最強国家 大日本皇国召喚   作:鬼武者

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第五章75の奇妙な冒険編
第三十四話消え去る休息


カルアミークを出発して一週間後 大日本皇国 横須賀軍港 地下ドック

「あ〜!長かった〜」

 

「やっと帰ってこれたな」

 

カルアミークでの国交交渉を終え、神谷と川山を筆頭とする使節団は一週間程度の航海を経て祖国である日本へと帰還した。しかし知っての通り国交交渉の筈が内乱に巻き込まれ、一時は敵が王都にまで攻め込んでくる大惨事となり、神谷や他の軍人達は別として川山は流石に疲労が溜まっていた。

 

「そういや、慎太郎は明日からどうすんだ?確か今回の一件もあって、大臣から休暇を申し渡されたんだろ?」

 

「あぁ。俺は妻と一緒に、動画撮影させられるかなぁ」

 

「お前、もうそれ仕事じゃん」

 

今更ではあるが、三英傑の中で結婚していないのは神谷だけである。川山は超有名YouTuberとモデルとして活動している女性と結婚しているし、一色は超人気声優にして女優、アーティスト、モデルとしても活動している女性と結婚している。

 

「ってか、お前なんか動画のネタないの?」

 

「動画のネタ、ねぇ。例のエルフ5人姉妹の結婚報告とかすれば、伸びるんじゃない?」

 

「よし、結婚してこい」

 

「おいおい。人生でもトップクラスの決断を、そんな購買でパン買ってこい的なノリで言うなよ」

 

因みに三英傑は偶に川山妻のYouTubeチャンネルに出てドッキリしたりとか、ゲーム対決したりとか、国家の闇や裏話を語ったりとかしてる。そして一色妻に関しては、何度かラジオにゲスト参戦したことがある。どちらも再生回数が伸びまくり、トレンド入りしてバズったらしい。

 

「失礼致します!!川山外交官殿!奥様がお迎えに来ております!正面玄関にて、お待ちです!!」

 

「分かった。そんじゃ、俺行くわ」

 

「どうせ俺も正面玄関に迎えが来るから、一緒に行くぜ」

 

2人は地上へと続くエレベーターに乗り込み、地上に上る。そこから正面玄関に出ると、目の前に赤いホンダNSXが止まっていた。川山妻の愛車である。

 

「あなた、お帰り」

 

「あぁ、ただいま亜梨沙」

 

 

川山 亜梨沙(かわやま ありさ)

年齢 25歳

三英傑の1人、川山の妻にして日本を代表するトップYouTuberの1人。メイク、美容、料理、ドッキリ、何かしらのレビュー、ゲーム実況、旅行、雑談等の様々なコンテンツを投稿している。チャンネル登録者数は1500万人を超え、総視聴回数も150億回を最近突破した。また三英傑が国民的人気を得る前から、結構な頻度でゲストとして参加している。チャンネル名と動画内での名前は「ありなキョクチョー」である。

 

 

「あ、コウさん!」

 

「いやっほー」

 

「ねぇねぇ!何か動画のネタないの!?!?」

 

「特に無いなぁ」

 

「そっかー.......」

 

神谷の回答に、亜梨沙は見るからに残念そうにしていた。しかし川山が、1つ思い出した。

 

「なあ、エネシーの一件は使えないのか?」

 

「あー、使うか?」

 

「何々!?聞きたい聞きたい!!」

 

正直ネタにしていいものか微妙だが、一応「土産話」という建て前でエネシーとのことを話した。もしかしたらカルアミーク回を見逃したり、今回初めてこの作品を見ている読者もいるかもしれないので、超簡単に説明しよう。

エネシーとはカルアミーク王国の公爵令嬢であり、神谷を御伽噺の英雄騎士と重ねた結果、愛があらぬ方向に進んでいき、最終的には神谷を刺し殺そうとした核爆弾レベルの地雷女である。その暴走っぷりは原作を超えているので、是非自分の目で見てもらいたい。

 

「よく死ななかったねコウさん.......」

 

「この俺が小娘如きに殺されてたまるか」

 

「普通なら刺されてるんだよね、それ」

 

「仕方ねぇよ。だってコイツ、浩三だもん」

 

「その一言で片付けられない筈なのに、納得できてしまう自分が恐ろしい.......」

 

いつものこととは言えど、やはり神谷は規格外である。もう少し話した後、川山と亜梨沙の2人は家へと帰っていき、神谷は一色へ今回の一件について報告するべく官邸へと向かった。

 

 

 

一時間後 首相官邸 執務室

「よう」

 

「お、帰ってきたな。お帰り」

 

そう言うと一色は立ち上がり、神谷の肩をバンバン叩きながら2人は握手を交わす。

 

「そんで、成果はどうだった?」

 

「一応会談は成功したし、国交樹立は完了だ。後はお前とか川山とか外務省の管轄で、俺達守護者組はお役御免だ」

 

「問題なく進んだか?」

 

「はっ!まさか。異世界に来て、無事に会談や交渉が終わったことあったか?」

 

一色はその一言で全て察した。恐る恐る「何が、あったんだ?」と震え声で聞いてきた一色に、神谷は面倒臭そうな顔をしながら事の顛末を語った。

内乱に巻き込まれて、王都が陥落一歩手前まで行ったこと。反乱軍に少数で第一次世界大戦レベルの装甲車とはいえど、現代兵器を配備してあって運用していたこと。公爵令嬢が地雷女だったこと。公爵邸でどっかの蛇みたくスニーキングミッションやったりして、あの手この手で逃げまくったこと。その令嬢に、危うく刺し殺されるところだったことを報告した。

 

「まあ後半は良いとして、装甲車を配備してたってのは結構ヤバいな」

 

「大方、古の魔法帝国とかいうのが絡んでたんだろうな。流石に魔法とかいうチートがあって、あそこが外界から切り離された国家とはいえ、流石に騎士がキンキン剣で戦う文明なのに、いきなり過程を飛び石の如くすっ飛ばして一次大戦レベルの装甲車を生み出すのは無理がある」

 

「やっぱりか。ホント、なんなんだ古の魔法帝国ってのは。大体厄介事の裏には、ほぼ必ずお約束のようにその傍迷惑帝国の影が見え隠れしてる。そういや、その傍迷惑帝国の技術を取り入れてるとかいうミリシアルの軍隊。アレの調査はどうよ?」

 

「この際だ、報告しておくか」

 

そう言うと神谷は鞄からタブレットを取り出して、ミリシアルの軍事関連の情報ファイルを開く。因みに最近はミリシアルは勿論、他の人間国家にもJMIBとICIBの工作員が潜り込んでおり、様々な情報を集めている。

 

「ミリシアル帝国の軍隊は、まあ「世界最強の軍隊」とか言うだけあって、この世界の水準で言えば間違いなくトップクラスの実力を持つ。だが技術レベルで言えば、そこまで高くない。この間話した通り、兵器がその傍迷惑帝国の技術、というか設計自体を何も考えずに切った貼ったでキメラ兵器を作ってる有様だ。

ウチの技術者に見てもらったが、コメントは酷かったよ。「高校生の方が上手く作れる」とか「科学を最初からやり直せ」とか「何をどう繋げたらこうなるんだ」とか「韓国とか中国の製品を見てる気分だ」とか色々、コテンパンに言われてた」

 

「念の為聞くが、戦争したら勝てるか?」

 

「勿論、と言いたいが現時点じゃ何とも言えん。海と空は秘密兵器とか新兵器の類いが無い物と仮定した場合、質でも量でも勝てる。だが陸の場合は魔法もあるし、あまり全容が掴めてない。

それにどうやらミリシアルには『魔帝対策省』なる国家機関があるらしいし、恐らくウチでいう『特殊戦術打撃隊』に相当する軍事組織、あるいは戦力はあると見て間違いない。だがプロテクトが硬くて、余り迂闊に入れない。お陰で中身は何が眠ってるのかわからん。こればっかりは、情報待ちだ」

 

「やはり、世界最強を名乗るだけはあるな」

 

正直、ミリシアルを始めとした所謂「中央世界」の各国は、未だ不透明なところも多い。何を隠してるのかわからない国もあれば、何か外交用に開放されてる場所と国の中心地の技術の差が、魔王とスライムみたいに掛け離れてる謎なことをしてる国家すらある。

そんなカオスの権化と化した、常識が通じない国家群を相手にしていくと考えると頭が痛くなって来た。

 

「まあ報告は以上だ。それじゃ、俺は帰るぜ」

 

「あ、ちょっと待った」

 

「ん?まだ何か用か?」

 

「お前宛に、ちょっとばかし面白い仕事が入った」

 

そう言うと一色は、自分の机の引き出しの一番下の段。なんか謎に大きい収納スペースを誇っていて、書類用の引き出しと化した所から資料を取り出した。そしてそれを神谷に差し出す。

 

「何だこれ」

 

「なんかムーからの打診で、合同演習をやりたいんだと。内容は艦隊戦と、ジョン・ウィック戦をするそうだ」

 

「は?」

 

艦隊戦は分かるが、ジョン・ウィック戦は分からない。というか古今東西、ジョン・ウィック戦なんて謎な戦いはない。というかジョン・ウィックと言ったら、聖人キアヌ・リーブス主演の殺し屋を主人公とした映画の題名か、その主人公の名前である。

 

「本当にジョン・ウィック戦って言ったのか?」

 

「あぁ。羊羹艦、だったか?海兵を乗せるヤツ」

 

「か、海兵を乗せる羊羹.......?」

 

現在、神谷の脳内はジョン・ウィック、というかキアヌ・リーブスの顔と羊羹がグルグル回っているカオスな状況であった。この2つに何の関連性もない。

 

「海兵を乗せる羊羹.......海兵.......艦.......!?って、揚陸艦かよ!?!?!?!?」

 

「あ、それそれ」

 

「揚陸艦を使う演習となると、上陸作戦?」

 

「そうだ、上陸作戦だ!」

 

どうやら一色は揚陸艦を羊羹艦、上陸戦をジョン・ウィック戦という、もう何をどう聞いたらそうなるのか分からない聞き間違いをしていた。

 

「お前、何をどう間違えたらそんな風に聞こえんだ!?!?!?なんで船と羊羹が融合してるし、伝説の殺し屋まで登場させてんだ!?アホか!!!!」

 

「だって語呂が似てんじゃん」

 

「似てるっちゃ似てるかもしれんが、幾らなんでも耳ヤベェわ!!!!気付けよ!!」

 

「まあ、良いじゃん良いじゃん」

 

この時、コイツを病院に連れて行くと決心した神谷であった。というか普通に考えて、頭と耳がバグってないと、こんな意味不明な聞き間違いはしないだろう。

流石の神谷も疲れたので、もう仕事も残ってなかったし、執事の早稲に連絡して迎えに来るように伝えた。

 

 

 

一時間後 神室町 神谷邸

「お帰りなさいませ、旦那様」

 

「ただいま爺ちゃん。変わりないな?」

 

「えぇ。旦那様が留守の間も、従者一同しっかりと「居城」は管理しております。それから例のエルフのお嬢様方ですが」

 

「なんかあったか?」

 

「旦那様が留守の間に、私共の方で色々仕込ませて頂きました。日常生活は勿論、旦那様と共に動いたとしても恥ずかしくないよう、必要最低限の上流階級のマナーも教育してあります」

 

どうやら神谷が例の国交開設の一件で、エネシーと追いかけっこしていた1ヶ月の間に教育しておいてくれたらしい。百聞は一見に如かず、ということで試しに食事を摂ることになった。

 

 

「スゲェ。箸を普通に使ってる.......」

 

なんと全員が箸を使って、食事を摂っていた。しかも動作も綺麗かつ、魚の骨を取り除くみたいな高難易度のことも、しっかり出来ていた。

 

「どうですか浩三様?」

 

「いや、うん。まさか、ここまでマスターしているとは思わなかった。スゲーよ、マジで」

 

ヘルミーナが得意そうに胸を張った。その瞬間、その大きい物がぷるんぷるんしていたのは、気にしてはいけない。(オッパイプルンプルン

 

「エルフ族って、元々手先が器用だからねー。この程度なら、すぐにマスターできるよ」

 

「あら?一番最初に音を上げていたのは、誰だったかしら?」

 

「うぐっ。ミーシャ姉さん、それは言わないでよぉ」

 

「そう言えば、最初に音を上げていたな」

 

「いやいや。アーシャ姉様も、箸を片っ端から折っていたじゃない」

 

「そういうエリスは、皿ごと木っ端微塵にしていましたよね?」

 

(箸を折るのは、まあ分かりたくもないが、分からなくもない。だが、皿が木っ端微塵って何をしたんだ.......)

 

エルフ五等分の花嫁から語られる、思ってたよりも壮絶な特訓とその謎すぎる状況に神谷はまたしても頭が痛くなってきた。箸や皿が壊れる特訓となると、最早それは戦闘教連である。

さっきも言った通り、あくまでマナー講座であって戦闘要素は一ミリも含まれてないのに、この結果とは何が起きたのだろうか。この世には「知らぬが仏」と言うように、知らないことの方が良いこともある。

※余りのカオスっぷりというか、予想外すぎる有様に新たに「バーサクエルフ五等分の花嫁」というあだ名が使用人の間で広まった。

 

「そう言えば、浩三殿は明日から休みなのか?」

 

「あ、あぁ。一応休みにはなってる。何せ、今回の国交交渉は本当に疲れたからな。休まねぇと割りに合わん」

 

「そういうことなら、私達を「しょっぴんぐ」というのに連れていってほしい」

 

「別に良いが、車どうしようかなぁ」

 

どうせ行くなら、愛車を運転していきたい。しかし愛車の殆どがスーパーカーかスポーツカーの高級車ばかりであり、精々4人乗りが限界だった。そこで思い付いたのが、一応名義は神谷だがハイヤーとして使ってる車を使う方法である。どうせ買い物用の車も連れて行くので、1台2台増えても問題ない。(掛かる費用はどうせ神谷が払うし)

因みにハイヤーというのが、オプションフル装備のロールス・ロイスPHANTOM EXTENDEDである。因みにお値段、6,600万超えである。それを10台所有してるのだから、ヤバいの一言である。そんな訳で今回は神谷の愛車+PHANTOM EXTENDED2台+荷物運送用のヴェルファイアで買い物に行く事になった。

 

 

 

翌日 カムロモール

「で、何から見るよ」

 

「服!!」「アクセサリー!!」「武器!!」「スイーツ!!」「ゲーム!!」

 

「え?いや、なんて言った?」

 

一斉にバラバラの目的地を言った結果、神谷の耳は唯の雑音として捉えてしまった。因みになんて聞こえたかと言うと「あふせりーきーつむ」みたいに聞こえた。

 

「よし、わかった。1人ずつ言ってくれ。まずアーシャ」

 

「武器だ」

 

「うん、ない。武器ショップなんて無い」

 

「剣や刀は無いのか!?」

 

「日本では基本的に武器の所有が認められてないから、こういうショッピングモールとか街中に武器系の店は無い。精々、エアガンショップが関の山だ」

 

武器ショップが無かったのが余程ショックだったのか、ショッピング開始早々意気消沈である。ここがアメリカなら普通に銃が見られたのだが、生憎とここは日本である。

 

「次、ミーナ」

 

「私は服が見たいです」

 

「OK、ここは大量にある。スーツ、普段着、パーティー用、作業用、スポーツ用、老若男女問わずあるから楽しめるぞ」

 

この一言に顔が一気に明るくなった。恐らく、脳内では既に服を色々試着しているのだろう。

 

「次、ミーシャ」

 

「私はスイーツを食べたいです」

 

「それは飯時になってからだな。たしか有名老舗ケーキ屋が、ここに2号店を作ってたな。そこに行こう」

 

ミーシャの場合は明るくなるというよりは、トロけていた。どうやら既に食べてる認識らしい。女の子が甘い物好きなのは、どうやら万国共通な上に異世界でも通用する法則らしい。

 

「次、レイチェル」

 

「ゲーム!」

 

「ゲームどころかアニメイトもあるから、漫画もアニメも全部揃うぞ」

 

こちらの場合は完全に目が、獲物を狙うハンターのソレである。因みに早稲情報によると、レイチェルはサブカルにどハマりしたらしい。アニメならSAO、盾勇、このすば、オバロ、いせかる、五等分、かぐや様、86、ヤマト、ワンピース、とあるシリーズが好きで、ゲームならBF、GTA、メタルギア、ウォッチドッグス、サイバーパンク2077、マイクラ、艦これ、アズレンにハマったらしい。最近はアニメなら食戟のソーマ、ゲームならグランツー・リスモがブームらしい。

 

「最後、エリス」

 

「アクセサリーよ」

 

「あるぞ。それも普段着のワンポイントに使える物から、指輪やネックレスみたいな貴金属の高い物まで」

 

特に表情を変えない仏頂面のようだが、心なしか浮き立ってるように見える。

 

「それじゃ、ショッピング開始だ」

 

このカムロモールは、世界的にも有名な巨大モールである。地上28階地下8階建ての巨大モールであり、簡易的なテーマパークすら備える。テナントも様々な種類の多種多様な物があり、服ならユニクロやしまむらみたいな庶民的な物もあるが、六本木や銀座にある高級店も入ってる。食事処もファミレスチェーンやフードコートは勿論、焼肉屋や一食数万円の高級店と庶民から金持ちまで楽しめる。

因みにさっきもあったようにアニメイト、同人誌関連のショップ、コスプレ専門店、エアガンや電動ガンの専門店、音楽や楽器の専門店、調理器具専門店といったバラエティ豊かなテナントが入っている。

 

 

「まずは服だ。好きなのを好きなだけ買え!!」

 

まず訪れたのはミーナの目的地である服屋。とりあえず一番高そうな店を選んで、全員に好きなのを選んでもらう。

 

「いらっしゃいませ。本日は何をお探しでしょうか?」

 

「彼女達の服を見に来た。金に糸目は付けないから、彼女達に似合いそうなコーデを頼む」

 

「承りました」

 

神谷は服を選ぶセンスが無い(と思ってるだけで普通にセンスはある)ので、プロに任せて色々見繕ってもらう。その間にタブレットで仕事を片付けつつ、合間合間を縫って5人の相手をする。

しかし楽しいショッピングは開始1時間で、早々に終了することになった。

 

ブーーブーーブーー

「もしもし。どうした?」

 

『長官!休暇のところ申し訳ないのですが、すぐに参謀本部に来てください!!ヤバいことが分かりました!!ヘリを手配してるので、今どこか教えてください!!』

 

「また何か厄介事か。わかった、すぐに行く。場所はカムロモールだ。話はこっちで通すから、そうだな.......。遊園地の広場に下ろそう」

 

『わかりました。では後程!』

 

向上からの並々ならぬ気配の電話に、事態の深刻さを悟った。正直このままバックレたいところだが、どうやらそういうわけにはいかないらしい。

 

「あー、お前達。悪いがショッピングは、お前達だけで楽しんでくれ。緊急の仕事が入った。ちょっと行ってくる」

 

そう言って神谷は使用人に車のキーを預けて、サービスカウンターへと走る。

 

 

「いらっしゃいませ。どのようなご用件でしょう?」

 

「私は大日本皇国統合軍の神谷浩三大将だ。突然で申し訳ないが、このモールに併設されてる遊園地の広場を封鎖してほしい。緊急事態につき、ヘリコプターを下ろしたい」

 

「あ、えっと、少々お待ちください。上の者に確認します」

 

流石にいきなり「ヘリを下ろさせろ」なんて、まず聞くことの無い言葉に従業員のお姉さんもワタワタしている。どうやら店長が話の分かる人だったようで、話はスムーズに進んだ。

 

「わかりました。それでは、早速人払いを致しましょう」

 

「頼む」

 

そう言うとすぐに放送で呼び掛けてくれた上、手空きのスタッフを配置して客を全て退去させてくれた。程なくしてヘリが着陸し、神谷は統合参謀本部へと向かった。

 

 

 

三十分後 統合参謀本部 地下指令室

「まあ文字通り飛んできた訳だが、一体何があった?」

 

「順を追って説明致します。本日早朝、千歳航空基地所属の第942輸送航空隊所属のC22機が、陸軍第7師団隷下の第75歩兵中隊を乗せて訓練の為、離陸しました。しかし離陸より2時間程して、レーダー上からロスト。グラメウス大陸上空にて、消息を絶ちました」

 

「確かに緊急事態だ。しかし、それだと俺が呼ばれた意味はなんだ?流石にまだ何もわかってないのに、いきなり会見を開く訳でもないだろ?」

 

神谷の言うことは尤もである。まだ消息を絶った、というだけで墜落が確認された訳ではない。もしかしたら、レーダーの故障による可能性もある。会見は今日明日には開くが、いきなり呼び付けるほどのことでもない。

すると向上は一枚の写真を取り出して、それを差し出してきた。

 

「これって確か、反一色派の中枢の政治家じゃね?名前はえっと、中川貴一郎だったか?」

 

「はい。今回の訓練には、無理矢理この政治家が同乗しています」

 

「俺、何も聞いてないぞ」

 

「どうやら何らかの手段で、無理矢理乗ったらしいんです。大方職権濫用で、ゴリ押したんでしょう。問題はこのおっさんが乗ってる機が遭難したということは、中々に面倒なことになる可能性が高いってことです」

 

この中川という政治家は、代々政治家を輩出している家系の長男である。古くは貴族の家柄でもあったらしく、プライドが高い、高圧的に出る、超ワガママな自己中という社会で権力持ったら、この上なく面倒な上に嫌われる特徴の三拍子が揃った政治家である。

そして更に面倒なのが、一色含む三英傑を敵視してる上に軍隊を嫌っている点である。というのも中川は一色が総理になる時に対立候補として争った仲であり、一色が登場するまでは総理大臣最有力候補であった。しかし一色が出てきた結果、様々な面で負けてしまい一色が総理となった。でもって一色が当選した立役者でもある「三英傑」の存在を敵視し、元々反日的な人でもあったことから一色と神谷を敵視していて、隙あらばトップを挿げ替えようとする売国奴政治家である。

 

「でもVIPは脱出させるだろ?GPSの電波を拾って、救助隊送れば万事解決じゃん?」

 

「それがGPSの電波が拾えないんです。どうやら、強力なソーラーマックスによって障害が出てるらしくて」

 

「なるほど、それで俺を呼んだ訳ね。しかしグラメウス大陸か。中々に面倒な場所だな」

 

このグラメウス大陸というのは、いつぞやの魔王ノスグーラと戦った場所である。この大陸は大半が人類が生活できる場所がないため、人がいない。その代わりに魔物の巣窟となっており、救助は中々に難航することが予想される。

 

「付近に部隊は?」

 

「グラメウス大陸近くに訓練中の第7海兵師団が居ます。強行救出に備えて、付近で待機中です。また北海道方面の全部隊には警戒レベル4への移行を指示しており、緊急時のバックアップは可能です。ご指示を」

 

「取り敢えず千歳のRF2を偵察に出動させろ。UAVでもいいが、流石に電波障害で落ちたら面倒だ」

 

「了解しました」

 

神谷の仕事はどうやら、長引きそうである。また休暇を取り直すことを心に決めて、仕事に取り掛かった。

 

 

 

 

 

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