神谷が魔法の使用が可能な事が発覚した数時間後 神室町*1
「それにしても、この神室町は凄いですね」
「あぁ。まるでサイバーパンクの世界に迷い込んだみたいだからな」
「そう言えば、この都市を企画し建設したのって確か、国内最大手のゼネコンの神谷組でしたよね?長官と関係があるんですか?」
「ん?あぁ。兄貴の会社だ」
「へぇ。お兄様の」
因みに言っておくが、神谷の実家は日本どころか世界の大富豪トップ3に入る大富豪である。父親の経営する神谷グループは今言ったゼネコンの神谷組を始め、医薬品、医療機器、病院、鉄道、金融、商業、テーマパーク、ホテル、造船、鉄鋼、学校、衣服、食事、宇宙産業、ICT関連産業、芸能、出版、メディア等々。ほぼ全ての分野で最大のシェアを誇る大財閥を経営しており、サイバーパンク2077のアラサカみたいな大企業である。
「長官、着きました」
「おう。ご苦労さん」
「お帰りなさいませ、旦那様」
車から降りると燕尾服の老人、執事の早稲新左衛門が出迎える。神谷の祖父みたいな関係でもあり、オフの時は孫とじいちゃんのように仲がいい。
「早稲、何事もなかったな?」
「えぇ。大広間にて皆様にはお待ち頂いております故、御早くお願い致します」
「はいはい」
「それにしても、あんなに色恋には興味がなかった浩三様が5人も一気に娶るなんて。爺は嬉しゅうございます」
「いやいやいやいや、対外的に見て止めようぜ?爺ちゃん」
「昔は一夫多妻は財力や権力のある家では、日本でも当たり前でした。公文書の中に妾か妻かを選べる事も出来ていたのですから、何もおかしくありませぬ」
「ダメだこりゃ」
こんな感じで、二人ともメチャクチャ仲が良い。取り敢えず自室に戻って、一度正装に着替える。
神谷邸 大広間
「悪いな、結構待たせちまった」
「遅いわ.......よ」
安定でエリスが文句を言おうとするが、固まる。他の4人も同様に固まり、神谷の格好に目を奪われていた。神谷の今の格好は和服の中で、最上位の正装である紋付羽織袴姿である。国の重鎮で世界的大財閥の御曹司ともなれば、公的な場に出る事も多く見事な和服を持っていた。そのうちの一つを余興代わりに着てみた訳だが、初めて見る服に全員固まっている。
やはり国や文化は違えど、真に優れている物は何であれ一目でわかるもの。煌びやかな装飾も宝石も身に付けていないし、何なら色だって白黒で豪華とは程遠い。しかし何故だか、良い物である事が分かってしまう逸品であった。
「神谷様、その格好は一体.......」
一番に現実に戻ったヘルミーナが質問する。神谷は本来なら「してやったり」的なドヤ顔でもしてやりたいところだが、それでは折角威厳たっぷり(な感じ)に出てきた意味がないので、表情一つ動かさずに答える。
「これは日本の伝統衣装で一番格式の高い正装、紋付羽織袴だ。なんやかんやで確か江戸時代、今から200年くらい前のご先祖様から引き継いできた物だ」
「に、200年.......」
エルフ、取り分けハイエルフは寿命が人間より遥かに長い。そんな訳でヘルミーナにとってはそんなにおかしくはないが、ヒト族の立場からしてみれば何代前から受け継いだ物なのか分からない。そんな訳で更に固まる。
あ、因みに価値は普通に国宝クラスであり、成人式で「ボロ着かよwww」とか言って破こうとする馬鹿がいれば、そいつの人生が修復不可能なレベルの損害賠償を請求できてしまう物である。まあそんな馬鹿がいる訳ないが。
「おーい、そろそろ現実に帰ってこーい」
数分程、5人とも夢の国に旅立ち掛けていたが、何とか全員に戻ってきてもらう。
「神谷さんって、マジで何者なの.......」
「実は日本の国王とか?」
「いやでも、アイツの部下は「何とか陛下がどうの」って言ってたわよ?」
「謎は深まるばかりだな」
「それを言ったら、この国自体が色々おかしい気がしますよ.......」
「あのー、そろそろ食事にして良いか?」
なんか色々言っていたが、あまりに料理を運ぶように指示が来ないので料理長が催促に来ていた。まあ普通なら「早く料理出させろ」と主人に意見する料理人は多分居ない(生憎と主は親戚一同、使用人どころか極々普通の一般庶民の家庭なので金持ちの生活や裏事情なんざ知らない)だろうが、ここは神谷の性格上、超絶アットホーム&ホワイトな職場なので普通に意見できる。
「えっと、はい」
「だそうだ。料理長、待たせて悪かったな」
「ハハハ、どこの世界と言えど女の子はお喋り好きというのは、万国共通なようで」
そう言いながら外の使用人達に合図を送ると、様々な料理が運ばれて来た。と言っても全部和食ではあるが。エルフの食生活というのは山での生活というのもあって、肉や魚も食べるがどんな料理でも味付けが濃くない。取れたて狩りたてを食べるので獣臭さや生臭さもないし、というかクワ・トイネの特性なのかは知らないが、元から余り獣臭かったり、生臭い物がない。
そんな訳で食事を提供する際にどうするか考えたところ、料理長が「味濃くないなら、多分和食の繊細な味付けは合うんじゃね?」となり、和食が作られる事となったのである。
「うおぉ。料理長、いつもより張り切って作ったな」
「そりゃあ異世界人に自分の料理を食べてもらうなんて、そうそう無いですもん。こんなチャンス、どんな料理人でも逃しはしません」
「にしてもまあ、よく作ったな」
それではここで、簡単に料理を解説させて頂こう。
・飯
マグロ(赤身、中トロ、大トロの3種)、サーモン、ブリ、タコ、玉子、イカ、イクラ、ウニの握り
・汁
鯛の吸い物
・向付
トラフグの刺身
・煮物
大根、コンニャク、里芋、筍の煮物
・焼物
黒毛和牛のステーキ
・預け鉢(進め鉢)
ほうれん草の白和え
・甘味菓子
わらび餅
以上である。敢えて会席料理風でありながら、若い人には嬉しいラインナップとなっている。因みに本来の会席料理であれば、なんか色々仕来りやら何やらがあるが「流石にいきなり和食すぎるのもアレだろ」という料理長の判断で、ある程度は現代風の物にしてある。
「さあ、食え食え。料理長の飯はマジで美味いぞ」
しかしまあ、得体の知れない物だらけである。因みに現在の5人の認識はというと、
・寿司=生魚に下の白い粒は何?それ以前に、横の黒い液体は何?
・汁=何これ、濁ってる。砂でも入れてるの?
・刺身=また生魚。
・煮物=筍と里芋はわかるけど、残りのは何?というか
・焼物=肉!
・白和え=ほうれん草はわかるけど、何この白いの。
・わらび餅=何これ、茶色い粉掛かってる。
こんな感じでは、十分にハードルの高い料理であった。割とガチで「日本では食えない物も皿に入れるのか?」と思ってたらしい。しかし横目で神谷を見ると、普通にバクバク食べてる。しかも器用に二本の棒で。取り敢えず、食べ方を真似して食べてみる。
「何これ!」
「いける、これいける」
「美味しい.......」
「んん〜〜!」
「美味すぎる!!」
なんか1人BIG BOSSが紛れ込んでるが、全員気に入ったのか普通に食べだした。尚5人は流石に箸ではなくフォーク、ナイフ、スプーンで食べている。寿司は神谷が手でいったので、それを真似している。
「さて。飯も食い終わったし、これからの事を話したい」
全員がてっきり結婚の事かと思い身構えるが、神谷は結婚の事は余り触れなかった。
「なんかお前らの親父から言われたが、結婚する事になってはいる。だが俺はお前達の誰が長女とかも知らないし、というかそもそも性格も大凡しか掴めてない。こんな状況で結婚でもしようものなら、多分すぐに離婚待ったなしだ。
それ以前にまずは日本に慣れてもらわないといけない。一応、お前らの親父からは「流石に部族からは遠く離れてるから、たとえ結婚してなくてもバレる心配はない」って言ってたが、少なからずこっちには居るんだから日本の常識を知っておいて損はない。仮に結婚するにしても俺はこれでも「三英傑」って国民的英雄の一人になっちゃってるし、軍の事実上のトップである以上、公的な場にお前らを連れていく時も必ずある。となるとある程度は知っておいてもらわないと、色々面倒な事になる」
ここで一旦、話を区切る。このタイミングでレイチェルが手を挙げて、質問してきた。
「しっつもーん。常識とかって、誰が教えるんですかぁ?神谷さんが教えるのー?」
「いや、最初はそのつもりだったんだがな。俺が官邸に行ったの知ってるだろ?そん時言われたんだが、何でも神聖ミリシアル帝国の使節団が来るし他の国家とも国交を開くらしいから、多分俺はその辺の対応で大忙しになる。ってか何なら、家を空ける。そんな状況じゃ、お前達に満足に教えることは出来ない。早稲に頼むかなぁ」
「そういえば、私達は詳しい自己紹介をしてなかったな」
「うん、アーシャ姉様。それさっき、神谷様が言ってたわ」
ミーシャがため息混じりにツッコむ。どうやら、よくある事らしい。そんな訳で急遽、自己紹介が始まった。
「長女のヘルミーナです。ミーナとお呼びください」
「次女のアスナスタシアだ。アーシャでいい」
「三女のミーシャですわ。そのまま、ミーシャとお呼びください」
「四女のレイチェルだよ」
「五女、エリスよ。ってか、このぐらいは会話で察しなさいよ!」
「いやできるか!」
ついでなので、簡単な容姿についても解説しておこう。全員身長は160〜165cmの間。体重は、おっと後ろから魔法やら剣やらで殺気を出してるので省略。ミーナが金髪ロングの双剣使い兼水系魔法使い、アーシャが銀髪ロングのレイピア使い、ミーシャは金髪ショートの雷系魔法使い、レイチェルが銀髪ポニーテールの弓使い、エリスが銀髪の長いツインテールの大剣使いである。
でもって多分、叡智な読者諸氏にとっては一番の朗報。全員、ボインボインのバインバインである。全員、ボインボインのバインバインである。大事な事なので2回言った。それも「巨」ではなく「爆」である。これで叡智な読者諸氏には必ず、必ず!伝わるであろう。
「OK。で、何か俺についての質問あるか?」
「好きな食べ物!」byレイチェル
「肉!!」
「趣味は何でしょう?」byミーナ
「ゲームと剣術」
「好きな戦法」byアーシャ
「敵陣に斬り込んで、内部からグチャグチャにする。もしくは先陣切って、敵陣に突撃」
「好きな女性のタイプはどんな方ですか?」byミーシャ
「正直、5人全員ともドストライク」
「特にないわよ!」byエリス
「あ、うん。予想してた」
その後も何かどっかの合コンみたいなノリで、謎の質問大会が続いた。良い時間になったので、風呂に入りに行く。(流石に一緒には入らないが、シャワーの使い方なんかを教えるため、服を着た状態で浴室に入った)水浴びしか知らない5人にとっては風呂は思い付きもしない代物だったらしく、最初の反応が「なんで家の中に池があって、湯気が上ってるの?」であった。
風呂から上がったら全員疲れたのか、神谷の部屋でベッドを占領されて熟睡。幸い人が8人くらい一気に寝れるデカさのベッドなので、仲良く5人で寝てた。勿論、神谷はベッドの中に入る訳にはいかないのでソファで寝た。
翌朝 大広間
「で、今日も観光に行くか?」
「その事なんですが、出来れば神谷様の仕事を見せてください。私達も神谷様の人となりを殆ど知りません。仕事場であれば、必然と見えてくるでしょうから」
思いがけない提案に面食らうがまあ別に見られて減るものでもないし、何なら既に参謀本部内では、ほぼ周知の事実になってしまったので5人を連れて行ってもさして混乱は起きない。そんな訳で急遽、6人で出勤である。
08:00 統合参謀本部
「「「「おはようございます!!」」」」
「おう、おはようさん」
車を降りるや否や、4人のたまたま居た士官から敬礼で迎えられる。この時点で5人共驚くが、この先もっと驚く事になる。まずは5人にカードキーとなる来館証を発行してもらってゲートを潜る。通りすがる全ての職員が敬礼をするか、頭を下げて道を譲っていく。この異様な光景に、今度は5人が面食らう。そのまま執務室に入り、様々な業務を片付けていく。その日は書類仕事だけだったので、姉妹達は午後から統合参謀本部の一般開放されてる区画の資料館に行っていた。皇軍の歴史や三英傑関連の物もあったが、それはこの先の話にて詳しく掘り下げていくので今回は見送らせてもらう。
一週間後 エモール王国 竜都ドラグキスマキラ ウィルマンズ城
「空間の神々の名の元に、これより未来を見る」
現在、王城であるウィルマンズ城の最北にある別棟ではドーム状の部屋には竜王ワグドラーンと国の重役達が見守る中、30人の大魔導士が「空間の占い」の儀式を行うべく準備をしていた。占いと聞くと「大昔の日本や中国じゃないんだから」と思うだろうが、空間の占いとは魔法による実質的な未来予知である。しかも98%当たるのだから馬鹿に出来ない。年に一度この空間の占いで未来を見て予め国家の運命を左右する出来事を調べて、もし大惨事が起こるものなら全力で回避に努めるための大事な儀式である。
「竜都」の名の通り、エモール王国は竜人族の国家である。竜人族は魔力が素で高いのだが、この儀式に参加する大魔導士達はその中でも超選りすぐりの者達である。そんなメチャクチャ大事な儀式が、今始まった。
「な!!!そ、そんな!!!なんと言うことだ!!!」
「いったい何だ!何が見えたというのか!?」
儀式に参加する大魔導士達の長であるアレースルの取り乱しっぷりに、竜王ワグドラーンも驚く。
「.......魔帝なり。」
「なっ!!なんだと!!!」
「そう遠くない未来、古の魔法帝国は、神話に刻まれし、ラティストア大陸は復活する!!!」
「なんということだ!!!」
なんとあっちこっちで名前の挙がる最悪の国家、魔法帝国が復活する未来が見えちゃったのである。因みにどんな国家かと言うと、パーパルディア皇国がぶっ放しやがった核弾道ミサイルとサイロを作りやがった国家である。
「時期は!?時期はいつだ!!!?」
「読めぬ」
「では、場所は何処だ?」
「空間の位相に歪みが生じている。場所も読めぬ」
因みにエモール王国には、魔法帝国とは並々ならぬ因縁がある。魔法帝国の存在した時代、エモール王国が存在するよりも遥かに昔に竜の神々の治める、インフィドラグーンという名の国が存在した。古の魔法帝国は竜の神々に対し「配下の竜人族を毎年一定数差し出せ」と要求した。
竜の神が理由を尋ねると曰く「竜人族の皮は丈夫で美しく、バッグを作って売ったら国内で売れそうだし、軍用品に利用できるから」というのが理由だった。
さあ、ここでお気づきだろうか?文中に「丈夫で」とある。「美しく」だけなら分かるが、丈夫という事がわかってるって事は「既に竜人の皮を剥いで制作した」という事である。竜の神にとって竜人族は被保護者である。そんな存在が既に皮剥がされて加工された事を知った結果、竜魔大戦と呼ばれる戦争にまで発展した。遂には魔法帝国がコア魔法、要は核爆弾を使用する大惨事となりインフィドラグーンは消滅した。その後、魔法帝国が未来に行き、戦後散り散りになった竜人達は再び集まって国を作った。それが現在のエモール王国である。
つまり「自らの神と先祖達の仇」という訳である。
「また我が国を含め全ての種が再び辛酸を舐め、膝を屈する事になるのか?」
「否、読めぬ。未来は不確定なり」
「不確定だと!?いったいどういう事なのだ!?!?」
「言葉の通りなり」
「では滅び、もしくは従属から回避する手段はあるというのか?」
「ある!」
目を見開いて、強くキッパリと言い切ったアレースル。ワグドラーンも「それは何だ?」と聞く。
「新たな国家の出現。この強きひかりが.......」
「新たな国家とは、つまり新興国か?」
「否.......別の世界からの転移.......転移国家なり」
「転移国家だと?ムーの歴史が現代で再来したとでも言うのか?」
勿論ムーの伝説はあれど、転移国家なんて他の国家ではただの空想。伝説に過ぎないが、空間の占いの言ってる事はほぼほぼ間違いない訳で重役らは首を傾げていた。
「占いで出たのだ。最早、荒唐無稽な御伽噺ではなかろう。これは国儀ぞ。して、どこだ。何という名の国家だ?」
「ム!.......ウウ.......ゥゥ!!」
両手の赤い光が更に強くなり、周囲の魔導士達も苦悶に顔を歪めている。やがてその顔は、驚きに満ちた顔となっていく。
「なんだ、これは?あり得ぬ、あり得ぬ.......」
「なんだ!!何が見えたのだ!?!?」
「ヌオォォォォォォ!!!!!!」
バキン!!!
なんと大魔導士達の魔力で作られていた、未来を見通す巨大な水晶玉のような物体が粉々に砕け散った。因みにこんな事、本来ならあり得ないというか、今のところそんな記録は残っていない。予期せぬ非常事態に、重役達が駆けずり回る。
「誰か!!医師団を呼べ!!」
「魔導士もじゃ!!」
「おい、大丈夫か!!」
ある者は外へと走り出し、ある者は魔導士達に駆け寄る。アレースルにはワグドラーンが駆け寄り、身の心配と何が見えたかを聞く。
「大丈夫か!?一体何が見えたのだ?」
「ひ、がし.......」
「東」と言い残すと、アレースルはそのまま意識を失った。医師の診断では魔力が完全に消耗された結果、意識を失ったと分かった。「寝てれば恐らく、すぐに目を覚ます」と診断され、2日後にアレースルら全員が目を覚ました。
「アレースルよ、何が見えたのだ?」
「第三文明圏のフィルアデス大陸よりさらに東にある島国、ヒト族の治めし国家である。名は大日本皇国」
「ヒト族だと!?相手は古の魔法帝国だぞ!魔力の低い人族に何が出来る!!」
「わからぬ。が、必ず鍵となる。あの時、我は信じられぬ物を見た。様々な神々、邪神すらもその国家を護り、その光は眩いまでに島を輝かせ、神の子孫が治めておる。更に神々は国民一人一人を護り、活気にあふれた天空の神々の世界に最も近いような、そんな国家だ」
余りに現実離れした光景に、ワグドラーンも言葉を失う。しかしアレースルは構わず続ける。
「もう一つ、我は恐らく彼の国の兵器を見た。超巨大な戦艦群、音速を超えて飛ぶ航空機、その航空機を何百機も収容する超大型航空機、大地を疾走する巨大な鋼鉄の塊、二本の足で大地を踏み締め破壊の限りを尽くす鋼鉄の巨人。全てが現実離れしておった」
「そんな兵器群があるというのか。第三文明圏の、更にその先に」
「ある。王よ、今すぐに使節を派遣するのだ。人族の下に足を運ぶなど癪であろうが、彼の国は必ずこの先の未来を決める大事な鍵だ。我が国ならず、全ての種族の未来だ」
「わかった。すぐに派遣の準備を進めよう」
ワグドラーンはすぐに重役達に使節団の派遣と、大日本皇国について調べるように命じた。しかしその結果は、命じた一時間後に報告書が提出された。
「もう調べたのか!?幾らなんでも早すぎるぞ」
「王よ、彼の国はどうやら有名人のようです。列強第四位のパーパルディア皇国が最近、戦乱を開いたようですが陸、海、空軍と国家監察軍の悉くを壊滅させ、聖都パールネウスと皇都エストシラントを含む主要都市の全てを破壊、若しくは占領したそうです。特にエストシラントに於いては都市機能が喪失したどころか、最低限マトモに稼働できるのが北部地区と中央区の極一部で、それ以外はほぼ完全に破壊されたそうです」
「それは真か!?」
「はい。更に近々、ミリシアルが使節団を派遣するとの事です」
「わかった。今回は事が事だ。この際、プライドなど捨てて使節団をミリシアルの使節団に同行させてもらおう。外交担当貴族を呼び、使節団の人員選定とミリシアルとの交渉を行うように命じろ」
「御意!」
今回の一件は神聖ミリシアル帝国に伝え、使節団の同行を要請した。流石に全部話してないが「古の魔法帝国が復活し、大日本皇国が鍵となる」という事は説明した。流石にミリシアルでも事態を重く受け止めざるを得ず、エモール王国使節団の同行が許可され一ヶ月後に日本への旅路に着いた。