今回の話はこれまで私が書いてきた、どの回よりも一番ショッキングな物になっています。見るのは自己責任でお願いします。また倫理的、モラル的にヤバい発言がバンバン出てきます。ご了承の上で、ご覧ください。
ここにいるのは覚悟を決めた勇者達だけだよね?それでは、ご唱和ください。せーの
SLBM発射一時間前 空中空母「白鯨」艦橋
「あの、そろそろ何が始まるのか教えて頂けませんか?」
「それはまだ出来ません。ご心配なさらずとも、しっかりお教えはいたします。ただその教える人間が私ではなく、今向かっている本作戦の指揮官、というだけです」
白鯨の艦長に、ムーの観戦武官であるマイラスが質問している。かれこれこの質問は三回目である。というのもマイラスとラッサンの二人は、昨夜、滞在先のホテルで寛いでいたら突然連絡が来て「明朝、お迎えに上がります」といきなり言われ、いざ迎えとの待ち合わせ場所に来れば特殊戦術打撃隊の基地に直行。そしてあれよあれよと言う間に、白鯨に乗せられて飛び立つという、正直言って何が何なのかわからないまま此処にいるのである。
「艦長、来たようです。コールサイン、hell maker。着艦許可を求めてきています」
「許可して差し上げろ」
艦の後部に一機のSH13海猫が着艦し、中から二人の男が出てくる。
「ご苦労様です!!」
「おう、ご苦労さん。見届け人は来ているな?」
「ハッ!御二方は既に会議室にて、お待ちいただいております!」
見届け人というのは、勿論マイラスとラッサンの事である。今回二人には最終作戦の様を見てもらい「大日本皇国を本気で怒らせた国家が、一体どんな末路を辿るのか」というのを本国に伝えてもらうために来てもらっているのである。
会議室
「御足労をお掛けして申し訳ない、マイラスさん、ラッサンさん」
「神谷さん。それは良いのですが、しっかり説明して頂けますよね?」
神谷の挨拶にマイラスが質問で返す。神谷は「勿論」と言って、二人の前の椅子に座った。
「今回、お二人に来て頂いたのは他でもありません。今回の戦争の終焉、パーパルディア皇国という一つの列強国が歴史書と人々の記憶以外の全てから消え去る様を見届けて頂きたいのです」
この一言に、二人の顔は一気に強張る。そりゃあ目の前で「国一つ滅ぼします。だから見ててね?」と言われ、その国家が自国より格下とは言えど列強に名を連れねる国家なのだから当然である。
「しかし何故、我々なのですか?」
今度はラッサンが質問をする。正直言って、もう二人は日本軍の強さというのを嫌というほど知らされている。これ以上、何を見せようというのかと甚だ疑問なのである。
「単刀直入に申し上げて、我が国は貴国にある懸念を抱いているのです。私個人としましては、お二人を信頼に足る人物と見ております。とくにマイラスさんに至っては、
しかしこれが国家間となると、話が別になるのは承知の上と思います。率直に申し上げて、我が国は貴国、というかこの世界に存在する全ての国家に
本来であれば神聖ミリシアル帝国の人間を連れてきた方が影響力はあるのでしょうが、彼方は魔法文明国家ですので正確に我が国の力を測れない可能性があります。そこで同じ科学文明国家であり、旧世界の常識がある程度通じ、国際的影響力の高い貴国に白羽の矢が立ったのです」
「つまり今から起こる惨劇を記録し、我が国の政府を通じて世界に知らしめろ、という事ですか?」
「えぇ」
一瞬の静寂が会議室を支配する。まさか「より多くの人間を救うために、多くの人間を殺す」という発想した事すらない考えを持っていて、しかもそれの実行を特等席で見る事になるとは夢にも思わなかったのだ。しかしマイラスが、静寂を破る。
「良いでしょう。こうなればパーパルディアの終焉の刻を見届けさせてもらいます」
「感謝いたします。それでは私共は、出撃の準備に入りますので」
「はぁ。ん?出撃の準備って、まさか神谷長官自ら赴くつもりですか!?」
「?えぇ、そりゃ勿論」
ラッサンの質問に、至極当然かのように答える神谷。マイラスも「コイツ、マジか?」という顔をしている。普通なら軍の指揮官、まあ小隊長とか分隊長とかなら別として、軍の最高司令や部隊の総司令は後方で指揮を取るのが普通である。それは今も昔も、何処の国であっても基本変わらない。そりゃ最高司令が倒れては、内部に不安や動揺が広がって士気が下がる上に、今後の作戦指揮を執ることすらままならなくなるのだから当然である。そんな立場の人間が、あっさりと「前線行ってきます」宣言したのだから無理もない。
「ご心配なさらず。長官の思考がバグってるだけで、貴方がたの記憶が間違ってる訳ではありませんので」
向上の一言に神谷が「うるせー」と一言ツッコミ、そのまま二人は出て行った。
「マ、マイラス。やっぱあの人は、何処かおかしくないか?」
「俺も思ったよ」
二人して盛大なため息を吐いたのは言うまでもない。
00:00 艦橋
「長官、時間です」
『現時刻を以ってパーパルディア皇国首都攻略作戦、「地獄作戦」の発動を宣言する!!!!各員持てる力の全てを以ってパーパルディアの連中に、日本を怒らせたらどうなるか教えてやれ!!!!!』
この宣言が為された瞬間、ポイント38593の海中に潜んでいた伊1517潜がSLBMを発射。同時に侵攻中の全ての白鯨と白鳳からも艦載機が発艦し、皇都エストシラントへ向かい始めた。それでは此処で、パーパルディア皇国首都攻略作戦であり、本戦争の最終作戦である「地獄作戦」の概要を説明しよう。
この作戦は一言で言うならパーパルディア皇国を文字通り
①SLBMによるエストシラント西部への攻撃
②SLBMの着弾より30分後から開始される戦艦群と51式510mm自走砲による、エストシラント南部と中心部への全力砲撃
③エストシラント東部への空爆Part2
④陸軍と海軍陸戦隊によるエストシラント北部への攻撃
⑤ど真ん中にあるパラディス城への突入と、皇帝ルディアス、皇女レミールの殺害
の以上五段階に分けられている。それでは作品に戻って、SLBMの経過を確認していこう。
ポイント38593 海中 伊1517艦内
「SLBM、順調に目標へ侵攻中。間もなく、final phaseに突入します」
「SLBM、いや、伊邪那美弾*1の力、知ってもらおうか。パーパルディア皇国よ」
「final phase突入!」
発射されたSLBMは、ミニマムエナジー軌道を取り大気圏への再突入を開始する。再突入時にSLBMはMIRVと同じように、周りに18発のカプセルを放出。カプセルは本来の弾頭よりも速い速度で、そのままエストシラント西部の市街地に向かう。途中で光学迷彩を使用し、姿を隠した上で等間隔に着弾していく。
このカプセルには先述したデモリッシャーガスを注入しており、気化ガスを周囲に撒き散らす。
一帯が十分にガスで満たされたタイミングで、弾頭部が到達し起爆。
ドカァァァァァァァァン!!!!!
まずは強烈な爆風が襲い、次いで4,000℃の熱波が周囲を襲い全てを破壊し尽くす。因みに鉄が解けるのが1,500℃で、現代の戦車の徹甲弾に使われるタングステンの融点が3,380℃であるから、4,000℃というのがどれ程高いかわかるであろう。
エストシラント西部にいた市民は、自分達に何が起きたのか分からないまま死体も残らない程に消し飛んだ。
「なんだぁ!?」
「おい!西部地区が爆発したぞ!!!!」
「一体何が.......」
エストシラントは城壁都市であり、進撃の巨人のシガンシナ区のような突出した都市が東西南北に存在し、真ん中にパラディス城含む貴族の邸宅や政府施設の立ち並ぶ中央区が存在する。それぞれが壁によって区切られている為、西部地区内部は地獄ではあるがそれ以外の地区には被害がなかった。
まあ吹っ飛ばされた破片が降り注いで、多少の死傷者や半壊した建物はあるけど。
「なんだあの爆炎は!?」
「まさか.......核攻撃か?」
上空を行く白鯨からエストシラントから上がる爆炎を見たマイラスとラッサンは、まず見た事もない巨大な爆炎を前に言葉を失った。しかしマイラスは脳内で、ある本が浮かんできた。それは本屋で買った広島と長崎の原爆についての本である。今目の前のキノコ雲は、まさしく核爆弾のそれである。と考えていた。
「マイラス殿、アレは核ではありませんよ?あれは特殊な燃料気化弾で、伊邪那美弾と呼ばれる兵器です。威力は核と同等でありながら、環境への被害は殆どない。我が国の戦略兵器の一つです」
「あんな物を日本は持っているのか.......」
二人の脳裏には、それが自国に向けられた時の事を考えていた。逃げ惑う市民、焼死体、倒壊した建物。文字通りの地獄が広がるのは、火を見るよりも明らかである。一方、エストシラント西部地区では一つの命令が物議を醸していた。
「何故です!?まだ中には大勢の人間がいると言うのに!!!!」
「どうせ死んだところで、別に国家に影響はないんだ。有象無象如きに振り回されて、この国を終わらせる程愚かではないわ」
「しかし!」
「隊長、閉門します」
なんと「西部地区と中央区を結ぶ門を閉鎖しろ」という命令を出したのである。先程も説明した通り中央区には政府施設が集中しており、そこを燃やす訳にはいかないという理由なのである。だがこれは表向きで一応政府施設の事もあるが、8割方が貴族達の財産を守るために門を閉じるのである。
曰く「別に市民が何万人死のうと、我ら貴族が残れば良い。市民を一万人集めたところで、我らの命の価値の方が遥かに上である」だそうで。まあ心配しなくても、じきに吹っ飛ぶよ。貴族の豚ども。
エストシラント南部正面海域 超戦艦「熱田」艦橋
「作戦は予定通り、 phase2に移行する」
「ハッ!そうと決まれば、奴らに怒りの号砲を聞かせてやりましょう」
「そうだな。砲術長、準備に入ってくれ」
「アイ・サー!」
現在、熱田以下、先のエストシラント沖海戦に参加した全ての艦艇がエストシラント南部の正面にある海域に土手っ腹を向けて止まっている。勿論、その理由は主砲、副砲、両用砲、機関砲の火力を一番投射できるからである。
「主砲、副砲、両用砲、機関砲、砲撃よーい!五月雨弾装填!!」
「主砲、副砲、両用砲、機関砲砲撃用意。主砲、副砲弾種、五月雨」
「主砲、副砲、回頭開始。90度まで」
「砲塔仰角最大。甲板作業員は退避の上、ハッチ閉鎖。各員は砲撃に備えよ」
「右舷両用砲群、機関砲群、スタンバイ。砲撃モードを対地モードに」
「陸さんにも連絡を忘れるな?同時砲撃で行くからな」
「アイ・サー!!」
艦長の指示で、無線のチャンネルを陸軍に合わせる。勿論相手は陸軍の51式自走砲部隊である。
『こちら砲兵連隊司令部。海軍サンからの連絡ってことは、砲撃準備の進捗か?』
「えぇ。準備の程は?」
『こっちは準備万端よ!其方さんの号令がありゃ、いつでも砲弾の雨を降らせてやる』
「了解しました。こちらは後数分で準備完了します。それまでは、待機願います」
『おうよ!』
どうやら砲兵隊の準備は完了しているようなので、海軍側も大急ぎで準備を進める。そして数分の後、準備は完了した。しかも丁度、ピッタリSLBM攻撃の30分後である。
「砲撃準備完了!!」
「さあ、我らの姿を白日の下に晒そう。発光信号弾、てぇ!」
砲撃前の「余興」として、神谷は艦隊に命令を下していた。それは艦に搭載されている信号弾を、砲撃の準備が完了次第、全艦一斉に打ち上げて堂々たるその勇姿を見せつけようというものである。
エストシラント南部壁上 監視塔
「西部地区、大丈夫かな?」
「いや、絶対大丈夫な訳ないだろうよ。あんな巨大な爆風、生まれてこの方一度も受けたことねーぞ」
「そうだよな。?なぁ、あの光なんだ?」
監視塔に登っていた二人組の内、若い兵士が自分達の目線より少し下の海に、赤く輝く無数の球体を見つけた。星にしちゃ大きすぎるし、太陽にしては小さい。と言うか何なら、真夜中な訳で太陽であること自体あり得ない。
「星、な訳ないもんな」
片割れの少し歳のいった男も首を傾げている。しかし次の瞬間、その赤い球体は破裂して中から大きな白い光が辺りを照らし出す。
「な、なんだありゃ!!??」
「戦列艦、いや!ムーの持ってる「戦艦」とか言う軍艦にそっくりだ!!なんて数いやがる」
眼下に居たのは、言わずともわかるであろう。皇国海軍の誇る戦艦達である。
「全砲門、撃てぇ!!!!」
「撃ちー方始め!!!!」
ドゴォォォォォォォォォン!!!!
二人の兵士が本部に報告しようと魔信に手を伸ばした瞬間、砲撃が始まり監視塔ごと、二人の兵士は消しとばされる。エストシラント南部地区にも、一度に5,000発以上の大小様々な砲弾が雨の如く降り注ぐ。
しかも撃ち込まれる砲弾の内、大体1,000発程度が対地上目標用に開発された五月雨弾である。この五月雨弾というのは、内部に子爆弾を仕込んでおり空中で起爆し、10発程度に分離。それぞれが着弾後、内部に爆弾を送り込んでより強力な威力を発揮できる兵器である。これが雨のように降ってくるのだから、考えただけでも恐ろしい。
「パパー!!!!ママーー!!!!!」
「あなたー!!!!!」
「ウッ.......。誰か、助けて.......」
「ギャーーーー!!!!あつい、あついぃぃぃぃ!!!」
「誰か、水を.......」
「もう.......いや.......殺し.......て.......」
南部地区は西部地区よりも、ある意味地獄の様相を呈していた。西部地区の場合は、あまりに威力が絶大すぎて苦しむ事なく逝った。ところがこっちの場合は瓦礫の下敷きにはなるわ、砲弾の破片でズタボロになるわ、火だるまになるわ、阿鼻叫喚の地獄絵図とは正にこの事だろう。
だがこれでは終わらない。艦隊と砲兵隊は全力砲撃を続けており、その魔の手は中央区にも手を伸ばし始める。
「急げ!!」
「ハッ!!!!」
(最早、修正や止める事が不可能になる程に事態は悪化している。もう、この国は終わりだな)
第3外務局の局長、カイオスは自身の邸宅を飛び出して皇宮に馬車を走らせていた。実を言うとカイオスはクーデターを画策しており、クーデター成功の暁には日本と講和するつもりでいたのだ。ところが日本の動きが少し早く、皮肉にも実行の前夜である今日、日本の攻撃が始まってしまったのである。
ヒュウゥゥゥゥゥ
「この音は.......。どうやら、もう終わりのようだな」
(父上、母上、今其方に参ります)
次の瞬間、カイオスの乗っていた馬車は第六主力艦隊の旗艦である超戦艦「
「一体何が.......」
「陛下、これはきっと日本の攻撃です。妾は何処までも、貴方様と共にあります。どうなさいますか?」
「本来なら先頭に立つべきなのだろうが、我が死んでしまっては世界統治どころか、この国すら危うくなる。ここは一度逃げて、ガハラ神国に亡命するとしよう。レミール、支度をせい!!」
「はい」
まさかの皇帝、ガハラ神国に逃げるそうで。あ、因みに何故地下室から裸で出てきたかというと 1、2、3
「あーーーーーーん♡」
「ここが良いのだな、レミールよ!」
ヤッてたそうです。いや、アンタら国の一大事に何やってんだよ!!!!コイツらアホだ。筋金入りのアホだ。
エストシラント東部地区 上空
「機長、エストシラントです」
「まさか、また此処に同じ目的で来る羽目になるなんてな」
「ですね。爆撃準備に入ります!」
今回の爆撃には超重爆撃機富嶽IIが60機投入されている。何気に、前回の五倍である。さて、これをB52ストラトフォートレスに置き換えますと。なんと!600機分の爆弾が降り注ぎます!!
正直言って、何かこう明るく言うべきなレベルではない。B52が600機分とか、この世の終わりでもないと見れない量である。そんな量の爆弾が、降り注ぐというのは想像すらできない。
「またあの飛行機械だ!!」
「爆弾の雨が降るぞーー!!!!」
「みんな逃げろ!!!!」
「逃げるって何処に!?」
「知るか!!」
逃げ惑う市民の真上から、爆弾の雨が降り注ぐ。無誘導爆弾、つまり普通の重力に沿って落ちていく爆弾な訳で、軍民問わず等しく死をプレゼントしていく。
「やっぱ下には居たくねぇ」
「同じく」
投弾はものの5分で終わったが、富嶽爆撃隊の通った後の東部地区は瓦礫と死体の山だけだったのはいうまでもない。
エストシラント上空 高度1万m 空中空母「白鯨」飛行甲板
「地獄が燃えているな」
「えぇ。この作戦もいよいよ、フィナーレ中のフィナーレですね」
飛行甲板の上で完全武装の二人の男が並んで立っている。片方は2本の刀を腰に刺し、背中に「皇国剣聖」と書かれた羽織を纏った男。もう片方は、旭日旗の紋様が刻まれたロングコートを纏った男。それぞれ言わずともわかるであろう。大日本皇国統合軍総司令長官、神谷浩三と、その秘書にして「鉄砲頭」の二つ名を与えられている男、向上六郎である。
「敵は、パラディス城に有り!ってか?」
「の割には、部下が足りませんね」
「だよなぁ。まあいい。そろそろ奴らに俺達の国民を殺しやがった上に、畏れ多くも天皇陛下すらも馬鹿にしたツケを払ってもらわねーと」
「予定では、北部地区の門をメタルギア 零がぶち壊す辺りです。あ、ほら」
眼下に広がる燃えるエストシラントのうち、北側の所のみ火の手が上がっていない。あそこは血の海に変わる予定の場所で有り、ちょうどメタルギア 零が門を突破しているところが見えた。
「艦長、世話になった。お互い、また日本で会おう」
『御武運を』
「さあ、行くぞ!!!!」
二人とも同時に駆け出し、白鯨から飛び降りる。目指すはエストシラント北部地区。
二人が降下したのと同時に、神谷戦闘団も空挺降下を開始。最強の軍団がエストシラントの地に足を踏み入れた。
エストシラント北部地区
「皆の者、掛かれえぇぇぇぇ!!!!!」
「「「「「「「「おおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」」」」」」」」
一足先に地上に展開した村今戦闘団の団長、村今中将の号令に兵士達が大声と敵への突撃で応える。
「敵が向かってくるぞ!!!応戦準備!!」
パーパルディア側も負けてはいない。西部、南部、中央区、東部と攻撃されたのだ。次は北部と考えて、相当数の人員を配置していたのである。しかも彼方さんとしては、最早後ろにあるのは中枢たるパラディス城で、ここは自分達の祖国の首都。文字通り後のない「背水の陣」である事もあって、今まで一番頑強な抵抗を開始する。
「一列目、構えー!火蓋切ってー!狙ってー!放てー!!」
パパンパパンパパンパパン
そこら辺の家屋から強奪してきた棚やら、箪笥やら、荷車やらを遮蔽物として配置。その後ろから得意の横列射撃を加えていく。
対する大日本皇国側は「装甲歩兵による高火力弾幕射撃」と「通常歩兵による立体機動戦」で対応する。前者に関しては予想つくだろうが、後者はイマイチ想像が付かないであろう。では見て行くとしよう。
「ダメだ、銃が効いてない!!」
「何故だ!?」
「装甲が厚すぎるんです!!」
「マスケット如きの豆鉄砲が効くかよ。野郎共、構えろ!!!」
装甲歩兵の隊長がそう命じると、全員が横一列に並び両腕を前に構える。
「撃て!!」
キュィィンブォォォォォォォ!!!!!
両腕に装備された六銃身7.62mm機関銃で、濃密な弾幕を展開し遮蔽物ごと破壊していく。
「うお.......」
「魔導砲か!?クソッ!!!」
「お前達、建物内に避難だ!!上からなら、もしかしたら倒せるやもしれん!続け!!!」
隊長格の男が部下達に命令し、建物の中に入っていく。例え上から撃とうが下から撃とうが、何なら魔導砲撃とうがダメージは入らないのだが。
「思った通り上がガラ空きどころか、警戒すらしていないようだ。よし、撃ち方よ――」
ドカカカカカ
「隊長!!一体何処か.......ら」
兵士の目の前にはライフルを構えた、空中に浮かぶ兵士がいた。
日本軍が一般歩兵向けに配備している機動甲冑と、それを空挺モデルに改良した空挺甲冑には防弾性能や、ヘルメットに仕込まれたレーダーとFPSのゲーム画面のように出来る機能の他に、チートとも呼べる機能が付いている。それはジェットパック機能とグラップリングフック機能通常装備というヤバい機能である。しかもジェットパックは腰のベルトについたテニスボール程度の大きさで、映画とかに出てくるような背中にデカデカと背負うようにデカい物ではないため、動きの妨げにならないのである。
しかし余り持続力は無く、連続飛行は6時間が限界であるし、速度もそんなに速くない。そこでグラップリングフック(イメージ的にはジャストコーズのリコ・ロドリゲスが使ってるアレ)の出番である。両腕に装備されたワイヤーで、縦横無尽に戦場を駆け巡る事が出来るのである。
まあ今回のような奇襲戦で余り戦闘時間の掛からない場合は、ジェットパックオンリーでも良いのだが。
「ば、化け物!!」チャキ
ドカカカカカ
パーパルディア皇国兵が構える前に、日本兵が43式小銃を撃つ。ついでに下部ピカティニー・レールに搭載しているグレネードランチャーでグレネードを発射し、中の兵士を纏めて殺害する。
「擲弾用意!撃て!!」
ポンポポンポン
29式擲弾銃によるグレネード一斉射で、さっきの遮蔽物の奥にいた生き残りも全員吹っ飛ぶ。
『全軍へ。正面大通りはクリア』
「よし。進撃せよ!!」
村今の指示に、全軍がまた動き出す。では今度は、壁上の砲台の方を見てみよう。
「ヒャッハーーーーー!!!!」
「殴り込みだ!!切り込みだ!!カチコミだ!!とにかく撃ちまくれ!!!!!」
何と壁上には、偶然にも2台の44式装甲車ロ型が着地していた。しかも敵が大勢いて、このロ型は歩兵への近接火力支援がコンセプトの装甲車である。つまり「敵歩兵絶対殺すマン」である。あ、因みに乗っているのはアルタラス島奪還作戦時に、アルタラス統治機構庁舎の2階と3階にジャンプして突っ込んだ上に、中の敵をボッコボコにしてたドライバー二人である。
「なんだあの地竜は!?」
「砲旋回、急げ!!」
「撃てぇ!!!!」
壁上に搭載された魔導砲が旋回し、一斉に砲弾を発射する。
ゴンッ!!ガンッ!!
「その程度じゃ効かないぜ!!」
「今度はこっちのターンだ!!俺のターン、ドロー!!50mm擲弾の雨!!!!」
なーんか何処ぞのカードゲームで言ってそうなセリフを言って、砲台を兵士ごと吹き飛ばす。
「ギャーーーー!?!?」
「おい装薬に引火するぞ!!」
「伏せろォォォォ!!!!!」
ドカーーーン!!!!
「まだまだ行くぜぇ!ヒャッハーーーーー!!!!!!」
装薬に引火して爆発した煙の中から、また44式が飛び出す。そのままパーパルディア皇国兵を轢き殺しつつ、砲台を踏み潰しながら、横についてる20mmと12.7mmの機銃で射殺していく。
「のガァァ!!!」
「ゴフッ.......」
「ゲボッ!」
「見えたぜ!!!!勝ち筋!!」
「ヒャッハー」ばっか言ってる方の44式が加速し、目の前の如何にも偉そうな勲章をぶら下げたおっさんにロックオンする。
「く、来るな化け物!!!!」
「ここだ!!!!!」
ギャリギャリギャリギャリギャリギャリ
何と目の前でドリフトしつつ急減速を掛けて、偉そうなおっさんに車体をぶつけて吹っ飛ばす
カキーーーーン!!!!
野球であれば、文句無しのホームランであろう。まあすっ飛んでいったのはボールではなく、偉そうなおっさんという人間だが。
「アレーーーーーー!?!?!?!?」
「ホームランだぜ!!ヒャッハー!!!!!」
「あらら、綺麗に飛んでったな。取り敢えず人間野球でホームランも出したし、このまま壁上の砲台をぶち壊していくとしようか!!!!」
「ヒャッハーーーーー!!!!まだまだ暴れるぜ!!!!!!」
2台の44式装甲車は壁上の砲台を壊すべく、次なる目標へと走り去っていた。さてさて今度はお待ちかね、我らが神谷浩三の方を見てみよう。
「急げ!!第一防衛ラインが突破された!!!!なんとしても、第二第三防衛ラインで止めるんだ!!!!」
「「「「「「ハッ!!!!」」」」」」
パーパルディア兵が大慌てでマスケットと魔導砲を準備していると、目の前に何かが降ってくる。土煙が晴れるとそこには、二人の人間が立っていた。
「何者だ!!!!」
「大日本皇国統合軍総司令長官にして、偉大なる世界唯一の
「同じく天皇陛下より「鉄砲頭」の役を賜りし者。向上六郎、見参!!!!」
「「推して参る!!!!!」」
いきなり目の前に現れた上に、どう見ても強者にしか出せないオーラを纏った二人組に後ずさる。
「狼狽えるな!!!!たかが二人だぞ!?!?我らは何人いると思っている!?!?!?パーパルディア皇国、皇都防衛隊の力を見せつけてやれ!!!!!」
指揮官の言葉に鼓舞され、武器を構える。だが引き金を引こうとするより前に、二人の動きの方が早かった。
「参る!!!!」
「行きます!!!!」
神谷は腰に差した太刀を抜き、向上は脇のホルスターに入れていた二つの26式拳銃を抜く。右手の方にはグリップに「鎧袖一触」の文字が、左手の方にはグリップに「天下無双」の文字がそれぞれ二文字ずつ刻まれていた。
「撃てぇ!!!」
パンパパンパン
「見切っとるわ!!!!」
放たれた弾丸の内、自分に当たる物だけを見極めて、それを刀で切り刻んで回避する。そして遮蔽物を飛び越えて懐に飛び込み、周りの兵士を切り刻む。
「ぎゃっ!?」
「ノア.......」
「ゴヘッ!」
瞬く間に8人を斬り捨て、返り血に塗れたまま残りの兵士の方を向く。
「ば、ばっ、化け物め!!!!オラァ!!!!!」
一人の敵兵がマスケットで殴りつけてくるが、それを逆に掴んで引っ張り手を外させて、それで逆にタコ殴りにする。そして銃口を口の中に突っ込む。
「ふが!!ふがふごふがふが!!!!!」
「悪いな、猿語はさっぱりなんだわ!!!!!」
そのまま渾身の力でつき、喉を突き破る。
「さあ、次は誰だ?」
一方向上の場合は
ズドォンズドォン
「なんて威力のピストルだ!」
遮蔽物に隠れてようが、死んだ仲間を盾に隠れようが、それごと12.7mm弾で貫通させて的確に葬っていく。
「ハァ!!!!」
上にジャンプして、そのまま空中で回し蹴りを加えていきながら撃ちまくる。
「コイツ素早い!!」
「そういう事なら、コイツの出番だ!!」
そう言うと恰幅のいい兵士が、後ろの木箱から小さめの銃口が広がっているマスケットを取り出す。この銃はブランダーバスという物で、日本語ではラッパ銃と言われる銃である。要はショットガンのご先祖さまである。
「発射ァ!!」
バギュン!!
「!?」
向上は蹴飛ばそうとしていた兵の頭を掴んで、自分の前に固定する。勿論ブランターバスの散弾は向上を狙ってた訳で、その目の前に兵士の身体があっては、その兵士の身体に命中する。
「ゴバッ!!!!」
ズドォン
そのまま空いてる手で恰幅のいい兵士を撃ち抜き、また次の敵に照準を合わせて弾丸を撃つ。
「魔導砲、撃てぇ!!!」
ドオォン!!ドオォン!!
「チッ」
「危ないですね!」
二人の下に、後方の砲撃陣地から二門の魔導砲が発射される。発砲の瞬間に反応できたので、そのまま横にずれて避ける事に成功する。
「おいおい、人間相手に大砲撃つかよ普通!!」
「幾らなんでもオーバーキルでしょうに。まあ私達は普通じゃありませんから、その程度じゃ止められませんけど。長官!」
「おう!!アレやるぞ!!!!」
次の瞬間、隠れていた遮蔽物から飛び出し、神谷が前に。向上はその後ろに陣取り構える。
「おーい、家畜のクソよりも劣るパーパルディア皇国兵ども!!!!!この俺を撃ってみろよ!!!!あ、もしかして砲を撃つことも出来ないほどバカなんでちゅかあぁwww!?!?」
流石にこんな安い挑発に乗る訳な――
「野郎ぶっ殺してやるぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」
乗っちゃったよ。まあ何はともあれ一応挑発は成功し、魔導砲を撃ち込んでくる。
「掛かったな?」
そうニヤリと笑うと、刀を砲弾の方に投げる。刀はグルグル回転しながら、砲弾を切り裂く。次の瞬間、向上が神谷の方に向かって走ってくる。神谷はぐるっと180度回って後ろを向き、腰を落として手を前に出す。俗に言う「三人人馬の術」の一段目の人間の構えをやったのである。
「よっしゃ来い!!」
「行きますよ!!」
「そいやっ、さあ!!!!」
そのまま向上が手の平に足を乗せて、乗せた瞬間に真上にぶん投げる。
(狙うは、装填中の装薬。ただ一点!!)
「吹き飛びなさい!!!!」
ズドォンズドォン
向上の放った弾丸は正確に装薬を撃ち抜き、無事誘爆させて砲ごと吹き飛ばす。
「決まりました。ああ、何故ここに推しが居ないんだ。絶対に惚れるのに」
「いや、こんな戦場のど真ん中にいたら推しの娘、今頃血だらけの死体になるか、パ皇兵の慰み者になってるかもよ?」
「パーパルディア皇国の豚畜生共め!許さん!!!!!」
「ちょちょちょ!!ちょ待てい!!!アンタの推しは世界一安全な日本にいるから!!!!ここには来た事すらないから!!!!」
向上が一人暴走して敵味方の区別なくぶっ殺しそうな勢いだったため、神谷が慌てて止めに入る。推しの力って凄いね。
「団長、ご無事で!!」
そうこうしている間に、白亜衆の兵士達が次々に追い付き始める。いつの間にか周りの建物をA10彗星が爆撃してたり、ADF1妖精、ADF2大鷹、ADF3渡鴉、空中母機「白鳳」のTLSが地表を焼いてたり、46式戦車が地竜を吹っ飛ばしてたりしていた。
「まもなくメタルギアが門を破ります。退避を」
「了解了解」
そんな訳で一度建物の上に退避し、メタルギア零が突っ込む様を見る。壁に大穴が空き、いよいよ敵の本丸のある中央区に乗り込む。
「下民共!!しっかり我らを守れ!!!!」
中央区の貴族や政府要人の邸宅が並ぶ通りに、貴族達が自らの愛馬に跨り逃げ延びてきた市民達に武器を持たせて自分達を守るために並べていた。武器と言っても、そこら辺の残骸から拾ってきた鉄パイプや角材、それから邸宅にあった包丁やナイフといった武器とは到底言えない代物である。
しかも市民達の後ろには、軍の督戦隊と徴兵された犯罪者が控えている。これの意味するところはつまり「逃げようものなら、ぶっ殺す。前に進め。後ろには下がるな」という事である。
「クソッ、なんで俺たちが」
「おいやめろ!!後ろの連中に聞かれたら、どうなるか」
「構うかよ。それに、どうせ俺達は死ぬんだ。最後に言いたい事を言って死んだ方がマシさ」
次の瞬間、太ったスキンヘッドの男が、色々言ってた市民の背後に立つ。
「おばえ、気に入らないから剥がす」
「え?剥がすって何を、ギャァァァァァァァァァ!!!!」
なんと手に持っていたナタで、市民の皮を剥ぎ始めたのである。勿論、生きたまま。
「おい嘘だろ!!」
「おばえも剥がしてやろうか?」
「勘弁してください!!」
「おい、462番。そこまでにしておけ」
看守役の兵士が止めた事で事なきを得たが、止められなければ危うく自分も剥がされるとこだったと思うと震えが止まらなかった。
(こりゃ不味いな)
幸か不幸か、その様子は進路偵察に出ていた日本兵が確認していたのである。この事は本隊、正確には神谷の知る所となる。
「何?流石に市民を蹂躙したくはないよな。今更だけど」
「えぇ。今更ですが」
神谷の脳裏に名案とまではいかないが、一応作戦が浮かぶ。
「よし。部隊を一度ここで止め、このまま市民以外の全員を殺す。白亜衆はステルス迷彩を使い、敵の左右と後方に展開。その間に念の為、戦車で敵の視線を釘付けにする。行動開始!!!」
という訳で日本軍の中でも、いや世界中の軍隊の中でも最高レベルの練度を誇る特殊部隊、白亜衆が動き始める。勿論パーパルディア側にステルス迷彩を見破れる力などないので、何にも阻まれる事なく部隊を展開する。
『各員、配置完了』
「了解。合図を待て」
丁度いいタイミングで51式が姿を見せてくれたので、こっちにはますます目もくれず全員の視線が51式に集まる。
「バカめ!!!そこには地雷があるのだよ!!!!起爆だ、ポチッとな!!!!」
そうデブで禿げらかした男が言いながらボタンを押す。次の瞬間、51式は下方からの爆炎に包まれる。
(嘘だろ!?)
「こちら神谷。51式、無事か!?」
『こ、こちら51式。どうやら爆炎はただの火炎魔法だったみたいで、エンジンがオーバーヒートしちまった事以外は問題ありません。移動は修理しない事には無理ですが、固定砲台として戦闘行動は継続します』
「大丈夫だ。そのままそこにいろ。お前達はあくまでも囮、ただの案山子で良いんだ」
『了解』
パーパルディアとの戦争が始まって、初めて受けた損害らしい損害であった。と言ってもオーバーヒートなので、すぐに直るが。
「行くぞ。3カウントだ。3、2、1。GO GO GO!!!!」
神谷の号令に、白亜衆が一斉に動き出す。
「うお!?な、何者だ!!!!」
「撃て撃て!!」
ダンダンダンダンダン
ドカカカカカドカカカカカ
弾幕を展開し、まずは督戦隊を片付ける。次いでWA1極光とWA2月光イ型が貴族の私兵と、取り巻きを片付ける。
「父上、ここは逃げるぇ!!!!」
そう言ってパラディス城(半壊)の方に逃げていくが、そっちには神谷と向上が控えていた。
「お前らの逃げる先は地獄だけだ!!!!」
「それか黄泉平坂です!!!!」
私服を肥やして丸々太ったクズ共十数人に、顔もイケメンで現職のエリート軍人が負けるわけも無く、即ぶっ殺していく。
市民達は「今度は自分達の番だ」と思い、ある者は涙を流し、ある者は武器を構える。
「武器を収めていただきたい。我々は別に君達を殺すつもりはない。まあこれまでの惨状の犯人が言うのもアレだがな。だがしかしお前達ごと殺すつもりなら、こんな回りくどい方法なんて取らずに、あそこの鋼鉄の地竜を使ってお前達ごと吹っ飛ばしてる。もうこれ以上、無駄な血を流すのは止めにしないか?」
市民達に神谷の声が届いたのだろう。次々に武器を捨て、日本軍の指示に従うようになった。取り敢えず部隊は一帯の建物を全て占領し、神谷と向上は白亜衆をつれてパラディス城内部に突入した。
中にいるのはメイドや執事などで、余り護衛の兵はいなかった。そんな訳ですんなりルディアスの自室の前までやってこれだ。
「行くぞ。ショットガンナー、蝶番をぶっ壊せ」
「ハッ!」
ダン!ダン!
36式散弾銃を持っていた兵士がドアを破壊し、道を作る。全員が映画の特殊部隊員のように、室内へ転がり込む。
「誰もいないし、死体もないな」
中は蛻の殻であり、本と服が散乱しているだけであった。
『こちら村今。神谷閣下、聞こえますか?』
「村今のおっちゃん。そっちはどうだった?」
『皇女レミールの邸宅を占領したのですが、何処にも居ませんでした。執事や召使いの話じゃ皇帝ルディアスと婚姻関係に発展していたそうで、今夜はパラディス城で一緒に過ごしていたそうです』
「こっちはルディアスどころか、レミールも見つかってねーぞ。一応そっちも引き続き探ってくれ」
『了解しました』
一応村今に捜索を頼んだ。だがこっちにいる可能性が高い事は判ったので、展開している全員に探す様に再度命令を出す。
「ん?長官!!これを!!!!」
一人の兵士が本を押したらしく、本が動いて階段が出てきたのである。
「よし、何人かは俺についてこい。中に突入する」
「「「「ハッ!」」」」
四人の兵士が神谷の後ろにつき、薄暗い階段を降っていく。所が下に降っていくにつれて、ある臭いがしてくるのである。
「なぁ、なーんか嫌な予感するんだけど」
「えぇ。これ、前にも嗅ぎましたよ」
ヒントはアルタラス島である。最深部のドアを開けると、中は一面ピンク色の壁とモフモフのカーペットの上に巨大なベッドという、ラブホ顔負けの空間が広がっていたのである。
「またこれかい!!!!何?パーパルディアの支配者層は、地下室にヤリ部屋を作る決まりでもあるのか!?!?」
「メイド服あるぜ」
「なんだこれ?紐?」
「水着じゃね?」
「おいこっちは、何かエロ漫画の踊り子が着てそうなシャランシャランな飾り付きマイクロビキニが出てきたぞ」
「うお、風呂まである。しかもデカ鏡まで。完全にラブホだな」
まさか秘密の地下室がヤリ部屋とは思わず、神谷は頭を抱えていた。
『長官、向上です。聞こえてますか?』
「どしたー」
『今、先代皇帝の自室の調査をしていたのですが、ヤバい物を見つけました』
「ヤバい物?」
『弾道ミサイルの発射サイロと、その管制室です。詳しい事はまだ判りませんが、十中八九、この間我が国に撃ち込んできたミサイルはここから発射された物でしょう』
「わかった。お前は俺と一度合流し、そこは部下達に任せろ。その部屋は何が何でも守るように伝えろ」
『ハッ!』
皇帝達の代わりに、トンデモない物を見つけて正直喜んで良いのか悪いのか分からなかった。神谷達がパラディス城を探し回ってる間、エストシラントの正面海域でも動きがあった。
「ん?レーダーに感!!敵艦3隻、来ます!!」
「一体何処から!?」
「水道です。水道から現れました!!!!」
何と大和の目の前にあった水道から、大型の戦列艦が出てきたのである。しかもそれは、皇国海軍の最新鋭戦艦であるパーパルディア級の3隻である。
「例の新鋭艦か。戦艦の王様の力、とくと見せつけてやれ!!!!全主砲、薙ぎ払、え?」
何処かの大和さんのセリフを艦長が言おうとした瞬間、何と真下からあの兵器が出てきたのである。その兵器とは、メタルギア水虎である。戦列艦がいて、海中からメタルギア水虎が出てきたのだから今からの展開は予想がつくであろう。
ズボッ!!!
腕を戦列艦(レミラーズ)に突き刺しまして、上に飛ぶ。そしてぶん投げて、別の戦列艦(パーパルディア)にぶつける。勿論戦列艦は、イーターIが刺さった地球防衛艦隊のようになる。残ったルディグートはというと、南部地区の方向にぶん投げられ、そのまま市街地の地面に激突&爆発しました。
「アレが報告書にあった、水虎の大暴れか」
「船乗りとしては、一番迎えたくない死に方ですよアレ」
「戦列艦に合掌」チーン
メタルギア水虎達が暴れている間、神谷達は別の隠し通路を見つけ、その中に地下道を見つけた。これにより逃亡先が分かったため、神谷と向上は二人を追いかけていた。
「見つけたぞ。向上、馬車を止めろ!!」
「了解!!」
向上が馬とそれを操っていた近衛兵を撃ち殺す。勿論馬車は止まり、止まった瞬間にスモークグレネードを放つ。そして向上がルディアスを、神谷がレミールを引っ張りだす。それぞれが別々の森に連れ込んでいく。
「よお、レミールさん」
「貴様、日本軍の総大将!!」
「おっと、何も殺しはしねーよ」
「何?」
レミールはいきなり「殺さない」と言われ、戸惑う。神谷はそんなの構わず続ける。
「いきなりで悪いんだが、レミールさん。俺はアンタに惚れてたんだ。あの日、あの外交の場で会った時から」
「はい!?」
「驚くだろうな。まあでも、これはチャンスだ。俺も日本の中じゃある程度の地位に付いている以上、大手を振ってお前達を助けてやれない。だが、今ここに居るのは部下一人だけだ。お前だけなら、逃がしてやれる。それにお前、皇帝ルディアスと結婚したんだろ?寝取るつもりもないし、ここで襲うつもりもない。だから、逃げろ!」
「本当に良いのか?」
半信半疑のレミール。そりゃあ外交の場であんなにボロクソに言われた奴から告白され、おまけに「逃がしてやる」と言われたのだから当然である。
「わかった。なら」
神谷はレミールの唇を奪う。しかも舌まで入れて、完全に奪いに掛かる。
「プハッ。これで信じてくれるか?」
「は、はい♡」
「このままこの森を真っ直ぐ進んで突っ切るんだ。この方向は適当な理由つけて、軍の包囲網を解いてある。行け!」
そう言ってレミールを逃す。レミールが視界から消えた瞬間、神谷は吐く。
「オロロロロロロロロロロロロロロ‼︎」
「長官、吐くならキスなんてしなけりゃ良かったものを」
「しゃーねーだろ。あーでもしないと、信じてもらえオロロロロロロロロロ‼︎」
「あーあー、もー」
一連のヤツは、勿論全て演技である。レミールを逃すわけもなく、レミールの逃げている方向にはトラップが仕掛けてあるのだ。因みに神谷は言うまでもないが、Dキスした事を心底後悔しており、現在ゲロゲロタイム中である。向上からも突っ込まれてる。取り敢えず、レミールのは後から見るとして、まず先にルディアスの方から見てみよう。
「うっ.......。ここは?」
「お目覚めかな?皇帝ルディアス?」
「貴様、何者だ?」
「俺が誰だろうと関係ない。質問に答えろ、ルディアス皇帝だな?」
逆らってはいけないと判断したのか「いかにも」と答える。男は「そうか」と返すと、裸に剥いてルディアスを後ろにあるデッカい壺の中にぶち込む。
「ヘビ!?余は蛇がダメなんじゃ!!!!ここから出せ!!!!!」
壺の中には無数の大小様々な蛇が入っていた。そして男はルディアスが入ったことを確認すると、下で壺を焼くようにして火を焚き、壺をガンガン叩きまくって蛇を驚かせる。
「いだぁ!!!!」
驚いた蛇はルディアスに噛みつき始める。壺が更に熱せられていくと、今度は口、耳、鼻、肛門といった体の穴という穴に入り込んでいく。
「いだぁい!!!いだぁい!!!助けて!!!!お願いします助けて!!!!!」
「おやおや、猿が何か喋ってやがる。嬉しいのかな?」
「助け、がばあぁ!?!?」
「あ、内臓を食い破られたな」
鈍い声が上がると同時に、ルディアスの腹がボコッと膨れ上がる。内臓を食い破られた証拠で、こうなってはもう助からない。この後、3時間程苦しんで絶命した。因みに遺体は肉食獣に食べてもらった。
ではお待ちかね、レミールの最期をご覧いただきましょう。
(これで逃げ切れる!逃げ切ってみせる!!)
レミールはそう心に誓ったが、次の瞬間足に激痛が走った。
「いぎっ!?!?!?!?」
足元を恐る恐る見ると、トラバサミがレミールの足をガッチリ捉えていたのである。これに驚いて、バランスを崩してこけてしまう。すると余計に食い込み、より強い激痛が全身を貫く。
「いだぁーー!!!!!」
痛みに悶え苦しんでいると、森の奥から誰かの足音が聞こえてくる。その誰かというのは、さっき会ったばかりの神谷であった。
「あぁ、良かった。お願い、助けて?妾の足が、トラバサミに挟まってしまったのじゃ。だから」
レミールはさっき熱いキスを交わした男、神谷に縋り付く。神谷は無言でレミールの下に近づき、トラバサミに挟まって骨すらも見えてる足を力一杯踏んづける。
「いぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「すまねぇな、レミール。俺とした事が、プレゼントを忘れていた。ほれ、ネックレスのプレゼントだ」
そう言うと神谷は、何の変哲もないタイヤをレミールのクビに被せた。そしてその上から大量のガソリンをぶっかける。
「さあ、派手に逝ってくれよ?」
そう言いながらマッチを一本擦って、タイヤに投げ捨てる。その瞬間、ガソリンが一気に燃え上がる。
「あづい!!!あづい!!!!!」
「おいおい、これまだ序の口だぞ?キツいのはここからだ」
ゴムタイヤも一緒に燃え始め、クビにまとわりつく。顔も焼け爛れ、美しかった顔は見るも無惨な物になる。しかも溶けたゴムが声帯に絡みつき、声を失う。
「おお、おお。首が消えて、随分と美人になったじゃないか。なあ家畜のクソよりも、遥かに格下のレミールさん?助けてほしいか?」
「アギッ.......ガッ.......」
「テメェ、言葉喋れよ。質問にも答えられない奴には、タイヤネックレスのお代わりだ」
「ガッ.......」
この拷問、実はたまーに生き残る事がある。念には念を入れて、もう一度タイヤを首に掛けて、ガソリンぶっかけて燃やす。二回目で窒息し、完全に絶命した。死体は流石に肉食獣には食わせられないので、そのまま山に埋めた。
「終わりましたね、長官」
「あぁ。これであの世に逝った奴らも、少しは浮かばれたか?」
死体処理まで終えた二人に、まるで天からの祝福の様に朝日が降り注いだ。
「さあ、帰ろう!!俺達の祖国に!!!!」
こうして約1年を掛けて行われた、パーパルディア皇国との戦乱は大日本皇国の圧勝という形で幕を下ろした。日本側の被害は(最初の処刑を除くとして)死傷者、重傷者は軍民共にゼロ。一方のパーパルディア皇国は主要な都市、施設が再起不能なレベルにまで破壊し尽くされ、列強国どころか、国として存在が出来ないほどにコテンパンにやられたのであった。
あ、そうそう。なんと私の作品が、まさかの「日本国召喚@wiki」というサイトの二次創作欄に、説明付きで載ってました!!!!これも読者の皆様がいつも読んでくださってるお陰です。これからも拙い文章ではありますが、様々な作品を書いていくので今後とも宜しくお願いします。
第二十七話ゴブリン戦争は前後編に分けた方がいい?
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前後編に分けて欲しい
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いや別にこのままでいい