最強国家 大日本皇国召喚   作:鬼武者

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今回、私の筆が乗りに乗りまくり、なんやかんやでエストシラント最終決戦レベルの物になりました。そんな訳でクソ長いです。アンケートで前後編で分けるかどうか作るので、よろしければご協力ください。


第二十七話ゴブリン戦争

プランツァーリを後にした神谷は、組合で教えてもらった名所を転々と回り、写真を撮ってみたり、なんか川があれば飛び込んでみたりして休暇を夏休み中の少年バリに謳歌していた。しかし、この後神谷の身には休みが消え去る不幸に見舞われる事になる。

 

 

3日後 プランツァーリより25km地点 洞窟前

「ん?なんだ、あれ?」

 

40式小型戦闘車で適当にドライブしていると、小さな洞窟を発見した。洞窟や洞穴は何度か見てきたが、今回は些か様子が異なる。一体何の意味があるのかは知らないが、多分ヤギかヒツジの頭蓋骨と骨で作られた謎のオブジェ、イメージ的には黒魔術を操るババアが持ってる杖の飾りみたいなヤツが棒に突き刺さっていたのである。

 

「別に何かの仕掛けや、何かの儀式って訳でもない、よな?」

 

流石の神谷も困惑である。魔法にしちゃ触ったり叩いた時点で発動しそうだし、別に何かのトラップでも無さそうである。

適当に周りを見渡すが、周りは木々と獣道しかなく、道という道は今まで神谷の通ってきた道と、そこから続く未舗装の一本道しかない。

 

「お?」

 

しかし下に視線を落としてみれば、無数の足跡がある。明らかに大人数で、多分4、5人はここに居たと思われる。そしてその足跡から察するに、恐らく洞窟の内部へと行ったものと思われる。

 

(まあ、行ってみる価値はあるよな)

 

神谷は40式のトランクを開けて、中から銃の入ったアタッシュケースを取り出す。

 

(今回は洞窟内での閉所戦。となるとショットガンである36式散弾銃は外せないな。ドラムマガジン、グリップ、ホロを付けるとしよう。

しかし散弾では中距離の敵には不向き。であれば、37式短機関銃が最適解だ。レーザーがデフォで付いてるし、後はサプレッサーと下にグレポンも付けよう。後は安定の、26式拳銃俺様仕様を付ければ完璧だ!)

 

背中に36式、腰に37式、右脚に26式、左腕にサバイバルナイフを装備して、機動甲冑のヘルメットも被って中に入る。顔を完全に覆ったヘルメットには、様々な情報が映し出される。現在装備してる武器の種類、各種弾薬の残量、アーマーの損耗率、ジェットパックのエネルギー残量、付近一帯の生命反応を読み取る小型レーダーの索敵結果である。

他にもモードを切り替えればサーマル、ナイトビジョンに対応し、集音機能と望遠機能も付いている。因みにこれは長嶺が独自に付けたものではなく、機動甲冑にも装甲甲冑にも搭載されてる標準(・・)機能である。

 

 

「んでまあ、中に入って少し進んだ訳だが。なーんで、入り口の謎オブジェが此処にもあるんだ?」

 

大体300m程歩くと、入り口の謎オブジェが配置されていた。しかし今度のは少し周りを見ると、このオブジェの配置する意味が見えてきた。

 

「なるほど。コイツを囮にして、後ろの道を気付かせないためにか。考えたな」

 

丁度オブジェの正面には、来たのとは別の道があった。来た道からみると真横にある形になっており、逆Y字型をしている。その為、今の道でしかも見通しの悪い洞窟内では気付くのは難しい。此処に伏兵でも配置して、そのまま侵入者の跡を付けさせれば挟撃可能という理想的な立地である。

そんなことを考えていると、さらに奥から金属同士のぶつかる音が微かに聞こえた。多分、剣などの武器同士がぶつかる音である。

 

(こりゃ不味い!!)

 

最深部へと駆け出す。すぐに現場に到着すると、神谷の読み通り5人の冒険者がゴブリン15体に襲われていた。数の暴力に加え、幼児くらいの大きさしかないゴブリンと洞窟の狭さという好条件、そして相手が人間で大柄な奴と1人を守るように布陣しており攻勢に転じ切らず、防衛に固執している事から、圧倒的なまでにゴブリン勢が有利であった。

 

「やるか」

 

そう言いながら腰のホルスターから、グレポン用のスタングレネードを取り出し、37式の下部レールに搭載されたランチャーに装填する。

 

「Open Fire!!!」

 

ポン!!

 

空気砲でも撃ったような音ともにグレネード弾が発射され、丁度ゴブリン集団の真上で起爆する。周囲を瞬間的に250万カンデラ以上の閃光と、150デシベルの爆音がゴブリンと冒険者に襲いかかる。

 

「グギャーーーー!!!!!」

「グギャグギャグギャー!?!?!?」

「な、なんだあぁぁぁ!?!?」

「目が、目があぁぁぁ!?!?!?」

 

ゴブリンの耳障りな悲鳴と、冒険者達の悲鳴が洞窟中に木霊する。すかさず岩陰から神谷が飛び出し、ゴブリン共に鉛玉を叩き込んでいく。

 

シュタタタタタ!シュタタタタタ!

 

サプレッサーが付いていることから気の抜けたような音だが、音がデカいと洞窟内で反響して耳が死にかねないので期せずしてアドバンテージがついていた。

 

「おいお前達!!頭下げてろ!!!!」

 

ズドンズドンズドンズドンズドン!!

 

上の文章では「静かでいい」みたいな事を書いていたが、今度は36式を乱射し始める。勿論音が反響して、耳が「キーン」としている。

 

「道が開いた。お前達、早く出口に行け!!」

 

「いやでも」

 

「早く!!!」

 

冒険者の一人が何か言おうとしたが、無理矢理それを遮って出口に走らせる。出口に向かったのを確認すると、37式を適当に乱射して最後にスモークを焚いて神谷も出口へと走る。

 

 

「あ、ありがとうございます。助けてくれて」

 

脱出すると、意外な人物が声を掛けてきた。一昨日にプランツァーリで共に食事を取った冒険者パーティー「太陽の短剣」のリーダー、カーベーである。よく見ると周りの仲間達も、太陽の短剣のメンバーであった。

 

「まさか、こんな形で再開する事になるなんてな」

 

「失礼だが、我らと何処かでお会いしたであるか?」

 

「ああ、メットがありゃ分からんよな」

 

そう言いながら、神谷はヘルメットを外す。出てきた顔に、太陽の短剣のメンバーは目を点にしてフリーズしていた。

 

「アインズさん、ですか?」

 

「お、覚えててくれたか。ペーター」

 

「え?いやいや、ちょっと待ってくれ。アンタは旅が趣味の、小さなレストランのオーナーなんだよな?それが、どうして日本軍の装備を持ってんだ?」

 

「実は「レストランのオーナー」ってのは、嘘なんだ。俺の本職は正真正銘、日本軍の兵士をやってる。因みに本名も、アインズじゃ無くて神谷浩三って言うんだ。好きに呼んでほしい」

 

流石に「日本軍の中でも最精鋭部隊に位置する最強の部隊の指揮官で、日本軍全体の指揮官でーす」とは言えないので、無難に「間違いではないけど、ちょっと違う」というのを言って誤魔化す。

 

「では神谷殿、何故貴殿がここにいるのであるか?」

 

「食堂で言っていた通り、ただの観光だ。いつもは日本本土にいるんだが任務の兼ね合いでこっちに出張する事があったから、そのタイミングで休暇とって、この辺りを旅する事にしたんだ。

で、組合で聞いた名所というか観光スポットを回ってたら、その謎オブジェと足跡を見つけて、試しに入ってみたら再会を果たしたって訳だ」

 

「そうだったんですね。我々の命を救ってくださって、ありがとうございます」

 

ウォーランが頭を下げると、残りの3人も頭を下げる。話を聞くと、どうやら死角になっていた道からゴブリンに挟撃されて死に掛けていたらしい。

 

「ところでさ、なんかさっき助けた時に1人増えてた気がするんだが」

 

「えぇ。今回は案内役に今回の依頼主である、ハイエルフのヘルミーナさんが同行していたんです」

 

ウォーランがそう答えるが、今度は別の疑問が浮かんでくる。そのヘルミーナが、見た感じ何処にも居ないのである。

 

「因みにヘルミーナちゃんなら、沢に水を汲みに行ってるぜ」

 

ウォーランがエスパー並みの察しの良さで、疑問は即刻解決された。数分後、茂みの奥からエルフの女性が出てくる。イメージ通りの容姿で、緑色の服に金髪ロングのスタイル抜群な女性である。

言うまでもないが、神谷の心中は「やったぜパツキン巨乳エルフ!!やったぜ異世界!!やったぜおっぱい!!(((o(*゚▽゚*)o)))」となっていた。

 

「ヘルミーナさん、こちら我々の恩人。日本軍の神谷浩三さんです」

 

「先程は助けて頂き、ありがとうございました。ハイエルフ、ナゴの森部族、族長バーラスが娘、ヘルミーナ・ナゴ・パカランです」

 

イメージ通りの優雅な礼に、更にテンションが上がる。だがしかし浮かれるわけにもいかないので、しっかり返礼を行う。

 

「大日本皇国統合軍、参謀本部将校(嘘ではない)、神谷浩三だ。疲れているところ悪いが、現在の状況及び彼等への依頼についてお聞かせ願いたい」

 

そう神谷が言うと、ヘルミーナは悲しそうな目をしながら説明してくれた。一月程前から、村にゴブリンがやって来て小競り合いが絶えなくなった。最初は畑や食料庫を荒らされる程度だったが、ゴブリンの行動は日増しにエスカレートしていき最近では倉庫や家に火矢を打ち込んでくるようになった。そしてとうとう数日前に死人が出てしまい、冒険者パーティーに調査を依頼したんだそうだ。

 

「でも、もう一つ問題が起きたんです。私の幼馴染の親友が、ゴブリンに攫われたそうなんです。その救出をお願いして、痕跡を辿ってみると此処に行き着きました」

 

「なるほど。じゃあ、もう一回潜るとするか」

 

「おいおい兄ちゃん、それは流石に危険だ。さっきので多分ゴブリン共も、凶暴になってる」

 

「それが?その程度で、この俺の進撃を止められるものか」

 

そう言うと神谷は洞窟の中へと入っていく。慌ててその後ろを5人が付いていき、来た道を戻っていく。今度はゴブリンには出会う事なく、さっき太陽の短剣と合流した少し開けた場所まで来れた。

しかし次の瞬間、神谷の真横から黒い影が襲いかかってきた。

 

「グオォォォォ!!!!」

 

「うおっ!?」

 

「ホブゴブリン!?」

 

正体は身長が大体2mぐらいの巨大なゴブリンだった。デカい図体のイメージ通り、格闘を得意とするタイプの様だ。だがしかし、多分脳内まで筋肉なのだろう。動きが単調すぎで、所謂「当たらなければ如何と言う事は無い」系のヤツである。

 

「ホブの攻撃を全部避けてる.......」

 

「ねぇ、ウォーラン。アレって、真似できるものなの?」

 

「無理に決まってんだろ!!一撃で全身粉砕骨折待った無しだって!!」

 

ペーターの問いに、超全力で否定する。因みに言っておくが、あくまで神谷自前の身体能力だけで避けており、ジェットパックとかグラップリングフックのような便利お助けアイテムは使用していない。

 

「流石に遊ぶのにも飽きてきたな。そろそろ決めるとしよう」

 

そう言うとやにわにホブゴブリンの左腕を掴むと、そのまま投げ飛ばす。某金属の歯車の主人公達、そして史実でいう初代の主人公に人生全部捧げた山猫の得意なCQCである。

 

「グギャ!?!?」

 

「グサッとな!」

 

そのまま左腕に装備したナイフを抜いて、それをホブゴブリンの喉に突き立てて絶命させる。

 

「やっぱ化け物だとしても、人間と急所は変わらないみたいだな」

 

「神谷様!ご無事ですか!?」

 

ヘルミーナが小走りでやってくる。ナイフの血を拭いながら、「問題ない」と一言答えるとまた奥に進みだす。

 

 

「っと、この先が本陣だな」

 

「分かるんですか?」

 

「カーベーよ、この兜をただの兜と思わん事だ。戦闘に役立つ便利機能満載だからな。敵の位置が分かったり、音を集めて判別したり、望遠鏡の替わりにもなる」

 

「日本の科学力は凄いんですね」

 

「ハハ。そうだろ?だが今は、目の前の敵に集中だ。スタングレネードを投擲後、3カウントで突入する」

 

そう言いながらランチャーにスタングレネードを装填し、それを先にある敵陣への入り口を向けて撃つ。

 

キーン.......

 

「行くぞ!!突入!!」

 

5人が一斉に中に突入するが、神谷が敵を瞬く間に排除してしまう。中には5匹のゴブリンが居たが、その全てを神谷が10秒足らずで排除してしまう。

 

「ルームクリア」

 

「シャミー!何処なのシャミー!!」

 

ヘルミーナは親友の名を叫びながら、辺りを走る。神谷も辺りを探そうとすると、足元が妙に柔らかかった。

 

「ん?」

 

視線を下に落とすと、そこには四肢を切り落とされた女性の亡骸があった。裸にされ、股の辺りには赤混じりの白い液体が出てきており、一眼でヤラれた後とわかる。そして多分、死んでまだ間もない事も。見開かれた瞳の瞳孔は開ききり、虚空を見つめている。

目に手を翳し、そっと撫でて目を閉じさせる。

 

「ヘルミーナ、多分お探しのシャミーだ。だが、見るなら覚悟しろ」

 

「覚悟は.......できております」

 

「なら止めない」

 

そう言うとヘルミーナは、余りに変わり果てた親友の骸と対面した。一目で分かる傷跡や歯形を見て、その場で泣き崩れていた。

 

「ヘルミーナ、流石にこの姿を晒すのは忍びねーだろ?それにこんな汚物共の住処には、これ以上居させるわけにはいかない。悲しみは分かるが、今はシャミーを連れて洞窟を出るとしよう」

 

「わかり.......ました.......」

 

即席で担架を作り、遺体をそこに乗せて外へと運び出す。そのまま一行はヘルミーナの住む村、ナゴ村に向けて走り出す。

 

 

 

数十分後 ナゴ村

「何者か!!姿を見せよ!!!!」

 

部族の戦士の男数人が、弓を構えて此方に向けてくる。そりゃいきなり謎の走る鉄の塊が来たのだ。当然の反応と言えよう。というか多分こうなるだろうと考えていたので、神谷は練っていた対応を行う。

 

「別に怪しい者じゃない!!アンタらの族長の娘と、その娘に雇われた冒険者!!それから攫われた娘を乗せている!!!!確認したいなら、好きに確認してくれ!!!!」

 

そう叫ぶと村の中から、剣を持った戦士が3人出てくる。1人が神谷に剣を突きつけ、残り2人が装甲車の中に入ろうとするが

 

「これ、どうやって入るんだ?」

 

「叩くか」

 

開け方が分からず、剣で叩き始める。

 

「ちょちょちょ!!幾ら開け方分からんでも剣で叩くヤツがあるか!?」

 

「動くな!!」

 

「だぁーもー!!わかった!!動かねぇから物騒な物を向けんな!」

 

そう言って、どうにかこうにか扉の開け方をレクチャーして中を改めてもらう。通行証の代わりにもなるヘルミーナが乗っていた事で、3秒で臨検は終わった。

 

「男。族長がお呼びである、此方へ」

 

「悪いが、先に攫われた娘の家族に会わせてほしい」

 

「何故?」

 

「せめて、届けるまで立ち会うのが筋ってものだろ?」

 

多分高位の役職であろう中年男性の制止を無視し、ヘルミーナにシャミーの家族が住む家に案内してもらう。

 

「あぁ、ミーナちゃん。帰ってきたんだね」

 

「はい、おばさま。あのシャミーなんですが」

 

「無事だったのか!?」

 

「それは.......」

 

シャミーの両親は、この反応で全てを察した。父親は「そうか」と呟くと俯き、母親は声を殺して泣いていた。

 

「御両人、娘さんの亡骸を運び出してきています。せめて亡骸だけでも、家に帰らせてやってください」

 

「アンタは、一体誰だ?」

 

「私は大日本皇国軍の者です。休暇でシャミーさんの攫われた洞窟の近くを通り掛かり、成り行きでシャミーさんの捜索を手伝っていました」

 

後ろにいるウォーランとカーベーに合図を送り、トランクの中に収めていた担架を出して家に運んでもらう。

 

「ヘルミーナ、後は君に任せたい」

 

「わかりました」

 

「では、族長の下にお連れします」

 

今度こそ高階級の男に連れられ、村の中でも一番大きな建物の中に通される。

 

「族長、ヘルミーナお嬢様をお連れした男を連れて参りました」

 

「入れ」

 

「失礼します」

 

中に入ると数名の男達がおり、その中央に眼帯を付けた50代くらいの男がいた。どうやら、その男が族長らしい。

 

「男、名をなんと言う」

 

「神谷浩三だ」

 

多分下手に出ては殺されかねないことを察し、堂々と正面から敬語も使わず対等に話す。周りの男達の内の一人が「無礼者!!平伏し、敬語を使わぬか!!」と言ってくるが無視する。

 

「男、頭をたれよ」

 

「ハ?嫌に決まってんだろうが。アンタが此処でどんだけ偉いか知らないが、俺はロクな挨拶すらしない者に下げる頭は持ち合わせてない」

 

族長も頭下げろと言うが、勿論こっちも反論し断固として頭を下げない。

 

「お父様!!!!この方に助けを求めると仰っていたのに、何を下らない意地を張っているのですか!?!?今、そんな暇はないでしょう!?!?!?」

 

「いや、これはだな」

 

「言い訳無用!!邪魔ですからあっち行ってください!!!!」

 

「いやだが」

 

「行ってください!!!!!」

 

「はい.......」

 

スゴスゴと別室に移る族長と部屋にいた男数人。いきなり入ってきた金髪ショートの女性に、さっきまで何か如何にも強そうなオーラを出してた族長が負けた事に、流石の神谷もポカーンとしていた。

 

「神谷様、でしたよね」

 

「あ、あぁ」

 

「まさか、こんなにも早くお会いできるとは思いませんでした。族長の娘で三女のミーシャと言います。以後、お見知り置きを」

 

「まさか、アンタは街で会ったエルフか?」

 

「そうですよ」

 

なんと目の前のエルフは街で、皇国軍人を騙るクズから助けたエルフだったのである。あの時は路地裏だった事もあって、顔まではよく覚えていなかったが今見てみると確かに、あの時助けたエルフであった。

 

「神谷様もヘルミーナ姉様から、この村の現状はお聞きだと思います。どうか、この村を救うために協力しては頂けませんか?」

 

「まずは詳細な情報を教えてもらいたい。協力する、しないは、その後だ」

 

「わかりました。では、こちらへ」

 

今度はミーシャに連れられ、外にあるテントに通された。そこにはイメージ通りなら、恐らくダークエルフと思われる銀髪ロングとポニーテールの女性が居た。そう言えば重要な事を言い忘れていたが、3人とも結構ボインボインである。何がとは言わないが、ボインボインのバインバインである。優秀な同志たる叡智な賢者諸氏であれば、これだけで察して頂けるだろう。

 

「ミーシャ、その人族の男は何者だ?」

 

「アーシャ姉様、私がプランツァーリで助けられた話はしたでしょう?その時助けてくださった方で、今回ミーナ姉様を連れてきた方よ」

 

「そうか。我が姉が世話になった、えーと」

 

「神谷だ。神谷浩三」

 

「神谷殿、姉貴が世話になった」

 

「気にすんな」

 

適当に挨拶を交わして、友好関係を築く事に成功する。アーシャと呼ばれた銀髪ロングの隣、同じく銀髪でポニーテールの方を見てみるが視線が下に固定されたまま動かない。

 

「なあミーシャ。これは.......」

 

「.......眠ってますね」

 

「.......誰ぇ?」

 

「あっ起きた」

 

何か、何の予備動作もなくいきなり目を覚ます銀髪ポニーテールの巨乳ダークエルフ。

 

「レイチェル、お客様よ」

 

「じゃあミーシャ姉が対応すれば良いじゃん」

 

「そうじゃなくて、せめて挨拶ぐらいはしなさいって事!」

 

「えぇー?別に良いじゃん」

 

「良くない!」

 

なんかどっかのアニメにでも出てきそうな状況に、終始苦笑いしっぱなしである。しかし、ここで神谷にある疑問が湧く。

 

(そういや、コイツらって姉妹は全部で何人いるんだ?)

 

そんな疑問について考えていると、テントにまた知らないエルフが入ってきた。今度は銀髪の大きなツインテールが特徴的なエルフで、なんかアニメだとツンデレキャラになりそうな見た目をしていた。

 

「姉さん達、偵察から戻ったわ」

 

「ご苦労様、エリス」

 

「それで、何か分かったか」

 

「えぇ。それも、とてもヤバい事がわかったわ。それよりも、なんで神聖なハイエルフ族の村に人間が居るのよ!!」

 

見た目に反さず、神谷の予想もバッチリ当たった。ツンデレキャラもしくはドギツイ性格の持ち主だと。すぐにミーシャが恩人である事を説明するが、やっぱり聞く耳を持たない。しかしここで、エリスを黙らせる強力な一撃が横から入る。

 

「そもそも、なんで弱小な人間を頼ろうとするのよ!?!?」

 

「エリス、少し言葉が過ぎますよ」

 

「ミーナ姉さんは黙ってて」

 

「いやよ。エリス、貴女はホブゴブリン相手に格闘で倒せるのかしら?」

 

「何を言ってるの、出来るわけ無いじゃない!!」

 

因みにこの世界におけるホブゴブリンは、ゴブリンの上位種であり若い男性の骨を難なくへし折れるパワーを持っており、普通は後方から弓や魔法で倒す。神谷の「CQCかける」というのは、この世界の常識じゃ自殺行為以外の何物でもない。

 

「そうでしょうね。でもこの神谷様は、格闘技、えっと確か名前は「キューシーシー」と言ったかしら?」

 

「QCCじゃなくて、CQCな。Close Quarters Combat、近接格闘という意味だ」

 

「そのCQCを使って、ホブの攻撃を容易く避けたり捌いたりして、最後は軽々と投げ飛ばしたのよ。そのままナイフを喉に突き立てて、倒したわ。そんな事が出来るのに弱小なのかしら?」

 

そう言われると、流石に反論しようがなく押し黙る。

 

「エリス、話が済んだのなら偵察結果を教えてほしいのだが?」

 

「.......わかったわ」

 

「ミーシャ、悪いが外の冒険者を呼んできてもらっていいか?生憎、俺はこっちの世界の事については疎いからな。彼らの知識は、必ず役に立つ」

 

「わかりました」

 

数分後、太陽の短剣のメンバーを交えての作戦会議が開かれた。勿論エリスは噛み付いたが、ヘルミーナ&ミーシャの無言の圧力に負けて直ぐに黙った。

 

「ではこれより、作戦会議を始める。エリス、報告を」

 

「状況は、はっきり言って最悪よ。ヤツら、ロードによって統率されていたわ」

 

「はい質問。ロードって何?」

 

「ロードというのは、ゴブリンの上位種の一つです。ロード単体の戦闘能力はホブより少し強い程度なのですが、統率力や指揮能力に特化した個体です。

因みに上位者には神谷さんが洞窟で倒したホブ、魔法に特化したシャーマン、狼に騎乗するライダー、6mから大きい物だと10mを超える巨体を持つチャンピオン等があります」

 

神谷の問いに、太陽の短剣の頭脳ペーターが答える。

 

「規模はどのくらいな訳?」

 

「確認できただけでもチャンピオン8、ホブ24、シャーマン40、ライダー60、ゴブリン600以上よ」

 

神谷以外の全員の顔が、一気に暗くなる。この世界においてこんな数に対抗できるのは、有力武闘派諸侯の私兵軍隊か正規軍のみであり一つの部族が対抗できる物量ではないのである。

 

「この規模なら、確実に肉の盾を使うな.......」

 

ウォーランの呟きに、今度はアナスタシアが質問した。

 

「ウォーラン殿、肉の盾とは?」

 

「ゴブリンが人やエルフといった、ヒト型生物の女性を攫うのは知っていると思います。基本はゴブリンを孕ませる為の道具として酷使されますが、用済みとなると今度は食料として食われるか、弾除けの盾として使われるんです。板に裸の女性を括り付けて、先頭に置き攻撃の意思を挫かせるヤツらの常套手段です」

 

ウォーランの答えに、女性陣の顔は更に暗くなっていた。多分、負けた時の事を想像しているのだろう。特にヘルミーナに至っては、そうなってもおかしくなかったのだから余計に恐怖である。

 

「ところで、こっちの兵力はどのくらいだ?」

 

「剣士100、弓兵200、魔術師30ですよ」

 

「防衛設備は?」

 

「櫓が各方位に一つずつと、後は柵と逆茂木くらいしか」

 

予想通り「籠城」なんて大層な事が出来る防衛能力がなく、苦虫を潰したような渋い顔になる。しかし乗りかかった船であるし、そもそも皇国軍人として死に直面している人々を見捨てる選択肢は存在しない。神谷は懐から端末を取り出し、立体映像を起動する。

 

「何これ!!何これ!!」

「魔法か!?!?」

「すごい.......」

 

立体映像なんて初めて見る神谷以外の人間は、キャーキャー言って騒いでいた。まずは周辺の地理状況を確認すべく、村の周りを映し出す。

周りの地形は神谷達のやってきた森林地帯を南に持ち、東には大きな川、西は山があり大部隊の侵攻には適さない。となると北側の平野部が部隊を展開するには最適であり、恐らく敵の本隊はここから来ると思われる。

 

「よし。おい、アーシャと言ったか?一応アンタがここの村の戦士の長と考えて良いんだよな?」

 

「そう捉えてもらって問題ない。アーシャはあだ名で、本名はアナスタシアだ」

 

「わかった。ではアナスタシア殿、今回の戦の全指揮権をこの神谷浩三にお譲り頂きたい」

 

そう言って頭を下げる。指揮権を貰おうとする以上、礼儀を尽くすのが道理というモノである。

 

「いいだろう。神谷殿、作戦はあるのか?」

 

「当然。多分ゴブリンは北側の平野部から、大部隊を侵攻させ残りの三つには恐らく少数精鋭の部隊、例えばチャンピオンだとかホブ何かが来るくらいだと思う。そこで、だ。まず戦士を一つの集団ではなく、無数の小集団に細分化し部隊を逐次展開、移動させやすくする。裁量は任せるが、剣、弓、魔法を別々にした上で大体一個部隊10人を目処に編制してほしい。また一つだけ精鋭部隊を作るから、そこには20人程度で剣、弓、魔法の区別なく編制して一つの戦闘群として動かす。

それから戦士階級以外の大人と、まあまあ自己判断で動ける子供を衛生兵と補給兵として運用するから、こっちについても編制をしておいてほしい。後は老人組や今手空きの者は、女子供を問わずに広場に。戦士階級の者は北側の出入り口にそれぞれ集めてほしい」

 

「わかった」

 

今度は携帯を取り出して、マイハーク駐屯地に空中投下である物を落とすように指示を出し、その後は自分の副官である向上に連絡を取った。向上に連絡を取った理由は、もう言わなくても分かるであろう。

 

 

 

一時間後 広場

「皆、今この村がどんな状況か知っていると思う。今更言うつもりもないが、この戦いに負ければ悲惨な運命を辿るだろう。だかしかし!!今ここで、諦めては悲惨な運命を受け入れたも同義!!!!お前達も生物の頂点たる人間種であるならば、そんな悲惨な運命に抗ってみせよ!!!!!!」

 

そう言うと周りの男達が叫び上げた。その叫びが、部族を纏める物に変わり統一感が生まれたのである。そして神谷は、即席火炎瓶の作り方を話し出した。本来危険だが、こんな時に危険もへったくれも無いので無理矢理火炎瓶を作らせる。

ちなみに作っているのは、灯油とガソリンに砂糖を混ぜた燃え広がるタイプの物である。草原が燃える事によって敵に混乱を与えやすくなり、運が良ければ一酸化炭素中毒で死んでくれるかもという淡い期待もある。

作り方を教え終わると、今度は戦士達を連れてクレイモアと地雷を仕掛ける。所謂「ベルナドット隊長の面攻撃戦法」を用いるのである。詳しくはヘルシングを見よう。

 

 

 

数時間後 23時頃 北側平原

「来た」

 

現在神谷は蛸壺に入って、48式狙撃銃を構えている。無線で全員に報告し、戦闘準備を指示する。と言っても、まだ射程外で何もできないのだが。

 

「さあ、初手は狙撃からだ」

 

パシュッ!パシュッ!パシュッ!

 

サイレンサー付きの48式から12.7mm弾が発射され、前衛のゴブリンを確実に射殺する。それに浮き足立ったのか、例の「肉の盾」を出して突撃を開始する。

 

「第1魔法隊睡眠系の魔法を行使。効果が確認され次第、第2〜第5剣士隊は肉の盾を回収。付近の衛生部隊に受け渡せ」

 

指示通りに動き出した部隊が、肉の盾を回収する。狙撃と肉の盾が回収され、思惑が外れたのと謎の攻撃で完全に浮き足立つ。そしてゴブリン達は、突撃戦法を取ってただ前に走る。勿論シャーマンが魔法で援護しようとするが、神谷の狙撃とエルフの魔法使いによって潰されていく。

 

「神谷様」

 

「ヘルミーナ、そろそろ仕掛けを使う。こっちに来い」

 

そう言って狭い蛸壺の中に押し込む。ところが一つ、大誤算があった。思ってたよりヘルミーナがバインバインだったため、背中が極楽状態なのである。

 

(落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け)

 

念仏の如く「落ち着け」と連呼し、どうにか心の平穏を取り戻す。そうこうしていると、丁度仕掛けの位置にゴブリンが差し掛かった。

 

ドガン!!

 

足元に仕掛けたC4を起爆し、ゴブリンの侵攻を一時的に止める。そして間髪容れず、クレイモア地雷を起爆させる。

 

ドガン!ドガン!ドガン!

 

「ビンゴ」

 

「アレが仕掛けですか?」

 

「あぁ。まずC4で侵攻を止め、間髪容れずにクレイモア地雷を起爆させる。殺気も気配もない場所がいきなり爆発し、瞬時に扇状の加害範囲を内蔵された700個の鉄球が超速で埋め尽くす。こんな絵に描いたような大部隊での攻撃に、クレイモア地雷は地獄だ。一個のクレイモアに700個、120個設置してあるから合計84,000個のボールベアリング。避けられるものなら避けてみろっつの。

よーし、全弓兵部隊。優先的に特殊矢を使って、火線を貼れ。面だ。面攻撃を徹底し、連中の頭を抑えろ!!」

 

今回、弓兵部隊にはある特殊な矢が配備されている。矢の下に筒状の物体がついており、これは後々の攻撃で役立つような細工がしてある。詳しくは後述するが、現在ゴブリンは無数の矢の雨を受けている。矢を防ぐ盾を配備しておらず、被害は拡大している。

 

「で、そういやなんでお前がここに?」

 

「えっと、ウォーラン様が偵察に出たのですが、どうやらゴブリンの数に誤りがあったそうです。まだ後方に最初の報告と同等数のゴブリンがいると」

 

「うわマジか。だが、案外いけるかもな。思ったよりクレイモア攻撃と今の矢攻撃で、殆ど壊滅している。個々に敗走までしてる始末だし、まだこっちには火炎瓶が残ってるしな」

 

そんな事を話していると、今度は狼に騎乗したゴブリンライダーの一団が突っ込んでくる。

 

「って、今度はライダーが馬鹿の一つ覚えみたいに突っ込んできたか」

 

「か、神谷様!!危険ですよ!!!!」

 

「大丈夫、大丈夫。ライダーなんて、俺にとっては鴨が鍋とネギを背負ってきたレベルのボーナスキャラだ。耳、塞いでろよ」

 

そう言うと神谷は、足元から42式軽機関銃を取り出す。

 

ドカカカカカ!!ドカカカカカ!!ドカカカカカ!!

 

9mmライフル弾の弾幕が展開され、ゴブリンライダーを狼ごと屠っていく。直線での機動力の高いゴブリンライダーだが、速度が速い分左右に避けるのは苦手であり、機関銃は最大の天敵である。そのため、今までのゴブリンの中で一番早く全滅させられたのである。

 

「ヘルミーナ、一度本陣に帰還しろ。多分、アイツらも何かしら仕掛けてくるぞ」

 

「わかりました」

 

そう言ってヘルミーナを返した数分後、ゴブリン達がまた徒党を組んでやって来た。

 

「全剣士部隊、補給部隊を連れて前進せよ。瓶を使う」

 

これまで暇を持て余していた剣士達は、意気揚々と門を出て草の生えていない位置に陣取る。

 

「やっほー、神谷さん。剣士部隊と補給部隊連れてきたよ」

 

剣士部隊の指揮官であるレイチェルが、神谷の横に来た。

 

「にしても、この瓶って投げたらどうなるわけ?」

 

「まあ見てな。そろそろ来るぞ、タイミングは指示する」

 

「りょーかい」

 

大体50m切ったくらいで火炎瓶の投擲を指示する。剣士達と一部の補給部隊の奴も混じって、半信半疑の火炎瓶をぶん投げる。地面に当たって割れると、一気に炎が燃え上がる。

 

「え!?スゴッ!」

 

「おもしれーだろ?火炎瓶って武器だ」

 

「そのネーミングセンスはどうかと思うよ?」

 

「それは名付けた奴にいってくれ」

 

短時間で数百本の火炎瓶が割れ、辺り一面火の海となる。これだけでもパニックになると言うのに、さらに追い討ちをかける。先程、矢に筒を付けていたと書いてあったのを覚えているだろうか?あの筒には中に火薬やガソリン、他にも引火すると煙を出す化学物質を入れており、爆発したり色とりどりな煙を発生させてパニックを引き起こさせる。

 

「なんか、ゴブリンが可哀想に思えてきたよ」

 

「あっち側にはいたくねーよな」

 

レイチェルとの会話を他所に、横では戦士達が大歓声を上げていた。しかしこの歓声は、すぐに静まる事になる。

 

『こちらアナスタシア。神谷殿、すまない。ゴブリンの軍勢に侵入された』

 

「見張りは!?」

 

『どうやら別の盗賊に既に倒されていたらしい。今その盗賊は捕らえているが、すぐに戻ってほしい』

 

「わかった。アナスタシアは精鋭を従えて、迎撃にあたれ。俺たちもすぐに行く」

 

神谷達は部隊を連れて、村の中に戻る。村の中はさながら地獄であった。見渡す限り死体、死体、死体。中には齧られた物もあり、エルフの中には吐くものもいた。

 

「急げ!!今は死者に構う暇はないぞ!!!!」

 

村の中心部に行くと、族長とその娘達が戦っていた。相手はゴブリンチャンピオンである。

 

「アーシャ、伏せい!!」

 

「ハイ!!」

 

「エクスプロージョン!!!!」

「サンダースピア!!」

 

族長が上級炎魔法であるエクスプロージョンを、ミーシャが中級雷系魔法サンダースピアを使い、流石にゴブリンチャンピオンも少しよろける。その瞬間を見逃さず、エリスの大剣とヘルミーナの双剣で斬り伏せる。

 

「グオォォォォォ!!!!」

 

「やった!」

 

「気を抜くな!!まだまだ来るぞ!!!!」

 

族長の叫びに、歓喜に沸きかけていた戦士達が絶句した。目の前にはさっき魔法を多用して倒せたチャンピオンが、3体も迫っていたのである。

 

「ちょっと不味いよ、これ」

 

レイチェルもそう呟くが、次の瞬間神谷がジェットパックで空に舞い上がる。

 

「死に晒せ!!!!」

 

48式の12.7mm弾で、目の前のチャンピオンの頭を弾き飛ばす。もう一体には手榴弾を口の中に投げ込み、最後の一体は目玉に36式散弾銃を喰らわせ、上から偶々拾った剣を超速で突き刺して殺した。

 

「あのチャンピオンをいとも容易く.......」

「あの男、やりおる」

「神谷殿は一体何者なのだ.......」

 

「ヤルナ、人間」

 

「あ?」

 

「ダガ、勝敗ハ決シタ」

 

村の奥から煌びやかな装飾を全身に施し、頭に王冠を嵌めたゴブリンが現れる。言わなくてもわかる。ゴブリンロードである。

 

「降伏セヨ」

 

「抜かせ!!お前達、戦え!!!!」

 

そう族長が命令するが、神谷が待ったをかける。

 

「待て。ここは一度捕まった方がいい。というか、生存者を1箇所に集める必要がある」

 

「貴様、捕虜の汚名を着せる気か!?!?」

 

「違うって。いいから、俺に任せろ。今、奴は戦の流れが自分にあると思ってる。まあ実際その通りだが、俺は禁じ手中の禁じ手。言うなれば、ゲームを盤上ごとひっくり返してルールすらも捻じ曲げる切り札を持っている。ここは一度捕まって、時間を稼ぐ」

 

「.......いいだろう」

 

堅物の族長が認めたことで、全員がこの決定に従い武器を差し出した。

 

「で、ロードさんよ。俺たちゃ、どうすりゃいいんだ?」

 

「ソウダナ。平野ニ行ケ」

 

「へーへー。だとよ、皆さん」

 

そんな訳で平野部に連行される。その間、偶々ある死体の塊を見つけた。

 

(ウォーラン、カーベー、ペーター、カロンか.......。アイツら、逝ってしまったか)

 

そう。その死体とは子供を守るように倒れていた太陽の短剣のメンバー達であった。しかもその前には、1体のチャンピオンと思われる死体もあった。恐らく、一矢報いたのだろう。初めて出会って、少しとは言え冒険を共にした仲間だった者達の死に何とも言えない気持ちになる。

 

(さらばだ、太陽の短剣。またいつの日か、あの世で再会できる事を祈る)

 

心の中でそう唱えながら、恐らく処刑場となる平野に出る。そこには生き残りと思われるエルフ達と、ゴブリン達が揃っていた。

 

「最後ダ、貴様達ノ生キ残リト会ワセテヤロウ」

 

「ほう。中々に優しいんだな」

 

「ソウダ、人間。貴様、我ガ軍門ニ降ルガ良イ」

 

突拍子もない発言に、エルフ達も固まる。

 

「アノ戦イハ、貴様ガ指導シタノダロウ?ソノ力、余ノ下デ使ウガヨイ」

 

「はあ?嫌に決まってんだろ」

 

「何?」

 

「だってさ何が悲しくて戦のイロハもわかってない、弱小ゴブリン軍団の指揮を執らないかんの?そもそも、初手の突撃。アレ何?盾もない、ちょっと予想外のことが起きるとすぐパニック、オマケに敵前逃亡で勝手に前線から消える奴まで出てくる始末。村に奇襲かけるのは良してして、なんでパワータイプであまり機動力のないチャンピオンを村のしかも建物の多い場所で使う?あれじゃあ、折角の強みが台無しじゃねーか」

 

どんどんぶっちゃけていく神谷に、みるみるゴブリンロードの顔が変わっていく。そしてまあ、やっぱり怒鳴りつける。

 

「貴様、余ヲ愚弄スルカ!?」

 

「はっ!何が愚弄するかだ、コノヤロー。テメェの頭が足りてねーんじゃ、ボケが!!!!それにな、お前、この俺に「我が軍門に降れ」とかほざいてたよな?俺が忠誠を誓うのは、この世で唯一人。天皇陛下をおいてあり得ない!!!!!!それに、アンタは本当に詰めが甘い。全てがこの俺の手の平の上で進んでいると言うのに、態々全員をこんなひらけた場所に集めてくれた。まあ最初なら他のエルフや、アンタの部下もいたのは嬉しい誤算だったがな」

 

「貴様、何ヲ言ッテ」

 

「さあロード、第二ラウンドと行こうぜ。相手はエルフ族ではなく、世界最強の精鋭部隊だがな!!!!」

 

次の瞬間、ロードの後ろに控えていたゴブリンライダーの集団が吹き飛ぶ。何事かとロードが振り返るとそこには、正確にはその上には何かが飛んでいた。

 

「どうした、戦いのゴングは鳴ったぜ?あ、それともこっちの準備が終わるまで待ってくれるのか?優しいねぇ。だかその甘さは、身を滅ぼすがな」

 

今度は真夜中で真っ暗な筈の夜空から、白い光が無数に降り注ぐ。ゴブリン達もエルフ達も、皆一様に空を仰いだ。そこには鉄の塊が空を飛ぶという、ありえない光景が広がっていた。

 

「あれはなんだ!?」

「鉄の塊が空を飛んでるぞ!?!?」

「神の再来か?」

 

そう騒ぎ出すエルフ達。しかし族長は、鉄の塊の胴体にある印を見た。赤い丸と、黒地に白で二本の太刀をクロスさせて、交差している部分に一梃の拳銃の銃口を向けている絵が入っていて、その上に世界地図を背にしたアリコーンが描かれている絵が見えた。

彼らである。世界最強の精鋭戦闘集団である神谷戦闘団、又の名を「国境無き軍団」である。

 

「太陽神の使いだ。日本軍が来たぞ!!!!」

 

この叫びにエルフ達は今まで一番の大歓声を上げ、ゴブリン達は今まで以上に狼狽えていた。そうしている間に神谷戦闘団に所属する隊員達と、白亜衆の隊員達が降下してくる。

 

「よお向上。悪いな、休暇中に」

 

「今度、グッズ奢ってもらいますからね」

 

「わかったよ。だが今は、目の前のゴブリン共を駆逐するぞ」

 

「えぇ。我々を呼んだということは、ゴブリンは抹殺で良いですね?」

 

「あぁ」

 

神谷は向上の持ってきた箱から、愛刀の太刀とお馴染み「皇国剣聖」の羽織を羽織る。

 

「皆殺しだ。ゴブリン共を生きて帰すんじゃねーぞ!!!!」

 

「「「「「オウ!!!!」」」」」

 

全員が一斉に攻撃を開始する。今まで受けた事も見た事もない攻撃と、絶大な威力を誇る兵器群。あのチャンピオンを以ってしても、38式携行式対戦車誘導弾や29式擲弾銃には太刀打ち出来なかった。

神谷と向上は、目の前のゴブリンロードを相手する。

 

「向上、アキレス腱だ!!」

 

「ハイ!」

 

ズドォン!ズドォン!

 

向上の26式拳銃の12.7mm弾がゴブリンロードのアキレス腱を撃ち抜き、前に倒れる。神谷は向上を踏み台にして上にジャンプし、ジェットパックの加速力をプラスしてゴブリンロードの首を刎ねる。

 

「終わったな」

 

ゴブリンロードが倒された頃には、他のゴブリンも倒され辺り一面血で赤く染まっていた。翌朝から兵士達はエルフ達の救護活動や、村の片付けに当たり始めた。

 

「男、一体何者なのだ?」

 

「俺は」

 

「この御方を何方と心得る!畏れ多くも大日本皇国統合軍総司令長官にして、皇国一の刀の使い手、そして世界最強の精鋭軍団「神谷戦闘団」が団長!神谷浩三大将で在らせられるぞ!!!!」

 

部下の一人がそう答えた。神谷は心の中で「いや、俺は水戸黄門かい」と突っ込んだのは言うまでもない。そしてエルフ達はというと

 

「「「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?!?」」」」」」

 

超絶驚いたのは言うまでもない。

 

 

 

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