暴走族と魔法少女   作:ヘッズ

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第27話 アドベンチャー・デッド・エンド

 

根村佳代(ねむらかよ)

 

「佳代、今日付き合ってよ」

 

 またか、そんな言葉が出そうになるのをグッと堪え、何にと問いかける。断るという選択肢はない。もし断ればその超人的な腕力による暴力で何をされるか分からない。

 佳代は芝原海と幼馴染であり、海の言う冒険に連れまわされる日々が日常だった。

 

「この殺島って奴に果たし状もらってさ、この時代に果たし状だよ!ワクワクするじゃん。最初に封筒貰った時は何も感じなかったけど、手に取って瞬間に冒険の匂いがして内容を確かめたら果たし状だった。できれば時代劇の弓と一緒に飛んでくる白い紙がよかったけど、まあいいや」

 

 海は意気揚々とその果たし状を見せる。手紙には「羅武雷斧の仇をとらしてもらう。今日の22時に町はずれの丸鶴製造の工場跡地に来い。覇威燕無礼棲(ハイエンプレス)殺島飛露鬼」と書かれていた。

 

「その羅武雷斧ってなんだっけ?」

「1週間前に潰した暴走族でしょ。忘れたの?」

「ああ、そうだ。思い出した」

 

 海は思い出したと手を叩く。1週間前に海の冒険に連れまわされる最中に暴走族のバイクに轢かれかけた。こちらは歩道側を歩いていたが関係ないといわんばかりに侵入し走っていた。海が咄嗟に引っ張り寄せてくれなければ間違いなく轢かれていた。

 そして暴走族は「ぼさっと突っ立てんな」と罵声を浴びて去っていく。その行動が海は気に入らなかったらしく。翌日には佳代をつれて羅武雷斧の集会場に乗り込み、50人をぶちのめし二度と走るなと誓わせる。あの当時は相当機嫌が悪く10数人は病院送りにしていた。

 

「それでこの覇威燕無礼棲(ハイエンプレス)ってのは何?暴走族」

「ちょっと待って、あっ出てきた。今の暴走族はSNSなんてするんだ」

 

 SNSで覇威燕無礼棲(ハイエンプレス)と打ち込むとあっさり出てきた。N県の暴走族でN県を統一したと書かれている。ものついでにSNSで検索すると暴走族のアカウントが次々と出てくる。最近は帝都リベンジャーズが流行っているのは知っているが、その影響だろうかここまで暴走族が多くなっているのは知らなかった。

 

「N県を統一した暴走族か、わざわざ果たし状を送ったりとか結構気合い有りそうな奴だな」

 

 海は情報を聞いて嬉しそうに笑い佳代はこの殺島の身を案じた。N県を統一した組織のメンバーならそれなりに強いのかもしれない。だがそれなり、いや不良界屈指でも海には勝てない。

 あれは正真正銘の怪物だ。小学校の時には空手道場のコーチや師範をボコボコに叩きのめし看板を奪い取るという漫画みたいな行動をした。さらに今では本気で握っただけで腕が折れるほどまでに成長している。もし喧嘩で勝つなら日本刀、それでも無理だ。拳銃でも持たなきゃ勝てない。

 

♢芝原海

 

 B市の外れ丸鶴製造工場跡地、海と佳代は集合時間2時間前に到着する。広さは教室3個から4個分ぐらいの広さだ。辺りには機械などが散乱し、夜逃げでもしたのかと想像をかきたてる。ここら辺一帯の工場地帯は一昔前の不景気の影響で軒並み稼働していない。そうなると住宅街のように電灯は無く、光は割れた窓から漏れてくる月明かりだけで、中はひどく薄暗い。

 海と佳代は工場内を調べる。こちらは正々堂々戦うつもりだが相手はそうではく、卑劣な罠を用意しているかもしれない。それに窮地に陥た時に何か使えるものがあるかもしれない。罠にはまる奴は備えていない者だ、自分はそんな間抜けとは違う。

 そして罠のチェックを終えると準備運動を始める。体育などで準備運動をさせられるが今までやったことはない。冒険を通じての訪れる危険はいつも突然だ。そんな時に「準備運動していないから動けませんでした」なんて話にならない。なので常に動けるように備えている。だが現実には準備運動をしたほうがより動けるのは知っている。

 果たし状を貰うなんて初めての経験だった。自慢ではないがこのB市では己の強さはそれなりに知れ渡り、誰も喧嘩を売る者はいない。

 だが殺島は果たし状を書いて喧嘩を売ってきた。そして果たし状を貰ったからには全力で応えるべきだ。だからこそ普段はしない準備運動をして備え、ジャージという最も動きやすい服を着ている。

 海の中で高揚感が膨れ上がる。果たし状をもらって喧嘩するなんて物語の登場人物のようだ。

 海は物語の登場人物になりたかった。最高のワクワクとドキドキを味わえるような冒険をしたい。冒険を通して財産を得るでも悪党をやっつけるでもいい。

 そういった意味で暴走族は悪党だった。社会のルールを無視し他人に迷惑をかける存在は悪党である。それを叩きのめし懲らしめるのは冒険程ではないがワクワクとドキドキを与えてくれる。

 海は入念に準備運動を続ける。体のキレはいい、これはベストの状態で臨める。そして戦いに対しての緊張感も高まっている気がする。

 戦う時はいつも突発的か仕掛ける側だった。だが今回は戦いを待っている。これは初めての体験でそのせいかもしれない。

 指定時間10分前、バイクのエンジン音が聞こえて音がどんどん大きくなる。音からして10台、もっと多いかもしれない。そして大よそ20台程度のバイクに乗った男たちが工場内に入る。明かりを消さず入ったせいで先程とは違い辺りは充分に明るくなった。

 

「お前が芝原海か?」

 

 すると先頭を走っていた男がバイクから降りてこちらに近づいてくる。特攻服を着た無造作ヘアーのたれ目たれ眉の男、年代としては高校生ぐらいだろう。日頃の冒険で培った危機感知センサーのようなものがチリチリとうずく。中々に強そうだ。

 

「ああ、それでアンタが殺島か?」

「そうだ。決闘(やる)前に言っておくが、羅武雷斧のメンバーをボコり、走るなと言ったことに対して心底謝罪(ガチワビ)入れるならオレはボコらねえし、出来るだけ制裁(しめ)ねえように言ってやる」

 

 殺島は煙草に吸いながら後ろに控えている男たちを親指で指す。海はその態度にカチンとくる。何故暴走族という悪党に謝らなければならない。それに勝つ前提で話しているのが気に入らない。

 

「やだ、そもそもはそっちが佳代を轢きかけたのが原因だし、謝る理由もない。あとバイクに2度バイクに乗るなって言ったよね。その殺島って奴ボコったら、次はアンタ達ね」

 

 海が指を差すと羅武雷斧は露骨にビクつく。しかし殺島は心配するなといわんばかりにウインクすると不思議と恐怖が収まっていた。

 

「それでおっぱじめる前にスマホを出せ。通報されて喧嘩の最中に警察(イヌ)がきて水入りは勘弁だ」

 

 殺島はスマホを床に置くと壁際に向かって滑らせるように蹴りだす。羅武雷斧も殺島のスマホの場所にそれぞれのスマホを置いていく。

 

「佳代、アタシとアンタのスマホも置いてきて」

 

 佳代は不安そうな表情を浮かべながら頷きスマホを置く。佳代も冒険につき合ってきた成果か直感が少しだけ備わったようだ。確かに言葉にできない危険な感じがする。

 だが問題ない。この決闘に向けて罠がないかチェックし、普段はしない準備運動もして備えた。一方相手は何もしていない。勝つのはアタシだ

 

「よし、コインが落ちた瞬間決闘開始だ」

 

 殺島は10メートルほど距離を取った後にコインを弾く。羅武雷斧と佳代はコインの動きを眼で追う。それは備えていない者だ。落ちる前に攻撃を仕掛けてくるかもしれない、相手から絶対に目を離さないそれが戦いの基本だ。目線を離さず音で察知する。

 耳に澄んだ音が届く、コインが床に落ちた決闘開始だ。脚に力を入れ間合いを詰めながら視線は殺島に向ける。すると殺島は驚くべき速さで両手を特攻服の懐に入れ何かを取り出す。それは拳銃だった。

 コンマ数秒だけ動揺が走る。高校生が銃を所持し喧嘩で使用するなんて、だが日頃の備えが動揺を押し込める。銃を持った相手と戦うための想定は脳内で何回もやってきた。

 弾丸を当てるのは存外難しく、さらに的が動けばその難易度は何倍にも上がると元傭兵の動画で言っていた。推進エネルギーを前ではなく左に向ける。

 左右に動きながら相手をかく乱し飛びつく。体を動かしながら視線を殺島から拳銃2丁の銃口に向ける。漫画では銃口の向きで弾丸を予測し、引き金をひく指を見て引いた瞬間に動いて避けると描いてあった。

 流石に無理だろうと思いながらも試してみる。すると周りの動きがゆっくりになり、銃口の向きが見える。このままいけば当らない。これだったら避けられる

 この戦いで成長した。これでより危険な冒険に行けるようになる。次なるワクワクとドキドキに胸を膨らませる。

 太腿と肩に強烈な熱さを感じた。その熱は痛みに変わると同時に脚から力が抜け転倒する。受け身を取ろうにも腕が痛み上手く動かせず腹部から着地し勢い余って顔面を強かに打ち付け這いつくばる。

 何が起こった?弾丸が当らないと確信した瞬間に唐突に両肩と両足の太腿付近に肉が焼かれるような熱さと痛みが襲った。混乱と痛みでグチャグチャになりながらも相手を見なければならないと見上げる。そこには冷徹な表情で銃口を構え見下ろす殺島の姿があった。

 

◆殺島飛露鬼

 

「案外脆弱(しょっぺ)ぇ~。狂弾舞踏会(ピストルディスコ)使うまでもなかったぜ」

 

 殺島は油断なく銃口を構えながら言い放つ。芝原は常人離れして身体能力を持っているのは聞き込みついでに分かった。もしかすると忍者に限りなく近い力を持っているかもしれないと想定し、万全を期して極道技巧(ごくどうスキル)狂弾舞踏会(ピストルディスコ)で攻撃した。

 狂弾舞踏会は跳弾で相手を攻撃する技だ。そして跳弾する回数が増えれば増える程避けるのは難しくなる。最初の跳弾は避けられて間合いを詰められても跳弾した弾丸が再度襲い掛かる攻撃だった。だが芝原は最初の跳弾すら反応できず喰らった。期待外れ、いや忍者級の人間が居たらたまったものではないので安心した。

 

小娘(ガキ)、世の中には銃弾を軽々と避けて一撃で首を吹っ飛ばす奴やシロナガスクジラを一撃(ワンパン)でぶちのめす奴もいるんだよ。ちょっとだけ超越(スゲエ)からって傲慢(イキ)ったか?お前は人生の主役じゃねえ」

 

 屈みこみ這いつくばっている芝原の額に銃口を突きつける。芝原は生前の忍者や破壊の八極道最強の砕涛華虎(さいとうはなこ)のような化け物に比べれば取るに足らない。だがこの世界では充分に化け物だ。ここで心をへし折り暴走族に対する絶対的な恐怖を植え付け二度と歯向かわないようにする。そうなれば暴走族は安心して暴走できる。

 

「治療を受けねえと手足は動かねえ。もう投了(つみ)だろ。心底謝罪(ガチワビ)するなら救急車を呼んでやる」

「ふざけるな……誰が暴走族に頭を下げるか……」

 

 芝原は痛みを堪え涙を浮かべながら這い少しずつ近づいていくる。なかなかの闘争本能だ、ヤクザでも屈する痛みだが闘志を失っていない。身体だけではなく精神力も人間離れしている。

 見上げた根性だが、ここで手打ちにするわけにはいかない。この状態で見逃せば怒りを募らせ羅武雷斧を襲うだろう。そうなったら全員が重体、下手したら死ぬ。それだけではなく他の暴走族に牙を向ける。それは阻止しなければならない。

 

強靭(つえ)な。だがそのせいで地獄見るのが無常(やるせ)ねえ。助言(アドバイス)だ、意地貼らず折れるのを推奨(おすすめ)するぜ」

 

 右手の拳銃の銃口を足に定めながら単車の元に向かい、シートを開けて改造した短い鉄パイプを取り出し芝原の元に戻る。

 

拷問(ヤキ)いれるにあたって最も効率的な部位(ばしょ)はどこかだと思う?」

 

 殺島は独り言のように喋りながら芝原の足元に近づき靴をぬがしていく。

 

「正解は足の裏、痛点が固まってるから」

 

 改良鉄パイプを足裏に向かって全力で振り下ろす。その瞬間芝原の口から悲痛な悲鳴が発せられる。できればやりたくないし悪い事だとは分かっている。それでも花奈と暴走族のためには必要な行為だ。そう思うと罪悪感はわかない。

 

「うぉ~殺島クン鬼えげつね~!」

「流石すぎんだろ殺島クン!」

 

 羅武雷斧のメンバーから歓声が上がる。余程ボコボコにされ走れなくなったことに鬱憤を貯めていたのだろう。廃工場には打擲音と芝原の悲鳴と羅武雷斧のメンバーの歓声が響き渡る。

 

♢根村佳代

 

 これは現実か、目の前で繰り広げられる光景を認識しようにも脳が拒絶する。芝原海は理不尽の主張であり力の象徴だった。その象徴が破壊されている。

 誰も海には敵わない。そう分からされたからこそ逆らえず振り回され続けてきた。その理不尽が別の理不尽に潰されようとしている。

 殺島という男は何の躊躇いもなく拳銃を使用した。喧嘩で拳銃を使用するだなんて常軌を逸している。さらに男は海に痛めつけ始めた。

 その口から発せられる悲鳴はあまりに生々しく悲痛な叫びだ、思わず耳を塞ぎたくなり数週間は夢で出てくるほど心に刻み込まれるだろう。だが殺島は何一つ動揺せずに海を痛めつける。人の心がないのか?

 それに羅武雷斧と呼ばれる暴走族も海が痛めつけられているにもかかわらず、格闘技でも見ているかのように歓声をあげる。どう考えても人間がする行為ではない。この場には自分と海しか人間はいない。

 海は世界は広いと言ったが身をもって実感した。佳代にとって海は怪物だった。だがその怪物を遥かに上回る怪物がいたのだ。世界は何て広いのだろう。

 海を助けなければ友達として人間として、だが助ければあの怪物の暴力がこちらに向くかもしれない。そう考えるとピクリとも動かない。

 佳代は耳を塞ぎこの地獄が少しでも早く終わるのを願いながら目を瞑り耳を塞いだ。

 

 暴行が始まってからどれぐらい経っただろうか?ふと目を開けると殺島が海の耳元で何かを囁くと、暫くして海は何かを囁くがあまりにも声が小さかった。

 

「声が小せえ!腹から声出せねえと羅武雷斧の奴らに聞こえねえだろ!」

 

 殺島は海の髪を掴み強引に顔を上げさせ恫喝する。その恫喝はまるで自分がされているようで体が震える。

 

「羅武雷斧のみなさん!ごめんなさい!二度とこんなことはしません!自由に走ってください!」

 

 海は嗚咽混じりで叫ぶ。その声色や姿には昨日までの強靭さがまるで感じられない。そして海の心が折れる音が聞こえたような気がした。

 

「これでオレの勝ちだな。だが清算はすんでねえ。リーダーはお前に腕をへし折られ、米田クンはパンチで鼻をへし折られて、渡辺クンは奥歯が折れた。因果応報って知ってか?」

 

 殺島から発せられる言葉を聞いた瞬間に背筋が凍り、海の表情は絶望に染まる。確かに海は怪我を負わせたがあの苛烈な拷問を受けたから充分だろう。そこまでされる事をしたか?

 

「どうするリーダー?」

 

 殺島は羅武雷斧のリーダーの方を振り向いて問いかけ、この場にいる者の視線が一斉にリーダーに向けられる。

 

「倍返しって言いたいところだが、殺島クンの半端ねえ追い込みを見れたから勘弁してやる。それにお前に構ってる暇なんてねえ、今は走りたくてウズウズしてんだからよ!」

「だよな」

 

 殺島は海をゴミのように放り投げると満足げな表情を浮かべながらリーダーの元に近づく。

 

「よっしゃ!羅武雷斧!祝杯代わりにこれから暴走開始だ!」

 

 リーダーの掛け声にこの日一番の歓声があがる。少女がここまで痛みつけられたのにそれを祝杯代わりと言い放ち暴走する。やはりこいつらは人間じゃない。

 

「殺島クンも一緒に走ろうぜ!」

無論(もち)だ」

 

 殺島は嬉しそうにリーダーと肩を組み置いていたスマホを回収し、けたたましいエンジン音を響かせながら廃工場から去っていく。

 

「……海、海!」

 

 佳代は金縛りが解けたかのように海の元へ駆けつける。涙と鼻水で顔がグチャグチャになりうわ言のようにごめんなさいと呟き続ける。

 もう昨日までの海には戻らない。それでも生きているだけマシだろう。あの化け物達なら気分1つで海も自分も殺されても何の不思議もない。そして手足から流れる血に気付き慌ててスマホを手に取り救急車を呼ぶ。

 

◆生島花奈

 

「羅武雷斧は覇威燕無礼棲(ハイエンプレス)の傘下に入ります!」

 

 覇威燕無礼棲(ハイエンプレス)の集会会場にてリーダーである花奈にむけて羅武雷斧のメンバーは一斉に頭を下げる。殺島が率いる遠征チームは隣接している県の主要チームとの抗争に勝利した。その中で羅武雷斧のメンバーはヤジに助けられたと恩義を感じ仲間となって遠征に参加した。その活躍ぶりは中々だったそうだ。

 そして抗争で打ち破ったチームが次々と傘下に入ると挨拶しにきた。打ち破ったチームは傘下に入った。それは暴力による屈服ではなく、抗争を通してヤジに惚れた奴らが殆どだ。改めてヤジのカリスマの凄さを実感する。

 

「しかし暴走族女神のカリスマも流石だな」

 

 ヤジはたばこを吹かしながら感心するように呟き思わず胸を張る。ヤジ達も熾烈な抗争を繰り広げたようだがこちらも負けじと苛烈だった。

 走り屋チーム冬名マッハスターズとの峠のバトルは厳しいレースだった。捨て身の戦法でレースに勝利したが運が悪ければ崖下にダイブして死んでいた。

 G県の桔梗猿は人数もそうだが一人一人が強く。ガンマが血路を開いてからのリーダーとのタイマンに持ち込めなければ負けていた。

 そんなチームに勝てたのも嬉しいが、何より嬉しいのが自分達に友情を感じ喜んで傘下に入ってくれたことだ。

 暴走族は舐められるのは大っ嫌いであり抗争もする。だが本質は走るのが大好きなワルガキであり味方同士だ。ならば全ての暴走族とダチになれる。

 

「改めて言うが、傘下に入ったからって手下みたいにこき使うつもりはねえ!地元を好きに走って構わねえ!そして何か有ったらすぐに呼んでくれ!速攻で駆けつけるからよ!」

 

 その言葉に傘下に入ったメンバーを含め全員が大声で返事する。それからは交流会を兼ねた暴走をして楽しむ。

 

「しかし惜しいなその小娘(ガキ)、手足打ち抜かれても心が折れなかったんだろ」

 

 暴走の休憩時間にヤジに話しかける。羅武雷斧ともめたガキの話を聞いたが腕力もそうだが闘争心が良い。チームに入れば戦力と同時に皆にいい影響を与えてくれただろう

 

「確かに逸材(げきレア)だった。けれどアレは暴走族じゃねえ、どうやっても覇威燕無礼棲(ハイエンプレス)に入らなかった」

「そうか」

 

 暴走族やりはじめてから何となくだが暴走族に入る奴と入らない奴がわかるようになってきた。ヤジのセンスがそうだと察知したならそうなのだろう。

 

「だとしたら潰して正解だな。そんなのが敵になったら厄介だし」

 

 ヤジが言うにはそのガキの心をバキバキに折ったので普通に生活できるようになるのには苦労するらしい。可哀そうだとは全く思わない。暴走族の走りを妨げるのは何よりも罪が重い。寧ろ死ななかっただけでありがたいと思って欲しい。

 

「これからもそんなのが出現(ポップ)してくるかもな。そしたらアタシ達でぶちのめして皆の暴走を守られねえとな」

 

 その言葉にヤジはそうだなと僅かに笑みを浮かべながら呟いた

 

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