最強国家 大日本皇国召喚   作:鬼武者

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えぇ、今回。私の筆がノリにノリまくりまして、なんと文字数1万7,000文字に突入しました。その為、普段よりも増量コースとなります。
また今回は最後にお知らせがありますので、どうぞ最後までご覧ください。


第三十三話カルアミーク内乱

ウィスーク公爵との接触より9日後 ウィスーク公爵邸

「で、この状況どうすんの?」

 

「どうしようか」

 

川山と神谷は共に頭を抱えていた。というのも、報告にも上がっていた「地方都市で大規模な戦闘が発生した」という報告が王国の方にも上がった。問題なのは戦闘の原因が3大諸侯の1人である、マウリ・ハンマン公爵の謀反である点である。

でもって攻められた地方都市というのも、3大諸侯の1人であるイワン公爵領の街、ワイザーと呼ばれる場所だったらしく、イワン公爵の部隊は勿論の事、最高練度と最大規模を誇る王下直轄騎士団も投入されるらしく内戦待った無しの状況な訳で、その結果スパイ防止の為に、王命で商人も含めた王都への何人の出入りも禁じられてしまった。国交のある国の外交官なら逃げられたかもしれないが、今回の来訪目的がその国交を開くために来てる訳で、足止めを食らってるのである。

 

「因みに聞くけど、その王下直轄騎士団だっけ?その騎士団と今回反乱起こしたマウリとかいう奴の軍とぶつかったら、どっちが勝つの?」

 

「現実的に考えて討伐軍、つまり王下直轄騎士団、イワン公爵私兵軍の連合軍が勝つ。幾ら反乱を起こしたのが3大諸侯の一角とは言えど、所詮は一公爵家。幾ら精強な軍隊とは言えど正規軍を含めた討伐軍とぶつかれば、圧倒的戦力差で捩じ伏せられる筈だ」

 

「なんか、含みのある言い方だな?」

 

「確かに机上では圧倒的な戦力差であっても、実際の戦闘は数値だけでは当てにならない。例えば織田信長が今川義元を倒した桶狭間の戦いでも、信長はたった2,000人しか軍勢がいないのに対して今川は2万5,000人の軍勢を率いていた。数値だけで考えれば、信長は負けている。だが信長は地形を利用したりとか、士気を上げまくったりとか、なんやかんや手を尽くして勝利を収めてる」

 

「つまり戦ってみないとわからない、って事か?」

 

神谷は「それもあるが」と言いながらタブレットを取り出して、偵察衛星の画像を見せた。画像は中世ヨーロッパ風の街並みが、火の海になっている映像である。

 

「これは?」

 

「マウリが最初に攻め込んだ、イワン公爵の領有してるワイザーとかいう街だ。お前なら、おかしな点がわかる筈だ」

 

「んーーー?あ!!」

 

川山は画像を凝視していたが、すぐに何かに気付いたようで顔を上げる。神谷はすごく面倒臭そうな顔をしながら「気付いた?」と言った。

 

「中世ヨーロッパに、こんな大火災を起こせる程の兵器はない」

 

「正解だ。つまりマウリは、近代程度の技術力を使った兵器を持ってる可能性が高い。近代と中世。どっちが勝つかは、言わなくてもわかる筈だ。そんで俺もそう思って、色々探らせてみた。そしたら、こういうのが出てきちゃった訳よ」

 

そう言いながらタブレットをスワイプし、画像を切り替える。今度は鷲をそのまんま人間が乗れるまで巨大化した見た目の巨大な「魔鳥」とも形容すべき、異世界ならではの鳥の画像が映し出される。

 

「これって確か、火喰い鳥とかいう生物じゃないか?」

 

「あぁ。ワイバーンを使役する方法が確立される前に使われていた、今では輸送でしか見ない生物だ。第一の問題はコイツだ」

 

「いやいや。ワイバーンよりも弱いんだから、どうにか倒せるんじゃないか?」

 

「いや、多分倒せない。確かにワイバーンより弱いが、重要なのはそこじゃない。重要なのは、この島の中には航空兵器の発想が存在しない(・・・・・・・・・・・・・)点だ」

 

神谷の言葉に川山は首を傾げる。正直、何が問題なのか分からない。航空兵器の発想が無くても、別に問題ないような気がする。それが川山の考えである。

 

「兵器ってのは、常にイタチごっこだ。何か新しい兵器が生まれると、それに対抗する兵器が生まれ、今度はその兵器に対する対策を行う。つまり兵器ってのは、対抗する必要がないと生まれない。この意味、分かるか?」

 

「まさか.......討伐軍には対空兵器が配備されてない?」

 

「そう考えるのが妥当だろう。まあ生物だから弓兵で方陣でも組んで矢を浴びせれば倒せずとも怯ませるぐらいは出来るだろうし、何より魔法とかいう訳のわからん存在があるから一概には言えんがな。

だがさっきも言った通り、航空兵器の発想が無いんだ。発想すら持たない兵器が、自分達の想定や想像を超える脅威が自分に牙を剥いたら、人はどんな風になるかなんて想像に難くない」

 

「これ、結構ヤバイんじゃ.......」

 

「いや、ヤバイのはここからだ」

 

そう言いながらまたスワイプする。今度はとても見慣れた兵器の画像であった。

 

「なあ、これって装甲車か?見た目的に初期の頃だろうが.......。まさか、マウリはこれを持ってるとか?」

 

「最悪なことにな」

 

川山の顔は一気に青褪めた。装甲車、というより現代兵器と異世界の軍隊が戦ってどうなるか、どんな結末を迎えるかなんていうのは、この世界で一番日本が知ってる事である。何せ日本はこの世界に来てから、ずっと世界中で大暴れしてきた。軍人ではないが、仕事の関係で戦場だった場所を何度も見ている。

 

「詳しいスペックは分からないが、形状からして第一次世界大戦直後にイギリスが開発したオースチン装甲車だろう。今から1世紀半くらい前の兵器とは言えど、討伐軍にはラスボスレベルの脅威だ」

 

「もしも、討伐軍が負けたら?」

 

「もしかしなくても、ここに攻め込んでくるだろうな。そうなったら、奴らに地獄を見せるまでよ。何の為に空母と戦艦を有する大艦隊と、海軍陸戦隊やら白亜衆含む我が神谷戦闘団を連れてきたと思ってる?こういう不測の事態に対処し、敵を殲滅するためだ」

 

そう言って笑う神谷の目は、いつも三英傑の中で見せる優しい顔ではなかった。冷ややかなる冷酷な目に、悪魔か何かの笑みを取って張っつけたような見ていても楽しい気分にはなれない、泣く子がもっと泣き叫び、なんなら泣いてない子も泣かせる様な見る者全てに恐怖を刻むような笑顔である。

 

(あ。これ反乱軍の皆さん、全員死ぬヤツや。しかもロクな死に方しないわ。そうなる運命の確定演出だよ、これ)

 

川山はこの瞬間、この世の真理(おやくそく)を垣間見た気がしたと後に語った。

 

 

 

同時刻 王都アルクール北方約80km付近

(流石に、たったの3日で80kmもの行軍は無理があったかと思ったが、その心配はなかったようだな。しかし)

「なんと面妖な.......」

 

王下直轄騎士団の団長、メチルの視線の先には普通は余り目にしない軍勢の姿があった。一言で言うなら「異形の軍隊」である。ファンタジー世界あるあるのモンスターの大軍勢というのは、この世界では極めて稀な出来事である。

というのもモンスター、もとい魔獣というのは基本的に単体で行動する。番いや群れを作って動く事はあるが、軍勢とは程遠い規模である。軍勢が現れるには魔王の出現とか、その種に於ける特異個体。例えばナゴ村を襲った「ゴブリンキング」の様な、特異個体の中でも指揮に特化した個体の誕生によって初めて成立する。

しかし今回は知っての通りマウリの反乱であって、今言った事には当てはまらない。しかも本来なら統率がないため、どんな戦い方をしてくるかが完全に未知数である。幾ら精鋭と名高い王下直轄騎士団とは言えど、そんなのが相手では厄介である。お陰で騎士団の警戒心はMAXである。

 

「メチル殿!メチル殿!!」

 

マウリ・ハンマンによって被害を受けた、イワン公爵配下の騎士が片膝を折って話しかけてくる。

 

「何でしょう?」

 

「逆賊、マウリ・ハンマンの軍への最初の一番槍は、我が騎士団が担当いたします」

 

「解りました。しかし相手はどんな攻撃をしてくるのか、全く不明です。どうぞ油断せず、ご存分に」

 

「ハッ!」

 

それではここで、戦力の比較と行ってみよう。

《討伐軍》

・王下直轄騎士団 5万名

・イワン公爵私兵軍(封魔騎士団2万&牙竜騎士団1万名)

 

《反乱軍》

・下位魔獣軍団(ゴブリンやオーク等の雑魚モンスターs)1万体

・12角獣突撃群 4,000体

・超魔獣ジオモービス 8体

・有翼騎士団 300騎

・戦車機甲兵団 50輌

 

え?原作よりも戦力強化されてるって?君達のような勘のいいガキは嫌いだよ。

と言うのは置いておいて、全ては神の御心、いや!作者次第!!(この2つのネタ分かったらコメントで教えてね⭐︎)

 

 

「うぉぉぉぉぉ!!」

 

自らを鼓舞する声と、馬が大地を蹴る音が付近に木霊する。イワン公爵の牙龍騎士団と封魔騎士団の士気は高く、騎士たちのあげた土煙が高く上がる。およそ400騎にもわたる騎士団は、下位魔獣約1500体に初撃を与えるために進む。

 

「悪魔め!!この矢をくらうがよい!!」

 

馬上の騎士達が弓を引き絞り、目標の少し上の方に向かって構える。

 

「放て!!!」

 

風切り音とともに、矢は魔獣へ向かい、雨のように飛んでいく。初射の後、封魔騎士団は敵の周囲を回るような機動をとり、矢による射撃を続ける。トカゲのような形をした魔物に矢が刺さり、魔物たちは悲鳴と共に、怒りの咆哮をあげる。間髪容れずにバラバラに配置された魔物の群れに、槍を構えた牙龍騎士団が突入する。金属のぶつかる甲高い音が響き、火花が散り、怒号と悲鳴が入り混じる。この攻撃により、陣形の一部が崩れる。

 

「見たか!!我らが力を!!」

 

「我らは優勢ぞ!!機動力を落とすな!!!」

 

だがマウリにとって下位魔獣なんて、唯の捨て駒。少々倒されたところで、痛くも痒くもない。

 

 

「どうやら、我が方が優勢のようだな。魔獣どもは個々の能力は高いようだが、統制がとれていない。武器も貧弱だ。我ら王下直轄騎士団が出るまでもなく、イワン公爵の騎士団だけでカタがつきそうだな。」

 

メチルもそう考えていた。しかし、この考えは誤っていた事をすぐに理解させられる。

 

「ん?な!?め、メチル様!!!!アレを!!!!!」

 

部下の1人が血相変えて、メチルの足を叩いて指を差す。何事かと見てみると黒く足が6本で、顔は醜悪そのもの。筋肉の隆起が見て取れて、頭には角が12本不規則に生えている魔獣が姿を現した。十二角獣である。

 

「あ、あれは.......まさか12角獣!?上位魔獣があんなに!いかん!!!!我らもいくぞ!!ハァ!!!」

 

先方に展開中の騎士団が危機に陥ると判断した王下直轄騎士団メチルは、主力軍の前進を命じるとともに、自らの騎士団も前進を開始した騎士団は歩兵を追い越し、前に出る。

一方で左翼に展開していた封魔騎士団も、12角獣の存在に気づき攻撃を開始する。

 

「矢を射よ!!」

 

そう命ぜられて、騎士達が矢を放つ。ところが12角獣には効かない。矢はすべて、獣の針金のような体毛にはじき返されたのだ。それどころか攻撃に怒り、更に突撃してくる始末。

その後、何度も矢を放つも距離を瞬く間に詰められて、騎士団前方の騎士が連続して馬ごと吹き飛ばされる。その後方の騎士を巻き込み、壮大に落馬、騎士団の足が完全に止まる。機動力を失った封魔騎士団は、たちまち下位魔獣に囲まれてしまう。

因みに騎馬は超絶恐いです。機動力に物を言わせて背後を奇襲とか、超恐い。だが、機動力を失った時は超怖くありません。なので、もし読者の皆様が騎馬と戦う謎の事態に巻き込まれたら、森の中とか沼地に追い込んで、安全な場所から弓矢とか槍投げとかで戦いましょう。え?そんな状況起こるわけないって?君のよ(ry

※ソースは第六天魔王(ドリフターズ)

 

「抜剣!!隊列を整えよ!!」

 

個々の能力差をカバーするため、落馬した騎士たちは、早急に隊列を整える。その隊列に再度12角獣が突入。多くの死者を出し、隊列が粉砕される。

 

「ぐぁぁぁぁっ!!」

 

「あきらめるな!!見よ!牙龍騎士団がこちらに向かっている!!」

 

騎士団長が隊員たちを鼓舞する。すると12角獣の群れは封魔騎士団を放って、牙龍騎士団へ向かって走り始める。それに気付いた牙竜騎士団は槍を構え、魔獣と対峙する。多くの騎士が落馬し、弾き飛ばされる。しかし12角獣は数体がケガを負ったのみ。牙龍騎士団に動揺が広がる。

一方で王下直轄騎士団は総崩れとなったイワン侯の軍、封魔騎士団と牙龍騎士団を救うべく、魔獣の群れに対し、突入を開始していた。

 

「なっ!!なんだあれは!!!」

 

「うぉぉ!ま、まさか!!」

 

騎士達の悲鳴に、何事かと騎士団長メチルは上空を見上げる。

 

「そんな、そんな馬鹿な!!!火、火喰い鳥の群れだと!?しかも、人が乗っている!!?まずいっ!!」

 

天翔る騎士団は王下直轄騎士団上空約20m付近で、火炎を地上に向かい放射した。

 

「ギャァァァ!!!」

 

総数100騎にも及ぶ火炎放射は、地上をなめるように突き進む。この島の文明水準としては、あまりにも強力な攻撃となった面制圧火炎放射により王下直轄騎士団も総崩れとなる。

神谷の予想通り対空兵器を持たず、さらには想定外の戦法による衝撃は、精鋭と言えど乗り越えられなかった。

 

「天翔る統率された軍を、どうやって防ぐというのだ!!しかも最強の天の覇者、火喰い鳥を操るなど!!これほどまでに強力な軍がこの世界に存在するなぞ!ちくしょう!!ちくしょぉぉぉぉ!!!」

 

メチルの悲鳴は火喰い鳥の炎に掻き消され、ここに8万名を誇った討伐軍は敗退した。

 

 

 

数日後 ウィスーク公爵邸

(ウィスーク公爵に聞いても知らぬ存ぜぬだが、一体どんな負け方をしたんだか)

 

ウィスーク公爵邸の貸し与えられた部屋で、PCを叩いて仕事をしている川山。昨日くらいから、ウィスーク公爵の反応がおかしい。一度マウリ軍との戦闘について聞いてみたが「国に関する保秘事項で」とか何とか言われて答えてくれない。そこで安定の偵察衛星で確認したが、しっかり負けていた。流石にどの程度の負け方かは分からないが、ウィスーク公爵の顔色的にフルボッコにされた感じなのだろう。

 

「慎太郎!!ちょっと匿って!」

 

「え、あちょ!」

 

神谷が飛び込んできたかと思うと、そのまま部屋の角の天井にへばりついた。イメージ的には、というかアルソックのCMで天井にへばりついてた吉田沙保里そのまんまである。

 

「それ、リアルで出来る奴初めて見た」

 

「カワヤマ様ぁ?カミヤ様見てませんか?」

 

そう言って入ってきたエネシーに、川山は恐怖した。だって顔が完全にイっちゃってるのだから仕方ない。

 

「え?あ、あぁ。見ていないよ」

 

「そうですかぁ?もし嘘をついていたら、どうなるんでしょうねぇ〜?」

 

「いや、あの、え?」

 

「うふふ、なんて。冗談ですよぉ〜」

 

そう言って部屋から出ていくエネシー。しかし川山は少しの間、マジで動けなかった。

 

(え!?なに今の!?「どうなるんでしょうね」の時の顔、完全に人を殺した事ある奴の顔だぞ!?!?お、恐ろしやエネシー.......)

 

「いやぁ、助かったぜ」

 

「お前、よく生きてられたな」

 

「ハハハ、これも仕事にさせられたからな。ただちょっとラペリング降下で窓から逃げたり、屋根から木に飛び込んで逃げたり、換気用ダクトの中を進んだり、壁を登ったり、屋根裏を進んだり、変装したりしてるだけだからな」

 

そう。エネシーに追いかけられまくった結果、神谷は何処ぞのスネークみたく全力スニーキングしまくってたのである。因みにダンボールの代わりに木箱被って、10回くらい逃げ延びた。

 

「あの、神谷さん。怒ですか?」

 

「ハハハ、怒ってねーよ。ただちょっとばかし、マウリ軍に殲滅されないかなぁと思ってるだけだ」

 

「いや怒ってんじゃん!!なぁ、許してくれよ。お前の犠牲は、必要な犠牲なんだ。この通り!!」

 

そう言って謝り倒す川山。しかし次の瞬間、何かが遠くで爆発したかのような、重低音が部屋に木霊する。

 

「!?」

 

「おいおい、まさかもう攻め込んできやがったか?」

 

「長官!!」

 

向上と他の護衛の兵士達も飛び込んでくる。

 

「向上、今の爆発の原因が分かるか?」

 

「恐らく既にお気づきかと思いますが、マウリ反乱軍の襲撃です。既に王都の外側の門が破られたらしく、現在王国軍はパニックに陥ってます」

 

「こうなりゃ、やるしかねぇな。各員、戦闘準備!!向上は艦隊へ連絡。航空隊の発艦と、海軍陸戦隊の出撃を下命しろ。他は着陸地点の確保だ。着陸場所は、もう庭先を借りちまおう。文句言われても、俺が責任取るから気にすんな」

 

「「「「了解!!」」」」

 

護衛達が飛び出し、与えられた任務を始める。連絡を受けた艦隊は、直ちに部隊の出動に入った。

 

 

『全艦戦闘配置。全艦戦闘配置。当直航空隊は発艦開始。敵、マウリ反乱軍の殲滅を開始せよ』

「機体上げるぞ!」

「オーライ、オーライ。ストッープ」

「フラップ、ラダー、兵装、すべて異常なし」

「射出後、方位230に向かえ。高度400で編隊を組む」

「射出まで3、2、1。射出!」

 

航空機が空母から次々に発艦していく。一方で揚陸艦からもVC4隼、AH32薩摩、UH73天神、CH63大鳥が発艦していく。目指すはウィスーク公爵邸である。

 

 

「お、お嬢様!すぐに地下に避難してください!!!」

 

既に城門は焼き払われ、そこから大量の魔物が市内に流入している。そんな負け必定の中、せめてエネシーだけでも逃がそうと、召使が腕を掴んで地下に連れて行こうとする。

 

「解りました。さあ、カミヤ様もご一緒に!!」

 

エネシーは隣に立つ(外に出たところを捕まった)神谷も連れて行こうとするが、動かない。

 

「カミヤ様早く!!早く避難いたしましょう。」

 

「なんで?」

 

信じられない言葉が彼女の耳に飛び込む。唖然とするエネシー。

 

「な、何を言っているのですか?いくらカミヤ様がお強いとはいえ、あのような統率された化け物相手に単騎では、どうしようもないでしょう!?」

 

「たかが化け物じゃねーか。あんな化け物如きに、この俺が。この皇国剣聖である神谷浩三が!尻尾巻いて逃げるなど、絶対に有り得ない!!俺は皇国を、皇国臣民を害そうとする者をこの世での存在を絶対に許さない」

 

「ダメ!!行かないで!!!」

 

不意に周囲に大きな風が巻き起こり、付近の草花を揺らす。不気味な羽ばたき音と共に、火喰い鳥に乗った者2騎がエネシーの前に空から現れ着地する。

 

「ひ、火喰い鳥!!!」

 

人の攻撃など寄せ付けぬ、空の脅威が突如として彼女の前に現れる。空の魔獣に乗った騎士たちは、興味が無さそうに言葉を発す。

 

「ウィスークの娘か。運が無いな。とりあえず燃えておけ」

 

「運が無いのはどっちだ、雑兵共」

 

ドカカカカカ!!!

 

次の瞬間、後ろから無数の破裂音が連続して響く。後ろを見れば、森の蛮族だった筈の者達が白か黒の鎧を身に纏い、黒い杖を火喰い鳥に向けていた。

火喰い鳥の方は、騎士もろとも地面に伏している。

 

「ターゲットダウン」

 

「閣下、次の目標は?」

 

「陸戦隊は此処で待機し、後続部隊と合流。とにかく暴れろ。白亜衆は俺と共に極帝に乗って、苦戦している騎士様を助けるぞ」

 

「「「了解」」」

 

上空から極帝も現れて、すぐに乗り込む。そしてまた、大空へと羽ばたいていく。

 

「さぁて、野郎共!!親父の花道を確保しろ!!!!!」

 

「「「「「押忍!!!」」」」」

 

残った陸戦隊の兵士達もランディングゾーンとなる庭を確保するべく、使用人の退去やスモークを焚いて受け入れ準備を行う。

 

 

「くそっ!くそっ!ちくしょぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

上空に勝ち誇ったように乱舞する敵の有翼騎士団、度々打ち下ろされる炎によって王城は炎上していた。国王ブランデも、敵の攻撃により、炎の中に消えた。

 近衛騎士団長ラーベルは守るべき者を打ち取られ、悪態をつく事しかできない。守るべき街も燃え、王国臣民の悲鳴が絶えない。せめて上空の敵だけでも何とかしたいが空に対する攻撃なぞ、弓以外は全くない。

彼はふと、予言書の事を思い出す。

 

『異界の魔獣現れ、王国に危機を及ぼさんとする時、天翔ける魔物を操りし異国の騎士が現れ、太陽との盟約により、王国を救うために立ち上がる。

王国も建国以来の危機に見舞われるが、騎士の導きにより、救われる事となるだろう。』

 

現実主義者の彼にとって、予言にすがる事など、考えられない事だった。しかし自分に力は無く、万策尽きた今、彼は初めて神に、予言の実現を、勇者の降臨を祈った。

 

「たのむ!神よ!!私は今生まれて初めて祈る。

あなたに、ただ見守るだけではなく、本当に運命をつかさどる力があるならば、王国を救ってくれ!!あの悪しき魔獣たちを滅する力を貸してくれ!!神よ!!!!」

 

しかし、そんな奇跡が起こるわけもなかった。彼はすべてをあきらめる。1騎の敵有翼騎士が上空から自分に気づき、急降下を開始する。

 

「フフ。我ながら情けない最期だな。神に、実体の無い者の力に、すがろうとするとは。だがせめて、1矢!!」

 

ラーベルは弓をひく。火喰い鳥の口から、わずかに炎が上がり始める。

 

「うぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

次の瞬間、目の前の火喰い鳥が青白い光に貫かれる。そしてその光の掃射元は、1体の巨大な竜だった。

 

グオォォォォォン!!!!!

 

「お前達、下の人間達を救ってこい!!上空の敵は任せろ!!」

 

「閣下もお気を付けて!!」

 

そう言いながら、白亜衆の隊員達が極帝の背中から飛び降りて地上に降り立つ。

 

「move!move!move!」

 

「雑魚共に構うな!!大物を狙え!!!機関銃は逆に手数で雑魚を翻弄しろ!!!!撃ちまくれ!!!!!!」

 

竜から舞い降りた白銀の聖騎士達が、ラーベルの周りに展開し攻撃を始める。手に持つから杖から編み出される魔法に、あの12角獣ですら抵抗できずに倒れていく。

 

「あなた達は、いったい.......」

 

ラーベルが辛うじて発した言葉に、白銀の聖騎士の1人が振り向いた。

 

「その鎧.......。騎士団長クラスの騎士とお見受けする。すぐに、部下と市民を連れて撤退されたい。この場は我ら、神谷戦闘団白亜衆が預かった!」

 

「心得た白亜衆。この場をお任せ致す!」

 

この反応に、白亜衆は内心驚いた。てっきり「この地は我らの土地。其方らのような、得体の知れぬ奴らに任せられるか!」とか何とか言われて、ゴネられて面倒になる事を覚悟していた。ところが、この騎士は戦況と白亜衆の装備を分析し、自らの部下や民の命と自らのプライドを天秤に掛けて直ぐに答えを出した。

この世界、というより中世ヨーロッパの文化に於ける騎士とは、意外とプライドに生きてナンボの世界。プライドを取ってもおかしくはないのだが、そのプライドを捨ててまで決断できる辺り優秀な指揮官なのだろう。

一方、世界でも最優秀の部類に入る指揮官であるが同時に前線で大暴れするぶっ飛び指揮官である神谷は、上空で火喰い鳥300騎と大空中戦をしていた。というかもう、乱闘の勢いである。

 

 

我が友よ!お前はいつもこんな馬鹿をやっておるのか!?!?

 

「あぁ!そうだ!!!空中戦は初めてだがな!!!」

 

貴様、本当に人間かぁ!?思考がぶっ飛んでおるわ!!

 

「日本じゃ皆、こんなものだ。慣れろ我が友」

 

そんな訳ない。こんなぶっ飛んだ事をするのは旧世界もこっちの世界も含めて古今東西、世界広しと言えど神谷浩三くらいである。この後、マジで極帝が自分の常識を疑ったのは言うまでもない。

 

「おのれぇっ!!!ここまでかき回されるとは!!敵はたったの1騎、たったの1騎ぞ!!」

 

敵には空で戦える戦力など、無いと思っていた。

 しかし、1騎の竜が戦場をかき回す。

 

「ええい!!何をやっておる!!!」

 

マウリ・ハンマンが吠える。戦場はこうも思いどおりにはいかないものか、と。敵は速度差による1撃離脱を繰り返しており、もう既に見える範囲だけでも15騎も撃墜された。敵はたったの1騎、こちらはまだ大半が健在と言えど、あんなのがウジャウジャいるであろう世界の外へ侵攻する場合は、航空兵力を整える必要がある。

 

ズドォンズドォンズドォン、カチッカチッ

「あ、クソッ!弾が切れた!!」

 

一方で神谷は、弾が切れた事に少し焦りを見せていた。今さっきまでは、神谷が拳銃で背後などの極帝の死角となりやすい部分をカバーしていた。しかし幾ら一撃必中(マジで1発も外さずに、正確に火喰い鳥の脳天や騎士の頭や心臓などの急所を射抜いた)を実行しても、弾に限りはある。

しかも元々神谷は銃撃は向上に任せて、自分は前衛で敵を切り捨てる戦法を得意としてしている。その為、普段の戦闘でも余り弾を持ち歩かない。その上に今回はあくまでも要人護衛の為に銃を持ってきており、余り戦闘を想定していなかった事もあって、殆ど弾を持ってきていなかった。

なら地上に降りて地上戦でもと考えたが、生憎と着地できそうな場所がない。なら、どうするか?答えは簡単である。銃を使わずに戦えば良い(・・・・・・・・・・・)

 

「極帝!お前はこのまま下の戦車を攻撃しろ。俺は、火喰い鳥を相手する」

 

は?

 

「とうっ!!!」

 

我が友ォォォォ!?!?!?!?

 

なんと神谷は極帝の背中から飛び降りた。そしてそのまま、腕に装備したグラップリングフックを手近の火喰い鳥に撃ち込む。

 

「首置いてけぇ!!!」

 

ザシュ!!

 

そして信じられない事に、撃ち込んだ火喰い鳥に騎乗していた哀れな騎士の首を斬り飛ばしやがったのである。これにはさっきまで大暴れした上に上げてきた戦果に天狗になっていた流石の有翼騎士団も、完全に肝を冷やして固まってしまった。

そんな隙を待ってましたと言わんばかりに、また同じようにグラップリングフックを撃ち込んで、首を斬り飛ばす。しかも今度は騎士の亡骸を他の騎士に投げつけた、落馬ならぬ落鳥(?)させて撃墜する。その上、火喰い鳥を操って他の騎士が乗る火喰い鳥に突っ込ませた。

 

わ、我はとんでも無い男を友にしたのでは無かろうか.......

 

ちょっと気付くのが遅い極帝さんはさておき、ウィスーク公爵邸の臨時指令室ではウィスーク公爵が絶望していた。

 

「敵の火を放つ戦車が第2の城門外壁を破壊!!内壁の門に向かい、敵がなだれ込んできています!!」

 

「王国軍、反撃態勢が整いました!内壁城門が破壊された場合、こちらから打って出る予定です!!」

 

「敵、火喰い鳥の騎士団は、神谷殿が食い止めています!!しかし数に押されており、全ては食い止められていません!!」

 

王も討たれ、今や残る兵力は王下直轄騎士団と近衛騎士団の生き残りと自らの私兵軍と領民の自警団+αの「軍隊」にしては、とてもお粗末な集団。片や敵は火喰い鳥や強大な魔獣を使役し、戦車すらも保有している。勝ち目は、無い。

なれば臨時の国家元首として、取るべき最良の選択とは何か。少なくとも、今この場にいる内乱には関係のない者、日本人を生きて祖国に帰してやる事こそが、務めであると考えた。

 

「川山殿。敵は西側の第2の城門を破壊しに来ています。まさか、1諸侯がこれほどの力を持っているとは思いませんでした。間もなく第2城門は破壊され、この居住区にも敵が流れ込んでくるでしょう。我らに、あの戦車に抗する術は無いようです。どうか、なるべく東に避難して下さい。そして、生きてあなた方の祖国の土を踏んでください」

 

ウィスークは川山に避難するようにと、そう願った。しかし川山は少しだけ笑って、ウィスークを真っ直ぐに見つめる。

 

「申し訳ありませんが、その願いは拒否致します。窓の外で今も竜の背に跨って戦っている男は、大日本皇国最強の兵士。皇国剣聖、神谷浩三です。アイツが前線で戦っている限り、負ける事は有りません。

それにあなた方は今、国家存亡の機にあり命をかけて戦っている。このようなギリギリの状況下で、危なくなったという理由で、私たちだけが逃げ出した場合、どうやって貴国と信頼のある同盟が結べましょうか?」

 

「しかし、あの巨大な竜の強大な魔法攻撃を以ってしても、あの戦車には効果がありませんでした。おそらく、あの戦車は超古代文明の遺跡を解析して作られたものだと思います。竜の大魔法をはじき返す者が敵なのです。残っても滅びが待つだけです。我が国の都合で足止めをしてしまった。早く!早く逃げて下さい。」

 

「いーえ、絶対に逃げません。この内乱、哀れな反乱軍は殲滅されますよ」

 

次の瞬間、風を切り裂く爆音と共に窓の外が白い光に照らされた。部屋の中に居る者達が窓の外を見ると、巨大な鉄の塊が空中に浮かび、中から多数の兵士が飛び降りていた。

 

「間に合いましたね。ウィスーク公爵。あれこそが我が国の守護者達にして世界最強の戦士達、大日本皇国軍です。その戦いぶり、その目に焼き付けてください」

 

庭先に降下した第四海兵師団は、歩兵部隊は輸送トラック(ホロなし)に分乗。WA2月光ハ型を先導に、前線となっている第2城門に向かう。

 

「頭ぁ!もうすぐ目標地点です!!!」

 

「よぉし!火炎瓶を投げ入れたれ!!!!」

 

「へい!!」

 

荷台に乗っていた兵士がトラックの横に移動し、そこで火炎瓶を構える。そして後100m程で最前線、という所で火炎瓶を投げた。

 

「そぉら!!」

 

投げられた火炎瓶は大きく弧を描き、そのまま石畳の上に当たって割れる。当然、周りには炎が飛び散る。

 

「こっちもや!ほぉれ!!」

 

他のトラックからも、続々と火炎瓶が最前線に向かって投げられる。やがてトラックは敵と対峙している、騎士達の横に止まる。

 

「助太刀するで、騎士サマ」

 

「な?あ、アンタらは」

 

「おう!!ぶっ殺したれや!!!!!!」

 

頭と呼ばれていた一際ガタイの良い男が、運転席から荷台の兵士たちに命じる。すると荷台のパネルを下に下ろして、続々と兵士達が飛び降りる。因みに武装が何故か鉄パイプ、釘バット、ビリヤードキュー、角材、警棒、メリケンサック、ドス等々のヤクザ装備である。あ、サブウェポンに(・・・・・・・)銃を装備している。

 

「タマ取ったれぇ!!!」

「死に晒せバケモン共が!!!」

「イヒヒヒヒ!!真島吾郎参上や!!!!!やったるでぇ!!!!」

 

なんかどっかの兄さんが憑依してる奴もいるが、第四海兵師団はヤクザ装備を持って下位魔獣をボコボコにしていく。流石の魔獣も本職ヤクザすらも逃げ出す、超絶怖い荒くれ者軍団には太刀打ち出来ない。というか、味方である筈の騎士達ですらドン引きしている。

あ、因みに第二十四話「全ては式典の為に」の基地祭や式典のはっちゃけ伝説を書いた話の中にあった「AH32薩摩を西郷さんと龍が如くの郷田龍司の痛ヘリを作った海軍陸戦隊の部隊」というのが、この第四海兵師団である。

 

「な、なんだアレは!!化け物め!!!!12角獣よ、行け!!行くのだ!!!!」

 

「グオォォォォォォン!!!!!」

 

マウリの右腕であり、なんか大体の厄介事の元凶になってる古の魔法帝国の遺跡を解明し、戦車やら魔獣の使役やらをやってのけた大魔導士オルドは、目の前に迫る化け物達に恐怖していた。半狂乱になりつつ、12角獣を動かして敵を殲滅しようとする。

しかし走り出して5秒と経たないうちに、オレンジ色の光に身体中を射抜かれて12角獣は倒れてしまう。

 

「な、なんだ。今、魔力は感じなかったぞ.......。な!?」

 

オルドは、見てしまった。屋根の上に乗る巨大な鋼鉄の胴体を持ちながら、不規則に曲がる妙に生物じみた足を持つ二足歩行の化け物を。そして鋼鉄の胴体の上や腕であろう部分から、大小様々なオレンジ色の光が撃ち出されるのを。

 

「悪魔だ.......アッ」ドサッ

 

余りの恐怖に、気を失うオルド。因みにこの後目を覚ますと揚陸艦の中で、病室やら様々な所で第四海兵師団の強面な漢達にオモチャにされました。あ、イライラ解消グッズとか掘ったとかではなく、お茶を麺つゆに変えたり、水を日本酒にしたり、カレールーの代わりにチョコレートぶち込んだ物を食わせたり、寝起きドッキリされたりと地味に面倒な奴である。後半は逆にオルドが仕返し魔法でイタズラしたりしたらしい。

 

 

「これで、100騎目だ!!」

 

「ギャァァァァァォ!!!」

 

ちょっと見てない間に、神谷は1人で有翼騎士団の3分の1にあたる火喰い鳥を倒していた。極帝も倒していた分も含めると、半数近くは倒している。そろそろ疲れが見え始めてきた頃、航空隊が到着した。

 

『閣下。後は我々が引き継ぎますので、退いてください』

 

「オッケー、任せるわ」

 

そのまま極帝の背中に着地して、マウリを捕縛するべく本陣へと向かう。因みに戦車は、全部極帝が倒してくれた。え?火喰い鳥はどうなったかって?全部ミサイルで戦闘機の姿を見る事なく、アウトレンジ攻撃で全騎ローストターキーに変身しましたが?あ、クリスマスや年末年始のパーティーにお一つ如何?

 

 

「ハァ!!ハァ!!」

 

(何故だ!何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ、何故だぁ!!!作戦は完璧。戦力も圧倒的。量、質、どれを取っても遥かに王国を上回る物なのに、何故!最初も、王下直轄騎士団との戦闘も勝ったのに、戦力も残ってない王都で何故負けたのだ!!)

 

マウリは護衛に連れてきていた騎士20名と共に、自領に向けて逃走していた。既に火喰い鳥の半数は墜とされ、戦車も、12角獣を筆頭とした上位魔獣も倒され、大魔導士オルドすら消息を絶った。完全に詰みである。

ならば一度撤退し、戦力を立て直す必要がある。マウリはとにかく馬を進め、この場から早く逃げたかった。しかし、それは許されない。

 

「あれだな。反乱軍のボスは」

 

「えぇ。護衛を狙撃して、足を止めさせます。準備を」

 

「にしても、やっぱり閣下の読みは当たるよなぁ」

 

そう。既に神谷はこうなる事を読んでおり、暴れたがりの第四海兵師団を迎撃役に配置。神谷戦闘団は前線の更に前方に配置して、敵の撤退を防がせる。そして白亜衆は主要街道に分散して配置し、首謀者を捕縛するべく潜ませておいたのである。

 

「aim」

 

「OK」

 

「fire」

 

ダァン!!

 

48式狙撃銃から放たれた12.7mm弾は先導の騎士の脳天に当たり、体内で炸裂して脳が消し飛ぶ。

 

「First shot hit。head shot kill」

 

「スナイパーより、各班。列車は止まる。繰り返す、列車は止まる」

 

前方の騎士が狙撃されて周りの騎士達がマウリを守るべく囲んでいると、前の茂みから白い44式装甲車イ型が3台飛び出してくる。

 

「チッ!下がれ!!下がれ!!!!」

 

隊長格の騎士が下がるように命じるが、今度は後ろも同じく白い44式装甲車イ型に塞がれてしまう。そして中から白亜衆の隊員達が出てきて、銃を騎士達とマウリに向ける。さらに両サイドに広がる森の中からも、白亜衆の隊員達が出てきて完全に包囲されてしまう。

 

「マウリ様。私が打って出ます故、その隙にお逃げください」

 

「わ、わかった」

 

「スゥ、行くぞおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

 

1人の騎士が剣を構えて人間とは思えない跳躍力で5m程飛び上がり、正面の白亜衆の隊員達に襲い掛かろうとする。流石に一瞬は驚いた隊員達だが、スッと銃を向けて引き金を引く。

 

ドカカカカカ!!!!

ズドドドドドドドドド!!

 

車載されてる20mm機関砲も用いた弾幕に、ボロ雑巾の様に引き裂かれて最早、肉片にまで加工されて地面に倒れる騎士。その余りの悲惨さに、マウリは発狂してしまう。

 

「嫌だァァァァァァ!!!!!!僕死にたくないぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!ママァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!」

 

その豹変っぷりには護衛の騎士も、白亜衆の隊員も皆等しく驚いていた。しかし次の瞬間、マウリの動きは止まる。上空を見ると極帝と神谷がおり、神谷が石化の魔法でマウリの動きを止めたのである。

 

「おいおい。いくらなんでも「死にたくないママー」は無いだろうが」

 

「閣下、登場が遅いですよ」

 

「そう言うな。こっちは火喰い鳥相手に、コイツと刀で大乱闘してたんだから」

 

向上のクレームにグラップリングフックと刀を叩きながら、戯けてみせた。その後、というかその日の夜。被害が無かった迎賓館で、戦勝祝賀会が開かれていた。川山や神谷は元より、他の攻撃に参加した全皇国兵が参加し、庭には薩摩やら隼やらF8B震電IIが駐機する時代背景にそぐわない光景が見られる。因みに震電IIが着陸する際に、芝が燃えて火事になりかけたが気にしてはいけない。

参加者もウィスーク公爵や川山、神谷は勿論の事、今回の戦闘に参加した皇国兵やカルアミークの重鎮等々、沢山の人間が参加した。で、色々カオスになった。

 

「俺達、第四海兵師団の戦いに惚れました!!どうか、共に戦った証を!!!!」

 

なんとカルアミーク側の騎士団長が、第四海兵師団師団長に土下座してまで証を欲したりする珍事件がおきたり、

 

「おーい、こっちの肉も美味いぞ!!」

 

「この魚も中々いけるぞ!!」

 

2人の兵士が食べ物を皿ごと互いに投げて渡しながら飯を食べたり、

 

「龍神チャレーンジ!!」

 

「ファイアーー!!」ボオォォォォォ

 

カルアミーク側の騎士が酔っ払って、度数の高い酒を使った火炎放射をしたりと、皆なんかテンションがバグっていた。そんな中、神谷と川山はテラスで2人ワインを楽しんでいた。

 

「なあ浩三。外交ってさ、なんだっけ」

 

「いやいや。外交のプロが、外交の素人に聞くなよ」

 

「だってさぁ、最近の外交って大体なんか起きるじゃん。それも物騒で面倒な、ガチのヤバいのが」

 

「あー、言われてみれば確かに」

 

考えてみると、これまで外交で平和に終わったのはムー位の物である。後は大体、何か起きてゴタゴタするか、利用されて面倒事に巻き込まれるか何かしてるイメージしかない。

 

「おぉ、神谷殿。ここに居られたか」

 

「ウィスーク公爵?」

 

2人で話していると、ウィスーク公爵がベロベロになりながらやって来た。

 

「私は大事な1人娘、エネシーを君の嫁にやっても良いと考えている」

 

「え!?ちょちょちょ!話飛びすぎ!!ってか、私は」

 

「エネシーもそれを望んでいるしな。君にとっても悪い話ではなかろう?」

 

酔っ払って暴走したウィスーク公爵は止まらない。因みに川山は面白そうだから、あえてフェードアウトして柱の近くに隠れて様子を笑いを堪えながら見ている。

 

「いや、だから」

 

「遠慮しなくていいのだよ。エネシーは美人だろ?」

 

「まあ、美人ではありますが、私には」

 

「よし!なら決まりだな」

 

「だっかっら!!!話聞け!!!!!!

私には大切な婚約者がいるのです。ご厚意はうれしいのですが、今回の話はお断りします。」

 

ウィスーク公爵の顔が一気に真っ青になる。

 

「か、神谷殿、エネシーにはその話はまだしていないね?」

 

「はい」

 

「では、帰国するまでその話は伏せておいてくれないか?」

 

「え?」

 

「いいから!!!とりあえず帰国するまでは、結婚延期という形にしようと思う。君もあの娘に追いかけられたから分かると思うが、あの娘は一度思った事は何が何でも曲げない。しかも男絡みは、その傾向が強くなる。一度延期にしておいて、機を見て君は戦死した事にしておくよ」

 

ウィスークの提案は、流石に無理があった。どっかの騎士なら、それでも良かった。しかし神谷は三英傑として国民的英雄に数えられており、その名は最近だと諸外国にも轟いている。幾ら外界と切り離されてるとは言え、バレるのは時間の問題だろう。かと言って、たかがこの為に公の場から姿を消す程、馬鹿でも無い。

 

「多分、無理ですよ。それ。今更ですが、改めて自己紹介致しましょう。私の名は神谷浩三。大日本皇国剣聖にして、大日本皇国統合軍、総司令長官をしています」

 

「それは、まさか軍のトップか?」

 

「はい。ついでに言うと、結構私は国内でも諸外国でも顔が知られてますね」

 

この一言にウィスーク公爵は頭を抱えた。これでは、さっきのプランは実行できない。しかし、もうプランを考える必要は無くなった。

 

「カミヤ様ぁ?どういう事、なんですかぁ?」

 

「え、エネシー!?聞いていたのか!!」

 

「はい。しっかりと聞いていましたわ」

 

何とエネシーご本人が登場したのである。しかも、ご丁寧に手にはナイフまで持ってる。

 

「さあ、カミヤ様。一緒に死にましょ?大丈夫、あなたを刺して私も死にますから」

 

「ふーん」

 

「なにより、ヒドイですわ。私という者がありながら、他の女に手を出すなんて」

 

「はぁ。だったら、ほら。そのチンケなナイフで、この俺を殺してみろよ」

 

次の瞬間、エネシーは神谷の心臓目掛けて走り出す。しかし神谷の胸に、ナイフが刺さる事は無かった。刺さる前に、蹴りでナイフをへし折ったのである。

 

「ナイフがっ!」

 

「その程度で俺が殺せるかよ」

 

そう言うと、神谷はエネシーを一本背負いの要領で投げ飛ばした。痛みに顔を歪めるエネシーに、神谷は徐ろに話し始めた。

 

「エネシー。お前は俺を、予言にあった伝説の騎士の英雄と重ねていたな。だがな、この世に伝説の英雄なんて奴は居ないんだよ」

 

「何を言って.......」

 

「所詮、伝説や英雄録なんてのは、権力者が自分達の都合の良い方向に持っていくためのものか、後の時代の人間が勝手に美化して生まれた偶像に過ぎない。例えば俺だって、祖国じゃ三英傑だの軍神だのと英雄扱いされている。だが俺は、心の底から英雄だと考えた事は一度もないし、この先もない。何故なら俺は、ただの人殺しと同じだからな。やってる事は、監獄に入ったり処刑される殺人者と何ら変わりない。

確かに俺の殺しは、法的には違法にはならない。軍人の責務だから、寧ろ誉められるべき事だ。だが殺しが正当化される事も、正当化される時代も存在しない。英雄とは、伝説とは、そんな奴らを美化して利用してるだけに過ぎない。だからもう、憧れを現実にしようとするな。その憧れは、綺麗なまま心の中に仕舞え」

 

そう言うと、神谷はテラスを去っていった。それ以降エネシーにもウィスーク公爵にも会う事なく、祖国である大日本皇国へと帰還した。

 

 

「浩三」

 

「なんだ、慎太郎」

 

テラスから離れた後、神谷は廊下で川山に捕まった。

 

「地雷女との話、聞いちまったんだが。1つ、聞かせてほしい。お前はどうして、そんな思いをしてまで戦うんだ?」

 

「簡単だ。それが、俺と俺の中に流れる血が決めた道だからだ。血塗られた道でも、俺の祖先達はその道を通ってきた。なら俺も、その道を通ってやるさ。それに」

 

神谷は川山の胸をグーで叩く。

 

「お前や健太郎には、軍人としての俺が居た方が便利だろ?」

 

そう言って、神谷はいつか3人で誓い合ったあの少年時代のような笑顔で笑った。

 

「お前、本当に変わらねーな」

 

「俺達の心は、いつだってあの日の誓いから変わらないだろ?」

 

「あぁ」

 

あの日の誓い。その事は今は敢えて語らないが、大日本皇国が変化した全ての原点である。その誓いを果たすべく、今も三英傑は戦うのだ。

 

 

 

 




読者の皆様。いよいよ年の瀬、年末年始ですね。一年間どうでしたか?私の方は、まあ特に何も無かったですね。コロナに振り回されて終わった感じです。
まあそれは置いといて。今年は年末年始の何処か、まあ多分正月の三が日の何処かになると思いますが、私が同時に執筆してる作品、『最強提督物語〜海を駆ける戦士達』とこの『最強国家 大日本皇国召喚』を融合させた物を投稿します!!
もしかしなくても、ぶっ飛んだヤベェヤツに仕上がると思うのでお楽しみに!!!!!
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