最強国家 大日本皇国召喚   作:鬼武者

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パーパルディア皇国戦終了から、一年三ヶ月。お待たせしました、新章開幕です!!


第七章世界大戦編
第五十五話先進11ヵ国会議は大波乱なり


パーパルディア皇国との戦争、そして神聖ミリシアル帝国からの使節団がやって来てから早2年。この2年で国内外問わず、すんごい色々変わった。まずは国内から行ってみよう。聨合艦隊構想含む、大日本皇国統合軍全体での軍備増強計画の大半が完了し、『仮称513号艦』を筆頭とした新たな兵器群が実戦配備されつつある。また統合軍総司令長官であった神谷浩三大将は、これまでの実績が評価され、新たに作られた統合軍元帥の役を賜った。因みに結婚もした。

次に国外。まずムーに日本がテコ入れして作った工場群に於いて、第二次世界大戦相当の装備を量産しつつあり、一部は既に実戦配備にまで漕ぎ着けてある。一方、謎の新興国家、グラ・バルカス帝国がムー大陸の西方、約500kmにあるイルネティア王国を攻め滅ぼし、グラ・バルカス帝国の魔の手が第二文明圏に忍び寄りつつあるのだ。これにより第二文明圏、及び神聖ミリシアル帝国が警戒を強めており、予断を許さない状況が続いている。

そして今日、皇国は正式に大国に仲間入りを果たす事となる。神聖ミリシアル帝国での先進11ヶ国会議が始まるのだ。この会議は今後の世界の流れを決定する、超重要な国際会議である。その会議に皇国はお呼ばれし、三英傑が一人、川山慎太郎を派遣したのである。

 

 

 

神谷元帥誕生より約1年後 神聖ミリシアル帝国 港町カルトアルパス

『第1文明圏、トルキア王国軍、到着しました!戦列艦7、使節船1!計8隻!!』

 

「了解、第1文明圏エリアへ誘導せよ」

 

2年に一度、この時期だけは、カルトアルパスの港湾管理局は普段の4、5倍は忙しくなる。港湾管理局だけではない。町自体も綺麗に清掃され、先進11ヶ国会議に参加する国家の国旗で彩られる。また護衛の兵士達向けに、飲み屋含む飲食店も掻き入れ時となる。そんな訳で表にポスターを貼ったり屋台出したりして、軽いお祭り状態になるのだ。

 

『第1文明圏、アガルタ法国到着。魔法船団6、民間船2、計8隻!』

 

「了解、第1文明圏エリアへ誘導せよ」

 

(にしても、この辺は変わり映えしないんだよなぁ)

 

港湾管理局の局長であるブロンズは、港に入ってくる船団を見つめながらそう思っていた。この先進11ヶ国会議には、各国が使者を護衛するという名目で、最新式の軍艦を艦隊ごと送り込んでくる。その為、毎回小さな観艦式の様になるのだ。ミリオタであるブロンズからしてみれば、天国の様な時間である。

しかも今回はレイフォルをあっさりと落とした新興軍事国家グラ・バルカス帝国と、パーパルディア皇国を首都まで攻め込んで完全に崩壊させた大日本皇国の2つがやってくるのだ。余計に楽しみである。

 

『な、なんだあれは.......』

 

『船なのかあれ.......』

 

監視員達が急にざわつき始める。何事かと双眼鏡を覗いてみると、見たことも無い艦艇がいた。グラ・バルカス帝国の誇る最大最強の戦艦、グレードアトラスター級超弩級戦艦一番艦『グレードアトラスター』である。

 

「なんてでかい砲を積んでやがるんだ!!!」

 

主砲の45口径46cm三連装砲を3基搭載した黒鉄の城は、砲を誇らしげに水平線に向けている。グラ・バルカス帝国超弩級戦艦『グレードアトラスター』は、神聖ミリシアル帝国港町カルトアルパスに入港した。

 

 

「何で揃いも揃って、国際会議の場で砲艦外交やってんだ.......」

 

この直後、大日本皇国の代表である川山を乗せた客船と護衛として随伴している海上保安庁の巡視船『しきしま』が、カルトアルパスに入港した。だが川山は、眼前に広がる光景に頭を抱えて項垂れている。

一応護衛の話は出たのは出たが、旧世界で言うアメリカの立場となる神聖ミリシアル帝国が警備しているのもあって、「流石に国際会議の場に軍艦を引き連れて行く訳にもいかんだろう」という判断で海軍艦艇の護衛は見送られたのだ。やはり未だ、旧世界の常識は抜け切れてないらしい。

 

「こんな事なら、浩三に頼んで例の新型戦艦引っ張って貰えばよかったわ.......」

 

川山の脳裏には、パーパルディアでの反省がよぎっていた。あの戦争が起きたのは、パーパルディアが皇国の国力を相当下に見ていたというのもある。その為、最近では他国との外交の場でも、しっかりと国力を説明する様にしてある。これが理由で、もしまた厄介事に巻き込まれでもしたら溜まった物じゃない。

そんな不安を抱えながら、川山と部下の朝田は会議場である帝国文化館に向かう馬車に乗り込んだ。

 

 

 

二時間後 帝国文化館 正面ホール

「もうすぐですね、しん先輩」

 

「そうだねー。でも事前の根回し一切無し何だが.........」

 

「予想つきませんね」

 

これまで経験してきたどの会談でも、必ずあった事前の根回しというのが存在せず、全く流れが読めない。流石に顔に出しはしないが、2人共胃がキリキリと痛む。

そんなことを話していると、3人の人影が近寄ってきた。ロングコートの様なローブの様な、何とも言えない特殊な服装から察する辺り、民族衣装なのだろう。

 

「大日本皇国の方、ですね?」

 

「はい、そうですよ」

 

「私は中央世界のアガルタ法国の外交庁に勤める、マギと申します。以後、よろしくお願いいたします」

 

こんな丁寧な挨拶の上で、握手を求めてくれる平和な挨拶はいつ以来だろうか。これまで相対した国々は、大体戦争コースまっしぐらだったのもあって、ちょっと感動すら覚えた。

 

「大日本皇国外務省、川山と申します。こちらこそ、よろしくお願い致します」

 

差し出された手を握り、両者共固い握手を交わした。

 

「川山殿、お会いできて光栄です。日本国の戦闘法術は、中央世界でも噂になっていますぞ。この魔法文明の世界において、科学文明のみで成り上がり、東の文明圏外国家でありながら、列強パーパルディア皇国に挑み、皇軍を完膚なきまでに叩き潰した勇敢な民族が住まう国だと。列強ムーでさえ科学技術に重点を置いているとはいえ、魔法に頼っている部分もある。

しかし日本国は、ほぼすべて科学技術のみで成り立っている不思議な国だと聞いています。私たちの今までの常識では、魔法が使えなければ碌な文明を築く事が出来ず、聞こえは悪いが、蛮族というイメージが強い。しかし日本国は魔法無しで高度な文明を築いていると聞き、我がアガルタ法国は、日本国に対し非常に興味を持っています。今度、是非日本国にも伺ってみたいものです」

 

「ありがとうございます。是非、一度日本にいらして下さい。

今回の国際会議では、皇国は初参加となります。どうか、よろしくお願いいたします」

 

本当に久しぶりに超平和的なファーストコンタクトに成功して感動に浸っていると、放送が流れた。どうやら会議が始まるらしい。議場に入り暫くすると、議長の号令で会議が始まった。

それではここで、簡単に参加国を紹介しておこう。

 

常時参加国

・魔法文明の最高峰 神聖ミリシアル帝国

・竜人の王国 エモール王国

・科学文明国 ムー

 

参加国

・謎の新興軍事国家 グラ・バルカス帝国

・世界最強の最古国家 大日本皇国

・謎多き国家 トルキア王国   

・学院制国家 アガルタ法国   

・共産的学院制国家 マギカライヒ共同体

・連邦国家 ニグラート連合  

・パ皇の被害者 パンドーラ大魔法公国

・傍迷惑帝国の面倒臭い子分 アニュンリール皇国

 

こんな感じ。因みにトルキア王国は原作でも殆ど触れられてないので、謎多き国家である。

まず初めに発言した国家は、エモール王国であった。ミリシアルの使節団と共にやってきたエモール王国使節団にも居たモーリアウルである。

 

「エモール王国のモーリアウルである。今回は、皆に伝える事がある。重要な事であるため、心して聞くがよい。

先日、空間の占いを実施した」

 

エモール王国の国家の総力をかけて行う空間の占いは、その的中率が90%代後半にも及び、各国の代表は彼の発言に聞き入る。だが川山としては、国際会議で占いという単語が出てきた事に笑いそうになるが。

 

「その結果だが.......。古の魔法帝国、ラヴァーナル帝国が近いうちに復活するとの結果が出た」

 

場が一気に絶対零度にまで凍り付いた。ラヴァナール帝国は今尚、この異世界で存在感を出し続ける伝説の国家である。コア魔法という核爆弾モドキを作り、ICBMすらも実戦配備していた国家であり、この世界では文字通り神々の国と言ってもいいくらいに雲泥の差がある。そんな国と戦うとなれば、流石に騒ぎもするだろう。

 

「時期や場所は空間の位相に歪みが生じており、判然としない。が、我らの計算だと今から4年から17年までの間にこの世界の何処かに出現するだろう。

奴らに、どれほど抗する事が出来るのか、伝承がどれほど本当なのかは不明だが、奴らの遺跡の高度さが、その文明レベルの規格外の高さを物語っている。

各国はいらぬ争いをする事なく、軍事力の強化を行い、世界で協力して古の魔法帝国、ラヴァーナル帝国復活に準備をするべきである」

 

因みに大日本皇国の統合参謀本部で、もし仮に今ラヴァナール帝国が復活して戦った場合、どうなるかシュミレートしたことがある。勿論秘密兵器の類いはあるかもしれないので、一概には言えないのだが、一応試算の結果は例え各国が最大限協力して戦ったとしても、勝率は0.35%であった。因みに大日本皇国単体の場合は71.95%。

 

「くっくっくっ。ハーっはっはっは!!!」

 

突如、グラ・バルカス帝国の外交である20代位の女性が笑い始めた。会場参加者の多くが、非難的な目で彼女をみる。

 

「いやいや、失礼。私はグラ・バルカス帝国外務省、東部方面異界担当課長のシエリアという。魔帝だか何だか知らんが、過去の遺物を恐れるとは、その現地人のレベルに唖然としている所だ。そもそも占いなぞ、そんなものを国際会議で発言する神経が私には理解が出来ないよ。しかも、この世界の列強と呼ばれる国が、この発言。

我が国にあっさりと滅ぼされたレイフォルも弱かったが、列強と言われていたらしい。

世界会議か。レベルの低さがしれるな」

 

「新参者が何をいうか!この礼を知らぬ愚か者め!!」

 

エモール王国と同盟国、トルキア王国の使者がグラ・バルカス帝国のシエリアを罵る。それを制して、モーリアウルはゆっくりと口を開く。

 

「新参のグラ・バルカス帝国か、魔法を知らぬ人族主体の国らしいな。

魔力数値の低い人族ごときがほざくな。貴様らごときに期待はしていない」

 

「科学を理解出来ぬ亜人風情が我が帝国に、一人前の口をきくとはな」

 

「亜人とは人間以下、という意味だ。我が国は竜人族ぞ。下種が!」

 

会議は紛糾し、議長が場を鎮める。流石の川山も完全に呆然としていた。国会ならまだしも、国際会議でこんな大喧嘩なんて起きる事はまあまず無いのだから。

 

「なんか、すんごい会議だな」

 

「いやもう、前世界では考えられない進行状況ですね。頭痛いです.......」

 

議長の制止で漸く場が静まったこで、ムーが手をあげ発言権を得る。

 

「我が国、ムーは先進11ヵ国会議において、グラ・バルカス帝国に関する非難声明を発し、同国に対する懲罰のため2年以上の交易制限を発議いたします。

理由としましては第2文明圏イルネティア王国、王都キルクルスに対する大規模侵攻です。国家間同士の戦争ではあるが、このところ彼らは、やりすぎだ。このまま彼らを許すと、世界秩序を破壊する可能性があります」

 

「確かに、グラ・バルカス帝国は、世界秩序を乱しすぎている。このまま第2文明圏国家を侵攻し続けていると、我が神聖ミリシアル帝国も介入せざるを得なくなる。我が国はムーの提案に賛成するとともに、グラ・バルカス帝国に関し、第2文明圏の大陸から即時撤退を求める」

 

誰もが認める世界最強の国の介入。それを聞いただけで、すべての国が震えあがり剣を治める事がほとんどだった。全員の視線がグラ・バルカス帝国の美しき外交官シエリアに向けられる。だが彼女はそれを意に返さず、堂々と言いのけた。

 

「一つ、最初に伝えておこう。我が国は今回、会議に参加し意見を言いに来たのではない。

この地域の有力国が一同に会するこの機会に、通告しに来たのだ。グラ・バルカス帝国 帝王グラ・ルークスの名において、貴様らに宣言する。

 

我らに従え。

我が国に忠誠を誓った者には、永遠の繁栄が約束されるだろう。

ただし従わぬ者には、我らは容赦せぬ。

沈黙は反抗とみなす。

 

まずは尋ねよう。今、この場で我が国に忠誠を誓う国はあるか?」

 

どうやら、流石の先進11ヶ国会議とて実質的な宣戦布告は前例が無かったらしい。一瞬の静寂が場を支配するが、すぐに使者達が言い始めた。

 

「バカか?あの女は」

 

「下種が!」

 

「蛮族が何をのたまっているのだ?」

 

あまりにも突然の、あまりにも非常識な発言に会場は非難の嵐が吹き荒れる。場は騒然とし、怒号が飛び交い、中々にカオスだ。

というか最早、ここが国際会議の場だと言われても信じられないくらいにぶっ飛んだカオスになってしまっている。

 

「やはり、今従属を誓う国は現れぬか。まあ、当然だろうな。帝王様は寛大だ。我が国の力を知った後でも構わない。その時は、レイフォルの出張所まで来るがよい。まあ、かなり自国が被害を受けた後になりそうだがな。では現地人ども、確かに伝えたぞ!!」

 

そう言い残すと、シエリアと他の外交官は議場から出て行った。そして川山と朝田は、もうツッコミが追い付かないこの状況に頭を抱えていた。

この翌日、この前代未聞の事態は最悪の形となって世界中に激震を走らせる大事件の幕開けとなったのだった。

 

 

「さーて、今日の仕事は終わった。明日の準備もした。よし、帰ろう」

 

いつもと変わり映えしない日常。いつものように朝、愛する妻達に見送られて出勤し、業務をこなして夜になったら家に帰る。いつも通りの日常の筈、だったのだが…

 

「長官!!!!」

 

「うおっ!?ど、どうした向上」

 

執務室に副官である向上六郎が入って、いや。突撃してきたのだ。この感じは、多分もしかしなくても厄介事である。

 

「こ、これを!」

 

そう言って渡してきたタブレットには、ミリシアルの南西海域にあるマグドラ群島近海の衛星画像だった。戦闘の後なのだろう。黒煙が登り、船舶の残骸が散らばっている。

 

「何があったんだ?」

 

「昼頃、神聖ミリシアル帝国の保有する第零式魔導艦隊が、グラ・バルカス帝国と思われる艦隊の襲撃を受け、壊滅しました」

 

「おいちょっと待て。色々待て。え、何。グラ・バルカス帝国が襲っちゃったの!?ミリシアルを!?!?」

 

「はい.......」

 

普通に考えてヤバい。非っっっっっっっ常に超絶ヤバい。神聖ミリシアル帝国とは、異世界に於けるアメリカ。そんなみんなのお友達に喧嘩を売れば、勝ち負けは別として、確実に国際社会での立場はない。というかそれ以前に、宣戦布告も無しに戦争なんてヤバいの極みである。

 

「ですが問題なのは、こちらです。この後、艦隊はそのままカルトアルパスの方に向かっています。しかも後方には多数の輸送船も.......」

 

「向上。すぐに召集かけろ。健太郎に話通してくる」

 

すぐにこの事を総理である一色健太郎に報告し、出撃の許可を取る。艦隊はまあまず間に合わないので、特殊戦術打撃隊の空中母機『白鳳』と『白鯨』と『黒鯨』からなる空中空母艦隊を派遣する事にした。

これに最精鋭の神谷戦闘団を乗せ、もし仮に陸上戦に発展した場合にはこれを用いて殲滅する。更に近海を偶々航行中だった第五潜水艦隊*1も投入し、グラ・バルカス帝国を血祭りに上げる準備は整った。

 

 

 

翌日 神聖ミリシアル帝国 帝国文化館

「これより、先進11ヵ国会議実務者協議を開催いたします。」

 

 司会進行の言葉と共に、本日の会議が始まる。

 

「本日は議長国の神聖ミリシアル帝国から、皆さまへ連絡がございます。先日、現在グラ・バルカス帝国の艦隊が我が国の西の群島に奇襲攻撃を行い、地方隊が被害を受けました」

 

半分嘘であるが、事実である。流石に世界最強と謳われる「第零式魔導艦隊壊滅しました」なんて口が裂けても言えない。国益のため、第零式魔導艦隊は『地方隊』と名を変えて、奇襲されたという事にして情報を伝える。

だが、地方隊とは言えど神聖ミリシアル帝国の部隊に被害を与えた事に、場が衝撃に包まれる。

 

「テロ対策として本港カルトアルパスには、巡洋艦8隻が警備についておりますし、空港から空軍がエアカバーを行いますので問題はありませんが、グラ・バルカス帝国が万が一、我が国本土に攻撃を加えた場合の事も考慮し、万全を期するために本日の夕方までにカルトアルパスから全艦隊を引き上げていただき、開催地を東のカン・ブラウンに移したいと思います。事前に通告していた場所とは異なりますが、ご理解いただきたい」

 

「あの新参者であり、かつ無礼者が攻撃してきたからといって、世界の強国会議ともいえる、国々が尻尾を巻いて逃げるというのか?堂々と会議をすればよい」

 

ミリシアルとしては、海外からの賓客である各国の代表達に擦り傷一つ負わせたく無いのだろう。安全確保の為に移動したいのだが、モーリアウルがそれを止めた。

 

「我が国は陸路だが、ここに来ている者たちは何処もそれなりの規模の艦隊を連れてきているのだろう?

魔力数値の低い人族のみで構成された、しかも文明圏にすら属していない国を相手に、強国が多数、戦わずして逃げるのは情けないと思うぞ。我が国は陸路で来ているため艦隊は無いが、控えの風竜22騎ならば、これを投入してもよいぞ」

 

この一言に触発されたのか、続々と他の国家達も艦隊を投入していくのを表明していく。だがこれで困るのは、我々皇国だ。何せ護衛に連れてきた『しきしま』は軍艦ではなく、単なる巡視船。海上保安庁の巡視船の中では一番な重武装とは言えど、武装は機関砲のみ。肩や今回の敵は、第二次世界大戦相当の兵力を持つ軍隊。こんなので勝ち目はない。その為皇国としては、黙り込むしか無かった。

だが幸か不幸か、ミリシアルは何が何でも退避して欲しいらしい。退避して欲しいミリシアルと、舐められた事にご立腹な文明国一同の押し問答が繰り広げられている。この間に川山は本国に連絡を取ろうとした時だった。神谷から電話が掛かってきたのだ。

 

『おう慎太郎、まだ生きてるな?』

 

「(浩三!俺今、会議中!!!!)」

 

『だから電話した。昨日、ミリシアルの第零式魔導艦隊、つまり相手さんの最強艦隊が全滅した。やったのはグラ・バルカス帝国。今カルトアルパスに、空母と戦艦含む艦隊と輸送船団が向かってる。この事をミリシアル側に伝えろ。衛星画像も送付しておく』

 

奇襲されたのが地方隊ではなく、ミリシアルの誇る第零式魔導艦隊なのは驚いたが、そんなことを考えている場合では無い。この事を報告しようとしたが、どうやらミリシアル側も把握したらしい。

 

「先ほど、我が国の哨戒機がカルトアルパス南方約ま150km地点を北上するグラ・バルカス帝国の艦隊を発見いたしました。これより航空戦力で攻撃を行う予定ですが、このままではカルトアルパス南方60kmの海峡に至ります。グラ・バルカス帝国の船速と、ここから海峡までの距離を考えると、もう避難は間に合わないでしょう。

皆さまの案、急遽連合軍を組織し迎え撃つ事になってしまいましたが、あなた方外交官と外務大臣の身の安全だけは、我が国の義務として身の安全を確保させていただく。早急に鉄道で北に避難していただきます」

 

「(浩三、どうやらミリシアルは俺達を鉄道で逃がして、連合軍で迎え撃つそうだ。生きて、日本で会おう)」

 

『心配すんな。すぐに会える。今俺は我が神谷戦闘団を率いて、そっちに急行中だ。もし仮に奴等が上陸したら、俺達が殲滅する。お前らには指一本触れさせはしない』

 

「(相っ変わらず仕事早いな。OK、そっちは任せるぞ!)」

 

流石に攻撃される事がわかった以上、川山としても心細かった。だが神谷が来るなら、話は別だ。この情報だけで、川山は勇気が湧いてくる。すぐに川山は言われた通りに、議長に全てを報告した。

 

「議長!」

 

「何でしょう?」

 

「我が国は、あくまで海賊対策用に軍艦ではなく警察組織の巡視船を護衛として連れて来ました。ですので、余り連合軍との戦闘でも足手纏いになると思います。ですが、先程本国より連絡がありました。貴国の強い地方隊(・・・・・)が被害を受けたのを、既にキャッチしています。これを受け我が国は、航空隊と地上部隊を此方に派遣しています。またグラ・バルカス帝国の艦隊に関しても、後方に輸送船団が随伴していますので、カルトアルパスに上陸される可能性も視野に入れて頂きたい」

 

本来ならハッタリだと突き返すだろうが、強い地方隊と強調してきた事から、真実を知っていると察せられたのだろう。この話はすぐに受け入れられ、カルトアルパス全域に防衛戦の準備が発令された。

時を同じくして、連合軍も出港を開始。戦力としては

 

・神聖ミリシアル帝国

巡洋艦8

・ムー

戦艦2、装甲巡洋艦4、巡洋艦8、空母2

・大日本皇国

海上保安庁巡視船『しきしま』

・トルキア王国

戦列艦7

・アガルタ法国

魔法船団6

・マギカライヒ共同大

機甲戦列艦7

・ニグラート連合

戦列艦4、竜母4

・パンドーラ大魔法公国

魔導船団8

 

と言った感じで、総勢61隻の大艦隊である。更にエモール王国の風竜騎士22、近隣航空基地からのエアカバーも加わるのもあって、各国の担当者は自信を持っていた。だが『しきしま』の艦長、瀬戸と乗組員達は数だけの案山子にすぎない艦隊に不安しか覚えていなかった。

 

「艦長!カルトアルパスより、出港許可でました!!」

 

「よし、カルトアルパス港湾局に返信。『了解。これより本艦、修羅へ突入す。武運を祈られたし』だ」

 

「今の言葉、送ります」

 

「お前達、本来ならこれは海軍さんの仕事だ。だが、日頃の猛訓練を思い出せ。何が何でも、日本へ帰るんだ!!」

 

艦橋に男達の力強い返事が響く。だが瀬戸にも、乗組員達にも不安はあった。幾ら遥か未来の技術が使われた艦とはいえど、所詮は警備艦。20mmバルカン砲と40mm連装機関砲が1門ずつしかついてない。これでは航空機ならまだしも、戦艦『大和』相手となると、どんなに頑張っても撃退はできない。なら隙をついて海峡を脱出し、こちらに向かっている皇国軍に任せるのが最善策だ。だがそれをできる望みは、余り無い。

 

 

 

同時刻 ムー海軍旗艦『ラ・カサミ』艦橋

「日本との技術供与で、このラ・カサミは強化されている。だが、どこまでやれるか.......」

 

「ですね。一応、機銃は全てアーバス20mm機関砲に換装してしますし、新開発の8.8cm高角砲も搭載してますから、少しは相手取れるでしょうが、いかんせん味方が頼りになりませんからね」

 

そう言う『ラ・カサミ』の艦長ミニラルと副官だが、例え高角砲を積んでいても意味がない。対空砲が航空機に通用するのは、高角、つまり角度を取れるからではない。砲弾に時限信管ないし近接信管がついているから、航空機に対して有効なのだ。

だが、この高角砲の砲弾には普通の触発信管、つまり当たって作動するタイプの信管しかついてない。これが意味するところはつまり、数百kmで襲い掛かってくる航空機に、砲弾を直接ぶつけろという事である。普通に考えて無理ゲーでしかない。

 

「神聖ミリシアル帝国から連絡あり!グラ・バルカス帝国と思われる航空機が南西方向から多数カルトアルパスに接近中!!距離130km、総数200!!!!!!」

 

「に、200だと!?!?」

 

通信兵の報告にミニラルは愕然とした。200機も繰り出して来たとなると、恐らく敵は全てが正規空母クラスの大型空母を持った主力機動部隊という事になる。既に分が悪すぎる。

 

「神聖ミリシアル帝国からの連絡は、200機で間違いありません!!敵の機種は不明!なお現在、カルトアルパス空軍基地からアルファ3型制空戦闘機が42機が要撃のために離陸いたしました」

 

「アルファ3、神聖ミリシアル帝国の最新機種だな。しかし、敵の数200は多いな。爆撃型は何機含まれているのだろうか?

敵の空母機動部隊の位置は判明するか?」

 

「敵空母機動部隊の位置不明!!」

 

「直掩機をあげろ!!上がれる機体は全部上げてるんだ!!」

 

こうなったら、こちらも一応の新鋭機であるマリンをぶつける他ない。マリンで何処までやれるかは未知数だが、きっとどうにかなる。そう願うしかなかった。

 

「爆装種別はいかがいたしますか?」

 

「艦隊防衛を優先する。爆装無しですべて上げ、艦隊周辺のエアカバーを行え!!ミリシアル帝国と同士討ちにならぬよう、艦隊周辺を離れるな!!」

 

「了解!!」

 

命令を受け、一応の新鋭機であるマリンが発艦していく。最初に『一応』とついてるのは、現在の最新鋭機はマリンではなく量産体制の整ったF4Uコルセアを元にした『艦上戦闘機コール』なのだ。因みにこの任務の後、この艦隊に参加している空母にも搭載される予定である。

一方その頃、カルトアルパス空軍基地を飛び立ったミリシアルの第7制空団は南東方向に向けて進路を取っていた。その最中に、司令からの無線が入る。

 

「諸君。間もなく君達は、グラ・バルカス帝国の航空隊、約200機と戦闘に突入するだろう。君達の機数は少ない。しかし!臆する事は無い!!!!

君達は、中央世界最強の国の、最新鋭機に乗って戦うエリートだ。

対グラ・バルカス帝国では初の最新鋭機の戦闘となるため、諸君の活躍に期待している。機械動力の航空機ごときに、魔法文明が遅れを取るわけにはいかない。我らの誇りは君たちにかかっているといっても過言ではない。諸君らに、戦神の導きのあらんことを」

 

この無線の直後、目の良いパイロットが敵機を見つけた。団長のシルバーも言われた方向を見る。眼科を飛ぶ航空機はムーの様にプロペラを機首に持った機体で、速度はムーの機体の遥か上をいっている。だが奴等はこちらに気付いていない上に、こちらの方が高度は上。なら取る戦法は一つしか無い。

 

「先頭集団をたたくぞ!!全機突撃!!敵編隊上方から攻撃を行った後、そのまま敵後方低空へすり抜けるぞ!!!」

 

一撃離脱による先制攻撃である。だが降下を開始しようとした瞬間、真上に燦然と輝く太陽に一瞬影が出来た。その次の瞬間、周りの友軍機がオレンジ色の光弾に貫かれて炎を上げた。

 

「後方上空敵機!!!太陽から来るぞ!!!」

 

「おのれぇ!!」

 

シルバー団長は友軍機を初撃で失った事実に驚愕すると共に、仲間を殺した敵に対し怒りに燃える。第7制空戦闘団は各自散開し、グラ・バルカス帝国のアンタレス型艦上戦闘機と乱戦に突入した。

数はこちらが多い。シルバー団長は、勝利を確信していた。だが、そうは問屋は卸さない。

 

「くそっ!!また後ろに着かれた!!!振り切れな」

 

友軍機の魔信が途切れ、1機、また1機と火を噴きながら雲の海に消える。

 

「そ、そんな!!後ろに着けない!!旋回能力が違いすぎる!!し……しまっ!!」

 

「ばかな!!上昇能力でも勝てないだと!!!」

 

敵機の上昇能力に着いていけず、反転したところを撃墜される。というか何なら、後ろに着かれたらもう振り切れない。しかも乱戦の影響で、注意が散漫になり隙を突かれやすくなってしまっている。いつしか有利だったはずの数も、有利どころか不利の域にまで数を減らしていた。

 

「おのれぇぇぇぇぇ!!!」

 

シルバー団長は気合をもって、アルファ3を操る。敵の後ろに着こうとするも、身軽な敵は彼の射撃をあっさりとかわし、シルバーの後ろに着く。

 

「くそっ!!くそっ!!くそぉぉぉぉ!!!」

 

1機のアンタレスが真正面から、こちらに向かってくる。ヘッドオンで向かい合うが、シルバーの機体は多数の20mm機銃弾を浴び、爆散。雲海に散った。

この戦いを魔力探知レーダーで観測していたカルトアルパス空軍基地司令は、全機体を投入しての制空戦にする事を決定。すぐに航空機を上げ、近隣基地にも応援を要請した。だが、そんな事も焼石に水にすぎない。ジェット機は元々、格闘戦には向かない。速度、上昇力なんかはジェットだが、旋回や単なる戦闘機動に関してはプロペラ機に分がある…のだが、ミリシアルの場合は、速度がそんなに出ないのだ。

機体がジェット機に対応してない構造なので、速度が出ないどころか敵の主力機であるアンタレスよりも遅いという始末。しかもジェット機特有の機動性の悪さは超しっかり引き継いでるので、グラ・バルカス帝国パイロットからしてみれば単なるカモにすぎないのだ。

 

 

 

数十分後 カルトアルパス沿岸 フォーク海峡

「敵機来襲!!」

 

この頃になると、肉眼でも期待を捉えられた。すぐに各国の艦艇は対空戦闘に入る。ルーンアローという追尾式の矢を撃ったり、上空に待機していた航空隊と竜騎士隊が戦闘を開始するも、これが全くと言って良いほど効かない。ルーンアローは擦りもしないし、航空隊、というかマリンとワイバーンは本来なら戦闘機のカモにしかならない筈の爆装、雷装をした航空機に追いかけ回され、撃墜される始末。しかも終いには、こんな事も起きてしまった。

 

「敵船の水兵をビビらせる」

 

ズドドドドドドドドドド!!

 

機銃掃射で水兵をビビらせるつもりが、なんと豆鉄砲の7.7mm弾が甲板を突き抜け魔石に命中。誘爆して爆発し轟沈したのだ。

 

「うそぉ!?!?」

 

これにはパイロットも驚き、大急ぎで機首を上げる。まさかここまで脆いとは思わず、拍子抜けであった。釣りなんかで使う小型のボートや漁船ならまだしも、歴とした軍船がこの始末。予想しろという方が無理だろう。

だが一カ国だけ、マトモ以上に渡り合っている国家があった。

 

「正当防衛射撃、撃て!!」

 

大日本皇国海上保安庁、巡視船『しきしま』である。船体前部に設置された40mm連装機関砲が火を吹き、対空攻撃を開始する。流石に海軍の軍艦と同等、とまではいかないながらもレシプロ機位なら余裕で相手取れるだけの火器管制レーダーは持っているので、襲い掛かる敵機を一気に堕とすくらいは造作もなかった。

 

「全機撃墜!!!!」

 

「レシプロ如きに遅れは取らん!!」

 

『しきしま』を始めとした一部の艦艇が対空戦闘を継続する中、密かにアガルタ法国は秘策の準備に入る。

 

『アガルタ法国魔法船団、艦隊配置で六芒星を形成。艦隊級極大閃光魔法の準備を開始した模様』

 

「艦隊級極大閃光魔法って何だ?なにか情報はあるか?」

 

「いえ、全く」

 

彼らが話している間に、前を行くアガルタ法国の船が光り始め、6隻が六芒星の形を形成する。次の瞬間、艦隊によって形成された六芒星の中心部から、上空に向かって閃光がほとばしる。日本人がそれを見たならば目視できるレーザーのようにも見える。

アガルタ法国魔法船団から発射された閃光魔法は、直線に飛ぶが、魔素の位相変化により、超高速で、発射方向を変える。上空をなめるように移動する閃光により、2機の敵機が炎に包まれる。

 

「レーザー砲か!!!!やっぱ魔法って凄いわ」

 

「「「「「異世界スゲー!!!!!」」」」」

 

『しきしま』の乗員達は、普通じゃあり得ないし考えつかない様な異世界ならではの攻撃手段に戦闘中ながら興奮していた。中には「これで勝てんじゃね?」なんて考える者も。所がどっこい、この魔法は余り意味がなかった。

 

「ん?」

 

大体10秒くらいだろうか?シュンと光が細くなり、2回くらいの点滅の後、レーザーが消えて船体も光らなくなっていた。

 

『魔法船団魔力枯渇、再充電まで368秒』

 

「「「「「短かッ!!!!ってか充電長ッ!!!!」」」」」

 

368秒の充電で使えるレーザー砲。戦果、航空機2機撃墜。全く割にあってない攻撃に全員が落胆するが、そんな事も言ってられない。既にムーの航空機含む、連合航空隊はその悉くが堕とされてしまい、殆ど上空に味方機は残っていない。

それどころか、マトモに反撃できてるのが皇国を除くとムーとミリシアル、それからエモールの風竜位しかいない。他の国々は、その全てが海に沈むか炎上しながら湾内を迷走している始末。状況は最悪以外の何ものでもない。

 

「!?やばいやばいやばいやばい!!!!艦長!!!!」

 

「何だ!?」

 

「例の大和もどきです!!大和もどきが、湾内出口を封鎖しています!!!!!」

 

すぐに確認すると大和クラスの大型艦が、湾出口を封鎖している。戦艦『大和』。大日本皇国海軍の象徴であり、先の大戦から今も尚使われ続ける世界で最も長く使われた軍艦にして、敵首都への殴り込みを敢行した世界最強の戦艦。その戦艦と同等の艦が今、自らの進路を封鎖している。その事実に絶望を覚えるが、こうなったら大和もどきに突撃し、そのまま祖国へ帰還するしかない。

 

「総員傾注。これより本艦は、敵の大和型戦艦に向けて突撃を敢行する。今まで以上に危険で、尚且つ生還の可能性は薄い。だがこれは、死にに行くのでは無い。生き残るために、死中に活路を見出すのだ!!各員、自分の受け持つ仕事を何が何でも守り抜け!!!!!!」

 

瀬戸の艦内放送に触発され、今まで以上に海上保安官達に闘志が燃え上がる。

 

「目標、敵大和型戦艦!!最大船速!!!!」

 

「アイ・サー!!!!」

 

機関が唸りを上げ、速度が上がる。機関科員達がとにかく全開でエンジンを回し、速力を安定させて『グレードアトラスター』へ向けて突撃する。

 

「敵艦後部主砲及び副砲が我が方に向かって旋回しています!!!」

 

「回避運動、面舵一杯!!!!!」

 

操舵員が素早く舵を右に回して、艦の進路が右にずれる。次の瞬間、グレードアトラスターが発砲。すぐに右の水面に水柱が上がり、船体が右に左に激しく揺れる。

 

「正当防衛射撃!!!!対空砲とかを狙え!!弾切れなんか気にすんな!!!!取り敢えず撃てる物全部ばら撒け!!!!!!!」

 

たかだか機関砲で、大和型の装甲が破れるわけない。だがそれは、船体の話である。艦上にある対空砲やボートは、機関砲でも十分破壊できる。大和型には野ざらしの物もあるが、中にはシールドで守られた対空火器もある。だがこのシールドはあくまで主砲発射時の衝撃波から守る物であって、防弾目的では無い。なので機関砲でも、普通に貫通できるのだ。

 

「対空砲、機関砲、ボートに続々と命中!!爆炎も上がっています!!!!!」

 

「敵艦発砲!!!」

 

次の瞬間、船体がさっきとは比べもならない位揺れて、金属音が聞こえた。咄嗟に振り向くと、船体に巨大な大穴が開いている。

 

「貫通してくれたのか........」

 

「不発弾だ.......」

 

誰もが安堵した瞬間、船体が下からの爆発に巻き込まれて船尾からぽっきりへし折れた。砲弾は不発弾なんかでは無かった。遅延信管で貫通して船内で起爆するはずが、装甲が想定より薄かった結果、偶々貫通後に起爆してしまったのだ。

46cm砲弾の圧倒的な威力は、いとも容易く『しきしま』を破壊し、瀬戸艦長以下、100名が殉職。18名が運良く海に投げ出され漂流した。更にこれに加えて、ムーの『ラ・カサミ』は爆弾の命中で機関が暴走。そのまま座礁し大破した。ミリシアルの巡洋艦も『グレードアトラスター』の砲撃で沈んだ。ここにフォーク海峡海戦と名付けられる戦いは、グラ・バルカス帝国の勝利で終わったのである。

 

 

 

戦艦『グレードアトラスター』 艦橋

「艦長、まだ時間はあるな?」

 

グラ・バルカス帝国の若き外交官、シエリアは『グレードアトラスター』の艦長に尋ねた。

 

「?まあ一応は。上陸部隊の到達までは、少し時間はありますが」

 

「彼らを駆逐艦で救助してほしいのだが、可能か?国を守るために戦士として戦った彼らに罪は無い」

 

「ほう」

 

艦長は少しシエリアの行動に感心する。艦長は外交官に良い思い出がない。というのもイルネティア王国を攻めた時、ゲスタという外交官を乗せたのだが、この男、なかなかのクズだったのだ。詳しくは今後明かされるので今は語らないが、このゲスタのおかげで艦長以下、乗組員にとって外交官はクズというのが共通認識になっている。しかし彼女はどうやら、シーマンシップなり武士道を理解してくれているらしい。これには正直、武人として嬉しかった。

 

「解りました。時間が許す限り、駆逐艦を使って救出しましょう」

 

「捕虜としての権利も伝え、帝国は捕虜を丁重に扱う旨も伝えといてくれ」

 

「はい、解りました」

 

すぐに駆逐艦を動員し、救出作業を開始する。漂流していた18名の海上保安官もまた、救助されたのであった。

 

 

 

 

*1
『紺碧計画』で建造された潜水艦を主軸にされた潜水艦隊。現在第一から第三十五まである。編成は伊1500号型10、伊2000号型3、伊2500号型4、伊3000型8、伊3500型1(旗艦)となる。

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