ナゴ村防衛戦より数時間後 住宅地
「おーい、こっちの材木片付けてくれ」
「って、なんだこりゃ。すんげぇ絡まり方だな」
「知恵の輪じゃないんだから、もうちょい折り重なるようになってくれませんかね、材木さんよ?」
現在ナゴ村は、神谷戦闘団の隊員たちによって片付けと事後処理が行われていた。装甲甲冑を装備した兵士たちは、人間重機として重宝されていた。
「このまま行けば、予定より早く終わりそうですね」
「なんだ向上。えらく嬉しそうじゃん?」
「そりゃだって、早く終わればライブに間に合うかもしれませんから」
「あ、うん」
本気で推しに命を懸けてる事を再認識し、軽くドン引き状態であるが敢えてそれをツッコむ必要もない。二人で半壊した街を歩いていくと、神谷が火炎瓶を作らせた広場に出た。現在ここには、先の戦いで亡くなった者達が安置されている。
「いつ見ても、この風景だけは慣れません」
「俺もだ。まあ慣れてないなら、俺たちゃまだ人間って事だな」
戦って死んだ者、誰かを守って死んだ者、押し潰されて死んだ者、焼死した者、全員死に方は違えど、やはりその遺体の周りには家族が集まって泣いていた。そんな人々の中を通り抜けると、4体の遺体を見つけた。
「そうか。お前達も、どうにか遺体は残ったんだな」
そこに居たのは、太陽の短剣の面々の遺体である。横にはそれぞれの使っていた武器、リーダーのカーベーなら2振りの剣、野伏のウォーランなら短剣、魔法使いのペーターなら大きな杖、森司祭のカロンならメイスが横に置かれていた。
「長官、彼らは傭兵か何かですか?」
「所謂、冒険者って奴らだ。俺はコイツらには少なからず世話になったし、こっちの世界で初めて出来た旅を共にした仲間だった。コイツら、日本軍に助けられた経験があるらしくてな。チーム名も旭日旗か日章旗かは知らんが、旗の紋様に肖って「太陽の短剣」って名前にするぐらい、日本軍の理解者でもあったんだ。死んだのは悲しいが、あの世で安らかに眠れるように祈るしかないよな」
「あの、長官?なんか、その4人の死体、光ってません?」
「え?」
神谷が四人の死体に目を下ろす。確か何故か白く光っていて、段々光が強くなっていき、その内光が少し暗くなったり明るくなったりを繰り返すようになっていった。
「ちょ!?!?え!?」
「蛍人間ですか!?!?」
光が急に収まると、マジで謎すぎる現象が起きた。なんか、増えたのである。どういう事かと言うと、死体は目の前で寝そべっているのに上半身が腹のあたりから飛び出ているのである。ザ・たっちの幽体離脱をイメージしてほしい。
「ここは一体.......。あ、神谷さん。あの、ここは何処でしょう?」
「いや、え?マジ?」
「なあなあ兄ちゃん、隣のヤツは誰だ?」
「こんな事って、あり得るというか、あっちゃっていいんですか?」
なんと多分幽霊となったカーベーとウォーランが、二人に話し掛けてきたのである。
「ここはどこであるか?」
「多分、ナゴ村の広場じゃないですか?」
なんかカロンとペーターも幽霊化して復活してるし、なんかもう何が何だか分からないカオスである。
「なあ、お前ら?お前らの今の状況、わかってる?」
「え?」
黙って鏡を差し出すと、そこには幽霊となった自分達の姿が写っていた。驚きの余り大絶叫すると、そのまま天使の輪っかみたいのが4人の頭に現れて、そのまま眠るように天に昇っていきやがて消えた。
「いまの、なんだったんですかね?」
「いや、知らねーよ。聞いた事ねーぞ、いきなり死んだ奴の魂出てきて、鏡で姿を見せたら大絶叫して、そのまんま昇天って。ぶっ飛びすぎにも程があると言うか、笑えねぇ冗談でしかないだろ」
「取り敢えず、お念仏でも唱えますか?」
「そうだな」
「「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」」チーン
もう本当にどうすればいいのか分からないので、お経あげてやるくらいしか思いつかなかった。なんか横に小皿というか、お椀みたいなのがあったのでそれも鳴らしておく。
「やっと見つけた、神谷様!!」
「ヘルミーナ?」
名前を呼ばれたので振り返ってみると、息が絶え絶えになって肩で呼吸しているような状態のヘルミーナが居た。
「何かあったのか?」
「そ、それが。捕まえていた、盗賊達が、脱走、しちゃって」
「それヤバくないか?」
「ヤバイですよね」
次の瞬間、日本軍が展開している方とは逆にある住宅地に2、3mはある大男が3人現れる。二人は顔を見合わせると、同じタイミングで同じ言葉を発した。
「「はっしれぇ!!!!」」
大男三人衆のいる場所まで走り出す。暴れている場所に着くと、既に4人のアマゾネス達が居た。
「神谷様!」
「ミーシャに、お前らも居るのか」
「まだ居たのね、ヒト族」
「長官、この方達は?」
「ここの族長の娘達だ。全員、やり手だから心配はいらん」
そう言いながら、2人は自分の得物を構える。まずは神谷も拳銃を構え、眼球や関節などの装甲が薄いであろう場所を狙い撃つ。
ズドォンズドォンズドォンズドォン
「あークソ!やっぱりダメですか!!」
「怯みはするが、決定打には欠けるな」
「サンダースピア!!」
「ウォーターブラスト!!!」
ミーシャのサンダースピア、ヘルミーナのウォーターブラスト、レイチェルの弓矢で後方支援を行いながら、エリスとアナスタシアが接近戦を仕掛けるが、やはり決定打には欠ける。
「お、そうだ。向上!!2分、いや3分持たせてくれ!!!!」
「了解!」
そう言うと神谷は門の方に走っていき、ある物を取ってくる。
「あんのヒト族、逃げたわ!!!!」
「神谷殿、てっきり武人かと思っていたのだが」
「大丈夫、あの人は仲間を見捨てたりしません。ほんの少しだけで良いですから、私に力を貸してください。時間を稼ぎます」
そう言うと姉妹達も一応協力してくれて、時間稼ぎに成功する。そうこうしていると、奥から向上には聴き慣れたエンジン音が聞こえてきた。
「皆さん、伏せて!!!!」
全員が伏せた次の瞬間、障害物を飛び越えて40式小型戦闘車が飛び出してくる。着地と同時に神谷が窓から体を乗り出して、運転しながら38式携行式対戦車誘導弾をぶっ放す。
「51式にも風穴を開ける最強対戦車ミサイルだ。受け取りやがれ!!!!」
38式は正確に大男の頭を吹き飛ばす。そして着弾と同時に神谷が「野郎共!!」と叫び、周りに配置しておいた兵士達のステルス迷彩を解除させて奇襲させた。
ズドドドトズドドドトズドドドト
キュィィンブオォォォォォォォォォォォォ!!!!!
弾幕が展開され、流石に耐え切れず2体とも倒れる。かに思われたが、なんと1体が神谷の方に向かって走り出したのである。
「あ!ちょ、其方には行くな!!」
「やめとけって、マジで!!」
「忠告はしたぞー」
巨大な手で掴もうとするが、神谷が抜刀する方が遥かに早かった。
「邪魔なんだよ、お前」
首と腕を肩から斬り落とし、一瞬の内に絶命させてしまう。白亜衆の隊員達は口々に「だから言ったのに」と哀れみの言葉をかけると、死体の片付けを始めた。
「って、なんかコイツら、どっかで見た気がする」
「神谷様、私を助けてくださった時の事覚えてますか?」
「日本の代紋で好き勝手しようとしたって、コイツらその時のか」
「私も捕まってるのを見た時は驚きましたよ。しかも襲撃中に盗賊に入ったのも、この3人だったみたいですし」
「この国の衛兵の警備体制はどうなってんだ」
クワ・トイネの警備体制に文句を言っている中、神谷に冷たくあたっているエリスはその背中をじっと見つめていた。
「なんでヒト族に、あんな芸当ができるのよ.......」
「それはあの人が皇国剣聖、だからですよ」
「うひゃあ!?!?」
エリスの呟いた言葉に、向上が答えた。しかしまさか聞かれてた上に答えが返ってくるとは思わず、マヌケな可愛い悲鳴をあげる。
「こ、コホン。で、何なのよ。その、皇国剣聖っていうのは?」
「長官が数ある将兵の中で唯一人、日本の主であらせられる天皇陛下より賜り、そして名乗る事を許された称号です。あの人に刀を持たせれば、たった一人で師団規模ですら壊滅させられるでしょう」
「そんな強そうにはみえないわ」
「そうですか?しかし、あの人は見かけによらず化け物ですよ。弾丸を捉える動体視力、無数の弾丸や敵の中から瞬時に脅威度を割り出す判断力、弾丸斬り裂く瞬発力、弾丸を斬り裂き衝撃を受け止める筋力といった様々な能力が、人間とは思えない程の超高次元で纏まっています。私も動体視力や瞬発力に自信はありますが、長官には敵いませんよ」
「ふーん。なら、戦ってみようかしら」
「え?」
そうエリスが言うと神谷に近づき、嵌めていた手袋を投げ付けた。
「神谷浩三、私と勝負なさい!!」
場の空気が一気に凍り付く。エルフの姉妹達は神谷が「不敬だ!!」とか言って怒ることを恐れ、向上は勝負を受けちゃう事を恐れていた。
(頼むから長官!!受けんでくださいよ!!受けそうだけど)
「やろうぜ、勝負」
(受けちゃった、受けちゃったよこの人!!)
そんな訳で急遽、エリスと神谷の決闘が始まった。
「なら、私が見届け人をやろう」
「頼むわ、アーシャ姉さん」
双方、共に剣を抜く。神谷は安定の二刀流、エリスは両手剣である。互いに相手を観察し、動きを予測する。
「始め!!」
まず先に動いたのはエリスである。エリスの戦い方は、その身体には似合わない程の馬鹿力で相手を叩き斬るというもの。しかもエルフ特有の身体能力の高さもあって、人間相手では余程の強さでないと防ぐ事は出来ない。
「取った!」
「はぁ、取ってねーよ」
エリスの剣が神谷の左肩を捉える直前、神谷は右に身体を動かして剣撃をスレスレで避ける。
「何っ!?」
「おいおい、まさか初撃で決着がつくなんざ考えてねーよな?」
「うるさい!!」
そのまま神谷の膝の辺りにスライスするかのように剣撃を入れようとするが、それもバックステップで避けられてしまう。
「なんか拍子抜けだ。もうちょい強いかと思ったが、案外弱かった。だからもう、終わりにしよう」
次の瞬間、神谷は地面を力一杯蹴り飛ばす。一気に距離を詰められたエリスは反応が遅れた上、使用武器が重い事から防御姿勢を取るのにタイムラグができてしまう。そして剣を動かすどころか、回避の間すら与える事なく首は刀を突き立てた。
「そ、それまで!!勝者、神谷殿!!!!」
「やはり、我が見立ては間違いなかったか」
向上が振り返ると、眼帯を付けた経験豊富な老兵という出立ちの男がいた。
「あの、あなたは?」
「申し遅れた。ワシはナゴ村の族長にして、あそこにいる娘達の父。ガロル・ナゴ・パカランである。此度の戦乱の援軍、感謝致す」
「あ、いえ。その言葉は私ではなく、総大将の神谷に言ってあげてください」
「では神谷殿に「最初にワシと会った場所に、娘達も連れてきてほしい」とお伝えしてほしい」
「わかりました」
一時間ほど経った頃、神谷は5人姉妹を連れて族長の家に向かった。
「よく参られた、神谷殿。我が数々の無礼を謝罪すると共に、この村を救ってくれた事、平に感謝致す」
「それが俺達の仕事だ」
「そうであるか。古来、我が部族は「仇には仇を。恩義には恩義を」を掲げている。そのため、貴公にも礼を尽くさせてもらいたい」
「いや、俺達は金品は貰えないんだが」
「わかっておる。かつて我が部族の先祖達も、魔王が襲来した時に太陽神の使いと共に戦った。戦いが終わった後、お礼に金品を差し出したそうだが、受け取ってもらえなかったそうじゃ。だから今回は金品ではなく、これを渡そうと思う」
そう言うと族長は、懐から赤い液体の入った小瓶を差し出した。
「なんだこれ」
「まあ飲むといい。毒でもないし、変な物でもない」
「そう言うなら、遠慮なく」
そう言うと神谷は、その謎の薬を一息に飲み干した。飲んだ瞬間、度数の強い酒を飲んだような感覚が身体中に広がり、喉や身体の芯が熱くなる感覚が襲う。
「なんだこれ!酒か?」
「違うぞ。さて次の礼、というか御願いになるんじゃが。我が娘達と結婚してほしい」
「ん?娘達。今、達って言ったのか!?」
「我が部族には一つの掟がある。それは「命を助けられた者は助けた者が未婚で想い人がいなければ、兄弟、姉妹と共に婚姻関係となる」というものでな。貴公は我が娘のヘルミーナを救っておる。よって、貴公は我が娘達と結婚してもらう」
現在、神谷の頭はかつて無いほどにフル回転していた。これが小説の世界なら「ご都合主義だなHAHAHAHA」で済むが、生憎これは現実。幾らなんでも、ぶっ飛びすぎている。というか未だに、頭が追い付いていない。
「え、あ、それはもし、断ったらどうなる?その、未婚で想い人もいないけど断ったら」
「貴公には何の影響もないが、我が娘達は自殺する他なくなる。そういう掟なのだ」
「嘘やん」
双方何の影響もないのなら、断ってもいい。そう思っていたが、生死すら関係してくるなら話は別である。
(どうする。郷に行っては郷に従え法*1ができたとは言え、流石にいきなりはなぁ)
「まあいきなり、というのも無理があるじゃろうて。まずは結婚を前提に付き合ってくれさえすれば、それで良い。日本という国は、ここからとても遠い。たとえ破局したとしても、この部族の人間にはバレまい」
「まあそういう事なら良いけど」
「では決まりじゃな」
そう言って立ち去ろうとするガロルを止める。考えてみたらパスポートやら何やらの手続きが必要なので、その事について色々説明する。
「だぁーもー分からん!!!!貴公に全部任せるから、後は頼むぞ!!!!!!」
「え、あ!ちょ」
しかし説明の甲斐虚しく、丸投げされて奥にすっこんでしまう。仕方がないので、取り敢えず帰還する輸送機に乗って経済都市マイハークのパスポート申請局に向かう。そこで何やらかんやら面倒な手続きをして、一度神谷は帰国。パスポートの出来上がる3週間後、部下をナゴ村に迎えに行かせた。尚、神谷は色々仕事の関係で迎えには行けなかった。
3週間後 ナゴ村
「ここか。閣下の言っていた村は」
「何者か!!」
「怪しい者じゃありません。神谷長官の使いの者で、ガロル族長のご息女のお迎えにあがりました」
迎えの柿田大尉がそう言うと、門が開き中に入るように言われる。中に入ると族長の家の前まで通され、そこで嫁候補?の5人と合流する。因みにアナスタシア、エリス、レイチェルは武器を持っているが、しっかり許可は取っている。
「柿田大尉殿、よろしくお願いする」
「確か長女のアナスタシア殿、でしたね。短い間ですが、こちらこそ宜しく。それでは皆さん、どうぞ此方に」
リムジンに5人を乗せて3時間程かけてマイハーク港に向かい、民間船舶のフェリーに乗船。東京港を目指す。約2日後、定刻通り無事東京港に入港。そのまま神谷の執務室のある統合参謀本部に向かう。
「此処が伝説の国、日本.......」
「黄金はないのね」
「何あれ!壁かしら?」
「人が中に入っていくわよ」
「こんな所に建てては、戦略的価値はないだろうに」
思い思いの日本に対する感想を言い合った。初めて見る高層建築、様々な服に身を包む人々、活気にあふれる商店、綺麗な街並み。そこはまるで、神話に出てくる天界の国であった。
「どうです、日本の街並みは?」
「とても素晴らしい国です。こんな国家があるのですね」
「柿田大尉殿。あの壁は一体何なのだ?どうやら人が入っているようだが」
「あれはビルと呼ばれる高層建築物ですよ。中は様々な企業の事務所やレストランであったり、酒場でもあったりもしますね。あっちの建物はデパートと言って、食材から服、アクセサリーや雑貨、生活に欠かせない道具までなんでも揃っていますよ」
道中、簡単に東京観光を行い、目的地である統合参謀本部に到着する。ところが…
「長官ならさっき、緊急の呼び出しを受け首相官邸に行っちゃった」
「え!?」
「何でも、新たな国交開設に関する話やら何やらでちょっと行ってくる、らしい」
「マジですか向上さん!?」
「マジマジ」
なんと神谷の奴、首相官邸に急遽向かってたのである。流石に官邸に押し掛ける訳にもいかないので、取り敢えず東京観光Part2を行う事になった。で、官邸でどんな話をしていたかと言うと。
「神聖ミリシアル帝国がコンタクトしてきた?」
「ほら、これこれ」
「うわ、マジやん」
川山に手渡された紙を見るとミリシアルの紋様が描かれており、中身も要約すると「国交開設するから、使節団送る。そんな訳で、受け入れヨロシク!」的な事が書かれていた。
「こちらとしては、断る理由がない。神聖ミリシアル帝国ってのは、言うなれば前世界のアメリカだ。今後、国際社会に日本が躍り出ていく時に仲良くしておいた方がメリットは大きい」
「外交的にもその方が色々楽だ。まだ国交を結んでいない国や日本を敵対視している国に「ミリシアルと国交がある」ってだけで、大きな抑止力になる」
一色と川山が政治と外交の、其々の立場からのメリットを語り合う。しかし神谷は、軍事面としては難色を示していた。
「正直、軍事面では強くないんだよなぁ。「虎の威を借りる狐」なんて言葉があるが、日本の軍事力からしてみれば「虎の威をかりる狐に擬態した吉田沙保里」だ。協力しても、精々頭数が増えるだけよ。
しかも奴等、軍事力が高そうに見えるが自前で開発する能力は高くない。その殆どが例の古の魔法帝国とかいう、謎の覇権国家の兵器を丸パクリするか切った貼ったのキメラ兵器だ。物理学やら何やらの設計に関する知識が、すっぽり抜けてやがる」
「そんなに酷いのか?」
一色が余りの言い様に、珍しく軍事面だと言うのに食いつく。
「酷いってもんじゃないぜ?例えばジェット機。ジェット戦闘機は黎明期から第五世代までの6つに分けられるんだが、新鋭機のエルペシオ3は第四世代のF16と第一世代のP59、それに第二世代のYe8を足したような機体だ。これ、言うならPS4にファミコン足して、ついでにWiiも足したような世代がごっちゃごちゃの機体な訳。で、速力がレシプロより遅い上、ジェットである以上、小回りが利かない。簡単な話、零戦で勝てる」
「零戦って、あの零戦か?太平洋戦争の」
「あぁ。多分二一型、初期のモデルでもそこそこの練度の奴なら勝てるだろうぜ」
この答えは、のちに開催される先進11ヵ国会議にて明らかになるが、それはまだ先なので、この時の神谷達は知る由もなかった。
「それから新たに浩三と慎太郎には、海軍を率いて此処に向かってほしい」
「へぇー、こんな山に囲まれた孤島に国があるのか。スゲーな」
「流石異世界、何でもあるな」
まるでアニメの世界から、そのまんま出てきたような地形に3人とも興奮していた。その後も他に国交を開かないといけない国家、例えばエモール王国やパーパルディア戦役の後に誕生した新興国など、まだまだ国交に関しては開けていなかったり、開けてても何も進んでなかったりと仕事は沢山ある。その内、神谷の土産話や雑談にシフトしていき一時の平穏が訪れる。
「あ、なあなあ。ゴミ箱で玉入れ、やろうぜ!」
「お、いいね」
「負けたらジュースな」
昼休みの男子高校生みたいなノリで、ゴミ箱に丸めたゴミを入れるゲームが始まった。順番は川山、一色、神谷の順となり、順調に神谷の順番が巡ってくる。
「浩三、手加減しろよ?」
「お前のセンスは、バカ高いんだからさ」
「ハハハ、すると思うか?」
そう紙を丸めると不意に、焦げ臭い臭いが当たりを包み込んだ。
「って、なんか焦げ臭いな」
「健太郎、お前、なんか焼いてんのか?」
「いや、特にはって、お前!!」
「え?うおぉぉ!!!!」
一色と川山が神谷の手を見て騒ぎ出す。一体何だと見てみると、拳が炎になっていた。
「なんじゃこりゃあぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「浩三、お前メラメラの実でも食った?能力者なの?」
「と、取り敢えず消せよ消せ!」
「消せつったって、消し方なんざ知らねーよ!!!!」
「念じろ取り敢えず!」
「あ、え、えぇーと。消えろー、消えろー、消えろー!!」
やって見るもので、本当に念じたら炎が消えた。
「いや、何今の」
「知るか!」
川山に突っ込まれるが、マジで心当たりがない神谷。一番怪しいのは、旅の時だが何も怪しい物は飲み食いしてな、いや、一度している。エルフの村で謎の液体を飲んでいる。
「お前それ、魔法じゃね?」
「え?」
「いやだってさ、お前ここ異世界よ?魔法の一つや二つ、使えたっておかしくねーだろ?しかもお前、最強の兵士なんだからさ」
一色の何気ない一言に、なんか腑に落ちたので色々実験してみる事にした。どんな実験かと言うと、具体的にどんな魔法が使えるのかを調べるのである。と言っても未知数なので、適当に魔法でありそうな魔法をバンバン唱えてみる。
「ファイアーボール」
「サンダーバースト」
「バブルウォーター」
「エアーウィンドウ」
「アースウォール」
「ダークバレット」
「スタン」
なんか思いつく限りの火、雷、水、風、土、闇、光の初級っぽい魔法を適当に撃ってみる。結果として、なんか普通に全部撃てた。流石に的はないので威力は分からないが、威力がなくとも威嚇で使えるので問題はない。次はアニメとかの必殺とか、魔法を唱えてみる。
「超位魔法、ザ・クリエイション!!」
某ガイコツのオーバーロードクラスの至高の御方が出てくるアニメの主人公が使ってる魔法を唱えて、取り敢えず雨を念じる。そしたら本当に降水確率0%なのに、東京中に雨が降らせられた。しかも強く念じると、豪雨レベルのが降るし、弱くなるよう念じると一気に弱くなった。どうやら念じる力で左右されるようで、発動条件はイメージする事っぽい。試しに銃を構えて、一度撃ってみたかった必殺技を念じる。
「メガ・レールガン!!!!」
分かる人には分かる。某、ダンボールの中でロボットが戦うアニメの必殺ファンクションである。どうでもいいが主は当時どハマりして、未だにゲームの超級必殺ファンクションとキャラクターの使うLBXを覚えてたりする。
「お前、マジでやべーよ」
「絶対言わない方が良いぜ、それ」
「そうする」
この瞬間、三英傑に新たな秘密が追加された。「神谷は魔法が使える」この事は割とガチで最重要国家機密となった。因みに後から分かったが、神谷の魔法使いとしての強さも世界最強クラスである事がわかった。曰く「魔王であっても、一撃で葬り去れる」らしい。