 

全員が固まった。目の前の鋼鉄の巨人が、片言ではあるが言葉を発したのである。怖くなったのか、アレンは少しずつ後ずさる。離れた事を確認すると、目の前の巨人は腕にある長い棒で屋根をどかして母親を助け出したのである。

全員が呆気に取られて動かないでいると、また巨人が喋る。

 

『何シテイル。母親ノ瓦礫ヲドカシタノダ。何故、助ケナイ?』

 

その言葉に我に帰ったヒロシがクルラを担ぎ、門の方に走ろうとする。

 

『待テ。門ニハ行カナイ方ガ良イ。仲間達ガ門ヲ破壊スル。折角助カッタノダ、無駄ニハスルナ』

 

「なら何処に行きゃ良いんだ!!」

 

『此処ニ居レバ良イ。信ジラレナイダロウガ我々ノ任務ハ、破壊デアリ殺戮デハナイ。関係無イ民間人ノ死亡者ハ、我々トシテモ本意デハナイ。ソノ証拠ニ私ハ、母親ヲ助ケタ』

 

ヒロシの質問に片言で返す。すると横から別種の巨人が来て、棒で門を指し示す。喋っていた方の巨人が頷くと、門の方に走っていった。

 

 

 

最外部の壁(ウォール・マリア)出口

「LZを確保。戦闘団の受け入れ態勢、準備完了」

 

『了解だ。すぐに部隊を展開する』

 

上空を見上げると、大小様々な輸送機が飛来してくる。パラシュートが空を埋め尽くし、陸の王者や勇敢な兵士達が降ってくる。

 

「パラシュート回収急げ!」

「装備、弾薬チェック!!」

「急げ!!早いとこ中心部を攻め落とすんだ!!!」

 

手早く準備を済ませ、事前に決めていた戦地に赴く。主力は変わらず前進を続け、途中でワイバーンロードの襲撃を受けるも随伴している49式対空戦闘車の弾幕に呆気なく撃墜されて、殆ど邪魔される事なく第二の壁(ウォール・ローゼ)に到達する。しかしこっちは壁上に魔導砲が準備されており、少々厄介であった。というのも戦車なら問題ないのだが、装甲車位の装甲になってくると魔導砲の砲弾に耐えきれない可能性が出てきたのである。正面からの砲撃なら問題ないのだが、斜め上、それも50mの高さから放たれると重力加速の影響で威力が必然的に上がってしまい、しかも装甲の薄い天井部分に命中するため、最悪一発でも被弾すれば機能停止する可能性があったのである。

 

「レールガンチャージ!!」

 

『ちょっと待ってくれ』

 

龍王の隊長機がレールガンで壁上の砲台を破壊しようとするが、それを零の隊長が止める。

 

『ここは俺達に任せてくれ。Sマイン、発射!』

 

メタルギア零の両脚に装備されたキャニスターから、無数の砲弾が空高く発射される。その砲弾は壁上で起爆し、無数の手榴弾をばら撒く。

壁上は砲操作で人が密集している上、即応用の弾薬が剥き出しで放置されているため、効果絶大の攻撃となった。

 

「熱い、熱いぃ!!うわぁぁぁぁ!!!!」

「目が、目がぁぁぁぁぁ!!!!」

「熱いよぉぉぉぉ!!!」

 

尚、地獄絵図にもなった。

そんな訳で、上からの脅威は無くなった。なら次にやることは、

 

「ファイア!!」

「待ってました!!!!」

 

ドゴォン!!

 

門をぶっ壊して、中に突入である。一応、魔導砲と地竜に出待ちされていたが、まあコイツらに通用するわけもなく.......

 

「魔導砲、一斉撃ち方!!」

 

ドドン!ドドン!

 

「撃ち返せ!!」

 

ドゴォン!!ドゴォン!!ドゴォン!!

 

魔導砲を撃とう物なら戦車砲をありったけ撃ち返され、

 

「よーし相棒、火炎放射だ!!」

 

ボオォォォォォォォ!!!

 

「発射」

 

ゴォォォォォォォォォ!!!

 

火炎放射しようものならメタルギアから威力が段違いの火炎放射を浴びせられ、

 

「逃げろ!!撤退!!」

 

「逃げられると思っているの?」

 

プチっ

 

逃げようものなら容赦なくメタルギアに踏み潰される。もうこうなってくると、どっちが悪役だか分からない。何処ぞのアンデルセンとアーカードのような状態となる。

とまあこんな感じで簡単に第二の壁(ウォール・ローゼ)も突破し、本丸とも言える中心部の壁(ウォール・シーナ)に向かう。だが文字通り「最後の砦」であるため、夥しい数の地竜とワイバーンロード、魔導砲でガッチガチに固められていた。しかしその事は既に戦闘機隊によって筒抜けであり、F9心神が突っ込んでワイバーンロードを殲滅。さらにA10彗星が爆撃を敢行し、防衛隊残存兵力の3分の2を戦闘不能に追い込んだ。間髪容れずにメタルギアと村今戦闘団が突撃し、敵を完全に根絶やしにした。夜が明けて、朝日が登る頃にはパールネウス全域に日の丸の旗が翻っていた。

 

 

 

四日後 パーパルディア皇国 首都エストシラント パラディス城

パールネウス陥落の報はすぐにエストシラント、正確にはパラディス城にいる皇帝ルディアスの耳に入った。しかも演習に出ていたパールネウス守備軍第3軍団がパールネウス奪還に独断で向かうも、部隊が壊滅し生き残ったのは3000名中5名(しかも全員が腕や足を失うなどの重傷を負った上、結局3名死んだ)という全滅と言って良いレベルの損害を出したというオマケ付きである。

 

「そうか、分かった。下がれ」

 

「ハッ」

 

てっきり怒鳴られるなり、八つ当たりされるものと思って内心ビクついていたが、何ともすんなり終わって少し安心していた。しかし何故怒鳴らなかったか、気になるだろう。その理由は単純明快。大日本皇国に報復する(・・・・・・・・・・)からである。つまり核ミサイルの発射(・・・・・・・・)である。では何故、こういうものを今の今まで使わなかったか説明しよう。

曰く、「余はたとえ蛮族が相手であっても慈悲を与え続ける聖人である。確かに大日本皇国はこれまで、誉高き我がパーパルディア皇国に無礼を働き続けていた。しかしそれでも、余は服従するなら許してやろうと思っておるし、最後まで戦うというのなら最後まで正々堂々と付き合うつもりであった。

だが、奴らは禁忌を犯した。聖地であるパールネウスを破壊し占領するのは、最大の侮辱であり今まで戦いに付き合ってやっていた恩に仇で返すというも同義である。ならば余も、この兵器で大日本皇国を消してくれようぞ」という考えだそうである。

何か脳内お花畑を超えて、脳内に天国でも創造したんじゃないかと思う程、ヤマト並みにぶっ飛んだ思考回路である。もうツッコミを入れる気力すら無いが、一つ言えるのはこれを大日本皇国の国民が聞いたら「いや、その立場は俺らな?」と盛大にツッコむことだろう、ということである。あ、後、神谷辺りが速攻でぶっ殺すとも思う。

 

「大日本皇国よ、貴様らは余を怒らせすぎた。その罪は、万死に値するぞ.......」

 

何か勝手に闘志を燃やして何処ぞの主人公みたいだが、ただのバカである。

 

「レミールを呼べ」

 

 

「お呼びでしょうか、旦那様♡?」

 

「レミールよ、余は決断したぞ。彼の蛮族国家に、大陸間弾道誘導魔光弾を撃ち込む!」

 

「わかりましたわ。お供すれば良いのですね?」

 

ルディアスは何も言わずに頷き、二人は第十六話煉獄作戦に出てきた大陸間弾道誘導魔光弾、もとい核ミサイルの発射場の指令室である地下室に向かう。そこで24桁の数字と見たことない文字のパスワードを入力し、ガイドに従って諸々の作業を行い、最後に目標を入力するようにガイドが表示された。

この瞬間、遥か空の更に上に浮かぶ極小の星が砕けて、中から偵察用の人工衛星が現れる。これはミサイルを誘導するために場所を算出する為の衛星であり、発射する人間は衛星が撮影した写真から目標をタップすれば良いのである。日本側も衛星が星に偽装しているとは思っておらず、ノーマークだったので発見されることも探知されることもなかった。

 

「奴らの首都のトウキョウ、そして古都であるキョウトとナラ、そして人の多いオオサカ、ナゴヤ、フクオカ、サッポロ、サイタマ、カナガワに撃ち込んでやる」

 

地図上に赤いマークが付き、音声で「ターゲットロック」という風に流れる。するとルディアスの目の前の机の下から、ミサイルの発射ボタンが出てくる。

 

「大陸間弾道誘導魔光弾、発射!!!!!」

 

カチッ

 

 

シュゴォォォォォォォォォ!!!!

 

 

滅びの矢は放たれた。日本到達まで、後15分!

 

 

 

大日本皇国 首都東京 統合参謀本部 司令長官執務室

「そろそろ昼休みか。今日は何にするか」

 

「長官、私の昼ご飯も一緒に買ってもらっても良いですか?私ちょっと、昼休みは用事が.......」

 

「アイドルグッズの限定販売のヤツか?」

 

「そうです!!絶対買います!!!!」

 

「お、おぅ」

 

現在執務室には神谷と秘書の向上だけがいた。向上は一話の紹介文でも書いたように、超がつくドルオタでマジで「推しのためなら命捨てる。推しが死んだら、俺も死ぬ」と公言する程、軽く危ない方に片足突っ込んでる奴である。

で、そんな彼にとって今日は戦争である。何とアイドルのサイン入りタオルが3枚ずつ限定で、オンラインストアで販売されるのである。勿論推しの子のもある訳で、それを是が非でも手に入れるべく本来なら堅く禁じられているのだが、始業時間中からパソコンの購入画面を開いていたりするほどである。神谷が性格上、あまり規則をガチガチに守らず抜け穴を使ってサボったり違法を合法にしちゃうような性格なので、出来る荒技である。

 

ピーンポーンパーンポーン

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!!!!!!」

 

昼休みを告げる12:00のチャイムが鳴った瞬間、キーボードを超スピードで押して行き僅か30秒で購入する。

 

「っしゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!ゲットォォォォォォォォォ!!!!!」

 

「テンション高いなぁ」

 

ビイィィィ、ビイィィィ、ビイィィィ

 

突如、部屋中に警報が鳴り響く。この警報音には、二人とも聞き覚えがあった。

 

「おい嘘だろ!?」

 

「何故この世界で、ICBM攻撃が.......」

 

このサイレンの指し示す意味は「他国からのICBM攻撃を受けている」というもので、これまで鳴ったことがあるのは数えるほどしかなかった。知っての通り、ICBM攻撃なんて普通は無い。ICBM攻撃をするという事は戦争状態への突入、国際社会からの決定的な孤立、場合によっては報復核攻撃すらも視野に入るため、普通ならチラつかせて終わりの筈なのである。というか各国の首脳陣も、戦争したところでメリットよりデメリットが多い為「戦争はあまりしたくない」というのが本音である。金掛かるし、何かと批判されるし、負けでもしたら大変である。

そんな「禁じ手中の禁じ手」とも言える攻撃手段が今、日本に迫っているのである。

 

「システムエラー、な訳ないよな」

 

「はい。解析検査プログラムと自己修復プログラムが随時走ってますから、エラーのまま進行するのはまずあり得ません」

 

プルプルルルルル、プルプルルルルル

 

「俺だ!ICBMの件だな?」

 

『あぁ!破壊措置命令を下す!!』

 

「了解だ!」

 

電話を切ると2人は地下にある指令室へ下り、破壊措置に関する指示を出す。

 

「けいれ――」

「敬礼はいい!それより状況を」

 

「ハッ!今し方、監視衛星よりパーパルディア皇国首都のエストシラントより、ICBMと思しき9つの飛翔体を確認したとのことです。弾道から予測しますと、目標は札幌、埼玉、東京、神奈川、名古屋、京都、奈良、大阪、福岡の9都市です」

 

事前に得ていた情報では撃てても一発程度と言われていた筈なのに、9発も来ているのに疑問を持つが、「今はそれどころではない」と頭から疑問を一度消し去る。

 

「弾道ミサイル破壊措置のマニュアル通りに行くぞ。上空に鳳凰の姿は?」

 

「有ります!3号機がコース上に居ます!!」

 

「よし、3号機に破壊措置を下命。それから付近に展開中の防衛艦隊の草薙艦に、迎撃ミサイルの発射を指示。当該地区にはJアラートの発令とシェルターを解放。それから超高高度防衛ミサイル富士の展開を急がせろ!!」

 

オペレーターの兵士達が、ヘッドフォンで各地に指令を伝えていく。

 

「各自治体にJアラート放送急がせろ。テレビ局にもテロップを流させ、一人でも多く避難させろ」

 

「超高高度防衛ミサイル富士、発射体制へ移行」

 

「総員、対弾道ミサイル防空戦用意」

 

 

 

ICBM飛来コース上空

「機長、本国よりICBMの破壊措置命令が来ました!」

 

「え!?この時代感にあわねー兵器だろ。なんでまた、ってボヤく暇はないな。よし、TLS充填開始!!レールガンもチャージだ!弾種、月華弾!!」

 

「TLS充填開始。装填用エネルギーバイパス、解放」

「レールガンチャージ。24、48、72、100、エネルギー充填120%」

「軸線に捉えた。発射まで5、4、3、2、2、1」

 

「撃てぇ!!」

 

ビーーーーーーーーー

バシュン!!!!!

 

「命中、目標を4発撃破」

 

「後は、海軍に任せよう」

 

 

 

 

日本海 第三防衛艦隊 駆逐艦「瀬戸霧」

 

「目標情報入りました!!パーパルディア皇国首都エストシラントより、ICBMの発射を確認!以降ターゲットアルファー、ブラボー、チャーリー、デルタ、エコーと呼称!!!」

 

「システムをBMDモードに!CIC指示の目標、撃ち方始め!!!」

 

「てぇー」

 

瀬戸霧のVLSから、弾道弾迎撃のための信長対空ミサイルが撃ち出される。

 

「インターセプトまで10秒、9、8、7、6、5、4、スタンバイ、マークインターセプト!!」

 

「本艦の信長ターゲットアルファを撃破!!松雪、銀時、影虎、龍舞も目標を撃破しました!!!全弾撃墜!!!!」

 

この報告が艦内に響くと、今度は歓声が艦中を駆け巡る。それは地下指令室でも同じで、皆が喜んでいた。ただ一人を除いて。

 

(奴らは恐れ多くも、ミサイルで日本を穢そうとした。こうなれば最後の作戦、それから占領政策も少し変えてやらねばな。これまで民間人の死傷者は殲滅戦と言えど、あまり出したくなかった。だが、こうなれば知ったことか。完全に潰す。再起不能になるまで、潰す

 

神谷は脳内で今度の最終作戦の修正を行なっていた。核を使わず、どのように恐怖と絶望のドン底に突き落とすか。核を使わないとなると使える兵器で絶望を与えられるのは、もうアレらしかない。どんな兵器かは、決戦まで取っておこう。

 

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