最強国家 大日本皇国召喚   作:鬼武者

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第七十話新たなる守護神

半年後 大日本皇国 統合参謀本部

「これは.......。大佐!」

 

「どうした?」

 

「ついに動きましたよ。1時間前と、今のラグナ軍港の写真です」

 

「.......動いている。それも戦艦、空母級の主力艦艇も。もしかしたら、単なる艦隊移動の可能性もある。引き続き監視を続けろ」

 

グラ・カバルの遺体引渡しより半年。この戦争は、開戦以来の静寂を保っていた。偵察機を堕としたり堕とされたり、輸送船団がちょこちょこ攻撃されたりと小規模の小競り合いはあったが、大きな戦闘は無く一時の平穏が訪れていた。

だがそれは、単なる準備期間に過ぎなかった。カバルの死に皇帝グラ・ルーカスは怒りに怒り、ついでにバイツの進言もあって「大日本皇国に鉄槌を与えよ!首都を焼き払い、奴らの軍隊を蹴散らすのだ!!」と命令を下した。だがこれまでの戦闘を見る限り、生半可な量では確実に返り討ちに遭う。そこで空前絶後の大艦隊を編成する事になり、編成を組み作戦を立てていたのだ。

衛星の探知より3日後。艦隊はレイフォルより南方、580kmの地点で合流。艦隊を形成し、大日本皇国を目指す。だがこの動きは全て、監視衛星によって筒抜けになっていたのである。そしてその情報は、この男の下にも報される事になる。

 

「長官。グラ・バルカス帝国の東進が開始されました。規模と方位から見て、まず間違いなく目標は皇国です」

 

「それは上々。奴ら、何も知らずに大所帯で来てくれるんだ。我が艦隊の姿を晒すのに丁度いい」

 

「では、やるんですね。あの計画を!」

 

「あぁ。各艦隊に伝達!『時は来たれり。かつての栄光、ここに在り。全艦、碇を上げよ』だ」

 

神谷は机の上で不適な、でも何処か楽しそうな笑みを浮かべた。遂にこの日が、待ちに待ったこの日が来たのだ。112年の時を超え、在りし日の聨合艦隊復活の時が来たのだ。命令を受けた各艦隊は全艦出航。フェン王国沖にて合流し、艦隊を形成して西進を開始した。

ではここで、大日本皇国懲罰攻撃艦隊、通称『インフェルノ艦隊』と我が聨合艦隊の兵力をご紹介しよう。

 

 

グラ・バルカス帝国

インフェルノ艦隊

第一艦隊(本隊)

○総旗艦

 ・戦艦『グレードアトラスター』

○戦艦26

 ・グレードアトラスター級 2隻

 ・ヘルクレス級 18隻

 ・オリオン級 6隻

○空母4

 ・ペガスス級 4隻

○重巡43

 ・タウルス級*1 25隻

 ・アマテル級*2 18隻

○軽巡94

 ・キャニス・メジャー級*3 38隻

 ・レオ級*4 56隻

○駆逐艦545

 ・エクレウス級*5 184隻

 ・キャニス・ミナー級*6 361隻

○航空機336

 ・アンタレス改 80機

 ・シリウス型爆撃機 128機

 ・アルゲバル型雷撃機*7 128機 

合計 713隻

 

第二艦隊(機動艦隊)

○戦艦12

 ・オリオン級12

○空母38

 ・グレードウォール級(旗艦)*8 2隻

 ・アリコーン級*9 8隻

 ・ペガスス級 28隻

○重巡31

 ・タウルス級 8隻

 ・アマテル級 23隻

○軽巡88

 ・キャニス・メジャー級 18隻

 ・レオ級 24隻

 ・アルドラ級*1046隻

○駆逐艦130

 ・エクレウス級 85隻

 ・キャニス・ミナー級 45隻

○航空機3038

 ・アンタレス改 876機

 ・シリウス型爆撃機 896機

 ・アルゲバル型雷撃機 1,266機

合計 299隻

 

第三艦隊(先遣艦隊)

○戦艦8

 ・ヘルクレス級 4隻

 ・オリオン級 4隻

○空母12

 ・ペガスス級 12

○重巡37

 ・タウルス級 25隻

 ・アマテル級 12隻

○軽巡184

 ・キャニス・メジャー級 68隻

 ・レオ級 86隻

 ・アルドラ級 28隻

○駆逐艦507

 ・エクレウス級 42隻

 ・キャニス・ミナー級 179隻

 ・スコルピウス級*11 286隻

○潜水艦23

 ・アルゲヌビ級*1215

 ・シータス級 8隻

○航空機1008

 ・アンタレス改 240機

 ・シリウス型爆撃機 384機

 ・リゲル型雷撃機 384機

合計 771隻

 

陸上航空隊1950

 ・グティーマウンI型*13 400機

 ・グティーマウンII型*14 120機

 ・ベガ型爆撃機*15 490機

 ・シュリアク型爆撃機*16 560機

 ・アンタレス改 380機

 

総数 戦艦47

   空母54

   航空戦艦24

   重巡111

   軽巡366

   駆逐艦1,182

   潜水艦23

   艦上戦闘機1,196

   艦上爆撃機1,408

   艦上雷撃機1,778

   戦闘機380

   爆撃機1,570

総艦艇数 1,783隻

参加航空機 6,332機

 

 

 

大日本皇国

聨合艦隊

第一艦隊(本隊)

○総旗艦

 ・総指揮大戦略級究極超戦艦『日ノ本』

○超戦艦8

 ・熱田型 8隻

○軽空母24

 ・龍驤型 24隻

○重巡34

 ・摩耶型 34隻

○駆逐艦96

 ・浦風型 40隻

 ・神風型 36隻

○潜水艦7

 ・伊1500号型 1隻

 ・伊900号型 6隻

○戦闘艇16

 ・松型 16隻

○攻撃艇240

 ・震洋 240隻

○特殊潜航艇200

 ・回天 200隻

○航空機3,408

 ・F8CZ震電IIタイプ・極 500機

 ・F8C震電II 1400機

 ・E3鷲目 58機

 ・SH13海鳥 137機

 ・AS5海猫 313機

 ・MQ5飛燕 800機

 ・AH32薩摩 50機

 ・AVC1突空 150機

合計 626隻

 

第二艦隊(連合機動艦隊)

○要塞空母16

 ・赤城型 16隻

○空母80

 ・鳳翔型 80隻

○重巡64

 ・摩耶型 64隻

○駆逐艦418

 ・浦風型 210隻

 ・神風型 208隻

○潜水艦7

 ・伊1500号型 1隻

 ・伊900号型 6隻

○航空機18,852

 ・F8C震電II 16,800機

 ・E3鷲目 288機

 ・SH13海鳥 1298機

 ・AS5海猫 466機

合計 585隻

 

第三艦隊(前衛突撃艦隊)

○戦艦64

 ・大和型64

○重巡48

 ・摩耶型 48隻

○突撃巡洋艦160

 ・阿武隈型 160隻

○突撃駆逐艦320

 ・磯風型 320隻

○駆逐艦226

 ・浦風型118

 ・神風型108

○潜水艦7

 ・伊1500号型 1隻

 ・伊900号型 6隻

○航空機974

 ・SH13海鳥 590機

 ・AS5海猫 384機

合計 825

 

第四艦隊(機動遊撃艦隊)

○航空戦艦24

 ・伊吹型 24隻

○重巡46

 ・摩耶型 46隻

○駆逐艦128

 ・浦風型 64隻

 ・神風型 64隻

○潜水艦7

 ・伊1500号型 1隻

 ・伊900号型 6隻

○航空機1,976

 ・F8C震電II 1,440機

 ・E3鷲目 96機

 ・SH13海鳥 192機

 ・AS5海猫 248機

合計 235

 

第五艦隊(潜水遊撃艦隊)

○潜水艦250

 ・伊3500号型 6隻

 ・伊3000号型 24隻

 ・伊2500号型 24隻

 ・伊2000号型 24隻

 ・伊1500号型 152隻

 ・伊900号型 24隻

○航空機1704

 ・F8C震電II 1,152機

 ・E3鷲目 72機

 ・SH13海鳥 288機

 ・AS5海猫 192機

合計 205

 

総数 究極超戦艦1

   超戦艦8

   戦艦64

   要塞空母16

   空母80

   軽空母24

   重巡192

   突撃巡洋艦160

   突撃駆逐艦320

   駆逐艦848

   潜水艦282

   戦闘艇16

   攻撃艇240

   特殊潜航艇200

   艦上戦闘機20,792

   早期警戒機514

   輸送機150

   哨戒ヘリコプター2,505

   ティルトローター攻撃機1,584

   攻撃ヘリコプター50

   無人機800

艦艇総数 2,476隻

参加航空機 26,395機

 

どちらも、ご覧の通りの大群である。実際はこれ以外にも補給艦、潜水母艦なんかもいるので、実際の数は更に上がる。

グラ・バルカス帝国海軍は最新鋭の艦隊に、艦載機や装備にはなるべく新しい物を搭載している。アルゲバル型とか、その最たる例だろう。この他、魚雷には酸素魚雷、対空砲弾にはVT信管、航空・艦載機関砲には薄殻榴弾、最新鋭の無線設備、レーダー類も新型、駆逐艦に至っては一部ヘッジホッグモドキを搭載する徹底ぶりであった。しかも総指揮官は三大将が1人、カイザル提督である。

だがそれすらも凌駕するのは、我らが大日本皇国海軍、聨合艦隊である。全部で八個ある主力艦隊を『日ノ本』の下に集わせ、更に六個の潜水艦隊もこれに合流。その結果、もう訳のわからない数になっている。仮に戦闘艇とかの艦載艇群を引いたとしても、インフェルノ艦隊のソレを上回る。かつてここまでの大艦隊があっただろうか。というかそもそも、グラ・バルカス帝国相手にここまでの大艦隊を準備して戦う国家が、他の二次創作にあっただろうか。あれば、是非教えて頂きたい。

 

「慎太郎、時が来た」

 

『動いたんだな?』

 

「あぁ。正確な総数こそまだ分からんが、1,500隻規模の大艦隊が皇国を目指している。これに呼応し、全主力艦隊に集結を命じた。今に聨合艦隊が112年の時を超えて、この異世界の海に蘇るだろうよ。

でだ。恐らくミリシアル辺りが、この海戦に横槍を入れてくるはずだ。それを先手取って封じてくれ。これだけの規模を運用するのは、俺含め全兵士達にとって初めてだ。不確定要素は取り除いておきたい。

何より、この戦争は俺達だけの物。それを邪魔されたくない。というか今後、ピーチクパーチク文句言うのなら、そのまま全部俺の所に持って来させてくれ。全部返してやる」

 

『わかった。すぐに根回しに移る』

 

これで取り敢えずの準備は整った。後は念の為、神谷戦闘団の連中を率いて『日ノ本』に乗り込むだけだ。

 

 

 

数時間後 神聖ミリシアル帝国 帝都ルーンポリス アルビオン城 

「それでは会議を開催します」

 

神聖ミリシアル帝国の帝都ルーンポリスでも、このインフェルノ艦隊について緊急の会議が開催されていた。皇帝ミリシアル8世を筆頭に軍務大臣シュミールパオ、国防長官アグラをはじめとした軍幹部達、そして通常は交わることの無い対魔帝対策省古代兵器分析戦術運用部長ヒルカネ、更には対グラ・バルカス帝国戦に参戦した空中戦艦パル・キマイラ艦長メテオスそして情報を司る、帝国情報局長アルネウス、外務大臣ペクラスと外務省統括官リアージュ等、錚々たるメンバーが参加していた。

司会進行役となった情報局長アルネウスが会議の開始を宣言と共に軍、情報局が総力を挙げてつかんだ艦隊の動向について、報告が始まる。各人の持つ石版には魔法によって文字が浮かび上がった。

 

「先刻、文明圏外国家メーズに設置した魔導海上レーダーに、多数の人員が海上を進んでいることを感知、規模や魔力の無さ、速度からグラ・バルカス帝国に間違いありません。大艦隊が中央世界東側海域を東へ向かって進んでいる事が判明致しました。なお速度は13ノット、艦艇数1000以上と推定されます」

 

「やはり世界連合艦隊との戦いを上回るのか!!」

 

「今回発見された艦隊は、情報局が想定した軍の規模を遥かに上回るものです。これらの艦艇がすべて日本国への攻撃に当てられた場合、情報部の分析ではグラ・バルカス帝国にも相当数の被害が出ますが、おそらく日本の首都は焼かれ、多くの軍艦艇が撃沈もしくは撃破されます。

また工業地帯も空爆及び艦砲射撃で再起不能に陥るでしょう。想定される敵戦力が大きく変化したため、運用に再度意思決定が必要になってくるかと考えます」

 

国防長官アグラの頭には疑問が浮かぶ。これだけの大艦隊、大飯喰らいなのは機械だろうが魔法だろうが変わらない。

 

「やつらの補給はどうなっている?機械動力式の艦といってもあれほどの大艦隊、補給艦のみでも膨大な数にふくれあがるだろう?」

 

「1次補給は本国からレイフォルで行ったと仮定致します。既に第三文明圏外のニューランド島にある国家チエイズ、同島のグルートが実質的にグラ・バルカス帝国に降っております。

彼らはここに港を建設しており、補給基地も用意しているため、一度同島へ立ち寄ると推定されます」

 

「補給も可能か.......」

 

仮にこれから追撃しても敵の規模はあまりにも大きすぎ、こちらが艦隊を集結させる頃には補給を済ませ、皇国へ向けて出発してしまうであろう。

そもそも前回会議で皇国への攻撃は静観し、帰ってくる艦隊を狙い撃てとの皇帝陛下の言があったため、国防長官程度では何も言えない。さらに場がざわついた。

だが皇帝ミリシアル8世が手をあげ、場が静まる。

 

「このままでは、大日本皇国は再起不能となると?」

 

「はい。今回のグラ・バルカス帝国の艦隊はそれほどの大艦隊です」

 

「では、仮に艦隊を撃滅した場合はどうなる?」

 

「はっ!!さすがにこれほどの艦隊量、まだ本国艦隊が何隻あるのか詳細は判明しておりませんが、どのような国でもこれほどの艦隊が撃滅された場合、再建には相当数の日数がかかるものと思われます!!」

 

「ふうむ.......」

 

ミリシアルは考え込んだ。ここ最近、神聖ミリシアル帝国の存在感が少しずつ薄れている様に感じる。何せ活躍ができてない。カルトアルパスでも、世界連合艦隊でも、ミリシアルは負けている。この辺りで存在感を示しておきたいし、何よりイメージを強国に戻したい。

 

「さすがに友好国を見捨てたと他国から言われる訳にもいかぬ。最低限の事はしておくべきか.......。

大日本皇国には、最新のグラ・バルカス帝国艦隊の規模と進行方向を教えてやれ。軍は……もう間に合わぬな」

 

「はっ!!間に合いませぬ」

 

「では、軍部は帰投時の迎撃に備えよ。それとヒルカネ」

 

「ははっ!!」

 

「空中戦艦パル・キマイラの出撃は間に合うか?」

 

「現在整備中であります!!部品取り替え、燃料補給、弾薬補給を終えた後に派遣したとしても皇国本土に着く頃に間に合うかどうか、といった所です。

仮に東京に向かうとして、補給に想定以上に時間をかけるもしくはロデニウス大陸を南から大きく迂回でもしてくれれば間に合うのですが」

 

「良い、1機で良いので派遣してやれ。ただし、メテオスよ」

 

「ははっ!!」

 

「今回は日本国と世界に、ミリシアルは助けに来るという事を見せる事が目的である。皇国にミリシアルの力を見せつけるにも役立つだろう。

1号機のように、むやみに近づいて落とされるような事は許さぬ。決して無理な戦闘は行わず、時間をかけてでもじっくり攻撃せよ。燃料弾薬が少なくなってきた場合、無理せず確実に帰投せよ」

 

「ははっ!!承知いたしました」

 

尚も皇帝の指示は続く。

 

「リアージュよ」

 

「ははっ!!」

 

「文明圏外国家の各国に伝えよ。グラ・バルカス帝国の艦艇を1隻でも撃沈すれば、5級対象国から、3級対象国へ引き上げるとな。

それと、同じニューランド島各国には、チエイズとグルートに攻撃を仕掛けるならば、神聖ミリシアル帝国から後に支援があると伝えてやれ。

なめた態度を取る国家は潰さんとな。リームはミリシアル帝国が直に潰せ」

 

帝国の外交対象には等級が存在する。

皇国及び列強を含む特級国家、先進11カ国及び中央世界文明国である1級国家、第二文明圏である2級国家、第三文明圏である3級国家、そして文明圏外国家である4級国家。文明圏外国家、しかも第三文明圏の外側にある国家は神聖ミリシアル帝国にとって最低ランクの5級対象国となっていた。それを帝国艦艇を1隻でも撃沈したら3級対象国家。第三文明圏内国と同列に扱うという。

魔法の技術解放レベルでもあるため、国力は大きく向上するだろう。文明圏外国家群からすると、周辺国家を出し抜けるという破格の待遇向上であった。

 

「よ、よろしいので?」

 

「良い、日本の登場により、近い将来現在のパワーバランスは崩れる。文明圏外国家を使えるときに使わんとな。ああ、あと東方国家群の冒険者ギルド協会に対し、敵艦隊に導力火炎弾を1発でもたたき込むか、魔導砲を1撃でもたたき込めればミリシアルが褒美を与えると通達を行え。身分、門地は問わぬとな。

特に、チエイズとグルートのギルドには、攻撃を加えて当てた場合、褒美と神聖ミリシアル帝国の第3級市民権を与えると伝えよ。海賊でも良いと付け加えてやれ」

 

「ははっ!!直ちに!!」

 

会議結果は直ちに反映される。神聖ミリシアル帝国は謀略を巡らすのだった.......。だがしかし、ここでペルクラスの元に皇国からの通達が入った。

 

「陛下、大日本皇国外務省より緊急の連絡が入りました」

 

「読み上げよ」

 

「ははっ。.......現在我が国へ向け航行中のグラ・バルカス帝国海軍艦隊は、我が方にて補足、追跡済みである。進路、規模から見て、狙いが我が国である事はお分かり頂けるだろう。既に大日本皇国統合軍が迎撃作戦を展開中であり、この戦は手出し無用に願いたい。だそうです」

 

この連絡に全員が困惑した。普通に考えて、1000隻越えの艦隊に挑むのは自殺行為である。というかミリシアル艦隊ですら、まず間違いなく返り討ちに遭うだろう。

そんな困惑の中、今度はアグラの元に皇国の国防省からの連絡が届いた

 

「陛下、大日本皇国の国防省からも連絡が入りました。読み上げさせて頂きます。

.......現在、東進中のグラ・バルカス帝国艦隊は、我が聨合艦隊が迎撃する。新生聨合艦隊の初陣という、この記念すべき日に、例え神聖ミリシアル帝国であろうと他国の艦艇が戦列に加わる事は我々が回避したい事象である。どうか手出しは無用に願いたい。大日本皇国統合軍総司令長官、神谷浩三元帥。

で、あります。どうなさいますか?」

 

「.......アルネウスよ。確か皇国は、グレードアトラスター級とそれ以上の艦艇を保有しておったな?」

 

「ハッ。使節団、そして先の世界連合艦隊での様子を見る限りですと4隻は確実に保有しております。またグレードアトラスター級を超える戦艦を1隻保有しております」

 

「シュミールパオ。仮にグレードアトラスター級4隻、そのグレードアトラスター級を超える戦艦1隻、その他、保有している思われる艦を総動員したとして、勝てると思うか?」

 

「.......かなり難しいでしょう。グレードアトラスター級を超える戦艦がどの程度の性能かは分かりませんが、これにグレードアトラスター級4隻を加え、更に空母や護衛の艦艇、それからカルトアルパス襲撃時の巨大飛行機械を動員したとしても、勝てるかどうか。

艦艇単体での性能差で皇国に軍配が上がると仮定としましても、数の暴力で捩じ伏せられるでしょう。引き分けでも大健闘である事は間違いありません。7:3、いえ。8:2というところでしょう」

 

ミリシアル8世は考える。普通に考えるなら、まず間違いなく無謀だと切り捨てて、問答無用で援軍を送るべきだろう。だがこれまで皇国は、力の一端を見せている。

カルトアルパス襲撃時にも、何百、何千kmと離れているにも関わらず、即座に事態を把握し援軍を送り込んだ。世界連合艦隊によるバルチスタ沖海戦では、たった4隻で敵の9割近くを倒した。そして第二文明圏に於いては帝国軍の軍勢を跳ね返すばかりか、占領された街や基地を奪還する戦果も挙げている。

 

「..............メテオス、くどいが答えよ。1隻で良い。パル・キマイラは、動かせぬのか?」

 

「今すぐは不可能です。しかしながら、作業を急げば明朝には動かせるかと」

 

「では明朝出撃し、皇国艦隊を目視にて捕捉。その様子を魔導映像送信機を用いて、我々に見せよ。それを見てどうするか決める」

 

「お任せを」

 

ミリシアル8世の考えは決まった。命令を受けたメテオスは明朝、皇国海軍を捕捉するべく飛び立った。

 

 

 

翌日 10:45 究極超戦艦『日ノ本』 艦橋

「艦長!レーダーに感。特大型艦以下150。IFFに反応!第八主力艦隊です」

 

「一番乗りは電蔵か。方位は?」

 

「後方8時方向、310。あ、レーダーに反応あり!第一主力艦隊を筆頭に、他六艦隊、到着しました」

 

「各艦に伝達!聨合艦隊陣形!!基準艦は、勿論本艦だ!」

 

聨合艦隊陣形とは神谷が考案した、聨合艦隊編成時の特別な編成である。本来であれば旗艦や主力艦は中心で護衛の駆逐艦や巡洋艦に囲まれるが、現代艦でそれをやると駆逐艦の本質が発揮できなくなってしまう。

そこで最も装甲の厚い『日ノ本』を先頭に、熱田型が両翼を魚鱗の陣の様に固め、そして大和型と伊吹型が最外部を縦方向に固める。真ん中に鳳翔型、その周囲を駆逐艦、突撃艦、摩耶型で固める。更にその周囲を赤城型が固めるのが聨合艦隊陣形である。上から見ると↑とか家のマークみたいに見えるので、それをイメージして貰いたい。

 

さて、ご存知の通り今回の総艦艇数は2,476隻となる超大艦隊。内、400隻ちょっとは『日ノ本』に収容されているとは言えど、それでも2,000隻越えの大艦隊なのには変わりない。その為、陣形転換にも1時間近く掛かる。だがこれだけの艦艇が居ながら、一切の事故もニアミスも無かったのは流石の練度と言ったところだろう。因みに操舵とかの水兵曰く「スラスターあるのマジ便利」らしい。

 

「戦艦『出羽』、所定位置に到着。聨合艦隊陣形、形成完了!!」

 

レーダー手の報告に、『日ノ本』の艦橋は歓喜に包まれる。神谷もその喜びの渦に乗るが、すぐに艦隊無線に切り替えて、聨合艦隊所属艦の全艦に放送を入れる。

 

『達する。統合軍司令の神谷だ。今さっき、聨合艦隊陣形が整った。喜べ!諸君らは今、歴史に立っている。諸君らは今、これから始まる新たな聨合艦隊の輝かしい歴史の始まりに立っている。

あの大戦以来、解体されていた聨合艦隊が100と12年ぶりに帰ってきたのだ。諸君らが立っている場所は、先人達の築き上げた栄光のゴールであり、同時にこれからの栄光の魁なのだ。今もし、映像が見れる者がいれば見て欲しい。これが今の、我が艦隊だ』

 

通信長に合図して、艦隊上空の海鳥のLIVE映像を各艦に送る。そこには堂々と大海原を突き進む、鋼鉄の城が映っていた。これを見て喜ばない海軍軍人は居ない。各艦でも歓喜の声が上がり、泣き出す者までいた。

時に西暦2059年、4月10日、12:03。112年3日と12時間ぶりに聨合艦隊は再び、皇国を護るべく蘇った。かつて旗艦であった『大和』と『武蔵』も含めた新生・聨合艦隊は、亜細亜の為に戦い抜いた時よりも更に強く、大きくなって還ってきたのだ。

 

「艦長!ホワイトホーンより入電!!所属不明機を捕捉、指示を求むと。あ、お待ちください。続報、機数1。反応が大きく、爆撃機以上とのこと!」

 

「いきなり来たか。だが爆撃機より巨大となると、なんか嫌な予感がする。直掩隊を急行させ、目視による確認を実施せよ。如何なる国家であれ、攻撃時には正当防衛による武力使用を許可する」

 

「アイ・サー!」

 

なんかいきなり過ぎて、正直もう少し聨合艦隊の再臨という感動を噛み締めたいし、せめて余韻位は感じていたいが、そうも言ってられない。多分上のパイロット達も同じ気持ちだろうが、そこはプロ。命令を受けた隊は直ちに当該地域へと急行した。

 

『にしても爆撃機以上の大型機って、一体なんなんですかね?』

 

『おいベア!確かお前、WWIIの航空機ファンだったよな?ぶっちゃけ正体分かるか?』

 

『爆撃機以上なんでしょ?となると、うーん。ドイツのギガントとかっすかね?』

 

『ギガント?』

 

『ナウシカのトルメキアって国あったでしょ?ほら、クシャナ殿下の』

 

『いや俺、ナウシカ未履修』

 

ベア、出鼻を挫かれる。因みにベアというのは、TAGネームである。TAGネームというのはパイロットが持つあだ名であり、これで交信なんかもする。エースコンバットシリーズに於けるタリズマンやエッジ、ピクシー、トリガーなんかはTAGネームである。

 

『ならあれ!ほら、ナウシカになんかデッカい飛行機出てくるでしょ?見た事ありません?』

 

『.......あぁ!YouTubeで見た事あるかも。たしか、あー、なんか火だるまになって墜落していく巨大なガンシップとかいうヤツ!!』

 

『その機体の元ネタっす』

 

『はー、デケェなそりゃ。ってかアレに元ネタあったのかよ』

 

こんな馬鹿話をしていると、現場空域付近に到達してしまう。ホワイトホーンからの無線が入るや否や、すぐに馬鹿話をやめて所属不明機の捜索を開始。程なくしてベアが、その所属不明機見つけた。

 

「所属不明機を目視にて捕捉。円盤状の機体。中心部に操縦設備を認む。恐らく、神聖ミリシアル帝国の空中戦艦パル・キマイラ!」

 

『———マイラ——きこ———』

 

どうやら無線を此方に入れてきたらしい。ホワイトホーンはすぐに周波数帯を魔導通信用のチャンネルにセットし、相手からの反応を待つ。

 

『こちらは神聖ミリシアル帝国、空中戦艦『パル・キマイラ2号機』の艦長、メテオスだ。まさか魔導電磁レーダーに引っかからないとは驚いたねぇ。一体どんな手品だい?』

 

「こちらは大日本皇国海軍所属、AEW、ホワイトホーンだ。機密につき先程の質問には解答しかねる。それより、貴機の飛行目的をお尋ねしたい」

 

『君達の様子を見に来たのだよ。君達は我々に、手を出すなと言ってきたねぇ。だがこの戦争は世界の命運を決する物。本来なら無視する所だが、皇帝陛下はご慈悲で戦力を見てから動くかどうか決めると言っておられる。早いとこ、君達の艦隊を見せてくれたまえ』

 

「生憎と私の権限では、その許可を出す事は出来ない。総旗艦に問い合わせる。その間、貴機は現在空域で待機せよ」

 

『嫌だと言ったら?』

 

「勿論、一番避けたい事態ではあるが撃墜も視野に入れさせて頂く」

 

『.......面白いねぇ。でも、君達と戦うつもりは無いのだよ。ここで大人しく待っていよう』

 

この話は即座に神谷の耳にも入り、神谷は案の定二つ返事OKした。曰く「どうせなら世界最強とやらのミリシアルに見てもらった方が、この世界では箔がつくだろう?」らしい。

 

「.......お待たせした。司令より許可が降りた。戦闘機隊が案内する。後に続け」

 

『随分早かったねぇ。ではホワイトホーンくん、引き続き任務を頑張ってくれたまえ』

 

『パル・キマイラ』は震電II4機の先導の下、聨合艦隊へと迫る。大体20分もすると、艦隊へと追い付いた。

 

「メテオス艦長。艦隊が見えて参りました」

 

「数はどの程度だい?」

 

「そ、それが.......」

 

見張り員は何も言わずに、メテオスに双眼鏡を渡して来た。訝しみながらも、取り敢えず覗いている。

双眼鏡を通してメテオスの目に飛び込んで来たのは、空前絶後の大艦隊であった。メテオスはすぐに魔導映像送信機を準備させ、この映像をミリシアル本国へと送信する。アルビオン城にてその映像を目にしたミリシアル8世以下、幹部や大臣達はその様子にただただ驚いていた。

 

「あれだけの艦隊が皇国には存在していたのか!!」

 

「おいあれは.......グレードアトラスター級じゃないか!?」

 

「本当だ!一体何隻居るんだ?」

 

「50隻近くはいるぞ!!」

 

議場は大混乱である。もう全員、頭に隕石が降って来たかのような衝撃であった。ミリシアル8世の言により、表向きは皇国を過小評価しなくはなった。だが当のミリシアル8世含めて、心の奥底にはやはり「世界最強の神聖ミリシアル帝国」というプライドや驕りというのは存在しており、何処か皇国を侮ったり下に見る節もあった。

だが蓋を開けてみれば、皇国はミリシアル以上の大艦隊を擁し『パル・キマイラ』を用いて漸く倒したグレードアトラスター級が50隻以上も居た。こんなの予想範囲外の外の外である。

 

「あれは.......もしや.......」

 

「陛下、どうなされました?」

 

「アグラよ、あれを見よ。あの先頭にいる艦を」

 

「五連装砲を搭載した戦艦.......もしや!」

 

ミリシアル8世とアグラが見たのは先頭を走る巨大艦。その艦には五連装砲が搭載されていた。そう、五連装砲を搭載した戦艦。エモール王国の空間の占いにて存在が確認されたという、あの戦艦なのだ。

 

『あー、あー、上空の巨大機。聞こえるか?』

 

全員が映像に齧り付いていた時、魔導映像送信機の中に若い男の声が入ってきた。一体なんだと全員が耳を傾ける。

 

『こちらは神聖ミリシアル帝国、空中戦艦『パル・キマイラ』、艦長メテオスである。君は誰だね?』

 

『俺か?俺は大日本皇国統合軍、総司令長官、神谷浩三だ。修羅と言った方が分かりやすいか?』

 

まさかの登場に、全員が更に黙って次の言葉に注意を払う。

 

『そうか。貴君が、あの神谷浩三なのか。意外と若いのだねぇ』

 

『若いからと侮る事なかれ。こちとら戦争屋だ。例えミリシアルの将軍だろうが、負けるつもりはねぇよ。

それより、どうだ我が皇国の艦隊は?これでこそ大日本皇国海軍。これこそ皇国の四方を護りし聨合艦隊だ。これなら単独で海戦したとしても勝てるだろう?』

 

メテオスは言葉に詰まった。流石に答えるには、ミリシアル8世の意向を聞く必要がある。だが本国に問い合わせるよりも先に、ミリシアル8世が直々に神谷へと語り掛けた。

 

「余は神聖ミリシアル帝国が皇帝、ミリシアル8世である。神谷浩三よ、喜ぶがいい。余の名の下、戦う事を許可してやろう」

 

『.......そりゃどうも。だがミリシアル8世皇帝陛下。貴方は一つ、重大な勘違いをしておられる。我が聨合艦隊は貴方の艦隊ではない。そしてこの私も、貴方の部下ではない。余の名の下、戦う事を許可するだと?それを許可なさるのは、貴方ではない。大日本皇国が主、天皇陛下を置いて他に無い。

あくまで其方に通達したのは、余計な横槍を入れられて作戦を破綻させられたく無いからにすぎない。勘違いなさるな。例え其方の許可が有ろうと無かろうと、我々は勝手に暴れる予定だ。我が祖国を。大日本皇国を。皇国の守護者たる我らの統合軍を、余り舐めない事だ』

 

まさかの反論に、ミリシアル側は全員が面食らう。だが幹部の誰かが「不敬だ」と言った瞬間、幹部達はボロクソに神谷への罵詈雑言を言い始めた。

 

「皇帝陛下になんたる口の聞き方か!!!!」

 

「艦や見てくれは良くとも、所詮は第三文明圏外国家の野蛮人か!!」

 

「皇帝陛下の慈悲をその様な態度で返すとは、泣いて許しを乞うがいい!!!!!」

 

『.......うるさ。まぁ、別にどうでもいいや』

 

最初、神谷はもう面倒だったので無視する方向で行くつもりだった。だが幹部の誰かが、こう言ってしまったのだ。「所詮蛮族国家の長も蛮族なのだろう?貴様の様な者を臣下に置く辺り、程度が良くしれるわい」と。こんなこと言われちゃ、黙ってられない。

 

『.......おい。今、畏れ多くも天皇陛下を馬鹿にしやがった奴、名乗りやがれ。どいつだ?』

 

「そんな事聞いて答えるとで」

どいつだって聞いてんだよゴラァ!!!!!!

 

ヤクザ並みの圧を無線越しで与えてくる辺り、流石神谷である。この一言で幹部達は漸く黙った。

 

『別にアンタらが皇国を下に見ようと馬鹿にしようと、それは所詮テメェらが下である事の表れだ。構いはしない。だが主人である天皇陛下を馬鹿にするという事は、大日本皇国への宣戦布告も同義!!そんなに死をお望みだと言うのなら、海戦の後、テメェらの頭上の砲弾の雨を降らせたって構わねぇんだぞ!!』

 

これ以上幹部が何か言えば、本当に艦隊が本土に来襲しそうな勢いなので、慌ててミリシアル8世が謝罪に入る。

 

「数々の非礼、誠に申し訳なかった。どうか、許して頂きたい」

 

『.......世界最強がこれじゃ、いつしか無くなるぞ。まあもう、それこそここで程度が知れて良かったわ。

いいか皇帝。謝罪とかはどうでも良い。とにかく、この戦、邪魔をするな。アンタらの介入は勿論、第三国や第三国の冒険者組合や海賊なんかの軍事組織を含む勢力を利用した介入もするな。この戦争は俺達だけの物。何人も邪魔は許さない。データが欲しいなら、そこの空中戦艦を射程範囲外から随伴する位は許してやる。だが勿論、武器使用は正当防衛時のみ。勝手に参戦して来たら、敵として認識する。それが嫌なら、パル・キマイラだかパラ・キメラだか知らんが、それも下げろ。いいな?』

 

言いたい事を言うだけ言うと、神谷は一方的に通信を切断した。この後も再三『パル・キマイラ』から通信を呼び掛けて来たが、必要最低限の返答だけして後は全無視してやったらしい。

何はともあれ、この異世界の海に聨合艦隊は復活した。守護神の戦闘は次回に見送るとしよう。

 

 

 

 

*1
妙高型二次改装に酷似

*2
摩耶に酷似

*3
阿賀野型に酷似

*4
川内型に酷似

*5
秋月型に酷似

*6
陽炎型に酷似

*7
流星に酷似

*8
信濃に酷似

*9
大鳳型に酷似

*10
五十鈴改装に酷似

*11
島風に酷似

*12
伊176型に酷似

*13
富嶽に酷似

*14
富嶽掃射機型に酷似

*15
深山に酷似

*16
連山に酷似

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