神谷「それはだね、雷蔵くん。このアカウント設立以来の、大事件が起きたからだよ。まあ、見れば分かるから」
主「勿論、最強提督の方も執筆中です!恐らく明日は無理なので日曜になるとは思いますが、予定通り投稿致します!という訳で今週は豪華二シリーズ投稿です!!それでは、どうぞ」
某年某月某日 気象庁
「ん?こ、これは!!!!」
この日、気象庁に在籍する職員の1人がとある発見をした。それは今から1時間ほど前に起きた地震を捉えた、地震計のデータである。本土から300浬程度離れた位置にある地震計のデータなのだが、この地震の揺れが可笑しかった。長いのだ、揺れの時間が。
普通地震は10秒程度で揺れ終わる。勿論マグニチュード8や9といった、東日本大震災クラスの巨大地震となれば数分に渡って揺れはするが、今回はそんなのは超えて30分近く揺れていたのだ。
「課長!!」
「どうした、そんなに血相を変えて」
「これ見てくださいこれ!!!!」
職員がパソコンを課長の机に起き、データを見せる。その波形を見た課長はすぐに長官に連絡。そのまま国土交通大臣に連絡が行き、さらに話が一色の耳に入った。
読者諸氏はこの地震に見覚えがないだろうか?大日本皇国がこの世界に転移した時も、震度3の地震が20:30から日付が変わるまで同じ様に揺れていたのだ。つまり、何かが転移してきた可能性が高いのである。これを受けて一色は、神谷と川山に連絡しオンライン会議の運びとなった。
「お前ら、状況はさっき話した通りだ」
『話は聞いた。あの地震がまた、洋上で発生したんだよな?』
「その通りだ。まず慎太郎、外交官としてはどう対応するつもりだ?」
いきなり話を振られた川山であるが、いきなり言われても対応の仕様がない。まず何がいるのかも分からないのだから、想像が付かないというのが本音だ。
『無論コンタクトを取る、と言いたいが相手が分からないと無理だな。というかそもそも、こっちの言語が通じるかも分からんぞ?今の世界は日本語が通じるが、恐らくこれは奇跡に奇跡が起きたみたいな、もう天文学的確率超えた次元の幸運だ。第一、相手に『外交』という発想が無いかもしれない。そうなったら、もう外交は無理だぞ』
「わかった。なら浩三、軍としては?」
『こっちはさっき気象庁から『津波の確認』という名目で、偵察機の出動要請を受けた。これを利用して近隣航空基地のRF2に、電子偵察ポッドなんかの偵察装備を搭載させた上で出動させる。
一応、全軍には警戒体制をお前からの報告を受けてからすぐ出した。慎太郎の言う通り、相手が交戦的な連中なら戦争状態に突入する場合もある。偵察機からの報告次第では、艦隊派遣や陸戦隊の派遣も視野に入れている』
「わかった。内閣としては既に、各大臣に召集をかけてある。陛下にも第一報をお伝えし、陛下のご裁断を仰ぐ可能性がある事もお話した。だがまずは、偵察機の報告を待つしかできないな」
やはり流石三英傑と言ったところであろう。すぐに最悪の事態を想定して、それに合わせた行動を即決で取っている。3人はこの回線を保持したまま、各々の行動に入る。
そして大体1時間程経った頃、神谷の元に偵察機からの報告が入った。
「お前ら!たった今、偵察機の報告が入った!!」
『どうだった!?』
「.......こりゃヤバいな。偵察機は引き返したらしい。その理由は「対空捜索用のレーダー波を探知したから」らしい」
この瞬間、川山と一色の顔が一気に強張った。つまり相手は少なくとも1940年代以上の装備を持つ武装組織が存在している可能性がある、という事になる。
『なぁ、浩三?それって、具体的にはどの位ヤバいんだ?取り敢えずレーダーがあるのがヤバいのは分かるが、レベルがわからん』
「レーダーが実戦投入されたのは、1940年代の事だ。イギリス軍がドイツとの防空戦に於いて、本格的に実戦投入したのが始まりとなっている。
つまり最低でもグラ・バルカス帝国クラスの連中がいる可能性が高い、という事になってくる。そうなったら、勝ちはするが敵にしたら面倒になるのは変わりない」
『浩三、衛星は使えないか?あの辺りの上空に、偵察衛星は飛んで無いか?』
川山の意見をすぐに実行する。確かに衛星であれば恐らくだが、バレずにどんな物が転移したか偵察できる。運が良ければ軍事関連も分かるかもしれない。すぐに宇宙作戦本部に連絡を取り、偵察衛星を用いて偵察する事が決まった。しかも運が良いことに、丁度今上空にいるのだという。
「少し待ってろよぉ。お、来た来た!」
すぐに神谷のパソコンにデータが来た。そのまま2人にもデータを送り、画像を見つめる。どうやら転移してきたのは島である。西部に大型の飛行場、小規模の港湾設備、南部中央の2つの島と本島に挟まれた湾内に艦艇群、本島の沿岸部に恐らく入渠施設や居住スペースらしき人工構造物が見える。
『見たところ、南国のリゾートっぽいな。多分これヤシの木的なヤツだろ?ハワイとかグアムで見た事がある』
一色が周りにある木々に注目し、ある程度どの辺りの気候帯からやって来たかを導く。確かにヤシの木っぽい葉が生えた木が沢山あるし、砂浜も綺麗だ。
「恐らくこの西部の港湾は貿易港だな。周りに大型のクレーンやらコンテナがある。飛行場には.......レシプロ機か?小型機と中型機がたくさんある。いや待て。この機体形状、F104か?それにF86Dもいる。
周囲の建造物から見て、ここが軍事用の、それも主力が配備される大規模軍港と見てまず間違いないな」
神谷はその得意な観察眼で、軍事施設を見極めていく。航空機が第二世代ジェット戦闘機相当となれば、グラ・バルカス帝国より技術力が上という事になる。勿論こちらは第五世代ないし第六世代の機体しかいないので勝負にならないが、危険度が高いのには変わりない。それに仮に第二次世界大戦当時の爆撃機がいると仮定すれば、普通に爆撃圏内に日本はすっぽり入る。まあこれに関しては爆撃機が来れば洋上の提灯やストーンヘンジ辺りから砲撃されて、常時日本列島を飛び回ってる空中母機『白鳳』と近隣航空基地、さらに運が良ければ防衛艦隊による攻撃が加えられるので空前絶後の物量で来ないと突破は不可能。確かに巨大な飛行場だが、その規模の航空隊を運用するには足りなさすぎるので問題はないだろう。
『これ、もしかしたら日本の一部かもしれんぞ』
ここで川山が爆弾を投下した。意味がわからない。この技術レベルの頃の艦艇は皇国海軍には予備役にすら存在せず、鉄屑のスクラップとなっている。それ以前に、それと同世代の艦艇を保有してる国は旧世界の海軍には存在しないし、グラ・バルカス帝国だって大半の艦艇が沈んでいる。結論、そんな骨董品クラスの艦艇を持つ組織は旧世界でもこの世界でも、存在はしないはずなのだ。
『お前ら、これをよく見てくれ。この居住エリアの作り、何かに似てないか?』
『なんかどっかで見た事が.......』
川山に促され、2人も居住エリアを拡大してじっくり見る。確かに一色の言う通り、何か見た気がする。
「.......あ!!」
『浩三、気付いたな?』
「これ、鎮守府じゃね?」
その居住エリアの建物は煉瓦造りなのだが、旧海軍から受け継ぎ現在も海軍の拠点として使用している鎮守府の外観とよく似ていたのだ。
「だがこんな島、日本にあるか?というかそもそも、鎮守府が置かれてるのは佐世保、呉、舞鶴、横須賀。大湊に警備府があるが、どれも島ではなく本土だ。一体どこの鎮守府だよ」
『ちょっと待ってろ。島の形状で検索すれば、案外ヒットするかもしれん』
川山の友達がふざけて作った、シルエット検索のソフトを使って島のシルエットで検索してみる。その結果出てきたのは、フィリピンのタウイタウイ島であった。
『確かタウイタウイ島って、旧海軍の施設があったよな?』
「確か主力艦隊が置かれた事もあるくらいには規模のある基地のはずだが、流石にこんな規模はないはずだぞ。ってか何故にフィリピンの島が、よりにもよってここに来るよ。バグりすぎてんだろ」
『だかまあ、取り敢えず恐らく人がいるのは確定した。それもエイリアンとかではなく、人間のそれも近い歴史を持つであろう人間だ。一旦閣僚で話し合いたいから、持ち帰らせてくれ』
この一件は閣僚との協議の末、川山と神谷を派遣する事で結論がついた。これを受けて神谷は神谷戦闘団を招集し、究極超戦艦『日ノ本』に搭乗。さらに摩耶型対空巡洋艦『愛宕』、浦風型駆逐艦『浜風』『磯風』が派遣される事となった。
翌日 本土より170浬の洋上 巡洋艦『愛宕』艦内
「レーダーに感!アンノウン1、こちらに向かって来ます。方位342、高度4000、速力400!恐らくレシプロ機です」
「艦長、どうしますか?」
「単機なのを見る辺り、恐らくは偵察機だろう。長官からは「むしろ偵察機には見つかってくれ」と仰せつかっている。警戒し、武装も照準して見つかってやろうじゃないか」
「アイ・サー!」
基本は艦隊の進路を変えてやり過ごすか、撃墜するのがセオリー。だが今回は敢えて、見つかる事を選んだ。仮に大艦隊や大編隊が押し寄せて来たとしても、艦隊戦であれば最強の『日ノ本』が水中に隠れているし、防空戦となれば対空戦の鬼たる摩耶型の『愛宕』もいる。潜水艦で来れば、浦風型の装備する探鉄波で丸裸になる。
なので寧ろ一旦見つけてもらって、向こうから来てもらった方が楽かもしれないのだ。仮にそれで戦闘になったら、相手を殲滅するのみ。
「アンノウン、目視にて捕捉!!!!」
監視員が叫ぶ。艦橋にいる何人かが双眼鏡を取り出して、謎のレシプロ機が来る方向を見る。確かに、豆粒サイズでどんな機体かは分からないがいる。
時間が経つごとに段々と姿が見えて来る。単発機で、色は緑で機体下部が白。日の丸が見える。
「アンノウン、国籍章は日の丸です!」
「軍曹!!」
「ハッ!確認させていただきます」
航海科に所属する旧軍オタクである軍曹が、日の丸をつけた機体を確認する。全体的に細長い印象を受ける機体形状、風防も他の機体に比べれば明らかに長い。こういう形状の日本軍機と言えば、もうあの機種しかいない。
「もしあの機体が日本軍機と仮定するのなら、帝国海軍の偵察機、彩雲です。空母用艦載機として開発された機体で、武装は後部に旋回機銃を備えるのみです。攻撃の心配はありません。
しかし陸上基地に配備されていたとは言え、本来の用途は艦上機でした。従って付近に空母機動部隊がいる可能性があります」
「アンノウン引き返します!!」
恐らく、艦隊発見の報告が終わり写真も撮り終えたのだろう。用が終わればさっさと帰り、生きて情報を持ち帰るのが偵察兵だ。それが出来る辺り、結構な練度を持っているのだろう。
艦隊は同じ進路のまま、タウイタウイ島を目指す。数時間後、今度はレーダーに艦影を捉えた。
「艦影捕捉!!戦艦2、空母2、重巡2、軽巡1、駆逐6!!!!方位、357!!速力20ノット!!」
「!?待ってください!アンノウン4、同方位にいます!!高度8000、速力400!!」
「結構な規模だ。すぐに総旗艦に通報しろ!!航空機については、恐らくだが攻撃機だろう。FCSを準備し待機!!向こうが攻撃圏内に接近するまで撃つなよ!!」
間も無くして探知した艦影が目視圏内に入り、艦橋要員の数人と監視員、そして軍曹が双眼鏡で接近する艦艇を観察する。
「軍曹、どうだ?」
「あー、何と申しましょうか。艦長、アレは日米合同艦隊ですよ」
「何だと?」
軍曹の報告に艦長が聞き返し、周りの水兵たちは「どういう事だ」と聞いてくる。
「あの艦隊の陣容は伊勢型航空戦艦1、アイオワ級戦艦1、瑞鳳型1、レキシントン級空母1、高雄型重巡洋艦2、川内型軽巡洋艦1、陽炎型4、夕雲型1、島風型1です。この内アイオワ級とレキシントン級はどちらも、アメリカの艦艇なんです」
「益々分からん」
「艦長!!総旗艦より入電!!『衝撃に備えろ』です!!」
「アイ・サー長官。それじゃ、特等席で見せて貰うか」
この数十秒後、海面が一気に盛り上がり海中から巨大な戦艦が勢いよく浮上して来た。もう皆さんご存知、大日本皇国海軍の総旗艦。究極超戦艦『日ノ本』である。周囲に白波を発生させ、巻き上げた水飛沫が周囲に雨のように降り注ぐ。その登場は、豪快以外の何物でもない。
「さーて、鬼が出るか邪が出るか」
「艦長、アイオワ級より入電。『こちらロデニウス連合王国海軍第13艦隊・戦艦アイオワ。貴艦隊は我が方の領海に進入しようとしている。貴艦隊の所属並びに航行目的を伝えられたし』です。日本語と英語で呼びかけてきています」
「英語もか。となるといよいよ持って、こちらの知る世界からの漂流者かもな。取り敢えず手筈通りに返してくれ。
それにしても、ロデニウスってこっちの世界の大陸だろ?そんな王国聞いた事ねーし、まず何であんな艦隊持ってんだよ」
「謎ですね.......」
「ッ!?艦長!!!アイオワ級よりFCSの照射を受けています!!!!」
「ならこちらも返してやれ。流石に主砲は動かせないが、APS作動の準備と機関砲を向けておけ」
「アイ・サー!!」
恐らく警戒の為にFCSを照射しているので、流石に主砲塔を旋回させて指向させるのはやり過ぎだ。だが打たれた物は、打ち返すべきだろう。仕掛けたのは向こうなのだから、こっちも打ち返して何が悪い。
それにFCSを積んでいるという事は、あの『アイオワ』は第二次世界大戦当時の物ではなく改装されてミサイル兵器を搭載した状態だ。流石にハープーン如きでこちらは倒せはしないが、迎撃の準備はしてもいいだろう。
「『こちら大日本皇国海軍・戦艦『日ノ本』。我が方に敵対の意思無し、貴艦隊との接触、及び国交を含む交流の開設を希望する』と。そして『回転翼機により貴艦隊に代表団を送り、交渉の席を設けることを希望する』これで良し」
「送った?」
「送りました」
数分後、向こうから『貴軍の回転翼機の着艦を許可する。戦艦アイオワの後部甲板に降りられたし』と返信が返ってきた。
「副長、この場を任せる。発艦次第、FCSは切れ。だがCIWSだけは万が一に備え、いつでも撃てるようにしておくんだ」
「お気を付けて」
副長の宗谷にそう命じ、神谷は格納庫へと向かう。格納庫には既に川山と向上の2人が待機していた。
「長官、どうでした?」
「受け入れOKだそうだ。向上、分かっているな?」
「はい。会談終了まで、戦闘配置で待機します。既に甲板には突空を並べてありますので、要請があり次第、部隊を展開します。無論、回天も準備済みです」
流石に無策で行くほど、神谷もバカではない。緊急時に備え、神谷戦闘団には出撃待機に入って貰う。もし仮に相手が好戦的でパーパルディア皇国の時と同じ様な事になれば、すぐに『アイオワ』に神谷戦闘団が殴り込む手筈になっている。
「それじゃ、そっちは頼むぞ!」
「了解しました!」
川山と神谷を乗せたSH13海鳥は、アイオワを目指して飛び立つ。と言っても10分程度で到着し、後部甲板に着艦する。
「Hi!MeがIowaの艦長よ。You達が大日本皇国の使者かしら?Follow me!付いてきて!!」
そう言って出迎えてくれた女性は金髪ロングに巨乳、灰色の目に星型の瞳、左脚が黒と灰色のストライプ、右脚が星条旗模様のサイハイソックスを履いたテンションの高い美女であった。
この姿を見て、2人は固まった。勿論相手が美人だから見惚れていたとか、そういう理由ではない。この女性、どっからどう見ても大人気ブラウザゲーム、艦隊これくしょんの『Iowa』なのだ。
「あ、えーと、はい」
「慎太郎、気持ちは分かる。だがついて行こう。行けば何か分かるだろ、多分」
なんか違う意味で雲行きが可笑しくなりつつあるが、取り敢えず行けば何か分かるはずだと思いながらIowaの後について行く。
艦内自体は普通の戦艦であり、神谷自身は一度特別にハワイにある戦艦『ミズーリ』の未公開エリアに入った事もある。その時の内装と結構似ている。
「ここにAdmiralが待っているわ。入るわよ、Admiral」
そう言ってIowaが扉を開けると、中には大体二十代後半から三十代前半位で中肉中背の第二種軍装に身を包んだ男性将校がいた。階級章を見るからに、中将である。
「戦艦『アイオワ』へようこそお越しくださいました。ご足労いただき、ありがとうございます。
私はロデニウス連合王国海軍、第13艦隊司令官。堺修一と申します。本日はよろしくお願いいたします」
「こちらこそはじめまして。私は大日本皇国統合軍総司令長官、神谷 浩三と申します。よろしくお願いします」
いきなりファーストコンタクトで、相手方の軍のトップが現れたのだ。これまでの相手同様、物凄い驚愕した表情を浮かべている。
「私は外交官の川山慎太郎と申します。堺司令、お会いできて光栄に思います」
「神谷様に川山様ですね。改めてよろしくお願いいたします。
それで」
と堺が切り出しかけた時、神谷が「本題に入る前に、少しよろしいでしょうか?」と尋ねた。
「はい、何でしょう?」
「その、私たちをここに案内してくれた彼女なのですが、あの、本当に彼女は『アイオワ』という名前なのですか?」
「へ?」
思わず素の反応が出てしまう堺。どうやら想定外の質問だった様だ。恐らく「本当に彼女が艦長か?」とかの質問はされた事はあるだろうが、こういう質問は初めてだったのかもしれない。
「間違いとかではないですよ。アイオワというのが、本当に彼女の名前なんです」
堺がそう答えた瞬間、神谷の目の色が変わった。今までの相手を観察する目ではなく、少年の様に好奇心には溢れたキラキラとした純粋な目である。
「そ、それじゃ、彼女は艦娘だということですか!?」
「ちょ、浩三!?」
「な!?」
もしかしなくても、明らかに想定外の、それも核心を突く様な質問された時の様な反応である。
「な、なぜ艦娘なんて存在をご存知で.......?」
「ええと、少し信じがたい話かもしれませんが.......実は大日本皇国でも、艦娘という存在が知られているんです。といっても実在する訳ではなく、二次元、ゲームの中の存在なのですが」
「え?」
堺にとっての常識では、艦娘という存在が普通に存在している。それをいきなり「ゲームの世界に同じのがいる」と言われても、信じられないだろう。
「ちょっと失礼します」
神谷は懐からスマホを取り出し、いつかTwitterでケッコンカッコカリの報告を上げた時に撮ったスクショを探し出す。因みに相手は、それこそIowaである。
「これをご覧いただきたい」
「な、これは.......!?まさか、ゲーム内でケッコンカッコカリした時のスクショですか?」
「その通りです。こんな感じで、私たちの知る艦娘はゲームの中の存在なのです。まさか、実物に会えるなんて!」
「なんとまあ、そんなことが.......」
とんだ偶然もあるものである。よく『事実は小説よりも奇なり』なんて言うが、奇怪すぎる気もする。だが、起きた事態がプラスになるなら問題ない。
「まさか艦娘がゲームの中だけの存在とは.......。そんなことがあるなんて、『塞翁が馬』とはよく言ったものですね」
「全くです。ちなみに堺さんは、嫁はどなたですか?」
「私ですか?大和一筋ですよ」
「大和か!良いですよね彼女も、まるで日本人が抱くイメージそのものを具現化したような存在でしょう?」
「全くもって同意しますよ」
完全に堺&神谷の世界に突入して、完全に忘れ去られていた川山が割って入った。
「ちょっと待ってください堺さん。今、大和について『日本人が抱くイメージを具現化した』という言葉に同意しましたね?ということは、もしや貴方は日本人ですか?」
そう、さっきの会話の中で堺は「日本」と口にした。最初は『ロデニウス連合王国』と聞いた事のない国名であったが、恐らく何かしら日本とは関係があるのだろう。
「降参です川山さん。あの一言だけで気付くとは、さすがですね。
最初に『ロデニウス連合王国』と名乗りましたが、私自身は日本人です。と言いましても国名は『大日本皇国』ではなく『日本国』ですよ」
「国名が違う?それではもしや、いわゆるパラレル・ワールドでしょうか?」
「おそらくそうでしょう。そうでなければ、似て非なる国が2つも揃うなんて考えられません」
正直『パラレルワールド』なんて、SF作品でもないと出て来ない。だが考えてみれば、この世界には伝説や御伽噺でしか出て来ない『魔法』という物理法則をガン無視した代物も存在する以上、実在したって可笑しな事はない。
それに何より、国こそ違えど根幹の精神的支柱は同じ国家、言うなれば同じ民族。であれば、信頼関係の構築や文化の違い云々から来るゴタゴタ余り無いだろう。つまり交渉が楽に進むのだ。
「事実上同じ国同士となりますと、『国交の開設』というのも些か妙な感じになりませんか、堺さん?」
「確かにそうですね。ただ、書類上は『新たな国と国交を開設した』とすることになるのではありませんか?その方がいろいろと処理が楽でしょうし、それに私は『ロデニウス連合王国』と名乗ってしまいましたから、公式の通信記録にそれがばっちり残っているでしょう」
「確かに.......。では、そういう形にしましょう。そうなりますと、国交開設後は食糧支援と資源の支援が必要なのではありませんか?」
「実際、それで悩んでいたところです。私の視点から言えば、ロデニウス大陸が突然消えてしまった訳ですから、食糧と資源の供給元が消えたも同じなのです。このままでは私自身と、艦娘たち総勢約200名、それに妖精たちが全員立ち枯れとなるでしょう。それだけは避けたいところです」
実際、このままではタウイタウイ泊地は立ち枯れの運命を免れない。ならば国号を変更する羽目になってでも、生き残る途を取るべきだろう。
「では、国交を仮開設するという形にしましょうか。
食糧と資源に関してはこちらから支援する、ということでいいか浩三?」
「いいんじゃねーかな。多分、健太郎も事情聞いたらOKするだろ」
「すみません、ケンタロウ、とはどちら様でしょう?」
「大日本皇国の首相ですよ。私たち2人とは幼なじみなので、食糧と資源の支援については二つ返事でOKしてくれるでしょう」
「それを聞いて安心しました。ただ、こちらとしてもただで支援を受けるばかり、というのも申し訳ないですね。といってこちらから輸出できそうなのは工業製品ばかり.......ん?」
この時、堺はピンときた。
軍艦や回転翼機を見る限り、大日本皇国の技術力は疑うべくもない。堺達が以前いた日本は西暦2199年の地球なのだが、その技術にも匹敵するレベルだろう。
だがおそらく、その突出した技術力故に周辺国への技術供与に関しては、かえって苦労している可能性がある。今からレシプロ機の製造方法なんざ復習しようとしても、無駄に金がかかることになるだろう。なら、これを売り込めば良い。
そう堺は考えた。
「川山さん、少々確認したいのですが、大日本皇国は周辺の各国と国交を有していますよね?」
「はい」
「それらの周辺諸国に、技術供与ってしていますか?」
「ええと.......」
正直答えて良いか微妙なラインだが、まあここは答えて置いてもお互い損は無いだろう。
「正直なところ、難儀している状態です。何分にも我々からすると、この世界の国々はかなり昔の技術しか有していませんからね。そうした技術レベルに合わせるのに苦労しているところです」
「それでしたら、食糧や資源の提供の見返りとして、こちらから支援させていただきたく存じます。見ての通り我々はレシプロ機の製造や技術伝授はお手のものですし、陸軍の装備も火縄銃から自動小銃まで対応可能です。戦車も八九式中戦車なんて代物までありますし。
また、大日本皇国に対しても輸出できそうなものが一部あるんですよ」
「ほう、どんなものでしょうか?」
「例えば、今神谷さんが見せてくださったスマホですが、それが厚紙くらいの薄さになり、紙のように丸めたり折り畳んだりできる、と言ったら?」
「何ですと?」
さすがの大日本皇国にも、丸められるスマホなんて物はない。精々意味はないが、折り畳めるスマホ位である。まあ試作段階で利点も無ければ、耐久性が低くなるのもあって開発中止になったが。
こうした技術支援にこそ、自分たちの生き残る可能性がある、と堺は踏んだのだ。どうやらそれが当たったらしい。
「これは一本取られましたな。どうする浩三、丸められるスマホなんて初耳だぞ」
「確かにな.......。よし、とりあえずこれで本土に一度持って帰るか?閣議にかけて検討しなきゃならんだろ」
「そうだな。ということで堺さん、ひとまずこの案件を本土まで持ち帰り、検討したいのですが、よろしいでしょうか?」
「構いませんよ、こちらも生き残る途を見つけねばならぬ身です。色よい返事を期待しております」
ここまでの事態となって来ると、流石に一存では決められない。産業に関してはプロに任せたいし、何より国の発展に繋がる案件だ。慎重な方がいい。
「それと、現在のタウイタウイ泊地の食糧事情は大丈夫ですか? 必要ならばすぐにも輸送船を手配しますが」
「今の備蓄なら1週間は保つと思います。緊急に必要というわけではありませんが、なるべく早めにお返事をいただけるとありがたいです」
「分かりました。それでは、今回はこの辺でということで」
「こちらこそ、ありがとうございました。ああそうだ、訪問してくださった御礼に、こちらをどうぞ」
堺は傍らの机に置いていた箱を開けて見せた。中身は間宮の羊羮2本である。
「間宮の羊羮です。当泊地自慢の甘味ですよ」
「おお、これはありがとうございます。いただきます」
こうして、タウイタウイ島とのファーストコンタクトは終了した。 後部甲板に駐機している海鳥へと向かう最中、神谷は無線を向上へと繋げた。
「向上。警戒配置、解除だ。平和に終わった。突入する事なく終わって良かったよ」
神谷は無線でそう話した。勿論周りには川山も案内役のIowaと堺だっている。そんな中で堂々と、そう言ったのだ。これには川山も凄い顔でこちらを見てくるし、Iowaと堺も思わず振り返る。
「あの、それは私の目の前で言って良いのですか?」
「今から攻撃するならいざ知らず、中止命令なら問題ないでしょう?それに私の部隊はちょっとばかし、血の気の多い連中が多くて。普通に敵艦に乗り込んで、そのまま制圧する様な部隊なんです。しっかり手綱は握らないと」
「Youの部隊って、そんなにもcrazyなの?」
「crazyでしょうね。というかまあ、ウチの国の部隊は何処も人間辞めてる奴や、頭の可笑しい兵器がある事に定評ありますし。
旧世界じゃ、いくつかの兵器や戦法は余りにぶっ飛びすぎて出禁を食らう始末でしたしね」
こんな風に冗談めかして笑って言っているが、これは脅しだ。確かに平和に終わったし、それがこちらの願いでもあった。だが一方で、100%戦争をしないと決まった訳ではない。飴と鞭とまでは行かずとも、釘を刺して保険を掛けておいて損はない。
後部甲板に出ると海鳥に神谷と川山は乗り込み、堺とIowaは2人の代表を見送った。
はーい、まさかの大先輩Red October様とのコラボですwww。本日、Red October様の『鎮守府が、異世界に召喚されました。 これより、部隊を展開させます。』でも同じく投稿されておりますので、是非そちらも併せてご覧ください。
https://syosetu.org/novel/174971/