覚悟はいいね?では、どうぞ
さてさて、それでは今回は観閲式と観艦式をお送りする訳で、まずは観閲式の方から行ってみよう。と言いたいのだが先に観閲式の前にあった、フェスティバル企画の方をご覧頂こう。
6月2日 練馬駐屯地 09:00
「えぇ、ご来場の皆様。只今より40式小型戦闘車改造コンテストを開催致します!!!!」
まず全ての式典に先駆けて、練馬駐屯地で40式小型戦闘車改造大会が始まる。この40式小型戦闘車はアメリカ軍のハンヴィーや、自衛隊の軽装甲機動車に当たる兵器である。この車両の売りはズバリ「改造の容易さ」である。各部をモジュール化する事により、様々な仕様に改造可能なのである。
最初は任務に合わせた小規模な改造だけだったが、いつのまにか原型を留めてない改造も出てきてしまって、中には趣味で改造し出す輩も出てくる始末となった。勿論問題として上がったのだが神谷の「もういっその事、公式で改造コンテストでも開いて兵士達を遊ばせようぜ」という中々にぶっ飛んだ発想によって、この大会がスタートしたのである。
「では簡単に、ルールを説明しますね。まずこの大会は二つの部門に分かれます。「実戦改造部門」と「ロマン改造部門」の二つです。実戦改造部門は我々が事前に出しておいた状況に沿った改造ができているかをポイント制で競って頂き、勝者を決定致します。
もう一つの部門、ロマン改造部門はルール無用!どんな改造でも、動けばそれで良し!!空を飛ぼうが、陸を走ろうが、水上を進もうが、地下に潜ろうがお構いなし!!ロマンの塊である事が絶対条件となりますが、それ以外は何をしようと自由なのです!!!!」
司会者の兵士にも熱が入っている。何せこの大会はミリタリー好き、車好きは勿論の事、余りそういう趣味の無い人でも後半のロマン改造部門は楽しめるのである。何せ車なのか最早わからなくなってくる、よく言えば先進的で革命的な改造車が出てくるのである。それでは、早速行ってみよう。
「エントリーNo.1、陸軍
ホーローで出来た兜のような物を額に装着した将校と、両頬に棒人間が描かれた兵士、一人だけ茶色の制服の兵士の3人がステージに登壇してくる。老若男女が金探しして囚人皮剥ぎコレクションのアニメを知っている読者ならお馴染みのキャラである。
「チームリーダーの鶴見中尉にお話を説明して頂きましょう」
「はい。今回のお題が雪上での戦闘でしたので、我々は様々な仕掛けを車両に仕込みました。おーい、宇佐美上等兵!」
「はい。こちらになります、鶴見中尉殿」
両頬に棒人間が描かれた兵士、宇佐美が40式をステージの中に持ってくる。
「はいはい、ありがとう。さてこの40式の特徴は、ここ。よく見てください」
そう言ってカメラマンの男の頭を鷲掴みにして、無理矢理車体の下を撮影させる。車体下には無数の鉄パイプがあり、その全てが穴を地面に向けている。先頭と最後尾のは、少しだけ斜め方向に傾いていた。
「この穴、全て火炎放射器の放射口になっておりまして、雪を燃やして進む事が出来ます。戦闘時にも対象を足元から燃やす事も出来れば、塹壕の上に停車させて下の塹壕を焼き払う事も可能!更に無数にある事から、一本二本壊れても問題なし!鯉登少尉、実演してみなさい」
「はい鶴見中尉殿!」
一人だけ制服の違う男、鯉登少尉が運転席のスイッチを操作する。すると
ボシュウゥゥゥゥゥゥゥ!!!!
炎の代わりに、白い煙が出てきた。流石にステージで火炎放射器でファイアーしようものなら、本当にステージと人間ごとファイアーしてしまうので、今回は普通のスモークグレネードで使う物を流用している。
「ゲホッゲホッ、ちょ!止めて止めて!煙!」
「まだまだこれだけではない!宇佐美上等兵!!アレを見せろ!!!!」
そう言うと宇佐美、ではなく謎の軍服に身を包んだおっさんがステージ横から現れて、そのまま鶴見と鯉登と司会役の兵士のいる方に近づいてくる。
「え?誰?誰なの、あの人!?」
司会役の兵士も焦って、誰と連呼する。次の瞬間、鶴見が予想外の動きをした。
「誰だお前!あっちへ行け!!」バシン
そう言って腕のあたりを叩いて、別の方向に動かしたのである。でもってそれに対応できず、謎のおっさんは「ゴスッ」という鈍い音とともにセットに激突していた。
「では中尉殿、撃ちますよ」
いつのまにかいた宇佐美が、リモコンを操作するとウィンカー、ヘッド、ブレーキの各ライトから散弾が飛び出した。あ、勿論その先には誰もいない。
「な、なんですかこれ?」
「仕込み銃です。散弾が二発装填されています。小銃の実包ならもっと入ったんでしょうが仕込み銃なので、どの道接近戦の不意打ち以外で使う事はないでしょう。接近戦なら小銃弾より、散弾の方が有効です」
「さ、左様ですか」
後半から色々ぶっ飛んでいて、流石の司会者も少し動揺している。それ以降も発表は続き、様々な改造車が出てきた。キャタピラのついた物もいたし、なんとZIL2906のようなドリルみたいな構造をした車輪がついた物があったりもした。
因みにZIL2906のイメージが湧かねーよ、という読者はメタルギア 3のシャゴホッドを想像してほしい。アレの先頭部分、途中で後ろの核ミサイル発射機のついてたのを切り離して、橋からジャンプした方のヤツの足回りがついていた、と考えてもらいたい。
「さあさあ、いよいよ本コンテストのメインイベント!!後半戦のロマン部門、開始です!!!!エントリーNo.1、熊本駐屯地のキャプテン・レックス!!」
そう言われると、ステージにいかつい車と共に銀河共和国軍の501大隊のキャプテン、ではなく少し金色っぽい髪を生やしたワイルドな男が入ってきた。本名は山田というのだが、階級が大尉、アメリカ軍で言う所のキャプテンで見た目と声がスターウォーズの501大隊のキャプテン・レックスに似ている事からそう言われている。
因みにエントリー名がこうなっているのは、仲間がふざけてこの名前で応募しやがった結果である。まあルール上、あだ名で登録もOKなのでセーフである。
「ではキャプテン・レックス、説明をお願いします」
「今回の改造の題名をつけるとしたら、スターウォーズだ。私のあだ名である「キャプテン・レックス」はスターウォーズに登場する、501大隊指揮官の名前から来ている。私自身、この名を気に入っているし、スターウォーズも好きだ。という訳で、こういう改造をしてみた」
そう言って合図すると、後ろからトンデモない見た目の兵器が出てきた。最早40式の原型すら留めておらず、別物兵器と化したヤベェ姿の兵器があった。
「ジャガーノート皇国グランドアーミー使用だ」
曰く元ネタは銀河共和国の「ジャガーノート」なる兵器だそうで、劇中同様にするべく車体2台を連結してタイヤを10個つけており、武装も流石にレーザーキャノンだの、プロトン魚雷だの、イオン砲だのは皇国グランドアーミーは所持してないので、他の兵器で代用してある。
ただ武装が元ネタよりかなーり凶悪で、12.7mm機関銃を片側38挺つけて、先頭と後ろには7.62mmバルカン砲を4つずつ、さらに屋根にはどっから掻っ攫ってきたのか知らないが、連装106mm無反動砲(レプリカ)を2基搭載している。
「これ燃費は如何程に?」
「確かリッターあたり、500mだったか?」
「.......マジっすか」
因みに平均値を言っておくとハイブリットカーが20km、エコカーや軽自動車が15km、普通車が8〜10km、スポーツカーや配送用トラックが2〜5kmである。
「ありがとうございました。では次の方、参りましょう!エントリーNo.2、ドクター・ポイズン!!」
今度は白髪でサイヤ人のような髪型になっている、眼鏡をかけた男が現れる。
「ではドクター・ポイズン、お願いします」
「こここ、この車は、デロリアンとデラックソを元とととに、つつ作りました。えっえっと、じゃあ頼みます」
極度の緊張により、呂律がバグっている。しかも声も裏返りまくった結果、なんかキモい印象になっているが気にしてはいけない。
ステージの奥から、ごく普通な40式が現れる。本当に何の改造もされていないように見える。
「見た目から奇抜な事が多いコンテストの中では、逆に異彩を放っていますね」
「そそそ、そういう風に改造したので。でもロマン改造してます」
そう言ってリモコンのスイッチを押すと、車体が持ち上がってタイヤが下方向に向く。更に下から小型の逆ガル翼が出てきて、劇中に近い見た目になる。
「おお!正にグラセフのデラックソと、デロリアンの融合!!ロマンが溢れます!!!!」
「これだけじゃ、ない!」
また別のスイッチを押すと、今度はタイヤが車体の中に引っ込んで蓋をされる。蓋には翼が生えて、後ろからスクリューが出てくる。
「潜水モード。本当に潜れます」
「マジですか!?」
何を隠そう、マジで本当に潜水できるのである。勿論そのまんま海中に潜り続ける訳でもなく、浮上してまた道を走る事もできる。
それ以降も様々な改造車がステージに上がってきた。マッドマックスよろしく世紀末改造された物、最早装甲車からスポーツカーに変身した物、トランスフォームする物、ボタンひとつで装甲板からエンジンまで各パーツがパージできる機能がついた物等々、バリエーションに富んだラインナップであった。優勝はキャプテン・レックスのジャガーノートになったらしいが、賞品がなんとジャガーノートを専用マシーンとして兵器化するという物であった。もしかすると、今後活躍するかもしれない。
翌日 朝霞訓練場
自衛隊においても中央観閲式の会場であり、オリンピックの射撃競技場になった事から有名な施設の一つである朝霞訓練場には、参加する部隊と兵器が整列していた。
『それでは参加部隊を紹介致します。観閲台より向かって左側、陸軍、海軍、空軍、陸戦、打撃音楽隊。国防大学校学生隊、国防医科大学校生徒隊、陸、海、空、陸戦、打撃の各高等工科学校学生隊、機動甲冑装備の歩兵部隊、装甲歩兵部隊、村今戦闘団、神谷戦闘団の順に並んでおります』
その後第302保安警務中隊の入場、観閲部隊指揮官、観閲官の一色総理、大元帥である天皇陛下への栄誉礼が行われた。
、大元帥である天皇陛下への栄誉礼が行われた。
『天皇陛下、訓示』
『私自身、16回目となる観閲式に臨み、兵士諸君の士気旺盛たる姿を見れる事を嬉しく思います。昨年の転移現象以来、兵士諸君含めた国民には多大なる苦労と不安を与え、こと今回に至っては知っての通り先々代天皇である、昭和天皇在位時の大東亜戦争以来の国を挙げた全面戦争に臨みました。まずはその戦乱の切っ掛けとなり、不幸にも我が国に対する外交のカードとして悲しくも処刑された国民208名への哀悼の意を捧げたいと思います』
ここで陛下は一度言葉を区切り、続いて「黙祷」のアナウンスが流れて会場にいた全員が1分間の黙祷を捧げた。
『さて。我が国は前世界での常識が全く通用しない事を、政府共々学ばされました。特に今回は国民の皆様で言う所の三英傑である総理大臣の一色首相、外交のスペシャリストである川山特別外交官、自らも皇国剣聖の称号を持つ神谷長官ら三人が戦争回避の為に奔走してくれました。特に川山特別外交官は戦争回避の為に、何度もパーパルディア皇国へと飛び何度も粘り強く交渉をしてくれました。しかし結果は、皆様の知っての通りでした。
しかし彼らは決して挫けず、一色首相は政府を纏め、川山特別外交官は関係国や周辺国への交渉と戦後交渉に備え、神谷長官は今いる我が皇国の優秀な兵士達を取り纏め自らも先頭に立ってパーパルディア皇国と戦いました。結果として最初の処刑された208名を除くと戦争開始以降、死傷者はおろか負傷者すら出さない完璧なる勝利を収める事に成功しました。この勝利は今この場にはいない者も含めた全ての皇国の守護者たる兵士達、そして国民の皆様のご理解とご尽力あっての勝利です。本当にありがとうございます。この世界は今尚未知の部分が多いとの報告が、様々な部門から上がっています。しかし私は皇国の守護者たる兵士達と、その兵士達を支える国民や政府が一丸となれば、どんな困難であろうとも乗り越えられると思っております。
我が精強なる皇国の守護者諸君。私含めた全ての日本民族と君達は、常に共にあります。またいつの日か、君達の力を発揮してもらわねばならなくなる時も来るでしょう。その時は今回と同じように自らの使命を忠実に果たし、国民の生命と財産を護ってくださる事を切に願い、私の訓示とさせて頂きます』
いよいよ行進の開始である。曲名は勿論「陸軍分列行進曲」である。まず先頭を行くのは、陸軍近衛師団長の乗る40式である。一糸乱れぬ兵士と学生達の行進に、天皇陛下を始めとした観閲官達も見惚れていた。
兵士達の次は兵器の登場である。40式や44式のような小さなものから、46式と51式のように巨大な兵器が続く。更に特殊戦術打撃隊所属のメタルギアも歩き始め、会場は巨大ロボットの行進にテンションが上がりに上がりまくっていた。そして後は航空隊の祝賀飛行を、という所で九機のC3屠龍が飛来した。しかも塗装が通常の灰色ではなく、真っ白な塗装に変更されている。もう何処の部隊が乗っているか分かるであろう。
「さあ野郎共、皇国臣民に我らの勇姿を見せつけに行くとしよう」
「「「「「オウ!!!!」」」」」
「なーに、内容は至極単純。飛び降りて、ジェットパックで減速して、着地して、行進するだけ。我らの最強の精鋭集団たる白亜衆に取ってみれば、居眠りしながらできてしまうだろうな」
神谷の言葉に兵士達は所々から笑い声が聞こえてくる。
「だが下にいるのは国民だけでなく、天皇陛下も居られる。失敗だけはしないでくれよ。失敗した奴&俺のクビが吹っ飛ぶから」
「そうなったら私が部隊を引き継ぎますよ」
神谷の冗談に、向上が更に冗談で返す。これから高度500mから飛び降りる者達の発言ではないが、コイツらは前世界において現代戦を戦った兵士達であり、この程度で臆するほどのタマじゃない。
『まもなく降下ポイントです』
「さーて、じゃあ降りるとしようか。こんな密閉空間に野郎が詰まってちゃ、むさ苦しくていけない。おーい、換気してくれ」
「了解です、長官」
カーゴドア近くの兵士がパネルを操作して、カーゴドアを開ける。ドアの向こうには抜けるような青空と、雲海が広がっていてとても綺麗であった。
「よっしゃ、行くぞ!!!!」
「「「「「オウ!!!!」」」」」
真っ青な空に白い甲冑の兵士達が飛び出す。観閲式恒例の空挺降下の展示であるが、今回は数百人単位な上に別の機体からは戦車までもが投下されている。会場にいた国民達は大騒ぎしていた。
「うおぉ!!」
「パパ!!あの大きいのって戦車!?」
「あ、あぁ。多分さっき走ってたデカい戦車だろう」
「あんな大きな物が空が降ってくるのね.......」
「あぁ、空の神兵じゃ。懐かしいのう」
「皇国の守護神達じゃ。ありがたやありがたや」
兵士達は地表ギリギリでジェットパックに点火し、減速して地面に着陸する。因みに他の兵士がほぼ速度をゼロにするのに対し、神谷は完全にゼロにしないで少し勢いを残して少しアクロバティックに着地する。
他の観閲部隊の指揮官は車に乗るのに対し、神谷は先頭を堂々と歩いて他の兵士達を先導していく。翻る旗は旭日旗、神谷家家紋の旗、天皇旗、そして神谷戦闘団の部隊旗である。
部隊旗は神谷に敬意を表し、黒地に白で二本の太刀をクロスさせて、交差している部分に一梃の拳銃の銃口を向けている絵が入っている。その上に「世界中何処へでも赴く」という意味を込めて、世界地図を背にしたアリコーンが描かれている。念の為言っておくが「100万人を殺し1000万人を救う計画だ」とか何とか言って、結局
「頭ー中!!右!!!!」
まるで全員が操られているかのように、ピタリと動きが寸分違わずに揃った行進と敬礼に全員が見惚れていた。たとえ軍隊に詳しくなくとも、カッコいいと思うだろう。そして最後は航空部隊による展示飛行を持って、観閲式の幕は降ろされた。
翌日 記念艦『三笠』の横
「おお、遂に念願が叶った!!!!」
「ですな!!!!」
そう目を輝かせているのは、昨日は参加部隊の中で一番一糸乱れぬ行進と敬礼をした部隊を指揮していた神谷と、本国では優秀な技術士官であり最年少で佐官への昇格か確実視されているエリート軍人のマイラスである。何故に国が互いに違うエリート二人が揃いも揃って、しかも少年のような眼差しをしているかと言うと、ムー海軍の最新鋭戦艦であるラ・カサミ級戦艦の一番艦『ラ・カサミ』が、連合艦隊旗艦であった戦艦『三笠』の隣に停泊し、更にその横に戦艦『大和』がいるからである。この二人の願望、いや野望が叶った結果が今の状況である。そんな訳でマイラスの相棒であるラッサンは頭を抱えて二人の様子を見ていた。
「まさか生きている間に別の艦とは言えど、連合艦隊旗艦が二隻揃って停泊している所を見れる日が来るなんて.......。生きててよかったぁ!!!!」
知っての通り三笠は日本海海戦でバルチック艦隊を破り、大和は名実ともに(我々の世界では)今も戦艦の王者として君臨する最強艦である。そんな艦が揃って仲良く停泊している所が見れるなんて、ミリオタにとっては正月、子供の日、誕生日、宿題のない夏休み、クリスマスが一斉に来てしまったようなレベルで嬉しい出来事である。え?大人にとっちゃ出費だらけの地獄だろって?
では大人バージョンではボーナス、ゴールデンウィークとシルバーウィークのWコンボしたレベルの連休、自分好みの美女or美男と休み期間中一緒に過ごせてしまう権利が一斉に来たと思ってほしい。彼らにとってどんなに嬉しい事かわかったであろう。
「やはり!」
「戦艦は!」
「「男のロマン!!!!」」
最早二人があった時の恒例挨拶となりつつある言葉と共に、今まで一番固い握手を交わした。勿論三隻全ての見れる場所を二人で見て回り、一日中楽しんでいた。
「ところで神谷さん。ずっと気になっていたんですが、ヤマトとミカサにあった女性のパネルは何だったのですか?」
実は大和と三笠の出入り口には等身大のパネルが設置されていた。大和は小さな三つ足の傘を持ち、赤いスカートを履き、頭に簪のようにして桜の花飾りがついた電探をつけている、ポニーテールの髪の長い美女のパネル。三笠には黒の軍服の上に華やかな白の着物を羽織り下はスカートで、頭には水牛のような角が生え、手には抜身のサーベルを持ち、数珠を身体に纏わせた、ショートカットに髪を後ろで結んでいるという、中々に説明しづらい髪型をした美女のパネルがそれぞれ設置されていたのである。
「あー。アレはですね、ウチの国で人気なゲームのキャラクターなんですよ」
「ゲームと言うと、貴国で人気のあるテレビやパソコン、スマホで出来る娯楽のアレですか?」
「えぇ。大和のはパソコンで出来るゲームでして、そのゲームのコンセプトが「昔の軍艦を女性に擬人化して戦う」という物で、パネルのキャラはそのゲームの大和です。三笠のは同じコンセプトですが別のゲームで、同じくこちらもゲームの中での三笠です」
因みに言うまでもないが、大和のは艦隊をコレクションするゲームの大和さんであり、三笠のは碧き航路のゲームの三笠大先輩である。
「という事は、他の艦にも居るのですか?そのゲームのキャラクターが」
「居ますとも。我が海軍の艦艇は、その多くが旧大日本帝国海軍時代に活躍していた艦船達と同じ艦名を使用しており、その関係で結構キャラが出没してますよ。何なら公式にコラボしていたりしていて、イベントで会場の提供やらで絡んでますし」
「見てみたいですな、そのキャラクター達」
そうマイラスが呟くと、神谷はニヤリと笑って懐からスマホを取り出す。そして碧き航路のゲームアプリを開いて、マイラスに渡す。
「これがそのゲームです。一応全キャラ着せ替え共に揃ってますので、見てみてください。何ならもう一つの方も揃ってるんで、後でみます?」
「.......神谷さん。我が国でも、出来ませんかねコレ」
「.......どうにかやってみましょうか。布教もファンの務めです」
ガシッ!!!!
お互いにまた固い握手を交わし、大きく頷く。ここに「
因みにプレイヤー数が増えた結果、大和さんのいるゲームではスタート当初の頃にあったサーバーの負荷による通信エラーが起こり、抽選制が復活するわ、イベント海域のボスまで行くもエラー落ちするわ、サーバーの一台がシステムダウンして他のサーバーへシワ寄せが行きサイバーテロレベルの大惨事になるわ、公式がふざけて初代エラー娘(妖怪猫吊るし)にした結果、古参プレイヤーにとっては懐かしくも憎たらしいアレを艦娘よりも見る羽目になるという、心までも攻撃され多数の提督の心が根本からポッキリ逝く事案が多発したらしい。尚、その毒牙は神谷をも蝕み超絶不機嫌になっていたそうな。
6月10日 相模湾上空
『で、俺達は何に乗るんだっけ!?』
『戦艦大和!!』
『そりゃいいや!!』
現在三英傑の三人は、SH13海猫に乗って観閲艦となる大和へと向かっていた。先行する別の海猫には、天皇陛下も乗っている。因みに観閲艦は大和を筆頭に武蔵、信濃、紀伊の四隻が選ばれている。受閲艦艇には熱田型、赤城型を始め多数の艦艇が参加することになっており、更には今度新設される艦隊の為に建造された潜水艦もお披露目される事になっている。
「捧げぇ、銃!!」
号笛が鳴り響き、栄誉礼が行われる。天皇陛下、一色、神谷、川山の順に艦橋に上がり受閲艦隊を待つ。程なくして、一隻の巨艦が姿を現す。現在の連合艦隊旗艦である、超戦艦『熱田』である。
「おぉ。神谷くん、アレが熱田型かな?」
「そうですよ陛下。一番艦の熱田です」
因みに本来であれば天皇陛下がいる以上、天皇陛下より一歩下がって見るのが普通なのだが神谷は解説役として隣に立っている。まあ役得ではあるが、粗相は出来ないので結構緊張している。神谷の性格上あまり敬語とかそういうのが苦手であり、素が出ないか周りも神谷もヒヤヒヤしている。
「やはり戦艦は美しい。祖父、いや昭和天皇が昔「軍艦は戦艦が一番美しい」と言っていたが、こうして見ると気持ちが分かる。神谷くん、小耳に挟んだのだが「戦艦が時代遅れ」というのは本当なのかな?国の長である立場から言えば、戦艦のような維持費のかかる物は使えないなら縮小させるなり色々対策すべきなのだろうが、個人的には残したいのだ。どうなんだね?」
「確かに現在の戦略では戦艦は「時代遅れの無用な長物」という見方も出来ます。しかしですね、我が国の戦艦は少し特殊ですから問題ありません。戦艦が時代遅れとなったのは航空機が台頭したのもそうですが、何よりミサイルが生まれた事で戦艦の射程の長さが消え失せてしまった点にあります。しかし我が国の戦艦は全て大型ミサイルを何百発と搭載し、高い防御力と防空能力も有しております。そして戦艦の強みである砲撃力もあり、金食い虫ではありますが決して無用な長物等ではありませんよ。
何よりこっちの世界は、未だ大艦巨砲主義です。前世界よりも戦艦の重要性と必要性は格段に伸びており、寧ろ必要な物となりつつあります。外交の時などでも戦艦が有れば、国力や軍事力を図る良い指標になり有るだけで抑止力になります」
「そういうものかね?」
「えぇ、そういうものですよ」
受閲艦艇部隊もいつの間にか、最後尾の方になっており空中には各種戦闘機と、特殊戦術打撃隊の大型兵器も飛来していた。もうおじいちゃんとは言えど、天皇陛下も男の子。頭上を通る大型兵器に、心なしかはしゃいでいるようにも見える。
艦隊は回頭し、受閲艦隊は展示艦隊となって訓練展示に入っていく。
「艦隊一斉回頭。とーりかーじ」
「とーりかーじ」
突撃艦隊が出力一杯の最高速度で一斉回頭してみたり、
「信玄発射用意!!」
「アイ・サー!!」
「発射、サルボー!!」
何気にこれまで敵に潜水艦がいなかった事から、劇中では初登場の対潜ミサイル信玄を発射してみたり、
「爆雷投下始め!」
「対艦ミサイル、発射!!」
これまた上記と同じ理由で劇中初登場となるPUS3三式大艇、P1泉州による爆雷とASM4を発射してみたり、
「戦闘機隊、発艦!!」
『ギャッツ隊、行くぞ!!』
空母、空中空母、強襲揚陸艦、空中母機から航空隊が発艦してみたりしていた。
そして演習もそろそろ終盤という辺りで、いよいよ新造艦達のお披露目が行われた。
「陛下、あの辺りにご注目ください。面白いものが見えますよ」
「ほーう。それは楽しみだ」
神谷が指し示した水面を見ていると、四隻の潜水艦が浮上してきた。アリコーンのような見た目の潜水艦、シンファクシとリムファクシのような見た目の潜水艦、紺碧の艦隊の亀天号の様な潜水艦、そして双胴の一際大きな潜水艦である。
「潜水艦なのかね、アレは?普通の戦艦ばりに巨大だが.......」
「えぇ、勿論潜水艦ですよ。順番に伊2000、伊2500、伊3000、伊4000です。役目はそれぞれ潜水空母、ミサイル攻撃プラットフォーム、情報収集と偵察、旗艦と火力支援となります」
※四隻の潜水艦については、設定集にて追加記載する。
「アレが皇国の新たな盾となり、また矛となるのか。頼もしい限りだな。えーと、名前なんだっけ」
一色の最早持病となりつつある、兵器の名前の言い間違えor名前忘れを発症し、川山と神谷がズッコケル。
「いま言ったばかりだろうが.......」
「お前、本当に大丈夫か」
二人のツッコミに、天皇陛下や周りの護衛達も笑っていた。最後は熱田型全艦による、主砲と副砲の祝砲一斉射を以って一連の式典は終わりを迎えた。