最強国家 大日本皇国召喚   作:鬼武者

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第五十一話エルフ五等分の花嫁

刀ゲットの数週間後 神谷邸

「旦那様。あの空気、どうなさいますか?」

 

「どうしよう.......」

 

今この神谷邸は、神谷にとっての憩いのオアシスではなく、最恐最悪の魔王が住まう魔王城になっていた。何故かって?エルフ五等分の花嫁の父親と母親がやって来たからである。

父親、つまりガロルは問題じゃない。寧ろこっちの味方と言える。問題は母親の方だ。何せ纏ってるオーラが、魔王のそれなのだ。

 

「なぁ、アレって魔王じゃないよな?」

 

「魔王でも逃げ出しますぞ、アレは.......」

 

では何故、こうなったのかを説明しよう。時は遡る事、24時間前。

 

 

 

昨日 神谷邸 リビングルーム

「うっはぁー!おもしろかった!」

 

「久しぶりに見たな、トランスフォーマー」

 

偶々神谷の部屋の掃除をしていると、押入れの奥から昔のDVDを詰め込んだダンボールが出てきた。レイチェルの提案で、映画視聴会が始まった。選ばれたのはトランスフォーマーで、初期から始まり、リベンジ、ダークサイドムーン、ロストエイジ、最後の騎士王とハリウッドの破壊王ことマイケル・ベイが監督した全作品をぶっ通しで見た。

 

「バンブルビーが可愛いですよねぇ」

 

「私はジェットファイア様が好きですよ」

 

「俺はやっぱりシモンズ捜査官だな。あのかっこいいんだけど、結構ネタに走ってるのが好きだわ」

 

因みに神谷の好きなシモンズ捜査官のシーンはやはり、ダークサイドムーンで地下バーに行った時の「ロシア人は中々口が重い。インターナショナルトークが必要だ」とか言った後、門番のロシア人に扉越しにドヤ顔で「 Дасвиданья(ダスビダーニャ)」と言い、ロシア人から「それバイバイの意味」と冷静に突っ込まれた挙句、覗き窓を勢いよく閉められたシーンである。

他にもリベンジの攻撃要請をした時に「お天気チャンネルが昼メロでも見てたのか!?」とか言ったり、無線機越しに「名前は、水兵!」と叫び、相手がまさかの空母『ジョン・C・ステニス』の艦長と知ると、さっきとは打って変わって「あ、ワイルダー艦長」とかと言いながら冷静に対応するのかと思いきや、しっかり「機密アクセス許可が無いとかゴタゴタ言うなよ?地球が滅びるぞ!!」と言いのけたシーンが好きである。後、無印のパンツ一丁にさせられるシーンも大好きである。

 

「神谷殿、明日なのだが、少し五人で出ても良いだろうか?」

 

「ん?まぁ、良いけど、アーシャからの提案とは珍しいな」

 

「偶に私にだって、そういう気分な時はある」

 

珍しい提案ではあるが、ここ最近は色々なところに連れ回してきた上に四六時中一緒にいた。これまで碌に時間を一緒にしていなかったのに、いきなり共にし出した以上、そろそろストレスが溜まって来たのかもしれない。それに偶には姉妹水入らずの時間も必要だろう。

翌日、五人は神谷邸を離れ、神室モールに行ったらしい。多分、この一ヶ月間の中で初めてとなる一人の時間を満喫しようとした時だった。

 

「あの、旦那様。お嬢様方の母親を名乗る人物が、いらっしゃっておりますが.......」

 

使用人の男が声を掛けてきた。因みに早稲ではなく、若い男である。

 

「あー、同行者とかは?」

 

「男性が一名。父親だと名乗っております」

 

「映像を見せてくれ」

 

「はい」

 

使用人の男は持っていたタブレットを軽く操作してから見せてきた。画面には、応接室の監視カメラの映像が映っている。

 

「ん?んん!?」

 

「どうされました?」

 

「いや、うん。女の方は知らんけど、男の方は父親だと思う。うん、保証できないけど.......」

 

「流石に完璧には判別がつきませんか.......」

 

画質が粗い訳ではない。寧ろここにある監視カメラの画素は高いし、タブレットだって最新モデルのいいヤツを使っている。画質は普通に良い。

では何故、判別が付かないのか。何せガロルの顔面が、ボッコボコにされて顔中腫れ上がってるのだ。ついでに両目とも青痣でパンダみたいになってる。

 

「取り敢えず、お茶とお菓子出しとけ。それから、早稲も部屋に呼んでくれ!」

 

「はい!」

 

一旦神谷は自室に戻り、何を着るべきか悩む。一応、曲がりなりにも婚約はした相手の両親。つまり義理の両親である以上、今の『ザ・ラフな私服』で行くわけにはいかない。

 

「うーむ、どっちで行くかな」

 

そして取り敢えず、タンスから二つの服を取り出した。一つはイギリスのロンドンに本拠を構える、世界的なブランドの『Huntsman』で作ったオーダーメイドのモーニングコート。

もう一つは200年前に作られた神谷家伝来の紋付羽織袴。何方も公の場、それも他国の王族や国家元首との謁見にも着ていける最上位の正装である。

 

「失礼致します、旦那様。状況は聞き及んでおります」

 

「爺ちゃん、どっち着るべきかな?」

 

「無いとは思いますが、戦闘も考慮に入れた方が良いでしょう。とするならば、袴の方が便利なのでは?」

 

「それもそうだな。なら、とっとと着付けを終わらせちまおう」

 

 

 

数十分後 応接室

「なぁ、アレって魔王じゃないよな?」

 

「魔王でも逃げ出しますぞ、アレは.......」

 

そして、ここに至る。今、神谷と早稲の二人は部屋の外から中の様子を窺っているが、流石に入りたくはない。最初も書いたように、この部屋は既に魔王城のソレなのだから。

 

 

「ふぅ。お代わりをくださるかしら?」

 

「はい。失礼致します」

 

かれこれここに来て、もう二十分以上は経つ。だが未だ家主であり、愛娘達の婚約者である男は来ない。

 

「ねぇ、あなた。神谷浩三さんは、いついらっしゃるのかしら?」

 

「旦那様は所用で家を留守にしておりまして。連絡はしてありますので、もう間も無く、こちらに来られるかと」

 

「さっきも同じ事を言ってなかったかしら?」

 

「先程もそうお伝えしました」

 

取り敢えずの時間稼ぎで、この二人に対応する従者には「神谷は所用で留守にしている」という設定で時間稼ぎに協力してもらっている。だが流石に、そろそろ限界らしい。母親と名乗る女性が従者に文句を言おうとした時、扉が開き、別の従者が入ってきた。

 

「失礼致します。当家主人、神谷浩三、只今到着いたしました」

 

そう言って道を譲ると、奥からバッチリ紋付羽織袴で決めた神谷が入ってくる。後ろに控える早稲には、念の為、天夜叉神断丸と獄焔鬼皇を持ってきてもらっている。

 

「お待たせして申し訳ない。まさか来られるとは思っていなかったもので」

 

「おぉ、神谷殿!いやいや、こちらもいきなり押しかけて悪k」

「客人を待たせるのが、日本の伝統なのかしら。神谷浩三さん?」

 

「.......貴女は?」

 

ガロルの話に割って入ってくる、ダークエルフの女性。大体人間換算で40代後半で、スタイルはエルフ五等分の花嫁のような凹凸のハッキリとした物ではなく、全体的に平らな女性である。

 

「あら、婚約者の母の顔も名前も知らないなんて。あなた、本当に娘達と結婚する気あるのかしら?

私はパーシャル・ナゴ・パカラン。五人の母親よ」

 

「そうでしたか。初めまして、神谷浩三と申します」

 

「で?」

 

「で?とは?そのセリフは、何方かと言えば私のセリフですが?」

 

いきなり押しかけてきた奴に「で?」と言われても、こちらとしては「は?」としか言えない。別にこっちは用件なんて無いし、というか来るなんて一切聞いてない。

 

「まあいいわ」

 

(何がいいんだ?)

 

「単刀直入に言うわ。あなた、ウチの娘と別れなさい」

 

「.......はい?」

 

今神谷は、目の前の女性に「娘と別れろ」と言われた。つまりエルフ五等分の花嫁と別れろと、そう言ったのだ。だが思い出してほしい。神谷が五人と婚約したのは、別に神谷が恋愛対象して五人を見ていた訳ではないし、向こうも多分神谷が好きだったという訳でもない。

あくまで婚約は、ナゴ村の事情でしかなく、こちらとしても「流石に死なれるのは寝覚めが悪いし、何よりそんな馬鹿げた理由で殺されるのは余りに酷い」と感じたから仕方なく婚約した。それが始まりであり、因みに今は神谷としても、一緒にいて楽しいし良い家庭は築けると感じている。本当に結婚しちゃっても構わないと思い始めているが、いきなり別れろと言われても無理な話だ。

 

「分からないのかしら?」

 

「いえ、そうではなくて。確か私が娘さん達と婚約した時、ガロルさんからは「掟上、婚約してもらわないと娘達には死んでもらう他ないのだ」と言われたので婚約しました。婚約を破棄してしまうと、娘さん達は死んでしまう、いえ。殺す他ないのでは?」

 

「そうよ。でも、殺すように見せかければ良いだけ。後は有力貴族の跡取りや、他部族の族長ないし子供と結婚させるなり、妾にすれば良いわ」

 

こういう話、所謂『政略結婚』というヤツは神谷も嫌という程見聞きしてきた。自分の両親は二人とも恋愛婚だが、周りの親戚や他家の知り合いには政略結婚で結婚させられた者も、結婚させられる者も見てきた。

無論、全部が全部不幸な結果ではない。最初こそ殆ど面識はなかったが、一緒に過ごしていくと馬があい、ラブラブな夫婦だってあった。だが一方で、結婚したものの、お互い機械的に子作りして世継ぎを生み、後は互いに愛人と遊び出し、子供はほったらかし、なんていう類も見てきた。個人的には、こういうのは気に入らない。

 

「それで、それにあの五人の意思は介在するんですか?」

 

「どういう意味かしら?」

 

「その結婚に、あの五人の意思があるのかと聞いているんです。それがあの五人の望みと言うのなら、喜んで私は身を引きましょう。幸いまだ、そういった行為はしておりません。これまで経験があったかは知りませんので生娘かはわかりませんが、少なくとも私との子の心配もありません。

しかしもし、あの五人の意思ではなく、そちらの勝手な判断で結婚させるというのなら、私はあなた方と戦争してでも五人を護ります」

 

これが神谷の答えである。別に自分といるのが、五人にとって一番の幸福であるとか言うつもりはない。もしあの五人に好きな人、結婚したいという人が出来たのなら、最悪戸籍だけ神谷と結婚した事にして、届けは出さない事実婚の形ではあるが、その相手と住まわせる事も五人と婚約した時に考えていた。

だが今回のように、結婚を五人が望まないというのなら話は別だ。どんな手を使ってでも、彼女達を護り抜く。

 

「あなた、私の事を何も知らないのね。これでも元は王国最高位の冒険者だったのよ?元々エルフは人間よりも高い身体能力を持っているし、魔法も剣技も一級品。そんな私と本気でやるつもり?」

 

そう言って殺気を出すパーシャル。周りの従者は震え出しているし、早稲も少したじろぐ。だが、神谷はこの程度の殺気でどうこうは出来ない。

 

「だからなんだと言うんだ?」

 

涼しい顔でそう言ってのけた。これにはパーシャルも予想外だったようで、小声で「なぜ効いてないの?」とか言っている。

 

「最高位の冒険者?だからどうした。俺は大日本皇国全軍の指揮を陛下より預かり、皇国一の剣の使い手に贈られる『皇国剣聖』の称号を賜っている。

そして我が神谷家は、元を辿れば武力に優れた豪族だ。それ以降も武を以って、この国を護ってきた。その一族の中でも、特に武勇に優れる特殊な存在である者に送られる『修羅』の名を冠する俺に、喧嘩売るってことはどういうことかわかってんだろうな?」

 

今パーシャルの送った殺気よりも数倍強い殺気を持って、返しとする。見た事も無い圧に、パーシャルも冷や汗が垂れている。

 

「あなた、それは私への宣戦布告と捉えるわよ?」

 

「先に吹っ掛けたのは、間違いなくアンタだろ。そのセリフ、そっくりそのままお返しする」

 

正に一触即発とはこの事で、パーシャルは懐に手を入れている。恐らく、小刀の一つでも忍ばせているのだろう。こちらも早稲に合図して、二本の太刀を手に取り、いつでも抜けるよう持っておく。

 

「パーシャ、悪いがここはワシに任せてくれ」

 

「アンタに発言権があると思ってるの!?!?」

 

「確かに今回の一件は、ワシの独断だ。それにお前が、神谷殿をどう思うと構わん。だが少なくとも神谷殿は、我が部族を救った恩人。その恩人に武器を向けるという事は、たとえ妻であっても死んでもらう」

 

そう言いのけるガロル。この一言にパーシャルも黙らない訳にはいかなかったらしく、取り敢えずは静かになった。

 

「神谷殿、妻の非礼を詫びさせてほしい。そして不躾ながら、どうか二人だけで話がしたい」

 

「良いでしょう。早稲」

 

「はい。準備は整っております。どうぞ、こちらへ」

 

隣にある別の応接室にガロルを通したのだが、いきなりスライディング土下座してきた。

 

「本当に申し訳ない!!!!」

 

「取り敢えず頭上げてください!!!!」

 

少し粘られたが、どうにか椅子に座ってもらって今回の一件について説明してもらった。遡る事、今から一週間前のこと。パーシャルがナゴ村に帰ってきた。因みにどのくらいの期間かと言うと、日本でパーパルディア皇国の首都に1回目の爆撃を敢行した辺りからである。別に仕事とか家の用事ではなく、急に消えたのだ。

で、帰ってきて娘達が居ないことに気付いた。これまでの事情を話すと、ボコボコに殴られたらしい。曰く「私の所有物を何処の馬の骨とも分からない奴に渡すなんて許せない」と言いながら、顔面を耕す勢いでそれはそれは殴られたと言う。

 

「なんか、大変っすね」

 

「正直、人間で言うところの『離婚』というのをしたいよ。だが我が部族に於いて、夫婦の縁は死後の世界でも切れぬ不変の物。元よりそういう考えが存在しないのだ」

 

そう言うガロルの目は、もう完全に全てを諦めきった絶望したような目であった。

 

「それで私は、一体どうすれば?因みに五人は今、姉妹水入らずでショッピングに行っていて留守ですよ?」

 

「一番手っ取り早いのは、神谷殿にパーシャルの心をボコボコにへし折ってほしい。アイツは自分の武力に絶対の自信を持っておる。それを折ることが出来れば、あるいは.......」

 

「良いでしょう。得物は持ってきていますか?」

 

「アイツは常に魔法で格納しておる。今すぐ、戦闘も出来るだろう」

 

話は纏まった。早稲に頼んで道場を準備してもらい、その間にパーシャルに「娘たちを賭けて勝負しろ」と持ち掛けた。娘達を取り返したいパーシャルは承諾し、一応の勝負を始める。

 

「ではこれより、神谷浩三とパーシャル・ナゴ・パカランとの勝負を取り行う」

 

まず互いに準備として、自らに魔法を掛ける事が許された。パーシャルはいつも通り、身体強化と感覚強化の魔法を掛けた。

一方の神谷は、大量に掛けた。もうオーバーロードのシャルティア戦と同じ物を。

 

魔法詠唱者の祝福(ブレス・オブ・マジックキャスター)無限障壁(インフィニティ・ウォール)魔法からの護り(マジックウォード)全魔法(オールマジック)生命の精髄(ライフ・エッセンス)最上位全能力強化(マスターフルポテンシャル)

自由の戦士(フリーダムファイター)虚偽情報(フォールスデータ)生命(ライフ)看破(シースルー)超常直感(パラノーマル・イントゥイション)最上位抵抗力強化(マスター・レジスタンス)混沌の外衣(マント・オブ・カオス)不屈(インドミタビリティ)感知増幅(センサーブースト)最上位幸運(マスターラック)魔法増幅(マジックブースト)竜神皇帝の力(カイザーゴッドドラゴニック・パワー)最上位硬化(マスターハードニング)

天界の気(ヘブンリィ・オーラ)吸収(アブショーブション)抵抗突破力上昇(ペネトレート・アップ)

最上位魔法盾(マスターマジックシールド)魔力の精髄(マナ・エッセンス)愛国者の戦士(パトリオット・ファイター)

 

一部オリジナルもあるが、これだけでは終わらない。自分の使う二つの太刀にも、更に魔法をかけた。掛けたのは不可視の存在や幽霊のように物理攻撃が効かない相手にも問答無用でダメージを負わせる幽霊殺し(ゴーストキラー)、如何なる魔法攻撃をも破壊する魔法削除(デリートマジック)の二つ。

 

「始め!!!!」

 

ガロルの合図で、いきなりパーシャルは魔法を撃ち込んできた。

 

「サンダーバースト!!!!」

 

不規則に広がっては狭まりを繰り返しながら、五本の稲光が向かってくる。常人なら捉えられないだろうが、神谷に掛かれば捉えきれてしまう。というか稲光だから速いのかと思いきや弾丸よりも遅かったので、弾丸を捉える神谷にとっては止まって見える。

 

「遅いな」

 

刀の間合いに入った瞬間、稲光を斬り裂いて分散させる。切った時についでで進む方向も変えたので、神谷へのダメージは全くない。

 

「チッ!魔剣、ギース!!!!」

 

パーシャルは『異空間への扉』としか言えない穴を生成し、中から見るからに魔剣という禍々しい剣を引っ張り出す。

 

「行くわよ!!!!!!」

 

そう言って踏み込むパーシャル。その間に神谷は一旦、刀を鞘に戻してから構えた。祖父の実から初めて教えてもらい、そして自らが最も得意とする一撃必殺の技を使うために。

 

「血迷ったわね!!!!」

 

「双閃!」

 

一瞬のウチに二つの太刀を抜き放ち、魔剣ギースの刀身を切断する。居合術の一つで、二本の太刀を同時に抜くことから「双閃」と呼ばれている。普通の居合よりも遥かに高度な技術を必要とされるが、これが神谷家の剣術では最初の試練と言われている。

 

「そ、それまで!勝者、神谷浩三!!」

 

武器破壊による戦闘不能判定が出たので、神谷の勝利となった。恐らく前までの刀であれば、魔剣なんて存在を斬れるかは分からなかった。多分、押し負けて逆にこっちの刀が折れるだろう。

だが今の相棒である天夜叉神断丸と獄焔鬼皇は、どうやら単なる玉鋼を使った物ではないらしい。竹内文書に於いて、その存在が語られている伝説の金属、ヒヒイロカネの更にその上位、如何なる存在にも対抗できる金属を使用したと思われる。鑑定魔法を使ったが、刀身の成分判定は「???」と表示されて、なんだったのかは分からない。便宜上、神谷は『極みのヒヒイロカネ(仮)』と呼んでいる。

 

「何故、私が.......」

 

「お前さ、家族を大事に思ってないだろ?大事に思っているのは自分の命、権力、財力、及び利用価値のある物だけ。そんなんじゃ、俺には勝てねーよ。別にそういうのを守るのは個人の勝手だが、少なくとも自分の娘を物扱いする奴には、俺は絶対に負けない。テメェがあの五人の実母だろうが、俺の義母になる奴だろうが関係ねぇ!!!!テメェには金輪際、この家の敷居は跨がせない。早々に出て行け」

 

「母親が娘をどうしようと良いでしょ!?!?」

 

「そっちの国ではどういう文化かは知らんが、日本では子供は宝とされている。更に言えば憲法により、基本的人権が約束されている。他人や国家はもちろん、親ですら人権を害する事は出来ない。後、サービスで言っておくが、これ以上ここに留まるのなら警察、そっちで言う衛士とか衛兵に該当する組織に連絡して、不退去罪で強制的に出て行ってもらう!!」

 

ここまで凄まれては帰るしか無かったのだろう。パーシャルは悪態を吐きながら、出て行った。それをガロルも追い掛けていくが、それを神谷は止めた。

 

「ガロルさん、今度は普通に遊びに来てください。勿論、お一人で。それから娘さん達、私が一生面倒見ようと思っています」

 

「アイツら、しっかり射止めおったか」

 

「しっかり撃ち抜かれましたよ。まあ告白云々にまで行ってませんけど、取り敢えず、これからは義親父(おやじ)殿とお呼びします」

 

この言葉にガロルは凄い笑顔で、見るからに喜んでいた。多分彼の人生に於いて、一番の笑顔だっただろう。ガロルは「娘達を頼む、我が息子よ」と言い残し、神谷邸を去っていった。

 

 

 

同じ頃 神谷モール 喫茶店

「それでアーシャ、なんで私達を集めたのかしら?」

 

「そろそろ、ケジメを付けるべきだと考えただけだ」

 

ケジメ。つまり、婚約をどうするかという事である。知っての通り、今のエルフ五等分の花嫁と神谷との関係性は、何ともちゅうぶらりんな物である。取り敢えずで婚約という、まず無い状況である。そしてこれからは、肩を並べて戦う事になるかもしれない。

戦場で生死を共にする仲間は、信頼のおける者でないとならないというのは万国共通の心理である。それは、この異世界に於いても変わらない。少なくとも主である私なら、もし自分にとって信頼ならん奴、そう。小学校時代のアイツとか中学校時代のクズとか高校時代のアホとかを筆頭とした連中と共に戦うとなった場合、もしかすると背後から原因不明(・・・・)の弾丸を飛ばす事になるだろう。

 

「そういう事かぁ。でもさ、あんまり議論する必要も無いと思うよー」

 

そう言いながらレイチェルは、ストローでファンタグレープを吸っている。少し吸って口を離すと、そのまま話し出した。

 

「因みに私は、神谷さんとこのまま結婚しても良いかなーって思ってるよ。ゲームとかアニメの趣味も同じだし、一緒にいて楽しいし。まあ多分結婚しても、夫婦っていうより男友達のノリで付き合いそうだけどね」

 

元々、このゲームとかアニメとか漫画の趣味をレイチェルに教え込んだのは神谷である。教え込まれた相手と趣味が似通った物になるのは必然だが、どうやらレイチェルには同じようなのが好きなタイプだったらしく、現在は普通に神谷と談義できるくらいにはオタクへの道を進めている。

 

「私も、神谷様なら結婚したいですよ。強いし、優しいし、何より私達のことを考えてくれる。そんな人になら私、きっと良い家庭が築けるかなって」

 

そう言ってうっとりするミーシャ。多分脳内では、既に神谷と結婚済みで子供まで産まれてて、大方野原的な草むらで神谷と子供を追い掛けてるといったところだろうか。このモードに入ったミーシャはちょっーと、現実から離れるので放置しておく。

 

「私としても、神谷殿と夫婦の契りを正式に結んでも良いと考えている。私は私より弱い男と結婚するつもりは無かったが、あの男は私を遥かに凌駕する。恐らく、あの母親をも超えるだろう。そんな男になら、我が子宮を渡しても良い」

 

なんか考え事が漢前なアナスタシア。最後はちょっと問題があるような気がしなくも無い。主に、というかまんまR18的な意味で。だが多分、「彼の子供を産みたい」という意味でセーフだと思うので一旦それは置いておく。

 

「私も同じ想いよ。そもそも私はあの人に助けられたわ。もしあの日、あの人と出会っていなければ.......」

 

そう言うヘルミーナに浮かぶのは、ナゴ村の惨状。あの日、神谷が居ても村は半壊。多数の死傷者も出した。もしあの日、神谷が居なければ。もしシャミーの救出時に出会っていなければ。今頃はゴブリンの餌となり、この世から跡形もなく消えていただろう。それも勿論、ゴブリンに凌辱されて子供をたくさん産まされて、女としての機能を喪失した上で。

 

「.......」

 

残るはエリス。常に神谷とは犬猿の仲というより、一方的に嫌っているというか、ツンツンした態度を取り続けている。だが内心では意外と好きだったりするが、それは表に出していない。まあ姉妹にはバレバレで、もう殆ど勘付かれちゃってるんですけど。

 

「エリスはどうなの?」

 

「私は.......」

 

「好き、なんでしょ?神谷さんのこと」

 

静かにコクリと頷く。顔は真っ赤で、なんだ可愛らしい。だがこれで、全員の意思は決まった。後は神谷に告白するだけなのだが、問題があった。

 

「どうやって告白しようかしら.......」

 

意思の統一は出来たものの、問題はこれである。全員、そういう事には疎いのだ。恋愛なんて無縁だったのにうんうん唸りながら、無理矢理知恵を絞り出していると全員のスマホが同時に鳴った。五人と神谷のグループチャットに「ヘリポートで待つ」とだけ書かれたメッセージが届いたのだ。

 

「どういう意味よこれ?」

 

「さぁ?」

 

「取り敢えず、行けば分かるでしょ」

 

 

 

一時間後 神谷邸 屋上へリポート

「来たな」

 

日が沈み、月の光に照らされたヘリポートの淵で、神谷は一人立っていた。眼下には神室町と東京の街並みが広がり、そして奥には富士山も微かに見える。

 

「神谷様、一体なぜ此処に私達を?」

 

「今日、お前達の母親が来た。「娘達を返せ。それは私の所有物だ」とか何とか言ってやがったんで、勝負吹っかけて撃退して追い返した」

 

彼女達も正直、母親のパーシャルには全く良い思い出がない。というか悪い思い出しかない。一方で、その強さも知っている。特に魔剣ギースを手に入れた後の話は並々ならぬ物がある。それを撃退したと言いのける辺り、流石と言えよう。

 

「今回の一件を受けて、俺としてもそろそろケジメを付けるべき時が来たと思った」

 

それまでずっと街並みや富士山を眺めていた神谷が振り返り、五人の方を向く。

 

「お前達、俺の妻となれ」

 

つまり「結婚しよう」と言ったという事である。五人は所謂プロポーズをされたのだ。

その答えは勿論YES。ミーシャに至っては泣いて喜んでいた。名実ともに『五等分の花嫁』となった五人のエルフ姉妹は、公私共に神谷を生涯支えていくこととなる。

 

 

 




えー、みなさんどうもこんにちは。主です。まだ現段階では検査してないので分からないのですが、現在39.4とかいう熱を叩き出しています。多分これ、コロナとか言う死神に魅入られてるので、突然更新されなくなる可能性があります。ご了承ください。
因みに次回からは番外編2に突入します。これも多分、三〜四話位で終わる予定なので、お楽しみに!
by天使が頭上を回っているのが見える鬼武者
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