最強国家 大日本皇国召喚   作:鬼武者

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すいません、新兵器を設定集に書き足すの忘れてました。今は追加されています


第六十一話海戦後の皇国

バルチスタ沖海戦終結より1週間後 大日本皇国 統合参謀本部

「失礼致します」

 

この日、派遣していた麦内指揮の艦隊が帰還した。麦内は一足先に帰還していた神谷に、報告書を手渡す。

 

「ありがとう。汚れ仕事を任せてしまい、申し訳なかった」

 

「神谷、私が訓練校で教えた事を忘れたか?考えるべきは自国の事だろう」

 

「.......そう言って貰えると救われますよ、麦内教官」

 

麦内はかつての神谷の訓練教官であり、旧知の仲なのだ。麦内に海軍軍人としてのイロハを叩き込まれれた。それ故に神谷はこういう時は頭が上がらない。

 

「詳しくは報告書を見てもらいたいが、喜べ。お前の狙い通りだ」

 

「それなら自由に暴れられそうです。教官の艦隊も、近い内に出番が来ます。それまでは英気を養ってください」

 

「そうさせて貰う。あ、そうだ。今度、酒でも奢れよ」

 

「.......奥さんと主治医に通報するか」

 

「うわー!待て待て!やめて、お願い!」

 

因みに麦内は最近肝臓を悪くし、医者からも酒を飲むなと言われているが度々こっそり飲んでは、その度に妻に怒られている。水兵の間では「最早、怒られる為に酒を飲んでるのでは?」とまで言われていたりと、麦内にとって妻は天敵なのだ。

 

「全く。早死にしますよ?」

 

「僕は死にましぇーん!!!」

 

「ジバニャンボイスでそれ言うのやめましょうか」

 

「冷静にツッコミいれないで。おじさん悲しくなる」

 

そしてこのオヤジ、普段は将軍っぽい感じだが偶にこうなる。もう扱いも慣れてるので適当に合わせて、お帰り頂いた。

神谷は1人、デスクの上で報告書を確認する。流石に報告書全てをここに書くと、私のやる気が失せるので簡単に書かせて貰う。まずは確認できた参加兵力と、その被害。

 

 

参加兵力

世界連合軍

世界連合艦隊

・戦艦11

・空母6

・航空戦艦2

・装甲巡洋艦8

・重巡19

・軽巡16

・駆逐12

・戦列艦333

・竜母10

・その他7

・航空機326

・ワイバーン150

合計 484隻

 

神聖ミリシアル帝国艦隊

・戦艦6

・空母6

・重巡24

・軽巡48

・駆逐艦120

・航空機336

合計 204隻

 

その他別働隊

・第二文明圏連合竜騎士団120

・空中戦艦2

 

 

グラ・バルカス帝国

・戦艦15

・空母14

・重巡30

・軽巡42

・駆逐234

・潜水艦5

・航空機1008

合計 335隻

 

 

損害

世界連合軍

世界連合艦隊

・戦艦6(3隻沈没、2隻大破、1隻中破)

・空母4(2隻沈没、1隻大破、1隻中破)

・装甲巡洋艦8(7隻沈没、1隻大破)

・重巡10(7隻沈没、3隻大破)

・軽巡14(12隻沈没、2隻大破)

・駆逐6(全滅)

・戦列艦333(全滅)

・竜母10(全滅)

・その他7(全滅)

・航空機61機喪失(損失率18.7%)

・ワイバーン150騎喪失

合計 380隻沈没、9隻大破、2隻中破(喪失率80.7%)

 

神聖ミリシアル帝国艦隊

・戦艦5(2隻沈没、1隻大破、2隻中破)

・空母6(4隻沈没、1隻大破、1隻中破)

・重巡24(15隻沈没、5隻大破、4隻中破)

・軽巡48(31隻沈没、8隻大破、9隻中破)

・駆逐艦120(80隻沈没、25隻大破、15隻中破)

・航空機(喪失機数不明)

合計 132隻沈没、40隻大破、31隻中破(喪失率99.7%)

 

その他別働隊

・第二文明圏連合竜騎士団120(全滅)

・空中戦艦1隻喪失

 

 

グラ・バルカス帝国

・戦艦10(8隻沈没、2隻大破)

・空母5(2隻沈没、1隻大破、2隻中破)

・重巡17(14隻沈没、2隻大破、1隻中破)

・軽巡34(27隻沈没、2隻大破、5隻中破)

・駆逐187(149隻沈没、23隻大破、15隻中破)

・航空機600〜700機喪失(損失率59.5〜69.4%)

合計 200隻沈没、40隻大破、23隻中破(損失率78.5%)

 

両者共にボロボロである。両者共、戦力の5分の4程度を喪失する壮絶な戦いであった。それにレポートでは中破までしか書かれていないが実際は小破判定を貰ってる艦も大量にあり、完全なノーダメージで戦いを生き延びたのは皇国軍と他数隻という所だ。

何れにしろ、少なくとも暫くの間は大規模な主力艦隊がぶつかり合う海戦は無いだろう。というか出来ない、と言った方が適切である。

 

「入るわよ」

 

「お、エリスじゃん。どうした?」

 

「どうしたも何も、今日の弁当当番は私よ?忘れてたのかしら?」

 

「え。あ、ホントだ。もう昼か」

 

未だ結婚式こそ忙しくて挙げられてないが、エルフ五等分の花嫁と神谷は普通にこういう執務室でもイチャついている。流石にガッツリはしてないが、あーん位はやってる。その結果、一部の兵士から殺意を向けられていたりする。

それでこの、弁当当番というのが5人が1週間に1日ずつ手作り弁当を作るという物。そして今日は、エリスが当番の日なのだ。

 

「そうよ。アンタ、少し位時間気にしたら?」

 

「レポート見てたら、時間経つの早くて」

 

「まあ、どうでも良いわ。私が作ってあげたんだから、感謝なさい。それと、あくまで私がアンタのお嫁さんなんだから作っただけだから!好きとかじゃないんだからね!?」

 

いや、好きでないなら何故アンタは結婚してんだとツッコミたくなるが、これは単なる擬態である。このツンツン態度は、あくまでも公の場でのみ。一度家に帰れば、ふっつうにデレる。めっちゃデレる。マジで二重人格か、帰る途中で誰かと入れ替わったんじゃねと思う位にデレる。

 

「はいはーい、分かりましたよ。そんじゃ、頂きますと」

 

弁当のメニューは一段目が胡麻塩かけた米、二段目がウィンナー、卵焼き、金平牛蒡、唐揚げ、ほうれん草の白和え、ミニトマトが入っていた。食べてみたが、普通に美味い。

 

「ど、どうかしら?」

 

「.......普通に美味いぞ。特にこの卵焼きが美味い」

 

そう感想を言われたエリスは、一気にパァっと笑顔になる。だがすぐに擬態して、顔を赤くしながらも顰めっ面になり、ツンツンモードへと早変わりした。ここまで来れば、多分役者になっても大成するだろう。

 

「ごちそうさん」

 

「.......ねぇ」

 

「どした?」

 

「今日の夜、またゲームしよ?」

 

「言われずともレイチェル辺りが、徹夜ゲーム大会突入させるだろうよ」

 

満面の笑みを浮かべると、そのままルンルンで執務室を出て行った。それと入れ替わる様に、眼鏡をかけた少しボサ髪の男が入ってきた。見るからに、技術者という風貌である。

 

「おぉ、田中さん。お久しぶりです」

 

「どうも。今、よろしいですか?」

 

「えぇ、勿論」

 

この男こそ、特殊戦術打撃隊の大型兵器の設計を一手に引き受ける天才設計士。田中秀之である。因みに大型機とヘリコプターは皇国空軍空技廠長の西野源三郎、戦闘機は堀二郎という感じで、この3人が設計に立ち入る事が多い。

 

「例の新兵器が完成しましたので、それを早く見せたくて」

 

「分かりました。すぐに行きましょう」

 

2人はヘリに乗り、千葉県にある千葉特別演習場へと飛ぶ。この演習場はちゃっかり2023お正月特別編にて先行登場しているが、改めて紹介しよう。

この千葉特別演習場は千葉県沖に建設された演習場で、その面積は東京の2.5倍大きさを誇り、核兵器を除くあらゆる火器の使用が可能な演習場である。演習場内にはジャングル、砂漠、山岳、岩山、森林、小規模な都市、平原、要塞陣地と基本的な戦場が再現されいる。しかも随所にAR投影機能を持つ装置を配置しており、様々な敵を出現させて戦うことが出来るのだ。演習に参加する兵士にも撃たれて負傷判定を貰えば、適切処置をして回復判定を得ないと死亡判定になる。これらは全てコンピューターで管理されているので、実戦に限りなく近い状況で、即座の判断が要求される緊張感が得られるのだ。

さらに飛行場や簡単な整備基地も併設されているので、新兵器の実験なんかもここで出来る。

 

「おぉ、長官。お久しぶりで御座います」

 

演習場で2人を出迎えたのは、白髪に眼鏡をかけた恰幅のいい老人であった。この老人が、先述の空技廠長。西野源三郎である。

 

「西野空技廠長!富嶽IIの時以来か?」

 

「そうですなぁ。あれ以来、色々ありましたからな。ささっ、私達3人の力作をご覧いただきましょう」

 

「3人?」

 

「実は私もいるんですよ」

 

そう言って西野の後ろからヒョコりと現れた、ヒョロっとしていてメガネを掛けた若い男。この男が戦闘機開発のプロ、堀二郎である。

 

「今回、私達3人が開発した機体は、新たなメタルギアです。その名も応龍」

 

「この応龍は機体全体の設計を戦闘機開発を担当する堀くんが。武装配置や操縦系統は大型兵器の鬼才である田中くんが。そしてエンジンとエンジン周りの設計を空技廠長たる私が担当いたしました」

 

「この3人で開発した機体、早速見てもらいましょう」

 

堀、西野、田中と順番通りかつ息ぴったりで説明してくれた。その謎のチームワークに驚きつつ、神谷は格納庫へと入る。格納庫にいたのは余りに独特な見た目をした、ぱっと見では航空機には見えない大型の機体である。

 

「こ、これ飛ぶのか?」

 

「その懸念も分かりますが、ご心配なく。しっかり飛びますよ」

 

田中がそう言うが、流石に飛ぶとは信じられない。3つの巨大ダクテッドファンが前部に2基、後部に1基搭載され、機体自体は細長い上に腹のレールガンが超巨大である。かなりアンバランスな構成で、これで飛ぶのかは結構疑問である。流石に飛ぶのだろうけど、にわかに疑問が出てもおかしくない。

 

「それでは飛ばします」

 

「まあダクテッドファンある時点でまあまあ察してたけど、やっぱりVTOL機能あるのね」

 

「最高時速マッハ1.5です」

 

サラリと堀がカミングアウトしたが、ダクテッドファンが付いたアンバランス巨人機がマッハ1.5を叩き出すとか、流石に色々と法則ガン無視しすぎである。今に始まった事ではないが、やはり皇国の技術者は頭が可笑しい。

 

「ホントに飛んだよ.......。それも超滑らかに」

 

「応龍は輸送機ですので輸送状態での機動性は落ちますが、貨物無しであれば戦闘機並みの機動性を発揮します。こんな感じに」

 

田中がそう言うと、応龍は一気に加減速を繰り返して、そのまま宙返り、急減速からのホバリングからの急発進。急上昇、急降下、バレルロールといった具合に、変態的機動力を惜しげもなく見せつけてくれた。

 

「あれ絶対、航空機のしていい挙動じゃないだろ」

 

「ミサイル撃たれても避けれますからね」

 

ARのミサイルが応龍に向かって放たれるが、そのミサイルをサイドステップするかの様に避けた。それも超スピードかつ被弾ギリギリで避けるので、落とすのには相当な時間が掛かるだろう。

 

「.......またヤベェのが出来上がっちまったなぁ」

 

「「「イェイ!」」」

 

3人のメガネ技術者が、メガネを光らせながら満面の笑みでサムズアップしてくる。実に良い笑顔なのだが、何故だろう。殺意が湧いてくる。

 

「あ、そうそう。もう1つ、兵器があるんですよ。これです」

 

そう言って田中が何処かに無線で連絡を取ると、数秒後に目の前に四足歩行のメタルギアと思しき巨大兵器が着地してきた。

 

「うん。これさ、どう見ても「あ、そうそう」とかいう忘れてました感で出してくる兵器じゃないよね?」

 

「まあ忘れてしまった物はしょうがないじゃないですか」

 

「うん。それお前が言うべき台詞じゃないな。どっちかって言うと、言うべきは俺だな」

 

皇国の技術者あるあるなのだが、基本的に何処かネジが飛んでいる。それが可愛い物なら良いのだが、中々にエグいのも多い。例えば田中は赤ちゃんプレイが大好きで、度々そっち方面の風俗に行ってる姿が見られている。というか研究室で偶にだがタバコの代わりに、おしゃぶりとか哺乳瓶吸ってる。

堀は味音痴でカップラーメンに粒あんをトッピングして食べる。因みに漉し餡は邪道らしいのだが、基準はわからない。いずれにしろ、ラーメンにトッピングするべきではない。

西野は車に乗ると人格が変わる。普段は優しいおじいちゃんだが、ハンドル握ると豹変して暴走する。しかも人格はランダムに変わり、オラオラしてたり、逆にナヨナヨしてたり、かっぺ弁で話し出したり、肉の部位で会話を成立させようとしたりと、もう無茶苦茶な事になる。尚、マリカーみたいなゲームのハンドルでも同じ事が起こる。

そして半数の技術者が抱えているのだが、コミュ力や語彙力が残念なのだ。流石に会話が成立しないクラスの者は少ないが、大体は話していると話が迷走するのだ。自分の専門分野の話ならそうはならないが。

 

「一先ずはそれ置いといてですね」

「一先ず置くのね」

「この新兵器の名前は、メタルギア狼。見ての通り四足歩行兵器で、高い機動性と速度を有します。更に背面のミサイル発射管は、ICBMにも換装可能。お手軽に核戦争が出来ますよ」

 

(いやね、涼しい顔で核戦争出来ます言われても困るのよ。ってかお手軽に核戦争って、パワーワードすぎんだろ)

 

そして田中は、コミュ力が偶に死ぬ系の技術者である。文章の構築が壊滅的に下手くそになり、発言が支離滅裂になったりするのだ。

 

「それじゃぁ、簡単に見せていきますね」

 

田中がそう言うと、狼が跳び上がる。しかもジャンプ力が60m近くあって、明らかにその巨体で出せるジャンプ力ではない。

 

「凄いジャンプ力でしょ?でも、ジャンプ力だけじゃありません。この機体は、メタルギアの中で最速です」

 

なんと狼、四足で走り、そのままドリフトよろしく急制動して地面を削り上げた。あんなのに轢き潰されたら、人間は跡形もなくミンチにされるだろう。

 

「以上が新たなメタルギアになります」

 

「まあうん、予想以上だった。これからも、その優秀な頭脳でぶっ飛び兵器を作ってくれ」

 

頭痛くはなるが、その一方で結構こういう兵器は好きなので、作って欲しいと思う面もある。なんだかんだ言っても、スペックは少なくとも優秀なのであって困りはしない。ちょっと予算が高くなるが、そこはコラテラルダメージだ。

この後、2つの新兵器の説明を受けてから、神谷は統合参謀本部へと帰還。その足で執務室に、向上を呼び出した。

 

「長官、お呼びでしょうか」

 

「あぁ。今日は向上に取っては、嫌な話を持ってきた。向上六郎少佐。本日付けを持って、大佐へと任ずる。以上だ」

 

普通なら驚き、喜ぶだろう。何せ戦死した訳でもないのに、二階級特進して29歳にして大佐という、軍の中でも重要なポストに任ぜられたのだ。

だがこの男、無茶苦茶嫌そうな顔をしている。何故かって?基本的に向上は、少佐位で自由にやりたい派なのだ。欲を言えば大尉位で良い。なのでこれまでは、神谷に頼んで無理矢理昇進の話を避けてきたのだ。神谷だってこの反応は折り込み済みだが、今回ばかりは受けてもらわないと困る。

 

「お前がそういう顔するのも知っていたが、敢えて言おう。向上、昇進を受けてくれ」

 

「何か理由があるんですか?」

 

「当然だ。俺は今、神谷戦闘団の更なる増強を計画している。基幹部隊となる陸上部隊に新たな部隊の編成と新兵器を導入するし、新たに専門の航空隊も作る。これまでの輸送ではなく、戦闘機を装備した支援航空隊だ。海上は実質的に総旗艦の『日ノ本』が、海上での足となる。

流石にここまでの規模になってくると、お前に少佐階級でいられるとキツいんだわ。ってかぶっちゃけ、これまでもキツかった。限界が来た、と言った方が良いかもしれない。正直言うと大佐でも役不足で、准将か少将にしたい位なんだわ。だがどうにか、大佐で決着をつけた」

 

「.......まあこれまで、結構粘りましたからね。良いですよ、お受けします」

 

向上としても、この昇進には旨味があった。というのも、昇進すれば給料も上がる。これまでは基本給の45万に手当が付いて、大体56万位が月給であった。大佐ともなれば、基本給が今の月給位になるので、月給70万いかない位は貰える。年収は手取りで1000万ちょっとになるだろう。

最近は割と真面目に推しアイドルの星宮すみれとデートしたり、推し活してて金はいくらあっても足りないので軍資金調達の為にも話は受けておきたいのだ。因みに星宮とのデートは付き合って1年になるが、まだ数回しか出来ていない。お互い忙しすぎて、直接会う暇がないのだ。互いの家で会う様な、そんな感じである。

 

「そうか。ありがとう。それじゃ早速なんだが、お前に新たな精鋭部隊を付ける事にした」

 

「精鋭ですか?」

 

「あぁ。神谷戦闘団、取り分け白亜衆は射撃、体力、格闘といった、凡ゆるジャンルの戦闘を超人クラスで行える者しか入れない。だが俺やお前、それにワルキューレの戦い方はアイツらの射撃スキルで援護できる戦い方じゃないだろ?

そこで新たに、射撃に特化した精鋭部隊を作る事にした。その指揮を、お前に取ってもらいたい」

 

確かにあの白亜衆を持ってしても、最近は7人の戦闘を的確に援護射撃できない場合も増えてきている。勿論援護しきる者も居るが、全員が全員じゃない。これまでは神谷も向上も、援護する兵士達を最低限考えながら戦っていた。だがワルキューレは元々、そういう連携を念頭に置いて戦ってない。それ故に戦場の様な場所になってくると、どうしても援護する側まで気が配れないのだ。

かと言って彼女達を一般兵にするかというと、折角魔法と剣の才があるのに、それを腐られるのも勿体無い。今は苦肉の策で、神谷直下で向上も共に援護側を援護しながら戦っているのだ。

 

「規模はどのくらいですか?」

 

「白亜衆と神谷戦闘団から選抜するから、中隊程度になるだろうな」

 

「部隊名や装備も私が決めて良いんですか?」

 

「勿論だ。何なら、新たに開発を指示してもらっても構わないぞ。取り敢えずの仮称で、部隊名は雑賀衆としている」

 

「分かりました。色々考えたいので、本日はこれで失礼致します」

 

向上は執務室を出て、簡単に自分のデスクを片付けて統合参謀本部を後にした。今日は金曜日。星宮の家に遊びに行く日である。愛車のレクサス エレクトリファイドスポーツに乗って、星宮の家があるパークハビオ新宿イーストサイドタワーへと向かう。

ここの最上階が星宮の家であり、都内にいるのであれば金曜の夜は必ず会いに行く。逆バージョンもあるが、基本は会いに行くことの方が多い。

 

 

 

数十分後 パークハビオ新宿イーストサイドタワー 最上階

「来たよー」

 

「六くん!」

 

明るい笑顔で星宮が向上を出迎える。のだが、その格好に問題があった。裸エプロンである。

 

「くぼぁっ!!!」

 

「ちょっ!どうしたの!?!?」

 

「いや、破壊力が.......」

 

この星宮、アイドルやってる時はお淑やかな感じで清楚なのだが、プライベートは超がつく自由人。熱くなりやふくて冷めやすく、酒好きで、構ってちゃんの甘えん坊で、色々無頓着で、幼女好きのショタ好きである。もう一度言おう。幼女好きのショタ好きである。

これは付き合って初めて知ったのだが、彼女はかなりのオタクだったのだ。それも変な方向に突き進んだタイプで、普通に変装してコミケに行ったりする。幼女好きのショタ好きと言ってもレズではなく、単純に可愛い幼女とショタが二次元三次元問わずに好きなだけ。ちょっと犯罪臭がしなくもないが、犯罪は犯してない。犯してないよね?

 

「ははーん。六くん悩殺されちゃった?」

 

「あのねぇ、オタクに取って推しが目の前にいるのは、それだけでSAN値が削られまくるの。すみれちゃんだってさ、仮に推しのロリ&ショタが目の前に出て来たらどうする?」

 

「襲う!」

「アウト!」

 

さっき犯罪は犯してないと言ったが、多分これ犯してる。もう手遅れだったよ。

あ、因みに星宮の容姿はFGOの宮本武蔵である。

 

「まあその気持ちは分かりますよ?うん。ってか、その状況が今の俺だからね?」

 

「え?」

 

「スタイル抜群の可愛い推しが、裸エプロンで出迎える。襲うしかないだろ?」

 

「いや////えぇ//////?」

 

割と真面目に襲いたくなる欲求を、理性で無理矢理抑え込んでるのが今の状況である。今にもタガが外れそうだし、多分ここで何か少しでもグッとくる言動やポーズがくれば、ここが玄関だろうとお構い無しに襲うだろう。

幸い、星宮が顔真っ赤にして部屋へと戻っていったので、R18コース突入はなかった。

 

「尊い.......」

 

ただその姿を見て、完全にドルオタモードに突入した。心の中ではSMT、つまり「すみれたん・マジ・天使」と叫びまくっている。

 

 

「あ、今日は唐揚げじゃん!」

 

「六くん好きでしょ?」

 

「すみれちゃんの唐揚げは特に美味いから」

 

「煽てもお酒しか出て来ませんよー」

 

そう言いながら冷蔵庫を漁り、しっかりハイボールを準備している。流石は飲兵衛。向上も酒は飲むが、星宮の方が強い。

 

「俺はビールで」

 

「はいはい」

 

向上は好物のビールを取ってもらう。好きな銘柄はアサヒスーパードラ、じゃなくてドゥラァ〜イある。

 

「「いただきます」」

 

2人揃って手を合わせ、早速唐揚げを食べる。星宮の実家は母親が祖父母と共に弁当屋をやっており、父も料理人ではないが料理好きな人である為、料理の腕は抜群である。特に唐揚げ、卵焼き、煮物と言った弁当の定番メニューを作らせたら、プロ顔負けの物を作ってくる。

 

「やっぱり美味いなぁ」

 

「お酒にも合うでしょ?」

 

「めっちゃ合う」

 

唐揚げ、ビール、唐揚げ、ビール、ちょっと野菜と味噌汁を摘んで、また唐揚げ、ビールの黄金コンボでバクバク食べる。もう唐揚げとビールだけで、永久機関の如く食べ続けられるだろう。

 

「あ、そうだ。すみれちゃん、俺さ昇進が決まった」

 

「凄いじゃん!おめでとう!!って事は、次は中佐になるの?」

 

「いや、それが二階級特進して大佐になった」

 

そう言った瞬間、星宮から何故か血の気がサーッと引いていき、向上の服を掴んで鬼気迫る顔でぐわんぐわん揺らしてくる。

 

「グェッ」

 

「ねぇ何で!?六くん死んじゃうの!?死ぬの嫌だよ!!」

 

「ちょ!待って!!死なない!!死なないから!!」

 

「だって二階級特進で戦死するか、戦死する任務に行く時にするんでしょ!?死ぬじゃん!!」

 

星宮の中では二階級特進=戦死or殉職らしい。一応間違いではないが、今回の場合は極稀にある特異例である。どうにかしてそれを伝えるべく、一旦離してもらった。

 

「確かに普通は戦死、殉職した者が、特に功績を挙げた者だった場合に二階級特進という措置が取られる。でも何も死んでから二階級特進する訳じゃないんだ」

 

「.......そうなの?」

 

「特例中の特例だけどね。基本、二階級特進=戦死の考えでも間違いじゃない。今回はその特例の方で昇進してるからさ。

何でも長官が戦闘団の増強を図ってるらしくて、流石に規模が大きくなるのに少佐じゃ釣り合いが取れないって事で大佐に昇進させるらしい。それに新たに新設される部隊の隊長にも任ぜられる事になった。責任が重いよ」

 

そこまで言うと、星宮は抱き付いてきた。凄い凄いと言いながら、凄い甘えてくる。可愛い。

 

「六くんなら、いつか将軍にもなれるんじゃないの!?」

 

「なれるかなぁ。まあでも、今の調子ならやらせられるだろうなぁ」

 

「そしたら私達すごいよ?私は国民的アイドルのリーダー、六くんは皇軍の将軍様。カッコいいじゃん!」

 

そう言って無邪気に笑う星宮。ステージやテレビで見せる姿とは程遠いが、普通のファンが知らない星宮の素を見られる特権に、向上は歓喜した。

 

 

 

翌週の月曜日 統合参謀本部 執務室

「今日の予定は確か」

 

「長官!!!!」

 

「うおぉ!?!?ど、どうした、向上?」

 

息を切らせながら、向上が執務室に飛び込んできた。手には雑誌か何かと思われる、紙束が抱えられている。

 

「俺、やられました.......」

 

「な、何が?」

 

「これ、見てください.......」

 

そう言って見せられた雑誌には、こんな見出しで文章が綴られていた。

 

『J.P.スワンリーダー星宮すみれ「皇軍士官と同棲中か!?」』

 

つまり、週刊誌のパパラッチか何かにデート中を撮られてしまったらしい。芸能人と付き合うなら覚悟しておかないとならない事ではあるが、まさかこんな形で世間に出るとは思ってなかった。

 

「やられたな」

 

「はい.......。これ、どうしましょう?」

 

「どうするもこうするもねぇよ。別にやましい事じゃ無いんだから、堂々としてろ堂々と。まあファンとかマスコミとかに、色々と付き纏われる可能性はあるがな。

だが取り敢えず、現状は訓練を除いて公の場に姿を見せるな。出張にも付いてこなくていい」

 

「了解しました.......」

 

そう言って向上は執務室を出て行った。今日は神谷の九州方面の出張に同行する予定だったが、流石にマスコミに付いて来られると面倒だ。ここは留守番していて貰おう。

案の定、外に出るとマスコミがロビーで出待ちしていた。受付や警備の兵士達が、どうにかマスコミを抑えている。

 

「あ、神谷浩三が出て来たぞ!!」

「神谷長官!向上少佐の熱愛についてご存知ですか!?」

「少佐の恋愛についてご意見を!!」

「皇軍としてはどの様な対応を!?」

「星宮さんと少佐は何処まで進展が!?」

「恋愛に関してどう思われますか!?」

「ご結婚なさるんですか!?」

 

「はいはい皆さん落ち着いて!!」

 

兵士達を突破したマスコミ達が神谷を取り囲み、質問攻めにしてくる。だが神谷だって、ある程度はマスコミ慣れしている。手をパンパンと叩いて、少し落ち着いて貰ってから適当に解答していけば良いのだ。

 

「まず初めに私は、部下の恋愛に口出しするつもりはありません。というか興味ありません。なので付き合ってるのか付き合ってないのかも知りませんし、軍として対応する事はありません。

ただ彼は士官ですし、多数の機密を知っています。ですのでもし結婚する時が来れば、相手の身辺調査はする事になりますね」

 

「それは熱愛を認めるという事ですか!?」

 

「熱愛云々ではなく、規則の話です。何も向上に限らず、皇国軍の士官や特殊部隊員、或いは重要な機密に触れる機会の多い人員に関しては、結婚を上司に報告し、相手は身辺調査を受ける義務が発生します。あくまでその話をしているだけです。

では、予定がありますのでこれにて」

 

そこまで言うてと神谷は逃げる様に、表の車に飛び乗って統合参謀本部を後にした。目指すは長崎の佐世保にある、とある部隊。その部隊を直々にスカウトしに行くのだ。

 

 

 

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