最強国家 大日本皇国召喚   作:鬼武者

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第四十三話日武合同大軍事演習(陸戦編)

海戦終結より数時間後(日没後) 上陸地点より10km 海中

「艦長、時間です」

 

「メインタンク・ブロー。お客さんの切り離し準備に掛かれ」

 

「メインタンク・ブロー、深度70」

 

演習中、ずっと海中にその身を潜めていた潜水艦『伊2590』は、いよいよ作戦行動を開始する。この潜水艦の任務は、海軍陸戦隊の誇る特殊部隊、先遣陸戦隊(通称IJM)を揚陸地点へと秘密裏に運び込む事である。

IJMはアメリカで言う所のNavy SEALsであり、主に偵察、破壊工作、不正規作戦を任務とする。今回は上陸地点の偵察と、奥にある砲撃陣地を偵察するために派遣される。

 

「発令所よりSDV。これよりドック内と、潜水艇に注水を行う。準備してくれ」

 

『了解』

 

伊2500型の派生タイプである伊2590は、艦尾に小型潜水艇(SDV)のドックを備えている。このSDVには武装こそ付いていないが隠密性に優れ、潜望鏡なんかも付いている。

しかし弱点というか仕様上仕方ないのだが、ドック内とSDVの船内にも注水しないと切り離せない。そのため、準備に少々時間が掛かるのだ。

 

「注水開始っと」

 

「さーて、野郎共。ムーをボコボコにしてやろうか」

 

隊長の声に、既に潜水具をつけてしまっている隊員達は答えられない。その代わりに、サムズアップして「了解」の意を表した。

間も無くしてSDV船内の水位も天井まで上がり、ドック内も注水が完了した。

 

「SDV、切り離し!」

 

ドック後方のハッチが開き、SDVは後進しながら慎重に船外へと出た。そして上陸地点目指して、静かに向かう。

それではここで、ムー側の防衛拠点がどうなっているか説明しよう。ムーの防衛拠点は、大きく3つのエリアに別れている。上陸地点にあるトーチカ陣地、その後方にある砲撃陣地、さらにその後方にある旗を置いてある要塞陣地。この3つとなっている。どの陣地もムー基準では鉄壁で、実際に実戦で使用するのを目的としており、その作りは頑強である。装備などに関しては、追々書いていくとしよう。

そして時を同じくして揚陸艦隊、というか遠征打撃群からもゴムボートが出動していた。こちらもIJMと同じく、偵察である。こちらは手前のトーチカ陣地を偵察し、IJMはその後方の砲撃陣地を偵察する事となっている。

 

 

(行くぞ)

 

上陸地点に到達したSDVを止めて、屋根を開けて隊員達が水面に向かって泳ぎ出す。

そのまま目標地点に到達すると、できるだけ静かに上がって海岸へと向かう。

 

「隊長、行軍準備完了です」

 

「よし。じゃあ、行くぞ」

 

砲撃陣地までは徒歩なので、早足で砲撃陣地を目指す。勿論、周りのトーチカにいる守備兵に気付かれないように。

その間に海軍陸戦隊の偵察隊も上陸し、トーチカの調査を始めた。

 

「にしてもよぉ、海軍がやられるとは思わなかったよな」

 

「そうだなぁ。これが実戦じゃないからいいものの、実戦で今戦ってる大日本皇国だっけ?ここを落としたら、次は首都だからな」

 

「お前ら、これが演習なのを忘れてないか?本来はこの前にも戦闘があって、ある程度は沈められるんだ。それに本気で戦えば、そんな新興国に我が祖国は負けないさ」

 

そんな事を話す中年の兵士達。彼らは知る由もないだろう。もしムーと本気で戦争するとなったら、即刻軍が壊滅する事になるのを。あくまでも今回の演習は、手加減に手加減した戦力であることを。そしてすぐ近くまで、死神の釜の刃先が伸びているのを。

 

(ふむ。トーチカ内の武装はヴィッカース重機関銃モドキ、ルイス軽機関銃モドキ、エンフィールド小銃モドキか)

 

そう。既に偵察隊は己の任務を始めており、戦力配置や装備は筒抜けとなっていた。因みに装備としては

 

・海軍の流用と思われる20.3cm連装砲 4基

・海軍の流用と思われる15cm砲 10門

・二十八糎榴弾砲モドキ 20門

・十五糎臼砲モドキ 20門

・一四年式十糎加農砲モドキ 40門

・九二式歩兵砲モドキ 60門以上

・ヴィッカース重機関銃モドキ 250丁以上

・三八式機関銃モドキ 100丁以上

・各種迫撃砲 100門以上

 

といった感じであった。他のは良しとしても流石に海軍のを流用したと思われる砲に関しては、流石に戦車であっても防ぐのは難しいだろう。そこで作戦を変更し、IJMの作戦のついでにここも破壊してもらう事にした。

 

 

 

数十分後 砲撃陣地付近の森林

「ここだな。お前達、早いとこ仕事をするぞ」

 

「了解」

 

IJMの任務とは、上陸時の撹乱にある。今回の相手は一応格下ではあるが、さっきも書いていた様に兵器によっては十分戦える物も存在している。そこで先にこれらの兵器だけを破壊しておき、残りは質で押し切る作戦を立てた。

だが一応他の兵器は残っているし、あくまで戦車や装甲車には通用しないというだけで、歩兵に関してはその限りではない。そこで撹乱のために爆弾を仕掛ける事になり、IJMの任務は偵察と攻撃誘導、そして爆破による撹乱となった。

 

「うへぇ。なんつーもん設置してんだよ」

 

「これ、30.5cm砲ですよね?しかも三笠と同じタイプの」

 

「戦艦砲をよく設置したもんだ」

 

任務の為に別れた彼らの眼前には早速破壊しないと不味いブツ、30.5cm連装砲が鎮座していた。流石の陸上戦艦の異名を持つ46式戦車とて、30.5cmには耐えられない。しかもそれが合計8基、16門あった。

 

「なあ、こっちにはカール自走臼砲並みの臼砲があるぞ」

 

「おいおい、ガチじゃねーか」

 

「流石、首都前の防衛ラインとして、現役の要塞として使われてる陣地だな」

 

彼らが双眼鏡片手に偵察していると、爆破工作班が帰ってきた。曰く、トンデモ兵器があったらしい。

 

「列車砲?」

 

「はい。流石にドーラとかグスタフみたいな80cm列車砲じゃないですけど、それでも多分口径が50cmはありましたよ」

 

「うへぇ、あっちもガチらしいな。マーカーは設置してきたか?」

 

「勿論です」

 

「よし。それじゃ、本部に打電するか」

 

作戦はいよいよ第二段階へと進む。第二段階では第四海兵師団を海へと放ち、F8B震電II航空隊による攻撃が行われる。当初の航空攻撃では後方の砲撃陣地のみの破壊だったが、先程の偵察隊からの要請によりトーチカ群に存在する砲塔の破壊も目標となっている。

そして時を同じくして、コイツらも飛び立った。そう。世界最強の男が率いる、世界最強の精鋭部隊内にある最精鋭の集団、神谷戦闘団白亜衆である。

 

 

 

同時刻 強襲揚陸艦『阿木津』

『航空隊、発艦せよ。航空隊、発艦せよ』

 

「野郎共行くぞ!」

 

甲板上に駐機されている震電IIが発艦位置へと移動し、エンジンの噴射口を斜めにする。

 

「発艦!」

 

震電IIのB型はVTOL仕様なので、アメリカの海兵隊と同じ様にSVTOLでの発艦が基本となる。着艦もアレスティング・ワイヤーが搭載されてないので、VTOL機能を用いた垂直着艦となる。

阿木津を発艦した二個小隊8機は、一個小隊ずつに分かれて攻撃目標へと向かう。

 

 

「ふぅ。月が綺麗だなぁ」

 

「演習じゃなけりゃ、酒が呑めるんだがなぁ」

 

トーチカ内で談笑したり、ポーカーしたりして暇つぶしをしていた兵士達の耳に雷のような轟音が響く。

 

「なんか聞こえるな。一体何」

 

次の瞬間、黒い大きな何かが目の前を通過していった。

 

「な、なんだ今のは!?」

 

「黒い魔鳥か!?」

 

『全20.3cm要塞砲、破壊。当該砲術員、及び以下の兵士は戦死しました。戦死者は…』

 

耳につけたインカムからは信じられない報告と、戦死判定を貰った者の名前が読み上げられている。結果として、砲術員含む60名近く戦死判定を貰ってしまい、さっきの謎の魔鳥も相まって大騒ぎである。

 

「狼狽えるな!!」

 

「し、師団長!」

 

「我らはムーの最後の砦、首都防衛師団なるぞ!!まだ我々には他の砲兵器が残っておる。それに今の攻撃があったという事は、すぐに敵が上陸してくるという事ぞ!!貴様らのすべき事は怯える事ではなく、敵に備えて装備の確認をし、配置につく事だッ!!!!」

 

この要塞を預かる首都防衛師団の師団長、コメダスの激に鼓舞されて兵士達は落ち着きを取り戻す。この辺りは流石精鋭といったところだろう。

そして同じくらい、残りの小隊が後方の砲撃陣地を爆撃していた。これによりムーは30.5cm連装砲、カール自走(できない)臼砲、50cm列車砲が撃破判定を受けた。しかし、まだ牙は残っている。他の砲兵器と、隠匿していて30.5cm連装砲2基を準備し、皇国軍の上陸に備える。

だがそれは、皇国軍も同じであった。

 

 

「会長、お時間です」

 

「お前達!時間だ、攻撃を始めろ」

 

第四海兵師団の師団長(部隊内では師団長ではなく、会長と呼ばれている)、堂島翔吾が命令を下す。この命令を受けた兵士たちは叫びを上げ、装甲車を前に出す。

因みに第四海兵師団にいる戦力で強いのは『嶋野大隊の狂犬』の真島吾郎、『百人殺し』の冴島大我、『阿修羅』の渡瀬克『白峰』の峰良隆、『登り緋鯉』の錦山晃、『ヒットマン』の風間晋太郎、『狙撃爺』の広瀬邁、『日ノ本の西龍』の郷田竜司、『日ノ本の東龍』桐生和馬といった感じ。因みに全員、漢字は違うが何処かの龍が如くと名前が偶然(・・)同じである。その結果、戦闘スタイルも似たようなものになっている。

 

「よーし、進路このままや!」

 

「へい!」

 

33式水陸両用強襲装甲車、28式水陸両用装甲車、LCAC、LCUに分乗した海軍陸戦隊の兵士達は上陸地点目指して突き進む。

この時点でもムーに取っては大変な事は変わりないが、もっとエグい一撃が空からやってくる事になる。

 

 

 

砲撃陣地 上空

「さーて野郎共!第四海兵師団の極道が動き出した。俺達も後れとるなよ?さぁ、行こうぜ!!!!」

 

闇夜のムーの空に、純白の装甲を身に纏った精兵達が舞い降りる。

白亜衆は第四海兵師団に先んじて砲撃陣地を奪取し、そこを集結地として確保する。だがムーに取って、この陣地を抑えられるのは相当な痛手となるのだ。このトーチカ群からなる水際防御陣地は海岸に上陸した敵歩兵を撃滅するための陣地であり、ノルマンディー上陸作戦とか硫黄島の戦いのような戦場を想定した構造となっている。

また水際防御陣地には、対装甲目標用の兵装が限りなく少ない。というのもこれまで戦車のような兵器が存在してなかったので、大砲はあれど殆どが歩兵に効力のある榴弾である。更に言えば元の防衛戦略も後方に控える砲撃陣地からの支援砲撃があって、初めて真価を発揮する戦法しか立てていない。

つまり初手でここを押さえられてしまうのは、ムーの敗北を意味するのだ。

 

「お、白亜衆が降りてくる」

 

「じゃあ、こっちも派手に行きますかと!」

 

IJMの兵士の一人が爆弾の起爆スイッチを懐から取り出し、押した。

次の瞬間、砲撃陣地の弾薬庫から爆炎が上がる。弾薬庫の爆発と無数に出た戦死者報告に、砲撃陣地に詰めていた第五師団の兵士達は皆、浮き足立って混乱しているのが離れた場所にいるIJMの兵士達にも伝わってくる。そんな絶好な好機を、彼らが見逃す筈がない。

 

「撃ちまくれ!!!!」

 

神谷の号令に、白亜衆の兵士達が真下へと自分の銃を構える。

 

ドカカカカカ!ドカカカカカ!

ズドドドドドドドド!!

 

空中から銃声が鳴り響き、あちこちで戦死判定が上がっていく。実弾ではなく不可視のレーザーであっても、恐怖は煽られてしまい余計に混乱の渦は拡大していく。

だが一方で中には、応射するような勇敢な者もいた。

 

「堕ちろ!」

 

パン!カチャン、パン!カチャン

 

だがボルトアクションライフル、それも唯の歩兵用ライフルでは時速200kmで降下中の兵士を撃ち抜くのは至難の技である。仮に精度の高いスナイパー仕様であっても、無理だろう。

そしてそんな勇敢な者は、逆に狩られてしまう。

 

「悪いな。丸見えなんだわ」

 

ドカカカカカ!

 

『戦死しました。直ちに後退してください。戦死しました。直ちに後退してください…』

 

「何なんだ.......アイツらは.......」

 

やがて白亜衆達は着地し、更なる地獄を作る。さっき空中で掃射していたのは皆、機動甲冑を着た兵士達だった。装甲甲冑は構造上、空中で地上を掃射しにくいのだ。

だが地上に降り立てば鈍重でいい的だが、歩兵火器では撃ち抜けぬ装甲を持ち大火力を発揮する武装を持った兵士となる。そんな兵士が塹壕の上に立っていると、どうなるだろう。

 

「クソッ!撃ちまくれ!!撃ちまくれ!!」

 

パン!カチャン、パン!カチャン、パン!カチャン、パン!カチャン

ズカカカカカカカカカ!!

 

エンフィールドモドキ、ルイス軽機関銃モドキの弾丸が多数装甲歩兵に命中する。普通の兵士で今のが実弾なら、確実にボロボロの死体が完成しているだろう。だが何故か命中しているのに、戦死判定のアナウンスが全く流れない。

 

「う、撃ち方やめ!撃ち方やめ!」

 

「壊れたのか?」

 

「おいアンタ!そっちは戦死判定出てないのか?」

 

ムーの兵士達は機材トラブルかと思い、目の前の装甲歩兵に声を掛けた。一時休戦の旗を互いに掲げ、両者は歩み寄る。

 

「えーと、そっちの話は機材トラブルじゃないかってことか?」

 

「あぁ。普通に考えて、あの攻撃では、あなたは今頃ボロ雑巾の筈だ」

 

「まあ、普通ならな」

 

装甲歩兵はまるで「あー、やっぱりこうなったか」とでも言いたそうな、少し面倒臭そうな表情をしながら聞いてきた。「お前達の銃の口径は何ミリだ」と。

 

「どちらも7.7mmだが」

 

「悪いな。俺の纏うこの装甲甲冑は、20mm弾までなら完全に防ぎきる防弾性能を有している」

 

「な.......」

 

「な、なぁ、アンタ。その腕についてる銃は、どのぐらいの威力があるんだ?」

 

「5.7mmライフル弾を毎分数千発単位で撃ち込むぞ。人間にぶち当たったら、まあミンチ肉だな」

 

そんな弾幕を食らう予定だったとは思っておらず、ムー兵士達の顔が一気に青褪めた。だが疑問は解けたので、ムーの兵士達は抵抗せずに装甲歩兵に戦死判定をもらった。

こんなちょっとした一幕もあったが、他の所では白亜衆が一方的にムー兵士を殲滅していた。特に恐怖されたのが、このお二人。

 

「この距離で当たるのかよ!?」

 

「何なんだ.......。何なんだあのロングコート野郎は!!」

 

「ムーの皆さん、戦死判定をプレゼントしよう」

 

ズドンズドンズドンズドンズドン

 

1人目は神谷の右腕にして、自らも『鉄砲頭』の異名を持つ向上である。向上の射撃は、兎に角正確。空中で回転しながらでも弾丸を当て、物と物の僅かな隙間も通過させ、今回は赤外線なので披露できないが実弾なら跳弾すらも操る。

ゲームや映画なら跳弾なんて簡単にやっているが、実際の跳弾というのは何処に飛ぶか分かったもんじゃない。運が悪いと撃ったはずの弾丸が、跳弾して自分に戻ってくるなんて事も。だが極稀に、そんな跳弾を操る奴がいる。その1人が向上なのだ。

 

「う、嘘だろ」

 

「やられた.......」

 

「ふぅ。長官も暴れてるのかなぁ」

 

そして2人目の恐怖の対象の兵士は、勿論このお方。三英傑の1人にして『皇国剣聖』の名を持つ神谷、ではなくスナイパーである。

 

「命中。次、右2度。機関銃手」

 

「捉えた」

 

「fire」

 

ズドォン!

 

「ヒット」

 

これまで様々な話の狙撃シーンで出てきた、この名もなきスナイパーと観測手。一番恐れられていたのは、この2人なのだ。ムー側は1人だと誤解しているが。

では神谷はどうなのかというと、一応暴れてはいた。だがいつものようには出来ていない。何故なら…

 

「赤外線だから切り裂けないんだよぉ!!!!」

 

そう。赤外線が切り裂けないのだ。神谷の強さとは一撃で敵を殺せる技もそうだが、最大の強みは銃弾を切り裂いて無効化できてしまうチート技術にある。だが普通に考えて、銃弾を切り裂くなんて五右衛門みたいな事を現実でやる奴なんてまずいない。

そのため演習で使われてるプログラムに、そんな攻撃というか防御手段は演算する機能はない。なのでこのタイプの演習に限り、神谷は実力の半分も出せないのだ。

因みに何度も開発部門に改修の要求を出しているが、曰く「赤外線なので、命中判定が出来ても切り裂く判定が出来ない。一応刀に装置を付ければ出来なくはないが、高確率で切り裂き判定を受けたはずの赤外線が自分にも当たるので実質無理」らしい。

何はともあれ、降下して30分もする頃には第五師団は殲滅された。

 

 

 

同時刻 水際防衛陣地

「て、敵襲!!距離、およそ3,000m!小型艇多数!来ます!!!!」

 

「各員、歩兵が出てくるまで撃つなよ。恐らくその小型艇に、歩兵がたくさん乗っているはずだからな」

 

師団長の命令を伝声管で伝達し、迎撃準備に入る。だが、この接近中の敵は小型艇じゃない。水陸両用装甲車だ。

 

「スモーク展開」

 

「アイアイ!」

 

エンジンブロックから黒煙を出して煙幕とし、更に搭乗している兵士達が進路上にスモークグレネードを装填した29式擲弾銃を撃ちまくって姿を見えにくくする。

これにはムー側も堪らず、どうにかして煙幕を晴らそうと榴弾を海岸に撃ち込む。その爆風で煙幕が晴れるかと思いきや、運が悪い事に風向きの関係で逆に煙幕を増やしてしまったのだ。その結果、上陸に気付かなかった。

 

「!?敵は小型艇ではなく、水陸両用の装甲車だった模様!!」

 

「何!?クソ、撃ちまくれ!!」

 

コメダスは焦って攻撃命令を出してしまい、トーチカから無数の銃声が響く。だが33式及び28式には流石に火力不足で、全くダメージが入っていない。

それどころか、お返しと言わんばかりに砲弾と機銃弾がトーチカに向かって発射される。

 

『6番トーチカ、全滅!』

『8番トーチカ、吹き飛ばされました!当該兵士は全滅!!』

『21番トーチカ、機関銃破損!歩兵火器による応戦を、ボン!訂正します、21番トーチカ破壊されました!』

 

ジワリジワリとトーチカが無力化されていき、防衛線の一部に穴が空いてしまう。その瞬間を見逃さず、奴らが入り込む。

 

「ほな、行くでぇぇぇぇ!!!!!」

「イヒヒヒヒ!!真島吾郎参上や!!!!!やったるでぇ!!!!」

「さーて、今日の喧嘩相手はアンタでっか?ほな、行くでぇ!!!!」

 

極道達が入り込み、ムー兵士をボコボコにしていく。何せ銃器よりも近接武器を好み、現代戦よりも白兵戦を得意とする第四海兵師団。トーチカ同士が狭いトンネルで繋がっているこういう陣地では、彼等にとってはベストな戦場だ。

第一連隊『東條会』、第二連隊『近江連合』、第三連隊『陽明連合会』の3連隊に攻め込まれては溜まったものじゃない。しかも東條会には風間大隊、嶋野大隊、日俠大隊。近江連合には渡瀬組、郷龍会、寺田組のように、龍が如くプレイ済みのプレイヤーからすればヤベェ連中が多数いる。こんな連中に掛かれば、水際防衛陣地なんてすぐに堕ちてしまう。

一時間後には殲滅どころか、白亜衆との合流まで果たした。

 

 

「お、来た来た。第四海兵師団御一行だ。おい、誰か!団長呼んでこい」

 

「ハッ!」

 

白亜衆の兵士に呼ばれて、第四海兵師団の迎えに行く神谷。神谷が外に出ると、丁度師団長の堂島が装甲車から降りてきたところだった。

 

「神谷さん、お待たせしました」

 

「待ってねーよ。何ならもうちょい遅く来てもよかったのに」

 

「生憎と、私はサボりを見逃すほど甘くは無いですよ?」

 

2人は会って早々に軽口を叩きあうと、すぐに真剣な顔になって作戦を立て出した。

 

「敵のフラッグがあるのは、どうやらこの建物らしい。IJMの連中と、ウチの精鋭を送り込んで突き止めた」

 

「周囲には機関銃陣地と塹壕が張り巡らせられてますね。しかも周りには遮蔽物が無いとなると、どうしますか?」

 

「いやまあ、作戦って程じゃないけど裏をかこうかなーと」

 

「裏ですか?」

 

そう言うと神谷は、この演習で使われている一帯の地図を広げて説明を始めた。

 

「俺達はここと、ここを攻めて落とした。どちらも一応、正攻法で戦ってな。でもって、俺達はこの陣地を落とした時にワザと一個小隊ばかしを逃してある。正面から攻撃しても意味がないというのを知らしめるために。

しかも現在、通信は無線も有線も遮断されている。緊急用のを除けば、使えるのは伝書鳩とか伝令みたいな古典的な通信しか出来ない。となると、今のこの陣地の状況はわかるだろう?」

 

「恐らく、恐怖が伝播してパニック状態かと」

 

「そういう事。ならそんな中に、正面から恐怖の根源たる我々が来ればどうなる?きっと、更にパニックは増幅されて正常な判断が出来なくなる。しかもこちらの兵器群は、ムーが逆立ちしたって破れっこ無いくらいには強い。そんな連中が目の前に、それも大量にいれば全戦力をこちらに傾けないといけなくなる。

なら、その間に精鋭でフラッグを奪取すればいい。幸いこっちには精鋭、特殊部隊、白兵戦のエキスパート、戦車、装甲車、ヘリと何でもある。この作戦を決行するには、十分と思っている。お前の意見を教えてほしい」

 

「そうですね.......。ここまで開けていると、我々の師団は余り真価を発揮できないと思います。なので地上の囮は其方にお任せして、ウチの幹部連中で中心部を強襲しようかと。それから一部をここに残し、使える砲があれば援護砲撃なんかも良いのでは?」

 

「確かに砲には残りがあるし、弾薬も少しはある。大半は吹っ飛ばしたが、一暴れは出来る。よし、その作戦で行こう」

 

作戦は決まった。フラッグ奪取のメンバーは桐生、錦山、郷田、真島、風間の5名である。

他の者は全力で暴れて、奪取メンバーが気取られないようにする。そのために態々、46式とコイツらを呼び寄せたんだから。

 

「ヒャッハー!!轢き殺さないけど、弾幕張って暴れるぜぇ!!」

 

「やっぱ白亜衆の恐怖贈呈組は俺達だぜ!!」

 

最近、軽く準レギュラー化してるので名前を与えようかと思ってるヒャッハー世紀末(人間野球の人)とその相棒である。官給品だが、愛車となっている44式装甲車ロ型を連れて。

 

「野郎共、行くぞ!!!!」

 

神谷の号令で、部隊が突撃を敢行する。まずは戦車が前衛に出て、その間を装甲車が埋める。そしてその背後から、トラックに乗った他の兵士達が続く。

 

 

 

数十分後 最終防衛陣地 

「き、来た!!」

 

「敵襲ー!!!!」

 

監視していた兵士が戦車を目視で発見し、兵士達に緊張が走る。銃を構え、安全装置を外し、攻撃に備える。

その後方には一四年式十糎加農砲モドキと八九式十五糎加農砲モドキも配置され、焼け石に水程度の気休めとして砲撃を開始する。

 

「撃てぇ!!」

 

ボボボボン!

 

だが徹甲弾ですら無い砲弾がダメージを与えられる程、現代戦車は甘くは無い。というか46式に至っては、至近距離で撃たれても撃ち抜くのは不可能だろう。流石に砲口に直接ぶち込まれたら無理だが。

 

 

「撃ってきました!」

 

カン!ゴンッ!!

 

「今の絶対どっか凹んだ」

 

「修理が簡単な場所であってくれよ.......」

 

戦闘中とは思えない会話だが、最早ちょっとリアルなお遊びと化してしまってるのだ。許してほしい。

だが撃たれたのに撃ち返さないのは、彼らの謎の流儀が許さない。てな訳で…

 

「撃て〜」

 

ドオォン!!!!

 

お返しに砲撃を加えた。その結果、呆気なくカノン砲と周囲の他の砲も破壊判定と操作兵の戦死判定が出た。

その機を逃さず、今度はコイツらが穴を広げにかかる。

 

「ヒャッハー!!頭上げさせるな!!!!!」

 

「轢き殺されないだけマシと思いやがれ!!!!」

 

ロ型含む全装甲車と戦車の機関銃によって、ムーの兵士は全く反撃が出来なくなった。頭を上げて撃とうとすれば、即座に頭を撃ち抜かれて戦死判定である。

そしてその間に、第四海兵師団と白亜衆が突っ込んで更なる混乱を呼び込む。

 

「皇国兵御一行様の登場や!!」

 

「カシラ、落ち着いてください!」

 

「はいはい、熱くならないの南雲ちゃん。まっ、でも僕も暴れようかな」

 

第四海兵師団はその卓越した白兵技術で敵をボコボコにし、その上から白亜衆と一部の銃器の扱いに慣れている第四海兵師団の兵士達が制圧射撃を加える。

塹壕は完全にパニックになり、同士討ちまで発生する始末。このカオスの頂点とも言える状況になると、いよいよコイツらが出動した。

 

「桐生、行こうぜ!」

 

「あぁ」

 

フラッグ奪取組が司令部のある建物の屋上に降り立ち、そのまま中に入る。中に居たのは殆どが士官で、戦うよりも頭脳を使う派の連中だった。となると、もうコイツらのいいサンドバッグにしからならない。

 

「おぅら!」

 

「オラァ!!」

 

「イヒヒ、おりゃ!」

 

ほぼ1発でメットを殴り、負傷判定をゲットする。しかし中には銃を抜いてくる奴もいるのだが、そんな奴らは…

 

ズドンズドン

 

「甘い」

 

風間が得意とする二挺拳銃で戦死判定を貰う。この鉄壁の布陣のまま、いつもは執務室として使われている部屋の前まで進撃した。

 

「ここじゃねぇか?兄弟」

 

「あぁ。多分な」

 

「イヒヒ!桐生ちゃんに錦ちゃん、やる事は決まってんで?」

 

「せやな。こないチンケな扉、蹴りで一発や。ほな、行くでぇぇ!!」

 

郷田の蹴りで扉を破壊して、中へと雪崩れ込む。勿論中にも兵士がいたが、全員ボコボコにしてフラッグを抜いた。

次の瞬間、両軍にホイッスルが鳴り響き演習の終了が報される。72時間、つまり3日の猶予があった筈の演習は1日どころか、たったの半日ちょいで終わってしまった。

その結果、予定していた演習日程が狂ってしまい、ムーと日本の企画者が頭を抱えたとかなんとか。

 

 

 




皆さん!いつも本作、最強国家大日本皇国召喚をご覧頂き、本当にありがとうございます。
パーパルディア皇国をボッコボコにしてから一年が経とうとしており、原作の外伝と私のオリジナルストーリーを基軸としたこのシリーズもそろそろ終わりが見え始めて来ました。このペースだと多分、夏位にはグラ・バルカス帝国編へと突入すると思われます。そのタイミングで、現在の設定集を色々一新を計画しています。これまで殆ど紹介していなかった装甲歩兵の装備とか、詳細なミサイルの性能だとか、熱田型の装甲材とか色々追加したい物が出てきており、タイミング的には良いかなと勝手に考えています。
またこの場をお借りして、現在考えている簡単なグラ・バルカス帝国編までの流れを発表しておきたいと思います。現在進行中の軍事演習編は恐らく後3〜4話で完結し、その後は五等分の花嫁とのイチャイチャとか、オフの時の三英傑に関する話を書く予定です。
そしてそれが終われば、漸くパーパルディア皇国編の最後で書いていた謎に包まれている大日本皇国の歴史を大きく2つ書きたいと思っています。一つは太平洋戦争に於ける緒戦です。作中で書いている通り、ワシントンを占領してますので史実との違いを中心に見てもらおうかなと思っています。もう一つは通称『東亜事変』と呼ばれる戦いです。こちらは神谷の初陣となる戦いでもあり、皇国がその名をまた世界に轟かした戦いです。この二つを書いて、グラ・バルカス帝国編に入りたいと思っています。詳細はまた決まり次第、随時報告していきますので続報をお待ちください。
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