ムー国首都オタハイト オタハイト海軍基地 大講堂
「演習相手は皇国軍か。どっちが勝つかな」
「パーパルディアを滅ぼしたとは言えど、流石にムーには勝てねーよ」
「おいお前ら!そろそろ始まるぞ!!」
さてさて、恐らく読者諸氏は「なんか前々回と話の入り方が同じだぞ?」と思った事だろう。前々回ではそのまま我らが皇国海軍の視点から、この演習の模様をお届けした。しかし今回はムーの士官達の視点をお借りして、全体としてどのような動きだったのかをお見せしていこうと思う。
というのは嘘である。本当はムーの士官達が大いに絶望するサマを見て頂きたい。では、行ってみよう!
『定刻となりました。大日本皇国陸海軍、同海軍陸戦隊とムー陸海軍による合同大軍事演習を開始いたします』
壇上に立つ司会兼実況役の士官が、演習の開始を告げた。この宣言と同時に、壇上の幕が上がりスクリーンが展開。プロジェクターが作動し、まずはムー海軍の映像が映し出された。
因みに戦力だとか細かいルールだとかは、前々回や更にその前の回をご覧いただきたい。
『早速ですが、皇国海軍に動きがありました。ご覧ください』
開始5分にして、いきなり動きがあったという。戦術のセオリーを考えるのなら、空母を保有する艦隊の初手は大体偵察機を出す事である。だが離陸するには、余りに時間が早すぎる。
エンジンには『暖機運転』というものが必要となる。最近は聞かない言葉であるので、簡単に解説しよう。この暖機運転というのは、エンジンを作動した後に各部を暖めるために負荷の掛からない回転数で放置する事である。昔は車でも自分でする必要だったが、近年では自動化されており寒冷地でない限りやる機会もそうない。
だがムーの技術力は魔法とかがあるとは言えど、所詮は第一次世界大戦から精々戦間期くらいの技術。この自動化も結構最近になってからなので、第二次世界大戦の技術にも達していないムーでは自動化は出来てない。その為、ムーでの常識は『エンジン作動後、少し放置する』なのである。しかもプロペラ機は色々、ピッチの角度調整とかもあって時間が掛かるのだ。
「まさかズルでもしてたのか?」
「汚ねぇ!」
「シーマンシップはないのか?」
映像を見たムーの皆様はボロクソに言っておりますが、次の瞬間、彼らは黙った。目の前のスクリーンに、赤城の飛行甲板の映像が映し出された。横の長さですら、明らかに自国空母の2、3隻分はある広大な飛行甲板に
艦載機にする上で重要となってくるのは、離陸距離が短い事が挙げられる。第二次世界大戦後半位からカタパルトが誕生するので、今では距離ではなく重量なのだが、この時代に於いて滑走距離の短さが艦載機に必要な要素の一つであった。
なので双発機なんて、普通に考えてあり得ないのだ。しかも何故か目の前の機体には、屋根の上に謎の平べったい大きな円形の物体が回転している。これが何なのか、皆目見当もつかない。
「あれで飛べるのか?」
「海に堕ちるだろ」
そんな事を言っていると、急に謎の双発機が前にガクリと一瞬沈み込んだ。そして一気に加速し、そのまま飛行甲板から飛び出して上昇した。
「なんて加速性能だ.......」
「あの距離を、あのデカブツが一瞬で.......。一体どんな出力のエンジンなんだ」
『大日本皇国海軍、第一航空戦隊、要塞超空母『赤城』、同『加賀』より、早期警戒機E3鷲目が発艦しました』
「偵察機じゃないのか?」
「よ、要塞超空母?」
聞き慣れない単語に頭が追い付かないが、大講堂に入る際に貰った皇軍の解説辞典を開いて、赤城に関して調べ始める。
「あ、あった。要塞超空母『赤城』。は!?」
「ぜ、全長1300m!?」
その解説書には写真付きで、赤城型の詳細なスペックが書かれていた。詳細なスペックは設定集にあるので、それを見てもらいたい。ムーの常識では考えられないスペックに、一瞬嘘かと思った。だが写真を見る限り、恐らく本当なのだろうと分かり、解説書を見た面々はなんて国に演習を挑んだだと内心突っ込んでいた。
だがそれよりも驚きなのは、同型艦の数である。折角なので、同型艦を書いてしまおう。一航戦が赤城と加賀、五航戦が翔鶴と瑞鶴なのは知っての通り。では他のはというと、こんな感じ。
二航戦
蒼龍、飛龍
三航戦
大鳳、白龍
四航戦
雲龍、葛城
六航戦
信濃、鶴龍
七航戦
白翔、鳳龍
八航戦
迅龍、鶴鳳
とまあ、こんな感じで合計16隻姉妹である。士官達が色々調べてみる間に、護衛のF8C震電IIが発艦していく。
一方のムーもこの頃になって、ようやくギャッドラー含む偵察機のマリンを発艦させていた。だがムーの士官達は知ってしまった。E3と、他の艦艇達のレーダー探知距離を。もしそれが正しければ、既に全ての動きが皇国には筒抜けなのも。
「なぁ、これって.......」
「言うな!まだ、まだ始まったばかりだ。そう、まだ始まったばかりだ。そうだ、まだ始まったばかりだ。だから、まだ始まったばかりだ」
「おい!おまえ、さっきから「まだ始まったばかりだ」しか言わねーじゃねぇか!!」
「そうなんだよ、まだ始まったばかりだ。まだ、まだ始まったばかりだ。だからこそ、始まった(以下略!!」
開始10分にして、早速1人の時間の心が壊れた。因みにこの「まだ始まったばかりだ」言ってる士官、この演習が終わってから『Mr.スタートライン』という、なんともダサい渾名が贈られたらしい。
『ムー海軍機が、大日本皇国海軍を発見しました』
因みに皇国海軍側のレーダー探知による情報は、正確な数値を特定させないために敢えて流していない。辞典の方の数値も、大体程度にしか描いていない。
「ようやく見つけたのか。まあでも――」
『ムー海軍機、撃墜』
「「「「デスヨネー」」」」
スペックを知ってしまった以上、もう「あーはいはい」みたいな感想しか出なくなった。だがこの感想も揺らいでしまう、ヤベェ奴等が投入された。鎌倉ヴァイキングである。
『ムー第一艦隊、白兵戦に突入』
「は、白兵戦?」
余りに謎すぎる展開に、士官達も驚いている。艦に乗り移っての白兵戦など、不審船や小型船の制圧の為に行うくらいでこんな戦艦やら空母やらと、デカ物まみれの海戦で行われる戦いではない。
『受信状況が悪いので、暫しお待ちください』
少しのタイムラグの後、画面がまた切り替わり鎌倉ヴァイキングがムーの水兵を殲滅する様子が映し出された。
「な!?」
「これではまるで、嬲り殺しではないか.......」
「蛮族だ。彼らは蛮族だ.......」
間違いじゃない。彼らは皇国軍の中でも、蛮族扱いの集団なので大正解とすら言えよう。
これ以降の戦闘も一方的に続き、あまつさえ制圧したラ・エルド等が残ったムー第一艦隊の艦艇を撃沈し、熱田の一斉射で残りも沈んだ。こんな現実離れした戦闘を見せられては、もう黙るしかなかった。
だが一方で、ある1人の士官がある事に気が付いた。
「なぁ。このスペック表、もし本当なら今回の皇国軍弱くないか?」
「え?」
「だって、考えてみろよ。この艦対艦ミサイルとかいうヤツ。射程が主砲の数倍近くあるのに、今回は一度も使用されてない。それにレーダー性能的に多分最初から艦隊の位置は割り出せてただろうから、アウトレンジで全部倒せたのに今回はそれをしてない。
これって、明らかに手加減されてないか?」
「じゃあまさか、ムーは手加減されてた相手に一矢報いるどころか傷一つ付ける事なく負けたってのか.......」
大講堂に重い空気が伸し掛かる。誰かが「まだ陸戦が残ってる!」と言ったが、それに同意する士官は皆無であった。
いざ夜になって陸戦が始まっても、夜明けまでには最終目標のフラッグまで取られてしまい、結果として72時間の行程がたったの20時間たらずで終わってしまったのだ。だがここで、一つの問題が発生した。
「空いた時間、どうしよ」
「完全にやっちゃいましたね.......」
そう。空き時間である。さっきも書いた通り、本来72時間の想定より大幅に短い20時間で終わらせたのだ。52時間、つまり2日ちょい残っているのである。
一応、本来の演習では対抗演習(3日間)→両国別々での研究会(2日間)→合同研究会(3日間)→軍事交流会みたいな流れだった。
取り敢えずムー側とも合議した結果、全ての行程の繰り上げは決定した。しかし研究会に関しては1日ずつ減らす事になり、合計で4日も余る事が判明した。
ただでさえ余る時間が増えてしまい、頭を抱えて両国の軍上層部。ならばとムー側の出した案が…
「是非、神谷閣下に講演していただきたい」
「.......はい?」
神谷による、大日本皇国の戦術や装備に関する講演である。勿論、こんな面倒な事したくない。というか最近、家庭内がギスギスしてる上に演習でも暴れられなかったので、ストレス溜まりすぎて講演する気にはなれない。
なので本心では断りたいが、流石にNOとは言えない。これから同盟関係になろうと言うのだから、ムー側の上にも恩を売っておきたいのだ。
「なにか見返りは?」
「オタハイトでの観光許可。それも今回来ている全兵士に。というのは、如何でしょう?」
「それで手を打ちましょう」
そんな訳で急遽、神谷の講演会が決まったのであった。
対抗演習より一週間後 ムー参謀本部 特別大講堂
「まさか、神谷さんの講演会が聞けるなんてな」
「あぁ。神谷殿の話、楽しみだ」
本来は大会議なんかで使われる大講堂には、ムー陸海軍の士官も兵士も大勢が詰め掛けていた。あまりに多すぎて、椅子に座りきれない程である。
『只今より、特別講演会を行います。講演者である、大日本皇国軍大将、神谷浩三様の御紹介をさせて頂きます。
神谷様は県立修猷館高等学校を卒業後、国防大学校へ進学。首席にて卒業後、東亜事変にて初陣を飾りました。その後、皇国剣聖の称号を得られ、中央歴1639年の転移後はロウリア王国、パーパルディア皇国との戦争に従軍された、歴戦の軍人であります』
なんか色々、如何にも偉そうで凄そうな紹介文だが本人としてはそう思ってないので恥ずかしい限りである。だがやるしかないので、緊張を引っ込めて壇上に上がる。
『ただいま御紹介に与った、神谷浩三だ。よろしく頼む。さて、今回は本来予定になかった講演なので、正直準備不足で公演を行う事になってしまっている。なるべく為になり、そして楽しめるような講演にしていくつもりだが、眠くなったら寝てもらっても構わない』
最初の紹介で『大将』だの『皇国剣聖』だのと色々言われていたので、どんな怖い男が来るかと思いきや思ってたよりも優しそうな青年に士官達は拍子抜けだった。
だが、講演の内容は面白かったという。
『今回の講演だが、取り敢えず我が軍の戦術を語る前に戦争の形態についておさらいしておきたい。
知っての通り、戦争は生き物。常に変化し続ける。それは我が国の位置する第三文明圏外から、第一文明圏に至るまで幅広い技術の差があるこの世界なら分かりやすいな』
早速手元のノートPCを操作して、パワーポイントを起動。プロジェクターには、方陣を組んだ騎士の絵が映し出される。
『剣や槍だった頃の『方陣』は、鉄砲の登場で『横隊』になり、鉄砲の進化による『散兵』を経て、今では様々な火器によって『戦闘群』となった。これを幾何学的に観察すれば』
方陣から戦闘群まで写真か絵を流すと、今度は大きな黒点が映し出された。
『『方陣』は点であり、『横隊』は実線であり、『散兵』は点線である。『戦闘群』は面、つまり一次元から二次元に進化した。そして今後に於ける戦闘は、航空機の空中戦を主体とする三次元の戦闘。つまり、立体となる。
そして、航空機中心の攻撃と防御、制空権が勝敗の鍵となるのが戦争の取り敢えずの最終形態となるだろう』
この時点で参加者は驚いた。彼らの常識では、航空機が戦争の優勢を決めるなんていう考えを持っているのは一握りしかいない。
今も尚、この世界は大艦巨砲主義なのだ。
『だかまあ、いきなり言われてもピンとこないだろう。なので今回は、実際の記録を見せたいと思う。
今から遡る事、凡そ110年前。大日本皇国が、まだ大日本帝国と名乗っていた頃の事だ。帝国は自国の100倍の国力がある国を筆頭とする国家群に戦争を仕掛けた。同盟はあったが、その国々とは距離が離れていて直接共同戦線を張れない。しかも日本の主敵は、その国力が100倍ある国家だ。
この戦争、第二次世界大戦とか大東亜戦争とか太平洋戦争とか言うんだが、この戦争に於いて各国の主戦場は空へとシフトした。信じられないかもしれないが、数百機の艦載機で戦艦含む十数隻の艦艇に損害を与えているし、数十機の爆撃機で最新鋭の戦艦も仕留めた。
それだけじゃない。逆に日本の沈んだ艦艇の多くもまた、航空攻撃によって沈んだ』
この後も、簡単に第二次世界大戦での話が続く。この辺りに関しての詳細は、パーパルディア皇国編の終わった8月からずっと言い続けている特別回にて紹介するので、それまで今暫くお待ち頂きたい。
※自分でもこれ書いてて、もうすぐで1年経つ事に驚きました。遅れてすみません。(いつ書けるのかなぁ)
『…とまあ、ここまで言っておいてなんだが、これは初っ端に言った通り110年前の大昔の話だ。今の戦争はもっと、複雑でややこしい物に進化した』
そう言いながらパソコンを操作して、パワーポイントの電源を落とす。その代わりに会議などで使う、立体映像を映し出す機械を用いて別の映像を流す。
「うおぉ!?」
「な、なんだこりゃ!?」
「映像が飛び出してる!!」
初めて見る立体映像に、かなり興奮気味のムー士官達。流石に科学大国ムーとは言えど、立体映像なんて発想はまだない。
『さっき語った『立体』という戦闘空間で使われていたのは陸、海、空の3つだった』
映像も立体的な六角形の中に英語で「Army」と戦車、「Navy」と超戦艦『熱田』、「Air」とF9心神とそれぞれ描かれた物が浮かんでいる。
『だが我が国のいた世界では新たな次元として、偵察や通信の中継地として使用する人工衛星が浮遊する宇宙、何処かの誰かの今日の食事のような他愛もないものから、最重要軍事機密やら国家機密まで様々な情報が存在し行き交うサイバー空間、通信から誘導弾の誘導まで幅広く利用している電磁波。これらの新たな次元に於ける戦闘も考慮し、統合して運用するのが我々、大日本皇国が行う戦争だ』
映像も「Space」と人工衛星、「Cyber」とノートPCが線で繋がった画像、「EMP」とパラボラアンテナがそれぞれ映し出され、やがてそれらは他の陸海空と線で繋がっていく。
だがムーの士官達は、言ってる事の半分も理解できてなかった。特にサイバー空間だの電磁波だのは、ようやく基礎理論が半分見え隠れしてくらいであり専門家でもないと分からないのだ。
『と言ってもイメージすら湧かないだろうから、いくつかのパターンを御紹介しよう。まずは陸上戦』
陸上戦、海上戦、空中戦の3つの基礎的な戦闘を掻い摘んで紹介した。衛星や偵察機、レーダーが敵を探知し、それを全軍で共有。そこから状況に応じて、更なる偵察や攻撃に入っていく。
ムーにはまだ概念すら存在しない戦闘スタイルに、全ての士官が「そりゃ手加減するわ」と納得した。まあ、この前に一緒に活動してたりするので、そこでも薄々察していたんだが。
そして狙い通り、まずはムー軍全体で「日本との同盟」という話題がチラホラ出始めていた。
同時刻 マオ王国とリーム王国の国境 某所
「では、同盟は締結されたという事でよろしいですな?」
「えぇ」
ムーで神谷が講演をしていた時、遠く離れたマオ王国とリーム王国の国境では、とある秘密同盟が結ばれていた。
さてさて。マオ王国とリーム王国、一体どんな国かと言うと「日本を危険視する国」と「領土拡張に於いて日本に邪魔された国」である。両国はいずれも第三文明圏に所属しており、事態は皇国がパーパルディア皇国の国家監察軍を撃退したときにまで遡る。
あの後、クワ・トイネの発議で『大東洋諸国会議』という第三文明圏外国と第三文明圏の国家で行われる国際会議があった。その会議に於いてマオ王国は「日本が危険である」と言った。そこまではよかったのだが、勝手に日本を「列強の序列による安寧を崩す危険思想を持った蛮族国家」という謎のイメージを持ってしまっていた。
そしてお隣のリーム王国は、パーパルディア皇国戦役時の73ヶ国連合に参加して、ゴタゴタに乗じてちゃっかり飛び地を確保。エストシラントを確保しようと動いていた。だがエストシラントには核ミサイルのサイロがあった事で阻止されてしまい、日本への恨みを募らせていた。
そんな思想と復讐心を持った国がフュージョンした結果、両国はトンデモない事をしでかそうとしていた。
「我が王国が大日本皇国に参戦を布告後、貴国がバックアップする。というので宜しいですね?」
「えぇ、フォルク殿。このリーム王国の王子、デューカ・ヴィットリオ・ウィスコン・バラクーダ・インディアナポリスメーン・リームの名にかけて、貴国の支援を保障致しましょう」
今回の作戦はマオ王国が正面に立ち、日本に宣戦布告。装備の支援をリーム王国が行う事になった。しかもマオ王国は新たに、リーム王国の所有する魔石鉱山を割譲するのだ。
だがこれは表向きで、本当は背後からリーム王国がマオ王国を攻め入る腹なのである。リーム王国は先程書いた通り、覇権主義国家。普通にこんな事もしでかす。
「それで、仕込みは終わったのですか?」
「えぇ。我が国の私掠船が、皇国軍によって沈められています」
この話は今から一週間前に遡る。航行中の日本国籍の貨物船が海賊船、もといこの私掠船に襲われた。
近海に訓練で展開していた第三護衛艦隊が急行し、警告したが無視したので已む無く私掠船を撃沈した。これを開戦の口実に使おうと言うのである。
「.......まーた、戦争かよ」
だがこの秘密会談は、しっかりICIBの諜報員によって聞かれていた。実を言うとリーム王国は、日本側も『危険な国』認定していたのである。
というのも覇権主義国家としての動きが全く隠れておらず、しかもこの国の王族と貴族は傍若無人な行為をしている。
自国民や自国に来ていた(格下の)他国民を奴隷化するのは当たり前、自国民を殺すのも呼吸と同じくらい普通の日常、というか寧ろ奴隷を持たない殺さない者は異常者認定という感じ。さながらワンピースの世界貴族である。
(まっ、取り敢えず報告だわな。にしても、パーパルディア滅んでるんだから未来くらい察しろよ)
この事はすぐに本国へと通報され、翌日には一色の耳にも届いた。
「これ、どうしますか?」
「どうするも何も、浩三に任せるさ。アイツならリーム王国とかマオ王国くらい、数日あれば根絶やしにできる」
だがこの時、ムーでも大事件が起きていた。詳細は次回で話すが、中々の大事件である。
ちょうど一色が神谷へ連絡したのは、その事件に神谷が介入し終えた辺りだった。
「あ、もしもし浩三?悪いんだけどさ、帰りにちょっとリーム王国とマオ王国を潰してきてくんない?」
『なにその「帰りに卵買ってきて〜」みたいなノリは。少なくとも国二つを攻め込むときの頼み方じゃないだろうが』
「いやだってさ、正直滅ぼしても良さげな弱小国なんだもん」
『アホ。どんな国でも、そういう事は言うもんじゃない。パーパルディアばりのクソじゃないと』
「それ以上だぞ?」
『え、マジ?』
JMIBの諜報員が集めた、極悪非道な行いが読み上げられていく。全部聞き終わる頃には神谷も「よし、滅そう!!」という意見となり、ここにマオ王国とリーム王国の殲滅が決定したのであった。
次回はマオ王国とリーム王国との戦争を、といきたいのだが、その前に向上の身に降りかかった事件についてお送りするとしよう。