「このポンコツ、武装はないの!?」
テスの大気圏を突破した輸送船。
追跡してくるドロイドスターファイターの攻撃を受けて揺れる船内でアソーカは叫ぶ。
「武装はついているみたいだけど、こっちの指示を受け付けない!」
「後部のシールドを強化!R3、砲撃を!」
不安そうな音をあげながらシステムを操作するR3。
装備されている砲塔が背後のドロイドへ狙いを定めるもあっさり回避されてしまう。
「へたくそ!」
アソーカの怒鳴り声にショックを受けたR3を突き飛ばすようにしてR2がシステムに接続。
R2による攻撃でドロイドのスターファイターは撃ち落とされて炎に包まれる。
「さっすが!R2」
軽快な音で答えるR2をみて、カルはのび太へ尋ねる。
「もしかして、R3って」
「システムハックはR2より早いんだけどねぇ、射撃はいまいち」
「納得です」
肩をすくめるのび太。
「R2、そのままハイパースペースの準備を!座標はタトゥイーンだよ」
「タトゥイーンって、スカピョンの故郷だよね?どんなところかマスターノビは知っているの?」
「うん、砂漠の惑星。無法者が多いけど、良い人達もいる。ポッドレースもやっているし」
何よりのび太とアナキンが出会った場所で、ジェダイになることを決意したところでもある。
そのことを思い出すとのび太はあることを考える。
あれから既に十数年経過している。
地球のみんなはどうしているだろう?
しずかちゃんは結婚したのだろうか?ジャイアンやスネ夫はどうしているだろう。
ドラえもんは――。
そこから先をのび太は考えることをやめた。
思考の停止といわれるかもしれない。
だけど、会えるかどうかわからない上に戦時中という理由をつけてのび太は操縦に集中する。
船内で警報が鳴り出す。
「な、なに!?」
「エンジンがオーバーヒートしている!このポンコツ!」
「みんな、掴まっていて!」
ハイパースペースを抜けた目の前に広がる惑星タトゥイーン。
「このまま突入するよ!」
悲鳴をあげる二体のドロイドの声を聞きながらのび太は操縦することに意識を集中する。
少し時間は遡る。
パドメ・アミダラはハットの誘拐事件を調べる為、C-3POを伴ってコルサントのズィロ・ザ・ハットの拠点を訪ねようとしている。
「一人で赴くのは危険ではありませんかな?アミダラ議員」
「マスタークワイ=ガン!」
背後から声をかけられて振り返ると、ジェダイマスタークワイ=ガン・ジンが立っていた。
「どうして、ここに?」
「急ぎ足で向かう貴方を偶然にもヴァローラム議員が目撃しましてね。何か危険なことに飛び込もうとしているのではないかと心配したようです」
「そう、ですか」
ヴァローラムは最高議長を退いた後は目立った活動はないものの、ナブーの一件で無力だったことを後悔しているらしく、パドメを支援している。
パドメとしては最高議長の椅子から落とした張本人である自分を支援してくれることになんともいえない気持ちを抱きながらも手助けをしてくれることに感謝はしていた。
「しかし、貴方の直感は時に事件の根幹を的確についていることが多い」
「今回の件、貴方はどう思います?」
「分離主義が関わっていることは否定できません。ですが、ハットの息子を狙ったという事から……少なからず私怨めいたものを感じます」
「手がかりとして、ズィロ・ザ・ハットが何かもっているかもしれません」
「もしくは……いえ、まずは話を聞きに行きましょう」
クワイ=ガンという心強い援軍を得たことで力強く頷いたパドメ。
後ろにいる3POは「あぁ、過激なことが起こりそうな予感」と肩を竦める。
ズィロの拠点へ訪れた三人を待っていたのは分離主義勢力のドロイド。
そこで戦闘が行われたことで3POの予感は的中するのだが、少し後のお話。
「みんな、大丈夫?」
「俺は大丈夫です」
「あぁ、もう、体中が痛い。最悪の不時着だね」
タトゥイーンの砂漠。
エンジンが爆発するという事態に見舞われながらもなんとか到着したことにのび太は安堵の息を漏らす。
「この子も無事……ウソ、笑顔なんだけど」
「将来、大物になるよ、きっと」
元気にはしゃいでいるハットの子供の姿にのび太は毒気を抜かれたような気分になる。
「急ごう、ハットの指定した時間が近づいている」
船の残骸からいくつかの物資を手に取ってのび太達はタケコプターを取り出す。
タケコプターで空へ舞い上がる三人。
ドロイドも飛行して後を追いかける。
そんな彼らを遠くからみているドロイドがいた。
人型ドロイドは通信機を取り出すとある人物へ連絡を取る。
『ご苦労、そのまま監視を続行せよ。なに、すぐに私の前に現れるだろう』
フードの中で彼は笑みを浮かべた。
そして、もう一人。
「……来たな」
全身をぼろ布で包み込んだ人物が顔を上げる。
待ち望んでいた人物がようやく来たことを察知した。
彼は立ち上がると傍に置いてあるオンボロのスピーダーバイクに跨る。
フードの中の黄色い瞳がランランと輝きを放つ。
「本当に砂しかないのね」
アソーカはタケコプターで夜空を飛びながら周囲をみる。
タトゥイーンは砂漠で覆われた惑星。
そして、ハットが支配しており、共和国の通貨など紙くず同然。
ハットに逆らう事さえしなければ生活することは可能。
共和国の目から離れた星故に荒くれ者達が集まっている。
モス・アイズリー宇宙港が良い例だろう。
宇宙のならず者たちが集まっており、日夜、騒ぎが起こっていると聞いたことがある。
騒ぎが起こるも、腕に自信のある者達が多い。
アナキンがパイロット達から天使の話を聞いたことをのび太は思い出す。
「(昔のアニーって、平然とあんなこと言えるよなぁ。僕だったら恥ずかしくて無理だよう)」
そんな砂漠の星の支配者の依頼をクリアしないと共和国軍は不利になる。
のび太はハットの宮殿へ急ぎ向かおうと考えた。
その時。
「あ、わ、わぁ!」
カルの装着していたタケコプターが狙撃で破壊される。
「カル!」
のび太とアソーカが咄嗟に彼の腕を掴んだおかげで地面へ落下せずに済む。
「狙撃!?どこかに隠れているの?」
「このまま飛ぶのは危険だね。降りよう」
のび太に頷いて砂漠の地面へ降り立つ。
周囲の地面が盛り上がり、そこからバトルドロイドと見たことのないドロイドが現れた。
「待ち伏せ!?」
「でも、なんで」
身構えるアソーカとカル。
そんな彼らの耳に拍手の音が聞こえた。
音の方へ視線を向けると初老の男性が立っている。
「……伯爵」
「この人が……ドゥークー伯爵」
「どうして、ここに!?」
のび太が呟いた言葉であの初老の男性が分離主義勢力の親玉、ドゥークー伯爵であるとわかり、ライトセーバーを抜いて身構える二人。
「ハットの子供を渡してもらおう」
「誰が渡すものですか!」
「そうだ!渡せない!」
「随分と威勢がいいな。二人ともお前のパダワン、ではないだろう。一人はスカイウォーカーか?本人もそうだが、弟子の鍛え方がなっていないな」
「僕の親友の悪口をいわないでいただけますか?…………マスター」
「ほう、まだ私をマスターというのか」
のび太の言葉に目を見開いたドゥークー。
懐かしさからくるのか、シスとなった自分を未だにマスターという彼を愚かと思っているのか小さく笑う。
「では、元パダワンに免じて、素直にハットの子を渡せば命だけは助けてやろう」
「断るに決まっているでしょう!」
「お嬢さん、私が話をしているのは元弟子であって、キミではないよ。全くスカイウォーカーは指導がなっていないな」
「マスターの悪口を言わないで!」
「落ち着いて、アソーカ」
前に出ようとしたアソーカをのび太が止める。
落ち着かせるためにフォースを彼女へ送りながらゆっくりとのび太はドゥークーをみた。
「どうやら断るようだな」
「えぇ、僕達はこの子を父親のところへ届けるのが使命です。貴方に渡す事じゃない」
「残念だ。ここで命を落とすことに――」
ドゥークーの近くにいたバトルドロイドの頭がビームで撃ち抜かれる。
「(速い!)」
ジェダイの技術とシスの秘術を併せ持つドゥークーが見落としてしまうほどの早撃ち。
ブラスター・ピストルを片手に構えながらのび太は笑みを浮かべる。
「それと、僕達はここで死ぬ予定もないよ」
「結構、その自信を完膚なきまで潰してやろう」
パチンと指を鳴らす。
ドロイド達がブラスターを構え、人型のドロイドがエレクトロ・スタッフを構えた。
「アソーカ、ハットの子は僕が背負う!」
アソーカからハットの子を受け取るのび太。
二人がライトセーバーを構えたことを確認して近づいてくるドロイドを次々とブラスター・ピストルで射貫く。
「ジェダイが銃を使うなど、無粋な」
「僕はこっちの方が得意なので」
ニコリと笑みを浮かべるのび太。
マグナガード二体がアソーカとカルへ近づく。
ライトセーバーを構える。
振るわれるエレクトロ・スタッフをセーバーで弾きながら戦おうとするが攻撃を全て無力化された。
「なんだよ、このドロイド!」
「ただのドロイドじゃない。こいつら、強い!」
苦戦しているアソーカとカルをみて、助けに行こうとするのび太。
道を遮るようにドゥークーが前に立つ。
「さて、あれからどれだけセーバーの技術があがったのかみせてもらおうじゃないか、パダワンよ」
「……マスター」
のび太はピストルをホルスターへ戻して、腰に下げていたライトセーバーを手に取る。
回転させながら緑色の刃を起動した。
ドゥークーはローブを脱ぎ捨て、腰に下げていたライトセーバーを手に取り構えた。
赤い刃をのび太へ向ける。
ライトセーバーを構えてじりじりと近づいていく。
「この!」
先手を取ったのはのび太。
振るうライトセーバーの刃をドゥークーはいなしながら反撃する。
迫る刃を受け止めた。
バチバチとぶつかりあう緑と赤の刃。
「ほう、ジオノーシスで手合わせをしていなかったが前よりも腕はあげているようだな」
「師の教えが良いので」
「その師は私の教え子だということを忘れているのではないか?」
連続して振るわれる刃をのび太はぎりぎりのところで躱す。
「そして、お前を鍛えた一人はこの私でもある!」
「忘れていませんよ。だからといって、貴方から逃げていいわけじゃない」
「覚悟は立派だ。だが、力が伴っていなければ意味がない」
近付こうとしたのび太にフォースライトニングを放つ。
ライトニングをライトセーバーの刃で受け流す。
「あぁっ!」
後ろで聞こえた悲鳴に意識が向いてしまう。
振り返るとマグナガードのエレクトロ・スタッフを受けて倒れているカルと庇いながら二体のマグナガードと戦うアソーカ。
「よそ見は禁物だ!」
背後から近づいてくるドゥークー伯爵。
「弟子が気になるか?だが、自分の身を案じるべきだな。今のお前では私に勝てん!」
「そうかもしれないけど!」
押し戻しながらセーバーの剣先を向けた。
「だからって諦めていい理由じゃない!」
「物覚えが悪くなった」
「いいえ、欲張りなだけです」
呆れながらドゥークーが刃を構えようとした時。
頭上を越えて一台のスピーダーが走る。
「え?」
「ぬ!?」
驚いている二人を通り過ぎてアソーカを狙おうとしていたマグナガードを轢き倒して停車した。
突然の乱入者に身構えるマグナガード。
フードで素顔を隠した人物はスピーダーバイクから降りるとマグナガードと向き合う。
マグナガードは警戒しながらエレクトロ・スタッフを振り上げようとした。
その眼前の掌が突き出されて吹き飛ばされる。
吹き飛ばされた際に手放したエレクトロ・スタッフを掴んでその場で回転させた。
「あれは……」
彼の動きを見た時、のび太の脳裏には十数年前に対峙したある人物の姿が過る。
「何者だ?」
ドゥークーがのび太から距離をとりながら尋ねる。
その目は強く警戒していた。
「俺は」
問われた相手はフードを脱いだ。
「モール、ただのモールだ」
十数年前、のび太と戦い死んだと思われていたモールだった。
「下がっていろ」
ライトセーバーを構えているアソーカへモールは短く答えるとマグナガードへ接近する。
振るわれる攻撃を躱してマグナガードの顔へエレクトロ・スタッフを突く。
顔面のフレームが歪みながらもマグナガードは反撃を試みる。
エレクトロ・スタッフを振り上げようとした眼前に掌を前に突き出す。
フォースプッシュによってマグナガードは砂漠の大地へ倒れる。
起き上がろうとしているマグナガードの頭部をエレクトロ・スタッフで叩き潰した。
「ダース・モール、十数年前にジェダイに倒されたと聞いていたが?」
「俺はジェダイに倒されていない。俺はそこの男に負けたのだ」
対峙するドゥークーとモール。
彼の問いかけにモールは淡々と答える。
「ほう、記憶が正しければ、我が弟子は子供だったはず。子供に負けるとはシスのアプレンティスとして情けないのではないかな?」
「抜かせ、ジェダイ」
「私はジェダイではない!ダース・ティラナスだ!」
ライトセーバーを構えるドゥークー。
モールはエレクトロ・スタッフを構えながらのび太をみる。
「ここは俺に任せて、その子供を届けろ」
「……ありがとう!」
敵意を感じないからのび太はライトセーバーを腰に下げると不意打ちをしようとしたバトルドロイドを蹴散らしながらアソーカとカルにどこでもローラースケートを渡す。
「急ごう!立てる?」
「大丈夫です、マスター!」
ふらふらとおぼつかない足取りながらも立ち上がったカル。
三人はローラースケートを装着すると急ぎ足で駆け出す。
R2とR3をアソーカとカルが背負う。
追いかけようとするドゥークーの前に立つモール。
「ジェダイの手助けか、元シス」
「なんとでもいえ、俺はただのモールだ!」
叫びと共に赤い刃のライトセーバーと紫電を放つエレクトロ・スタッフがぶつかりあう。
のび太達は道を阻もうとした新たなマグナガードを瞬殺してジャバの宮殿へ辿り着いた。
ジャバの宮殿に案内されて、子供をジャバ・ザ・ハットへ差し出す。
父親と会えて嬉しいのか、子供はキャッキャッと楽しそうにしている。
満足そうに笑みを浮かべてジャバが言葉を告げる。
通訳ドロイドが三人とドロイドをみる。
「偉大なるジャバは直ちに三人を処刑せよと仰っております」
「えぇ!?」
「ちょっと、どういうことよ!」
「くそっ!」
じりじりと縮まる包囲網。
のび太が四次元ポケットからショックガンや空気砲を取り出そうとした時、通信が入る。
通信の相手は元老院議員のパドメ・アミダラ、そして、クワイ=ガン・ジン。
彼らは今回の事件の黒幕を逮捕したという。
周囲にはコマンダーフォックス率いるトルーパー達の姿がみえる。
トルーパー達に銃口を突き付けられながら姿を見せるのはズィロ・ザ・ハット。
ズィロの顔を見てジャバは目を細める。
目をそらしながらズィロはハットの言葉で言い訳をしていた。
ズィロからパドメへ映像が変わる。
『共和国の交易路通過を認めていただきますね?』
「偉大なるジャバ様は締結に同意いたしました」
通訳ドロイドの言葉にのび太達は安堵の声を漏らす。
「終わったようだな」
ジャバの宮殿を出たところでスピーダーバイクにもたれているモールの姿があった。
身構えるアソーカとカルを制止してのび太はモールの前に立つ。
「ありがとう、助かったよ」
「昔のカリを返しただけだ」
腕を組んでいたモールは立ち上がるとのび太の前に膝をついた。
「え、ちょっと!」
「お前の弟子にしてほしい」
「唐突だよ!?」
「カルはお役御免だね」
「えぇ!?」
アソーカの呟きにカルが悲鳴を漏らす。
「どうして、弟子なんか?」
「俺はかつてのマスターに誘拐されジェダイを憎めと教えられながら修業をした。ジェダイを殺そうとした時に対峙したお前からは憎しみと違う全く別のものを感じた。あの後、各地を旅しても答えはでなかった。お前と一緒にいれば、何かわかるかもしれないと思ったのだ」
モールの真剣な目にのび太は少し考える。
「そういってもらえると嬉しいよ。でも、ごめん。僕は今、弟子を取っているからもう一人弟子をとることができないんだ」
「そうか……」
「だけど、友達になれる!」
悲痛の表情を浮かべていたモールにのび太は手を差し出す。
「僕がキミへ教えられることがあるのかわからないけれど、友達としてこれから仲良くしよう!」
「友達……それがどういうものかわからない。だが、教えてくれるのなら助かる」
モールはのび太の手を掴んで立ち上がる。
こうして、のび太は元シスの友達ができた。
この後、モールは評議会で尋問を受けるも、シスの秘術により、ダース・シディアスについての情報は開示できなかったという裏設定があったりなかったり。
次回はテレビドラマ版のクローン・ウォーズをいくつかやります。
映画については、次回の投稿までを期日とします。
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